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Happyending

Happyending

「司さん!起きてっ!」
「なんだよ、つくし・・・早すぎねぇ?」
「今日は早出なのっ。あたし、もうすぐ出ちゃうからねっ。」
「ん・・」

時計を見れば、まだ6時過ぎだ。
フロント業務のつくしは、早出の時には7時までに業務に付く。
だから、昨日は1回だけって約束もさせられた。

「二度寝したら、起きられないでしょっ!」

そう言って、俺を叩き起こそうとするつくし。
その腕を引っ張って、ベッドの中に引きずり込む。

「きゃっ!」
と可愛らしい悲鳴を上げるから、余計に悪戯したくなる。
両手をシーツに縫い付けて、唇に吸い付いた。
文句が言えないぐらいに、口内を舐めまわし、満足したところで、ゆっくりと唇を離す。

とろんとしたつくしに、朝の挨拶。
「はよ。」
「も~!朝っぱらからっ。早く起きなさい!」

すぐに正気に戻ったつくしは、俺に蹴りを一発喰らわせて、頬をピンクに染めて俺から離れていく。
何を今更・・・じゃね?





6月に入り、俺が指導するメープルの企画は順調に進んでいる。
総二郎との茶道の企画は恐らく8月には1回目がスタート出来そうだ。
つくしはフロント業務と企画の二足草鞋を履いているが、毎日生き生きしてやがる。
そんなつくしを見ていると、こいつは本当にメープルが好きなんだなと思わずにはいられない。
こいつから仕事を取り上げるようなことは出来そうもないんだが・・・


つくしとの結婚。
当然、俺はそれを視野に入れている。
西田も今のところ、俺の味方だ。
ニューヨークの両親も、俺の動向は探っているはずで、つくしの存在は知られているに違いない。
俺の女だとまで分かっているかは知らねぇが、俺が直で面倒を見ている新人が女だと知れば、ババァが黙っている訳がねぇ。
だが、現時点で、ニューヨークに目立った動きは無さそうだった。

急ぐ必要はない。
つくしがいいと言うまでは焦らない。
そう思うのに、毎日同じ部屋で暮らしていれば、早く名実共にに自分のものにしたくて仕方が無い。
俺だけのつくしにしたいと、心の底から願う毎日。


道明寺司という恋人がいながら、その存在を隠す、俺の女。
マンションに住ませてもらっているだけでありがたいと、俺からはプレゼントは一切受け取ろうとしない。
時々買うケーキやマカロン、取引先からもらった土産を持って帰ると、つくしはすげぇ喜ぶ。
初めはそんな横流しみてぇなことはしたくなかった。
けど、西田に、「牧野さんなら喜びますよ」と言われて持ち帰ってみれば、牧野が高級煎餅に飛び上がる程喜んだ。

本当に、こいつのツボは分からねぇ。
俺の力で幸せにしてやろうと思えば、できないことなんて無いはずなのに・・。
俺はこいつの喜ぶことがなかなか思いつかない。

「お前が欲しいモノってなんかねぇの?」
なんて問いかけてみれば、
俺がいるだけでいいとか、そんな答えが返ってくる。
あたしは、安上がりだから・・とか、
この道明寺司を捕まえて、安上がりとか、あり得ねぇんだけど・・。


それにだ。
この生活って何なんだろな?
マンション6階の狭い部屋での同棲生活。
慣れちまって苦ではないが、
こいつの仕事のことが無ければ・・・

「結婚」とまではすぐにはいかねぇにしても、
やっぱり俺の女として、見せびらかしたい俺の欲望がむくむくと湧き出す。
つくしと呼ぶようになってからは猶更だ。

俺が女嫌いであることは周知の事実であるはずなのに、未だに見合いを持ち掛ける、馬鹿な奴らも多くいる。
西田が適当に断っているが、そんな奴らにも見せつけてやりてぇ。

こいつが俺の女なんだ。
こいつしか要らねーんだって。

でも・・
結局、先は、長げぇよな・・・

パタパタとキッチンへ向かって走り去って行くつくしをみて、溜息を一つ。
今日も俺の悩みは尽きない。



二人の朝は、いつも、つくしが作った朝食から始まる。
『ごちそう様』と言ってから、勢いよく準備を完了させ、ドタバタと出勤していくつくしを見送って、俺はペントハウスに戻る。
それから、シャワーをして、着替えて出社するのが、俺のリズムになっている。


