花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

今日は、美作さんのお誕生日ですね~。
どうしようかなと迷って、一度書いてみたかったお話にしてみました。
美作さんのお誕生日に、美作さん目線の『つかつく』です。
ちょっと切ないお話です。
でも、Happy Birthday, Akira!の気持ちを込めて。

*****




「美作さん、お誕生日おめでとう。」

今日は俺の28回目の誕生日。
目の前の牧野は、昔より、ずっと大人になった。
はねっかえりだったあの頃のガキっぽさは鳴りを潜め、少し愁いを秘めた大人の女性。

彼女がこんな表情をするようになったのは、5年前からだ。
司との別れを決めた5年前。
嫌いで別れた訳じゃない。
それが分かっていても、あの頃周りにいた俺たちでさえも、何をすることも、どうすることもできなかった。

牧野の大学卒業が決まった頃、司の家の状況が一変した。
司の父親が倒れた。
すでに、ビジネスの最前線に出ていた司の肩に、多くのものが圧し掛かった。
それは、『道明寺』という大きな組織。
そこで働く人々、彼らが生み出す利益も不利益も、全て司が背負うことになった。
当然のことながら、4年で迎えに来ると言う約束は果たされなかった。
あの頃の状況では、司が牧野の人生に責任を負うことなんてとても出来なかったんだ。
それは、愛している女への、男としての責任。
司には現実が、痛いほどに分かっていたんだろう。

牧野はすぐに状況を理解した。
想像以上に賢くて、誰よりも優しい奴だ。
司が想う以上に、司のことを想っていた。
そして、牧野は司を解放した。
自分が司の足かせになることなんか、望まなかった。

当然、司は牧野の決断を受け入れなかった。
「5年だ。5年だけ、待ってくれ。必ず、お前を迎えに行く。」
そう言った司に、牧野は頷かなかった。
司の負担にならないように、返事はしなかったんだ。

皮肉にも、牧野が別れを決めたのは、5年前の2月28日。
俺の誕生日だった。




あれから5年。
牧野の心の中は、今でも司の言葉が生きている。
頷くことはなかったのに、ずっと司を待っている。
口には出さなくても、みんな分かっているさ。
だって、あれからも、誰一人として、彼女の心の中に入ることは許されなかったんだから。


俺は今、牧野の頼れる兄貴というポジションだ。
この5年の間、ずっと彼女を見守って来た。
それは思いがけず幸せな日々で、
牧野と一緒にメシを食ったり、
映画を見たり、
仕事の愚痴を聞いてやったり、
ただそれだけのことが、暖かな記憶になっていく。

春は桜を見た。
その桜を見ながら、司を想う彼女。
その横顔が綺麗で見惚れた。

夏は海だ。
あいつらみんなで行った海。
牧野だけは、水着にならなかったな。
司のいない海では、水着になんてなりたくなかったんだろ?
見せたい男がいないんだもんな。
だから、俺は牧野に言ってやったんだ。
「かき氷食いに行くか?」
その言葉にうれしそうに頷いた彼女は、本当に可愛かった。

晩秋の紅葉。
牧野が、落ち葉の中をサクッサクッと歩く。
一歩一歩、寂しさを埋めるように歩いていく。
俺は、牧野の後ろを付いていく。
その寂しそうな後姿を抱きしめそうになっても、それはしない。
それは、彼女が求めていることではないからだ。

冬は大変だった。
クリスマスに誕生日にバレンタイン。
恋人たちのイベントが盛りだくさんだ。
牧野が心から楽しむことができる日はまだ来ない。
だから、俺は何気なく誘うんだ。
「飯でも行くか?」


牧野にとって、俺は家族のようなもんだ。
類のように、あいつのソウルメイトって柄じゃない。
総二郎のように、ひたすらからかうこともしない。
牧野の傍にいるものの、何も尋ねることはしない。
家族に本心を語る奴なんて、この年ではいないだろう。
だから、牧野も俺には本当の心は語らない。
だけど、感じるんだ。
牧野の、司への強い、強い、想いを。


俺は、牧野が好きなんだろうか?
もしそうならば、奪えばいいじゃないか、司から。
そんなことを考えなかった訳じゃない。
だが、そういう考えが浮かぶ度に、彼女の愁いを含んだ表情が思い出された。

今でも司を想ってる。
きっと、あの頃よりも想っているんだろう。
他のどんな男も目に入っていない。
その横顔に惹かれるんだ。
司を想う横顔に。

俺は、牧野に惹かれている。
強く司を想う、牧野に惹かれている。
いつか、俺もそんな風に愛されたいと願うほどに、今は別れた二人が羨ましく思える。
でも、それは、きっと二人がもう一度、共に歩き出すと分かっているからなんだろうな。




「もう、5年だな。」
シャンパンを空けながら、牧野の顔を覗き込む。
泣きそうなのに、笑っている。
お前は何を考えている?

今日は、司との約束の5年目だ。
牧野がずっと待ち続けた5年の月日。

「あいつに返事をしなかったのはあたしなのに、ずっと忘れられなかった。どこかで諦めようと思っても、ずっと踏ん切りがつかなかったの。そろそろだって、思ってる。だから、今日が終わったら、もう止めようと思う。」

この5年間で、初めて聞いた牧野の想い。
今日が過ぎたら、司を想うことを止めるのだという。


もうすぐ、司が一時帰国する。
それは、凱旋帰国前の、地ならしのため。
マスコミ報道によれば、今回の帰国で、司はどこかの令嬢と婚約を発表すると言われている。
そんなこと、ある訳ねぇんだけど。
だって司は、今でも、牧野のことしか想っていない。
司が捕まえにくるとしたら、目の前の牧野しかありえない。
お前はそれを知らないのか?

「もうじき司が戻って来る。」

「5年って言ってた。今日で、5年。あたしは、もう十分待ったでしょ?」

何を考えている?
この5年、ずっと想い続けていた司のことを、あと少しだけでも待ってやれないというのか?

「今晩の便でハワイに行くんだ。それで、ぱーっと遊んで忘れてくるから。」
ふざけた口調の牧野の目は、虚ろだ。

何を馬鹿なことを言ってるんだ。
俺はちょっと呆れちまう。
それでも分かるんだ。
これは、こいつの強がりだ。
司が迎えに来てくれないことが耐えられなくて、こんなこと言っているんだろう。
こいつの精神状態も、もうギリギリなんだ。

俺は黙って、想いをめぐらせた。
ハワイという言葉には記憶がある。
昔、司が嬉しそうに言ってたっけな。
牧野から、新婚旅行はハワイに行きたいって強請られたとか。
たぶん、半分司の勘違いなんだろうけど。
司と一緒に行きたかったハワイに一人で行くと言う、バカ女。
そんなことしたって、お前は司を吹っ切ることなんて出来ないだろう?
無駄な抵抗は止めた方がいい。


「じゃあね。美作さん、そろそろ行くね。」
そう言って、牧野が席を立つ。
「羽田まで送る。」
俺は溜息をついて、席を立った。

どうする?
どうすればいい?

司、牧野が行っちまうぞ?


その時、俺の携帯のバイブが鳴った。
そっと画面を眺める。
俺は思わず笑っちまった。
野生の勘は健在だ。
_____あいつが到着したみたいだ。



夜の羽田も人が多かった。
人込みの中を、牧野の後ろから歩く。
出国手続きをするカウンターには人だかり。
何故ならそこには、あの男が立っていたから。

牧野の足が止まった。


走り寄ってきた大男に抱き込まれる牧野。
この5年間、一度も涙を流したことのない、牧野のすすり泣きが聞こえた。
俺は、その姿を確認して、踵を返した。






Zizzzzz…
俺の携帯のバイブが鳴る。

「お誕生日、おめでとうござます、美作さん。
寂しくされているのかと思いましたので、
一緒にお祝いをして差し上げましょうか?」

俺と同様に、彼女を見守って来た女から連絡が入った。
どうやら、司があちこちに電話を掛けまくったようだ。

俺の肩の荷が下りた日。
それは、俺の誕生日。
やっと、本気の乾杯ができる。

「おう、一杯付き合って。」
俺と一緒に彼女を見守り続けた女と、今日は飲み明かすか。
それも悪くないな。


____俺たちの時間が、再び動き始めた。



 

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  1. 短編
  2. / comment:7
  3. [ edit ]

東西商事の加藤のオヤジが、鼻の下を伸ばして、牧野に先導されて歩いてくる。
オイオイ、オヤジっ。そいつは、俺の女だ。
ジロジロ見てんじゃねーぞ。
俺は立ち上がって、加藤専務を待ち受けた。

「これはこれは、道明寺支社長。わざわざお待ちいただき、恐縮です。」
ケッ、タヌキジジイめっ。

「牧野、案内しろ。」
俺はなんとか冷静を装い、牧野に指示を出した。

「はい、ご案内いたします。」
ニコッと微笑む牧野。
うっ、やっぱ、可愛い。
ダメだ、これを毎日させとくなんて、許しちゃおけねぇ。

順調な私生活に安心して、牧野のメープルでの仕事まで、きちんと把握できていなかった。
こいつが、こんなに危険な仕事をしていたなんて、予想外だ。



____15分後。

「いやぁ、牧野さんが、本当にメープルの社員さんになっていたとは。」
「信じて下さっていなかったのですか?」
「冗談だよ。でも、牧野さんに会いたいおじさん達が、後を絶たないんじゃないの?」
「そんなことはありませんよ。あっ、でも先日は、後藤社長夫妻が、こっそり会いに来て下さいました。」
「あの人は、牧野さんファンクラブの会長だからなぁ。」
「あはは。そんなお話、聞いたことはないですよ。」

