花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

「ごめんなさいね、滋さん。今日は、司に急な用事が入ってしまい、ご一緒できなくて。」
「いいえ、道明寺社長。お気になさらないで下さい。」
「あなたのご両親と、話はついているの。
今すぐに結婚というわけではないけれど、婚約という形でもと思っているのよ。」
「社長、私たち、まだ若いですし。そこまでは・・。」
「とにかく、顔合わせは必要ですし、大学が夏休みの間は、うちで暮らしてちょうだい。
ちょうど良い機会になると思うわ。」
「いえ、でも・・。」
「司は、奥手なところがあるようだけど、滋さんのように明るい人だったら、似合いのカップルになると思うわ。」
「・・・。」

世界経済を司るとも言われる、経済界のドン、道明寺楓に微笑まれて、
さすがの私も、その場を切り抜けることで精一杯。
パパとママもわたしのこと、騙したのね。
素敵なディナーの予約があるなんて、嘘くさいと思った。
自分たちが来ないのだって、私がわがままを言い出すと思ったからでしょ。
そう苛立ちながらも、顔には出さず、道明寺社長を見送った。


ふぅ~っと大きなため息。
お見合いかぁ。
別になんの興味もないし。
っていうか、私、今、彼氏いるし。

私、大河原滋。21歳。
永林大学3年生。
言わずと知れた、大河原財閥の一人娘。
パパやママは、道明寺財閥との縁故を期待しているみたいだけど、
そんなの私には、関係ないな。

道明寺司は知っているわ。
雑誌なんかにも特集組まれたりしているし。
F4のリーダーね。
まぁ、カッコいいよね。実際。
でも、私のダーリンもカッコいいし、負けてないわね。
それに、もう夏休みは彼と旅行するって決めちゃってるし、
道明寺家に行っている場合じゃない。

それなのに、両家の計らいで、私の大学3年の夏休みは、道明寺家での花嫁修業と決まってしまった。
これって、どういうことよ。
このまま流されてしまえば、道明寺司と婚約させられてしまう。
そりゃ、相手は有名なF4のリーダーで超イケメンだけど、
私の結婚相手は、ダーリンって決めているんだから!
ただし、時期が悪いわ。どうして今なのよ。
せめて、社会人になってからだったら、いろいろな手段も考えられたのに。
このままぼけ~っとしていたら、あっという間に婚約まっしぐらね。
何とかしなくっちゃ!

そう考えた私は、すぐにダーリンに連絡をとった。



「つくし~。」
「滋さん?」

つくしこと、牧野つくしは、1年年下の永林大学2年生。
特待生で超優秀。
うちの大学の成績優秀者には、アメリカの姉妹校への留学を推薦されるんだけれど、
今年はつくしが対象者になっている。
だから、つくしはこの夏休みが終わって、9月から1年間はNYに留学するんだ。
本人はすっごく喜んでいる。
なんでって?
つくしの家はお金がなくって、いわゆる貧乏?ってやつだから、
留学なんて夢のまた夢なんていってたのに、今回留学が決まったからね。
もちろん、留学費用は大学もち。
もともと、駅前留学さえしていないのに、つくしは英語が堪能。
でも、アメリカで語学をもっと学べるなんて奇跡だ~なんて浮かれてた。
まぁ、それだけ、つくしは優秀ってわけ。

私とつくしはひょんなことから親友になった。
ある日、大学の中庭にダーリンを連れ込んでラブラブしていたら、ちょうどそこにつくしが現れたの。
っていうか、初めからいたみたい。
どうしていいか分からなくなっちゃったみたいで、お弁当箱をガランって落としてね。
その音で私たちも気が付いたんだけどね。きゃはっ。
中身が飛び出してしまったお弁当。
そのお弁当を台無しにしたお詫びに、カフェで食事をおごってあげてね。
それからの仲。
つくしは超良い子なんだ。
お家が貧乏だからっていいながら、バイトは掛け持ちで頑張っているのに、
成績は常に優秀。
相当な頑張り屋さん。
私が、いろいろ融通しようと思っても、なかなか受け入れてくれない頑固ものだけれど、
とっても素直で絶対に嘘はつかないの。
そういうところが、好きなんだ。

「つくしにお願いがあるの。」
「なんですか?」
「つくし、嘘つける?」
「無理です。」
「私を助けると思って。夏休みの間だけ。だめ?」
「どういうことなんですか?」
「9月からアメリカでしょ。だから、渡米するまでの夏休み期間だけ、どうしてもおねがいしたいことがあるの!」
そんないい子のつくしに、私は嘘をつくお願いをするしかなかった。
お願いつくし、私を助けて!


