With a Happy Ending

続・俺の女 53

4
「マスター。ご無沙汰しています。急に時間が出来てしまって、今日、お手伝いしてもよろしいですか?」「あぁ、助かるよ、牧野さん。」牧野さんはすでに、スタッフの制服に着替えている。これまでにも何度も手伝いに来てくれているから、僕が牧野さんを断ることはないと分かっているのだろう。フロアに出ようとする牧野さんを呼び止めた。「カウンター、入ってもらってもいいかな?こちらのお客様、お願いできる?カクテルのオーダ...

続・俺の女 52

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金曜日まで、二人きりでリゾートを楽しんだ。誰の目を気にすることなく、自然体で過ごせる時間。隣を歩くつくしの指には、贈ったばかりの婚約指輪。俺が拘って選んだ、ハート型のダイヤモンド。つくしは、何度も自分の左手を見ては、「可愛い」と言ってくれる。けれど、彼女が喜んでいるのは、そのダイヤの価値なんかじゃない。きっと、そのダイヤの価値なんて知りやしない。ただ、このダイヤに込めた俺の想いは、十分に伝わったは...

続・俺の女 51

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ざざーっと、白波が引いては寄せてくる。司さんと手をつないで、白い砂浜に足跡を付けながら歩く。こんな時間を二人で過ごせるなんて、すごく贅沢だよね。司さんの時間には途轍もない価値があるんだって、桜子が言ってた。その時間を、あたしのために使ってくれる。何もせず、何も考えず、こうして二人だけでいる贅沢。あたしが司さんに出会う前に抱いていた自分の未来。いつか、誰か好きな人ができて、その人と結婚して、その人の...

続・俺の女 50

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「ねぇ。あたしを司さんでいっぱいにしてくれる?」と、つくしが言った。つくしは最近、上の空になることが多くて、何かを真剣に考えていることは分かっていた。それが、どんなことであるのかも、粗方の予想は付いていた。それでも、つくしが話し出すまでは、黙って見守るつもりだった。そして、心のどこかでは願っていたと思う。俺から離れるな。俺がいなければ生きられない女になれ。一生俺に甘えてくれていたら、それでいいのに...

続・俺の女 49

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「ったく、目を離すとキョトキョトしやがって・・。」「司さん・・なんで?」桜子を見ると、苦笑いをしている。「桜子・・あんた、知ってたの?」「知りませんよ。でも、予想はしてましたから。」「予想?」「道明寺さんは、悩んでる先輩を絶対に一人になんかしませんよ。」はっと、司さんを見ると、ちょっとだけ寂しそうな顔。あたしは、できるだけ自分のことは自分で決めたいと思ってきた。自分の考えをしっかりまとめたくて、こ...

続・俺の女 48

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翌日は水曜日。朝から快晴。目が覚めて、お腹が空いたな~と思ったら、朝からピンポーンとお部屋のチャイムが鳴った。運ばれてきたのはベーグルサンドとフレッシュジュース。当然のことながら、司さんがオーダーしていたもの。ここまでくると、完全な保護者だわね。司さんの過保護っぷりにも、慣れてしまうのが恐ろしい。美味しく朝食を頂いて、午前中はプールに入った。誰も見ていないプールだからと、ビキニに着替えて飛び込んだ...

続・俺の女 47

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「おい、あきら、協力しろよ!」月曜日の午後一番に、俺はあきらの執務室に乗り込んだ。あきらが会社にいることはリサーチ済み。「なんだよ、司。暇なのかよ。」何を呑気なことを言ってやがる。んな訳ねーだろ。午前中の会議をかっ飛ばして、時間作ってきたんだっ。「お前の女、毎度厄介だな。つくしを旅行になんか誘いやがって。」「桜子が?」「二人で沖縄行くんだと。聞いてねぇのかよ!」「へぇ、まぁ、いいんじゃねーの。俺も...

続・俺の女 46

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ブウォーン・・・今、やっとあたしは機上の人。とにかく、心配だからと火曜日にの朝に無理やり乗せられたのは、道明寺家のプライベートジェット。しかも、離陸ギリギリまで、心配性の司さんが、あたしのシートベルトをチェックしたり、荷物をチェックしたりとせわしなくウロウロとして、あたしの方が落ち着かず、桜子すらも苦笑いだった。はぁ~。「さすがは道明寺さんですね。」「何が?」「だって、先輩のためにプライベートジェ...

続・俺の女 45

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このお話は『ある日のThe Classic ⑦』へ繋がります。***「どうした?封筒なかったか?」とつくしに問いかけてみるが、返事はない。タブレットから顔を上げるとつくしが、ぼーっと机を見つめていた。「何だよ。」俺は立ち上がって、つくしに近づいて行くと、彼女がビクッと体を震わせた。ん?なんか、あったか?つくしの隣に立ち、彼女が覗いていた引き出しに視線を落とす。そこには、白地に黒の柄の入ったハンカチが入っていた...

続・俺の女 44

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「沖縄っ!?」「うん。急だけど、来週の火曜日から3泊4日。」「3泊っ!?」「うん。桜子んちの別荘があるんだって。あたしも、夏休みとってないし、平日休みに会わせてくれる友達なんていないしさ。それに来週は、まだ担当のお客様がいないから休みやすいの。」「・・・。」「飛行機も空いてるみたい。桜子ったら、ファーストクラスじゃなきゃやだとか言うけど、国内線だし、それは空席ないから、エコノミーだけどね。それで十分...