花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

元旦に、俺たちは入籍した。

「元旦なら、結婚記念日を忘れることはないね。」
あいつの感想はこんなもんだ。

拍子抜けするぐらいに簡単に、
「牧野つくし」は「道明寺つくし」になった。


その日は、邸の者たち総出で、祝賀パーティー。
俺たちは、邸の皆にワインを振舞って歩いた。
本来祝われるべきは俺たちなんじゃねぇのかと思うが、これが牧野、いや、道明寺つくしのやり方だ。

邸の全員が笑顔を見せる。
こんなことは今までになかった。
タマは最後までこのパーティーに反対していたらしいが、
牧野がこう言ったんだ。
「私のこと、若奥様って呼ぶんだったら、私の方針に従ってくださいね、先輩。」
それで、タマもノックアウト。

晴れて道明寺つくしとなった女は、今、この邸の中心にいる。

「どーみょーじー。こっち来てー。」
そう言って、俺に手招きをしている。

使用人たちが一斉に俺を見た。

「お前も道明寺だろうが。」
そう言いながらも、込み上げる笑いが止まらない。

幸せで、
幸せで、
幸せで、
頭がどうにかなりそうだ。

この邸の中で、笑える日がくるなんて想像したこともなかった。

使用人たちが見守る中、俺は妻の元へ足を運んだ。
もう、牧野じゃない。
俺の妻。
妻の肩に手を回し、皆を振り返る。

「これからも、俺たちのこと、よろしく頼む。」

わっという歓声と拍手。
隣の妻が照れくさそうに微笑んでいる。

これが、俺がこれから守っていくものなんだと実感した。



*****



「はぁ。ちょっと疲れたね~。」
部屋に戻ったとたん、牧野がそう言った。

いや、もう牧野じゃねぇ。
牧野じゃなくて・・・
「つくし・・」
俺はぼんやり呟いた。

「えっ。」
でけぇ目をさらにでかくして驚くこいつ。
「つくし。」
牧野の目をみて、もう一度言う。
「ちょっ、ちょっとまって。ヤバイ。照れる。やだっ。」

急に牧野が焦りだして、両手で頬を抑えて、後ろを向いた。
入籍したところで、こいつのこーいうところが変わる訳じゃねぇな。

「つくし。」
もう一度そう言って、そむけた顔を覗き込むと、
「ちょっと、向こう向いててっ!」
と顔面をグイッと横に向けられた。

「あーもう。いきなり、照れるじゃないの。」
なんてブツブツ文句を呟いている。

「あっ。」
思い出したように、こいつが顔を上げた。
「はぁぁ、良かった。道明寺は道明寺だね。」
「はぁ?」
「だからっ。道明寺は名前変わらないから、今まで通りでいいよねっ。」

はぁ???
何言ってんだ、こいつは。
ありえねぇっつーの。

あー良かった、良かったとややハイテンションなこいつに言ってやる。
「んな訳ねぇだろ。」
そう言った俺に、ぴたりと止まって上目遣い。
「ダメ?」
ここは俺だって折れないぜ。
「だめだ。」

「うー。無理だよぉ。」
「何でだよ。」
「だって、いきなり恥ずかしいじゃん。」
「恥ずかしくねぇ。つくし。」

「きゃー!!無理っ!!」

こいつは突然、奥の部屋へ逃げ出した。
馬鹿め。そっちは俺のテリトリーだっつの!



「やっ。何これー!!」
寝室の入口で、驚きの声をあげるこいつ。

そこに用意されていたのは、
初夜を迎える二人のためにセットされた、特別なベッド。
ベッドの上にはバラで描かれたハートマーク。
このベタな演出に俺もちょっと笑う。

「今日の無礼講パーティーの礼じゃねぇの。」

ここまでベタだと、俺が指示を出したとはとても言えねぇ。

「そうっ、そうだった!あたしの部屋、隣だったわ。ちょと、シャワー浴びてこよ。ねっ、ねっ。道明寺もシャワーしてきなよ。ねっ。」

そう言って、しれーっと去って行こうとするこいつ。
その腕を捕まえて、
「お前の荷物はもう移動させた。」
と言えば、
「うっそぉ。いつの間に!」


未だにあわあわしているこいつを抱きしめる。
やっと、やっと落ち着いた。
そして、二人の時間が訪れた。

「つくし。」
「・・ん。」
「・・・。」
「つかさ。」

つくしの腕が俺の背中に回った。

「つくし、幸せになろうぜ。」
「うん。あたしが司を幸せにしてあげる。」


ゆっくりと、想いを込めて、唇を合わせた。
これからの時間はずっと二人で刻んでいく。


ベッドに倒れ込んで、何度も俺の妻を見つめなおす。
この黒く長い髪が好きだ。
大きな瞳が好きだ。
白い肌が好きだ。
この匂いとぬくもりが好きなんだ。
もう、手放せない。

女なんて星の数ほどいると分かってる。
けど、俺が抱きたいと思う女はつくししかいない。

細い首筋も、
手のひらに収まる胸も、
喘ぐ声も、
全部好きだ。

何度も何度もつくしを揺らす。
揺らすたびに、俺が締め付けられる。

もっと高い声が聴きたい。
もっと抜けるような声が聴きたい。
その声は俺しか聴くことはできないから。
つくしの体を折りたたんで、
もっと深く沈み込む。

求めていたつくしの声。
その中に混じる俺の名前。
それを聴いて、俺はもう何も考えられなくなった。

「つくしっ、つくしっ、つくしっ!」



二人が幸せになるために・・・
この新婚の夜、
互いの名前を呼び合って、
永遠の愛を誓った。


Fin.



 

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8月末にブログを立ち上げてから、たくさんの応援を頂きました。
とっても励みになりました。ありがとうございました。
これで、今年の更新は終わります。

このお話も続きがあったと言えばあったのですが、いつもワンパターンとのご指摘もあり、お正月は少し休憩&充電してから、また何かのお話を更新できたらと考えています。
逆に、このお話の今後を期待してくださった方もいらして、嬉しかったです。いつか、続きを書けたらいいなと思っています。
とはいえ、リフレッシュしても、結局はワンパターンは変わらないと思うんですけどね。素人の私が、そんなに器用にお話を書けるとは思えないし。甘いお話しか、きっと書けないし。はは。
ではでは!皆様もよいお年をお迎えくださいね!
感謝をこめて・・・Happyendingより
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  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:15
  3. [ edit ]

「ねぇ、道明寺。あたしたち、はやく結婚しよっか。」


これは、聞き間違いか?
いや、妄想が過ぎるあまりの幻聴か?

目の前で、牧野が手を振っている。
その手首をパッと掴んだ。

「お前、今・・」
「あたしがいいと思うタイミングでいいんでしょ?」
「あ、ああ。」
「じゃあ、今。」
「それ、マジか?」
「こんなこと、嘘つく訳ないでしょーが。」

信じられねぇ。
こいつが、こーいうことを言う時は、あれだ、いつも冷や水を浴びせられて・・・

「嫌ならいいけど。」
「んな訳ねぇだろっ!!」

嘘じゃねぇ。
夢じゃねぇ。
牧野から、プロポーズされちまったっ!!!