なんだ・・なんなんだ・・。
後藤のオヤジ?
ファンクラブ会長?
「先日の新聞に、道明寺支社長と握手をしている写真が載っていたからね。僕の周りでも、牧野さんだって皆すぐに気が付いて、この間はThe Classicで盛り上がったよ。」

先日の入社式の写真は、道明寺HDが全面的に東京メープルをバックアップするとして、俺と牧野が握手を交わした写真がマスコミを賑わせた。
それにメープルでは、牧野はこの俺、道明寺司が直接指導をしている新人として認識されているはずなんだ。
下手な奴には手出しはさせねぇと目論んでいたのに、どうやら、至るところでこいつは有名になっているらしい。

「そうだったんですか。恥ずかしいです。」
うっすら赤くなる牧野。
お前は俺の女だろっ。
オヤジ相手に、なに照れてんだっ。


「その恰好も新鮮だなぁ。牧野さんがいるなら、これからは会食はメープルでお願いしようかな。牧野さんを指名ってできるのかな?」
「前もってご連絡をいただければ、対応いたします。是非。お待ちしていますね。」
あはははは・・なんて笑い合ってやがる。
どうなってんんだ?この状況。
隣の西田は黙って、茶をすすってる。
イライラッ。

「そう言えば、後藤社長のところの息子さんとは、お見合いしたの?」
「えっ?あっ、いえ、そんなことはありません。」
「へぇ、奥さんがかなり気合入ってるっていう噂だったけど?」
「まさか・・何かの間違いですよ。」
牧野が俺をチラッとみたようだ。
俺は、それに気づかないふりをして、茶をすすった。

「それに、美作社長のところにも、近い年頃の息子さんがいるらしい。牧野さんに会わせたいって言っていたけど、そっちの話はあった?」
美作って・・あきらかっ?!
マジかっ。
「あっ、マスターからお話は頂きましたけれど、きちんとお断りしましたよ。お見合いなんて、嫌です。」

・・・。
牧野、話はあったんだな。
俺には言ってなかったよな。
臼井からも聞いてねぇ。
あきらは・・知る訳ねぇな。
なんだよっ。
牧野はどんだけ、オヤジキラーなんだよっ!
なんで、こんなに見合い話が多いんだっ!!


俺の睨むような視線に気づいた牧野。
自分も気まずいのか、焦ってやがる。
「あっ、申し訳ございません。それではそろそろ失礼致しますね。」
「いやぁ、せっかく牧野さんに会えたのに、寂しいなぁ。」
「専務、お仕事でいらしたのでしょう?道明寺支社長もお待ちですよ。」
そう言って、牧野が俺を見る。
何だよ、俺に気ぃ使ってんのかよ。
愛想振りまいてんじゃねぇぞ。



牧野が姿勢を正し、俺をチラッと見た。
「専務の会社の太陽光発電。是非、メープルにも応用させて下いね。約束ですよ。」
「あぁ、分かってる。その代わり、牧野さんも、企画提出してよ。」
「えへへ。まだ新米社員ですから、だいぶ先になると思いますけど。頑張りますっ!」
「よし、待ってるからね。」
「はい。」

おい、ちょっと待て。何だそれ。
太陽光って、何で牧野が??

「すみませんが、牧野とは・・」
口を挟んだ俺に、二人が同時にこちらを見た。

「いやぁ、牧野さんは、太陽光発電にすごく興味を持ってくれていてね。The Classicで会った時から、その話で盛り上がっていたんだよ。太陽光発電を節税目的で利用する企業も多い中、牧野さんは、沖縄メープルで太陽光の新しい利用の仕方を考えたいと話てくれてね。いつか、共同企画をするのが、僕たちの楽しみなんだよね。牧野さん。」
「はい。」

・・・。
なんてこった・・・牧野のやつ。
いいとこに目を付けてんじゃねーか。

「今どきの若いウェイトレスにしては、やけに勉強熱心だと思ったら、先日の新聞で、道明寺支社長がご指名で握手をされている写真が出ていましたね。」
「はい。」

「驚きました。牧野さんは、道明寺ホールディングスと東京メープルの懸け橋になる存在とか。」
「新入社員ですが、私が直接指導します。それだけの人材だと惚れ込んでのことです。」
俺は加藤専務を視線を合わせた。
「そうですか。いやいや、道明寺支社長とは気が合いそうだ。」
まだ、腹の内は分からねぇ。
けど、このオヤジ、見る目はありそうだ。

「牧野さんの言う、沖縄での太陽光利用のプランはどう考えられますか?道明寺支社長。」
乗って来たか・・?
「我が社が沖縄にもつ広大な土地を利用して、さらに太陽光の開発が進むのであれば、道明寺からも是非協力を申し出たいと考えています。」
「ほう・・そうですか・・・。」
喰いついてきた。

ちらっと牧野を見ると、ちょと笑いながら、退室していくところだった。
もしかして、あいつ・・分かってたのか?
この話が出ることを分かってて、この接待に加わってた?
マジ・・か?


東西商事との契約は前向きに話が進んだ。
これは、牧野の活躍がデカイ。
最後に加藤専務を見送る時にも、牧野がやって来た。

「沖縄メープルでの太陽光発電、楽しみです。マンゴーのハウス栽培がしたいですね、専務。」
そう言いながら、笑顔で加藤専務を見送る牧野。
専務も満足そうに、車に乗り込んだ。


西田が隣で呟いている。
「牧野さんは、The Classicで、大御所たちのアイドルだったようです。仕事熱心で、一度訪れたお客様は決して忘れず、スムーズに会話ができるように、勉強も欠かさないとか。実は、大学も主席で卒業されているそうですよ。今日、加藤専務のご案内をお願いした時に、すぐに牧野さんの方から太陽光発電の話がありました。いやいや、驚きました。」

驚いたのは俺だっつーの。
あいつが賢い奴だとは知っていたが、あいつの有能っぷりと、人間性を認める奴が、俺以外にもウジャウジャいるなんて、焦るじゃねーか。


あちこちからの見合い話。
無意識なくせに、相当なオヤジキラー。
経済界の大御所のアイドル。
仕事では、俺のアシストまでしやがった。
どんだけデキル奴なんだ。
こいつはどうやら、俺の予想のかなり上をいっているらしい。

可愛い顔して、きっちり仕事もして、オヤジたちのアイドルで、そんで俺の心も鷲掴みだ。

あいつは俺の、俺だけのもんなのに。
あいつは、俺の知らない所で、確実に認められつつある。
ったく、厄介な女にはまったもんだ。

俺も、幸せに浸ってる場合じゃねぇぞ。
あいつから、絶対に目を離せねぇ。

あいつとのメープルのプロジェクト、がっつり成功させてやる!


「西田、総二郎と連絡取れてんのか?」
「はい、来週以降であれば、都合が付くようです。」
「分かった。プロジェクト、進めるぞ。」

西田が、満足そうに、ニヤリと笑った。
俺の闘争心にまで火をつける女____
牧野つくし、恐るべし。



 

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今日は、夕方にもう一話、あきら君視線の『つかつく』を投稿予定です。
  1. 続・俺の女
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

「恐ろしいほどに順調で、驚いております。」
「はぁ?」

牧野が働き始めて2週間以上が過ぎた。
普段の仕事は互いに忙しい。
あいつは、ベルガールって業務を覚えるのが大変らしいし、俺もメープルだけに関わっている訳じゃねぇからな。

あいつも今月は初期研修で、いっぱいいっぱいの様だ。
さすがに、新入社員にいきなり多くを望むことはできない。
とりあえず、メープルの短期プロジェクトは、あいつに企画書を書かせている。
逐一メールでやり取りをして、訂正させたり、考えさせたりしている。
長期計画については、焦るつもりは無く、しっかりとした企画書を提示してから、プロジェクトチームを組むつもりでいる。

まずは、短期プロジェクトの企画案を、そろそろ動かしていくつもりだ。
国内外の高級志向の顧客への〈非日常〉という提案。
道明寺HDがバックについた、メープルならではのアクティビティの提案。
牧野の提案を具体化していく。


そんで・・俺たちの生活はというと・・・
至って順調。
牧野はまだ、宿直はなく、4月は基本定時勤務だ。
帰宅してから、企画を練ったり、調べものをしたりしているようだ。
俺は、できるだけ毎日牧野に会うために、仕事はハイピッチで進めている。

毎日牧野に飢えている俺は、あいつから見ると、
「司さん、犬みたい。」
だそうだ。
がっついている自覚は・・・自分でもある・・。
でも、仕方ねぇだろ?
恋人と、ほぼ一緒に暮らしてんだ。
この道明寺司が「犬」呼ばわりされようとも、一向に構いはしねぇ。
が、毎日牧野を抱こうとする俺に対して、あいつは、言いやがった。

「あたし、最近、すぐ眠くなっちゃうんだよね。11時にはもう眠いの。司さん、11時に帰って来なかったら、先に寝ちゃうからね。ご飯はレンジでチンして食べてね。」

・・・。
メシはともかく、先に寝られちまったら、どうしようもない。
ってな訳で、俺の門限は11時になった。
俺は11時にはマンションに帰るべく、超特急で仕事を終わらせている。
そりゃ、毎日って訳にはいかねぇけどな。


ニヤニヤと顔が緩んでいたんだろう。
西田が気持ちワリィもんでも見るみたいに、俺を見た。
何だっつの。
仕事はちゃんとしてんだろうがっ。

「今日は、12時から、東西商事の加藤専務と会食です。」
「あぁ、覚えてる。あのオッサン、結構難しいんだよな。」
「そうですね。前任者も苦労していたようです。」
「あそこの太陽光発電技術は、欲しいんだよな。うちも一つ絡みたい。」
「加藤専務はなかなか癖がありますから、1回の折衝では厳しいですね。」
「道明寺がもつ沖縄の土地を提供して、向こうの技術開発に協力してもいい。」
「用意はしてございます。それから・・」

西田の眼鏡が光った。
「加藤専務のおもてなしは、牧野さんにお願いしています。」

あ?牧野???