話を聞けば、滋さんにお見合い話があるらしい。
お相手は、道明寺財閥の御曹司。
どんな人か分からないけれど、家柄を考えればよいお話なんじゃないのかな。
でも、滋さんには、今、お付き合いしている彼がいる。
鷹野さんっていう人。
私も何度か一緒に食事をしたことがある。
っていうか、いつも強引な滋さんに連れて行かれるんだけどね。
鷹野さんも、大きな会社の御曹司だって話だけど、おそらく、道明寺の方がはるかに上だよね。
道明寺財閥といえば、ホテルメープルをはじめとするリゾート業のみならず、
NYを主体とする各種関連連会社の経営で、
道明寺家の総資産額は、世界で数本の指に入るはず。
そんなところとの縁組に、さすがの滋さんも、自分の力だけでは縁談を破棄できないらしい。


それでも、この縁談をなんとか断るため、彼と計画を練ったのだという。
どんな計画?って思うけど、滋さんと鷹野さんは本当に相思相愛だと思うから、協力はしてあげたい。

「お願い、つくし。私も命がけなの!」


でもでも、あたしが代わりに約1か月半の花嫁修業をうけるって?
無理でしょ?
っていうか、ばれるでしょ?

道明寺家の女主人は、すでにアメリカに帰ってしまったので、お邸には息子の御曹司のみ。
御曹司には、まだ会ったことがないから、大丈夫だっていうの。

いやいや・・・無理でしょう?




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  1. 初恋
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絶対無理だと思っていたのに、
滋さんと鷹野さんに同時に頭を下げられてしまった。
二人に頼まれたら、断りきれなくって・・・。
結局あたしは、このお話を受けてしまった。
バイト料は出すって、滋さんはいうけれど、そんなのもらえないし。
丁度、アメリカに船便で荷物を出すところで、アパートも解約しちゃうから、
夏休みの間は中学からの親友の優紀のうちに居候しようかと思っていたから、
私にとっても、ちょっとだけ都合が良かったっていうのもあった。

それに、なんといっても滋さんの情報によると、
お相手の御曹司も、見合いに乗る気はないらしく、顔合わせにも来なかったんだとか。
そんな人が、今さら見合い相手に興味を示すはずがない。
滋さんには悪いけれど、あたし、美人じゃないし、あたしを見て、むこうがアプローチしてくるっていうのはないでしょ。
あたしはおとなしく、花嫁修業とやらを受けていればいいらしい。
その間に、滋さんと鷹野さんはするべきことがあるんだって。
それで、二人がご両親を説得するに至ればいいんだけれど。
でも、もしも、説得できずにそのまま婚約ってことになったらどうするんだろうか。
そもまま婚約の運びになって、二人が入れ替わっていたことがばれてしまったら?

「だから、私も命がけなの!もしもの場合の責任も、100%私がとるから。
お願いつくし!私、今は道明寺家に行っている場合じゃないの!」

「それにね、噂だけど、道明寺司って、すごく女嫌いなんだって。
女は近くに寄せ付けないって話なんだ。」
確かにこれはますます朗報。
実際、1か月半の間に、会うこともないんじゃないかとの予測も。

滋さんと鷹野さんのことは応援したいけど・・
でも、本当に大丈夫なんだろうか?
1か月半、お邸から出ずに、じっとしていればばれない?