って、ちょっと待てよ。
ちょっと待てって。
普通、プロポーズは男がするもんじゃねぇの?
夜景見ながら、特別なワインを開けて、バラの花束用意して・・ってそーいうもんじゃねぇの?
なのに、こいつ。何さらっと言ってんだよ!
しまった、俺としたことが。
完全なミス。
この返事を予想していなかったっ!


「ちょっと待て。」
「何よ。嫌ならいいっていってんでしょ!」

やべぇ。こいつを怒らせた。
くそぉ。どうする?どうする?俺。
あぁ~、もうっ。


俺は牧野を離し、近くの花瓶に生けてあった赤いバラを1本抜き出した。
それから、牧野の正面に立ち、彼女と視線を合わせた。
牧野も俺を見つめ返してくる。

「牧野、俺と結婚してくれ。」
そう言って、一輪のバラを差し出した俺。
答えは分かってるっつーのに、緊張する。

牧野はじっとそのバラを見つめて、それから両手で受け取った。
「よろしくお願いします。」

顔を上げた牧野は満面の笑み。
その笑顔が何よりも俺を幸せにする。
言葉なんて要らない。
俺は思いっきり牧野に抱き付いた。


「うはっ。道明寺、そんなに嬉しいの?」
「嬉しい。」
「あたし、めちゃめちゃ恐いお嫁さんだと思うよ。」
「知ってる。この俺をビビらすのはお前だけだ。」
「まずね、無駄な買い物は許さないからね。」
「無駄じゃなきゃいいんだろ。」
「それからね、どんなに忙しくても、朝ごはんは食べさせるからね。」
「おう。お前も一緒に食えよ。」
「メイドさんたちにデカイ態度は取らないこと。」
「してねぇ。」
「してるっつーの。感謝はきちんと述べること。」
「お前がそばにいればできる。」
「仕事が忙しくても、メールはしてね。」
「おう。任せろ。」
「そーだ。あたしが友達と会う時には文句は言わないで。」
「俺も付いていく。」
「うわっ。それはナイナイ。」

牧野の一言一言に幸せが溢れる。

「それからねぇ。」
まだあんのかよ。

「浮気は絶対だめ。」
そう言って、俺の瞳を覗き込む。
「絶対しねぇ。」
「もし、浮気したらすぐに別れるから。」
「しねぇっつの。」
「うん。」

「お前も約束しろよ。」
「ん?」
「俺以外見るな。」
「見てない。」
「きょときょとすんな。」
「してない。」
「結婚したら、お前は俺のもんだからな。」
「じゃあ、あんたもあたしのもんね。」

そんなバカなことを言い合って、笑い合う俺たち。
バカップル、上等だ。
離れていた4年間は、こんなバカなことも言えなかった。


あの4年間をもう一度やれと言われても、もう絶対に出来ねぇが、
あの4年間があったからこそ、俺たちの今がある。
結果としては、俺が牧野を手に入れる近道だったのかも知れない。

素直じゃねぇ牧野が素直になった。
今でも意地っ張りなとこもたくさんあるけど、それでも、大切な事は伝えてくれるようになった。


クリスマスイブに三条や滋の力を借りて、牧野が香港まで乗り込んできたことが本当に嬉しかった。
俺の世界に飛び込んできてくれたことが嬉しかったってのはもちろん本当だが、実はそれ以上に嬉しかったことがある。

たぶん、牧野も気が付いているはずだ。
だけど、あいつは言わない。
そして、俺も言わない。
たぶん、これからも口にすることはない。


今回ことを、牧野は類に相談しなかった。
遠恋時代には、あいつの隣には類がいた。
それが歯がゆくもあり、けれど俺がそばにいてやれない分、類には感謝もしていた。

総二郎やあきらも牧野に目をかけてくれていた。
けど今回、牧野はあいつらにも相談はせず、三条を頼った。

それは何故か?
・・・きっと、俺のためだ。

類やあきらたちを頼って香港に来てくれたとしても、それはそれで嬉しかったはずだ。
けれど、牧野はそうしなかった。

俺の胸に飛び込んでくるのに、
他の男の力を借りることはしなかった。
それが例え、仲の良い類であったとしても。
いや、類だからこそか。
俺の親友の力を借りて俺の元に飛んできたとしても、俺が心底喜ばないと思ったんじゃねぇのか。

それに、たぶん、類はまだ牧野のことが好きだ。
牧野自身は分かっているのかどうか分からねぇけど、男の俺には分かる。
だけど、牧野は俺の手をとった。
それはある意味で、類にとっては残酷なことだと思う。
それでも、これから先も、牧野と類は今まで通りやっていくはずだ。
でも、俺のことに関しては、いや、俺たち二人のことに関しては、間に類を挟むことはきっとない。
それが、何より俺のためであり、そして類のためでもあるからだ。
きっと口には出さなくても、牧野もそう思っているはずだ。


これからも牧野のピンチには、俺たちの誰もが必ずや助け船を出すだろう。
今回の桜子や滋がそうであったように。
それぐらい、俺たちは牧野が好きだ。
昨日だって、呼んでもねぇのに、あいつらがこの忙しい年末にワラワラやって来た。
こいつは男女にかかわらずモテるからな。
本人はわかってねぇみたいだが。



「俺は本当に幸せもんだな。」
「大げさだよ。」
「お前は全くわかってねぇな。」

お前のおかげで俺たちの人生がどれだけ色鮮やかになったかなんて。
きっとわかってない。
俺以外にも、お前のそばにいたいやつがいるなんて、きっとわかってないんだ。

「じゃあ、あたしも幸せもんだね。」
「あったりめぇだろ。この道明寺司の妻になるんだ。」
「うーん。ちょと違うかも。あんたの奥さんってのも幸せだけどさ。道明寺に出会えてよかったと思う。あたしのこと、必要って言ってくれる人。そんな人、あんたしかいないじゃない?」

ほらな。
お前は本当に鈍感だ。
お前のことが必要だって、俺たちみんな思ってるさ。
それを勝ち取ったのが俺ってだけだ。

けど、お前はそのままでいい。
鈍いままでいい。
そのまま気づかずに、俺のそばにいてくれたらそれだけで・・・


「年が明けたらすぐ入籍する。」
「はやっ。」
「チンタラしてたら、お前の気が変わるかも知れねぇからな。」
「失礼ねっ。そんな訳ないでしょ。」
「いや、お前ならあり得る。」

それでも、お前にお願いされたら、俺はお前に従うしかねぇんだ。
だから、もう何も考えんな。


「あんたが暴走すると怖いけど、任せた。」


あぁ、任せとけ。
俺が幸せになるために、
俺が必ずお前を幸せにしてやるぜ。



 

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明日でラストです。
  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

誕生日の翌日から、あたしの「花嫁修業」が始まった。
あたしが考える花嫁修業っていうのは、料理・洗濯とか家事全般だけど、ここでの修行はそうじゃない。

一般教養として、茶道・華道・所作の講義。
実践での食事と会話のマナー。
これは予想していた。
遠恋時代も、あたしは西門さんに茶道を、美作さんにマナーを教わっていた。
桜子と滋さんには定期的に高級レストランに連れていかれ、マナーの実践もしていた。
花沢類は大学の空き時間に語学を教えてくれた。
だから、高校時代ほどあたしも無知って訳じゃない。
でも、道明寺の隣にいるためには、まだまだ修行は必要なんだって思う。