*****



なんだよっ、これっ!!

加藤のオヤジを出迎えるために正面玄関にリムジンを付けた。
すぐに、ドアが開き、ロビーへ誘導される。
もちろんオヤジはまだ到着していない。
牧野が来るっつーから、俺はワザと早めにでてきたんだ。

前方から、小柄な女が歩いてくる。
つーか。見たことがある。
見たことあるどころじゃねぇ!牧野だっ!

お前、何だよ、そのカッコ。
聞いてねぇぞ。

臙脂(エンジ)色に黄色パイピングが施されたジャケット、黒のミニスカート、で、その帽子は何だよっ。
少しだけ斜めに被された、円筒形の臙脂色の帽子。
なんだ?なんなんだ?
コスプレか?
可愛すぎんだろっ!
これが、ベルガールって奴なのか?
そうなのかっ??

俺は、ホテルにしても、仕事にしても、案内を女に頼むことは一切ない。
全て前もって西田が手配をしているし、周囲はSPが囲んでいるし、俺の女嫌いは有名で、そういったことは徹底されている。
だから、いままで、ベルガールが俺に近づくことなんて無かったんだ。
特に、メープルなんて、いつもは地下から入ってっから、正面玄関なんて、殆んど使わない。
けど今回は、牧野が加藤専務を接客すると西田に聞いた俺は、わざと正面玄関を利用した。


「お待ちしておりました、道明寺支社長。先に、お部屋へご案内致しましょうか?」
牧野か?
お前、本当に、牧野か?
別人のように、完璧な接客態度に、声も出ない。
何が、ご飯はレンジでチンして食べろだ。
別人だろーがっ。

俺の代わりに西田が答えた。
「加藤専務を待ちます。」
「畏まりました。それでは、こちらのソファへ。」

俺の前を歩く、小さな牧野が可愛すぎて、ガン見しちまう。
つか、これ、毎日やってんのか。
俺は、全く知らなかった・・・ベルガールって奴を。
牧野が、こんな公衆の面前で、笑顔を振りまきまくってるなんて、知らなかった・・。


「もうしばらく、お待ちくださいませ。」
そう言って頭を下げ、またロビーへ戻っていく牧野。

「西田・・・お前、知ってたのか?」
「何をでございましょう。」
「牧野だよ。あいつ、毎日あんなことしてんのかよ。」
「四月中はベルガールと聞いておりますが。」
「ちっ。おい、加藤のオッサンはもういいから、牧野を下がらせろ。ロビーをあのカッコでウロチョロさせんな。変な男が付いたらどうすんだ!」

「はぁ。しかし、あれは、牧野さんの立派な仕事です。そんなことを言えば、牧野さんの立場が悪くなります。」
「ぐっ。」

「それに、加藤専務は、The Classicで牧野さんを気に入っていましたから、是非にと牧野さんに案内をお願いしたのです。」

はぁ?
西田が牧野に頼んだ?
お前、何考えてんだよっ。
しかし、加藤のオヤジ。
牧野に、気があんのか?
老いぼれジジイだろうがっ。


数分後、玄関に、加藤のオヤジが現れた。
俺が、立ち上がると、後ろから西田の声が聞こえた。

「支社長、冷静にお願いいたします。」

しかし、俺はこの後、牧野の更なる秘密を知ることになる。
あいつは___
俺が思っていた以上の女だった。



 

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  1. 続・俺の女
  2. / comment:4
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司さんにベッドに運ばれる。
初めての時と、同じシチュエーション。
初めてじゃないけど、でも、慣れてるわけでもなくて・・

「司さん、ご飯・・」
「要らねぇ。」

ベッドに降ろされた瞬間から、キスの嵐。
次々に服を脱がされて、司さんも服を脱いでいく。
時間はまだ早いはずなのに、司さんはなんだか焦っているみたい。

そうだ、司さん、女嫌いなんじゃないの?
女とは仕事しないんじゃないの?
本当はマフィンなんて欲しくなかった?
そんなことを聞こうと思うけど、もう、聞ける雰囲気じゃなくなった。
仕事と私生活は別。
難しいなんて思ったけど、案外簡単な事。
司さんに求められたら、他のことなんて考えられなくなるんだから。


初めての時より、求められている気がする。
キスが長い。長くて、深い。
あたしの頬は、司さんの片手で押さえられ、
苦しくて顔を背けようとしても、すぐに司さんに追いつかれる。
もう片方の司さんの大きな手で、あたしの小さな胸が揉まれてる。
合わせた唇には息をする隙も無くて、苦しいよ。

唾液が溢れてグチョグチョになってるのにまだ、キスが続く。
苦しくて、身をよじった途端に、足が開かれた。
あたしの敏感な部分に彼の指が触れて、

「濡れてる・・」
って囁かれる。
「や・・だぁ・・」
そんなこと、言わなくたっていいのに・・
キスだけで濡れるなんて、あたし、オカシイの?

「あっ。」
すっと指が入ったのが分かった。そのまま、ナカを刺激される。指が増やされて、少し曲げられた指で何度も何度も突かれた。
背中から、ググっと波が襲ってくる。
自分のナカがぎゅっと締まる。
「はぁ、あっ・・」

「気持ちいい?」
そんなこと言われたって、どう答えたらいいの?
あたし、もしかして、意地悪されてる?

「はや・・くっ。」
「早く、何?」
「あたしっ、もうっ。」
なんで、あたしだけこんな気分なの。
あたし、なんか、お仕置きされているみたいだよ。

あたしが勝手にご飯に行ったから?
司さんに連絡しなかったから?
だから、怒ってるの?

司さんが恐い人だなんて、きっと嘘だ。
だって、こんな意地悪している時でさえ、その手つきはこんなに優しい。
あたしを大切にしてくれる。

あたしは一緒がいいのに、
あたしも司さんが欲しいのに、
そう思ったのに、声には出来ずに、そのまま、司さんからの刺激が強くなって・・・
「うっ・・あぁ。あぁ・・」
目の前がスパークする。
震える自分を抑えられなくて、ぎゅーっと司さんの背中にしがみついた。

はぁ。はぁ。はぁ。
もう、だめ。
だらん・・と力が抜ける。

司さんがあたしを見つめる。
あたしも司さんを見つめてる。

あたしの瞳はきっと、司さんを求めていたに違いない。
あたしのナカから司さんの指がゆっくり引き抜かれて、

「俺をやるのは、お前だけだ。覚悟しろよ。」

そのまま沈み込んできた司さんの大きな波に飲み込まれた。



お誕生日もバレンタインデーもあたしからのお菓子を食べてくれた。
それは、どれ程の奇跡だったのか。
この人の全てを貰えることが、どれだけ幸せな事なのか。

司さんのことを、あたしはをあんまり知らない。
けど、あたしは、今、目の前にいる司さんが好き。
彼を信じてる。
その事実が一番大事。
それだけが、あたしの真実なんだ。



*****



ピピピピピ・・・
目覚まし時計の音で目が覚めた。

隣には、司さんが眠ってる。
昨日の司さんは、いつもと違った。
二人で絶頂を迎え、まどろんでいたら、
「もう1回だけ、したい。」
って言われて、その瞳を逸らすことなんて出来ずに、彼を受け入れた、
それで、そのまま、意識が無くなっちゃったんだ。

こんなに良い男なのに、なんであたしなんかと付き合ってるのかな。
そんな疑問もあるけれど、
でも、昨日、司さんに抱かれて気付いた。

もう、引き返せない。
だって、あたしには、司さんが必要なんだもん。
仕事も大事。
司さんも大事。
どっちも手放せない。


そっとベッドから降りて、シャワーを浴び、朝食の準備をする。
昨日炊いたご飯があって助かった。

それから、司さんも起きてきて、ニヤリと笑った。
司さんは、確信犯だと思う。
あたしには、司さんが必要だって、きっと体に分からせてる。
ズルい人。



一緒にご飯と食べながら、あたしは司さんに言った。
「あのねぇ。あたし、親戚のお姉ちゃんと住んでることになってるからね。」
「はぁ?彼氏と同棲だって言えよ。」
「言える訳ないでしょ?相手は誰だって聞かれたらどうするの?」
「俺だって言えよ。」
「・・・バカ。」

ねぇ。あたしの心も体も、司さんにもっていかれちゃってる。
だから、心配しないで。

「仕事では、他人だからね。」
そう言うと、司さんが黙った。

「でも、あたしは司さんしか欲しくないし、見てないから、心配しないで。」
そう言ったら、司さんがうっすら赤くなった。

「ずりぃ女。」

お互い様でしょ?
あたしに司さんが必要なように、司さんにとってもあたしが必要な女なんだって信じてるから。
あたし達は、きっとうまくやっていける・・よね。



 

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  1. 続・俺の女
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

「何怒ってんだよ。」
「だって、勝手に入って来るんだもん。」
「別に、いいだろうが、マッパだった訳でもねぇし。」
「ちょっとっ!変な言い方しないでよねっ!」

つーか。怒りたいのは、俺だろ?
俺のこと無視して飯食い言って、帰ってきたら、悩殺ポーズでお出迎えって何なんだよっ!
俺の忍耐試してんだろっ!

