Spring Storm
三月も残り一日となりました。
今日は、今年度のお誕生日シリーズ最後を飾る、類君のB.D.ですね~!パチパチパチ・・!
総二郎、つくし、司、あきら・・まで頑張って、類誕をスルーすることはどうしてもできず(;^_^A
これが最後っ!と思ってお話を絞り出しました(*'▽')←そこまで頑張ることでもないけど(笑)。
そんなことなら連載書けよ~ということはおいといて・・
今回は時間が無いし、類君目線は難しすぎるので却下して、『類君の誕生日のつかつく』・・司目線です。
しかも・・なんとっ、類誕なのに、類君出てこない!きゃーっ!(;'∀')
だけど、類君のお誕生日の記念に・・。
読んでやってくださーい。
注)結構長いです(^^;
***
俺には3人の幼馴染がいる。
俺らがどうしてつるむ様になったのかは覚えちゃいねー。
似たような境遇に生まれたとはいえ、それぞれに違う闇を抱えていた俺ら。
そんな事情を察することができるからこそ、特にあれこれ突っ込んでこねぇ関係が楽だったのかもな。
一緒にいる様で、俺らは個人プレーが多かった。
そんな関係に嵐が襲ったのは、あいつと出会ってからのことだ。
英徳学園で王様然と君臨していた俺。
その俺に唯一楯突いてきた女に赤札を貼ったことから嵐は始まった。
その女の名前は牧野つくし。
初めは気付かなかった。
俺がこの女に惚れてるだなんて。
女の瞳に映りたくて、ガキみてぇな悪戯をしかけ、女が喰いついてくるのを今か今かと待っていた。
ある日、たまたま通りかかった非常階段で、俺の手下どもにこっぴどくやられ泣いているあいつを、類が慰めている姿を見ちまった。
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃。
ショックだった。
類の前で泣いてる牧野。
その頭に手を置いている類。
そこで初めて気付いたんだ。
俺は牧野のことが好きで、あいつが怒ってる姿も、くるくる変わる表情も可愛くて、全部自分のもんにしたかったんだって。
そのうち泣きついてきたら、この俺が助けてやろう、そうすればあいつも感激するんじゃねーかとか。
バカだよな。
俺こそが、あいつにとっては諸悪の根源だったのにな。
俺に頼ってくる訳ねぇのに。
あいつの涙を初めて見た。
そもそもそれは俺のせいだって分かってるけど、なんで類の前で泣くんだよ。
無茶苦茶言ってるって分かってる。
けど、俺だって、優しくしたかった。
泣いてたら慰めてやりたかった。
あの時の俺が、どれだけ悔しかったか・・・。
そうしてあがいているうちに、あいつは類に惚れていた。
一目惚れ?初恋?
そんな話聞きたくもねぇ!
俺には、今でも忘れられねぇことがある。
浜辺で二人がキスしてた場面。
思い出しても腹が立つ。
いや、腹が立つんじゃねぇ。
苦しくなる。
胸が苦しくて・・・焦げそうだ・・・・。
あの頃むかついた理由は、俺の精一杯の気持ちが踏みにじられたってことだけじゃなかった。
あの時の類は牧野ことなんて何とも思ってなかったくせに、あいつを利用して静を忘れようとした。
それが絶対に許せねぇと思った。
類が俺以上に牧野のことを好きなはずはねぇ。
なのに、あいつはなんでそれに気づかねえんだよっ!
