花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

このお話は、「続・俺の女」の番外編になります。
***



「うーん。」
「はよ。」
「ん・・う?うわっっ・・びっくりしたぁ・・・」


朝、目覚めると、目の前には司さんの超ドアップ。
こんな美形のドアップって、すっごい迫力。
もう、びっくりしたぁ。
一体いつから起きてたの?っていうぐらいに、目覚めがいい司さんは珍しい。
機嫌いいなぁ・・なんて、嬉しくなりながら、
「おはよう。」
と私も笑顔を返した。


でも・・

「やっ、大変!今、何時?」
「あ?7時半過ぎだろ。」
「うわーっ!!」
「何だよっ。」
「楓社長のお見送り、遅れちゃうっ。」
「昨日、出てこなくていいって言われただろうが。」
「そーいう問題じゃないのっ!」

甘い余韻なんて感じてる暇はない。
だって、8時には楓社長がイギリス出張に向かう。
そのお見送りに出ないなんて、秘書としてあり得ないでしょ?


そう思って、慌ててベッドから飛び出した・・んだけど・・

「あっ・・」

立ち上がった時に、違和感。
なんか・・太腿に伝ってくる・・ような・・

「ん?」
とこっちを向いた司さんと目が合う。

「やっ・・やっ・・・」
口をパクパク動かすあたしに、司さんが首を捻る。

「やーっ!!あっち、向いてて、こっち見ないでっ!」
「何だよ、急に、うっせぇな。」
「いいからっ、いいのっ、あっち向いて。」


ベッドの上の司さんの肩を押して、反対側を向かせて、思いっきりシーツを引っ張る。そして、それを体に巻きつけて、シャワールームへ急ごうとした。

けど、後ろから伸びてきた司さんの腕に捕まって、後ろから抱きしめられちゃった。

「どうしたんだよ?」
「なっ、何でもないっ。」

そんな、昨日の・・が、中から出てくるなんて・・言える訳ないでしょっ!!

それなのに、
「何だよ。あれか?昨日、体拭いといたんだけど、まだ出てくる?」


うっ?・・えっ?・・えっ?・・えっー!!
何っ、何言ってくれちゃってんの??


「中までは洗ってねぇけど、ベタベタすんのもどうかと思って、昨日爆睡してる間に、体拭いといたんだぜ?」
「うそ。」
「何で、嘘なんだよ。」
「全然、覚えてない・・」
「お前、爆睡してたからな。」


それは・・その・・あたし達、昨日は、その・・直接・・やっちゃった訳で。
あたしにとっては、いや、司さんにとっても、それは初めてだった筈で・・。
でも、そんな、寝てる間に拭いたって・・ええーっ。
やだ、やだ、そんなの恥ずかしすぎるでしょっ。

「何だよ。シャワールームで洗ってやったほうが良かったか?けど、お前、疲れてて、完全に堕ちてたんだぜ?」

わっ、分かってるわよ!
だって、1回目が終わって、意識が浮上したと思ったら、2回目があって、それで、多分3回目ぐらいまでは覚えてて、その後は記憶がないんだもん。

真っ赤になっているあたしにを軽々と抱き上げて、司さんがシャワールームへ運んでくれる。
運んでくれるだけじゃなくて、結局一緒にシャワーを浴びた。

恥ずかしすぎて、終始無言のあたしに向かって、司さんがニヤリと笑った。

「子供、出来るといいな?」


もうもうーっ。
昨日は本当にびっくりしたんだからね。
それに、何よ。
自分だって、子供が欲しいって言ったじゃない。
だから、あたしだって・・。


昨日の光景がフィードバックしてくる・・
びっくりしたけど・・
いつもより余裕がない司さんが、なんだか可愛くて。
素で感じる司さんは、思いがけない程、あたしの体にすぐ馴染んだ。
直接受ける刺激に、頭がパニックになって、もうどうしようもなくて、逃げるように首を振っても、露わになる首筋に吸い付かれて。
そして、どんどん加速して、司さんから、低い喘ぎが聞こえた。
その声に反応して、もっと司さんが欲しくなって・・

って・・うっぎゃーっ!!
あたしってば、朝っぱらから、何思い出してんのよっ。
この破廉恥女っ。
あわあわ・・。


「つくし・・」
昨日と同じ、司さんの低めの声。

ドキッ・・なっ、何??


「もう8時だぜ?行かなくていいのか?」

・・・!
うっ・・ぎゃっ・・ぎゃーっ!!!
お見送りに遅れるーっ!


百面相を司さんに笑われながら、
あたしは、廊下に飛び出した。



***



「行ってらっしゃいませ。」
「後をよろしくね。牧野さん。」
「はい。」

ギリギリ間に合った玄関ロビーで楓社長を見送る。
社長は、今日から、イギリスへ出張。
留守の間のあたしの仕事は、メープルでのいくつかの会議に出席して、その内容をまとめてメールで報告することと、司さんのお世話。
社長の出張に合わせて司さんが来る時には、いつもこのパターン。
もちろん、楓社長の出張に合わせて、各地のメープルの視察に同行することもあるけれど、今回は用無しみたい。


楓社長があたしの隣に立つ司さんを、怪訝な目で見た。

「司さん、珍しいことね。」
「あぁ。ちょっと報告があって。」
「手短に言いなさい。」
「今日、つくしと入籍する。」

思わず、目が丸くなるあたし。
司さんったら、急に何を言い出すのよっ!


「ちょっ、ちょっと司さんっ!」
「あ?昨日、約束したよな?」
「いや・・そのっ・・」
チラリと楓社長に視線を向けてみるけれど、特に表情は変わっていない。
さすがは、鉄の女。
どんなことにも動じないのが、道明寺家の嫁・・。


「先に赤ん坊ができたら困るだろ?早いとこ入籍しとこうぜ?」
「なっ・・なっ・・なにいって・・」
どんなことにも動じないのが・・って、こんなこと社長の前で言われたら、動じるでしょっ、普通!


「やっと決めたのね。そういうことなら、反対はしないわ。」

はっと振り返ると、楓社長は、颯爽とリムジンへ。
ええ〜っ。
それだけ??


