花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

「私は、反対だな。」
と道明寺会長に言われ、あたしは固まった。

予想していたと言えばしていたこと。
でも、現実になると、ショックで言葉が出ない。
何か言わなきゃ、このままでは認めてもらえないと思っても、緊張で言葉が出ない。


「どうしてですの?お父様。」
と、椿お姉さんが口を開いた。
「つくしちゃんは、すごくいいお嬢さんよ。今日一緒にお買い物に行って分かったもの。司にしてはいい子を見つけてきたなと思って感心していたのよ。」

会長は椿お姉さんの言葉には答えず、道明寺に話しかけた。
「司。噂になっていた女性はどうしたんだ?マキさん、だったか?お前の秘書をしてくれているんじゃなかったのか?」
「お父さん、彼女は・・。」
道明寺が説明しようとした時に、

「私は、マキさんの方がいいな。」
と、会長の言葉。
ん?んん?

「だって、楓も聞いただろう?この間のパーティーで、ジョージズカンパニーのウィルソン氏が仰っていたじゃないか。あんなに素敵なお嬢さんを迎えられるなんて、道明寺は幸せだって。楓も、喜んでいただろう?」
「あっ、あなた、違うのよ。」

「いや、違わない。あの時、司君はさすがに素晴らしいお嬢さんを連れているって言われて、君だって、マキさんを自慢していたじゃないか。今更、違うなんて言えるか!」
駄々っ子のような会長の言い草。

「あの時は、つい・・。司が女性関係で褒められることなんて今までなかったものだから、ついね。そうじゃないのよ。あなた、聞いて頂戴。」
焦る、楓社長。

どこから突っ込んだらいいのかわからない。
隣を見ると、道明寺も唖然としている。

すると、椿お姉さんが、
「私は、マキさんはイマイチ好きじゃないわ。なんか、ちょっとブリブリした感じじゃないの。つくしちゃんの方が、可愛いわ!」

おっ、お姉さん、ややこしいです!

ダメだ、はやく訂正しなきゃ。
「会長、お姉さん、誤解なんです。」

すると、隣から道明寺が、
「みんな、黙れよ。」
と、低い声で一喝した。


しーん、と静まり返るダイニングルーム。
「司、お前、親に向かって、その態度は何だ。」
会長の声が一段低くなった。
「その態度も、この態度もねぇよ。牧野に対して失礼だろうがよ。」
道明寺も怯んでない。

「あのっ。」
と口を開いたあたしをさえぎって、道明寺が言った。


『マキと牧野は同一人物なんだっつーの!』


「「はぁ~??」」
と驚く、会長とお姉さん。
楓社長は、頭を抱えている。


「って訳だから、文句ねぇんだろ?俺は、牧野と結婚すっから。」
という道明寺の声が、ダイニングに響いた。



*****



「楓、なんで教えてくれなかったんだい?」
「まさか、あなたが面と向かって反対するなんて思わなかったのよ。」

「つーか、おふくろは知ってたのかよ。牧野のこと。」
道明寺・・・完全にため口モードだよ。いいの?

「知らない訳がないでしょう?北村京子さんとのお見合いにマキさんを同席させたそうじゃないの。あちらから、凄まじいクレームが来たのよ。恥をかかされたって。」
確かに、あれはひどかった。

「それで、その女性のことを調べさせたのよ。でも、司から圧力がかかっていて、会社からの情報は無くてね。西田もだんまりで。でも、さすがは西田ね、この私にも口を割らないなんて。そんな時に、司のマンションにメイドがいるっていう話が入ってきてね。ピンと来たわ。あなたのそばに女性がいるなんて、今までなかったのですから。それで、タマに連絡をしたら、ドンピシャリよ。」
ドンピシャって・・。

「タマ先輩が社長に話したんですか?」
「違うわ。私はそのメイドさんに会いたいって言っただけよ。そうしたら、タマが、坊ちゃんの大切なメイドだから、いじめられては困りますっていうじゃないの。ビンゴね。」
ビンゴ・・。

「実際に会って、カマをかけてみたら、その態度がもうおかしくって。焦りまくってて、可愛いじゃないの。それに、私も焦っていたのよ。いつになっても、司から紹介してこないし。まさか、うまくいってないんじゃないかってね。私も、ウィルソン氏の奥様から、司さんの婚約発表はいつですの?なんて言われちゃっててね。あちらはご子息のご結婚が整ったものだから、余裕なのよね、悔しくってね。」
はぁ。

「だから、つくしさんに一押しした訳よ。」
確かに、強力なプッシュを頂きました。


「牧野!お前、おふくろに会ってたのか?!何で、俺に言わねぇんだよ!」
と道明寺が怒り顔。

「だって・・。」
「私が言ったのよ。司には内緒よって。それで、ちゃんと今日まで内緒にしていたのね。」
「はい。」
「つくしさんは合格よ。」
「え?」
「この道明寺家に必要な人は、強力なバックを持ったお嬢さんじゃないわ。ここぞという時に口を開き、ここぞという時に口を閉じて耐え忍ぶことのできる、そう言った状況判断のできるかしこい女性よ。あなたは、私との約束を守って、司には私のことは話さなかった。道明寺家にふさわしい人だわ。ね、あなた?」

「そうだね。驚いたけれど、反対する理由はないね。」
と道明寺会長。
「きゃ~!やっと、私にも念願の妹ができるのねっ!」
「姉ちゃん、牧野を連れだす時は、ちゃんと俺に許可をとれよ!」
「何ケチ臭いこと言ってんのよ!」


ケチ臭いって、大金持ち同士が・・。
この流れに、ついていけない・・。
でも、これって、喜んでいいんだよね。
あたしたち、認められたってことだよね?


その時、道明寺会長が再び口を開いた。
「ただし。」
ただし?
「牧野さんとマキさんが同一人物であることは、世間に公表しないとだめだ。司、できるか?」


その言葉を受けて、道明寺が口角を上げた。
「はじめから、そのつもりで準備をしていました。」

それから、テーブルの下であたしの手を握った。
「日本帰ったら、すぐに婚約発表をしますから。今後も、よろしくお願いします。」

道明寺と一緒に、あたしも深く頭を下げた。



 

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よかったね。司君、つくしちゃん!
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それからもお姉さんのペースは続き、何とかお買い物は終了。
やっとお邸に戻ることになった。
お姉さんの勢いは凄まじくて、道明寺との関係を説明しようとしても、なかなか話しをする隙がなく、あたしは結局、自分が「マキ」であることを説明できなかった。
でも、お姉さんはあたしの存在をすっごく喜んでくれて、リムジンの中では小さい時の道明寺の話なんかをたくさん話してくれた。
道明寺は結構寂しがり屋だとか、動物は苦手だとか、日本語が弱いから気を付けてあげてねだとか・・。
そんな風に聞く道明寺の話は、あたしにとっては新鮮で、ちょっぴり幸せな情報だった。

それに・・
「司に恋人ができるなんて、はっきり言って奇跡に近いわね。」
「どうしてですか?」
「あの子、すごく潔癖で。女には触りたくないっていうぐらいだったの。だから、ニューヨーク時代には、司はゲイじゃないかっていう憶測も生んだぐらい。」
道明寺がゲイ・・無いな・・。

「司がそういう風になったのは、きっと私たち家族のせいなの。知っていると思うけれど、うちの両親はとても多忙で、私たち姉弟との家族らしい時間なんて持つことはなかったわ。それでも、私が小さな頃までは母は家庭にいたから、私にはある程度、母なりの苦しみも理解できたの。でも司が生まれてからすぐに、母は道明寺財閥の中枢に入った。だから、あの子は母親らしい母の姿を見たことはないのよね。もちろん父も多忙だったしね。」
タマ先輩も同じようなことを言っていた。

「兄弟二人で育ったようなものだったのに、私も大学生の時に政略結婚をすることになってね。司が中学生の時にロスに渡ったわ。多感な時期に司を一人にしてしまったこと、私は今でも後悔しているの。案の定、それからの司の生活は荒れ放題だった。」

「高校を卒業してニューヨークに来てから、司にはいくつかの見合い話があったけれど、あの子は政略結婚になんて見向きもしなかった。それどころか、結婚はしなくてもいいって。道明寺の跡継ぎが欲しいなら、私の子が継げばいいなんて言い出してね。父も母も、きっとそんな司に負い目があるのね。強く結婚を勧めることはなかったわ。でも、心の中では、司には結婚をして、幸せな家庭を築いてほしいと思っているのよ。誤解のないように言っておくわね。うちの両親も、私たち夫婦も、政略結婚ではあるけれど、とても夫婦仲はいいのよ。特にうちの両親は、多忙とは言いながら、ずっとニューヨークで二人で暮らしているしね。いわゆる鴛鴦夫婦ね。」
知らなかったな、道明寺のご両親の仲が良かったなんてこと・・

「だから、私は今、とてもうれしいの。司に心を許せる女性ができたっていうことがね。つくしちゃんが司のメイドになってくれて良かった。きっと司は、つくしちゃんとなら家族になりたいと思えたのね。」

「つくしちゃん、司のこと、どうかよろしくね。」

あたしはまだ道明寺家には認められたわけではないけれど、こんな風に思っていただけるなんてすごくうれしい。
道明寺があたしの何を好きになってくれたのかは分からない。
けど、お姉さんやタマ先輩のお話しを聞くと、やっぱり道明寺は温かい家庭が欲しいのかなって思う。
あたしの実家は、いつもお金はなかったけれど、愛情には溢れていた。あたしもいつか家庭を持ったら、自分の家族には精一杯の愛情を注ぎたいと思う。その家族を道明寺とつくっていけたらいいな・・。

「はい。」
道明寺があたしを必要としてくれるなら、あたしはずっと道明寺のそばにいたいと思う。
そのために、今日、絶対に道明寺のご両親に認めていただきたい。

「お姉さんも今日の夕食には同席してくださるんですか?」
「そのつもりよ。そのためにロスから飛んできたんだもの。」
「よかった。」
ちょっとほっとするあたし。
「つくしちゃん、緊張しているの?」
そりゃ緊張してる。
でも、道明寺がいるし、お姉さんもいるなら、頑張れそう。