今日の講義は、なんと道明寺家の歴史。
家系ってやつ。
牧野家の家系って・・聞いたことないし。
牧野家はきっとさかのぼっても庶民だしね、きっと。

室町時代からの武家の流れをくむ道明寺家。
その血筋には天皇家との縁組もあったらしい。
江戸時代に反物屋として繁栄し、その後金融業に進出し、財閥を確立。
その後第二次世界大戦前にアメリカへ進出している。
そのため、大戦後の財閥解体の影響は受けず、現在までその経営体制を維持している。

歴史を知れば知るほど、道明寺家はすごい。
現在までトップは全て道明寺の直系というのも珍しい。
それだけ、道明寺直系の手腕が優れているということ。
あいつ・・道明寺司もその一人って訳で。


正直言って、高校時代のあいつはサイテーだった。
赤札貼って、幼稚なイジメしたり。
何を隠そう、あたしもそのイジメの対象者だ。

あいつがニューヨークに行く時は、道明寺がこんなにすごい男になって帰ってくるなんて予想できなかった。
道明寺財閥のすごさは身に染みて分かってはいたけど、あいつがそのトップになろうとするなんて、はじめはピンと来ていなかった。
だいたい、あんな幼稚な人間がトップになんて、あの頃の誰が信じられる?

それが、1年、2年と経過して、あいつの凄さを知った。
テレビに映る恋人は、一流の男だと分かった。
高校生のときのあいつはやんちゃなガキだったけど、あいつはニューヨークに行って変わった。

正直言うと、遠恋中は、「もうダメかな。」って思ったこともある。
あいつの努力が凄すぎて。
あいつがいつも眩しくて。
テレビに映るあいつが、カッコ良すぎて。
あたしが知っている男は、高校生の時までの道明寺で、今の道明寺じゃないんだっなって思った。
だから、きっとあたし達はきっと長く続かないだろうって。


あれは、大学3年の時のこと。
あたしは大学のカフェで、花沢類にぼやいたことがある。
「あたしさ。やっぱ、だめかも。何をやっても、きっと道明寺には追い付けない。それに・・今のあいつはあたしの知ってる道明寺じゃないと思う。あいつがなんであたしのこと好きだっていってるのか分からなくなってきた。」

「それで、牧野は司のこと好きじゃなくなったの?」
「そうじゃないけど。でも、もう1年以上会ってないし。テレビで見るあいつは変わっちゃってるし。あたしの好きな道明寺じゃないかも知れない。」
「ふーん。それで、そのこと司に言ったの?」
「言ってない。」
「言えばいいじゃん。そのまま。」
「・・・」

それは言えなかった。
考えていることが妥当すぎて、「じゃ、別れよう」って言われるのが怖くて。

そしたら、花沢類が、いきなりあたしの携帯をバッグから取り出して操作し始めた。
「ちょっと!どこ電話してんの?」
「司んとこ。」
「やだっ。向こうは夜中だよ。」
「この電話に出ないようなら、司と別れた方がいいね。」
「花沢類!ちょと、本当にやめてよねっ。」

すぐに道明寺が出たみたいで、
「あっ、司。」
「ちょっと、止めてっ。」
「ああ、今、牧野と一緒なんだけどさ。牧野がさ、寂しいんだって。」
「ちょっと、花沢類。そんなこと言ってないでしょっ。」
「あーうるさい。はいはい。はい、牧野、司が代われって。」

それで、無理やり電話を代わらされて、恐る恐る電話に出たあたし。
「牧野、てめぇ、寂しいってなんだよ。何で、んなこと類に言ってんだよ。」
「やっ、ちがうって。そんなこと言ってないしっ。」
「大体、昼間っから類とイチャコラこいてんじゃねぇよ!」
「そんなことしてないし。」
「あー、くそっ。なんで日本に出張ねぇんだよ。ババァめ。絶対仕組んでやがるな。」
「いや、ほんとあたし、寂しくなんてないし。」
「嘘つけ。俺が寂しいのに、お前が寂しく無い訳ねぇだろうが。」
「・・・ん。」

あたしの目に涙が溜まったのをみて、花沢類がそっと席を外してくれた。

「道明寺、あたし、待ってていいんだよね。」
「お前、何言ってんの?俺がこっちで頑張ってんの、お前のためだろうがっ。そんなに不安なら、こっちにこい。」
「それは嫌。」
「じゃあ、お前はそっちで頑張れ。」
「うん。」

「ねぇ。あたし、あんまり変わってないからね。」
「誰が変われって言ったよ。」
「だって、道明寺はすっごく変わったでしょ。あんなに、高校の時、バカやってたくせに。」
「お前なぁ。そりゃ、変わるだろうが。目標があるんだからよ。」
「目標?」
「お前を迎えに行くために決まってんだろうがっ。今更言わせんなっ!」

「うん。」

世間の評価がどうであろうと、道明寺の本質は変わってないんだと分かった。
あの時、道明寺と電話で話せてよかったと思う。
道明寺の本質を見失うところだった。
あいつが頑張ってるのはあたしのためだ。
あたしは自信を持っていいんだ。
だから、あたしもできる限り頑張ろう。
少しでも、あいつに追いつけるように。

あたしにとっては、あの時が第一のターニングポイントだったと思う。
あの後から、あたしは道明寺との未来が見えてきた気がする。



そして、今回の上海が第二のターニングポイントになった。

今や、道明寺司の名声は世界に轟いている。
道明寺ホールディングスの若き専務。
彼のプロジェクトはことごとく成功を収め、社内でも社外でも評価は高い。

そんな彼がニューヨークに渡ったのは、あたしのためだったなんて誰が思うだろう。

歴史中でも輝かしい、道明寺財閥。
あいつはそこの御曹司で、
その中に、あたしが加わって、道明寺と新しい歴史を築いていく。
これってすごくプレッシャーじゃない?

なんて考えている時に、メイドさんから道明寺が帰宅するという知らせを受け、あたしは玄関へ走り出した。


「おかえり。」
「ただいま。」
あれ?道明寺の顔がなんか赤い。

「どうしたの?風邪でも引いた?」
「ちげぇよ。いいから、早く、部屋行こうぜ。」

そう言われて、あたし達は道明寺の部屋へ向かった。
部屋の中で、道明寺のコートとスーツを受け取って片づける。
そんなこともちょっと幸せ。
うちのアパートでは、クローゼットの取っ手にかかっていた高級スーツ。
それをきちんとクローゼットの中に戻した。

「なんか、いいな。」
「ん?何が?」
「新婚みたいじゃね?俺たち。」
道明寺がますます赤くなってる。

「そうだね。新婚ってこんな感じなのかな。」
そう言ったあたしを道明寺が後ろから抱きしめた。

「なぁ、牧野。結婚のことだけど。」
「結婚?」
「俺はすぐにでも結婚してぇけど、無理強いはしない。お前がいいと思うタイミングで結婚したいと思ってるから。」
「道明寺。」

道明寺と結婚するということは、この輝かしい歴史を繋いでいくということ。
それがあたしに出来るのか?