すると、最後にくるりと振り返った楓社長が言った。

「牧野さん、子作りも道明寺家の嫁の大切な役目よ。」


なっ・・なっ・・何で、そんなこと、平気な顔で言えるのよーっ。
もう、もう、もうっ。
それも、これも司さんのせいなんだからっ。

あたしは真っ赤にになりながら、楓社長を見送りつつも、暫し呆然・・。


信じらんない・・信じらんない・・。
いきなり入籍って・・・。子作りって・・・。


そりゃ、昨日の話は嘘なんかじゃないけど、まだ、具体的に何も話し合ってないのに。
確かに、司さんはすぐに入籍するとは言ってたけど。
でも、だからって、楓社長に向かって、あんな言い方して。
楓社長だって、あんな・・もうーっ。
他に色々、言い方だってあるじゃないのっ。

と一人でブツブツ考えていたら、ハッと気がつくと、隣にいたはずの司さんがいない。
きょろきょろと左右を見ていると、

「司様でしたら、すでに自室にお戻りになりました。」

というメイドさんの返事。

えー!
何よそれっ。
どうして置いてっちゃうのよ。

違う、違うっ。
こういう時の司さんは、恐ろしく仕事が早い。
やだー。もう、絶対、何か嫌な予感がするっ!



あたしは、急いで早歩きで自室へ戻った。
本当はダッシュで戻りたいけど、『道明寺家の嫁』としてはそれじゃアウト。
この半年で、花嫁教育も受けている。
西門先生の茶道なんて、生易しいもんじゃないの。
笑顔の作り方からだったのよ?
信じられる?
座った時の手と足の位置はまだわかるでしょ?
でも、お紅茶を飲む時の、指先の位置とか、飲む時の適量とか、考えたことある?
ご飯だって、チマチマ食べていたら、まずくなっちゃうんだから。
でもね。楓社長社長の凄いところは、基本的に、最低限のマナーは知っていればいいという考えなの。
もちろん、最低限のマナーは実践している。
だけど、必要以上に少食になれとか、そういうことではなくて、「知らないということが恥」だということを教えられた。


かと言って、いくら花嫁修業をしていても、やっぱり焦りは隠しきれず、あたしは、思いっきり部屋のドアを開けちゃった。

バタンッ・・って大きな音。

あっ・・やばっ・・司さんったら、電話中みたい。

そろーっとドアを閉めて、部屋に入った。



「_____はい、そうです。今日、提出します。はい、どうぞよろしくお願いします、お義父さん。」


ん?お義父さん??
総帥の筈はない。総帥に向かって、司さんはこういう言い方はしないもの。
じゃあ・・?

「司さん・・お義父さんって・・・。」
「あぁ、お前の父親だろ?入籍の報告しといたから。」
「ええーっ!」
「さっきからいちいち驚きすぎだろ。」
「いやいや、ものには順序というものが・・」


「これ、書けよ。」
「ん?」

司さんに促されるがままにソファに座ると、目の前には婚姻届。
よくよく見ると、すでに、あたしのパパのサインと、総帥のサインが書かれている。
そして、司さんのサインも。


「何で、こんなものが?」
「お前、俺を誰だと思ってんの?」
「誰って、道明寺司でしょ?」

「その俺が、すぐに入籍っつったんだ。だから、今、すぐだ。」


司さんが、私にグイグイと万年筆を押し付けてくる。
冷静な物言いだけど、司さんがすっごく期待しているのが分かる。
そんな彼の姿を見たら、これ以上グダグダ言ってても仕方ないって思った。
だって、あたし、結婚に同意したんだもん。


あたしは、万年筆を受け取った。
それから、司さんの瞳を見つめて言ったんだ。

「一緒に幸せになろうね。」


それを聞いた司さんが、不敵に笑った。
「おう、俺に任せろ。」
「ふふ、あたしに任せてよね。」


お互いの鼻を近づけて、お互いの瞳を覗き込む。
そして、嘘偽りのない事を確認した。

ゆっくりと瞳を閉じたら、司さんからの優しいキスが降りてきた。



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皆さまが懐かしんでくださっているうちに・・と、書き始めたんですが、まだ全く終わりが見えてなくて、どのぐらいの長さになるか検討がつきません。
まったりとお付き合い頂けると嬉しいです。
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  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:7
  3. [ edit ]

つくしがニューヨークへ来てから半年が経ち、俺の両親も結婚に何の反対もなく、むしろ、早く結婚したらいいのにと言われていた。
渋っていたのは、つくしぐらいなもんだった。

そんな状況だったから、俺の方は、いつでも入籍できるように、準備は万端だった。


つくしの両親には、つくしの渡米前に挨拶をし、結婚を前提にニューヨークへ行かせる事を、彼女の婚約者、そして道明寺家HDの支社長として、頭を下げた。

「そんな・・頭を上げてください。道明寺さん・・。」

つくしの家族は、俺たちの婚約を祝福してくれた。
そして、その日はつくしとつくしの母親が作るオデンっつー、不思議な手料理を食った。

二人が台所に立って準備をしている間に、つくしの親父さんとサシで話す時間があった。
その時に言われた言葉。

「道明寺さん、つくしは私どもの自慢の娘です。不甲斐ない私どものせいで、誰かに頼ることなどなく育った、しっかりした娘なんです。そんなつくしが、あなた様のような、立派な方と婚約だなんて、親としてとても嬉しく思っています。ですが・・。」

「何でしょう。」

「ですが、この婚約は祝福されているのでしょうか?・・その、道明寺さんのご家族は・・その・・」

俺のの両親がつくしを受け入れているのか、という心配だった。
二人が勝手に盛り上がっているだけなのではないかと思ったのだろう。

「心配ご無用です。私の両親も、つくしを気に入っています。」
「そうですか・・しかし・・」

「今日こちらに、私の両親がご挨拶に上がれないことは、本当に申し訳ありません。また日を改めて挨拶に伺うと、伝えて欲しいとのことでした。」
「はぁ・・。」

それから、俺は、一枚の紙を開いた。
このタイミングで出そうと思った訳ではなかったが、つくしの親父さんの心配を払拭したかった。

「これは・・?」
「父のから渡されました。」

それは、俺のオヤジのサインが書かれた、婚姻届。
今回挨拶に行くと決めた時点でオヤジから渡された。
これは、アメリカの日本領事館にある婚姻届で、現地アメリカで入籍する場合に必要になるもの。
つまり、つくしの親父さんが記入してくれさえすれば、あとは俺たちがサインすれば、アメリカでの入籍が可能だ。
もちろん、俺は記載済みだった。
つくしを嫁にもらう覚悟なんて、とっくの昔に出来ている。