いや違う。
気付いていたのに、類は静しか見えてねぇって知ってたくせに、あいつは俺より類をとった。
そんなに類がいいのかよっ。
俺と類のどこがそんなに違うっつーんだよ。
俺はお前のことが、こんなに好きで、惚れてて、愛してて、お前がいなきゃ息も出来ねぇぐらいお前に狂ってるのに。
類なんて、いつもポーっとしてて、はっきりものも言わねぇし、曖昧な男じゃねーか。
たまに結構鋭いとこ突いて来るのが、またムカつくし。
身長は俺の方が高いし、見栄えだって絶対に負けてねぇ。
なのに、あいつの初恋は俺じゃなくて類だと言う。
あの非常階段での光景が、また俺の頭の中に蘇って来る。
堂々巡りだ・・・。
この時期になると毎年感じる焦燥感。
互いが互いの一部って何なんだよ。
あいつの体を知ってるのは俺だけだっ!
なのに、あいつの心を知ってるのは類だって言いてぇのかよ。
畜生!腹立つっ!!
____バンッ!!
「司様、何かございましたか?」
はっと気が付けば、西田が俺に視線を向けている。
そうだ、今はジェットの中。
アメリカからの出張帰りで、纏まらなかった商談の資料を見ながら計画を練り直してた。
ババァにも文句言われるし、最悪だ・・・。
「集中できないようでしたら、少しお休みになられては?」
ふんっ!
寝てられっかよ、こんな日に。
デカイ契約を逃した。
だが、まだチャンスは残ってるから、もう一勝負するつもりだ。
けど、それだけじゃなくて、
そう、今日は・・・・
俺の最大のライバル、花沢類の誕生日なんだからなっ!
1週間前のこと。
「1週間会えねぇ・・・。」
「またアメリカ?」
「ああ。」
「忙しいね、相変わらず。」
情事を終えて、まったりとしたピロートーク。
俺が大好きな彼女の黒髪を撫でながら、1週間分のパワーを充電してた。
マジで食っちまいたいぐらいに愛しい女。
アメリカにだって連れて行きてぇのに、付いてきてくれねぇし。
その上、あいつは俺に爆弾を落としやがった。
「あ、来週は類の誕生日だよね。今年はどうしよう・・・。」
「どうしようってなんだよ。」
「毎年みんなでご飯食べたりしてるじゃん。今年はどうしよっかなって。」
「お前が率先してやることじゃねーだろーが。あきらにでも任せとけ。」
何で今でも類なんだよ。
彼氏でもねぇ男の誕生日なんて祝う必要ねぇだろーが。
そうして今年も、俺の腹の中にはドス黒い感情が渦巻いてくる。
いつもなら、こいつがそれを癒してくれるのに・・・。
「あんたがいないなら、今年はもしかしたら泊りがけって言われるかな。この間ね、滋さんが、しばらく行けなくなるだろうから、旅行行こうって言ってくれたの。滋さんちのリゾートなんだけど・・・。」
俺は毎年この時期のこいつの行動チェックに余念がない。
類の誕生日。
こいつが、毎年祝ってやってる特別な日。
総二郎の時も、あきらの時も、適当にしてるくせに。
去年は全員の都合がつかなかったからとか言って、二人でランチに行ってたな。
もちろん事前に出かける報告は受けたけど。
こいつは俺に嘘なんてついて付かねぇから。
それでも、SPにがっちり報告させるほど、俺はこいつを監視してる。
この時期はそうでもしねぇと気が狂いそうになる自分を抑えられねぇ。
俺がいないから、泊りがけでリゾートだ?
あいつら全員でか?
そうして俺がいない間に、浜辺で・・・っ!!
「でもさぁ、やっぱり今は・・って・・・・あっ、やっ・・ちょっと・・・んっ!・・・んんっ!!」
次の言葉は言わせねぇ。
何がリゾートだ。
俺にそれを言うのは禁句だろうが。
聞きたくねーんだよ、そんな話。
いい加減分かれよなっ!