「司さん、ご飯食べた?」
出たよ、この上目遣い。
「食ってねぇよ。」
「ごめんね。食べてきちゃって。」
「いや、それはいい。」
ホントは良くねぇけど。

「あのさぁ。門限って何?あたし、高校生じゃないんだけど。」
「何時に帰るか連絡ぐらいしろよ。心配するだろ。」
「あぁ・・そっか。ごめんなさい。でも、司さんからの連絡がないと思ったんだもん。」
「お前、ちゃんと携帯見てんのか?それに、お前が早く帰るなら、俺も帰れるように努力すっから。」
「うん。じゃあ、今度から、司さんが遅くなるかどうか、西田さんから連絡もらうようにするね。司さんが早く帰れそうって分かってたら、ちゃんと帰って来るし。もし、遅くなるなら・・友達とご飯とかは行くかも。それでいい?」
つーか、それって、俺が遅ければ、お前も遅くなるかもって宣言してるようなもんだな。
はぁ。俺は、お前にはどこにも行って欲しくないと思ってるなんて、想像もしてねぇんだな。
けど、この部屋で、俺が帰宅するまで一人で待つように義務付ける訳にもいかねぇか。

「分かった。けど、男と二人はダメだ。」
「あはは。何言っちゃってんの?そんなこと無いって。」
「お前は、なんか危なっかしーんだよ。」
「ホント、司さん、心配しすぎだよ。あはは。絶対ない。あり得ない。」
「お前のその妙な自信が一番心配だ。」
「なっ!失礼ねっ!これでも、結構しっかりしてるって・・って、ちょっ・・・」
また怒り出しそうな牧野にチュっとキス。
それだけで、真っ赤になる牧野。
すげぇ、可愛い。

このままベッドに・・と思ったのに、
そううまくはいかねぇ。


「司さん。共同企画のことだけど・・」
「あぁ、俺がお前を指導するから、心配すんな。」
そう言いながら、首筋にキス。

「ちょっ。そうじゃなくって。これって、ワザとなの?ワザとあたしを指名したの?」
「まぁ、全くの偶然じゃないな。」
「そんな・・」

牧野の沈んだ声に、顔を上げると、泣きそうな表情の彼女。

「なんだよ。」
「それって・・さ。あたしの企画が良かったから・・じゃなくて、あたしが司さんと付き合ってるから、だから、指名してくれたってこと?」

あぁ。そーいうことか。
如何にも、真面目なこいつの考えそうなことだな。
だから、俺も正直に答えてやった。

「お前の企画だって知る前から、目を付けてた。ただし、俺が直接指導しようとまで考えてた訳じゃない。だけど、目を付けた案が、牧野つくしの、お前の案だって分かってからは、今回のことは考えてた。」

「じゃあ、本当にあたしの案を評価してくれたの?」
牧野が、恐る恐る、視線を合わせてくる。

「当たり前だろ。俺はそんなに甘い経営者じゃない。」

それは本当だ。
牧野が恋人だからといって、ビジネス場面で依怙贔屓をするような俺じゃない。
俺が牧野の案に協力しようと思うのは、牧野の案が魅力的だからだ。
だからこそ、それを一緒に成功させたいと思う。

「言っとくけど、俺は仕事には厳しいからな。」
「うん。望むところよ。」
牧野がやっと笑った。


「仕事と、私生活は完全に分ける。お前もそうしろよ。」
「えぇ。難しいな・・・。だって、司さんは上司でしょ?でも、あたしの恋人でもある訳で。ううん・・。」
真剣に悩んでるこいつが可愛くて仕方ない。
だから、もうひとつ褒めてやることにする。

「お前のスピーチ、良かった。」
「ホント?」
ぱっと、俺を見上げる牧野。やっぱ、可愛い。
「あぁ、道明寺に引き抜きてぇぐらいだ。」
「それは嫌。」
やっぱ、可愛くねぇ。

「あのねぇ。いきなり、合同入社式になるから、緊張したんだから。あたし、スピーチ無くなったと思ってたし。」
「無くなる訳ねぇだろ。」
お前のスピーチ聞きたくて、合同にしたんだぜ?とは言わない。

「頭、真っ白になっちゃってさ。でも、司さん、ニヤッって笑ったでしょ。あれで、目が覚めた。司さんのスピーチに負けてたまるかって思った。」
へぇ。こいつ、そんなこと思ってたんか。
良い意味での驚きに、思わず片方の眉を上げた俺。

「パンプスもね。なんか、身分不相応な気もしたんだけど、やっぱり、あれを履いて行ってよかった。まだまだ、追いつけないけど、きっと、あのパンプスを履きこなせるようになるから。見ててね、司さん。」
生き生きした瞳で俺を見上げる牧野。
やっぱり、こいつは、俺の腕の中でじっとしているような女じゃねぇな。
だけどよ、これ、可愛すぎんだろ。
バスタオル姿と言い、どんだけ俺を誘惑してんだ。
もう、俺も、限界だっつーの。


「他の男の前で、可愛いこととか絶対言うなよ。」
「はぁ?何言ってんの?そんなこと言ったこと無いし。」
「お前は、自覚が無さすぎる。」
「そんなことっ・・・って・・・うっ・・・うん・・」

おしゃべりな牧野を、唇で塞ぐ。
これからは俺たちの、恋人時間。
そう言う切り替えは、きっちりしろよ。

初めは硬かった牧野の体から、だんだんと力が抜けていくのをみて、俺は牧野をベッドに運んだ。



 

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今日の門限が21時って・・司さん、何考えてんだろ?
あたし、高校生じゃないんだけど・・。
でも、まだ20時半だもん。
司さんより、先に帰れるはず。
あたしは、何事も無かったかのように、LINEを入れた。
『終わったので、今から帰ります。』

で・・
急げ、急げっ!
そう言えば、司さん、ご飯食べて帰るよね?
今から作るっていっても、チャーハンぐらいしかできないけど。
冷ご飯でも、いいかな?

はぁ、はぁ。
何とか、マンションの正面玄関にまでたどり着いた。
指紋承認をして、息を整えながら、エレベータに乗る。

緊張しながら開けたドアの中は・・暗闇。
良かったぁ・・先に帰って来れたみたい・・。

はぁ。もぅ。汗だくだよぉ。
お米だけセットして、先にシャワーだけでも浴びておこう。

ふぅぅ。
スーツを脱ぎながら、あたしはちょっと首を捻る。
別にあたし、悪いことをした訳でもないのに、なんでこんなにビクビクしてるんだろ?

でも、思い当たる節はある。
早く帰れる日は待ってるって約束してたし、出張から帰ったら一緒に寝ようとか言っちゃってたし。
それなのに、初日から、彼氏ホッチッチはまずかったかなって、反省はしてる。

でもさ。司さんだって忙しい人な訳だし、あたしのことなんて気にかけてないと思ったんだもん。
だけど、思い返せば、「お試し」していた時だって、いつもバイトの後は迎えに来てくれていたし、案外心配性なのかもしれない。
そもそもこのマンションだって、寮での一人暮らし何て心配だとか言って、司さんがあたしの為に用意したものだ。まぁ、自分の都合も大いにあったのだとは思うけど。

あたしだって、もう社会人なんだから、そんなに子供みたいに心配してもらわなくっても大丈夫なのになぁ。
あたしは、なかなか常識はずれな両親に育てられたせいか、過度に心配されたり、大切にされたりすることに慣れてない。
今までだって、自分のことは自分で決めて、やって来たしね。
あたしって、周囲からは割としっかりしてるって思われてるんだけどな。
司さんから見たら、そうは見えないのかな?

そんなことを考えながら、あたしは、シャッシャッとお米をといで、シャワールームへ急いだ。



*****



「おい、西田。」
「今度は何でしょう?」
「今何時だ?」
「20時30分ですが・・。」

だよな。分かってる。
けど、あいつ、まだ飯食ってんのかよ!
ったく。社会人になったからって、色気づいてんのか?
まさか、酒とか飲んでねぇよな。
変な男に言い寄られてねぇだろうなっ!