その婚姻届を見て、つくしの父親が目を見張った。


「お義父さんも、記入していただけませんか?」
「え?」
「つくしは仕事と花嫁修行なんて言っていますが、私は早く入籍したいと思っているんです。ですから、つくしからの了解が得られたら、すぐに提出するつもりでいます。」

「道明寺さん・・ありがとうございます・・。ありがとうございます・・。どうか、つくしのことをよろしくお願いします。」

そうして、両家の父親と俺のサインが書かれた婚姻届がスタンバイされたんだ。



***



「なんだかあっけなかったね・・。」

日本領事館に書類を提出し、
この5月初旬の晴れた日に、俺たちは夫婦になった。
そのつくしの第一声がこれ。

つくしをが婚姻届にサインをしたのを見届けて、すぐに領事館へ提出に行こうとすると、「まずはご飯を食べてから」だと言われて、朝飯を食わされた。
俺は、早く提出したくて仕方がなかったと言うのに、女っつーのは、こういう時には案外肝が据わっているらしい。
それから、リムジンでここへ向かい、たった今、婚姻届を提出したんだ。


手をつなぎ、歩き出した俺たち。

「あたし達、夫婦になったんだよね?」
「おう。」
「なんか・・信じられないな。実感が湧かない・・。」
「そうか?俺は実感湧きまくり。」
「ええ〜?」

何でだろうな。
隣にいるつくしはいつもを変わりがないのに、いつもと同じ光景が、いつもより光輝いて見える。
なんつーか、自分がずっと手に入れたかったものをようやく手に入れた安堵感と、これからの未来に対する高揚感が入り混じったような、複雑な、だけど幸せな感情が湧いていた。


つくしもそんなことを思ってくれたのだろうか・・
「もう・・・家族なんだね。」
そう言って、幸せそうに笑う。

そんな姿に我慢できなくなり、俺はつくしを力一杯抱きしめた。

やっと・・やっと手に入れた、俺の宝物。

「嬉しい?」
と聞かれて、
「すげぇ、嬉しい!」
と答えた。

クスクスと笑うつくしをの声が、耳にくすぐったい。
「笑うな。」
そう言って、彼女の唇を塞ぐ。

周囲の目なんて気にしてらんねっ。
今日から、こいつは、俺の妻なんだ。
誰に見られたって、文句なんか言わせねぇ。
そして、これからは、こいつのことを、俺が守ってやるんだ。
俺の一生をかけて・・


唇を離すと、頰を朱に染めた俺の妻が騒ぎ出す。

「もうっ、人に見られてるっ!」
「だからなんだよ。俺の妻にキスして何がわりぃんだ。」
「そーいうことじゃないのっ。」

こいつのウダウダすらも可愛すぎて、こいつの何もかもが、俺を幸せにしてくれちまう。
こんな女が世の中に存在するなんて、考えたこともなかった。

高校卒業後は何年も住んだはずのニューヨークの街。
それなのに、その時の記憶はビジネスと学業以外には何もない。
だが、つくしと共にに今日見たこの景色は、きっと一生忘れることはないだろう。

____俺たちの人生が一つになった瞬間を。



「じゃあ、行こうぜ、奥さん。」
そう言って、俺の妻をエスコートする。

「今から、どこに行くの?」
「ひとまず会社。」
「うん。」

そうして、俺たちは、共にある人生を歩き始めた。



*****



リムジンに乗り、ニューヨークの道明寺HD本社に到着した。
つくしを連れて執務室へ向かうと、西田が待っていた。

「司様、つくし様、ご結婚おめでとうございます。」
「ああ、プレスの対応は?」
「できるだけ早くと、総帥より指示が出ました。」

「式場の手配は?」
「6月ですと2週目であれば、総帥ご夫妻のご都合も付きます。」
「じゃあ、そこで。メープルは空いてんの?」
「空けさせます。」
「頼んだ。ドレスのデザイナーは?」
「本日、こちらへお呼びしています。」
「招待客だけど・・」


「ちょっ・・ちょっと・・待って・・司さんっ!」


着々と結婚式の計画を進めている俺たちに、つくしのマッタが入った。
目を白黒させて、俺たちにを見ている。

どうした?
急がねぇと、6月の挙式に間に合わねぇだろ?
6月に挙式すれば、幸せになれんだろ?

「プレスに出す前に、ある程度の予定は詰めておかないとまずい。重要な取引先には、プレスより先に報告も必要なんだ。それに、6月の挙式は外せねぇから・・」

俺が真剣に言うと、つくしのが呆れたように言い返す。

「どうして、そんなに6月にこだわるの?あたし、別に急いでないのに・・」

俺の方こそ、どうしてだ。
子供ができるかもしれねぇのに、ゆっくり構えてられるかよ。
入籍は果たしたが、それこそ腹がでかくなってからの挙式なんて、体に負担がかかるだろうが。

披露宴は面倒くせぇが、立場上、やらないっつー訳にはいかない。
これは、仕方がねぇと割り切ってもらえないか・・
その代わり、ドレスはつくしの望むものを用意する。
そのほかの細かいところも、全部お前の希望を通してやる。
だから、早いとこ、披露宴をして、俺の妻として隣に並んでほしい。


「めんどくせぇかも知れねえけど、お前を早く、世界中に披露したい。だから・・」

懇願する俺に、つくしがちょっと困った顔をした。


「あたしにだって・・夢があるんだもん・・」


その言葉に、俺はハッとする。
俺は、つくしに出会うまで、結婚なんて考えたことも無かったし、結婚に理想なんて持っていなかった。
だから、結婚式や披露宴は、ビジネス上のお披露目という意味にしか考えたことが無かったんだ。

だから、こうして愛しい女を手に入れただけで満足して、結婚式なんてどこか、仕事の延長のような気がしていたのは事実。

結婚式に夢がある・・そう言われるまで、気が付かなかった。
つくしを幸せにしてやるつもりでいたが、俺は、事を急ぐばかりで、こいつの意見なんて聞いちゃいなかったことに、この時になって初めて思い至った。
具体的な結婚の理想なんて、聞いたことも無かった・・。