口腔内を執拗に嘗め回し、苦しそうに息をしているこいつを見て、少しだけ満足する。
だけど、これだけじゃ我慢ならねぇ。
すでに潤っている場所に指を入れて、ぐるりとかき混ぜた。
ふっと笑いが出る。
こいつを濡れさせるのは、俺だけだ。
俺だけの、特権。
するっと体勢を入れ替えて、うつ伏せにした彼女の腰を持ち上げた。
「やっ・・何するのっ!ちょっ・・やぁっ!!」
バックからいきなり挿入した。
それから、何度も突き上げて、ぎりぎりのところで引き抜いて、フルフルと震えて身悶えする彼女ににやりと笑う。
俺は狂ってるのか?
だけど、素直じゃねぇ彼女は、こうでもしなきゃ俺を求めては来ねぇから、こうして追い込んでいくしか手はねぇ。
「はぁっ・・つかさ・・・・」
俺を求める声を聞いて、もう一度自身をねじり込む。
締め付け感が半端なくて、イキそうになるのを必死で堪え、夢中で彼女の中を動いた。
先にイッタ方が負け・・・そんな焦りと共に。
そしてまた、彼女が達しそうになる直前で引き抜いて・・・・
「ちょっ・・もうっ、無理っ!」
無理じゃねぇし。
俺が聞きたい言葉はそんなんじゃねーし。
類より俺のことが好きだ、愛してる。
俺がいなきゃ生きていけない。
俺しか見てねぇって、どうして言わねぇんだよ、この女は!
俺の事だけを見て、
俺の事だけを感じとけ。
そうじゃなきゃ、俺は満足できない。
彼女をボロボロになるまで抱いた翌朝、俺はアメリカに出発した。
寝てるのかと思ったあいつが「行ってらっしゃい」と、ひと言呟いた。
また、やっちまった・・・
けど、俺はあいつから『類』って言葉を聞くと正気を失う。
Spring Storm・・・
それはこの時期毎年来る、嫉妬の嵐。
でも、もういい加減、俺を解放してくれねぇかな。
結局、邸に戻ったのは30日の夜。
あいつは、類の誕生日パーティーでも行ってるんだろう。
途中あきらからメールが入ってた。
メープルのバーに集まるから、来れるようなら参加しろと。
だけど、行ける訳ねぇ。
あいつらを疑ってるって訳でもねぇ。
けど、この日はあいつが類にプレゼントを渡すはず。
商談は上手くいかねぇし、そんな姿見たくねぇし。
____バタンッ!!
相当不機嫌な俺の様子に、メイドたちが震えあがっているが、そんなの知ったこっちゃねぇ。
そのままの勢いで、部屋の扉を開けて、ジャケットを放り出そうと・・・
放り出そうと・・・・
「お帰り。」
「何で・・・お前・・・。」
目の前には不機嫌顔のつくし。
「何でってなに?あんなことしておいて、他に言うことないの?」
あんなことって、一週間前のあれだよな。
あれはちっとやりすぎたけど、あれだってお前が俺を焦らすから・・・
けど、
「・・・・ゴメン。」
こいつを目の前にすれば素直に謝っちまう。
つくしが俺に近づいてきて、ジャケットを手に取った。
いつものように、当たり前のように。
「何でここにいるんだ?」
「なーに?あんた、あたしに出て行けとでも言ってるの?」
超絶不機嫌なつくしに、俺の方がたじろぐ。
ちげぇよ、今日は類の誕生日だろーが。
メープルのパーティーはどうなったんだよ。
「類の・・・誕生日は・・・?」
恐る恐る聞く俺に向かって、
「ああ・・それね。」
つくしが別にどうってことないという風に俺を見て、ふふっと笑った。
「何だよ。」
「誰かさんがヤキモチ焼くから、来週うちに招待することにしたから。だから、あんた、来週の金曜日の夜は絶対に付き合いなさいよ!シェフさん達も、張り切っちゃってるんだから、類の誕生日パーティー!」
今年はここで?
類の1週間遅れの誕生日を祝う?