「あのさ。道明寺に質問。」
「あ?」
道明寺が驚いたようにあたしを見つめる。
あたしも振り返って、斜め上を見上げた。

「道明寺財閥の創始者知ってる?」
「あぁ、何だったか。なんとか右衛門だろ。江戸時代の。」
「じゃあ、二代目は?」
「二代目は覚えてねぇ。」
「ええ?じゃあ、室町時代の将軍に仕えたご先祖様は?」
「んなもん、覚えてねぇよ。」
「ええ~っ!」

今日あたしが、花嫁修業の1日目に受けた歴史の授業。
そのメインテーマを、道明寺家直系のこの人が覚えていないと言う。
いいの?いいの?これで?

「それが、今日の花嫁修業だよ。」
「なんだよ?それがそんなに大事か?そりゃ、今の道明寺の基礎を作った奴らかも知れねぇけど、大事なのは今だろーが。過去ばっかみててもキリねぇよ。」

あはは。はは。
そーだ。そーだよねぇ。
大切なのは過去じゃない。
今現在のあたし達。
だから、歴史を敬いこそすれ、プレッシャーを感じることはない。

「あんた、やっぱり、すごい奴だよね。」
「あぁ!?今頃気づいたのかよ。おせぇっつーの!」

ぷっ。あはははは。
あははははははは。
道明寺家の歴史をプレッシャーに感じたりすることが、なんだか馬鹿馬鹿しくなった。

あたし達は婚約して、あたしはこの道明寺家に移り住んだ。
そして花嫁修業をしているわけだけど、
この婚約という状況は結婚とどれだけ違うんだろう。

結婚したって、ずっと修業の連続だ。
1つこなせば、また次の修業が始まる。
そしてその修業の結果がでるのは、恐らく何年も何年も先のこと。
歴史なんて、後からついてくるものだ。

だとしたら、あたしに結婚を迷う理由はない。
そうだ。そうなんだ。
あたしが努力している姿も含めて、あたし達の歴史になる。
それなら・・・


「ねぇ、道明寺。あたしたち、はやく結婚しよっか。」



 

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(道明寺家の歴史は完全なる私の妄想です。)

  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

つくしちゃんBirthdayを記念して、
本日2話目です。
***



「ここがつくしの部屋?」
「うん。」
「へぇ。割といいじゃない。」

割とってなんだよ、滋。

「ええ~。落ち着かないよぉ。ここ。」
「あのアパートの部屋が6つは入りますね。」
「そうなの。広すぎるの。あたし一人なのにさぁ。」

そうだっ。
何でお前は一人部屋なんて入ってんだっ。
何で俺の部屋にこねぇんだよっ。

「ねぇ、つくし~。なんで、司と一緒の部屋じゃないの?」
「え?だって、べつに結婚した訳じゃないし。ここには修業に来たんだし。一緒の部屋なんで変でしょ?」

俺には、お前のその考え方が分かんねぇ。
なんで恋人同士が同じ屋根の下で、別室なんだよ。

「なんで~。別にいいじゃん、一緒で。香港の公衆の面前で、熱ーいキスかましてたくせに。」
「うっ。」
「そうですよ。どうせ、道明寺さんがこっちに来ちゃうんじゃないですか?部屋を分けたって一緒ですよ、きっと。」
「桜子っ!」

三条・・お前、身も蓋もねぇ言い方すんな。

「お前らうっせーよ。わざわざ、押しかけてくんな。」
「道明寺っ。いたのっ?」

いたのじゃねーだろ。俺んちだろーが。


俺の帰宅後、少しして、滋と三条がやって来た。
どうやら、牧野が引っ越しの連絡をいれたらしく、駆けつけて来たらしい。
今日は、牧野の誕生日だってのに、お前ら遠慮っつーもんはねぇのかよ。
とは言え、こいつらが牧野の香港行きをアシストしたことは分かってっから、無碍な扱いはできない。


そこへ、メイドがやって来た。
「司様、ただいま、花沢様、西門様、美作様がご到着されましたが、こちらへお通ししてよろしかったですか?」
というなり、その後ろから、男が3人入って来た。

「へぇ、ここが牧野の部屋?」
「いいじゃん。」
「俺は、あのアパートの方が良かった。」

「あれぇ。どうして、みんな。」
「あっ、私が連絡しておいたっ。今日はつくしの誕生日だしっ。」

滋の奴っ。
額に青筋を立てた俺を、三条が気の毒そうに見ているのが分かった。

「お前らはここに入んな。」
そう言って、あいつらを外に出す。

「仕方ねぇから、メシでも食ってけよ。」
と俺が溜息をつくと、
奴らが、「待ってました!」とばかりに全員で俺の部屋へ移動し、牧野の誕生日パーティーが始まった。



*****


「ではっ。つくしの誕生日と、二人の婚約を祝して!カンパーイ!」
滋の音頭で始まったパーティ。
俺の部屋に、次々を料理が運ばれてくる。
隣の牧野は、キョロキョロとしながら、料理の物色中。

「どれ、食いてーの?」
「あのブロッコリーとエビのやつ。」

俺は手を伸ばして、牧野に料理をとってやる。
「ありがと。」
そう言ってはにかむ牧野を、こいつらが興味津々とみてやがる。
俺の牧野をジロジロ見んなっつの。

総二郎がニヤリと笑って話し出した。
総「見たかったな。その香港パーティー。」
滋「すごかったよ。つくしの<あたしの男>宣言。」
つ「そんなこと言ってないし。」
桜「その後の道明寺さんのキスも凄かったですね。もはや伝説ですよ。」
つ「伝説っ?」
類「知らないの?ツイッターにも上がってたし、香港ゴシップにも載ってたよ。」
つ「マジ?」
あ「日本は、司が止めたんだろ?」
司「あぁ。」
つ「マジ?」
司「正確に言えば、止めたのはババァ。」
つ「はぁ。」

総「俺、そのキスってやつ見てない。」
滋「そーなの。じゃぁ、見せてあげる。」
つ「ええっ?」

滋が携帯を出して、みんなに回してきた。
俺も興味津々と覗き込む。
それはなんと・・・
あの時のシーンの動画だった。

「ちょっと、ちょっと待った!滋さん、これ、ちょっと、ストップ。ちょっと、西門っ、返しなさい。」
牧野がめちゃくちゃ焦ってるけど、俺は止めない。

見ろ見ろ、すげーだろ。
俺、牧野に愛されてんだろ?
羨ましーか、お前ら。

「俺、ちょっと感動したわ。」とあきら。
「俺も。あの勤労処女がここまでするとは。」と総二郎。
「司、愛されてるね。」と類。

最後に俺に回って来た携帯を、必死で奪い取ろうとする牧野の頭を押さえて、
「いいだろ。」と俺。

「道明寺、返しなさいっ。」
隣でピーチク騒いでいる牧野を横目に、俺は携帯を滋に放った。
「滋、それ、俺に転送しといて。」
「了解。」
滋が、ニヤっと笑う。

「もー、やってらんないっ!」
と牧野はワインをがぶ飲みした。




案の定、牧野は速攻つぶれた。
牧野が眠っちまうのを待っていたかのように、それぞれが語り出す。

あ「しかし、お前らが婚約とはね。驚いた。」
総「けどよ。なんで牧野は急に香港に行く気になったんだ?」
滋「クリスマスだったからじゃないの?」
総「そんだけ?」

俺だって驚いた。
こいつが香港まで来るなんてな。
直前まで「行かない」って言ってたのに。

俺は、膝に乗せた牧野の頭を撫でながら呟いた。
「俺たち、クリスマスも誕生日も一緒に祝ったことなかったからな。」

「道明寺さん。」
と桜子が口を開いた。真剣なまなざしで俺を見る。
こいつは本気で牧野のことが好きなんだよな。
「知ってますか?先輩が、この4年間、クリスマスイブにはケーキ売りのバイトを夜中までやっていた理由。」

