With a Happy Ending

理想の恋人 14

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相当気合が入っていた俺だったが、翌朝出鼻をくじかれた。パーティー翌日の新聞は、俺と北村京子の記事であふれ返っていた。 『道明寺司氏、北村貿易令嬢と交際中!』『両家公認!婚約発表間近か?!』出し抜かれた!と思ったのも後の祭り。 俺の女嫌いはマスコミにも周知の事実で、今までは女とパーティーで握手したぐらいで、それほど大きな記事を書かれるようなことはなかったし、書かせなかった。それなのに、これほどに熱烈...

理想の恋人 13

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バルコニーで、道明寺と二人きり。気まずい・・。「お前、顔色わりぃな。なんかあったか?」あたしは、さっきの三沢さんを思い出しかけたけど、すぐに頭を振った。「ううん。大丈夫。なんにもないよ。」勤めて明るく言ったつもりだったけど、なんだか道明寺が心配そうにこっちを見てる。本当に、気まずい。「あっ、あたしも、行くね。仕事中だった。」そう言って立ち去ろうとしたんだけど、「俺も疲れてんだから、もう少しここにい...

理想の恋人 12

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パーティは順調に進行していた。あたしも、会場内の案内や、指示されたドリンクの運搬などとせっせと仕事をこなしていた。すると突然、「牧野君じゃないか。」と背後から話しかけられた。どこかで聞いた声だと思って、振り返ると、前の会社の上司の三沢さん。生島産業も来てたのか・・・。三沢さんは妻子持ちで、たしか40歳。でも、家庭生活はうまくいっていないらしくって、仕事でストレス発散しているようなところがあった。あた...

理想の恋人 11

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牧野が俺付きのメイドになって、もう3か月近くになる。今の俺たちは、強いて言うならば、ルームメイトって雰囲気だな。俺は、あいつのことが気になって、気になって、仕方がねぇ。あの黒い髪を触ってみてぇとか、あの小さい手を握ってみてぇとか、あのおしゃべりな口を塞いでみてぇとか、って、俺、変態か?中坊でもねーのに、妄想炸裂してしょうがねぇ。でもよ、若い男女が一つ屋根の下、いや、好きな女が同じ家にいるっつーのは...

理想の恋人 10

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出張や残業がなければ、俺は基本的に、週末は世田谷の邸に帰ることにしていた。邸にはジムやプールがあるからだ。体力維持のために、トレーニングは欠かせない。ここしばらくは、邸に帰っていなかったが、今週末は久しぶりに邸に戻ることになっている。金曜日の夜、邸に戻ると、初めて邸で牧野に出迎えられた。たくさんの使用人やメイドが見守る中、俺の後を付いてくる牧野。俺の部屋に入って、いつものようにスーツを片付けている...

理想の恋人 9

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翌日からは2泊3日のアジア出張だった。朝、相変わらずの怪力で起こされたが、その時の呼び名は、「坊ちゃん」ではなくて、「道明寺」。「道明寺!はやく起きて!飛行機、乗り遅れる!」俺はちょっとニヤけた顔を見られたくなくて、布団をかぶった。それを必死にひっぺがそうとしているこの女。布団の引っ張り合いをしているうちに、手がすべったのか、あいつがベッドから後ろ向きに落ちた。「痛った~!」「大丈夫か?」とっさに布...

理想の恋人 8

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今日は早めに仕事の目途がつき、マンションで夕食をとるつもりだった。いつものように西田と共にマンションに戻り、地下駐車場で別れようとしたところ、西田も一緒に降りてきた。「牧野さんに、明日からの出張の説明をしていませんでしたので。」そんなのメールで済ませればいいんじゃねぇの?と思った俺だったが、深く考えずにエレベーターに乗った。部屋に着くと、パタパタと足音がする。牧野が走って出てきた。「お帰りなさいま...

理想の恋人 7

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メイドが牧野に変わり、1週間が過ぎた。今までは、タマが用意した食事を西田が温めたり、朝も西田が早めに来てリビングで待っていたり、俺が時間になっても起きてこない時には、部屋をノックしたりしていた。だから、牧野が住み込むようになって、西田の業務は劇的に楽になったと言える。そのせいか、西田にとって牧野は最重要人物人のようで、よく電話口でペコペコしているのを目撃するし、毎朝牧野に感謝の言葉を伝えている。メ...

理想の恋人 6

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昨日は衝撃の一日で、夜はあまり眠れないかと思ったけれど、そこは、あたしの特技なのか、なんだかんだ言いながらも、しっかり荷物の片づけをして、0時には寝てしまった。あはは。目覚まし時計を6時にセットして、ぴったり丁度に起きた。お邸からもってきた、パンを温めて、バターを用意する。サラダを作って、ドレッシングも準備OK。卵料理は、何でもいいと言われたけれど、好みがよくわからなかったので、プレーンのオムレツに...

理想の恋人 5

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「ええええぇぇぇぇ~~~」というあたしの絶叫に、道明寺司が言葉をかぶせた。「お前うるせぇよ。」耳を塞いで、しかめっ面をしている。いや、だって、驚くでしょ。いくら、メイドだからって、男の家に住み込みだよっ。普通じゃないでしょっ。ありえないっつーの!「じゃあ、やめろよ。」「えっ?」「嫌なら辞めろ。俺も忙しい、グダグダぬかすやつはいらねぇ。」そう言って、ソファにふんぞり返り、雑誌をとって読み始めた。なに...