「だってさぁ。毎年毎年、あんたこの時期になると不機嫌になるでしょ。勘弁してよね。あんただけいつも類の誕生日会に参加できないから拗ねてるんでしょ?全く、ホント、バカなんだから。」
・・・・。
バカなのはお前だ。
俺の気持ちなんてちっとも分かってねぇ。
「やっぱりさ、みんなでお祝いしてあげたいじゃん?今日は美作さんたちが類と飲むって言ってたけど。」
つくしは、今年のプレゼントはケーキにしようかな~とか言いながら、クローゼットに向かっていく。
その後ろ姿を、呆然と見つめて・・・
「・・・はっ・・あはは・・・あはははっ!!!」
「なになに~?どうしたの??」
爆笑だ。
こいつは本当に何にも分かってねぇ。
俺の気持ちだけじゃねぇ。類の気持ちもだ。
類は、俺らに祝われてぇなんて思ってねぇんだよ。
お前に、お前だけに祝ってもらいてぇに決まってんのに。
ホント、この女は鈍感で、俺らの気持ちを振り回す。
だけどそんな彼女のことを俺らは大好きで・・・。
嫉妬する必要なんてねぇのかもな。
こいつはなーんも分かってねぇんだから・・・くははっ!!
俺はつくしをぎゅっと抱きしめた。
もうなんだか分からねぇけど、すげぇ愉快。
この1週間、イラつきながらもずっと会いたかった女が腕の中にいるだけで、俺の中のドロドロとした感情が浄化されていく。
つくしは「訳わかんない」と小首をかしげながら、俺の背中をトントンと叩いた。
シャワーを浴びて、二人で一緒にベッドに入った。
今日は何もしなくていい。
こいつを抱きしめて、穏やかな気持ちで眠れるだけで・・・。
「お前・・・体、大丈夫・・か?」
と聞いてみれば、ギロッとマジの睨みが返ってきた。
「そう思うんだったら、そうしてあんなに無茶するの?怖いじゃないの。お腹に赤ちゃんがいるんだよ。何かあったらどうするの?」
俺の妻のつくしは、現在妊娠6か月。
安定期に入ったとはいえ、そんなに無理はさせらんねぇ・・はずだった。
「それは・・だな。お前が一緒にNYに行ってくれねぇから・・・。」
本当は、お前が類、類言うからだけど。
「はぁ!?妊娠が分かった途端に、あれはだめ、これはだめって、秘書の仕事も辞めさせて、飛行機乗るなって騒いだのはあんたでしょーがっ!そのくせに、あんなことしてっ!!」
言い返す言葉もなく焦る俺。
「そっ、そう言えば、滋たちとの旅行、行かなかったんだな。」
「当たり前でしょ。あんたが反対するの目に見えてるじゃないの。」
「反対なんて・・・」
「しないの?」
「・・・・・・。」
「もうっ。本当に、どうしようもない我儘パパですねぇ、僕ちゃん。」
「ぼく・・ちゃん・・?」
「そ。お腹の赤ちゃん、男の子だって、今日分かった。」
「・・・・マジ?」
「嬉しい?」
正直言うと、複雑だ。
腹の中の子供は男。
つくしの一部になっている・・・男。
「強敵だな・・・・」
「へ?誰の?何の?」
くくくっ!
類以上の強敵が現れた。
それは、俺が仕込んだ男で・・・最強の敵かも知れねぇ。
そうなってくると、類なんて俄然小物に思えてくる。
「変なパパですねぇ・・・僕ちゃん。僕ちゃんは、あんなになっちゃだめですよ~。」
「おいっ、あんなにってなんだよっ!」
「俺様で、髪の毛がくるくる剛毛テンパで・・・」
「てめぇ・・・」
「だけど、ママにはとっても優しいのよ。そこは一緒だといいな。」
ママに優しいのはパパだけで充分じゃねぇのか・・?
だけど今、そんなことは言えるはずもなく・・・。
ようやく落ち着いた今年の春の嵐。
だけどこれからも、
俺の嵐は止みそうにない。
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