「いや。」
単に、生活費のためかと思っていたが。
「イブが暇になったら、ニューヨークに行きたくなるからなんですって。」
俺の牧野の髪を撫でていた手が止まった。

「今回先輩が私に電話をかけて来た時、こう言ったんです。〈ずっと追いかけたかったから〉って。私、ちょっと感動しちゃって。道明寺さん、こんな先輩のこと、裏切ったら私が許しませんよ。」

「有り得ねぇよ。任せとけ、三条。」
その俺の言葉に、三条が満足そうに頷いた。


「俺、司が羨ましいかも。」と類。
「相手が牧野ってとこが、笑えるけどな。」と総二郎。
「で?お前ら、結婚はどーすんの?」とあきら。


「それは、こいつと相談して決める。正直、婚約に応じてくれただけでも、かなり無理させてっから、結婚は急がせるつもりはねぇよ。」

「そうだな。あの牧野が、司んちに住むなんて、実はすげぇ勇気出してんだろうな。」
「あぁ。」
俺は、もう一度牧野の髪を撫ぜた。


そんな俺の様子をみて、あいつらはみんな帰って行った。
「二人とも、お幸せに。」
そんな言葉を残して。





「ん・・んん・・・・ふぁぁぁ。」
牧野の瞼が動いて、欠伸がでた。
起きたか?

「あれぇ。あたし、寝ちゃった?って、ひゃっ。」
起きたとたん、俺の膝枕に寝ていたことに驚いて、牧野が俺から離れた。

「もしかして、みんな、帰っちゃった?」
「お前、だいぶ寝てたからな。」
「やー、起こしてくれたらよかったのに。」


そんな必要ねぇよ。
これからは俺たちの時間だ。


「牧野、22歳の誕生日、おめでとう。」
そう言って、俺は牧野の左手の薬指にエンゲージリングをはめた。
昔ピサの斜塔で渡したリングは仮のリング。
このリングは俺がデザインして準備したものだ。
牧野の視線が、俺の顔とリングを行ったり来たりしている。
そして、みるみる真っ赤になっていく。

「あっ、ありがとう。」
真っ赤になって俺を見つめて、そう言って上目遣いをする。
本当は帰国したときに渡したかったエンゲージリング。
やっと渡すことができた。
俺は、牧野をそっと抱きしめた。

「俺んちに来てくれてありがとな。すげぇ、うれしい。」
「うん。」
「でも、無理はすんな。」
牧野がじっと俺を見上げる。

「でも、ちょっとは無理しないと、道明寺には追い付けないでしょ?」

そうだったな。
こいつは守られるだけの女じゃない。
俺の隣を歩きたい奴なんだ。
だから・・・

「俺はお前を置いて行ったりしねぇから、お前はお前のペースで付いて来い。」
「うん。分かった。でも、あたしもできる限りがんばるから。」
「おう。」

牧野がもう一度リングに視線を落とす。
そして、リングをゆっくりと撫でた。
「これ、大切にするね。
それで・・あのね・・道明寺・・・・・大好き。」

牧野が顔を伏せて俺の胸に頭を押し付けた。
ずりぃぞ。言い逃げかよ。
そのセリフ、かなりレアだろ?
前に言われたのは、帰国した時じゃなかったか?


俺はもう一度こいつの顔を上げさせた。
「聞こえなかった。もう一回言え。」
「えっ。やだ。嘘つきっ。聞こえたくせにっ。」
「言え。」
「ズルイ。なら、あんたが先に言いなさいよ。」

何言ってんだっつの。
俺はもう、何回もお前に伝えてる。

「牧野。好きだ。愛してる。」

それでも牧野の反応は、毎回その言葉を初めて聞くかのように初心で可愛い。
やっぱり、耳まで真っ赤にして、そして・・

「あたしも、好き。愛してる。」
そう伝えてくる瞳はまっすぐで、偽りがない。


初めてクリスマスも誕生日も一緒に過ごすことができた。
その牧野の瞳に誓う。
来年も、再来年も、その先も、
ずっと一緒に祝おう。

Happy Birthday, Makino   
with Love



 

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なんか、司の誕生日みたいになっちゃった(笑)
まぁ、いっかぁ。
  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:1
  3. [ edit ]

今日、12月28日は愛しの牧野の誕生日。
婚約発表は昨日済ませた。
FAXを流すとともに、特に重要な取引先には自ら連絡を入れた。


午前中は仕事だった。
婚約発表の余波もあり、重役会議は長引いた。
俺の婚約については、社長と会長からGoサインがでていたから揉めることはなかったものの、婚約者がいることを公表したからには、道明寺ホールディングスの広告塔としての役割も期待される。
恐らく、年始の挨拶周りは牧野を同行させることになるだろう。
まだ学生である牧野には今すぐに仕事上の付き合いは要求されないが、いずれは表舞台に出る時が来る。
それまでに、あいつに負担のない範囲で、この世界を渡り歩く術を学ばせておかなければならない。

これは俺にとっては頭の痛い問題だった。
俺は、高校の時からあいつに惚れ抜いている。
お人好しで、いつも他人のためにアクセクしてて、
それで結局自分が貧乏くじを引いていても、愚痴をこぼしながらも笑ってやがる。
俺は、そんなあいつが大好きだ。

本当だったら、こんな世界にあいつを入れたくなんてない。
この世界は牧野が牧野らしく生きられる世界ではない。
時には自分の感情を殺さなければならないこともある。
そんなことを、あいつにさせたくはないけど。
けど、俺が幸せになるためには、あいつがどうしても必要だ。
あいつがあいつらしくあるために、俺は今以上にでかくなる必要がある。
それが俺の生き甲斐ってやつだ。

けれど、俺がどんなに守ろうとも、この世界はあいつにとって厳しいだろう。
牧野をつぶしてしまう訳にはいかない。
「道明寺司の婚約者」いや、いずれは「道明寺司の妻」として、
あいつが困らない程度の教育を受けさせる・・・か・・。
しかし、牧野に「奥様教育」なんて言い出したところで、あいつ、こなせんのか?


