花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「お帰りなさいませ。若旦那様。ご結婚おめでとうございます。」


邸に着くと同時に、タマの挨拶。
SPから情報は逐一入っているんだろう。
俺が入籍した事実は、すでに邸中に知れ渡っているはずだ。
恐らくはニューヨークにも事実は伝わっている。
俺は『坊ちゃん』から『若旦那様』に格上げらしい。
そんなどうでもいいことに、頰が緩む。

「若奥様、これからもどうぞよろしくお願い致します。」
そう言われた俺の奥さんは、真っ赤になってアタフタしてる。

たった今、婚姻届を提出したものの、二人揃って実感があるようで無いような・・そんな感覚だ。
俺にとっては、隣のこの女がもう『牧野』ではなく、『俺の奥さん』であり、ここの『若奥様』であることが嬉しすぎて、それ以外はどうでもいい状況。
早く二人きりになりてぇ・・それだけだ。


「バスの準備は?」
「用意してございます。」
「こっちから呼ぶまで誰も部屋に入るな。」
「畏まりました。」

そのまま俺は、妻の肩を抱き、俺たちの居室へ向かう。

「あっ、待って。タマさん、それから、皆さん。私の方こそ、これからこちらでお世話になります。色々教えてくださいね。よろしく・・って、やだっ、引っ張らないで!」

まだその場で立ち話をしそうな俺の奥さんを、無理やり従わせて歩かせた。

「もうっ、ちょっと待ってよ。こういう事は、初めにキチンとしておかなくっちゃ。」

そんな事を言う奥さんの耳元に俺も口付けるように囁いた。

「それは俺のセリフだ。夫婦の仲は初めが肝心だ。」
「ひゃっ。」

一瞬だけ、タマの呆れ顔が目に入ったが、どうってことは無い。
次の瞬間には、爆笑してやがったからな。



有無を言わせず抱き上げて、速攻で二人の居室に移動した。
メイドの視線なんて気にしてられねぇ。
俺は今、こいつにどうしても分からせたいことがあった。


部屋に入るとすぐに、口付けた。
口付けたまま、ベッドに向かう。
花柄のベッドカバーに変えられた俺のベッド。
全くもって俺の趣味ではなかったが、俺の奥さんは案外こういうのが好みだってことは、マンションでリサーチ済みだった。
この部屋で、彼女を優しく抱いて、幸せな奥さんにしてやりたくて、部屋の内装を彼女好みに変えた。


この1ヶ月、俺は出来るだけ大切に彼女を抱いていた。
そりゃ、やっぱ夢中になって、気がつけば朝ってこともあったが、それでも基本はこいつにできるだけ無理はさせないスタンスだったと思う。
彼女に嫌われたくないとか、呆れられたくないとか、そんなこいつに会うまでは抱いたこともないような感情に囚われた。

結婚は常にしたかった。
初めて出会った時に、こいつだ!と思ったんだ。
見合い相手をSwitchまでして、出会いを作った女だ。

それなのに、今日、こいつから出た言葉は、
___「社長になるために、結婚したいのか?」


頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
俺の態度から、そんなことを感じるわけねぇ。
俺は、一切そんな気持ちはないからだ。

一体、誰がそんなくだらないことを吹き込んだ?
俺がこいつをどれだけ大切に思っているか。
知ってて言ってんのか?
どっかの噂好きがこいつに吹き込んだのだとしたら、絶対に許さない。


俺が結婚したいのは、こいつを愛しているからだ。
それ以外の理由なんて、ありはしない。
そして、俺の愛を一瞬でも疑うなら、俺は妻だって許さない。


俺のわずかな変化を感じ取ったのか、少し不安そうにベッドに座っている女は、すでに俺の妻だ。
もう、嫌だと言おうがなんと言おうが、俺からは離れられないし、離しやしない。
それなら、今夜はいいよな。
俺の愛を、もういらないと言われるまで注ぎ込みたい。

この結婚の理由が、「愛してる」以外にあり得ないことを叩き込んでやりたい。
そして俺が欲しいものは、社長の椅子なんかじゃなく、お前との幸せな家庭なんだと体で分からせたい。


ムラムラとする感情を隠しもせず、
妻のオレンジ色のワンピースのファスナーを一気に下ろした。

「今日は脱がせやすい服着て来たんだな。」
「やっ、その為じゃないしっ。」

ニヤリと笑ってやると、少し困った顔の俺の妻。
明らかに緊張が見て取れるが、俺も手は緩めない。
ワンピースを床に落とすと、残りは下着とストッキング。

「俺、このストッキングってのは好きじゃねぇんだよな。二人きりの時は、絶対履くなよ。」
「いや、でも・・」
怖がらせるつもりじゃなかったが、俺はストッキングを引き裂いた。