「そうよねぇ。ちょっと、厄介なのは父ね。」
「えっ?」
どっ、どういうこと?
「実は少し前に、主人の会社関係のパーティーで父に会ったのよね。その時、ちょっとね。まぁ、こちらの事情ってやつね。」
「・・・道明寺会長は、反対するでしょうか?」
「大丈夫よ、私が援護するからね!」
「はい・・・。」

そうか、道明寺のお父さんはきっと反対なんだ。
楓社長には理解してもらえていると思っていたから、単純に会長もそうだと思い込んでいた。
手先が冷たくなってくる。
本格的に緊張してきたかも・・。

あたしの顔色が少し悪くなったのを察して、
「つくしちゃんには、司も私もついているから。大丈夫よ。」
とお姉さんが手を握ってくれた。



*****



「姉ちゃん!牧野をどこに連れまわしてたんだよ!」
お邸に帰るなり、走り寄ってきた道明寺。

あたしの顔色がちょと悪いことに気が付いて、
「どうした?大丈夫か?」
と心配そうに覗き込んでくる。
「ん。平気。」
「少し、部屋で休もう。」
「うん。」


「久しぶりに会うお姉様に向かって、何て言い草よ。司ってば、本当につくしちゃんにメロメロなのね。」
「うるせぇよ。」
「将来の妹と買い物してきちゃった。後で、部屋に荷物が届くと思うから。よろしくね。」
「ったく。」
「じゃあ、司、つくしちゃん、後でね!」
そう言うお姉さんに、何とか笑顔を作り、手を振って別れた。


道明寺に肩を抱かれての部屋に戻り、ソファに誘導され、深く腰を下ろした。
道明寺が優しくあたしを抱きしめて、髪を撫でてくれる。
「何かあったか?」
「ううん。ちがう。ちょっと、緊張してきただけ。」
「俺がついてるから大丈夫だ。」
「ん。でも、もし・・」

もしも、反対されたらどうしよう?
そう思ったけど、やっぱり言えなかった。

そんなあたしの気持ちが分かったのか、
「反対されても、諦める気はねぇから、俺は。」
という道明寺。
「うん。」
とあたしも頷いた。

本当にそうだ。
諦められる訳がない。
こうして道明寺のぬくもりを知ってしまった今となっては、どんなに反対されたとしても、別れることなんてできないよ。

あたしの気持ちが落ち着くのを待つように、道明寺はずっとあたしを抱きしめてくれていた。
少しずつ、少しずつ、あたしの手は暖かさを取り戻す。


例え今日じゃなかったとしても、道明寺の恋人でいる以上、いつかは通る道。
逃げるわけにはいかないんだ。




しばらくして、
「お夕食の準備が整いました。」
と執事の人が呼びに来た。
あたし達はじっと見つめ合い、チュッと唇を合わせてから、しっかりと手をつないでダイニングに向かった。


ダイニングにはすでにお姉さんがいて、あたしと道明寺は隣同士に座った。
少し時間をおいて、道明寺のお父さんとお母さん、会長と社長が入ってきた。
あたし達は席から立ちあがった。


まず、道明寺が口を開いた。
「お父さん、お母さん、今日はお時間を作って頂き、ありがとうございます。こちらは、私がお付き合いをしている、牧野つくしさんです。近い将来、結婚を考えています。」
「はじめまして、牧野つくしです。」

「司の父です。まずは席に着きましょう。」
道明寺会長にそう言われて、全員が席に着いた。


前菜が運ばれてきて、食事が始まった。
すぐに、楓社長が話しかけてくれた。
「牧野さんは、司のマンションでメイドをしてくださっているのよね?」
ちょっと笑いを含んだ社長と目が合って、少しだけ緊張が解けた。
「はい。」
「司の世話は大変でしょう?」
「いえ、そのようなことは。」
「大変ってなんだよ。」
と道明寺。


少しだけ和やかな雰囲気になったと思った、次の瞬間、
道明寺会長が、おもむろに口を開いた。

「私は、反対だな。」



 

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どうなるかな?
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ニューヨークに到着して、俺たちは、ウエストチェスターにあるうちの邸に入った。
リムジンで邸の門を通過すると、
「すごい・・」
と牧野が一言。
「世田谷よりは狭いんだぜ。」
と言う俺に、
「十分広いっつーの。」
とツッコミを入れてきた。


玄関をくぐり、使用人たちが整列する中を、ペコペコと頭を下げながら歩く姿がこいつらしい。
俺の部屋へ案内し、
「俺はいったん会社に行ってくる。夜は、ここでメシを食うことになってるから。その時にオヤジたちにお前を紹介する。」
「うん。わかった。」
さすがに、緊張が顔ににじみ出ている牧野。
「心配すんな。」
と抱きしめて、チュッと軽く唇を合わせた。
「ん。行ってらっしゃい。」
そう言いながらも牧野が俺にぎゅっとしがみ付く。
絶対に手放さないから心配すんな、という気持ちを込めて、牧野の背中をゆっくりとさすった。
それから、ゆっくりと互いに体を離して、俺はマンハッタンへ向かった。




道明寺ホールディングス ニューヨーク本社の社長室。
そこで、ババァこと社長と向かい合い、イタリアの航空会社の視察を報告した。
航空部門というよりは、宇宙開発を視野にいれているんだが、この分野は未だ未知の領域で、どの程度まで利益回収が可能かは本当に分からない。投資額も膨大になるため、十分な検討をしたとしても、やはりリスクが大きい。俺は今回の視察で、どうせならアメリカの日系企業に投資してもいいのではないかとも考えていた。そのあたりはババァも検討していたらしく、もう少し状況を見ることになった。
メープル創業30周年の企画については、ヨーロッパでの企画にはGoサインが出された。記念品は、革製品を複数用意する案でOKが出た。香水は欧米のみ。日本では、焼き菓子などを検討する。これからは、日本での30周年企画も詰めていかなければならない。すでにメープル東京で会議は進んでいるが、企画内容は今年度中に最終決定する予定だ。アメリカはババァ自らが指揮をとるという気合の入れようだからな。日本も失敗は許されない。

報告が終わり、退室する間際に、俺は一言確認を入れた。
「社長、今晩、約束の時間に邸で待っています。よろしくお願いします。」
「分かっているわ。会長も戻られるから。楽しみにしているわ。」
小さく笑う鉄の女。
この笑いの意味が分かんねぇ。
油断はなんねぇなと気を引き締めた。



夕食は19時からの予定だった。
俺は急いで、18時に帰宅したが、牧野がいねぇ。
どこ行った?
この邸で誘拐なんてありえねぇ。
探し回る俺に、執事の男が、こう言った。

「牧野様は、お出かけになりました。」

はぁ?
初めてのニューヨークで、どこに行くっつーんだよ!



*****



道明寺が会社に向かった後、しばらくはお部屋をウロウロと観察していた。
あたしが知らないニューヨーク時代の道明寺。
どんな生活をしていたのかな?

あまりに綺麗に整頓されていて、ツッコミどころもないようなお部屋。
きょろきょろとしていると、部屋のマントルピースの上に、写真立てが一つ。
綺麗な女性のウエディングドレス姿。
これって・・もしかして・・・。

その時、
バッターン!!
とすごい勢いでドアが開いた。

「司!帰ってるの!?」
飛び込んできたのは、写真の女性?
だけど雰囲気が全然違う。

「あら?あなた、もしかして・・。司の彼女?マキ・・さん?」
と言いながら、首をひねっている。

「いえ、その、あたしは、牧野つくしと言いまして、司さんのメイドをしていて、それで、今は・・」
「あの子ったら!女っ気ないと思って心配していたのに、まさか、二股かけていたなんて!」
「ちっ、違います!誤解です!」

慌てるあたしを、女性がじっと見つめてくる。
めちゃくちゃ、道明寺に似てる。

「じゃあ、どうしてここにいるのかしら?」
「あの、今日は、司さんと、こちらでお食事をする約束で。」
「じゃあ、司が父と母に紹介したい女性っていうのは、あなたなのね?」
「はい。そう・・です。」
「はぁ。びっくりした。でも、そうなのね。司、噂の女性とは別れたのね。」
え?完全に誤解してるよね?

「あっ、いえ、そうではなくて・・」
「大丈夫。私は、司の姉よ。椿っていうの。私は、つくしちゃんの味方よ!」
「えぇっ?」
「マキさん、だったかしら?噂になっていた女性。確かに、綺麗だし、仕事もできるっていう話だったけど、写真でみただけだけど、なんとなく、ブリブリしたお嬢さんって感じだったわね。司の趣味にいちいちケチつけるつもりはないんだけれど、あたしはつくしちゃんのような、落ち着いた子が好きだわ。司はいい目をしてるわね。さすがは我が弟!」
いやはや、どちらも私なんですけど・・。

「いえ、お姉さん、誤解で・・」
「まぁ、お姉さんって言ってくれるのね。可愛いわ~。」
「ぐぇっ。」
すごい力で抱きしめられた。確かに、強烈・・かも・・。


「つくしちゃん、お買い物行きましょう!妹ができたら、一緒にお買い物に行くのが夢だったの!ディナーまでには帰るから。ねっ。」
ひぇ~。人の話なんて聞いてないっ!
お姉さんに強引に引きずられる形で、あたしは道明寺の部屋を出て行った。


「時間があまりないわね。デパートにたくさんのブランドが入っているから、今日はそちらにしましょう。」
そう言って、運転手さんに行先を告げて、到着したのは、素晴らしく高級なデパート。
ショーウィンドウにディスプレーされている洋服や小物も、名だたる高級ブランドの品物ばかり。
とてもあたしには着こなせそうもない。
あたしは、ニューヨークはもちろん初めてで、本当なら自由の女神とかメトロポリタン美術館とかに行きたかったんだけれど、ここはセレブ御用達の五番街にある有名デパート。
一応、道明寺が用意してくれたコーディネートだから、たぶん恥はかかないと思うけれど、すごく緊張する。