あっ、でもそういえば、
「ねぇ、滋さん。花嫁修業って何をするのかな?」
「あぁ、そういうのは、嘘も方便で、大抵は二人の仲を取り持つための口実なんだよね。
私たちの世界では、常識かな。
だから、結局のところはおとなしく道明寺家でお世話になっていればいいってこと。」
「ふ~ん。」
よく分からない世界だなぁ。


迷いに迷って、最後に滋さんに聞いた。
「ねぇ、滋さん。道明寺財閥の御曹司とのお見合いを断って、絶対に後悔しない?
絶対に、鷹野さんと幸せになれる?」
「もちろんだよ。彼とじゃなきゃ、私、幸せになれないと思う。」

その言葉で決めた。
本当は、こんなこと引き受けちゃいけないって分かっているけれど、
大学で、友達もあんまりできなかったあたしに、いつも優しくしてくれる人。
この人のために、やってみよう。
ばれたら、正直に謝罪して、どうしても縁談を受け入れたくないんだって説明すればいいんだから。



テストが終わり、すぐに夏休みが始まった。
道明寺家に向かう3日前から、滋さんのお邸でプレレッスンを受けた。
付け焼刃だけれど、食事のマナーを学んだり、滋さんのお邸では普通というセレブ体験をした。
ほんとすごいよね。お金持ちって。
お部屋もクローゼットの中身もすごいし、
掃除や洗濯はすることないし、
食事はフルコースでてくるし。
まぁ、一般的な花嫁修業は必要ないね。

本当は、ピアノやバイオリンができないとダメみたいだけれど、
そんなことは3日ではできるようになるはずはないから却下。
苦手ということで通すことに。
英語とドイツ語はなんとかなるけど、フランス語はちょっとかじっただけ。
語学はチェックを受けることはないだろうとのこと。
もしかしたら、道明寺家で使っている、コーヒーや紅茶の銘柄については覚えないといけないかもっということで、有名どころのコーヒーや紅茶、中国茶の種類や入れ方を学んだ。
緑茶すらも、正式な入れ方があったことには驚いた。

もうどうとでもなれっということで、本当に付け焼刃の茶道と華道の基本もならった。
茶道も華道も、基本を知らなければどうにもならない。
それに流派もあったりするから、余計にややこしい。
はぁ、っとため息。
私、本当に大丈夫だろうか。



そうして、あっという間に3日が過ぎ、
あたしが道明寺家に送り込まれる日がやって来た。



****



ババァが画策した見合い相手が、大学が休みの間、邸へ来ると聞いた。
いつの間にか、俺の隣の部屋が軽く改築され、用意が整ったようだ。
昨日は荷物が運び込まれていた。
しかし、俺はそんな話に同意してない。
ババァが勝手にしたことだ。
俺には関係ない。

相手は、大河原財閥の一人娘だという。
大河原は石油関係に強いから、ババァとしてもコネクションが欲しいんだろう。
だからと言って、俺を駒に使うな。
俺はこんな話に乗るつもりはないから、無視することに決めた。


今日、大河原が邸に来るとは聞いていたが、出迎えるつもりもない。
丁度、類の家に上がりこんで、暇をつぶしていた。
俺の見合い話を聞きつけた、総二郎とあきらもやって来た。

「司、ついに見合いかよ。」
「まぁ、遅かれ早かれの話だろうが。」

「俺は同意してねぇ。」

「かといって同じ邸にいるのに、無視って訳にもいかないだろ?」

・・・
確かにそうだが、そんな女、俺は会いたくねぇ。

女と言えば、アピールのつもりかなんか知らねぇけど、ケバイ服をきて、濃い化粧をして、隙をみてはしなだれかかろうとする、低俗な奴らだ。
そんな奴と一緒の邸にいることも許しがてぇ。

「大河原って、永林らしいな。」
「英徳にはいなかったな。同級らしいけど。」

「司、案外、イイ奴だったりするかもしれねぇじゃん?」
「そうそう、いまだチェリーの司君なんだから、案外その気になったら面白れぇことがあるかもな。」
「俺で遊ぶな。」


「しっかし、司の見合い相手、興味あるな。」
「だなっ。」
「今から、俺たち、司んち行こうぜ!」

俺をからかうあいつらに腹は立つが、正直、一人で邸に戻るのも苦痛で、
こいつらと一緒のほうが、いくらかマシと判断した俺は、素直に従った。




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  1. 初恋
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滋さんの家のリムジンが、道明寺邸のロータリーに到着した。
堂々とするように言われているけれど、生粋の庶民であるあたしにそんなことできるわけない。
玄関ではすでにメイドさんたちが列を成して待機していて、
「お待ちしておりました。」
と迎え入れられ、ついつい、あたしもペコペコと頭を下げてしまった。