「仕事から帰ったら、すぐにシャワー浴びろ。そんで、ナイティとガウン一枚で待っていてくれ。」
「え?」
「それが、俺の理想の新婚生活。」
「ええっ!」

話しながらも、俺の服もサクサクと脱いでいく。
ボクサーブリーフ一枚になって妻を押し倒した。

「どっ、道明寺っ!どうしたのっ!?」
「初めが肝心だから。希望は全部言っとかねぇとな。お前もなんでも言えよ。それから、今からは、“道明寺”は禁止だ。司って呼べよ、つくし。」
「そんなに一度に言われても、頭に入らないよ・・」
「大丈夫だ、体に覚えさせるから。」

部屋のダウンライトを落とした。


「あっ・・」
首筋に吸い付いて、少しだけ歯を立てる。
左耳にも吸い付いて、舐め回す。
スリップを脱がせて、ブラを外し、柔らかい胸に顔を埋めた。
俺はこれが好きだ。
妻の胸に何度も吸い付いて、跡を残す。


「ふっ・・ん。。」
「気持ちいいだろ?」
「う・・ん・・。」

そのまま太腿をさすりながら、繁みの中に手を差し込めば、すでにそこは、俺の予想通り濡れている。

クチュリ・・

「んあっ・・」
俺の指が与える刺激で、妻の体が反応する。
「んんーっ・・はぁっ・・・あっ・・」
「気持ちいいんだろ?そのまま、イッテいいぞ。」
「イジ・・ワル・・ ・あぁっ!」

体が小さく反り返り、くたりと脱力した妻の体を見下ろした。
未だ痙攣を続けている妻の体内に右手の指を残したまま、左手は彼女の右手をとって、口に含む。

「なっ・・」

ペロリ・・
ますます彼女の頰が染まっていき、彼女の中はますます柔らかくなっていく。
それを感じる俺の右手の指先が、器用に彼女のスポットを突いた。

「んあっ!ああっ!もう・・いやっ!」
「嫌じゃねぇよな、つくし。」

シーツの上、髪を振り乱して、首を横に振る。
自分の妻を、もっともっと虐めたくなる。


はぁ、はぁ・・と大きく息を吐いて、つくしがトロリとしながらも、俺に何か訴えてくる。その瞳には、涙が溢れてる。

「まだ・・しない・・の?」
「初めは、今日はしないもんっつってたよな・・つくし。」
「そんな・・。だって・・。」

知ってるよ。
お前が俺のこと、疑ってない事ぐらい。
俺のことが好きだから、結婚を決めた事ぐらい。
それでも・・

「お前が悪い。」
「ふぇ・・。んっ・・くっ・・。」

奥さんの声が泣き声に変わった。
それだけで、俺の心臓はぎゅっと掴まれちまうんだ。

大切にしたい。
優しく愛したい。

けど、本当ににお前が悪いんだぞっ。
それだけは、今晩言わせてくれ。

「お前が、社長になるために結婚するのかなんて聞くからだ。」
「ふっ・・えっく・・。」
「愛してねぇ女を、必死に口説いて、気持ちよくさせようなんて思うか?映画に行って、キスだけで済むか?女のマンションまで行って、抱かない男がどこにいんだよ。全部、お前のせいだぞ。お前のの事が大切で、すげぇ好きで、すぐには手は出せなかった。結婚したくても、強引にできなかった。けど、毎日一緒にいてぇんだよ。いい加減、分かれよ、バカ。」
「うっ、っく・・ごめんなさい・・司。」


ヒック、ヒックと泣き噦る、俺の可愛いつくし。
「今日は、本当にに手加減しねぇからな。」

コクコクと頷いたつくしが、俺にぎゅーっとしがみついてきた。

その彼女の両足を開き、ゆっくりと、味わうように己を沈めていく。


「あっ・・ああっ・・つかさっ。」
「愛してるから・・。」

愛してるから、一緒にいたいんだ。
それだけだ。

夫婦になって、初めて繋がった夜。
何度果てたのか記憶にない。
何度も何度も突き上げて、彼女の意識が飛んでも離せなかった。

彼女の声が出なくなるまで、抱き潰した。
俺にとって、一生忘れられない初夜になった。


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微妙なRになっちゃったので、夜に投稿。
楓さん、待ってるかな。
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「もう泣くな。」

何度もそう言ってやっても、膝の上の牧野は俺の首に腕を回したまま、俺の胸に顔を埋めて、首を横に振る。

「声なんて、そんなに聞こえてねぇよ。(たぶん・・)」
と言えば、ビクッとして、ぎゅーっと腕に力を入れる。
「ほら、ベッドがボロいから、軋む音とか聞こえたんだろ?」
取り敢えず、何とか話を変えようとするが、牧野は全く顔を上げようとしない。



やべぇ・・。
俺はどうやら、検討違いのことを言っちまったらしい。
「アノ時の声が、近所に漏れていた」と知ってしまった牧野は、悲鳴を飲み込んで顔面を両手で覆い、そのままテーブルに突っ伏してしまった。
そこから何を言っても、顔を上げず、俺が近寄っても、シッシッと手で払われた。
おいっ、あのプロポーズはどうなったんだよっ。