お姉さんとデパートに入ると、さっと店員さんが挨拶に出てきた。
「道明寺様、ご無沙汰しております。」
「ええ。ありがとう。今日は、私の妹にいろいろ見立てたいの。」
妹!?
驚くあたしだったけれど、店員さんはさすがはプロ。
動揺することなく、あたし達をレディースフロアへ案内した。

「少し自由に選ぶから。ありがとう。」
と店員さんを少し離して、お姉さんがあたしの腕を引いていく。

そこからはすごかった。道明寺なんて比じゃないよ!
次から次へと試着。
一つ気に入った服が見つかれば、それに合わせて全身をコーディネート。
靴やカバン、アクセサリーまでワンセットとして購入。
それを繰り返すのよ!
セレブって、いったいどんな価値観なの?
道明寺の買い物もすごいと思ったけど、お姉さんはその上を行くみたい。

「お姉さん、あたし、こんなに頂いても、着る機会がないです。」
「何を言っているの?これからたくさんあるわよ!」
そうかも知れないけど、今までにも揃えてもらっているし・・。

「そうだっ。いいこと思いついたわ!」
お姉さんはそう言って、別なフロアーへ。

そこには、ランジェリーや部屋着がたくさん。
あたしは、ランジェリーよりもかわいい部屋着に目が釘付けになった。

道明寺からメイド服は禁止って言われているんだけれど、その代わりに着る洋服がなくって、買おうかなって思っていたところだった。
アパートにいる時なら、短パンにTシャツとか、スウェットでよかったんだけれど、恋人の前では、やっぱり可愛いと思われたじゃない?

このモコモコ上下とか、このロングワンピとか、かわいいなぁ。
こんなのなら、このままエプロンして、お料理しても全然大丈夫だよね。
いいなぁ。

「つくしちゃん、それが気に入ったの?」
とお姉さん。
「はい、あたし、道明寺のマンションでメイドしているんす。だから、こういうお洗濯を自分でできるような部屋着が欲しくって。」
「なるほど。も~、つくしちゃんったら、かわいいわね!メイド服じゃ、味気ないものねっ。」
いや、あたしはメイド服でもいいんですけど・・・道明寺がダメって言うから・・・

と答えようと思った瞬間に、
「ということは、二人は同棲しているってわけね?司ってば、やるわね。女になんて興味ないなんて言っておいて、いきなり同棲なんて。」
お姉さん・・何度も言いますが、メイドとして一緒に暮らし始めただけで、同棲では・・・

「つくしちゃん、任せて!案外あいつって、かわいい奴なのよ!彼女が、こんな姿でマンションで待っていたら、泣いて喜ぶわ!」
そんなことを言いながら、手に取っているのは、レースのネグリジェ。
ひょえ~!お姉さん、聞いてました?部屋着ですよ。
そんな悩殺もの着て、どうするんですかっ。


それからあたしは全身の採寸をされ、椿お姉さんに言われるがままにランジェリーを購入。
こんなの着られないよ~という、悩殺ランジェリーをたくさん手に入れてしまった。



 

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対面前に、椿お姉さんを投入!
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ミラノメープルで、あたしは朝まで道明寺と抱き合った。
本当に一晩中だなんて、信じられない。
嫌って言うほどに昇りつめ、昇りつめたら脱力する。
まだ体の高ぶりが収まらないうちに、次が始まる・・の繰り返し。
本当に、どんだけ体力あるのよ!こいつは!
「もうダメ」って何度も言ったのに、全く聞いてもらえなかった。
普段はすっごく優しいのに、この時だけは人が違うみたい。
だけど、そんなこいつも全然嫌じゃないなんて・・・あたし、相当道明寺のことが好きみたい。


朝、目覚めると、もう日は高く昇っていて、とっくにお昼近いんだと分かった。
たぶん、道明寺は視察に行っちゃったみたい。
よろよろと起き上がり、とりあえずシャワーを浴びて、ガウンを羽織った。

リビングに出ると、すでに冷たくなった食事が用意されていた。
その脇にメモ用紙。
「夕方には戻る」
だって。

魔法瓶に入ったコーヒーはまだ暖かくて助かった。
サンドイッチとコーヒーをお腹にいれたあたしは、着替えをしようと思ったけれど、よく考えたら荷物なんて持ってきていない。
昨日のニットワンピも見つからない。

道明寺はいつも海外出張の時には、ホテルに着替えが用意されているから、荷物は持っていかない。メイドとしては助かるんだけれど、あたしはどうしたらいいんだろう?
興味本位で、寝室隣のクローゼットを開けてみて、驚いた。
昨日試着した洋服から、小物まで全てがクローゼットに用意されていたの。
道明寺のスーツとならんで、掛けられている洋服たち。
棚の中には、ニットもある。
何日分の洋服なのかって驚くほどの品ぞろえ。
引き出しを引いてみると、なんと下着までそろっていた。
ありえない・・。

道明寺が妙な顔をする訳だわ。
これほどの洋服なんて、値段がいくらかなんてもう聞く気にもならない。
あたしが払える訳ないもん。
「はぁ。」
思わず溜息。
あたしたち、本当に住む世界が違うのね。
こんなのポンって買える道明寺。
あたしたち、本当にやっていけるのかしら?


でも・・・ふっと考える。
昨日の雑貨屋さん。
道明寺があのお店に入りたかったとはとても思えない。
それでも、あいつはあたしとお店に入り、しつこくマグカップを選ぶあたしに付き合ってくれた。

同じなのかも知れないな。
あたしがあいつの世界に慣れることがないように、あいつにとってもあたしの世界は異世界だと思う。
それでも、あたしが見たいと思うものに付き合ってくれるんだ。

あたしの服を選んでいた道明寺を思い出す。
すごく楽しそうだったな。
あいつが楽しいんだから、それでいいのかも知れない。
あたしにお金を使ってくれるのは申し訳ないけれど、それが道明寺にとっての幸せで。
あたしがマグカップを選ぶ幸せと、きっと違わない。
だから、それをいちいち咎める必要はないんだと思う。

あたし達は、無理やり合わせる必要はないような気がするよ。
だって、どんな道明寺であっても、やっぱりあたしは道明寺が好き。
それで、きっとどんなあたしであっても、道明寺はあたしのことが好きだと思うから。


それでも、ちょっとだけ文句を言おうと思っていたのに、実は西田さんも、美作さんたちも、みんなあたし達を応援していたんだって知って、驚くやら、恥ずかしいやらで、洋服のことなんて頭から吹っ飛んでしまった。

昨夜は、いつの間にか眠ってしまったけれど、
このことだけは覚えてる。
『あたしの方が愛してる。一生そばから離れないから、覚悟して。』
あたしの気持ち、ちゃんと道明寺に伝わったかな?



*****



メープルの30周年記念祭は来年6月から始まる。
メープルホテルにもランクがあり、今回の対象は5つ星のホテルになる。
日本では東京と大阪のメープルが対象で、少し小さめの地方のメープルは対象にはならないが、協賛企画は行われる予定で、現在はその準備に各ホテルが追われている状況だ。
企画は各ホテルに任されているが、記念品は統一するつもりで、ここヨーロッパの革製品や香水などが案に上がっていた。
この記念品の試作品を見ることも今回の出張目的の一つ。


いくつかの試作品の中から1つを決める予定だったが、同行していた牧野が、
「どれもかわいいね。期間中、何回も泊る人もいるから、いろんな記念品があってもいいよね。」
と言ったのをきっかけに、紳士用の小銭入れ、女性用のバッグチャーム、革巻きのボールペン、ブックカバーが最終候補になった。
バッグチャームの形は楓の葉で、牧野がえらく気に入って、試作品をもらっていたのには本当に笑っちまった。はじめはヌメ革のみだったチャームも、牧野が赤い紅葉の色もいいんだけどなぁと言い、それはキーホルダーとして作られることになり、また試作を見に来るなんて勝手にパリのやつらと約束してやがった。
俺は少し離れたところから牧野のことを観察していたんだが、勝手に試作品を見に来ると約束をしている牧野に、俺よりも西田が焦ってたな。どうせ、俺が不機嫌になるとでも思ってるんだろうが。いいぜ、牧野が視察に行くんなら、俺も一緒に行ってやる。


次に香水だったが、実をいうと、俺は牧野に香水を付けさせたくない。
もともとこいつはコロンもつけないやつだから、きっと興味がないんじゃないかと思っていた。
俺は、素の牧野の香りが好きで、たぶん、香っているのは牧野が使うシャンプーの香りだ。
牧野は試作品を腕にちょこっとだけつけて、「うーん」と首をひねっている。
「どうした?」
と聞くと、
「匂いはさ。好き嫌いが大きいよね。つけるにしても、好きな匂いがいいしさ。ヨーロッパの人たちは、結構コロンやトワレを使ってるのかも知れないけど、日本だと、アロマ系の方が人気あるんじゃないかな?アロマオイルやキャンドルとか?でも、あたしだったら、パティシエがつくった特別なクッキーとかの方がうれしい。へへ。」
その言葉で即決。
日本では香水案はなしにして、パティシエに焼き菓子を作らせる方針にする。
確かに牧野の言うように、人種差もあるため、欧米用の香水が必ずしも日本人に合うとは限らない。
しっかし、こいつは香水よりも、やっぱり食い物がいいんだな。
「お前はコロンとかつけてねぇよな。」
と聞いてみると、
「うん。あんまり、興味ないかな。なんか、匂いによっては頭痛くなっちゃうの。」
それを聞いて、俺もドキッ。
俺はずっと自分専用に調合させているコロンを使っている。
もしかして・・こいつ、この匂い、苦手ってこと・・ないよな・・今更。
恐くて聞けねぇ・・。