焦る。
マジ、焦る・・。
つくしに呆れられちまうんじゃねーか。
まさか、速攻で、愛想をつかされるんじゃねーか。

「つくし・・?」
彼女の顔を恐る恐る覗き込んでみると、おずおずとつくしが話し出した。


「あたし・・あの時の、あのプライベートアイランドの教会で、結婚式をしたいの。それが、あたしの夢なの。だめ?」


初めて聞いた、こいつの夢。
それが、プライベートアイランドでの結婚式。
その理由は分からねぇけど、
だけど、つくしが俺に何かをねだってくることなんて滅多にない。

俺は、入籍できたことが嬉しすぎて、結婚式は6月ってことばかりに固執しすぎて、こいつの気持ちを汲んでいなかった。
つくしを世間にお披露目して、逃げられないようにすることばっか考えて。焦って。
すげぇ・・・反省だ。


そんな不安そう顔すんなよ、つくし。
ダメな訳ねぇだろ?
俺が、お前の希望を叶えないわけねぇ。
俺を誰だと思ってんだ。
お前の夫は、道明寺司なんだぞ。
世界中の誰よりも、お前のことを愛してる男なんだぞ。


「西田、アイランドの6月、2週目、抑えろ。」
「無理しなくていいのっ。空いてる時に・・。」
「6月は俺が譲れねぇから。」

つくしは、申し訳なさそうに西田を見ているが、当の西田は案外嬉しそうに言った。


「楓社長も、お喜びになるでしょう。必ず手配致します。」



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そんなこと言っても、司さんに任せた結婚式も、すっごい素敵な式にしてくれそう・・なーんて(笑)。
  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

結婚式は6月の2週目。
プライベートアイランド、『マリアージュ』のチャペルにて。

二人の両親。
姉ちゃん家族と、つくしの弟。
俺の悪友たち。
三条とつくしの幼なじみだという友人。
招待客はそれだけだ。

その全員が微笑んでいる。
それを見ている俺も、相当緩んだ顔をしているんだろう。
ビジネスの場では決して見せることのない表情。

結婚式はビジネスだなんて考えていた自分が、恥ずかしく思えた。
人前で、こんなに感情を露わにしたことがあっただろうか。
こんなに、人に感謝したことがあっただろうか。

つくしに出会ってから、幸せの上に幸せが積み重ねられていく。
一体こいつは、どれだけの幸せを俺にくれるのだろう。



ウエディングドレスを纏ったつくしが、親父さんと一緒にバージンロードを歩いてくる。
世界一美しい、俺の花嫁。
ボリュームのあるチュールドレスには、繊細な刺繍が施され、可愛らしくも品があり、朗らかなつくしにぴったりのデザインだ。

このウエディングドレスは、なんと姉ちゃんがすでに準備していたもの。
「勝手なことすんなよ、姉ちゃん。つくしにだって、希望っつーもんがあんだろ?」
「あら、嫌だ。あんたと一緒にしないでよ。私は、つくしちゃんの希望を聞いて、デザイン画だって10枚描いてもらって、その中から一緒に決めたのよ?」
「本当か?つくし。」
「あ・・うん。あの・・自分のドレスだとは思っていなかったんだけど。どんなドレスが好きかって聞かれて、お姉さんと一緒に考えたの。だから・・」
「満足してんのか?」
「うん。」
つくしが恥ずかしそうに言った。

つくしが満足してるなら、それでいい。
それに、実際出来上がったドレスは、文句のつけようがないぐらいに素晴らしくて、華奢なつくしに似合っていて、そのドレスを纏ったつくしに、俺は一瞬で目を奪われた。



この島に咲く花がバージンロードを飾る。
教会の中は、笑顔が溢れている。
つくしが、穏やかな表情で、俺の手を取った。

「道明寺さん、つくしをどうか宜しくお願いします。」
「お任せください。お義父さん。」

そんな俺たちにのやりとりを聞いたつくしが、少し寂しそうに親父さんを見つめた。
そして、ポロリと一粒の涙。
俺は、その綺麗な涙を親指で拭った。

「大丈夫か?」
「うん。」
「俺がいるから。」
「うん。」

涙をこらえて微笑んだつくしと腕組み、祭壇へ向かって歩き出した。


プロポーズの時には存在しなかった司祭の前で、永久不滅の愛を誓う。
これからずっと、「良き時も、悪しき時も」「富める時も、貧しき時も」「病める時も、健やかなる時も」、どんな時でも、つくしが俺のそばにいてくれる。
自分の愛する女性から、その誓いを聞くことができる男は本当に幸せだと思う。
自分がつくしに選ばれた男なんだということが、最高に誇らしかった。


俺がデザインしたマリッジリング。
ホテルウーマンはマリッジリングしか許可されないと聞いた時から、すぐに準備を始めていた。
今日、ようやく、渡すことができる。

つくしの左手に指輪を滑らせた。

「綺麗・・」
と小さく呟く、そのつくしの声に、俺の口角が少しだけ上がる。
こいつは、俺が渡すモノにケチをつけるような女じゃない。
例えおもちゃのリングを渡したとしても、後生大事にする様な女だ。
もちろんこのリングは特注で、値段なんてつくしには言わないし、言えない。
けど、こいつが素直に喜んでくれるだけで、それだけで、俺の心は満たされる。
値段以上の価値があるんだ、つくしの笑顔には。


誓いのキスは、堂々と。
つくしの唇に食らいついた。
俺の両親や、つくしの両親が見てるからって遠慮はしねぇ。
つくしへの愛を隠したりしない。
それが、道明寺司のやり方だ。
片手はつくしの腰を引き寄せて、もう片手は彼女の後頭部を支える。
そうして、俺を仰がせ、引き寄た。

唇から伝わるリアル。
この柔らかさと温かさこそが、俺が手に入れた宝物。
夢じゃない。
これからは、ずっと・・俺のものだ・・。


しばらくそのまま、手に入れた現実を味わっていると、
突然、
「ピューイッ!!」
という口笛。
総二郎が飛ばしたそのヤジに、やっとつくしを離す。

真っ赤になったつくしが、俺を恨めしそうに見上げる。
だけど、文句なんか言わない。
困ったような瞳の中に、溢れる幸せが見える。
その表情がまた、俺を最高に幸せにしてくれる。
俺がつくしの頬を撫でると、彼女は、俺の唇についたルージュを、そっと拭ってくれた。

