花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

急いで駆けつけた2501号室。
部屋のチャイムを鳴らすと、町田隆弘さんが出た。

「入れよ。」

あたしはこの時、もっと警戒すべきだったのかも知れない。
この男が、この部屋に一人だったなんて。

部屋に入ると、そこはツインルーム。
あたしだって、メープルの社員だから、部屋の間取りは知っていた。
このベッドルーム以外の部屋はないはずなのに、ここに真理さんがいない。
つまりは、今、この男とこの部屋に二人きりだ。
ぞっと、緊張感が背中を走った。

「で、謝罪は?」
「あの、沖縄でのこと、本当に申し訳ありませんでした。」
「あんたの男からも、謝罪してもらったほうがいいかな。」
「それは・・・」
「なんだよ。もしかして、あの男もここの従業員なのか?俺とトラブルにでもなったら、退職させられたりとかすんの?命拾いしたよな。俺があいつを見ていたら、絶対に探し出して、復讐してやるのによ。」
「は?」
「ま、代わりにあんたを見つけたから、いいけどよ。謝罪なんかより、あの男をぎゃふんと言わせてぇ気もするな。俺を邪険にしやがって。」


男がニヤリと笑った次の瞬間に、思いっきり手首をつかまれて、ベッドの上に放り投げられた。

ベッドの上にワンバウンドして、倒れ込む。
すぐに体勢を立て直した。

だめだっ。逃げなきゃっ!!

「どうせ、あの時、あの男が現れなかったら、俺達ヤッテただろ?まぁ、いいじゃん?」
そう言って、男がネクタイを緩めながら、ベッドに近づいてくる。

こわいっ、こわいっ。
司さん、助けてっ。

叫ぼうとしても、声が出ない。
でも、逃げなきゃっ。
手足にぐっと力を入れて、すかさずベッドから飛び降りる。
ドアに向かって走る途中で、後ろから男に捕まった。

腕を掴まれて、ズルズルとベッドに引きずられていく。

やだっ、やだっ、やだよっ!!


ベッド上、男にのしかかられて、必死に男から離れようともがいた。
足を動かして、無我夢中で、男の腹を蹴った。
男の力が一瞬抜けた時に、男の下から這い出た。

逃げられると思ったのに、髪をつかまれた。
振り向かされた瞬間に、左の頬を打たれた。

パーンと頬を叩かれて、再びベッドに沈められた。
制服のスカートに手が入り込んでくる。

嫌だよ!
誰か。
助けて・・助けてっ!
司さんっ!!


恐ろしくて、言葉が出ない。
あんなに、気を付けろと言われてたのに。
過保護だなんて、言い返していたのに。
防犯ブザーがあるから安心だって・・・

あっ・・
そうだっ、ブザーがある!
あたし達、ホテルで働く女性は、全員に防犯ブザーが配られている。
その小型ブザーが上着に入っている。


お願いっ。誰か、気付いてっ。
あたしは、神に祈る思いで、ブザーを押した。



*****



「申し訳ありません。町田様。」

メープル東京、支配人の応接室。
そのソファに座る町田隆弘。
支配人が、その男に謝罪している。
そして、その光景を立たされたまま、呆然と見つめるあたし。


ブザーを押した瞬間に、凄まじい機械音が鳴り響き、すぐに黒服の男性が、2501号室に走り込んできた。
男が取り押さえられて、しばらくしてから、警備員と宿泊部門の主任が飛んできた。

あの状況からして、男に襲われたのはあたしのはずなのに。
それは、誰の目からみても明らかなのに。
お客様とのこれ以上のトラブルを避けるため、ホテル側が低姿勢だ。

黒服の男に取り押さえられていた男が主任の一声で解放され、この応接室に移動した。
あたしは、主任に付き添われ、男の後ろをゆっくりと歩いてここまできた。
踏ん張っていないと、体が崩れそう。
だけど、ここで倒れる訳にはいかない。


「牧野さん、君にも非があるんだよね。その旅行中のトラブルとか。それに、お客様の部屋に呼び出されて一人で入っていくなんて、合意とも取れるんだよ。」

確かに軽率だった。
だけど、合意だなんて、そんな事あるはずない。
悔しい。
打たれた左頬がじんわりと痛んだ。

ふっと正面を見ると、目に入った時計はもう19時をとうに回っていた。
司さんが迎えにきてくれる時間だ。
どうして・・こんなことになっちゃったんだろう。
後悔ばかりが浮かぶけれど、
だけど、どうしても、合意だったなんて認めたくない。
どうなってもいい。
退社することになったって、それだけは認めない。

あたしは、男に向き直った。


「こんな仕打ちを受けるほどのことはしていません。それに、その件についてはきちんと謝罪もしました。」
「何言ってんだよっ、お前っ!」
「これは・・犯罪です・・。」
「じゃあ、あの沖縄のことは、犯罪じゃねぇのかよ。あの男、呼び出せよ。ここで謝罪させろ。どうせ、ここの職員なんだろ、あの男も。」
「牧野さん、そうなの?」

司さんがこの人をプールに放り込んだのだって、元を正せば、この人がしつこく言い寄ってきたからだ。
だから、こっちにだって、それなりに正当な理由がある。
だけど・・それが、司さんだなんて言えない。
言う必要もない。

「牧野さん、その男の人って、ここの職員なの?」
「いえ・・。ですが、沖縄の件も、元はと言えば、町田さんに非があったんです。けど、私も申し訳ないと思ったから謝罪はしました。でも、だからと言って、乱暴される覚えはありません。」


結局は何もなかったんだから、あたしが受け流せば、それで済むことだと頭では分かる。
あたしが何かしらの処分を受けたらいいことなんだ。
だけど、合意の上だなんてことは、絶対に認めたくない。

唇を噛み締めた、その時に、


「いったい、何事ですか?」


支配人室に響いた女性の声。

その声が聞こえた、入口のドアを振り返り、
その場にいた人間すべてが、息をのんだ。


_____道明寺楓だ。



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