パリでの仕事が終わり、俺たちは、今、ニューヨークに向かうジェットの中だ。

「ニューヨークについたら、俺の両親にお前を紹介する。」
と俺が告げると、牧野は真剣な表情で、
「あたしもご挨拶したかった。」
と言った。

正直言うと、俺は、牧野が逃げ腰になったり、まだ早いとか騒ぎ出すんじゃないかと思っていた。
だから、ちょっとこの反応は意外で、
「お前、無理してね?」
と尋ねると、
「緊張はしてるけど、大丈夫。」
と返された。

ジェットの中では、ロスに姉貴がいることや、オヤジたちはニューヨーク在住で幼いころからほとんど会うこともなかったとか、仕事をするようになって会話するようになったとか、そんな話をしていた。

「ねぇ、道明寺のお姉さんって、どんな人?」
「姉貴か。頭が上がんねぇんだよな。強烈で。」
「強烈?」
「お前のこと見たら、めちゃくちゃ喜ぶんじゃねぇかな。」
「ん?なんで?」
「あぁ。昔から、妹が欲しいとか言ってたし。」
「そっかぁ。あたしもお姉ちゃんが欲しかったなぁ。」

「じゃあ、お父さんはどんな人?」
「・・。どんなも、こんなもねぇな。オヤジはオヤジ。」
「ええぇ?ほら、恐いとか、優しいとかそんなのは?」
「わかんねぇな。」
「本当に?」
「最近会ってねえし。会っても、仕事の話しかしてねぇし。」
「ふーん。」

「じゃ・・じゃあさ。お母さんは?」
「ババァか。あれは、魔女だな。いや、鉄の女か。」
「恐い?」
「恐くはねぇけど。でも、ビジネス第一だから、油断なんねぇ。」
「あたし達のこと、反対すると思う?」
「それは、どうかな。蓋を開けてみねぇとわかんねぇな。どうした、恐くなったか?」
ううん、と首を振る牧野。
「あたし、早く、社長にお会いしたいの。」
「なんで?」
「なんでも。」
ふーん。
なんか妙だが、こいつが怖気付いてねぇってことは確かだ。
まぁ、よしとするか。



「あふぅ・・」
とこいつが、眠そうにあくびをしている。
「少し寝ろよ。」
と、ブランケットを膝にかけてやる。
「ねぇ、そのジャケット貸して?」

ん?何でだ?と思いつつも、脱いであった俺のスーツのジャケットを渡してやる。
それを肩にかけて、ゆっくりと瞳を閉じる牧野。

「この匂い・・好き。落ち着くの。」
そう言って、ちょっと微笑みながら、眠りについた。


お前、俺が今、どんだけホッとしたか知らねぇだろ。
本当にこいつには適わない。
意識もせずに、俺が欲しい言葉をくれるんだからな。



 

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最終コーナーを回っていきます!
  1. 理想の恋人
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あたし達は手をつなぎながら街を巡った。
さすがは、お洒落の街。
ウィンドウに飾られている雑貨も、ハイセンス。
一々感動するあたしに呆れながらも、道明寺は雑貨屋さんにも一緒に入ってくれた。

マンションに揃えられている食器類は、もちろん一流ブランドのものばかり。
でもあたしは、こういう可愛いマグカップで、一緒に温かいコーヒーやココアを飲みたいの。
それで、散々吟味して、道明寺にはライオン柄の、あたしはシロクマ柄のおそろいのマグカップを買ってもらった。
は~、満足。


それで、夜になって、ミラノメープルに入った。
東京メープルもすごく豪華だけれど、ミラノメープルもすごい。
思ったよりも近代的な建物でびっくりしたけれど、内装は豪華。
あたしはどこのメープルにも泊ったことなんてない。
本当にあたし場違いだなぁ、なんて思っていたら、隣では総支配人が出てきて、道明寺に挨拶をしている。
その間も、あたし達は手をつないだままで・・
誰に見られてもいいという道明寺の態度が、あたしに安心をくれた。
 
 
あたし達は一緒に、インペリアルスウィートに通された。
お部屋の中も思っていたより近代的で、ハイセンス。
「すごい、お洒落な部屋だね、道明寺。」
と彼を振り返ろうとした途端に、背後から抱きすくめられた。

「もう、限界。」
そんなことを言う彼に、あたしは笑ってしまった。
だって、こどもみたいなんだもん。

「笑ってんなよ。」
と言って、道明寺があたしのコートを脱がせて、V字に開いたニットの開きから大きな手を突っ込んできた。

彼の右手はあたしの胸を揉んで、左手はあたしの顔を振り向かせて、息をつく間もないほどにキスをせがまれた。



*****



牧野と初めてデートした。
今までだって隣にいたのに、恋人として牧野を連れて歩ける幸せは格別。
俺がチョイスしたニットワンピースが良く似合っている。

ミラノの街に素直に感動しているこいつも可愛ければ、
真剣にペアカップを選ぶこいつも愛おしい。


この俺がこの観光に付き合い、雑貨屋なんかを巡った理由。
お前、分かってねぇんだろうな。
もちろん、お前が喜ぶ姿が見たかったってのも本当だけど、お前をたくさん楽しませて、その代わりに夜は俺を楽しませて欲しいからだ、何て言ったら怒るだろうな。

そのニットだって、なんで深めのVネックを選んだか。
こうして、後ろから手を入れてみたかったからだ。
そんで、無理やり振り向かせて、お前の唇を襲いたいからに決まってんだろ?




俺は、本当に一晩中、牧野を抱いた。
つーか、抱き潰した。
牧野には何度も、「もう、無理。」と言われた。
それなのに、抱き続けるおれは鬼畜なんだろうな。
いくら抱いても足りない・・
牧野を独占したくて仕方がないんだ。
最後に意識を飛ばした牧野は、もうそこから目覚めることはなかった。


そんな牧野を連れて歩けるはずもなく、イタリア北部への視察は俺と西田で出掛けた。
ベッドに沈みこむ牧野。
こんな姿を他の誰にも見せらえねぇ。
ルームサービスを頼み、昼食までしっかり準備をしてから、誰も部屋に入れないようにきつくSPに言い渡した。

「夕方にはホテルに戻る」
というメモを残して、俺は名残惜しく、部屋を後にした。




イタリア北部の航空・宇宙関連の企業を視察し、夕方予定通りホテルに戻った。
明日はパリに移動して、メープル創業30周年の企画について、メープルヨーロッパの代表者たちと話し合いを持つ予定だ。
その後は、業務報告のためニューヨーク寄るつもりでいる。
その時には、オヤジやババァに牧野を紹介したい。
牧野がマキをやめた時点で、俺の覚悟は決まっている。
牧野と結婚する。
ひとまずは、婚約発表だけでもしておきたい。
誰にも文句は言わせねぇ。



西田と一緒にスウィートルームに戻ると、
「おかえりっ。」
と走り寄ってくる牧野。
元気な姿にホッとする。
その牧野を思いっきり抱きしめると、
「ぐぇっ。」
腹にパンチを食らった。
「にっ、西田さんがみてるでしょっ。」
と焦りまくりの牧野。

お前、ホントどこまで鈍いんだよ。
俺たちのことなんて、とっくに西田にばれてんだよ。

「では、明日は早朝6時にはホテルを出て、パリへ向かいますので。朝食は機内でご用意します。牧野さん、おかげ様で、支社長の働きぶりには目を見張るものがございます。これからも、支社長のこと、どうかよろしくお願いいたします。」
「へ?」

去って行く西田を見ながら、
「どういうこと?」
と聞く牧野。だから、教えてやった。
「西田は初めから、俺とグル。それから、あいつらF3も。」
「うっそ~!?」
「ホント。」

ポカーンとしたままの牧野をソファへ導いた。
「メシ。まだだろ?ルームサービス頼んであるから、ゆっくり食おうぜ。」



*****



「信じらんない!!」

やべぇ。飲ませ過ぎたか・・。
シャンパンで乾杯したあと、ワインを二杯飲んだだけなのに、この有り様だ。
ぐでんぐでんに酔った牧野が、俺に悪態をついてくる。
その姿も可愛んだけどよ。

「だから、仕方なかったんだよ。お前、鈍すぎて、俺のこと男としてみようともしてなかっただろ?それに、恋人役にしたり、マキを秘書にしたりするには、西田の協力が必要だろうが。だいたい、名前がマキってだけの女を、普通雇わねぇだろうがよ。言っとくけど、西田は率先して協力してたぜ。」

「花沢さんも、美作さんも、西門さんも?」
「あいつらは半分遊んでたけどな。あいつらも、お前の鈍感っぷりにはビビったんじゃねぇかな。」

「鈍感、鈍感言うな!」

ゆらゆら揺れながら、俺の胸を叩いて、
「じゃあ、もしっ、もし、あたしが道明寺を好きにならなかったら、どうなってたの?」

「まぁ、俺も、お前の鈍さには正直呆れて、焦った時もあったけど、でも、ぜってぇ落としてやるって思ってたから、お前が俺を好きにならないっつー考えはなかった。時間がかかっただけだな。」
「うう~!自意識過剰男!」
「実際、好きになったんだから、結果オーライだろ?」
「ますます、ムカつく!」
だんだん、力が入らなくなってきたようで、俺の胸にもたれかかってくる。


「牧野、ベッド行くか?」
と甘くささやく俺。
俺にもたれかかってやがる癖に、こいつの答えは、
「行かない。」

ぷっ。もう、自分で立てねぇだろうが。
「行かないってばっ。」
抱き上げようとする俺に、抵抗を見せる。

「あたし、つらかった。道明寺が、優しいのが、つらかったの。ふぇ~ん。このバカ男め。好きなら、好きって早く言え!」

ったく。
俺だって、言いたかったっつーの。
鈍感女に言われたくねぇよ。
でも、牧野がこんな風に思ってくれてたなんて、ぐっとくる。
ゴメンな牧野。
でも、もう俺のもんだから、絶対に幸せにするから、許せよな。


「牧野、愛してる。一生大切にするから。許して。」
そう言った俺に、牧野は顔を上げて、
「あたしの方が愛してる。一生そばから離れないから、覚悟して。」
と宣戦布告。
ホントこいつには飽きねぇよ。