「じゃあね。司さん、行ってきまーす!」

今日も元気につくしが出社していった。

つくしは今日、あきらの母ちゃんと打ち合わせがあるらしい。
あの三条って女も一緒だ。
あいつら、どうやらすげぇ仲良くなっているらしく、『先輩』『桜子』とか呼び合っている。
実を言えば、俺はこの三条って女を信用していねぇ。
だって、そうだろ?
俺のつくしを揶揄いやがって。
許せねぇ。


一度あきらに文句を言ってやろうと思っていたそんな時、あきらから連絡が入った。
どうやら類が一時帰国をしているらしい。
久しぶりに4人で会おうって話だ。

今日の20時。
The Classicに久しぶりに集合ってことになった。



*****



「あきら、会社まで迎えに来てよ。」
と相変わらずな類を花沢本社まで迎えに行き、俺達は二人そろってThe Classicへ向かった。
俺と総二郎は。時々ここに来ているが、類は数年ぶりのはずだ。

「マスター、久しぶり。」

人嫌いの類が話しかけるのは、ここのマスター臼井。
この男は、俺らがガキの頃からの知り合いだ。
俺達4人は昔から、この男に懐いている。

「おや、類君。久しぶりですね。いつから日本に?」
「いや、一時帰国。」
「そうですか。」

そんな会話を交わしつつ、奥の個室へ向かう。

「総二郎君は、もう来ていますよ。」

部屋に入れば、総二郎が、スコッチを飲んでいた。
司はまだ来ていない。

俺たちは其々に酒を注文すると、臼井は部屋を出て行った。


ソファに腰を降ろし、とりあえず近況を聞く。

「類、お前、フランスから戻らねぇの?」
「しばらくは無理だね。」
「向こうにイイ女でもいるのか?」
「あきらには関係ないでしょ?」
相変わらずの類は、こちらを見ようともしない。

「あきら、自分が桜子と上手くいってるからって、人のことまで詮索すんなよ。」
ニヤリと笑う総二郎。
バーカ、そんなんじゃねぇよ。

「へぇ、あきら、真面目な付き合いしてんだ。」
と類が言えば、
「桜子だよ、桜子。分かるだろ?」
と総二郎。
「え・・知らないけど。」
ま、類はこんなもんだ。

「しかし、司の奴・・自分がこの部屋指定したくせして遅ぇなっ。」
と怒りモードの総二郎。
そりゃそうだ。
どこかの適当なBarなら、まだ、総二郎にとっての目の保養もあるかも知れないが、ここは司のお膝元。
しかも、個室ときては、俺達以外、見える範囲に人がいるはずもない。

「だいたい、何で今日もここなんだよ。久しぶりに、パーッととクラブでも良かったんじゃね?」

ま、無理だな。そんなとこ、類も司も行くわけない。
しかも、司から、今日は絶対メープルじゃなきゃダメだと言われていた。



すると・・ガチャッ・・

ドアが開き、
俺達のの中で一番長身、
トップモデル顔負けな逆三角形の躯体、
結婚したい男No,1と言われる男が、堂々と入ってきた。



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今日から再開となりました、『続・俺の女』。
まったりと更新していきますので、ゆるーりとお付き合いください。
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Comments 2

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Happyending  
こんばんは(^^♪

いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
『続・俺の女』長くなってきて、息切れしまくりですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

スリ●様
いつもコメント、本当にありがとうございます!今日はおひとりなので、どうやってコメ返しようかと思いましたが、いつもどうりに、こちらへ独り言のように綴っています(笑)。
これね。迷ったんです。「司さん」呼び。でも、もう、このお話は司さんでいいだろうと割り切って、このままいきます。あ、そのうち出てきますが、夜は呼び方が違うようです(笑)。
このエピソードは、リクエストの、司君をいじるために書いたようなもんです(笑)。あんまりいじり倒せていないけれど、明日のお楽しみに~。


コメント欄に呟くのが癖になっていて、誰もコメントなくても呟いてしまいそう・・。恐い・・。
では明日もAM5:00に!

2017/04/10 (Mon) 22:20 | EDIT | REPLY |   
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2017/04/10 (Mon) 09:00 | EDIT | REPLY |   

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