あいつは結構がり勉タイプで努力家。
だから学校の成績はいいけど、勉強以外のエネルギーはどうやらバイトにつぎ込まれている。
牧野に怒られるから大きな声じゃ言えねぇけど、
俺にとってははした金ってもんを稼ぐための努力は凄まじい。
遠恋中のクリスマスは、必ず日当2万円のケーキ売りだったな。
自腹を切らないように、必死になってた。
(俺は邸のもんに買いに行かせたけど。)
あのエネルギーがあれば、いわゆる「奥様教育」なんてもんは、なんてことねぇような気もするが・・
ようはモチベーションの問題なんだよな。


俺はこれからのことに頭を悩ませつつも、
夕方から、牧野の誕生日を二人で祝うために、必要書類にサインを繰り返した。



*****


「牧野、お前、今どこにいる?」
16時に仕事が終わって、牧野を迎えに行こうとアパートに寄ったのに、あいつがいない。
そんで、俺は慌てて携帯に連絡した。

「どこって?道明寺の家にいるけど?」
「俺んち?」
「うん。今日はホント忙しかったんだから~。あっ、仕事終わったの。早く帰ってきなよ~。待ってるから。」

・・・
なんだ、なんだ。どーいうことだ?
「待ってる」って。
おいおい、何だよ、何だよ、もう、新婚気分か?
いや、待てよ。これまでの経験上、こういうことで浮かれると、あとで冷や水かけられるんだよな。

帰国してから今までに、あいつが勝手に俺んちに来たことなんてない。
あいつに会う時は、いつもこのおんぼろアパートで、強引に誘わない限りは俺んちに来ようとはしなかった。

俺はダッシュでリムジンに戻った。
あいつも、邸に来てんなら、連絡しろっつーの。
「おい、邸へかっ飛ばせ。」
いつもなら、邸に急ぎで帰ることなんてない。
牧野がいるってだけでこの違いだ。



邸のエントランス。
牧野を探すが・・・いねぇ。
俺の額に青筋が立ちそうになった時、

「道明寺っ、おかえりぃ。おつかれさまっ。」
あいつがダッシュで出てきた。

「お前、どうした?」
「どうしたって、何よ?」
「俺んちに来るなんて、珍しいだろ?」
「あれ、聞いてないの?」
「何がだよ。」

「牧野つくしっ、今日からこちらでお世話になりますっ!」

おいっ。可愛く敬礼ポーズとかとってんじゃねーぞ。
そんな話、聞いてねぇぞ。
ポカーンと口を開けている俺に向かって、こいつが言った。

「朝から、引っ越しで大変だったんだから。ねぇねぇ。あたしの部屋、見る?」
「へ・・や?」
「うん。」
「お前、ここで暮らすのか?」
「そうそう。」
「どーして?」
「本当に知らないの?」

あーっ、もう、はっきり言えよ!
何なんだよっ。

「今日からここに住んで、明日から花嫁修業だよ。」
「マジ・・か?」
「マジ。」
「お前、できんのか?」
「何言ってんのよ。あんたと婚約するのに、それが条件だったでしょ?断れるわけないでしょーがっ。」
「条件って・・」
「あんたのお母さんに言われたの。ここに住んで花嫁修業を受けろって。その条件を飲まなきゃ、婚約はさせられないって。」

マジかっ。
あのババァがそんなことを提案していたなんて知らなかった。
しかも、この牧野の明るさ。
俺の心配なんて、どこ吹く風だ。
隣の牧野は鼻歌なんか歌ってやがる。
やっぱ、こいつはすげぇな。
腹をくくった牧野は最強だ。
さすがは俺の女だ。


牧野が俺の腕を引いて歩き出した。
俺の部屋に行くのかと思ったら、その手前の部屋に入る。

「じゃーん。ここがあたしの部屋っ。正直、全然あたしの好みじゃないんだけどさ。そのあたりは、これから変えていくから。明日にでも100均行ってこようかな。」


「くっ。あはは・・」
「ちょっと、何笑ってんのよ!」
「はっ、はははっ・・・腹いてぇ。」
「まぁ、ね。あたしも、このお姫様調のベッドとか、どうかと思うんだけどね。」
「ぷっ、くくくっ。」
「もー。笑いすぎっ。」


そうだ。こいつはこーいう女だった。
道明寺家に馴染むっつーよりも、道明寺家を変えるつもりか。
いや、いい。
それでいいんだ。
お前はお前らしくやっていけ。
その責任は俺がとってやるから。
お前を守ることが、俺の役目なんだ。



 

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つくしちゃんお誕生日おめでとう!
今日中にもう1話更新予定です。
  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

あたし達は、その年の末に婚約した。
婚約発表のFAXだけが流され、私がまだ学生であるということで、記者会見は行われなかった。


婚約をしたことで、あたし達の関係はやはり変わったと思う。
まず、あたしは、アパートを出て、道明寺邸に移った。
道明寺の相手は公表されてはいなかったけど、香港パーティーでのあたしの言動はマスコミネタになっていた。
だから、マスコミからあたしを守るためっていう意味もあったと思う。
けど、あたしにとって本当の理由は・・・



香港から帰国するとすぐに、あたしの元に道明寺のお母さんの秘書がやって来た。
そして、重たそうなアタッシュケースから、一通の封筒を取り出して、あたしに読むように促した。

「私のネックレスを受け取ってくださってありがとう。
あなたを道明寺家に迎え入れるために、これから花嫁修業を受けていただきます。
今後は道明寺家に移り住んで、一通りの教育を受けてください。
これを拒否されるのであれば、婚約は認められません。」


あの魔女が、あたしにお礼を書いた。
ネックレスを受け取ったってだけなのに・・
信じらんない。
あたしがお礼を言われる理由も分からなかった。
さらに、その手紙は魔女からの挑戦状でもあった。
道明寺の婚約者になるために、あたしにはきちんとした教育が必要だ。
その教育を道明寺邸で受けろということ。

すでに大学の単位はそろっていたし、卒業論文の提出も終わっていた。
あたしは、すぐにその手紙に返事をした。

「ご提案ありがとうございます。謹んでお受けいたします。
頂いたネックレスに恥じない女性に、必ずなります。」

あたしだって、宣戦布告だ。
この魔女からの条件を飲む形で、あたし達の婚約は成立した。



*****



香港から帰るとすぐに、俺は母親に電話をした。
ビジネス以外のことで電話をしたのなんて初めてかも知んねぇ。
秘書に取り次ぎ頼むと、時間を置かずに電話が繫がった。

「どうしたんです?司さん。」
「牧野との婚約を発表します。そのご報告を。」
「あら、ついに彼女は覚悟を決めたのね。」
「社長が託したネックレスを身に着けて、香港のパーティーに一緒に出席しました。」
「聞いているわ。大変な騒ぎだったらしいわね。」
クフフっという笑いが聞こえた。
電話で笑っている母親なんて見たことねぇ。

「それで?香港リゾートの件はどうなったのかしら?」
「その件は一度白紙に戻します。」
「白紙に?」
「香港事業の現地幹部が、李氏に買収されている可能性があります。」
「なんですって?」
「ですので、企画メンバーを一新します。この指揮は私が執ります。」
「任せるわ。」
「はい。」

「けれど、幹部の買収というのは本当なの?」
「現在、西田が当たっていますが、恐らく間違いありません。今回私が香港に呼び出された経緯も、この幹部の契約書類上のミスと言うことになっていましたが、タイミングがおかしい。」
「そう。」
「それから、李氏は近いうちに脱税容疑で検察から捜索入りそうです。」
「なるほどね。」
「元々、李氏との取引は辞めるつもりでいましたから、今回の件は、牧野に責任はありません。」
「牧野さんの責任を問うつもりなど、初めからないわ。」
「ありがとうございます。」


牧野は今回の件で、うちのリゾート計画に水をさしてしまったのではないかと心配していた。
だから、これだけははっきりさせておきたかった。
李氏が逮捕されるのも恐らく時間の問題だ。
マスコミは今回のパーティーの件を面白可笑しく書き立てているようだが、そのほとんどが、すでに道明寺と李の交渉決裂という内容だった。
そう報道された方が、こちらも都合が良かった。