大きな玄関をくぐり、メイド頭のお婆さんに部屋へ案内された。
お婆さんは、タマさんっていうんだって。
長いカーペットが敷き詰められた廊下を歩いていく。
滋さんのお邸も相当な大きさだったけど、このお邸はさらにすごい。
玄関を入ったところには、なんとシンデレラ階段!
自宅にこんな階段ある?ふつう。
しばらく歩いてやっとついたあたしの部屋にまた驚いた。
淡いピンクの壁紙、天蓋付のベッド、白で統一された家具。
真っ白なソファーの上には、花柄のクッション。

ショールームよりもすごいお部屋に、声も出せずにいると、
タマさんから、
「お茶でも入れましょう。いかがなさいますか?」
と聞かれた。
「では、紅茶を。」
と言いながら振り返ると、そこには、ミニキッチンが備え付けられていた。
お嬢様の部屋にもキッチンがあるのねぇ、なんて思っていると、
「滋お嬢様は、料理がお好きだとか。
それを聞いた奥様が、急遽キッチンを入れられたんですよ。」

・・・絶句。
ミニキッチンっていったって、うちのアパートのキッチンよりずっと大きいし、豪華で使いやすそう。
それに、滋さんがお料理できるわけないし、ってことは、滋さんがあたしのためにそう伝えてくれたみたいだ。
あたしは、高級なものは食べ慣れていないから、キッチンがあるっていうのはすごくうれしかった。
気軽にそうめんとか食べたいよねっ。


「とっても素敵なお部屋ですね。」
と自然とそんな言葉が漏れる。
「気に入ってもらえたなら良かったですよ。」
とタマさんも笑顔で答えてくれた。

荷物はすでに運び込まれていて、私がすることは何もない。
さてさて・・・
「あの・・、私、花嫁修業といわれて来たのですけれど、何をしたらよいでしょうか?」
滋さんは、仲を取り持つためなんて言っていたけれど、本当は違うかも知れないし、
一応きちんとしておかないと・・、と思って聞いたあたしに、
タマさんはとても驚いたようで、
「お嬢様にとくにして頂くことはありまんよ。ご自宅だと思って、ゆっくりお過ごしください。」
と返してきた。

やっぱり、することないのかぁ。はぁ。
けれど、何もせずに1か月以上もここにいるなんて無理だよ~。

ん?
・・・?
そういえば、御曹司はどうしたんだろう。
やっぱり、この縁談に乗り気ではないから、顔も見せないんだろうか。
まぁ、こっちとしてはその方が都合がいいけどね。

「坊ちゃんは、いえ、司様は、後程挨拶に来られますよ。」
「えっ。いえ。あのっ・・。」
「坊ちゃんは、気難しいですが、割とかわいらしいところもおありですから。」
とタマさんが笑う。

もしかして、あたし、独り言っちゃった?
恥ずかしい。
時々やってしまうんだよね。気を付けないと。

けど、気難しいのに、かわいらしいって、矛盾しすぎじゃない?

「夕食は、坊ちゃんと御一緒にどうぞ。また、お迎えに上がります。」
そう言って、タマさんは退室してしまった。

はぁ、あたし、本当にここで何をしたらいいの??


****


コンコン。
ぼーっと窓の外をながめていると、部屋がノックされた。

誰かな?
夕食?
はぁ、結局、御曹司は挨拶にも来なかったな。
まぁ、一人の方がゆっくり夕食もとれるし、いいかなぁ、
なんて思いながら、
「はーい。」
と返事をして、カチャッとドアを開けると、そこには4人の長身の男性。

誰??
キョトンとしたあたしに向かって、
「君が、大河原滋さん?」
と、黒髪ストレート・サラサラヘアの男性に声をかけられた。

そっ、そうだ、あたしは大河原滋!
ちょっと、気が緩んでいたところを引き締めなおす。
「はい、初めまして、大河原滋です。皆様は?」

「へぇ・・。」
とだけ呟いて、その後の会話はない。

「あの~。」
「君が、司の見合い相手で間違いないよね?」
もしかして、ばれてる?とドキドキするあたし。
「はい、そのはずですけれど・・」
と自信なく答えてしまうあたしに、
むこうは面白くなったのか、3人がクスクス笑い始めた。