今日は、きっちり今後のことを教え込んでやらなきゃなんねぇ。
と思ったところに牧野からのLINE。
帰ってきやがったな。

ガタンと俺は椅子から立ち上がった。
「もう、いいよな。」
「はい、後の確認はこちらでしますので。」
「じゃあ、先に帰るわ。」
「お疲れ様でした。明日は8時半にお迎えに上がります。」


会社で西田と別れて、俺は速攻マンションへ。
あいつ、ちゃんと帰れたのか?
部屋に入ったら、連絡入れるようにさせるか?
いや、ドアにセンサー付けとくかな。
カメラが確実か。

俺は、チャイムも慣らさずに、牧野の部屋のドアを開けた。
部屋の電気は付いている。
けど、出迎えはねぇ。


靴を脱いで、一歩中へ入ると、カチャッと左側の扉が開いた。
そこから出てきたのは牧野。
髪は緩くトップで纏め、体にはバスタオル一枚を巻いただけの姿。
「ふぅ。」
と息を吐いた牧野のが、ベッドルームに入ろうとしていて、その白い肩と太腿から下全開の細い足に、俺は生唾を飲んだ。

ガタッ。
あ、やべっ。思わずよろけちまった。
ぱっとこちらを振り返った牧野。
その瞳が驚きに見開かれて・・・


『うっぎゃー!!!』


こいつのこの叫びには、ある程度慣れた俺。
つーか。別に俺が悪いんじゃねぇっつの。
お前こそ、もう風呂入ってるなんて、やる気マンマンじゃねぇかよ。

固まるこいつに近づいて、頭をポンポンと叩いてやった。
「風邪ひくぞ。早く着替えて来いよ。襲うぞ。」
できるだけ冷静に言ったつもりだったが、顔はニヤケたままだったらしい。
「・・っ!!」
牧野が俺を睨んだ。



 

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最後のつくしの叫び。初め、「スケベっ」を考えたけど、古いなって思ってやめて、次は「エッチ」が浮かんだけど、なんか違うなと思い、最後は「エロ」って思ったのですが、やっぱりなんか違うんですよね。
むずかしいです。
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「おい、西田。牧野から連絡ねぇの?」
「ありませんね。」
「あいつ、今日は、もう終わってんじゃねぇのかよ。」
「さぁ、どうでしょう?」

ちっ、西田の奴。絶対に牧野の予定なんか把握してくるくせに、俺にはなかなか手の内を見せねぇ。
だったら、牧野から直接連絡が欲しいもんだが、あいつからの連絡もねぇ。

出張から帰ったら、一緒に寝ようとか言ってなかったか?あいつ。
早く帰れる日は、俺の部屋で待ってるんじゃなかったのか?
じゃあ、なんで、電話にも出ねぇんだよ。

イライラしながらも、仕方なく、書類を捲る。
その時、ブッブッというバイブ音。

『同期の子たちと、ご飯を食べてから帰ります。』

・・・。
マジか?
恋人よりも、同期かよ。
つっても、俺もすぐには仕事なんて終わらねぇんだけどよ。
はぁ。


「西田。」
「はい、支社長。」
「お前、牧野のスケジュール、しっかり把握しとけよ。」
「・・・。承知致しました。」
お前、めんどくせぇとか思ってんじゃねぇだろうな。

俺は、チマチマとLINEを打った。
『遅くなるんじゃねーぞ。終わったら連絡しろ。』

それから、書類に意識を集中させるが、15分もすると、またスマホを確認。
当然、返事はねぇ。
イライラ。
『早く帰れよ。』送信。

それから、また書類に目を通す。
15分して、スマホを確認。
返事はねぇ。
イライラ。
『もう、食い終わったのか?』送信。


「支社長、消音を解除されては?連絡があれば、分かるでしょう。」
西田が、呆れたように、俺に声を掛けた。


俺だって、そんなことは分かってんだよ。
けど、今だって、バイブの音にすら即座に反応できるぐらい、牧野からの連絡を待っている。
気になって仕方ねぇ。
俺はいったいどうしちまったんだ。
同じマンションに住んでいても、共通の仕事を持っても、彼女の体を知っていてさえも、それでも満足できない。
牧野の全てが欲しくて、俺以外の人間なんて見て欲しくねぇと思ってる。

同期って誰だよ。
男と二人じゃねぇだろうな?

牧野を好きになるまでは、自分がこれほど何かに執着するなんて考えもしなかった。
仕事にしても、俺にとっては、「道明寺司」の価値を世間に知らしめるだけのもんで、それ以上のものじゃなかった。
その俺が、一人の女にはまりまくって、仕事が手につかねぇなんて。
ありえねぇ。


出来る事なら、あいつは俺の女だと言って回りたい。
俺の女に近づくなと、堂々とけん制してやりたい。
本当は、俺は自分の女を外になんか出したくないんだ。
俺の部屋に閉じ込めて、俺のことを待ってろって伝えて、俺のことだけ見させて、俺のことだけ考えさせておきたい。

でも、残念なことに、俺が惚れた女は、俺の帰りをじっと待っているような女じゃなかった。
Barのバイトだって、一生懸命やっていた。
俺のグラスにウイスキーを注ぐ姿さえも真剣で、あいつが仕事を大切にする奴だって知っている。

もし、俺との交際が周囲に知れれば、おそらくあいつはメープルで仕事を続けていくことは難しいだろう。
本人が気にしないでくれと願っても、周りが気を使うにきまってる。
そんな中で、あいつが平気で仕事ができるとは思えない。
あいつがメープルを辞めたって、俺が道明寺で引き取ってやるんだが、あいつはそんなことを望む女じゃないだろう。

メープルの仕事は、あいつが自分でつかんだ、あいつの夢なんだ。
それを取り上げることなんてできやしない。


だから、俺ができることといえば、あいつが仕事をしやすいようにサポートしてやることだけだ。
俺がニューヨークで学んだビジネスマインドを、あいつのために使ってやる。
俺が仕事をすることで、あいつも働きやすくなるんなら、いくらでもやってやる。
そして、もちろん、二人で結果は残す。
それは、やるからには当然のこと。

俺はいつだって、牧野の笑顔が見たいんだ。
牧野ためだったら、何だってやれる。

願わくば、お前が隣にいてくれたら、もっともっと頑張れるんだぜ?

お前さぁ。
俺が、そんな風に思ってるなんて、全く知らないんだろ?



*****



皆で訪れた、洋食屋さん。
ここのデミグラスハンバーグは絶品。
同期4人で、今日の出来事を話し合う。
其々に課された企画とか、今日の研修内容とか、そんなこと。
だけど、一番は・・・

「ええ~!じゃあ、マキちゃん、道明寺支社長から直々に指導を受けるの??」
「うーん。具体的なことはあんまり聞いてなくて。でも、宿泊部門の研修はちゃんとするし、企画は時間外に頑張るしかないのかなぁ。」
「うっわー。初めから、めちゃハードだね。」
「うん。」

「でもさ、入社試験の時も、牧野の企画ってズバ抜けてたよな。やっぱ、上層部の目に留まったんだろうな。」
「そう言ってもらえると嬉しいけど・・。」

今回のこと、本当に素直に喜んでいいのかは、ちょっと引っかかっている。
だって、あたしは司さんの恋人な訳で。
でも、仕事の面で、あたしに甘い顔をする訳なんてないって思ってるけど。でも・・。


「けどさぁ、道明寺支社長って、バリバリ仕事人間って思ってたのに、ああいう顔するんだね。マキちゃんと握手した支社長がメチャ甘い顔してて、隣の山崎さんとか溜息付いてたよ。あれで、支社長のファンは確実に増えたね。」
「俺も思った。支社長は女嫌いで、仕事では女と組まないって噂あるよな。」
「ってことは、支社長のブラックな噂って嘘だったのかな?」

「ブラックな噂?」
「気になる?」
「いや、だって、これから仕事を教えてもらうのに・・さ。」
「だよねぇ。」

「ほら、支社長は高校時代、めちゃくちゃモテてたじゃん。」
「そうなんだぁ。」
「当然、バレンタインデーとか誕生日とか、女性からのプレゼントが殺到する訳。でもさ、もちろんどれも受け取らなくって、終いにはホールケーキを持ってきた女の子の顔に、そのまま顔面ケーキくらわせたって話。」
「マジ?」
あたしは、マフィンやムースだったから、大丈夫だったのかな?