仕方なく、強引に牧野を抱き上げて俺の膝に座らせ、現在に至る。
けど、牧野は俺にしがみついたまま、顔を伏せて一言も声を発しない。


ふぅ・・。
大体、結婚を急ぐ理由なんて、他にあんのかよ。
ま、理由なんてなくても、結婚したいのはその通りだが。
こいつは一体、なんだと思ってたんだ。
てっきり、牧野もこの話を聞いちまったんだと思った。
余程のショックを受けての、逆プロポーズかと納得しちまったんだ。
けど、んな訳なかったんだよなぁ・・牧野に限って・・。


何度も髪を撫でてやり、牧野を落ち着かせようと努力はしているが、一向にその努力は報われない。

「俺は初めて会った時から、お前と結婚したいって言ってるだろ?な、結婚しようぜ。って、お前がついさっきプロポーズしてくれたんじゃねーかよっ!」

そう言っても、牧野はピクリとも動かない。

「なぁ、うちに来てくれねぇ?お前に遠慮したくねぇんだ。俺の妻になってくれよ。思いっきり抱きてぇ。」

牧野が、ボコッと俺の胸をグーで叩く。
おっ、反応があった。

「俺は今日、強引にでもお前を邸に連れて帰るつもりだぜ。お前だって、もう、あのマンションには帰りたくねぇだろ?」

そう言ってやると、牧野もコクンと頷いた。

よしっ。


俺は、無理やり牧野の右手に万年筆を持たせた。
婚姻届をテーブルに置いて、指で署名欄を示す。

「ここにサインしろ。間違うなよ。」

牧野がそろそろと顔を上げて、婚姻届に手を伸ばした。
しばらくじっとその紙を見つめていたが、意を決すると署名欄に一気に名前を記入した。それから、万年筆をテーブルに置いて、再び俺の胸に顔を埋める。
彼女の態度は素っ気ないのに、俺の心には暖かいものが広がった。
やっと・・彼女からOKが貰えたんだ。


「おい、なんとか言えよ。顔上げろ。」

そう言っても、牧野は、俺の胸にしがみついて顔は上げない。

「なんとか言えって。」

顔をブンブン横に振っている。
どうやら、声をは出したくないらしい。
困ったやつだ。
けど、可愛くて可愛くて、仕方ない。


この婚姻届にサインをしたと言うことは、もう結婚は決まりだ。
俺は、ポケットから、用意して置いた「牧野」の判子を出して、牧野の手に握らせた。

「判子押すからな。」

牧野の手を上から握り、捺印欄に印を押した。
流石は俺。抜かりなし。

ぼーっと婚姻届を眺めている牧野。

その頰に、チュッとキス。

すると、驚いた牧野が俺を見上げた。

その隙に、唇にキス。

それから、言ってやった。


「提出行くぞ!」



*****



牧野を抱き上げたままリムジンへ乗り込み、区役所へ向かう。
牧野はまだ口を開かない。
どうやら、かなり拗ねちまってるらしい。

でも、俺としては役得だ。
ずっと俺の膝に乗っかっている牧野。
口は開かなくても、別に怒っている訳じゃない。
恥ずかしくて、照れてんだ。

その証拠に髪にキスしようが、頰を撫でようが、拒否はしない。
俺のスーツのジャケットをぐっと掴んで離さない。
マジ、可愛い奴・・。


区役所はすでに夜間受付の状態で、俺らの他に人はいなかった。
俺は牧野を抱きかかえたままリムジンを降りるつもりだったが、牧野はが首を横に振り、自分の足で歩き出した。

「無事に処理されました。おめでとうございます。」

役所の職員に笑顔を向けられて、牧野はほっとしたようだ。
俺はというと、妻となった隣のこの小さな女を、早く邸に連れて帰りたくて仕方がなかった。


さっと、妻を抱き上げる。
意表を突かれた彼女がバランスを取るために、俺の首に腕を回した。

「きゃっ、道明寺っ!」

やっと出た声は、『道明寺』という新しいこいつの苗字。
これからこいつは、俺と同じ性を名乗るかと思うと、急に結婚した喜びが湧いてきた。

「司って呼べよ?お前も、もう、道明寺なんだぜ?奥さん。」


目を大きく見開いて、目の玉を白黒させてる妻を大切に抱きかかえて、ズンズン歩いて行く。
運転手が開けたドアをさっと潜り、リムジンへ乗り込んで、妻の頭を抑え、口付けた。
唇を吸って、舌でノックすると、妻の唇が少し開く。
その隙間から歯列をなぞって、ゆっくりと奥へ入っていく。
初めは遠慮がちな妻の舌の動きも、だんだんと俺を受け入れてくれる。
俺の手は自然と妻の胸に触れる。
そのままそっと揉み込んでいくと妻の体がが跳ねた。
逃げようとするが、逃がさない。

「あっ・・んんっ・・・」
時々漏れる妻の喘ぎ声にますます夢中になっていく。

俺の唾液を飲み込んで、苦しくなったのか、胸をドンドンと叩かれた。

そっと唇離し、潤んだ妻の瞳を見つめた。
「ふぅ・・。もー、道明寺が・・悪いんだからね。声・・でちゃうもん。」
「道明寺じゃねーだろって。」

潤んでるくせに、俺を睨みつけるその表情。
それが俺を煽るんだって。

「お前の声が好きなんだ。俺しか引き出せねぇ声。すげぇ、唆られる。」

ボコッと腹にパンチを食らう。

「今夜は初夜だろ。声きかせて。」

そう耳元で囁いてやれば、真っ赤になる俺の奥さん。


「今日はしないもん。」
「はぁ?」
「道明寺はそのためだけに、今日入籍したの?」

いや・・もちろん、そのためだけじゃねーけど。
でも、邸に連れて帰りたいっつー理由が大きかったのは嘘じゃねぇな。

「他に、理由ないの?」

他の理由?

