花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

意識がない牧野の左手を、じっくりと眺めた。
そこには、紛れもなく、ダイヤの指輪が収まっている。
小さめの石を7つ埋め込んだその指輪。
石は小さくても、クオリティは高いことが知れる。
マリッジリングリングとも呼べそうだが、恐らくは、エンゲージリングだろう。

俺以外の誰かが、牧野に贈ったもの。
そうだというのに、なぜか懐かしい感覚になった。

俺がかつて牧野に贈ったのは、土星を模ったネックレスだった。
最高級のダイヤとルビーをはめ込んだ特注品。
土台の土星はプラチナで、ダイヤとルビーはクオリティにこだわって集めさせた。
世界で一つだけの、彼女へのプレゼント。
だが、そのネックレスは、今、彼女の胸元には無かった。

俺は彼女に指輪を贈ったことなどない。
だから、この指輪は俺の知ったものではないはずだ。
それなのに、この指輪を知っているような気がしてならない。
何故だ・・?



牧野に指輪を贈った男がいる。
なのに、牧野は処女だった。
それは、恐らく間違いない。

だとすれば、俺がしたことは、どういうことになる?
その男から牧野を奪うつもりで彼女を抱いた。
自分の欲望のままに。
彼女の中に、俺の全てを注ぎ込んだ。
だが、俺のしたことはそれだけではなく、俺は彼女が大切にしていたであろう貞節を奪ったことになる。


くそっ!
だから・・だったら、何だっ。
何だって言うんだっ。

俺は強烈に欲していたのものを手に入れた。
ただそれだけの事。
それだけの事なのに、虚しくなるこの感情は何だ。

欲しくて、欲しくて、奪ったはずなのに。
彼女の心までは奪えない。
こんな事で、本当に欲しかったあの頃の彼女を手に入れる事なんて出来やしないと気づいて愕然とする。


何でだよ。
なんで牧野は、この指輪をはめてんだ?
俺は・・これからどうしたらいいんだ?

俺の頭は混乱していた。
欲しくて、欲しくて、我慢ができずに手に入れた彼女の体。
だが、本当にに欲しいものは彼女の心なのだと、今更ながらに気づく。

俺は、一体何をしてるんだ・・。



アメリカで暮らしたこの5年。
俺は徹底的に自分を追い込んだ。
慣れない生活。
学業と同時に、仕事も始めた。
母親に言われたからじゃない。
早く一人前になりたかった。
早く、牧野に会えるように成長したかったんだ。

その間、俺は牧野がどうしていたのかは、一切知らない。
調べようと思えば調べられたが、そうはしなかった。
知れば会いたくなる。
会いたくて堪らなくなる。
だから、自分を抑えた。
牧野への想いを、学業と仕事へのパワーに変えた。

ちょうど一年前、米国の半導体関連企業の買収に成功し、多大な利益を上げた俺は、これで牧野を迎えにいく準備が整ったと、小さくガッツポーズをした。
そして、会長である母親から、日本への凱旋帰国の予定を聞かされたその日、たまたま開いた一冊の雑誌に、俺は目が釘付けになった。
牧野がいたんだ。
日本の経済誌に牧野が写っていた。
日本の大手企業のリクルート戦略。
学生からの企画を取り入れる試みの中に、大学生の牧野が取り上げられていた。
その内容なんて、はっきり言ってどうでもよかったから、悪いが覚えていない。
それよりも、俺の目に飛び込んできたのは、あのネックレス。
俺が彼女に贈った、土星のネックレスが彼女の胸に輝いていた。


あの時、俺がどれ程嬉しかったか。
どれだけ、満たされたか。

あぁ、こいつも俺のことを忘れていないんだと。
俺のことを想って、待っているに違いないと。
そう確信したんだ。


けれど、その写真を見てから1年が経過した今、牧野の胸元には俺の贈ったネックレスは無く、その代わりに指輪が嵌められていた。
俺にとってその衝撃は半端なく、彼女が未だ身に着けていると信じていた希望が打ち砕かれた絶望感で、頭が真っ白になった。