「それに、実はスゲェ喧嘩っ早いらしいぜ。気に入らない奴は、半殺しにしてたとか。」
ひぇっ。
でも、あのデカイ体からすれば、強いのも頷ける。
あたしの前では、優しい姿しか見せてないのに。
実は、豹変したりして・・。

「ニューヨーク時代は、ゲイの噂もあったらしいしね。これは、絶対言っちゃだめだよ、マキちゃん。支社長に殺されるかも知れないよ。」
ゲイか。
それは・・ないはず・・。
やっぱり、噂は噂ってわけか・・ふう・・。


でもさ、こうして司さんの噂を聞いてみると、あたしって本当に何も知らないみたい。
だけど・・
あたしの知っている司さんは、Barで出会った司さんで、
あたしが好きな司さんも、Barで出会った司さん。
道明寺HDの支社長だとか、F4の一員だったとか、そんなことをいまさら知ったところで、あたしはどうしようもない。
あたしが信じられるもの。
それは、あたしが今知っている司さんしかいない。


「牧野。もしかして、残念とか思ってる?実は、支社長のファンだとか?」
今まで黙って聞いていた黒田君が話しかけてきた。
「そうじゃないよ。ファンだなんて。」
「そっか。」
なんか、ほっとした感じの黒田君。
周りで、涼ちゃんも高木君もニヤニヤしてる。
何なのよ。

「何かあったら、相談しろよ。支社長と仕事なんて、キツイに決まってるし。メシぐらいはいくらでも付き合うから。」
そう言ってくれる黒田君。
有難いのか、有難くないのか、よく分かんない。
付き合っている恋人が自分の上司で、その上司がキツイからって、恋人以外の男性と息抜きでご飯に行くって言うのもね・・・あたしには無理な話。

「ありがと。自分でなんとか頑張るよ。」
あたしがそう言ったら、黒田君はすごく残念そうだった。


コーヒーが運ばれてきて、最後のまったりタイム。
「でもさぁ、忙しくなると、実家から通うのは結構大変じゃない?」
と涼ちゃんに聞かれて、あたしは思わず言ってしまった。
「あ、ううん。近くに引っ越したから、それは大丈夫。」

「えっ?牧野、寮に入れたの?」
「聞いてないよ~、マキちゃん。」

しまったっ!あれは、寮なんかじゃないしっ。
でも、もし、彼の家に同棲なんて言ったら、相手は誰って絶対聞かれるし。
色々詮索されるのも困る。
もし、司さんとの関係がバレるようなことがあったら、仕事を続けていく自信なんかない。

「あっ、あたし、親戚のお姉ちゃんのところに居候することになったの。メープルの近くに住んでて・・。」
「へぇ、あのあたりに住んでるなんて、凄い人?そのお姉さん。」
「あっ、うん。そう・・かな。」
「でも、それはラッキーだね。」

この嘘は仕方ないよね。
司さんだって分かってくれるよね。
うん。


そう思いながら、そっとスマホを確認する。
あれ、LINE来てる。
ううん。LINEだけじゃなくて、着信も。

『遅くなるんじゃねーぞ。終わったら連絡しろ。』
『早く帰れよ。』
『もう、食い終わったのか?』
『まだ終わんねぇの?』
『いい加減に帰れよ。』
『今日の門限21時だからな。破るな。』
『俺より遅く帰るなよ。』

ぎょえっっ!!
何これ。
門限21時!
今は・・20時半。
でも、今日の門限って?
もしかして、司さん怒ってる?
司さんって、実は恐い人なの?


真っ青になるあたし。
「マキちゃん、どうしたの?」
って、涼ちゃんが心配そうに聞いてくれた。


「ごめんっ!親戚のお姉ちゃんから連絡来てた。先に帰るねっ。」
あたしは、ガタンと席を立ち、ダッシュで店を後にした。



 

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この二人って、正式に付き合いだしてから、まだ3日目なんですよ。
お子ちゃまカップル。
  1. 続・俺の女
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メープル、小会議室にて・・
集まっているのは、メープルの役員さんたちと、司さん、西田さん、あたし。

衝撃の発表の後、あたしは、頭がついていかないまま、会議室に残されることになった。
会議室では、あたしが提出した企画の書かれた資料が配られた。

司さんの声するけれど、なんだか遠くに感じる。
あたし、どうしてここにいるんだっけ・・?

「若年層を取り込もうとするプランが多い中、牧野さんの長期プランは、目を引きました。敢えて、ターゲットを富裕層から変更するのではなく、富裕層と若年層がともに楽しめる提案です。現在のメープルのメインターゲットは、富裕層、ビジネス関連、海外からの顧客です。メープルの高級路線を考えれば、今後もこのターゲットは外せません。しかし長期的には、もう少し幅い広い年齢層の顧客が必要になるでしょう。ただし、単に、安価な路線で若年層を引き入れるという選択肢は受け入れられません。そこで、牧野さんの案ですが・・牧野さん、簡単に説明してもらえますか?」
司さんの呼びかけに我に返った。

えっ。あたしっ。
なんで?今、資料をもらったばかりだよ。
そんな、急に言われたって・・

パチッと司さんと目が合った。
すごく真剣な目つき。
当たり前だけど、遊びなんかじゃない。
これが、ビジネスモードの司さんなんだ。
あたしも、落ち着け。しっかりしろ。
あたしは、一つ深呼吸をした。


「私が提案するプランは、既存の東京メープルの他に、若年層とファミリー層を受け入れる、新たなメープルを作りだすという案です。ターゲットは現在のメープルでは敷居が高いと考えてしまうような、若者、特にカップルと、富裕層のファミリーで、東京都心に、若いカップルや家族で楽しめる高級リゾートができるようなイメージです。本館とは建物自体を別にして、そこへ新たな次世代のメープルを作り出す構想です。現メープルと別棟にすることにより、現メープルのターゲットである富裕層、ビジネス層からのクレームは避けられると思います。」

「しかし、若いカップルと、ファミリー層では、ステイの目的が大きく異なるのでは?」

「若年といっても、メープルですから、学生をターゲットにするわけではありません。いずれは、現メープルにステイするような、20代のカップルです。本館ほどにドレスアップしなくても気軽に宿泊できるリゾート型のメープルから体験してもらいたいです。富裕層のファミリーも同様で、現メープルとは違って、気楽に子供達とステイすることが目的になります。ステイの中で、親子の絆を強めるようなプランも充実させたいです。どちらにとっても、〈非日常〉を提案できるのではないかと思います。」

「なるほど。」

「敷地や予算の面が厳しいと思われますが・・」
と役員から懸念する声が出る。
それを一蹴したのは、司さん。
「そのために、道明寺ホールディングスがバックアップします。うちのバックアップがあればこその企画です。」

「面白い。」
口々に賛成の意見が広がる。

「これから、半年から1年をかけて、プランを作り込んでいきます。牧野さん、お願いできますか?」
司さんから話を振られた。

この状況で、一体誰が断れる?
それに、あたしには、断る理由なんてない。

「はい。どうぞよろしくお願いいたします。」


「更に、短期目標についても、牧野さんの企画は面白いと思います。できれば、この夏には、企画として進めていきたい。」
各自が資料を捲りながら、考えている。

「海外セレブを呼び込む手段として、これまでの高級路線にプラスして、メープルならではの付加価値のあるアクティビティを用意するというものです。これについて、牧野さん、説明をお願いします。」

「はい。私が当初考えていた企画としましては、海外のお客様に、お茶や、お花、和菓子作りなど、〈和〉をテーマとしたアクティビティを提案したいと思っていました。日本から海外のリゾートに行くと、日よって様々なアクティビティが用意されていて、気軽に楽しむことができます。メープルでは、当ホテルならではのこだわったアクティビティを提供することによって、海外顧客、さらには現在も御贔屓にしてくださっている日本のお客様にも、ホテルステイを楽しんで頂けるようにと考えています。」

「実際に、どのようなアクティビティを提案するのですか?」
「それは・・まだ、これから検討してみなければ・・」
あたしもまだ、そこまでは詰めていない。
だいたい、セレブなんて周りにいないし・・。

「私、個人的には・・」
と司さんが話に入って来た。

「通常では出会えないような価値のあるアクティビティがいいと考えますが。私の知り合いに、伝統に詳しい者がいますので、協力を頼みましょう。この担当も、牧野さんにお願いしたい。できますか?」

司さんと目が合う。
「できません。」なんて言えると思う?
こうなったら、しっかり頑張ってやる!

「やらせていただきます。」
机の下で拳を握りしめるあたし。

「牧野さんの企画は、道明寺ホールディングスが全面的にバックアップします。」
と司さん。

支配人が、
「牧野さんは、メープルの研修と、共同企画でとて、非常に忙しくなると思いますよ。大丈夫ですか?誰か、ヘルプを付けましょうか?」
と聞いたとき、すかさず司さんが答えた。

「牧野さんは、東京メープルとの懸け橋として、道明寺が育てます。つまり、私が直接教育します。共同で生み出される新しいメープルにふさわしい、それだけの結果を出せる人材だと期待しています。」

司さんが・・あたしを育てる・・

真剣な顔の司さんに、あたしの顔も引きしまる。
「どうぞよろしくお願いいたします、道明寺支社長。」

周囲の役員たちから、拍手が上がった。
あたしが、未来の東京メープルの企画を担当する。
信じられない・・けど、あたしがやりたいと思っていた仕事だ。
不安はあるけど、司さんと一緒に頑張りたい。

不安と緊張を、振り払うように小さくガッツポーズをするあたし。
実は、前方の席では、司さんも別な意味でガッツポーズをしていたなんて、考えもしなかった。



*****



「牧野さん、お疲れ~!」
「お疲れ様、高木君。」

同じ宿泊部門から初期研修をスタートする高木君が、やたらと爽やかに見える。
一方のあたしはというと・・・はっきり言って、疲れ果てた。

朝から、合同入社式でのスピーチ。
それから、青天の霹靂で、道明寺HDとの共同経営企画を任されることになった。
直接指導してくれるのは・・・司さん。
こんなことって・・。


会議が終わると、あたしは初期研修に合流した。
共同経営企画があるからと言って、初期研修を疎かにはできない。
だけど、道明寺HDの会議や、呼び出しがあれば、そちらを優先するようにと、支配人から言い渡された。
道明寺HDの日本支社長が、直接新人の面倒を見るなんて、異例中の異例。
だけど、今回のメープルとの共同経営企画は、道明寺司が指揮を執ると言うことでも注目を集めるそうだから、合点はいく。