「特にはねぇけど。スケジュールなんか気にせずに、毎日お前に会いたい。朝起きたらお前がいて、夜帰ったら、お前に迎えられたい。それが、理由だな。」

「他は?」

ん・・更に、他?

「ねぇよ。」
「本当に?」
「ねぇよ。何が言いたい?」

「仕事のことは?」
「仕事?」
「しゃ・・社長になるため・・とか?」

「はぁ?社長?んなもん、時間がたてばそのうち転がり込んでくる迷惑な肩書きだ。つっても、俺以上に仕事できるやつなんて存在しねぇから、まぁ、そのうち引き受けるしかねぇだろうが。うちの母親は自分が面倒だからって、早く俺に継がせようと画策してるみてぇだな。ガタガタ騒がなくても、そのうち引き継いでやるっつの!それだけの結果は出してんだからよ。」

「え・・そうなの?やだ・・どうしよう・・。」

何を言ってやがるんだ、こいつは、ったく。

「何がどうしようだ。とにかくっ。仕事と結婚は別問題だろ。俺はお前に、仕事で協力してもらうほど落ちぶれちゃいねぇよ。お前は黙って俺に溺れてればいーんだよ。でも、そうだな。俺がいい仕事できるかどうかは、お前の夜の仕事次第。」


それを聞いた俺の奥さんは、呆然として俺の顔を穴が開くほど見つめている。


「何だよ。旦那がカッコ良すぎて見惚れてんのか?」

俺は大真面目に言ったのに、こいつは急に、あはっ!と弾けるように笑い出した。

一体、何なんだっつーの!

「おいっ。」


「あー、おっかしい!あはは。私、何に協力したらいいのか分からなくなった。」
「何の話だっ。お前の仕事は、俺の奥さんとして側にいること。以上。」

「うんっ!」
「よし、じゃあ、今夜は初夜だから、手加減しねぇからな。」
「うん。分かった、旦那様。」


急にご機嫌になった俺の奥さんが、俺にガバッと抱きついてくる。
そんな妻の態度に、俺のテンションも急上昇。
奥さんの顔中にキスをしつつ、今か今かと邸への到着を待った。


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昨日のコメント欄、たくさんのメッセージありがとうございました。
ご心配頂いてしまい恐縮でしたが、一人のたうちまわっていたので、相当嬉しかったです。
結局、本日整形外科に行きました。軽く説教されて(笑)、ブロック注射を打たれましたが、正直劇的に良くはなっていないのですが、ゆっくり歩いたり、座ったりはできています。今朝起きたら、もう歩けない感じだったので、かなりマシです。
ご心配、お掛け致しました。こちらのお話も、体調をみながら繋いでいって完結を目指しますね!
  1. Switch
  2. / comment:6
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「道明寺、私たち、結婚しよう。」


目の前の牧野が、バラの花束を受け取って微笑んでいる。

なんだ・・これ・・
これって・・・
これって・・・まさかの逆プロポーズかっ!
こんなのありかよっ。

「俺のセリフ、とってんじゃねーぞ!」

俺は牧野に飛びついた。
細い体をギュウギュウに抱きしめちまう。

「うぎゃっ!痛いってば、道明寺っ!」

牧野の手から、バラの花束が落ちた。

「やだ、お花が落ちちゃったっ。」
「知るかっ。」
「知るかって、あんたが用意したんでしょうがっ、痛いって。」

牧野を締め、彼女の髪に顔を埋める。
彼女の匂いと、この現実に酔いしれる。
俺が手に入れた女だ。
これからどんなことがあろうとも、絶対に手放さない。


少しだけ力を抜いたところで、牧野からの声。
「ねぇ、道明寺、返事は?」

牧野が、俺の胸から顔を上げて、いたずらっぽく俺を見る。

・・・返事?
ちくしょう!!
そんなの分かってんだろーがっ!!

俺は、胸元から、用意していたビロードのケースを取り出した。
それをパカッと開けて、有無を言わせず、牧野の左手の薬指に通す。

「俺の愛の証だ。」

どうだ?
俺が選んだエンゲージリング。
これが俺の返事。
エンゲージは愛の証明だろ?
まぁ、俺の愛は、ダイヤなんかで語れるデカさじゃねぇけど、それでも、大きさばかりでなく、グレードにも拘った一品だ。


牧野がぱかーんと口を開けている。
瞬きもしてねぇ。
息止まってんじゃねぇのか?

なんだよ?そんなに、感動したか?