例え、他の男のものになっていたとしても奪い取る覚悟だってしていたはずなのに。
本当にその場に立ってみれば、冷静でなんかいられる筈もなかった。



今、俺の腕の中には、真っ白な体を俺に預けて、意識がないままの牧野。
腕の中にすっぽりと収まるほどに小さいのに、俺の心を揺さぶり続ける女。
かつて守られるのは嫌だと言った女だったが、この女は分かってないんだ。
そんな女こそ、危なっかしくて、俺が守ってやりたくなるんだ。
俺の手の内で、安全なところにいて欲しいと思うんだ。

そんな風に大切にするつもりだったのに・・
俺は牧野の純潔を奪ってしまった。
守りたいと思いながら、彼女を傷つけた。
こんな筈じゃなかったという反省もある。

だが、これで良かったという自分勝手な思いも強い。
どう考えても、こいつは、俺の女なんだ。
俺のために生まれてきた女なんだ。
俺以外の男に、こいつが抱かれるなんて許されることじゃないんだ。

牧野が何と言おうとも、俺がこいつを奪うしかない。
こいつの体は、もう俺のもんだ。
あとは、こいつの心を手に入れる。
少なくとも、一年前までは、こいつの心には俺がいたんだ。

やれる・・
取り戻せる。

どこからか理由もなく湧いてくる自信があった。


本来欲しかった牧野の心よりも先に体を奪ってしまった罪悪感があるのに、それにもかかわらず、どうにかしてこいつの心も手に入れてやると闘志を燃やす、どこまでも傲慢な俺。

自分の身勝手さに、笑えてくる。
だが、俺は本来こういう男だ。
欲しいものは手に入れる。
振り向かない女は振り向かせてみせる。

その昔、こいつのことを思って、身を引こうと考えたことが一度だけあった。
だが、すぐに後悔した。
そうだ、こいつは、俺がいないとすぐにキョトキョトする悪い癖があるんだったな。
それなら、俺が日本へに帰ってきたんだから、もう、よそ見はさせない。
俺が側から離れなければいい。
ずっと牧野の側で見守ってやる。
迷惑だと言われても構わない。


眠る牧野の唇に、チュッと小さくキスをする。
必ずお前を手に入れる。
宣戦布告のキスだ。


さて、どうする?
俺はどうするか?


眠れるはずなんてない。
俺は、じっと、眠る牧野を見つめ続けた。


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いつもたくさんの応援をありがとうございます。
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  1. Eternal
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは!

  1. 2017/08/09(水) 23:39:23 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
今日のお話で、だいぶ見えて来ましたでしょうか??
でも、お口チャックしておきます・・(笑)。

さてさて、
ka●様
最近は、俺様っぽい司が書きたいんです。司は元々俺様キャラのはずなので・・。私の理想が入って、優しい司になりがちなもので。でも、司はどんなに俺様でも、つくし限定ですっごく優しいですよね!そこがいいんですよね〜。

スリ●様
だんだん、推理小説になっちゃいましたか(笑)。そうかも・・。でも、まだ答えは言えない・・あは。こちらも、台風は過ぎて、暑くなったり、またいきなりスコールみたいな雨が降ってみたり・・。どうなっているのでしょうね。日本って、こんなに暑かったっけと思うほど、暑くなりましたよね。このお話、紐解けば簡単なはずなのに、どうしてかややこしくしている私。もうしばらくお付き合いをお願いします(笑)。

あや●様
こんばんは〜。コメントありがとうございます。
嫌いじゃないですか?良かったです!
面白くなくなっちゃうから、まだお答えできませんが(笑)、恐らく今日の記事でだいぶ閃いてた方が多いかと・・。えへ。自分でも、どうしてこんな妄想が湧いて来たのか不思議なんですよね。もうしばらく、このプチ鬼畜の司におつきあい下さいね。

あ●様
そうなんですよ。つくしも嫌がってないんです。でも、答えは本当に単純だとおもいます・・。どうしよう・・こんなので・・。
立秋すぎましたね。本当に意味わからんぐらいに、暑いです。腰はだいぶ良くなったのですが、ヨロヨロしているうちに体力が落ちた気がします。早く涼しくなってほしいです。


もう一息で書き終わりそう・・
明日もAM5:00予定です!





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  1. 2017/08/09(水) 22:18:24 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/08/09(水) 09:24:16 |
  2. |
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  1. 2017/08/09(水) 05:20:40 |
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