「思っていたよりも、固いイメージだな。」
と茶髪でさらさらロンゲの人。

「思ったより、小さい。」
というのは、茶色いビー玉のような瞳をしたこれまた茶髪の男性。

一人だけ、ムスッとした顔の男性がいるけれど、その人は無言・・。
その髪型は・・ちょっと面白い。チョココルネ?ぷっ。
だめだめ、笑っちゃ!

もう一度気を引き締めて、
「あの・・。」
あたしは、最大の疑問を聞いてみた。
「道明寺司さんって、どなたなんですか?」

4人がそろって驚きの顔を見せた。
「君、司のこと知らないの?」

「知りませんけど。」
「マジ?」
「マジです。今回のお見合いで、初めてお名前を聞いたんです。」

「「「へぇ~」」」
と3人が驚きの声を上げ、一人はやはり無言。

もしかして、この中の誰かが、道明寺司なのかもって思った。
どうして、あたしってば、写真位確認して来なかったのよ~と後悔したけれど、
時すでに遅し。
だって、セレブ生活のプレレッスンで頭がいっぱいだったんだもん。
相手のことなんて、はっきり言って興味なかった。

お見合い相手なのに知らないって、やっぱりまずかった?
でも、むこうも滋さんのこと知らないみたいだよね?
これはこれで、なんとかうまくいっているのかも?

「道明寺司はね、こいつ。」
そう言って、黒髪ストレートの男性が、無言の男性を指し示す。

あぁ、この人なんだ。。
髪型を別にすれば、すっごく美形。
でも、すっごく怖そう。
ほんと、見合いなんて興味ないって感じね。
まぁ、あたしもないけどね。
滋さんだって、大事な彼がいるんだし、都合はいいよね。
お互い断れば、それでいいってことじゃないの?

よしっ!
じーっと、道明寺司を見上げて、
「道明寺さんですか。初めまして。」と言ってみる。
「・・・」
むこうから挨拶はない。

「おい、司、挨拶ぐらいしろよ。」
「うぜぇ。」

ほほーう、やっぱり、この態度か。
これならこれでいいかも。
予想通りね。

「道明寺さんはこのお話に乗り気じゃないって伺っています。
でも、正直、私もまったく乗り気じゃないんです。
両親が休み中だけでもどうしてもというので、この夏休みはこちらでお世話になりますけれど、
私の方も、お断りするつもりでいますので、滞在中も私のことは気にしていただかなくて結構ですよ。」

しーん。

その場が静まり返る。
何か悪いこと言ったかな。

「「「ぶっ」」」と3人が笑いだした。
「だってよ、司。」

視線を向けると、先ほどよりもさらに機嫌が悪そうな、道明寺司。
なんでよ。
あんただって、興味ないんでしょ?

「あぁ、俺も興味ねぇし、ほっとしたわ。」

あはは。聞きようによってはショックなことかもしれないけれど、あたしと滋さんにとっては好都合。

「でも、まぁ、せっかく知り合ったんだし、仲よくしようぜ。
俺は、西門総二郎。」
「俺は美作あきらね。」
「花沢類。」

あたしは、ちょっとほっとして、
「どうぞよろしくお願いします。」
と、それぞれに差し出された手を握り返した。

道明寺司は手を出してこなかったから、どうしようかと思ったけれど、
一応これからお世話になるので、こちらから手を差し出すと、
じーっと手を見つめられ、考え込んでいる様子。
それから、
「しゃーねーな。」
といって、握手してくれたんだけれど、その顔がちょっと赤い??
ふーん。確かに、割とかわいいところはあるみたい。ふふ。