「これ・・なに?」
「エンゲージリング。」
「これ・・ホンモノなの?」
「おい、どういう意味だよ。まさか、俺の愛が、ニセモノだとでも言うつもりか?」

聞き捨てならねぇ。

「やっ、だって・・。昔、こういうリングのキャンディ売ってたなって。道明寺も、それ知ってるんだって思ったのよ。」
「知らねーよ!そんなキャンディなんかっ!」

「じゃあ、これ、本物のダイヤモンドなの?うそっ。こんなの受け取れない!」

なんだか、牧野が困惑し始めたぞ。
俺はすかさず、彼女の左手を取り、指を絡めた。
絶対にこの指輪は外させない。

「誰に見せびらかす訳じゃねーだろ。素直に受け取れ。」
「でも・・」

「受け取らなきゃ、この手は一生離さないことになる。」
そう言った俺に、

「そう言えば、あんたって、強引な奴だったよね。出会いから。」
牧野が笑い出した。


その笑いを塞ぐように、牧野の唇にキスをする。
舌まで絡め、俺の本気が伝わるように。
牧野の抵抗は・・・ない。
どうやら、この指輪を受け取ってくれたようだ。

少し気持ちが落ち着いて、ゆっくりと唇を離すと、牧野と目が合った。


「「愛してる」」


俺たちは、たった今、夫婦となる約束をした。



*****



「ねぇ、この指輪、重すぎてフォークが持ちにくい。」
「あ?我慢しろ。」
「こんなの、恥ずかしくって、誰にも見せられないよ・・」
「こんなのって、どーいう意味だよ。誰に見せるもんでもねぇんだろ?いいじゃねぇかよ。」
「そうだけど・・・。」

左手の薬指がすごく重い。
つっちゃいそう。
こんな常識外れな大きさのダイヤモンド、見たことないし。
私には全然似合ってないのは明らかだけど、これに道明寺の愛が込められてると言われれば、外すことはできなくなった。
これ、何カラットあるんだろう・・なんて、聞くのはやめておこう。


「牧野・・これ。」
「うん?」

デザートが終わり、二人でコーヒーを飲みながら、見せられたのは婚姻届け。
すでに、道明寺のサインは記入済み。
承認欄には、うちのパパのサインと、道明寺のお父さんのサインが入っていた。

「え?これ・・・」
「今すぐ記入してほしい。」
「え?え?ちょっと待って?」

道明寺が胸ポケットから万年筆を取り出して、コトッとテーブルに置いた。

「お前の両親には先週お会いしてきた。娘さんを下さいって言ってきたぜ。すげぇ、緊張した。でも、なんか、弟から話聞いてたみたいで、滅茶苦茶喜ばれた。おもしれーな、お前の父ちゃん。」
「うそ・・。」
「ホント。」
「本当にうちの両親に会ってきたの?あの・・」
「何だよ。」
「だって・・驚いたでしょ?うちの両親、常識ないっていうか・・。それに、家も、ボロボロだし・・。」
「何を今更。」
「そうだけど・・。だけど、道明寺のご両親は?反対されてないの?」
「いや、むしろ大歓迎みたいだ。この婚姻届け、サインして送ってきたのはオヤジだしな。」
「ええ?本当に?」
「まぁ、お前から返事をもらったら、すぐに両親に紹介するつもりだった。」
「うん。」
「だが、その必要はなく、お前の情報は向こうに漏れてたみたいだから、何も心配は要らねぇよ。」
「それでも、ご挨拶はきちんとしないと。ご両親はニューヨークだよね。」
「わざわざこんなもん送ってくるぐらいだから、会いに来る暇があるんなら、さっさと入籍しろってことだと思ったけど?」
「でも・・。」


反対はされていないのかも知れないけど・・でも・・

「あのね、道明寺。道明寺はどうして、今すぐに入籍したいの?もしかして・・・」

もしかして、やっぱり、会社の都合とか・・あるのかな。
ご両親も、道明寺の昇進のことを心配なんてしているのかな。
それは、経営者としては当然の心配なんだと思うし、彼が私と結婚したいという気持ちが嘘だなんて思わないけれど。
ご両親に挨拶せずに、今日、今すぐ入籍したいと言う道明寺に、やっぱり聞いておきたいと思った。

この結婚は、道明寺にとってどんな意味があるのか。
これからの人生を、私とずっと一緒に過ごしたいという意味なのか。
やっぱり、会社のことを考えてのこともあるのか。
それならば、その役割は私でいいのか・・?