彼女が、俺の全てを受け入れてくれる・・
ずっと・・永遠に・・



元々、俺は、結婚なんて考えていなかった。
つまり、一生独身で構わねぇと思っていた。
政略結婚なんて論外だ。
結婚なんて人生の墓場に足を突っ込む奴は、馬鹿な奴だと思ったこともある。

だけど、この教会から見える景色は、その馬鹿モンにならねぇと見ることができない景色だ。
俺は、良かった。
つくしに出会って。
つくしに、呆れるほど惚れて。
彼女は、俺に、嘘、偽りのない幸福を与えてくれる。
その幸福の中で、どんな馬鹿者になったって、俺は一向に構わない。



フラワーシャワーの中を、つくしと教会の外へ踏み出した。
晴れ渡った空までもが、俺たちを祝福しているように感じるなんて、俺も大概イカレてるな。

つくしが、三条達とじゃれ合っている。
俺の周りには、悪友たち。

「しっかし、司が一番乗りとはなぁ。」
「出会って、まだ、1年半だろ?」
「つっても、俺らだって、見合いが決まれば即結婚だけどな。」
「俺、司が羨ましい・・」
「言えるな。」
「お前、桜子とはどうなってんの?」

悪友たちが、ごちゃごちゃ言ってやがるが、そんな時も、俺の目にはつくししか映らない。

「司は、完全に、牧野に狂ってんな。」
「牧野じゃねぇーよ。あいつは、1ヶ月前から、道明寺つくしだっ。」
けど、最低限の訂正は忘れねぇ。

「ぷっ、お前、どんだけ独占欲強いんだよ。」
「司が、惚れる女とか見て見たいと思ってたけど、庶民の女だとは、思いもよらなかったな。」
「だよな。歩くブランドの男がよ。選んだ女は、ノーブランドだもんな。」

ホザケ。
つくしの価値は見た目じゃねぇんだよ。
あいつの心はすげぇ綺麗だ。
あいつには、金では得られない価値がある。
だけど、それは、俺だけが知っていればいい。
俺が見つけた、秘蔵の宝石・・

つくしの価値を、多くの人間に知らせる必要なんてない。
そう思っても、こいつは人の心を無意識に掴む奴だからな。
俺も、安心はしてられない。

ノーブランドの女に惚れる男は案外多いからな・・

いつの間にか、俺の悪友たちに囲まれているつくしを見て、俺は焦って、彼女を追いかけていく。
こうして、ずっと彼女を追いかけていきたい。
見守って、見守られて、そういう人生を歩みたい。

つくしを後ろから抱きしめると、
「うわっ、司さん、重たいよっ。」
と騒ぐつくしを、みんなが笑った。



「司ってば、つくしちゃんにメロメロなんだから。」
そう言って、姉ちゃんが近づいてきた。

「司、つくしちゃん、結婚おめでとう。」
「ありがとうございます。」
つくしと姉ちゃんは、すげぇ仲がいい。

「そのドレス、すっごく似合ってるわ。」
「えへへ。お姉さんのおかげです。」
「そのネックレスは、母からね?」
「はい。あの・・道明寺家に伝わるパールだそうです。」
「ええ。知っているわ。それから、つくしちゃん。ありがとうね。」
「え・・?」
「この教会で、結婚式を挙げたいって言ってくれたの、つくしちゃんなんでしょう?」

「なんで姉ちゃんが礼なんか言うんだよ。」
「だって、お母様のためでしょう?ここでの結婚式を決めたのは。」
「は・・?」

俺は、何も知らない。
つくしが、この教会で式を挙げたいと言った理由。
単純に、ここで俺がプロポーズしたからだと思い込んでいた。
それが、ババァのため?

「この島には、お母様の夢が詰まっているんだもの。家族の時間を十分にとることができなかったお母様が、私や司のために、家族で安心して来ることができるリゾートを作ったのよ。」

ババァの夢?
そんな事は知らねぇよ。
俺はつくしの願いを叶えたつもりで・・。

「お姉さん、それは違います。ここは、司さんが初めて連れてきてくれた旅行先なんです。世界各地に別荘を持っている司さんが、あたしに見せたいと思ってくれた場所。このアイランドが本当に素晴らしくて。感動して・・。だから、お願いされた訳じゃありません。自然と、ここで挙式したいと思えたんです。」

自然と・・ここで・・。

俺がつくしをここに連れて来たのは、このリゾートが完全にプライベートの確保ができることと、やはりこの教会が素晴らしかったからだ。
プロポーズはこの教会でと決めていた。
そこに、ババァの思惑なんか、感じなかったが。
それでも、自然とここに足が向いていた。

「それでも・・やっぱり、ありがとう。母がとっても嬉しそうにしているの。久しぶりに見たのよ。」

ふと見れば、少し離れた木陰で、俺の両親とつくしの両親が笑っているのが見える。
信じられない光景。
ニューヨークメープルで挙式していたら、きっとこんな場面は見られなかったに違いない。



また一つ、つくしから幸せを貰った。
この幸せを、彼女にも返したい。

「つくし、愛してる。」

そう彼女の耳元で囁いて、もう一度後ろから抱きしめる。
つくしの耳が一気に朱に染まった。

「うん・・あたしも・・愛してます・・・。」


俯いたつくしを、くるっと回して抱き上げると、
慌てたつくしが、俺の首にしがみ付く。

「司さんっ!」
「証拠、見せて。」

彼女のまっすぐな瞳を覗き込んで、絶対に逸らさない。
この青空の下、神の前でだけでなく、ここにいる全員に見せつけてやりたかった。

俺がつくしを愛するように、
つくしも俺を愛してるってことを。


つくしが俺の頬を包み込んで、
「愛してる・・」
羽のようなキスを落とした。



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だらだらと書いていたら、なんと、結婚式だけで一話使ってしまいました・・(汗)
  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

チャペルでの挙式の後、集まった皆での食事が終わると、俺の両親は、ニューヨークへとんぼ返りになった。
初めから分かっていたことだから、気を使うことなんてねえんだけどな。
つくしと二人で、空港まで、二人を送った。
主役は俺たちだっつーのに、本当にくそ真面目なんだよな、こいつは。