宿泊部門に戻ると、初期研修の指示を受けた。
あたしと高木君は、ベルパーソンから始める。
ベルパーソンっていうのは、ベルガール・ベルボーイのことね。
お客様の荷物を運んで、フロントへ誘導したり。
チャックイン・チェックアウト後のお客様をご案内したり。
レストランや宴会場との連携、バレットサービスとの連携なんかも仕事になる。

今日は、早速、メープルのベルガールの制服に身を包み、先輩ベルガールのすみれさんから、様々な指示を受け、メモを取って回った。

そして、先ほどやっと終了。
どっと疲れが沸いて出て来た。


「牧野さん、今から涼子と食事行くけど、一緒にどう?」
高木君は、あたしと仲良しの宮田涼子ちゃんと付き合っている。
「ううん。どうしようかなぁ・・」
晩御飯は行きたいけど、なんだか疲れたし、
司さんが帰ってくるかどうかは分からないけど、今日の話も聞きたいし。

迷いながらロッカールームまで来ると、向こうから涼ちゃんと、黒田君がやって来た。
レストラン部門も今日はもう終わったみたいだ。

「マキちゃん、夕食、一緒に行こう!黒田君も行くって。」
「えっと。どうしよう・・」

あたしは、チラッとスマホを確認したけど、司さんからの連絡はない。
迷っているうちに、4人で近くの洋食店に行くことになってしまった。

あたしは司さんにLINEを入れて、スマホをバッグにしまった。
その後に、司さんからのLINEが入っているのなんて、全く気付かなかった。



 

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  1. 続・俺の女
  2. / comment:4
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「おいっ、聞いたかよ。西田。」
「いつもながら、素晴らしいスピーチでした。」
「俺じゃねぇよっ!牧野だよ、牧野っ!」

興奮している俺に対し、あくまでも冷静な西田。
「牧野さんのスピーチは完璧でしたね。しかし、私はそれ以上に、あの土壇場で、実力を発揮できるという点が素晴らしいと思いましたが。」
「だろっ?流石は俺の女だろっ?」

浮かれている俺に、西田が釘をさす。
「いきなりの予定変更で、かなり戸惑われたと思いますよ。ここで失敗すれば、先は無かったのですよ。」
「そん時は、俺が救い上げるから心配いらねぇ。」
「はぁ。しかし、やりすぎです。マスコミの目もありますから。」
そう言って、俺を睨む西田。
恐くねぇっつーの。

「あれぐらい、大したことねぇよ。」

マスコミが来てることなんて、百も承知。
今後、道明寺HDが東京メープルを正式にバックアップするという宣伝のため、入社式で取材を許可したのは俺だ。
そして、そのメープルの新入社員と握手をしたのは偶然って奴だが、別に問題ねぇ。
新しい東京メープルのイメージ作りに、一役買って出てやったんだっつーの。
それが何でわりぃんだよ。
有難く思えよ。



出張先のシンガポールから、速攻で帰ってきた俺は、
牧野にパンプスを手渡した後、自社の入社式で祝辞を述べるためにメープルへやって来た。
牧野の入社式も見たかったが、それは無理だと諦めてはいたんだ。
自社の挨拶が済んでから、メープルの新入社員に顔を出す予定だった。
けれど、たまたま、見えちまったんだ。
東京メープルの入社式の式次第。
新入社員代表挨拶は、『牧野つくし』だと!?
何で俺に教えねぇんだよっ!
西田、お前知ってたな。
こいつが、知らねぇわけがねぇ。

そうなれば、恋人のスピーチを聞きたくもなるってもんだ。
「20分だけ待つ。合同入社式に変更しろ。」
俺の一声で、急遽、合同入社式が決まった。


しっかし、あいつ。
あんだけガチガチに緊張していて、どうなるかと思ったが、なかなかやるじゃねぇか。
スピーチは完璧だった。
話のスピード、活舌、内容、どれをとっても、新入社員としては満点だろう。
うちの新入社員代表もなかなか良かったが、当然のことながら、自分の眼中にないメープルにまでは話を広げることは無かった。
牧野はというと、堂々と挨拶をこなし、俺からの共同企画経営の話も踏まえて、今後のメープルを期待させるような結びで締めくくった。
さすがは、俺の女だ。
あの雰囲気の中、自分のすべきことは、メープルと道明寺との共同経営をマスコミへアピールすることだとすぐに分かったのだろう。


俺が立ち上がりたくなるのも当然だろ?
握手ぐらいなんてことねぇよ。
スタンディングオベーションで迎えてやりてぇぐらいだったぜ。


「先が思いやられます・・・。」
そういって、溜息をつく西田。

「言っとくけど、これからだぜ?西田。」
それから俺は、メープルの小会議室へ向かった。



*****



「牧野さんっ。すごーい。いいなぁ。あの道明寺支社長と握手できるなんて。」
「本当~。すっごいサプライズ。さすがは道明寺司!」
「すげぇよなぁ、牧野。道明寺支社長に目を掛けられて。」

入社式が無事に終了し、あたし達総合職10名は、別室へ移動した。
移動すると同時に、みんなから口々に感想が飛び出した。
さっきのサプライズ。
司さんは、道明寺側の新入社員代表とは、握手なんてしなかった。
今後、道明寺HDは東京メープルとの関係性を深めるというプランがあって、そのアピールのために、マスコミの前でメープルの新入社員代表であるあたしと握手をしただけなんだってことは分かっているけど・・・

あたしは、はっきり言って、心臓が飛び出しそうだったよ。
拍手と同時に、会場内からの拍手。
そして、マスコミからのカメラのフラッシュ。
その上、そのまま、司さんに軽くエスコートされる形で、檀上を後にした。

でもさ・・ちょっと、やりすぎじゃない?
もし、新入社員代表があたしじゃなかったとしても、司さんはここまでするんだろうか・・
公私混同じゃないのか、と思う反面、司さんに限ってそんなことは無いと信じているあたしがいたり、何となく複雑な気分。


「あ~、もう、道明寺HDのエリート社員を捕まえてやろうと思ったけど、やっぱり、支社長を見ちゃうと、他なんてカボチャにしか見えないわねぇ。」
そう言うのは、やっぱり山崎さん。

「高校時代のF4と言えば、もう、神のレベルだったよね。」
と隣で、涼ちゃんも頷いている。
「F・・4・・?」
「あれ、マキちゃん知らないの?芸能人を凌ぐ人気で、特別雑誌もバカ売れしてたじゃん。」

F4・・聞いたことはある。
高校時代に、友達が騒いでたもん。
超セレブ学校の英徳学園に通う、イケメン集団のこと。
地位も、名誉も、お金も、美貌までもが揃った四人組をFlower 4と呼ぶのだとか。
だけど、あたしはバイトや勉強やで忙しくって、そういうことには興味が無かった。
司さんって、F4の一人だったんだ・・・。
あたしってば、司さんのこと、ホントに何にも分かってないな、とちょっと落ち込む。


それから、支配人をはじめ、メープルの役員たちが入ってくると、あたし達のおしゃべりも終わった。

支配人から、具体的なメープルと道明寺HDとの共同企画の話が説明された。
私たちはこれから1か月、各配属部門での初期研修を受ける。
もう一度マナーの確認から入り、部署の仕事をマスターすべく先輩に付いて学んでいく。
通常は1年間かけて、ホテル内の部署を回ることになっている。

「今後は道明寺HDとの共同経営企画も、当ホテルの大きな看板になります。入社前に、皆さんから提出してもらった、未来のメープル像は、それぞれにとても素晴らしいものでした。私たちは、皆さんがホテルマンとして成長するとともに、将来的には、この東京メープルを支えていく人材になることを期待します。」


そこへ、カチャっと、後方の扉が開いた。
皆が一斉に振り返り、はっと息を飲んだ。
入って来たのは、司さん・・じゃなくて、道明寺支社長。

どうして?

司さんの後ろからは西田さんが入って来て、司さんを前方の席へ案内している。
ここへ道明寺HDの日本支社長が来るなんて、一体何があるっていうの?

「では、早速ですが、道明寺支社長より、お話があります。どうぞ、よろしくお願いいたします。」
と支配人が、司さんを紹介した。

あたし達は、唯々、成り行きを見守るばかり。


「今後の東京メープルを支えていく皆さんに、この場で挨拶ができることを嬉しく思います。担当直入に話を進めます。我々、道明寺HDが経営に乗り出すからには、これまでとは異なった人材育成を考えています。」

人材育成?

「メープルのホテル業務と並行して、メープルの企画に直接携わり、1年目から経験を積んでいってほしい。また、長期的プランにもかかわることで、自分の責任を自覚してほしい。」

1年目から、メープルの企画に参加していくということ?

「先月までに提出されたプランを、上層部で検討した結果、数名を選抜しました。」

選抜??