「望むところだ。」
そう返した俺に、牧野の腕が伸びてきて、俺の首に回された。
牧野が俺の首を引き下ろす。
全く力が入ってねぇけど、俺から近づいていってやる。
それから、牧野の唇がゆくりと近づいて・・。

初めての牧野からのキス。
俺の心が満たされる。
俺は今までちょっと焦ってた。
こいつが俺を想うより、俺のほうが想ってるって。
だから不安で、こいつを抱かずにはいられないのかも知れない。
俺から離れて行かないように。
けど、こいつからのキスで気が付いた。
こいつは十分俺に惚れてるな。
思わず、ニンマリ笑う俺。


そのまま、コロンと俺の胸に落ちてくる牧野。
仕方ねぇな。
俺は牧野を抱き上げて、ベッドルームへ向かった。

大切に大切に牧野を抱きしめて、その晩はゆっくり眠った。



 

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甘々な感じを書きたかったんですよね。
そろそろ、坊ちゃんが落ち着いたので、先に進みます(笑)。
  1. 理想の恋人
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あたしは今、機上の人。
道明寺のプライベートジェットの中。
隣には、超ご機嫌な道明寺が仕事中。


今日から道明寺はヨーロッパ出張で、有無を言わさず、あたしも同行させられた。
そういえば、少し前に、西田さんにパスポートの確認をされたっけ。
そのまま、パスポートは西田さん預かりになったはずだけど、こんな時に使われるとは。


シャワールームで・・その・・抱き合ってから・・
あたしは、ベッドに沈んでいた。
あんな姿勢でするなんて・・信じられない・・
でも、あたしを求めてくれる道明寺がうれしくて、拒否なんてできなかった。
体に力が入らなくて、とてもすぐには起き上がれそうもなく、朝食の準備もできずにいた。
そのうちに道明寺がどこかへ電話をして、そのままあたしの部屋から、適当に下着やワンピースを選んできた。

「やだっ!勝手にクローゼット覗かないで!」
「何で?お前だって、俺のクローゼット覗いてんじゃん。」
いや、そうだけど。そうだけどっ。それとこれとは違うでしょっ。


文句を言いたくても、体が言うことをきかず、結局道明寺になされるがまま。
あたしを抱えて着替えさせようとする道明寺。
あたしは焦って、なんとか下着は自分でつけたけど、そのあとは道明寺がワンピースをかぶせただけの恰好。
何から、何まで、ありえない・・・。
なんで、そんなに道明寺が急いでいたかというと、どうやらフライト時刻が迫っていたからみたい。
食事もせずにあたしを抱きかかえて、リムジンに乗り、お邸のプライベートエアポートにやって来たんだ。



ぼーっと隣の道明寺を見てしまう。
こっ、この人と、あっあたしが、あんなこと・・
うきゃー恥ずかしいっ!

一旦視線を外したものの、チラチラ見てしまう。
こいつって、やっぱり、カッコイイよね。
手足、長いよね。
実は、まつげもめちゃ長いんだよね。
こいつの腕枕って、気持ちいいんだよね。
腕っていうか、腕の付け根ぐらいがちょうどよかったな。
道明寺は体温が高いから、一緒にいると気持ちがいい。
ずっとくっついていたくなる。
手をつなぐだけじゃ、もう満足できないかも・・


初めての経験は、やっぱり予想通り痛かった。
でも、それ以上に幸せだった。
何でも手にしている道明寺なのに、必死にあたしを求めてきた。
そんな彼の望みは、何でも叶えてあげたくなった。
お風呂での体験は想像を絶していたけれど、
あたし以外抱いたことがないなんて信じられなかったけど、
そんなことはどうでもよくて、
ただただ、道明寺を幸せにしてあげたかった。

この気持ちが「愛する」ってことなんじゃないかな。
あたしは昨日はいっぱいいっぱいで、そんな気持ちを伝えることはできなかった。
でも、これからはきちんと伝えたいと思ってる。

 
そんなことを考えていると、隣の道明寺がこちらを振り向いた。
「なんだよ、俺がカッコよすぎて、見惚れてんのか?」
 
うっ。図星?
「ちっ、違うから。つっ、疲れてるのに、そうやって書類に目を通しているのはさすがだなって、感心していたの。」
「誰のせいだよ。つーか、俺、疲れてねぇけど。むしろ、パワーみなぎってんぜ。お前こそ、体大丈夫かよ。無理させてわりぃ。けど、お前ひとりマンションに残して行けねぇよ。」

その心遣いに思わずじーんと感動しちゃったけど、よーく考えたら、あんたが悪いんだよね。
しかも、そんなこと、大きな声で言わないでっ。
西田さんが見てるからっ!

しかし、こいつ、本当に疲れてないのかしら?
「道明寺、本当に疲れてないの?」
「あぁ。」
「すごい体力だね。」
「まぁな。もともと、数日徹夜ぐらいはできるし。」
「そうなんだ。」
そっか、仕事が忙しかったら、眠る時間もないもんね。

「お前はもう少し体力つけた方がいいな。」
「え?」
「俺は一晩中でも抱いていたい。」
えぇ~!
思わず、道明寺の口を手で塞いだ。
「大きな声、出さないで!それに、あたし、結構体力ある方なんだからね。あんたがおかしいの!」
焦りまくるあたしに向かって、道明寺が言った。
「お前の声の方がうるせぇよ。」

はっとして、振り返った時に、西田さんと目が合った気がしたけど・・・
気のせい・・だよね?

 

「そんなにカリカリしてんなよ。イタリア、初めてなんだろ?楽しもうぜ。」
いや、カリカリなんてしてないし。
でもさ、こいつって、本当に優しいんだよねぇ。
初めて会った頃は、傲慢なバカ坊ちゃんって思っていたのが、嘘のよう。
あの時は、道明寺を好きになるなんて考えもしなかった。
人生って、何が起こるか本当に分からない。
 

 
*****
 

 
降り立ったのは、イタリアのマルペンサ空港。
プライベートジェットを降りると、すぐさま用意されたリムジンへ乗り込んだ。

  
時間は午後3時ぐらいだ。
これからどこに行くんだろう。
 
キョロキョロと辺りを見渡すと、だんだんとミラノの街並みが見えてきた。
「道明寺、今からホテルに行くの?」
「いや。観光しようぜ。」
「観光??仕事で来てるのに??」
「じゃあ、お前、その手に持ってるもんは何なんだよ。」
 
・・・アハハ。そうでした。
あたしの手にはガイドブック。
だって、西田さんが、ジェットに乗る前に渡してくれたんだもん。
 
「まぁ、明日の朝から、北部の企業の視察に行くけど、今日は移動だけだから。ちょっとミラノの街でも歩こうぜ。時差あるから、眠くなったら言えよ。」
 
時差って言っても、飛行機で寝ちゃったから、日本では夜のはずなのに、あんまり眠くないな。
二人でミラノの街を歩けるなんて、すごくうれしいけど・・
 
「道明寺、無理しないでよ。明日だって早いんでしょ。」
「構わねぇよ。いつもより、スケジュールには余裕があんだよ。それに、牧野とデートするのって、実は初めてなんじゃねぇの。」
そう言って、微笑む道明寺。

 
そうなんだよね。
いつも道明寺と外に出ている時は「マキ」になっていたから、「つくし」のままで道明寺と外を歩くなんて、確かに初めてだ。
今までだって一緒にいたのに、「牧野つくし」として隣を歩ける幸せは、言葉では表現できない。


「でも、その前に、お前着替えた方がいいな。」
「ん?」
「薄着すぎるだろ。10月末のミラノは寒いから。」
そうだった。あたしったら、下着とワンピと薄手のコート。
確かにこれじゃ、恥ずかしいかも・・。


そう言われて到着したのは、たぶん道明寺が行きつけのお店?
あたし達が店内に入ると、すぐに店員さんが駆け寄って、挨拶を始めた。
イタリア語だ。
道明寺の口から出るイタリア語にも驚いちゃった。
あたし、イタリア語は全くダメだし。
やっぱり・・カッコイイな・・なんて思わずニヤけちゃうあたし。
おかしいなぁ、あたし面食いじゃないはずなんだけどな。


「何、ニヤニヤしてんだよ。時間ねぇから、俺が適当に選んでいいよな?」
こんな、高級感あふれるお店で、あたしが選べるはずもない。
「うん。お願いします。」
「なんかいいな。こういうの。」
道明寺がうれしそう。
「何が?」
「恋人の服を選ぶって良くね?」
「そう?」
そういう気持ちってよくわからないけど・・。
「そういえば、あたし、何も持ってきてない。お財布もないし・・。」
そう言ったあたしを、キョトン見つめる道明寺。
「立て替えておいてもらったら、後で払うから。」
「立て替える?」
「うん。日本に帰ったら払うから、後で金額教えてね。」
道明寺が、珍しいものでも見るみたいにあたしを見つめてる。
何か変なこと言ったかしらね?

その後道明寺は無言であたしを連れて、ショップ内を眺めて、いくつか適当に試着をさせた。
「ん。可愛い。次。」
「あぁ、そのニットは色違いも。」
「そのワンピースいいな、持ってきて。」
と、次々を支持を出す道明寺だったけど、いったいどれを気に入ったんだろう?
はて?