「お義父様、お義母様、これからも、どうぞよろしくお願いします。」

「こちらこそ、つくしさん。司の事、頼んだよ。」
「なんだよ、それ。」
「分かるんだよなー、私には。」
「何がだよっ!」

「私にも分かるわ。つくしさんの苦労が。」
「楓・・どういう意味だい?」
「道明寺家の嫁は大変だという意味よ。ね、つくしさん。」

きょとんとしたままのつくしは、何を言われているのか分からないんだろう。
俺だって、完璧に分かってるわけじゃねぇけど・・
あれじゃね?
オヤジとババァなりに、新婚の俺たちを祝福してるって訳だ。

俺たちは、これから、夜に仲間たちとパーティーをして、明日には日本へ戻る。
つくしは1週間ほど俺と一緒に日本に滞在するが、その間に、取引先の企業なんかへの挨拶周りをこなす。
それが終われば、またつくしだけニューヨークへ戻ることになるから、この1週間は、俺がつくしにがっつくことを予想してんだろう。


そんなことを思いつつ、オヤジ達と別れて、ホテルへ戻るリムジンの中。
ウエディングドレスから、深紅のドレスに着替えたつくしが俺にもたれかかって来た。

「ちょっと・・眠い・・」
「あいつら、夜まで騒ぐ気だろうから、少し休むか?」
「5分だけ寝たら大丈夫・・」

そう言っただけで、もう寝息が聞こえてきた。
つくしに俺のジャケットを掛けて、抱きしめる。
もう、あいつらと騒いでる場合じゃねぇんだけど。
早く、二人きりになりてぇ・・な。



***



「「「お二人さん、結婚おめでとー!!」」」

ホテル内のリビングスペースで、気を許している仲間たちとのパーティー。

つくしは少しだけ休んで元気になったのか、きゃっきゃっと女同士で騒いでいる。

「でもさぁ。つくしが、道明寺さんと結婚するなんて、聞いた時は驚いたよー。あれでしょ?お試しで付き合った人なんでしょ?」
「ちょっと!優紀、声が大きいっって。」

「なになに~。お試しって。」
総二郎が、その話に食いついた。
「あの頃さぁ。つくしってば、話を聞いていたら、絶対にその人の事好きなくせに、お試しで付き合い始めたとか言ってたよねー。」
「わーっ。」
「司相手に、お試しかよ。やっぱ、牧野、お前、すげぇわ。」
「何でですか?」
「だってよ。やっぱ、道明寺司に迫られたら、一発OKって女が普通じゃん?それを、お試ししてみるっつー考えがさ。」
「私は、つくしの逃げだと思いましたけどね。」
「へぇ~。優紀ちゃんだっけ?言うねー。」

「お試しって、体のお試しのことですの?」
なんて、真顔で言う三条。
馬鹿め。そんな訳あっかよ。

「私もね、そう思ったんですよ。桜子さん。」
という、つくしの友人。
お前もかよっ。

「そしたら、つくしが、わーってなっちゃってね。だいたい、22歳にして、ファーストキスとか、本当につくしは、ある意味、箱入り娘だったよね。」
「何それ、司と付き合うまで、キスもしたことなかったって事?」
「そうですよ。」

「もーっ、止めて!!!」
ドレスと同じぐらいに真っ赤になったつくしが、友人の口を塞ごうとしている。

どれを聞いても、俺にとっては愉快で、楽しいことばかりだ。
そんなこともあったと懐かしく思える。
結局こいつは、俺のものになったんだしな。

「それを言っちゃ、司だって、同じようなもんだよな。牧野が初めての彼女だしよ。」
「ええ~っ!以外ですっ!信じられない!」
「私も、道明寺さんに彼女がいると知った時には驚きました。それも、どこからどう見てもパンピーの女で。」
「桜子っ!あんたまでっ。」

つくしが、傍にあったシャンパンを口に持って行った。
俺がぱっとその手をつかんで止める。

「今日は止めとけよ。」
「ん?何で?」
「疲れてんだろ?」
「ん。でも1杯ぐらい大丈夫だよ。」
「だめだ。」
「えー。」

そんな俺たちのやり取りを見ていた悪友たちが、
「だよな~。もう入籍してるとはいっても、今日は一応初夜って奴だよな。そりゃ、酔っぱらわれちゃ困るよな~、司。」
「ちっげーよ。」

いや、それもあるけど・・。
でもそれだけじゃない。
このアイランドに来てから、つくしの体調はあまり良くなかった。
もしかして・・と思わなくもない。

「絶対大丈夫なのに・・」
なんて、のんきなことを言っているつくしだが、こいつのボケ発言はいつものことだから、聞いてらんねぇ。
俺がしっかりしとかねぇと。

シャンパンの代わりに、オレンジジュースを握らせた。
一口飲んで、
「うん。美味しい。」
と言うつくしを見て、
やっぱり、さっぱりした飲み物がいいんじゃね・・?
なんて思った。


つくしの中学・高校時代の話。
俺たちの高校時代の話。
三条とあきらの惚気話。
そんな会話を楽しみながら、まったりとした時間が過ぎていく。

時計が22時を回る頃、俺は、左の肩に重みを感じた。
つくしが、俺の肩にもたれて眠っている。
やっぱり、以前より体力がない。
その様子を、友人たちも見て笑っている。

「部屋、連れて行ってやれよ。」
「あぁ。」

それだけ言って、つくしを抱えて立ち上がった。

「司、マジ、おめでと。」
「あぁ、サンキュ。」
「道明寺さん、つくしのことお願いしますね。」
「おう。」
「無茶すんなよ!」
「うっせーよ。」

あいつらの祝福を背中に受けて、俺はつくしを抱いてスイートルームへ向かった。



*****



ゆっくりとつくしをベッドに下ろすと、
「ん・・・。」
とつくしが身じろぎをした。
「起きちまったか?」
ベッドに腰かけて、ネクタイを外しながら問いかければ、
つくしが俺に向かって、腕をいっぱいに伸ばしてくる。

「どうした?」
つくしの隣に倒れ込んで、彼女の体を抱え込む。
「だって、シーツが冷たいんだもん。司さんが離れちゃうから・・・。」
ちょっと拗ねている、その言い方が可愛らしい。
酒が入ってるわけでもねぇのに、なんだか妙に素直だな。
やっぱ、これは初夜だから・・か?