「もしかして・・って、何か思い当たることがあるのか?」
「うん・・・あのね・・・。」

彼が道明寺ホールディングスの社長に就任するかどうかが来週決まる。
その前に、パートナーをきちんと公表できた方がいいんだよね。
私、知ってるから。
だけど、本当に私でいいのか聞きたいの。
私でいいのなら、ずっと側にいるよって言うつもりだった。


「お前、もしかして、誰かに言われた?」
「あ・・うん。少し、聞いた。」
「もしかして・・ショック受けてんのか?」
「ううん。そんなことない。でも、やっぱり本当のことなのかどうか、きちんと聞いておきたい・・かな。」

私がそう言うと、道明寺がふぅーっと息を吐いた。

「俺は、黙ってた方がいいと思ったんだ。」
「うん。」

「お前のアノ時の声が、近所に漏れてるなんて、やっぱショックだよな。」
「・・・え・・?」
「だから、あれだ。結婚して俺んちに住めば、俺も手加減なんかしねえし、お前を十分満足させてやれる。声なんて、いくら出しても大丈夫だ。寝室は防音にしてるから。」

「・・・え?」

「実は、俺も結構ショックだった。お前の声が他の住民に聞こえてたかと思うと、はらわたが煮えくり返る思いだった。だから、すぐにでも結婚して、お前を邸に連れて帰りたい。」

えっ・・えっ・・
ちょっと待って。
意味分かんない。

この人、一体何を言っているの?
私が聞いてるのは、そういうことじゃないでしょ?
社長就任のために、結婚は急いだほうがいいんだよねって、一応確認しておきたかったのよ?


「心配すんな。今夜は、お前をがっつりイカせてやるから・・」

とか言って、凄く熱い視線を送ってくる道明寺。


・・・っ!!
うっそーっ!!!

ちっ、ちっ、ちがーう!!!

道明寺が言ってることって・・つまりっ・・・


『きゃーっっ!!!』


私は、両手で顔面を覆った。


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あは。こんな展開でごめんなさい。
  1. Switch
  2. / comment:14
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今日は、道明寺と夕食の約束をしてる。
場所は、メープルのフレンチレストラン。
いつもは道明寺が事務所まで迎えに来てくれるんだけど、今日は外で待ち合わせをした。
そんな風にしたい気分だったの。
道明寺もOKしてくれた。

いつもより少し早く仕事を切り上げて、マンションで着替える。
一目惚れして買ったけど、まだ一度も着たことがないワンピースに袖を通した。
深いオレンジ色。
スカート部分は共布で透かし模様が入っている。
ショーウィンドウに飾られているのを見て、一目で気に入った。
だけど、着る機会が無かったのよね。
オレンジ色って、仕事には向かないもの。

だけど、今日は精いっぱいのオシャレをしたい。
メイクも念入りに。
道明寺って、どんなメイクが好きなんだろ?
あいつの好きなタイプとか聞いたことも無かったな。


彼と結ばれてから1か月が経った。
道明寺は相変わらず無理して、私と会う時間を作ってくれる。
だからこそ、今の恋人期間は充実しているし、とっても楽しい。

だけどね。
最近、道明寺は私のマンションに来るのをやんわりと避けてる。
やっぱり、私の家じゃゆっくりできないよね。
家で一緒に眠る時には、なんだか道明寺が落ちついて眠れていない気がする。
もぞもぞしていたり、いきなりため息をついたりして、深い眠りに就くことができないみたい。
だけど、メープルに泊まったり、お邸にお邪魔した時には、すごく機嫌がよくて、夜もぐっすり眠ってる。
眠ってると言っても、かなり激しい運動をした後に・・・なんだけどね・・・。
翌朝は凄くすっきりしているから、やっぱりうちのベッドじゃ眠りにくいんだろうなって思う。

道明寺に会えるのは週に2-3回ぐらい。
以前は、道明寺が会える時間を指定していたんだけど、付き合うようになってからは、間に道明寺の秘書の西田さんが入るようになった。
そうじゃないと、道明寺が勝手にスケジュールを空けようと無茶するからなんだって。
西田さんは、私の仕事の予定と、道明寺の予定を二つ管理している。
凄く大変よね・・・。


道明寺も無理をしてるし、西田さんも大変そう。
このままの生活は、長くは続けられないと感じるようになった。

道明寺に無理をさせたくない。
激務の彼を癒してあげたい。

そのためには、やっぱり婚約とか、結婚とか、きちんとした手順を踏んで、彼の家で堂々と会う方がいいなって、自然と思えるようになった。




そして今日、楓社長と話をして、覚悟は決まった。

結婚をしても仕事は続けたい。
そのために、ロースクールへ留学するという選択肢が具体的になった。
それからもう一つ、楓社長に言われたのは・・

「企業法務に興味はない?」

企業法務は、企業の事業活動に伴って発生する法律的問題に対応する仕事。
滝弁護士事務所は、中小企業と契約をしているけれど、大会社になれば、各会社内に法務部を設けているところが多い。

「あなたに興味があるのなら、企業法務を勉強することで、彼の役に立つという選択肢もあると思うわ。」

そう言った楓社長に、留美子先生も頷いて言った。

「道明寺さんとの将来を考えるなら、それも選択肢としてありだと思うわ。」
「あら?道明寺さんって、道明寺ホールディングスの道明寺司さん?」

楓社長が、とても面白そうに私を見た。

「あ・・はい。あの・・ご存じですか?道明寺さんのこと。」

「よく知ってるわよ、道明寺ホールディングスのことは。」
「楓!」

留美子所長が、楓社長を軽く睨んだ。

「いいじゃないの、留美子。牧野さん、道明寺ホールディングスはね、企業法務に強い弁護士なら受け入れがあると思うわ。」
「本当ですか?」
「彼の役に立ちたい?」
「もちろんです。」
「じゃあ、早く結婚してニューヨークへいらっしゃい。道明寺さんは、近いうちに社長就任も取りざたされているわ。」
「社長就任っ?!」