牧野が俺を追いかけて、香港まで乗り込んできた。
俺には、それが死ぬほどうれしかった。
例え李氏との関係が良好だったとしても、
俺はきっと牧野にキスしてたと思う。


俺はずっと待っていた。
牧野が俺の世界に飛び込んできてくれるのを。
無理やり引きずり出したんじゃ意味がねぇ。
そんなに甘い世界じゃねぇんだ。

あいつが俺の世界に飛び込んできてくれたら、
俺はあいつのために何でもしてやるつもりだった。
それが、この香港というタイミングだった。
あいつが、俺に腕を絡めて、「あたしの彼に触らないで。」と言い放った。
俺の世界に飛び込んできたあいつに、キスぐれぇじゃ足りねぇよ。
あそこがパーティー会場じゃなかったら、ぜってぇその場で押し倒してた。


ババァに言わせりゃ、道明寺家の人間としてはあるまじき言動ってやつだろう。
けど、俺にとっては、最強の言葉だった。


社交界では、俺のパートナーについての噂は絶えなかった。
その昔付き合っていた庶民の女とは当然別れたに違いないと言われても、否定することはしなかった。
否定すれば、きっと牧野がマスコミの餌食になるからだ。
覚悟のない牧野には、きっと耐えることはできなかっただろう。

でも、これからは、飛び込んできたお前を、俺が全力で守ってやる。
「婚約」という形は、その第一歩だ。


電話の向こうで、ババァが言った。
「司さん、婚約おめでとう。」


俺は拳を握りしめた。
4年間、このためにアメリカで努力してきたんだ。
全ては、牧野を手に入れるため。
そのためなら、俺のパワーは無限大だ。



 

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いつも応援ありがとうございます。
司にバトンを渡してしまった・・。
終わらない・・。

  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは~。
Happyendingです。

この度は、私の一人勝手なクリスマス企画(笑)にたくさんの拍手、コメント・拍手コメントをありがとうございました。
あまりにバタバタで、コメントにお返事する余裕もありませんでしたが、とっても、とっても励みになっていました~。


さて、このお話。
⑤ぐらいで終わっておけば良かったのかもしれない・・・
けど、進めてしまって、オチを作りにくくなってしまった・・・

でも、今、ちょっと、お話を書く勢いがなくなっていて(アハハ)、困っていたところだったので、このお話を繋ぎつつ、次のお話の構想を考えられたらいいなぁと思っています。

こんな下降ぎみの時に、自分でも無茶したなって思わなくはないですし、、結局クリスマスに完結できず、皆様にはご迷惑もおかけしていますが、それでも、連続アップで少し気合が入ってよかったなって思います。
こんな私にお付き合いくださって、本当にありがとうございました。

それで、もうしばらく、このお話にお付き合いいただけると嬉しいです。
予定では、AM5時 いつも通りの時間に投稿します。


理想の恋人も、あと1-2話書きたいところなのですが、なかなか筆が進まず。
でも、あの二人はとりあえず、結婚式まで行ったから、私としてはほっとしています。
とりあえずは、このクリスマス企画を完結させますね。


そんなことを言っている間に、つくしちゃんバースディですよ。
どうしよう。
何かは投稿したいと思っていますが、時間などは全くの未定です。


最後になりましたが、
私は総二郎君も好きですよ。
ただし、つくしちゃんとのカップルはやっぱり司君なのです。
総二郎君に限らず、類君でも、あきら君でも、司君以外の誰かとつくしちゃんがカップルになっていたら、その時司君はどうしてるの?って気になっちゃうんです。胸も痛む・・・。
司を愛しすぎちゃってるのかな・・・。
そんなわけで、私は、司つくしか書けないのでした。


ではでは、また明日に~。
ひとまず、お礼でした!


 

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  1. お知らせ
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

ベッドに移動して、
道明寺があたしにミネラルウォーターのペットボトルを渡してくれた。
「ありがと。」

ゴクリ、ゴクリと水を飲んで、あたしはほっと一息ついた。
ふと見ると、あたしは下着一つつけていないのに、あの豪華なネックレスはそのままだった。

「道明寺、これ、外しておかなきゃ。後ろ、外してくれる?」

道明寺があたしの髪を片側に集めて、ネックレスを外してくれた。
そのネックレスをあたしに手渡して、そのまま後ろからあたしを抱きしめた。


「お前、このネックレスの意味。知ってんのか?」
「え・・?意味・・?」
まだトロンとした余韻の残るあたしに向かって道明寺が言う。

「これは、ババァが道明寺家との婚約が決まった時に、ババァの実家から贈られた物だ。」
「どーいう・・こと?」
「ババァの実家が、ババァのために作ったネックレスだ。けど、それを着けたのは、婚約式の時だけだって聞いてる。」
「なんで?」
「いつまでも、実家のものを身に着けないっていうのがババァのポリシーってやつなんだろ?」
「なんで、それをあたしに・・なんで・・?」

道明寺があたしの首筋から離れた。
「昔、姉ちゃんが、そのネックレスを見つけて欲しがったんだ。俺も、その時見たから覚えてる。」
「へぇ。」
「確か、姉ちゃんの誕生日だったな。あんとき、ババァが姉ちゃんに〈あなたはいずれ道明寺を出て行きます。その時に、このネックレスを身に着けては行くことはできないわ。いずれは婚家に染まっていくの。だから、これは、道明寺に嫁いでくる人に渡すのよ。〉って言ったんだよな。あの時は意味分かんなかったけど、今日、久しぶりにそれをみて、分かったわ。ババァは今や道明寺の女だ。鉄の女だな。その道明寺の女が大切にしているネックレスは、もう道明寺家のネックレスなんだよ。それをお前に譲るってことは、お前を迎え入れるってことだ。」

あの魔女が・・あたしを迎え入れる。
嬉しいって言うより、
すごく・・怖いんですけど・・

「ねぇ。あたし、魔女とうまくやっていけると思う?」
「うまくやる必要ねーだろ。ふつーにやれよ。」
「あたしのふつーとあんたんちのふつーはかけ離れてるからなぁ。」
ふぅっと溜息。
でも、あたしはとてもすっきりした気分だ。

道明寺のお母さんに何と言われたって、あたしは道明寺と別れることはできない。
それなら、やっぱり認めてもらいたいって思ってた。
来年は道明寺ホールディングスに入社が決まっている。
そこで頑張って、認めてもらおうと思ってたんだ。


「なぁ、さっきの話。」
「さっきの?」
「日本に帰ったら、婚約しよう。」
「婚約!?」
「俺は堂々とお前を連れて歩きたい。」

うん。そうだ。そうだった。
あたしもそのつもりで香港まで来たんだった。
もう道明寺を一人にはしないって誓ったんだった。

「うん。あたしも・・そうしたい。けどね。そうしたら、仕事はどうなる?4月から、会社で働くの、大丈夫かな?」

「お前には、秘書室に入ってもらおうと思ってる。西田の下について、仕事を覚えればいい。」
「西田さんの下で・・。」
「働きづれぇとは思うけど、けど、俺は隠しておくのは性に合わねぇ。だから、頼む。」


いつもあたしのことを最優先にしてくれる道明寺が、あたしに「頼む」って言った。
いつものふざけた頼み事じゃないってことぐらい、あたしだって分かる。


ねぇ?知ってる?
あたしが幸せになるために必要なこと。
あたしの幸せは、道明寺が幸せであること。
そして、道明寺を幸せにしてあげるためには、あたしにはいつも勇気が必要だった。

だから、
あたしが勇気出しさえすれば、あたし達は絶対幸せになれる。
そうでしょ?