それで、最後に着替えたのは、白のモヘアのニットワンピース。
V字に空いた襟元がちょっとセクシー?
それを見た道明寺が、
「これ、着て帰るから。」
と声をかけると、その後には、タイツとブーツが用意され、なぜか、メイクまでしていただき、ショート丈のコートを羽織らされた。
あっという間に完成。
あっ、かわいいかも・・。
でも、これ、いくらするんだろ・・。
店内で交わされている会話はイタリア語だし、商品に値段が付いてないの。
あたしのお給料、無くなるかな・・。


着替えて出てきたあたしを満足そうに見つめて、道明寺が言った。
「めちゃくちゃ可愛い。」
うわっ。なんで、そんな甘い顔するのよっ。照れちゃうじゃないの!
「ありがと・・。でもさ、これ、いくらしたの?」
あたしは下を向いて、照れ隠しにお値段を聞いてみた。
すると、突然不機嫌になる彼。
「お前は、俺が自分の恋人に金を払わすと思ってんのか?」

「プレゼントに決まってんだろ!野暮なこと聞くな。」
そう言って、あたしの手をつなぎ、どんどん歩き出した。




それからあたしたちは、しばらくミラノの街をふらふらと歩いた。
洗練されたファッションの街としての近代的なミラノと、歴史的な建物がところどころにみられて面白い。

中央の広場には、ドゥオーモ。
ガイドブックの写真とまったく同じだけど、とてつもなく大きい。
内部のステンドグラスから入る光が幻想的。
 
「わぁ。」
思わず声を漏らしてしまった。
クスっと小さな笑い声がして、見上げると、
「お前のその反応、すげぇ新鮮。」
とちょっと馬鹿にした感じの道明寺。
 
だって、ヨーロッパなんて初めてなんだよ。
感動だってするってもんよ。
ふーんだ!と思って、あいつの手を放そうとしたんだけれど、これががっちり握られていて離せない。
しっかり、恋人つなぎをされている。
 
「道明寺、今、写真とか撮られちゃったらどうする?」
って言ったら、
「その方が好都合。」
だって。
 

今、デートをスクープされたら、きっと日本では大騒ぎされるんだろうな。
でも、もういいや。
あたしは、どう頑張ったって、お嬢様になれるはずもない。
でも、そんなあたしのことを道明寺が全身で求めてくれている。
道明寺の隣に立つ条件に、これ以上のことなんてきっとない。
これから、あたしには、きっといろんな困難があるんだろう。
だけどあたしは、もう踏み出してしまった。
どんなことがあっても、ずっと道明寺の隣にいたいと思う。

楓社長も言っていたもの。
困難は二人で乗り越えて行けばいいんだ。
あたしは一人じゃない。
ずっと道明寺と一緒なんだから。


そんな思いを込めて、
あたしは、握られた手を、しっかりと握り返した。


 

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いつも応援ありがとうございます。
つくし目線でのまったり道中でした。
あれこれ書いたら、長くなっちゃいました・・。
  1. 理想の恋人
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文章中に性的表現を含みます。
苦手な方や18歳未満の方は、ご遠慮くださいませ。
*****



朝起きると、俺の腕の中には全裸の牧野。
その首筋には、俺が散らした花弁。
俺が夢にまでみた光景。
俺の腕枕で眠るこいつの髪を撫でる。


昨日は、マジで半端なかった。
好きな女を抱くってことが、これほど幸せだなんて。
もう、こいつがいなきゃ、生きていけねぇよ。
昨日は加減できなくてごめんなと思うのに、正直言うと、まだまだ全然足りない。

本当は一回だけじゃなくて、もう一回、いやもう三回はしたかったけど、牧野のことを思うと無理はさせられなかった。

時計を見ると、朝6時。
あぁ、せめてもう一回やりてぇ。
だって、俺、どんだけ我慢したと思ってんだよ。
往生際悪く、寝ている牧野の頬にチュッとキスをする。
その刺激で、牧野が眠りから覚めたみたいだ。
ゆっくりと目を開きながら、ぼーっとして俺を見ている。
しばしばと瞬きを繰り返しているこいつに、
「はよ。」
と朝の挨拶。

すると急に我に返った牧野が、
「きゃっ。」
と俺から離れようとする。
バーカ。離すかよっ。
俺は、もう一度牧野を抱きしめなおした。

観念した牧野が、俺を見上げて、
「おはよう、道明寺。」
と微笑んだ。
あぁ、俺、すげぇ幸せ。


いつまでも幸せに浸っていたい俺なのに、こいつは案外現実的で、
「あっ、時間。大丈夫なの?」
なんて言ってくる。
「大丈夫だから、もう少しこのまま。」
「も~。そうだ、シャワーしなきゃ。シャワー行ってきて。」
「一緒に行くか?」
「ダメっ。」
「何で?」
「何でって・・。明るいところは恥ずかしいもん。」

はぁ?
今更、何言ってんだよ。

俺がそっと掛けていたブランケットを捲ろうしているのに気づいて、
「ダメっ。」
と本気で怒っている。
「いいじゃん別に。」
「ダメったら、ダメなの!」
「何怒ってんだよ。」
「怒ってない。」
「怒ってんだろ?」

だんだん甘い雰囲気が薄れてきた。
こいつが何をそんなにダメ、ダメ言ってんのか分かんねぇ。

「分かったよ。嫌がることはしない。」
そう言って、抱いていた腕を緩めた俺に、牧野がちょっと焦ったみたいだ。

「だって・・。だって、あたし、貧弱だし。道明寺が今まで付き合っていた人と比べられたくないんだもん。」
そう言って、俯くこいつ。

あ?こいつ、何勘違いしてんだ?
そんなこと気にしてんのかよ。

「比べなきゃ、見ていいのか?」
「比べるでしょ?」
「比べない。」
「嘘つき。」

俺はニヤっと笑い、強引にブランケットを捲りあげた。
「やっ。ダメだって。」
慌てて両腕で胸を隠している牧野。
他は全部丸見えだっつーの。

俺はそのまま牧野を抱き上げて、シャワールームへ向かった。
威勢の良かった牧野が、びっくりして言葉もなく俺を見上げている。


シャワールームに降ろして、言ってやった。
「牧野以外の女なんて抱いてないから、比べようもない。」

牧野の大きな目が、見開かれる。
「うそ・・」
そう言う口を、キスで塞ぐ。

「だから、いいだろ?」


それだけ告げて、後は俺のペース。
コックをひねって、二人でシャワーを浴び、シャワーを浴びながらキスをする。
キスをしながら、俺の手が牧野の全身を這っていく。
牧野の乳首を捻りながら、首筋に吸い付いた。

「どっ、道明寺・・ここじゃ・・」
濡れ髪が張り付いた、牧野の顔にそそられる。
ヤバイ。止められそうにない・・。
でも、ここにはゴムがない。
止めなきゃいけないことは分かっているのに、俺は自分の欲望を抑えきれず、
牧野の片足をバスタブに掛けた。

「あっ。」
と言いながら俺にしがみ付く牧野。
牧野の中に指を出し入れし、ゆっくりと刺激していく俺。
「ああ・・ん。」
と俺にしがみ付いた牧野の腕に力が入った。
ここまでだ、ここまでにしないと・・

頭では分かっているのに、次の自分の行動に驚く。
俺の理性は、牧野の前には無いも同然のようだ。

「牧野、ゴメン。このまま。」
牧野からの返事なんて聞けないまま、
俺は牧野の片足を引き上げて、彼女の背中を壁に押し付けた。
「ひゃん。」
という牧野の声。

牧野の腰を支えて、そのまま下から彼女の中に入った。
「あぁぁんっ」
と牧野が俺に手を伸ばして抱き付いてくる。
この密着がまた堪らない。
俺はこいつのもう片方の足も引き上げた。
壁に押し付けた背中が痛くないように、しっかり抱きしめたい。
「牧野、しっかり俺に足、絡めろ。」
「ふぇ・・。やだぁ・・。」
んこと言っても、もう両足浮かせているんだから、俺に絡みつくしかねぇだろ。
涙声の牧野に、俺の征服欲が刺激される。
嫌がることはしないと言いながら、俺の暴走は止まらない。
そんな感情も初めての経験。


絡みつく牧野を抱きしめ返して、俺は下から突き上げた。
「どっ、みょう、じっ。はっ、うっ。」
「最後までは・・しねぇ、から、このままっ。」
そのまま、どんどん加速させていく俺。

「ああぁぁ。」
と俺にぐっと抱き付いてから、弛緩していく牧野。
俺はぐっとこらえて、ギリギリのところで牧野から抜き出し、牧野をきつく抱きしめたまま、外に吐き出した。


荒い息を何とか落ち着けて、
そのまま倒れこみそうになる牧野を抱え直して、
それから、もう一度シャワーを浴びた。
牧野は放心した状態で、俺に全て預けていた。




牧野をベッドルームへ運んでやると、
「この、野獣め!」
とうつ伏せのまま、俺を睨む牧野。

そりゃそうだ。
2回目で、あの体位はねぇな。
「次は、もっと優しくするから。」
「そっ、そーいうことじゃないからっ。」

真っ赤になって、文句を言う牧野にもう一度教えてやった。
「仕方ねぇだろ。俺も男だし。お前しか知らねぇんだから。」
俺はお前しか抱きたくない。
もう、その欲望も隠したくない。
そのままの俺を愛してほしい。


そんな俺の気持ちなんて、こいつには分からねぇんだろうな。
「昨日までの紳士的な道明寺が、懐かしい。」
なんて言いやがる。
「ぷっ、残念だったな。もう、俺のもんだから、逃がさねぇよ。」
「こんなにされたら、逃げられないよ。」

そう言いながら、二人で笑い合った・・
____最高の朝!



