花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「副社長、昨日の件ですが。」
「あ?何だよ。」
「お相手の女性のことです。」

なんだよ、西田。
何か知りてぇの?
なんて、結婚したいと考えている女のことに決まってるが。
けど、西田なら、もう調べ尽くしてるんじゃねぇのか?

俺が知っている彼女の情報。
彼女は駆け出しの弁護士だってこと、彼女のマンションの場所、それから名刺に書かれた職場。
あいつの家族構成や、苦労話も聞いた。
そんなことはもう西田も知ってるだろう。

プラス俺にしか知りえない情報もある。
それは、俺があいつにベタ惚れだっつーことだ。
見た目だけじゃねぇ。
いや、見た目も、最上級に可愛いが。
あいつ・・牧野の持つ優しさや真面目さ。
昨日出会って、一発で惹かれた。
女に対してこんな風に感じたのは初めてで、これが、女に落ちるってことなんだと知った。

で?何だよ、西田。
なんか、文句あんのかよ?

「牧野つくしさんの件ですが。」
ほらな、こいつは調べ尽くしてやがる。

「おう、なんだよ。」
「すでにニューヨークのご両親にも、報告が上がっています。」
「随分早ぇな。」
ま、想定の範囲内だが。

「その上で、もし、牧野さんとの結婚が整わなかった場合には、社長就任はないと思え・・とのご伝言です。」
「どういう意味だ?」
「どうやら、副社長は、特殊な性的嗜好あると思われているようですので、なかなかお見合い自体を受けて下さるご令嬢はいらっしゃらないようです。今回の白鳥物産のご令嬢は、異例でして・」

「おいっ!ちょっと待てよっ!」

「その坊ちゃんの特殊性を知った上で、今回のお見合い話を受けて下さった白鳥物産を蹴ったことは、楓社長が大変ご立腹でして。」

はぁ?特殊性?受けて下さった・・?

俺が、ゲイだって噂があるのは知っていたが。
なんだよ、そーいうことかよ。
今回やたらとババァからのプッシュが強かったのは、つまり、ババァが頭を下げて持ち込んだ見合いだったっつーことかよ。
ったく、余計なことしやがって。
だいたい、俺はゲイなんかじゃねぇっつーんだ。

でも、ま・・結局のところ、そんな事はどーでもいいが。
牧野との結婚に、俺の両親は異を唱えていない。
つまり、俺が牧野を落とせば、障害はないということだ。
全ては・・・牧野次第。
そう思えば、俄然やる気が湧いてきたぜ!
決して、社長の椅子が欲しい訳じゃねぇぞ。
俺は、惚れた女と、いつもまでも友達関係を続ける気なんてねぇし、このまま逃すつもりもねぇってことだ。


「で?」
「今から、2泊3日のロシア出張です。」

はぁ?なんでそーなんだよ。
嫌がらせかよっ。

「マジか?」
「はい。」

待てよ、おい。
俺たち、お友達から始めるところなんだぜ?
ロシアなんか、行ってる場合じゃねっつーんだよ。
だが・・ババァへの借りは返しておかえぇと、後々ややこしくなるからな。
仕方ねぇ、3日程ロシアに行くしかねぇ。

それで、俺は仕方なく、すぐさまジェットに乗り込み、ロシアに飛んだ。



*****



「牧野。昨日はせっかくの休日だったのに、迷惑かけたわね。」

あの衝撃のお見合いの翌日。
私はいつも通り、職場へ向かった。

『滝弁護士事務所』

ここが私の職場。
所長は、滝留美子先生。
その他、私を含め3人の弁護士とアシスタントがいる。
私が一番年下で、他は、30代と40代の男性が二人。
留美子先生を始め、みんな既婚者。


「聞いたわよ。お相手、急に都合が悪くなったんだって?あんなに乗り気だったのにね。今回のお見合いは無かったことにだって。なんだか、失礼しちゃうわね。」

そんな風に言う留美子所長。
そうか。
どうやら、道明寺が、塚狭さん側に上手く説明付けたみたい。
任せておけなんて言ってたし。
全くもうっ。


あの日、あれから、道明寺と別れ、マンションに帰って、一日のことを振り返った。
本当にありえない一日だった。
結果として、私には、超イケメンセレブの男友達が出来た。
その男友達から求婚されている。
どこまで本気か、確かめることはできないけれど、現状はそういうこと。
彼がしたことって、ちょっとした詐欺?と思わなくもないんだけど、実際その証拠は彼の中にしかない。
彼が、勘違いでしたと言えば、詐欺にはならない。
だから、彼の詐欺まがいの行為を立証することは不可能。

それから、男友達という立ち位置を考えた。
自分で言ったことだけど、男友達って何だろう?
高校時代、大学時代、友人と呼べる男性はいた。
だけど、私はいつもバイトや勉強に忙しくて、基本的に友人というのは、学校で話す程度の人であり、ゼミで一緒に勉強をする人だった。
だけど、道明寺は違う。
あの人は、私のことを好きだなんて言う。
そもそも、一目惚れなんて言うけれど、いったい私のどこに一目惚れ?
一目惚れっていうことは、冷めるのも速いってことなのかな。
分からない・・。


今までだって、告白されたことが無かったわけじゃない。
だけど、お付き合いをしようと思ったことは無かった。
男嫌いってこともないけれど、今までの人生があまりにも忙しすぎて、恋愛をする余裕なんて無かったんだと思う。
それは、今も同じだけど・・。

私のことが好きだと言う道明寺。

だけど・・
お互いのことを知れば、お互いの立場の違い、住む世界の違いも分かると思う。
彼は結婚なんて軽々しく言うけれど、いずれは分かるんじゃないかな。
私たちは違いすぎるっていうこと。
それは少し寂しいことだけど、現実だということ。

だから、私は、私らしく、私らしい接し方をしよう・・うん。
それが、私の現実だもの。

とりあえず、携帯番号は交換してる。
だけど、私から連絡を取ることはしない。
だって、理由がない。
男友達って、何か理由がなくちゃ、会わないよね?
今までだって、男友達を自分から何かに誘ったことなんて一度も無かったし・・。




そうして・・・お見合いの日から3日が過ぎた。
道明寺からの連絡は・・ない。
何よ。
結局、連絡なんて無いのよね。

あれ?私、がっかりしてる・・?
どうしてよ。
何で、私ががっかりする必要があるの・・?