とそこへ、タマさんがやって来た。
「皆様、夕食の準備が整いました。ダイニングへどうぞ。」

丁度良いタイミングで夕食へと向かうことになった。




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  1. 初恋
  2. / comment:3
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ダイニングに案内されると、そこには広いダイニングテーブル。
どこに座ったらよいか分からなくて、もたもたしていたら、
西門さんが、
「滋ちゃんは、俺の隣ね。」
といって、席に案内してくれた。
滋ちゃん?って突っ込みたくなったけど、まぁ、いっか。
あたしの前には道明寺司。
その隣には、花沢さん。
あたしの両隣は、西門さんと美作さん。
なんか変なポジション?って思ったけれど、よく分からないから流されるがまま・・。


西門さんは、茶道西門流の家元候補。
話ている感じでは、かなり女慣れしているっていうか、軽い感じ?
でも、話上手なんだよね。
西門さんのおかげで、この夕食も苦痛ではなくなったから、感謝かな。

美作さんは、美作商事の御曹司。
御曹司の友達は、御曹司って訳ね。
話によると、マダムキラーだとか。
あたしに言わせると、不倫なんて、不毛っていうか、その良さが全く分からないんだけれど、
御曹司っていうのは、きっとあたしには理解できない人種なんだろうな。
でも、マダムキラーだけあって、なんていうか、繊細なんだけど、落ち着いた雰囲気で安心できそうな人。

花沢さんは、やっぱり花沢物産の御曹司。
類は友を呼ぶ?っぷぷ。
瞳の透き通った感じがクールな人。
何を考えているのかよく分からないけれど、時々笑う姿にドキッとしちゃった。
こういう無表情な人って、ちょっと笑っただけでも、なんか嬉しくなっちゃうよね。

そして、最後は道明寺司。
滋さんのお見合い相手。
この人は、みんなの話を総合すると、やっぱり女嫌いってことらしい。
ふーん。怖そうだけれど、見た目はカッコいいのにね。もったいない。
まあ、口が悪いから、マイナスポイントの方が高いわね。

「お前ら、こんな奴と仲良くなってどうすんだよ。」
はぁ?こんな奴?
「まぁ、まぁ、司。仮にも1か月以上、一緒に過ごすんだろ?」
「一緒に過ごすわけじゃねぇよ。邸にいるってだけだろ。」

「そうですよ。私も、断りきれなくってこういうことになってますけれど、
両親には、お見合いは断るって伝えてますから。
それでも、この夏休みだけはって言われちゃったから、仕方なく来ているんです!」

そりゃ、こんな男に興味もないけれど、
あんまりな言われようにちょっとムカっときちゃう。
はっ、いやいや、だめだめ、冷静に、冷静に・・。
あたしは滋さん、あたしは滋さん・・。

「けど、まっ、道明寺と大河原なら、文句の付けようがないな。」
「同感。」

「なっ、何言ってるんですか!」
ちょっと、余計なこと言わないでよ。
お断りだっていってるでしょうがっ。

「んなこといったって、俺らの世界じゃ、両家が乗り気になってる縁談を断るのはむずかしいっしょ?」
むむっ。
「そんなこと、ありませんよっ。お互いに断ればいいんです!」
「だから、それが無理だって。」
「だって、好きじゃない人と結婚なんてできないでしょう!?」
やばっ、なんか乾杯で飲んだシャンパンが回ってきたみたいだ。

「なになに、滋ちゃんは、好きなやつがいるわけ?」
「いませんよっ!」
あっ、さらにやばいかもっ。
でも・・、ここはこれでいいかもな。
彼氏がいた経験もないのに、彼がいるふりもできないし。
もちろん、好きな人なんて、いたこともないもん。

「へぇ。」
「なら、いいじゃん。司、お買い得だよ。」
「おいっ!余計なこというなっ!」
「無理です。」
即座にこっちを向いた道明寺司とにらみ合う。
両脇では、西門さんと美作さんが声を立てて笑っていた。
「「案外、お似合いジャン?」」


「滋ちゃん、なんで司じゃだめなの?」
と美作さん。
「好きじゃないんだから、当たり前でしょう?
それに、道明寺さんだって、このお話に乗り気じゃないでしょう?」
「そう決めつけるのは、まだはやいよね?」
と花沢さん。
道明寺司は無言を貫いている。