 

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おはようございます。
朝からこんなお話ですみません。
でも、どうしても、「昨日までの紳士的な道明寺が、懐かしい。」
これを言わせたかったのです。
だから、ちょっとだけ暴走させちゃいました。
  1. 理想の恋人
  2. / comment:2
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本文中に性的表現を含みます。
大したことはないですが、18歳未満の方や、苦手な方はご遠慮くださいませ。
*****


『ずっとつくしと一緒にいてね。』

あたし、やっと覚悟ができたの。
道明寺の隣にずっといたい。

そう思って、じっと道明寺を見つめると、彼から優しい優しいキスが降ってきた。
それから、
「今夜はずっと一緒にいたい。」
と耳元でささやかれる。

あたしはコクッと頷いた。
恥ずかしくて、道明寺の顔が見られないよ。
でも、あたしだって、覚悟はできてる。
頷いたとたんに道明寺に完全にホールドされて、頭や耳にキスが落ちてきた。
せっかく淹れたココアは飲んでいないのに、もうそんな雰囲気じゃない。


「まっ、待って。シャワー、しよ。」
真っ赤になって言うあたしに、ちょっとだけ溜息をついて、
「OK。一緒に入るか?」
なんて言う道明寺。
目を見開いて驚くあたしのおでこをチョンとつついて、
「冗談だ。シャワーして来いよ。待ってる。」
あたしは、コクコク頷いて、急いで自分の部屋へ戻った。


いつもより念入りに体を洗った。
これから起こることに不安が強い。
だって・・だって、あたし、初めてなんだもん。
緊張するなってほうが、無理だよ。

シャワーだけのつもりが、浴槽にまでつかってしまい、余計なことがグルグルと頭を巡った。
道明寺は、いろんな人と経験があるんだろうなとか。
あたし、こんなに貧弱で大丈夫かなとか。
痛くてできなかったらどうしようとか。
道明寺に呆れられちゃったらどうしようとか。
そうだ、ブラはどれにしよう。
優紀に無理やり買わされた、勝負ブラ?
今まで一度も登場したことはないけど・・
いや、それはやる気満々すぎる?
さすがにベージュはないよね。
上下おそろいのやつなら、やっぱりピンクのレースのやつかな。
あれ?そういえば、道明寺は晩御飯食べたのかなぁ・・・

なんて考えていた時、『ガチャ』っと、浴室のドアが開いた。

ええっっ。
驚きすぎて、声も出ない。
だって、だって、道明寺がこっちを見てるんだもん!!

「はぁ~。お前、ビビらせんなよ。怖気づいて、脱走したかと思っただろ。いつまで風呂入ってんだよ!」
「脱走って・・」
「まぁ、いいわ。早くあがれよ。」
「ハイ・・。」
あっ、泡のお風呂でよかった~。
けど、普通、お風呂まで見に来る?
あたしって、どれだけ信用されてないのかしら?


それからあたしは慌てて浴槽からあがり、バスタオルで体を拭いて、とりあえず、バスローブを纏った。
髪は簡単にタオルドライして、下着・・・
しまった・・。下着は向こうのクローゼットだ。
まさか、道明寺、自分の部屋に戻ってるよね?
あたしの部屋で待ってるってことはないよね?

いませんように・・・という願いを込めて、ドアを開けたけど・・
やっぱり、部屋のベッドに道明寺が腰かけて待っていた。
あうっ、こいつもバスローブ姿だわ。
どうしよう、どうしよう。
下着なしって、どんだけやる気満々なの、あたしっ!


「大丈夫か?具合でもわりぃの?」
ブンブン首を横に振るあたし。
道明寺が近づいてくる。
あうっ、あうっ、どうしよう。

「ちゃんと乾かせよ。風邪ひく。」
と言いながら、あたしが持っていたタオルで、あたしの頭をガシガシと拭き始めた。
「ねぇ、自分でするから、部屋で待ってて?」
そう言ってみたけど、
「ヤダ。」
「すぐ行くから。」
「ヤダ。」
そんなことを言う道明寺がかわいくて、緊張していたはずなのに、笑ってしまった。



そんなあたしに安心したように、道明寺の顔が近づいてきた。
そのキスがどんどん深くなる。
頭がぼーっとして、立っていられなくなる。
それで、彼のローブをぎゅっとつかんだ。
 
すると、あっと思う間に、視界が揺れて、あたしは道明寺に抱き上げられていた。
恥ずかしくて、道明寺の首に腕を回して顔を隠した。
そのままあたしの部屋を出て行く道明寺。
リビングを通りこして、奥のベッドルームへ入った。
 
ベッドにゆっくりと降ろされて、
道明寺の大きな手で、あたしは頭をロックされながら、息もつけないほどのキスを繰り返す。
どこにも逃げないから、安心して・・・
あたしは道明寺の背中に手を回した。

キスが耳元に、首筋にどんどん降りてきて、バスローブが開かれた。
あぁ、ブラの心配なんて全くいらなかったのね・・・
お部屋が薄暗くて良かった・・・
あんまりしっかり見られたら、恥ずかしいもん。
 

そして、道明寺もガウンを脱ぎ捨てた。
全裸の彼のシルエットはすっごく綺麗で、この世の人ではないみたい。
この人があたしの恋人なの?

彼があたしの上にまたがり、じーっとあたしのことを見おろしている。
居た堪れない・・。
なんでそんなに見つめるの?
道明寺が動かずにじっとしているから、心配になる。
「どうしたの?」
と、両手を上げて彼の頬を包んだとたん、彼にその手を縫い止められて、そのまま彼の唇があたしの乳首に吸い付いた。
 
「あぁっんっ。」
胸を吸われる刺激で、全身がびくっと揺れた。
繰り返される刺激で下半身が疼く。
胸にも、背中にも、足にも、全身にキスが落とされる。
その間もずっと、
「牧野、好きだ、愛してる。」
と囁く道明寺。
何か言葉を返そうと思っても、初めて受ける刺激を受け止めるだけで精一杯で、とても言葉なんて出せなかった。
 

自分ですら見たこともないところにまで、道明寺にキスをされ、その快楽に身もだえする。
道明寺が、あたしの入り口を舐めては吸い上げる。
信じられない、こんなこと。
それなのに、体は反応していく。
震えが止まらなくなる。
「あぁぁ・・」
あたしは、握られていた道明寺の手に、ぎゅっと力を込めた。
 
 

*****

 
 
こいつが俺に身を任せてくれる。
それが、これほど幸せだなんて、知らなかった。
こいつに出会うまでの俺は、女を抱こうなんて思いもしなかった。
それがどうだ。今の俺は、こいつが欲しくて欲しくて仕方がない。


『今夜はずっと一緒にいたい』
と言った俺に、頷いてくれた牧野。
その瞬間から、俺の頭はもうこいつでいっぱいで、はっきり言ってシャワーなんていらねぇよと思ったが、ぐっとこらえて、シャワーを浴びた。
なかなか部屋から出てこない牧野を待ちきれなくて、こいつの部屋まで押しかけた。
どんだけ焦ってんだっつーの、俺。

バスローブ姿なんてみたら、やっぱり抑えが効かなくて、その場に押し倒しそうだったけど、牧野の部屋には、ゴムがねぇ。
俺は牧野を抱きかかえて、速足で自分の寝室に戻った。


ローブを脱がせたこいつをみたら、これからすることが牧野にとって滅茶苦茶つらいことかも知れないという思いが沸き出てきて、一瞬だけ戸惑った。
でも、牧野が俺の頬を包んだ瞬間、スイッチが入って、やっぱり止められる訳もなくて、そこからは一秒たりとも止まれなかった。
 

牧野の乳首に吸い付いた。
そんで、もう片方の胸をやわやわと揉んでいく。
すげぇ、柔らかい。
それだけのことなのに、俺の下半身にぐっと血液が回るのが分かった。
ヤバイな、俺。

それでも大切なこいつを自分の都合なんかで抱きたくない。
できるだけ優しくしてやりたい。
牧野の中に、一本ずつ指を這わせていく。
二本入れるのもやっとな状態だったが、ゆっくりとほぐしていった。
こいつはすでに言葉もなくて、俺になされるがままだったけど、漏れてくる声や、俺の手をぎゅっと握る仕草で、こいつも感じてるってことが分かった。
 

俺の指と口で、丹念に愛撫を繰り返す。
牧野から蜜があふれ出す。
俺も、もう限界だ。

「牧野、入れるぞ。」
そう声をかけると、トロンとした瞳でコクンと頷き、
俺の首に腕を回した。
 
俺のものが入口に当たるだけで、腰が引けそうなこいつをしっかりと抱きとめて、俺はゆっくり進んでいった。
「んんんっ。」
苦しそうな牧野の声。
予想していたことだったけど、やっぱり俺もつらくなった。
でも、次の瞬間には、予想以上の快感が俺を襲って、俺の理性はそこで完全に途切れた。
 
 
はっきり言って、それ以降の記憶はほとんどない。
断片的な記憶があるだけだ。
牧野が俺の背中に立てる爪の痛みと、半端ない快感。
優しくしようとか、そんな思いは吹っ飛んでいた。
激しく動く自分の息遣いと、牧野の喘ぎ声。
打ちつける皮膚の響きと、俺たちの体液が奏でる水音。
深い挿入を繰り返す俺と、それを包み込む牧野。
そのすべてが俺を興奮させる。
 
 
二人の人間が一つになる瞬間。
俺の今までの人生で、一番幸せだと思える瞬間。
その瞬間を少しでも長く感じていたくて、俺はぎゅっと牧野を抱きしめた。
 


 

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頑張ったんですが、この程度でご勘弁を(笑)。
  1. 理想の恋人
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今日は道明寺の帰宅が夜中になるから、あたしはタマ先輩と一緒に夕食をとり、スーパーで買い物をしてから、ゆっくりとマンションへ戻った。
 
社長の言葉で、あたしは道明寺の胸の中に飛び込む決心がついた。
道明寺、早く帰って来ないかな。
早く会いたいな。
あたしは道明寺の驚く顔を想像しながら、夜道を歩いていた。
 

マンションの前まで来ると、
「牧野さん。」
と話しかけられた。
 
えっ?
振り返ると、みっ、三沢さん?
どうして、ここにいるの?
 
「探したよ。こんなマンションに住んでいるなんて、驚いたな。」
あたしは一歩ずつ後ずさるけど、三沢さんは一歩ずつ詰めてくる。
「彼氏はいないって言ってなかったかな?ここは彼のマンション?僕も、妻とは別れたんだ。だから、君もその人と別れなさい。」
 
何言ってんのよ。この人、目つきがおかしい。
そうだっ、携帯。
道明寺、いや、警察に電話しなきゃ。
 
近づいてくる三沢さんに向かってスーパーの袋を放り投げて、あたしは携帯を手に取った。
でも次の瞬間には、手首をつかまれて、あたしの携帯電話は遠くに投げ捨てられた。
 

ガシャーン!!