この道明寺の「頼み」を断ってしまったら、女が廃る!


あたしは、道明寺の頬にチュッとキスをした。
「分かった。よろしくね、あたしの婚約者さん。」

道明寺はあたしがこんな返事をすると思わなかったのかな。
ポカーンと口を開けたままだ。

おっかしーい。
いっつも自身満々なくせに、あたしの前では弱気だったり。
仕事では怖い顔ばっかりしているくせに、あたしの前ではいろんな表情を見せてくれる。


最高にカッコイイのに、
最高に可愛くて、
最高に愛おしい____あたしの最高の男。

あたしが幸せになるために、
絶対に離さないからね。


クリスマスの夜に、婚約を決めた。
あたしにとって、最高のプレゼントだよ。
ありがとう、道明寺。



 

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いつも応援ありがとうございます。
今日は「理想の恋人」ではなくてすみません。
このお話は①から続いていますので、時間に余裕のある時に御覧下さい。
あと何話になるかな。
ここまで来たから、きちんと終わらせたいと思っています。
  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

あたしの体が道明寺にしゃぶりつくされる。
そうなると、あたしは何も考えられなくなる。
ここは絨毯の上だってことも。
何もかも。

潔癖な道明寺がこんな絨毯の上であたしを求めてくる。
それを止めることはあたしにはできない。

上からも、下からも刺激があたしを襲ってくる。
逃げる場所はどこにもない。
気持ちがよくて、
どんどん彼が欲しくなる。

いつもの道明寺なら、この辺りで
「もう限界」って、あたしに沈み込んでくるくせに、
今日は執拗にあたしを攻めてくる。

まだ?まだ、来てくれないの?
もうあたしが・・限界だよ・・

「うっ、やだ、止めて。イッちゃう。」
あたしの入口を道明寺の舌がしゃぶってる。

「先に、イケよ。」
「やだっ、やだっ、お願い、一緒にイッて。」

一人じゃイヤ。
お願い。二人でイコウ。


あぁ、もうダメっ。
あたしの視界がスパークする寸前に、
あたしはクルリと返されて、
後ろから挿入された。

自分の中が収縮するのが分かる。
「あぁ・・んん・・」
子宮までもが収縮する。


これまでに感じたことのないオーガズムの境地。
体の震えが止まらない。
道明寺の動きはまだ止まっていない。
あたしはずっと、道明寺を締めつけたまま。

「うっ。くっ。お前っ、気持ち良すぎる・・ううっ。」


あたしだって、気持ちいい。
あたしの中はまだ痙攣したまま。
あたし・・どうなっちゃうの?

息が止まるほどの快感の中。
道明寺の速度が更に速まったかと思ったら、
次の瞬間にはあたしの背中に道明寺が落ちて来た。


お互いの息が荒い。
快感が強すぎて、何も考えられない。

背中にたくさんのキスをされて、やっと意識が戻ってきた頃、
道明寺が呟いた。


「お前の責任は俺がとるから、お前もこうなった俺の責任とれよ。」
耳元で甘ーく囁かれて、
何の責任だか分からなかったけれど、

「うん。」
あたしは迷わず返事をしていた。



 

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こんばんは~。
この後、どうしよう。どうしようかなぁ。
明日の朝が早いので、今日はここまでしかアップできません。
この続きは明日朝5時で。
(理想の恋人はあと少しありますが、いずれにせよ書けていないので・・はは。)
すみませんが、よろしくお願いいたします
  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

エレベータの中は、いわゆる密室。
道明寺はカードを出して、最上階をタッチすると、あたしに吸い付いてきた。

あー。まずいなぁ。
ちょっと甘やかしすぎたかな。
完全にスイッチが入っちゃったこいつは、あたしでも止められない。

こいつってキス上手なんだよねぇ。
ムカつくことに、キスの経験は豊富だからねっ。
でもさ。
こんな情熱的なキスをされるのは、あたしだけでしょ?
あたしだけだよね?
あたし以外の女にこんなキスをしたら絶対に許さない。

不思議だなぁ。
あの時。高校生の時。
あたし、どうして道明寺に付いていかなかったんだろう。
あの時のあたしにとってはベストな選択。
遠距離恋愛なんて、お互いに信じあっていれば大丈夫だって思ってた。
でも、現実ってやつはそんなに理想通りにはいかなくて、
何度も一人で泣いたこともある。

今ならどう?
この人を4年間、手放せる?

それは絶対に無理っ!
あの時と、今と何が違うんだろう。

一番の違いは・・・
あたし達は、あたし達のぬくもりを知ってしまったから。
「好きだ」とか「大切だ」っていう気持ちの他に、
「愛する」とか「抱きしめる」っていう喜びを知ってしまったから。


エレベータが開いたとたん、そこはスイートルーム。
さすがはメープル最上階ねって、そんなことを考える余裕はもうすぐなくなる。

ほらね。
道明寺の目がもう、狂ってる。
あたし知ってるんだから。
あんただって、イルミネーションなんて見てなかったでしょ。
あたしのことしか見てなかったでしょ。
知ってるんだからねっ。

道明寺がコートを脱ぎ棄てて、
あたしはパンプスを脱ぎ捨てた。

彼がジャケットを脱ぎ捨てて、
あたしはコートを脱いだ。

羽織っていたニットカーディガンを脱いだところで、道明寺に喰いつかれた。
背中が壁に押し付けられる。

キスしてキスしてキスして・・
その唇が首筋を伝って・・

道明寺があたしのドレスのファスナーを開ける。
そこで彼の視線が止まった。


「お前・・ブラしてねぇの?」
「え・・うん。ドレスに補正ついてたから。結構きつくて・・」
「バカっ。誰かにドレス降ろされたらどーすんだよっ。」

ぷっ。
あたしのドレスのファスナー開ける男なんて、あんたしかいないって。
そんなことも分かんないの?

「お前はホント、ムホホ地帯だな。ブラなしで歩くなんて、これからは許さねぇからな。」

そんなに怒ることかしらね。
透けて見えてた訳じゃないじゃないの。
パンツなしって訳じゃないのに。

クスクス笑っちゃったあたしに向かって、
「お前ホント、なめてんな。ブラなしってことは、いくらでもしゃぶってくれっつーことと一緒なんだかんな。」

アホか。
そんな訳あるか。
プクク。

って、
「あっ。」
ゾクゾクする感覚。
道明寺にしゃぶりつかれる感覚。
きついドレスから解放されたあたしの感度はメチャクチャ高い。

気持ちイイ、気持ちイイ。
ダメだ。これはダメ。

道明寺のクルクル頭に指を通す。
「ああん・・」

あたし達はそのまま、毛足の長い絨毯に倒れ込んだ。



 

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ここで終わる訳にはいかない(笑)。
ですが、一度はやめに晩御飯の準備へ・・・。

  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:1
  3. [ edit ]

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