「え?」
「だって、二人は今日知り合ったんでしょ?だったら、好きになるかも知れないでしょ。」
この人が、口を開くのも意外で驚いちゃったけど、
確かに、あたしは、道明寺司をよく知らないわけだから、
初めから決めつけちゃうのはおかしい・・。
って、いやいや、違う。あたしは好きになりに来たんじゃないんだから!
あぁ、やばいなぁ、なんかシャンパンが回ってきて、眠くて思考回路がおかしい・・。

「そうかも知れないけど、でも、あたしは、会社のために結婚するなんて嫌だな。
結婚は、本当に好きな人としたいもん。
両親とか、会社とか、関係ないよ。
それに、お金持ちと結婚したからって、幸せになれるわけじゃないでしょ。
自分で選んだ人と一緒になるから、幸せになれるんだよね?」
そうだよね、滋さん。
あ~何を言ってるんだろう、あたし。
だんだんと瞼が重くなってきたあたしの視界のなかに、複雑な表情の道明寺司が映ったような気がする。

「だったら、これから好きになればいいんじゃないの?」
そんな言葉が聞こえたけれど、だんだん眠くなってきて、
あたしはテーブルに腕をおいて、突っ伏してしまった。


*****


「すっげ~、意外だったな。」
「マジ、ビビった。」
「俺は、なんとなく、司の気持ち、わかるけど?」
「マジか?類。」

ダイニングで眠ってしまった滋を起こそうとした俺たちに、
司が言ったんだ。
「俺が運ぶから、そのままでいい。」

自他ともに認める女嫌いの司が、女を横抱きにしてリビングを出て行った。
ふだんは、女に触れられることを極端に嫌っているくせに、自ら抱いて行ったんだ。
使用人ならいくらでもいる邸だ。
司が運ぶ必要なんてないのに。

「司のタイプって、ああいう子なのか?」
「俺たちの周りにはいないタイプだな。純情?」
「ありゃぁ、絶対処女だな。間違いない。」
「いいんじゃね?童貞と処女。」

「なんだか、逆に応援したくなるよね、あの二人。」
という類も、なんだか意外だった。





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  1. 初恋
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  3. [ edit ]

このお邸で、あたしは本当にすることがない。
道明寺司には初日に会ったっきり、その後3日経つけれど、全く顔を合わさない。
まぁ、その方が都合はいいんだけれど、とにかく暇!
あんまり、おおっぴらに道明寺家から外出するのも憚られるし。
持って来ている勉強道具とか、本とかで時間をつぶしてはいるものの、本当にもう、限界かも。
あたしは元々貧乏学生だから、バイトをしたり、家事をしたりと体を動かしていないとダメみたい。

コンコンっとノックの音。
「お部屋の掃除に参りました。」

・・・
この時間になるといつも部屋にお掃除が入る。
ベッドメイキングもしてもらえるし、洗濯もしてくれる。
でも、やっぱり・・・

「あのっ、お掃除、自分でしてはだめですか?掃除機貸していただけます?」
メイドさんが驚くのを横目に、あたしはどんどん掃除を進めていった。
あわてたメイドさんが、タマさんを連れて戻ってきた。

「お嬢様、こんなことをされては。」
「だって、花嫁修業にきたのでしょう?だったら・・」
「道明寺家では、女主人となる方が掃除をなさるようなことはありません。」
「それなら、何をしに来たのかわからないじゃないですか。」
「しかしねぇ。」
「せめて身の回りのことだけでも、自分でやらせてください。」
「・・・。面白いお嬢様だねぇ。けれど、奥様からも好きにしてもらうようにと言われているから、どうぞお好きなように。」
「はいっ!」

それからのあたしは、掃除に洗濯、さらには厨房に入り浸ってお料理を教えてもらったりと、花嫁修業を満喫することになった。


*****


「坊ちゃん。今日は出かけられないのですか?」
「あ?タマ、なんかあんのか?」
「滋お嬢様のことですよ。」
「あぁ、あいつ。なんかあったのか?」
「ぷっ。あの方は、案外坊ちゃんとお似合いかもしれませんけどねぇ。」
「・・・?」
「先日から、花嫁修業だといって、掃除や洗濯、料理まではじめていますよ。
それは楽しそうに。タマは、気に入りましたよ、滋お嬢さんのこと。」
「何言ってんだよ。ババァが送り込んできた女だろうが。」
「本人は、この見合いを受ける気はないそうじゃないですか。」
「・・・。」