そんなこと、聞いたことがない。
というか、私にそんな事を教えてくれる人なんて今までいなかった。
彼と、彼の仕事の話はほとんどしていない。
でも、いずれはニューヨークだって言ってたから、将来的には・・って思っていたの。
そうか、道明寺は社長になるんだ。それも近い未来に。

「そうなれば、半年後にはニューヨークね。きっと。」
「半年後・・。」
「彼について行ける?」

社長になった道明寺について行く。
私の人生は、予想以上に大きく変わる。

「聞き方が間違ったかもしれないわ。ついて行きたい?」

そうだ。
ついて行けるかどうかじゃない。
彼と一緒にいたいかどうか・・。ついて行きたいかどうかだ。
それは、もちろん!

「一緒について行きたいです!」

そう言った私を楓社長が、優しく見つめた。

「そう。それならば、すぐに結婚ね。彼が、社長に就任できるかどうかも、あなた次第だわ。社長昇格の前提として、将来を見据えたパートナーがいるかどうかも株主総会での決議の大きな基準になるのよ。」

「えっ?そうなんですか?」

道明寺ってば、本当に何も教えてくれないんだから。
だけど、少し冷静になって考えれば、そんなことを彼が言う訳ない。
社長就任の基準とか、そんなことを彼に言われたら、私は彼を疑ってしまったかも知れない。
会社のために、パートナーが欲しいだけなのかって。
だけど、そんなこと一言も言われたことがない。
この結婚についても、私のタイミングを待ってくれている。
そこには、彼の愛が感じられた。

「そんなことを聞いたら嫌になった?」

楓社長が、少し心配そうに私を見る。
びっくりはしたけれど、だからと言って嫌な訳じゃない。

「いえ、そんな事はないです。でも、私で大丈夫かなって心配です。」

「心配なんて、どんな人生にもつきものでしょ?困ったことがあったら、連絡を頂戴。協力は惜しまないわ。だから、どーんと飛び込んでみなさいよ。ダメだったら、その時に考えたらいいわ。」

んっ!
ダメなら、その時に。
そうかもっ!

「そうですね。頑張ります、私!」



これから私が飛び込もうとしている道は、全く知らない世界へと繋がっている。
だけど、彼が私を必要としてくれているのなら、私じゃないとだめだというのなら、その世界に飛び込んでみよう。

楓社長の言葉で、私は今日、彼への逆プロポーズを決めた。







約束のフレンチレストランの個室。
道明寺はまだ来てない。
ドキドキする・・・

何度もセリフを確認して、お化粧をチェックした。
今日は、可愛いと思ってもらいたいもの。

約束の10分前に、カチャリと個室のドアが開いた。

道明寺が入って来た。
彼はいつも格好良くて、寸分の隙も与えない体位振る舞いをする。
だけど今、目の前に現れた彼は、急いで来たのか、少しだけ息が乱れてる。
その彼の手には、真っ赤なバラの花束。


そのバラを見ただけで、私は彼の気持ちが分かってしまった。
_____きっと、彼も私と同じ気持ち。



「遅れたか?」

そう聞いた彼に向かって、私は席を立って近づいていく。

「ううん。まだ、10分前だよ。」
「ちっ、今日は俺が先に来るつもりだったのに。」

ちょっとだけ不機嫌になりながらも、私に向かって、真っ赤なバラを差し出した。
彼の顔は少し赤い。

その花束に手を伸ばす。
彼が言いたい言葉が伝わってくる。

だけど、それは私から言わせて?


「道明寺、私たち、結婚しよう。」


その時の、道明寺のビックリ顔・・・
写真に残したいぐらいだった。



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難しい展開を回避。ハゲ防止(笑)。
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俺たちが結ばれてから、1か月が過ぎた。

俺たちの付き合いは、順調そのもの。
はっきり言って、結婚しない理由は見当たらない。
あいつには、十分すぎるぐらいの時間を与えたつもりだ。

ぶっちゃけ、もう結婚でいいだろ?


それに、最近ではいろいろと問題が出てきた。
一番の問題は、あのマンションのボロさだ。
初めてあいつのマンションでコトに及んだ時のこと。
ベッドを壊しちゃいけねぇと手加減したつもりだったが、なんと翌日隣近所から苦情が来た。
あのマンションは、今や俺が買収してる。
つまりは俺が大家ってやつで、苦情は俺んところに直接上がって来た。
俺とあいつが一晩中愛し合ってる音が、どうやら近所に筒抜けだったらしい。
あの西田が、やや困惑気味に報告してきたんだぜ?
それを聞いた時の俺の衝撃ったら無かった。

どこの世の中に、まともにHもできねぇマンションがあるんだっ!
けど、あいつ・・自分じゃ気付いてねぇみたいだが、結構イイ声を上げるんだよな。
あの声が、堪らなくいいんだが・・・。
それが、隣近所に聞こえるかと思うと、もはや耐えられなかった。

あのマンションじゃ、もう、あいつを満足にイカせられねぇ。
もしもヤルとしても、手加減するしかなくて、あいつが俺に愛想をつかすんじゃねぇのかと心配だ。
だから今では、牧野をメープルか邸に誘うようにしてる。

だが、あいつは相当鈍い。
お邸じゃ、くつろげないとか言って、マンションに来ての一点張りだ。
バカヤロウっ!!
お前のマンションじゃ、俺がくつろげねぇよ!
まともにできねーんだぞっ!
ボロすぎてっ!