 
息を飲むあたし。
三沢さんの左手はあたしの右手首をつかみ、反対の右手には・・ナイフだ・・
何で?どうして?
大きな声で叫ぼうとしても、あまりの恐怖に声がでない。
 
 道明寺!助けてっ!!
と心の中で叫んで、ぎゅっと目を閉じた。

 
ドカッ!!バキッ!!

次の瞬間、衝撃音とともにあたしは解放された。
そっと目を開くと、そこには、黒服の男性につかまれている三沢さん。
あたし、助かった?
ペタンと地面に座り込んで、現実とも思えない状況に頭がついていけず、あたしはあたりをボーッと見渡した。
 

するとそこへ、ものすごい勢いでリムジンが走ってきて、ブレーキ音とともに目の前に停車した。
そこから降りてきたのは、背が高くて、細身なのに肩幅が広くって、クルクル頭が特徴的な、すごく素敵な男性_____あたしの・・・恋人。
いつもは運転手さんにドアを開かれながら、優雅に降りてくるくせに、ドアが開くか開かないかのタイミングで飛び出してきた。
まるで、映画をみているような光景。
 
「牧野っ!!」
とあたしの名前が叫ばれて、
それから、あたしは道明寺にきつく抱きしめられた。
「牧野っ、牧野っ。」
と何度もあたしの名前を呼んでいる道明寺。
あたしを抱きしめる彼が、ちょっとだけ震えているのが分かった。

あたしにも、だんだんと状況が見えてきた。
道明寺が付けたSPがあたしを守ってくれたんだ。
でも、どうしてこの人はここにいるんだろう?
大阪出張のはずだったのに・・帰りは夜中じゃなかったの?
 

道明寺は一通りあたしの無事を確かめると、あたしを抱き上げた。
それから、SPの人に向かって、
「そいつを警察に突き出せ。」
と言うと、マンションに向かって歩き出した。
 
「道明寺、大丈夫だから、降ろして。」
あたしはまだ、ぼーっとしながらだったけれど、きちんとそう伝えたのに、道明寺は黙ったままで、聞く耳を持っていないみたい。
仕方なく、そのままマンションに戻った。
 
 


リビングのソファに降ろされて、ようやく一息つく。
「道明寺、早かったんだね。」
道明寺が無言であたしを見つめて、それから、
「ごめん。」
と言った。
 
どうして道明寺が謝るのか、理解できない。
「俺が守ってやりたかった。お前にも、あの三沢ってやつにも、SPを付けてた。三沢が夕方からマンション前をうろついてるって報告が来てたんだよ。だから慌てて帰ってきた。間に合わなくて、恐い思いをさせてごめんな。」

あぁ、そういうことだったんだ。
でも、やっぱり道明寺が謝る理由なんて一つもないでしょう?
  
「ねぇ、それは道明寺が謝ることじゃないでしょう?あたし、大丈夫だから。あんまり心配しないで。」
そう言って笑いかけると、
「心配して当然だろ。ヘラヘラしてんな。」
 
今度は怒り始めた。なんで?
あたしは伝えたいことがあったのに。
言うタイミングが無くなっちゃうじゃない。
 
 
あたしは手を伸ばして、道明寺の頭を撫でて、
「あんまりカリカリしてたら、ハゲちゃうかも知れないよ。」
と言うと、彼はふぅっと息を吐いて、
「なわけねーだろ。」
と、やっと笑ってくれた。
 

「カリカリしている人には、ココアを淹れてあげる。」
そう言って立ち上がると、そのまま道明寺もキッチンに付いてきた。
お湯を沸かして、ココアの準備をしている間も、ずっとあたしを後ろから抱きしめている。
なんだかくすぐったい。
 
「道明寺、邪魔。」
「なぁ。」
「ん?」
「結婚しようぜ、俺たち。」
「・・・ん?」
「結婚しよう。で、道明寺つくしになれよ。俺が、一生守ってやるから。」
 

何を言っているんだか、この人は。
これって、プロポーズなの?
そもそも、あたしたち、まだ付き合い始めたばっかりでしょ?
でも・・・それもいいかもね。
ちゃんと、ご両親に挨拶をして、そうしたら、ずっと一緒にいたいね。
 

ねぇ、考えたらあたし達って、知り合ってからずっと一緒に暮らしているんだね。
道明寺はご両親とだって、年に数回しか会えないような少年時代だったんだもんね。
もしかしたら、あたしと暮らしている時間の方が長いのかも。
ねぇ、あたしがあんたの家族になったらね。
ずーっと一緒にいるからね。
あんたが、あたしを大切にしてくれるように、あたしもあんたを大切にしてあげたい。
そして、幸せにしてあげたいの。


「そうだねぇ。そうなるといいね。」
「本当か?」
「うんうん。」
カップにお湯を注ぎながら答える。
 

あたしは、振り返って、道明寺をまっすぐ見据えた。
「あたしね。もう、マキになるの辞めるから。だから、これからは、ずっとつくしと一緒にいてね。」
そう言ったあたしを、彼がすっごく優しい瞳で見つめ返した。


 

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本日は夕方5時(17時)に、2回目の更新を予定しております。
是非、また覗いてくださいね。

  1. 理想の恋人
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本日2話目です。
*****


「あなたは、その方をご存知なのかしら?」

その言葉に、息が止まるほど驚いたあたし。
何と答えるべきなのか・・と戸惑っているところに、
は~っという、社長の溜息が聞こえた。

「報道では、司の恋人はマキさんという、栗色の髪の美人だっていうことになっているけれど、あの子ったら、私に紹介しようとしないのよ。何か問題があるのかしらね。」
 
問題は・・大有り・・だと思います・・・
 
「あの・・、社長が考えられている問題というのはどんな・・?」
 
社長があたしのことをじっと見つめる。
「牧野さん、私は何を聞いても驚かないわ。だから、その女性のことを知っているのなら、包み隠さず教えてほしいの。」
 
社長は何を言っているんだろう。
うかつなことを口にすることはできない。
それであたしはしばらく黙っていた。
 

「あなたは、司の部屋に住んでいるのでしょう?当然、そのマキという女性にも会ったことがあるのよね?その方は、どんな女性なのかしら。こちらにも情報が来ないのよ。司が隠しているとしか思えないわ。」
 
どうしよう・・。
本当のことを言うべきかも知れない。
これ以上、黙っていても良いことはない。
 
あたしが口を開こうとした時に、
「あなたが黙っているということは、やはり、そうなのね・・。」
と、社長が残念そうに呟いた。
 

え?
 
「マキという人は、女性ではないのでしょう?」
 
・・・・・・???
えっ???
ええぇぇっっ???
 
「あの子、やはり・・」
「ちっ、違います。社長は、誤解されています!」
「本当に?」
社長が、疑いの目をあたしに向けてくる。
「ほっ、本当です。」


社長の目があたしに注がれて、キラリと光った。 
「それならば、司はなぜ私にマキさんを紹介しないのかしら?」
「あの、司さん、いや、ちがう、司様は・・・お優しいので、彼女の気持ちが追いつくのを待ってあげているんだと思います。」

「どういうことかしら?」 
社長がじっとあたしを見据えた。

あたしは慎重に言葉を選んで説明した。
「その・・ですね。彼女が、道明寺家につりあう家柄の人間ではないことを気にしているから・・だと思います。」


しばらくの沈黙。
その後、社長はあたしを見つめながら、大きくため息をついた。
「はぁ、そんなこと。あの子ったら、そんなことも説得できないのかしら。本当にグズね。」
「そんなことって・・。」
「だってそうでしょう?本当に司のことを想ってくれている方であれば、司と一緒に乗り越えてくれるはずでしょう?それを説得できないなんて、司がグズなのか、彼女の方が司に本気ではないかのどちらかでしょう?」
「そんなこと!ありません!!っじゃなくて、ないと思います!」
 
 
思わずムキになってしまったあたしを見て、道明寺社長は、クスッと笑った。
「彼女に会ったら、伝えておいて頂戴。道明寺家は、司が選ぶ女性に文句をつけるつもりはないと。むしろ、司が連れてくる女性ならば歓迎すると。お願いね。」
 

つまり・・どんな女性でも迎え入れるということ・・?
喜んでいいのかもしれないけど、なんだか複雑だった。
だけど、返事をするしかない。
「はい・・。」

どうしよう、あたしがマキだって言おうか?
まさか、メイドだったなんて、驚くに決まっているけど・・でも・・
 

膝の上で、握りこぶしにぐっと力を込めて、言葉を出そうと息を吸い込んだ。
その時、
「それから・・」
と社長から声がかかった。
 
「私と会ったことは、司には内緒にしておいてね。マキさん。」
 
・・・?え?
はっとして、顔を上げると、あたしを優しく見つめる社長と目が合った。


ええ~っ!?
これって、これって、そういうこと!?
社長は、何もかも、ご存知だったということなの?
 
 
あたしは反射的に立ち上がり、社長の視線を逸らさずに返事を伝えた。
「社長、お約束は必ず守ります。それで、後日必ず、二人でご挨拶に上がります。」
「楽しみにしているわ。」
「はい。」
 

あたしは社長の心遣いがうれしくて、うれしくて・・・
本当にうれしくて、扉を閉めたとたんに涙が溢れてしまった。
社長は、あたし達のこと、知ってたんだ。
知っていて、わざわざあたしに会いに来てくれたんだ。
あたし、道明寺に飛び込んでもいいってことなんだ・・・

 

 

あたしは、ダッシュでタマ先輩の部屋まで戻った。
襖を開けると、タマ先輩がニヤニヤあたしを見ている。

「どうだった?」
「せんぱーい。」
あたしは、タマ先輩に抱き付いて、オイオイ泣いてしまった。
先輩があたしの背中を叩きながら、
「恐い方じゃなかっただろう?」
「はい。」
「あたしゃ、あんたたちが、いつかこのお邸に戻ってくるのを楽しみにしておくよ。」
「はい。先輩。」
 
 
 
道明寺が帰ってきたら、伝えなきゃ。
待たせてごめんなさいって。
あたしは、もう迷わないって。
だからこれからは・・
24時間、あたしの恋人になってくださいって。



 

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テンション高いまま書きました(笑)。
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