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With a Happy Ending

恋のスパイス 1

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あの女・・またいるな。何してんだ?最近、邸でたまに見かける女がいる。とは言え、俺もこのニューヨークの邸には週に1、2回しか立ち寄らないから、あの女が誰なのかは知らねぇ。黒髪を1本にきっちりと結んだ後ろ姿。いつも黒のスーツで、その格好からはSPに見えなくもないが、それにしてはやたらと小さいし、華奢だ。メイドでもないしな。先週も1週間ぶりに帰宅した俺が自室に向かう途中で、階段を上った反対側にあの女が歩いて...

恋のスパイス 2

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朝6時半。起きてからすぐに顔を洗い、今日のスーツに着替える。私のスーツはほとんどが黒。そうじゃなければ、ネイビーかグレー。どうしてかって言われると困っちゃうんだけど、ニューヨークに来る前に日本で購入したものしか持っていないし、自慢じゃないけどセンスもないから、とりあえず無難な黒を選んでる。第三秘書になってからは、黒のパンツスーツかタイトルスカートばかりかも。インナーは白シャツ。ほら、黒だったら間違...

恋のスパイス 3

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日曜日の朝、久しぶりに完全オフだった私は、思い切って庭の散歩に出てみた。メイドさんたちによると、お庭には楓社長が大切にしているバラ園があって、いろいろな品種のバラが一年中咲いているとのこと。この時期は東側のバラ園が綺麗だと聞いて、東側の通用口から外に出ると、正面にバラ園が見えた。濃い緑の葉の中に、真っ白な花びらコントラストが美しい。ピンクや赤のバラも綺麗だけど、私は白いバラが好きだと感じた。まだ何...

恋のスパイス 4

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チラチラ・・・コソコソ・・・道明寺邸の玄関ロビーや階段付近で、キョロキョロ辺りを見回してみるけど、あの人の姿は見かけない。あれから1週間。専務にいつお会いするか、私のことを覚えているのか、とても心配していたけれど、幸か不幸か、その後専務をお見かけることはなかった。ちょっと・・残念?って、何がよ。私のことなんて覚えてるはずもないんだし、お礼なんて今更だよ。解雇になってないんだからそれでいいじゃないの...

恋のスパイス 5

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「お前ら、知り合いなのか?」目の前には、相変わらずのダセェ黒スーツを着た牧野つくし。総二郎との会話に割り込んだ俺に、相当驚いて固まっている。そりゃそうだろう。『あんた誰なのよ!』あの言葉は強烈だった。自分とこの会社の専務を知らねぇとはな。だが、その時思った。なんだ、こいつのことを少しばかりでも気にしてたのは俺だけだったのか・・。そう思ったら、それ以上文句を言う気にもなれず、その場を後にしちまった。...