この生活はもう限界だ。
早く一緒に邸で暮らしてぇ。
いや、あいつが二人きりがいいっつーなら、マンションでもいい。

だから、俺は覚悟を決めた。
今日、牧野にもう一度プロポーズをする。

丁度来週からは、アメリカ出張になる。
その前に返事をもらって、すぐに邸に連れ帰ってやる。
そして、満足いくまで、抱いて、抱いて、抱き潰したい。





「副社長。」
「何だよ。余計な仕事は受けねーぞ。今日は、絶対、早く帰る!」

バラの花束は準備した。
邸の受け入れ準備も万端だ。
書斎は、俺と続きになるように壁をぶち抜いた。
寝室は女が使いやすいようにドレッサーを置いたし、
クローゼットの半分は牧野の為に空けさせた。
ドレスなんかも、最低限は用意してあるし、あとはあいつの好みのものを揃えたらいい。


「副社長。」
「だから、何だよ。早く言え、西田。」
「牧野様がプロポーズを受けてくださった場合には、即結婚ということになりますでしょうか?」
「当たり前だろ。今日にも連れて帰る。」
「お邸にですか?」
「当然。」

「総帥より、こちらを預かりました。」

それは一枚の紙きれ。
牧野と俺の将来を約束する紙切れだ。
そこに、オヤジのサインが書かれてあった。

「お前、これ、いつの間に。」

すでに、牧野の父親さんのサインは貰っていた。
先週、挨拶に行ったんだ。
そして、今日、牧野の返事を確認してから、来週アメリカでオヤジにサインをもらうつもりでいた。
それが、すでにオヤジのサインが記入され、ここにある。

こんなことができる奴は・・・西田しかいねぇ。
だが、何故?
いつの間に、こんな手配を?



「総帥より、来週の株主総会で、副社長の社長昇格案の決議がなされると連絡がありました。」
「分かってる。」
「ニューヨークでは、副社長からの結婚報告を強くお待ちです。」
「だから、こんな小細工を?」

西田だって、こんな役目をしたかった訳じゃねぇだろう。
いや、道明寺ホールディングスのため、ひいては俺のためでもあるのか。
俺が社長の椅子に付くためには、結婚は必須条件だと言われていた。

だが、俺は・・・


「言っておくが。」
「はい。」
「俺は、社長の席を確保するために、牧野と結婚したいんじゃねぇ。」
「存じ上げております。」
「結婚と社長昇格は別問題だ。」
「はい。」

「ですが・・副社長、覚えていらっしゃいますか?牧野様との結婚が整わなければ、ご両親の勧めるお嬢様との結婚をと命令があったことを。」

「それが、未だ有効だというのか?」

俺と牧野は近い将来必ず結婚をする。
それが、株主総会までに間に合わなければ、意味がないとでもいうつもりか!

西田は黙って俺の目を見ている。
何を考えているのか、分かんねぇ。


このプロポーズの勝算はある。
牧野が、俺に飛び込んできてくれたら、即結婚だ。

だが俺は、会社のために結婚を望んでるわけじゃねぇ。
愛する女と幸せになりてぇ。
それだけだ。



俺はデスクから、ビロードのケースを取り出した。
牧野の為に、最高級グレードのダイヤを用意した。
デカすぎるって言われるかも知れねぇけど、やっぱこれぐらいは準備しねぇと、俺の愛を疑われかねない。
だって、エンゲージリングは愛の証なんだろ?
俺のデカい愛を、絶対に、牧野の指に通してみせる!

実を言えば、マリッジリングももう出来上がっていた。
俺がデザインした、世界でただ一つのペアリング。
これは、あいつとの結婚式で嵌めてやる。
あいつは俺のもの、俺はあいつのものだ。
でも、あいつと揃いのリングを嵌めたくて、仕方ねぇのは俺の方か・・・


俺の手元には、婚姻届けも、マリッジリングも揃っている。
だが、俺は、社長昇進を理由に結婚を迫るつもりなんてさらさらねぇよ。


俺が望むコトは・・・
会社なんて関係なく、牧野がプロポーズを受けてくれることだ。
そうじゃなきゃ、意味がないだろ?



「副社長・・ご健闘をお祈り致します。」

西田が、深く頭を下げた。


「おう。」

俺は、ネクタイをぐっと締めなおした。



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展開を悩み過ぎて、頭が禿げそうです・・・(汗)
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