「あー、やっぱり、司さんは温かいね。」
「そうか?」
「そうだよ。」
「落ち着く。」
「俺も。」

彼女の背中をさすりながら、彼女の首筋に顔を埋める。
彼女だけが持つ優しい香りに酔いしれる。

ちゅっ・・と項に。
ちゅっ・・と首筋に。
ちゅっ・・と鎖骨に。
一つずつ、思いを込めて痕を残す。
そのまま、ドレスのファスナーを下ろした。

「シャワーは・・?」
「要らねぇ。」

さっとドレスを脱がせると、レースのビスチェに、揃いのショーツ。
それから・・ブルーのガーターベルト・・。

ドクンッ。
俺の中心が一気に熱を持った。


その姿を前に、しばらく見惚れていた俺に気付いたつくしは、
「あっ、やっ、これは、桜子がっ!」
なんて、急に焦り出した。

ダメだなんて言ってねーし。
俺は一気にそれらに手を掛けると、パチンッと留め具が外れた。
ショーツを引きずり下ろすと、そこにはつくしの薄い繁み。
大きく足を開かせて、顔を埋めた。

「ひゃっ・・あっ・・んっ・・あぁ・・!」


つくしの密口にしゃぶりついて、小さな突起を舐めまわす。
逃げようとする腰をしっかりと捕まえて、執拗な刺激を送り続けた。

「はっ・・ああ・・ん。いやっ!・・・だめぇ・・」

つくしの体が痙攣し、小さく達したのが分かった。
いきなりこんなつもりじゃなかった。
だが、こいつの姿に煽られた。
つくしの顔を覗き込むと、小さな息を繰り返し、俺をとろんと見つめて来る。
その姿にも、欲情する。

____もっと、俺の手で、乱したい。


くるりと体を反転させ、つくしの背中からビスチェを緩めていく。
全てが外されると、つくしが大きく息を吐いた。
こぼれた乳房が俺の手のひらに落ちる。
それをやわやわと揉んでいく。
背中に俺の印をつけながら、乳房の頂を弄った。

「あっん・・」

つくしの腕から力が抜け、ポテッとベッドに顔を埋めた。
長い髪をかき分けて、白い項に唇を這わす。
片手で胸を刺激しつつ、つくしの密口に指を添わした。
ズブッと指が飲み込まれ、つくしの中から愛液が溢れる。

クチュリクチュリ・・
つくしの中をかき回す俺の指が増やされる。

卑猥な音に混ざって、泣きそうな声が聞こえてきた。

「つかさ・・さん・・もう・・やだぁ・・。おねがい・・。」
「司・・だろ?」
「つかさ・・」

クチュ・・

「やぁっ・・。」
「何のお願いだ?」

「ふぇっ・・うっ・・つか・・さ・・」
「ん?」
「一人に・・しないで・・」

「えっ?」
「ずっと・・一緒にいて・・・離さ・・ないで・・」

つくしの顔を覗き込むと、その顔が涙で濡れていた。
慌てて指を抜き、つくしの頬を包んで、キスをした。

「幸せすぎて・・恐いよ・・。」
「俺がお前を、離す訳ねぇだろ?」
「何があっても?」
「ああ。」
「絶対に?」
「約束する。」

つくしを仰向けにして、じっと見つめ合った。
互いの本気を確認する。
俺の言葉に安堵したつくしの腕が上がり、俺の首に添えられた。


深いキスを交わしながら、
俺は、彼女と繋がった。


俺の下で揺れている、俺の花嫁。
その目からこぼれる涙をキスで拭い取った。

これは悲しい涙なんかじゃない。
俺を想う、幸せの涙。
だから、俺が出来ることは、彼女を抱きしめて離さずにいる事だけだ。

何度も何度も突き上げて、
気が狂いそうなほどの快楽に襲われた。

つくしと共に弾ける直前。

「つくし、俺を離すなっ。」


つくしが腕に力を込めて、強く俺を抱きしめた。
首に掛かる力に、彼女の愛を感じながら、
そのまま、長く、彼女の中に俺の精を放った。



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深く考えずに書いていて、この先が、全く見えません・・。
ここまで計画性がないのは初めてかも・・。

  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:7
  3. [ edit ]

「新婚旅行が日本なんてね。ぷぷっ。」
「わりぃ。」
「ううん。そういうことじゃなくってね・・なんだか、不思議だなって。日本に帰るのが、懐かしいっていうか、嬉しいっていうか。」
「落ち着いたら、ヨーロッパでも行こうぜ?」
「ええ~。別にいいよぉ。こうやってさ、二人でいられるだけでいい。」

ったく、こいつは本当に欲がない。
お前の夫は、この俺だ。道明寺司だぜ?
お前が望めば、どこにだって連れて行ってやるし、なんだって買ってやるのに。


だが、実際のところ、結婚式を急ぐことになり、そのスケジュールだけで目いっぱいで、ハネムーンはお預けになっちまった。
今日は昼過ぎまでアイランドでゆっくりできたが、今はもう日本へ向かうジェットの中だ。
もちろんつくしも一緒だが、1週間後には、ニューヨークへ戻ることになっている。
一緒に暮らしてぇ・・つー希望はあるが、つくしもまだ覚えるべき仕事がたくさんあって、もうしばらくは、ババァの元で仕事をしたいというのが彼女の願いだった。

入籍し、結婚式を挙げ、正式に俺の妻となったつくし。
入籍後に速攻で会見を済ませたから、公にも俺の妻だ。
すでに、ニューヨークのパーティーではつくしを妻として同伴して、周囲の注目を浴びた。
7月末にはニューヨークでデカイ披露宴が計画されてはいるが、今回の帰国中に、日本の重要な取引先には挨拶回りを済ませることになっている。


帰国後は、俺には当然、挨拶回り以外の仕事もあるから、四六時中つくしと一緒という訳にはいかない。
なんなら、俺の秘書でもやったらどうかと思ったが、それはつくしに却下された。

「お前、日本で一人でも暇だろ?」
「ううん。そうでもない。ほら、日本のお邸も久しぶりで、覚えなきゃいけないこともあるし、タマさんとお茶する約束もしてるの。それに、結婚式に招待できなかった同期に会ったりとか、あと、楓社長・・じゃなかった、お義母様に頼まれた仕事もちょっとだけあるの。」

ふーんと聞いていた俺だったが・・
待てよ?
結婚式に招待できなかった同期?