確かに、あいつは初めから見合いを受ける気はないと言っていた。
好きな奴と結婚したいとか・・。
俺たちの世界では通用しないようなことを言っていたな。
俺だって、昔は思っていた。
道明寺を継ぐとしても、結婚は好きな女としたいとか、そんな夢物語。
けれど、それは現実にはあり得ないことだと、徐々に理解するようになった。
あいつだって、大河原の娘なんだから、分かっているはずだ。

でもあの時、そんな夢物語をいうあいつが、なんだかとても儚く見えて、守ってやりたくなった。
だから、眠っているあいつを抱き上げて、部屋まで運んだんだ。

あいつらは俺のことを冷やかしていたが、別に恋愛感情ってわけじゃない。
けれど、なんだか、あいつの純粋な言葉が胸に響いて、
大事なことを思い出させてくれたような気がして、
あいつを大切に扱いたくなったんだ。
ただ、それだけだ。




タマに言われて、あいつの様子を見に行くことにした。
ほんの気まぐれだ。
あいつは調理場にいるらしいと聞いたが、そんな場所行ったことがない。
タマに案内されて向かうと、メイドたちがおどろいた顔をしてお辞儀をしてきた。

中から、女の声が響いてくる。
「わぁ、すっごい!パンケーキも、こうなると芸術品ですね。」
はははっ。と笑い声が聞こえる。

「トッピングは滋様がなさいますか?」
「はい。良いのですか?」
「なさりたいのでしょう?」
「へへへ。ばれました?」
「どうぞ!」

楽しそうな声とともに、甘ったるい匂いが充満してくる。
俺は甘いものは嫌いだから、とてもこの場にはいられねぇ。
出なおすか・・・と思いながらも、中を覗いてみる。

三角巾をつけた、エプロン姿の女が、楽しそうになにやら作業をしている。
その姿があまりに幸せそうで、思わず俺も微笑みそうになった。
って、何だよ俺。

「つっ、司様!」
俺に気が付いたパティシエの声が聞こえた。
あわてて、顔を引き締める。

「お前、ここで何してんだよ。」
「なにって、お菓子作りを教えてもらっているのよ。」
「なんでだよ。」
「・・・花嫁修業?っていうか、あたし、料理好きだから。」

「滋様は、とってもセンスがよいですよ。」
とパティシエが合いの手を入れてきた。

皿をみれば、生クリームやフルーツでデコレーションされた、パンケーキ。
驚くことに、結構うまそうに見える。
しかし、俺の口から出た言葉は、
「これぐらい、誰でも出来んだろ?」

むっとした女が言い返してきた。
「じゃあ、あんたもやってみなさいよ。」

うっ。
「ほら、出来ないんじゃない。」
「ちょっと、貸せよ。」
売り言葉に買い言葉、俺は、生クリームの絞り器をもぎ取った。

パティシエがパンケーキを持って来て、俺の前に置く。
はぁ。仕方ねぇ。
これを絞って、デコればいいのか。
はは~ん。なるほど。
結構面白れぇな。
俺は昔から、結構器用なんだよ。
なんて思いながら、自分が思うようにデコレーションを施す。
差し出されたフルーツも盛り付ける。

気が付くと夢中になっていたようで、
「あんた、なかなかやるわね。」
という滋の声で、我に返った。

「すっごく、おいしそう!」
そういって、笑う滋。
その笑顔を見て、俺は、思わず、イチゴを落とした。
そのイチゴは、パンケーキの中央へ・・。

それを見た滋が、笑いながら、
「それで完成?私のもできたから、一緒に食べよっか?」
と言ってきた。



あれよ、あれよ、と準備されたティータイム。
滋は、俺がデコッたパンケーキを、
俺は、あいつがデコッたパンケーキを、
一緒に食べた。

いつもなら、甘いものは一口だって食わねぇ。
けど、この日は、なんだか、あいつが嬉しそうにしているのをずっと見ていたくて、
パンケーキを完食していた。





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