すると、西田さんが、ガサガサとファイルを開き、司さんに渡した。
「レストランプロデュースの企画については、新入社員の黒田君の案が面白い。これを、メープル内で、更に詰めて報告してください。期限はこの夏まで。」
「さらに、ブライダルの新しいドレスの提案は、新入社員の山崎さん。あなたの案がなかなか良かった。しかし、デザイナーとの折衝などまだまだ企画として成立させるには時間がかかるでしょう。このプランを、あなたに任せます。ブライダルの専門スタッフと協力してプランを纏めてください。」

数名の新入社員それぞれに、目標が課せられていく。


「牧野さん。」
ついに、あたしの番が来た。
ごくっと唾をのむ。

「あなたの長期的プランにはとても興味を惹かれます。これは、道明寺HDのバックアップがあればこそ可能となります。相当、大きなプロジェクトになるでしょう。そのプロジェクトの一員としてあなたを指名したい。また、短期プランも面白いものがありました。メープル宿泊により〈非日常〉という付加価値を提案するということ。これをしっかり詰めていきましょう。あなたのプランについては、私が、直接指揮を執ります。一緒に頑張りましょう。」

今・・何て?
誰と、何を、一緒に頑張るって?


(道明寺HD:道明寺ホールディングス)

 

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4月3日 月曜日。
東京メープルの入社式の日。

『社会人としての第一歩を踏み出した皆さんを、我々は心より歓迎します。』

檀上に立ち祝辞を述べるのは、司さん。
どこから見ても、完璧な容姿。
艶のあるバリトンボイスに、会場内からの溜息が聞こえる。

それをメープルの大ホールから見つめるあたし。
何故、あたし達の入社式で、司さんが祝辞を述べているのか・・
ううん、ちがう。どうして、道明寺ホールディングスの入社式に、あたし達、東京メープルの新入社員まで混ざっているのか・・・




時をさかのぼること、30分前。
小ホールに集まったあたし達新入社員は、すでに着席して、式の開始を待っていた。

その時に、バタバタバタっと凄まじい足音。
走り込んできたのは、総務部長。
「皆さん、すみませんが、すぐに移動します。」
はぁ、はぁ、と息を切らしている。
なにごとっ??

「急遽、道明寺ホールディングスとの合同入社式になりましたので、大ホールへ移動してください。」

「ええ~!?」
「何で、何で?」
「そりゃ、親会社だし?」
「そんなの、前からじゃない?」
とざわつく、あたし達。

「やだぁ、ちょっと、お化粧室で、メイク直させて!」
というのは、ブライダル部門配属の山崎さん。
元々美人なんだから、これ以上のメイクは必要ないと思うけど。
と思ったら、隣の涼ちゃんも、
「道明寺ホールディングスと合同なんて、一生の思い出になるよぉ。良かったね、マキちゃん!」
何て言う。

急なことに、あたしの頭もプチパニック。
騒めきながらも、小ホールから、大ホールへ誘導されていく。

____道明寺ホールディングス。
あたし達、東京メープルの経営母体で親会社。
そして、司さんが率いる会社。
いくら、東京メープルが100%子会社だからって、入社式まで一緒にするものなのかしら?

そんなことを考えていたら、後ろを歩く男性陣の言葉が耳に入って来た。
「ってことは、あの道明寺司に会えるってことか?」
「俺、あの人、すげぇ尊敬してる。ニューヨークでの仕事っぷりも半端なかったらしいし。俺と1つしか違わないのに、一体どんだけ才能あるんだろうな。」
「帰国してからメディアには殆んど出てないよな。」
「それでも、経済誌ではバンバン名前出てるし、間違いなく、今後の日本を牽引する男だろ。」
「すげーよなぁ。」


うっわぁ。司さん、やっぱり凄いんだぁ。
自分のことを言われたわけでもないのに、何故だか顔が熱くなるあたし。
あたし、彼の凄さを分かってなかった・・かも。
仕事もできるし、優しいし、ちょっと強引で困るけど、何気に完璧な彼氏じゃないの。
なんて・・やだやだ、あたしったら、何考えてんのよ。
だけど、あたしの恋人である「司さん」は、周囲からみれば、「道明寺司」という凄い男な訳で、そんな人があたしの恋人だなんて、今でも信じられない。
夢でしたって言われても、納得できちゃうぐらいに現実味がないのはホント。



メープルの大ホールに案内されると、会場には、すでに道明寺側の新入社員が着席していた。
日本支社のみで、この人数?恐らく500名は超えている。関連会社は別にたくさんあるはずだから、司さんはいったい、どれだけの企業を束ねているんだろう。
会場には、日本支社やメープル側の重役たちの席も設けられていて、なんだか緊張感が漂っている。
あたし達メープルの新入社員は、総合職は10名だけど、各部署専門のスタッフ入社が他に20名いるから、合計で30名。圧倒的な差。
向かって左側には、役員席。右側には、マスコミ席が設けられている。
うっわぁ。すごい。流石は、道明寺ホールディングス。


本当なら、あたしは、今日、新入社員代表の挨拶をする予定だった。
けれど、合同になったということは、あたしの出番は無いな。
ちょっと残念だけど、けど、こんなマスコミまでいる中で、スピーチなんて絶対無理だし。
あたしは、スピーチのことなんて、すっかり頭から消し去ってしまった。




司さんの祝辞が続いている。
うーん。やっぱり、司さん・・カッコいいかも。
あの目は冷たくて怖そうにみえるけど、ちょっと笑うと、目じりが下がるんだよね。
ちょっと、優越感?えへ。

『今年度より、我が道明寺ホールディングスは、東京メープルの企画経営に共同で乗り出します。それは将来のメープルを今まで以上に発展させるという目標のためです。今まで通り、メープル単独での経営であっても十分な利益は得られています。しかし、これからの東京に求められるものは何なのか、数年先、数十年先まで見据えた経営を考える上で、我が社と東京メープルが力を合わせることは有益なことと考えます。』

ん?んん?えっ?今、何て言った?
メープルと、共同企画経営?
司さん・・そんなこと、一言も言ってなかったのに。
ってことは、だから、合同入社式って訳??


『この度入社した諸君と共に、道明寺ホールディングスと東京メープルを発展させていきたい。そのためには、君たち自身が率先して活躍してくれる必要があります。私はその活躍の場を提供するつもりです。大いに頑張って下さい。』

大いに頑張って下さいって・・。
まぁ、あたしには関係ない・・よねぇ。
あたしみたいな新入社員が、道明寺ホールディングスと関わるような仕事を任されるとは到底思えないし。
まさか、仕事で、司さんとの接点なんて、ある訳ないよねぇ。
なんて、ぼんやりと考えていたあたしは、次に始まった道明寺側の新入社員代表挨拶は耳に入っていなかった。


司さんの言葉をもう一度考えていると、トントンと肩を叩かれた。
「次、牧野さんだからね。頑張って。」
そう言ってきたのは、メープルの経営部長。

えっ?うそっ!
あたしも、挨拶するの?
こんなに大勢の前で?
マスコミだって来てるのに?
きっ、聞いてないよぉ。
あっ、頭の中、空っぽになってる・・・。


どうしようっ!!



先に始まった挨拶が終わって、あたしの番になった。
頭の中に、スピーチの内容を思い出そうとするのに、何にも頭に浮かんでこない。
手が、震えて来た・・。
きっとあたしは、能面みたいに血の気のひいた顔をしていたと思う。

会場内に、あたしの名前がアナウンスされた。

行くしかないけど、足が震える。
思い切って立ち上がったその時に、左手に、チラッと司さんが見えた。
司さんがいたずらっ子のようにニヤリと笑った。

あの笑い・・何?
あたしがスピーチすること、知ってた?
だったら、どうして合同になったことを教えてくれないの?!
あたしのこと・・試してるの?


そんな、笑い方するんだったら・・・
あたしだって負けないんだからっ!
司さんの祝辞はしっかり聞いた。
見てなさいよ!
あたしの頭は一瞬にしてクリアになった。
追いつめられると強くなる。
あたしは、もう一度背筋を伸ばし、壇上に向かってしっかりと歩き出した。



『東京メープル、新入社員代表の牧野つくしと申します_____』
あたしは、しっかりと正面を見据えた。
頭がクリアになったあたしには、恐いモノなんてない。
広い会場に、飲まれたりなんてするもんかっ!
あたしには、自分のするべきことが、きっちりと見えていた。


『____最後になりますが、今日初めて、今後東京メープルが、道明寺ホールディングスと共同企画経営の方針をとると伺いました。そのお話を聞き、更に仕事が楽しみになっています。東京メープルに、道明寺ホールディングスの力が加わることで、今まで以上のサービスが提供できると確信します。今日、ここに集まった同期の皆さんと共に、未来のメープルを担う人材になれるよう、努力をしたいと思います。』


スピーチを終え、チラッと右側を見ると、やっぱり司さんと目が合った。
あたし、ちゃんとできたでしょう?
だけど、あたしが檀上去ろうとすると、司さんがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

なっ、なに??

あたしは足が止まって、じっと司さんの動きを見つめてしまった。

司さんがマイクを持った。

『我が道明寺ホールディングスと東京メープルを繋ぐ架け橋になって下さい。』
そう言って、あたしに右手を差し出した。

あたしは訳が分からず、とっさに自分の右手を前に出す。
がっちりと司さんに握られて、顔を上げると司さんが、甘い顔であたしを見つめていた。

「よろしくな。」
そう、司さんの口が動くのが分かった。

周りの拍手や、カメラのフラッシュ音なんて、全く耳に入らなかった。



 

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