「同期に会いにいくのか?」
「うん。土曜日に、みんなで夕飯食べようって。皆がお休みを合わせてくれたの。お店も予約してくれててね。」
「はぁ?店?」
「言ってなかったっけ?」
「聞いてねぇぞ。」
「えっと・・じゃあ、行ってきます・・」
無意識の俺の凄みに、つくしが一瞬ビクッとしたが、俺の嫉妬には慣れたもんなのか、さらっと話を流しやがった。

「場所、どこだ?」
「ん?何が?」
「同期の集まりだよ!」
「えっと・・どこだったかな・・居酒屋さん。創作料理だったかな。」
「SPは連れて行けよ。」
「う・・ん。えっと・・、お店の中も?」
「・・。」
「分かりました。」
「よし。」

しばらくすると、つくしがコクリコクリと船をこぎ出した。
また寝てやがる・・。
昨日の夜の様子といい、なんとなく、つくしの様子がおかしい。
ぼーっとして、疲れてんのか?と思えば、急に寂しそうにしたり、甘えてきたり。
俺が、つくしに敏感になりすぎてるだけかも知れねぇけど。
だってよ。生理だって、確実に遅れてんだろ?
こういう事って、普通、女の方が敏感なんじゃねぇのか?
隣ですやすや眠るつくしは、どんな夢をみているのか幸せそうで、俺がそんなことまで心配していると思われるのもな・・。
もうしばらくは、厳重に様子をみるしかねぇか。



*****



メープル東京は、現在、新支配人の元、順調に業績を伸ばしている。
つくしが昨年立ち上げた企画は、今も継続されている。
町田の事件以来、つくしはメープル東京に足を踏み入れていなかった。
渡米するための準備もあったし、いきなり俺と婚約したことで生じるトラブルを回避するためでもあった。


夕方に帰国した俺たちは、久しぶりのメープルに来た。
その目的の一つが、1年前につくしが行きたいと言った、フレンチレストラン『Shangri-La』で食事をするためだ。
俺たちの休暇は今日までで、明日からは挨拶回りや通常業務に忙殺される。

「うわぁ。久しぶりだぁ。」
少し緊張気味のつくしの腰に腕を回し、彼女をエスコートする。
この日本で、堂々とつくしの隣に立てる幸せ。
俺は自慢の妻連れ、レストランの入口をくぐった。


すると・・
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」
出迎えたのは、この店の支配人ではなく、若い男。
なんか、どっかで見たことある。

「あっ・・黒田君!」
「久しぶり、牧野。いや、道明寺夫人。ようこそおいで下さいました。」
「やだ~っ。何言ってるの?でも、嬉しいっ。元気だった?」
「うん。他の奴らも元気だよ。土曜日、牧野に会えるのをみんな楽しみにしてる。」
「私も楽しみ!」

何勝手に二人で盛り上がってやがる。
しかも、こいつ・・黒田。
つくしを狙ってた男じゃねーか。
はっ、ま、こいつは今や俺のもんだし?
俺は、そんなに心が狭くねーけど・・

「おい、席に案内しろ。」

つい凄んじまった。

「畏まりました。」
俺の一声に焦った黒田が、俺達を奥の個室に案内する。
一方のつくしは、俺の不機嫌には全く気づいてねぇな。

「黒田君、レストラン希望だったもんね。戻れたんだ。良かったね~。」
「あぁ・・まぁ・・ね。」
黒田は、ちらっと俺を見た。
「あの時、牧野が言ってた人が、まさか・・」
「あ・・。う・・ん。えっと・・。」
「それは、言えないね。」

この男、つくしのことをまた牧野とか言いやがって。
でも、この男の一言で、つくしは、黒田に告られたことを思い出したらしい。
ったく、遅せぇんだよっ。
このボケボケ女め。

でも、次のつくしの一言に、俺は吹き出しちまった。


「あ・・あの・・私の、主人の・・道明寺です。」


「「ぶっ・・」」


何言ってんだ、こいつは。
今更、俺を紹介とかしやがって。
可愛すぎんだろっ。
あーもう、このまま、スイートに連れ込みてぇ。


黒田も笑いを堪えきれなかったようだ。

「牧野、それは、みんな知ってる・・。」

つくしが、真っ赤になって、俺の腕に顔を埋めた。




それから、つくしと楽しく食事をとった。
シャンパンを頼もうとするつくしを制して、オレンジジュースを頼む俺。

「も~っ。子供じゃないんだからねっ。昨日だって、飲まなかったんだからっ。」

そういうことじゃねぇだろうがよ、ったく。

食事が進み、メインの肉料理も半ばになると、

「なんだか、お腹いっぱい・・。おかしいなぁ、楽しみにしてたのに。司さん、食べられる?」
「いや、俺も腹いっぱい。」
「やだぁ。もったいないし。黒田君もがっかりしちゃう。」

そう言って、切り分けた肉を俺の口に放り込んで、周りをキョロキョロ見回すつくし。
誰も見てねっつーの。
そのまま、いくつか無理やり肉を食わされた。
やっぱり、こいつが肉を残すなんて・・おかしいよな。

けど、その後、つくしは、紅茶とシャーベットをペロリと完食していた。
わっかんねぇ・・。



「あ・・ふぅ・・。お腹いっぱいになったら、また眠くなってきた・・。何でかなぁ、気が緩むとすぐに眠くなっちゃうの。結婚式が終わって、ほっとしたからかなぁ。」

つくしも、彼女なりに、おかしいと思ってはいるらしい。
そんなこいつに言ってやった。

「それなら、今日は、止めとくか?」

その俺の一言に、急にシャキッとしたつくし。
「えっ?嫌だよっ。絶対に行く!すっごく楽しみにしてたんだから!」

「何で、そんなに臼井に会いてぇのか、俺にはわからねぇ。」


もう時間は22時を軽く回っている。
今日メープルに来た第一の目的は、『The Classic』に行くためだ。



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「主人の道明寺です・・」って言わせたかっただけの回でした(笑)。
  1. その後の二人のエトセトラ
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