連絡がきたら、普通に接しようとか、あの人の強引なペースに巻き込まれないぞとか、いろいろ考えていたことが馬鹿らしくなってきた。

なんだ、やっぱり、あれは、半分揶揄っただけだったんだね・・。

たった3日前の出来事が、夢だったように感じる。
それなら、それでいいじゃない。
うん。それでいいのよ。



その晩の9時。
事務処理を終えた私は、事務所の電気を消して、最後にドアを施錠した。

マンションに帰ろうと思って歩き出すと、そこに立っていたのは、道明寺司。

「仕事、終わったのか?」

3日ぶりに聞く彼の声は、胸に響くバリトン。
なんだかじーんとしてしまう。

って、違うわよ。
なによ。私のことなんて忘れちゃったんじゃないの?って嫌味を言いそうになって止める。
だって、私が、まるで待っていたみたいじゃないの。

だからと言って、他に何も言うことが出来ずにいる私に、彼が言った。

「メシ、食ったか?」
「ううん。まだ。」
「じゃあ、行こうぜ。」

行こうぜって・・どこに?

「何が食いたい?」

私を見つめて、彼が優しく言う。
あれから、連絡もくれなかったくせに、今更優しくしちゃって。
この3日連絡をくれなかったことなんて、彼にとってはどーってことないみたいな顔をして。

なんなのよ・・。

だけど、私、彼に会えて、なんだか嬉しい。
悔しいけど、嬉しい。
何で、こんなに嬉しいんだろう。


「焼き鳥。」
「は?」
「凄く美味しいところがあるの。行こう。」
「はぁ?」
「嫌なら、いいわよ。一人で行くから。」

私はスタスタと歩き出した。
後ろから彼が付いてくる。
思わず、にやけちゃう・・・自分が変・・。


男友達って何だろう?
こうやって、ご飯に行く仲間?
それなら、今までにもいなかった訳じゃないけれど。
会えて嬉しいと思うこの人は、やっぱり今までの友達とは違うと思う。

あぁ、そっか。
やっぱり、私、この人のこと待ってたんだ。
だけど、それは、好きだからって訳じゃ・・・ないわ。
次に彼に会ったら、絶対に流されないって決めてたの。
彼のペースじゃなくて、私のペースで食事に行きたいなって思っただけよ。

そう。そのために待っていたの。
それだけなんだから・・・。


いつの間にか隣に並んだ彼をチラッと見て、そんな風に自分に言い聞かせながら、私は、必死に焼き鳥屋さんを目指した。



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素直じゃない、つくしちゃんです。
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す~っ・・・は~っ・・・・
す~っ・・・は~っ・・・・

ふぅ~。
つくし・・落ち着いて。
落ち着くのよ。
これは、何かの間違いよ。
何よ、この人、頂いた名刺とか、渡してんじゃないわよ。

んっ。よしっ。

「あの・・これ。」
「あぁ、下に書き込んだのが、プライベートの番号だから、連絡はそっちにしてくれ。」
「いや・・そうじゃなくて・・・。」

何言っちゃってんの?
あなた、名刺間違ってるわよ。
これって、指摘した方がいいよね。そうだよね。

「あの、塚狭さん。この名刺・・。」
「お前が、司って言うんなら、俺もつくしでいいのか?」
「は?」
「俺も、道明寺っつーよりは、司の方がいいし。」

今・・なんて?
道明寺・・?

そして、私はもう一度名刺を確認する。

『道明寺・・司・・・つかさ・・・・』

・・・?
つかさ・・!?

だ~っ!!ちょっとっ!!!
ちがうっ。
その司じゃないっ!

一体、どういうことなの?
目の前にいるのは、道明寺司さん。
私のお見合い相手は、塚狭・・なんとかさん。

なにー!?
私、凄い間違いを犯したの?
この人が、私のお見合い相手のはずがないよ。
っていうか、この人、どうしてこんなに冷静なの!?
今の状況、分かってるの??


「友達ってのは、あれか?一緒に飯食ったり、映画見たりとかすんのか?だったら・・」
「ちっ、ちがうっ!そうじゃなくてっ・・!」

突然大きな声を出した私に、彼が首を傾げた。

「何だよ?」

何だよって、こっちが何だよ、だよ。

「そうじゃなくて!私、あなたのお見合い相手じゃありません。絶対に、違います!」

「だから?」

だから・・って?
何言ってるの、この人?
予定と違う女とお見合いしてたんだよ?

「私も、あなたも、今日、お見合いだったんですよね?つまり、偶然お見合いが重なって、それで、名前が・・ちょっとだけ似ていたから・・だから・・・。」

恥ずかしい。
もう、穴があったら入りたい。
大体、こんなことってある?
予定と違う人を、お見合い相手だと思い込んでいた。
そして、その人にプロポーズされて、お断りをした上に、お友達になろうだなんて。
しかも、その相手が、道明寺ホールディングスの副社長だなんて。
日本人なら誰だって知ってる、日本トップ企業の副社長。

だけど、この人だって、私がお見合い相手じゃないってこと、分かってたんじゃないの?
名前だって伝えていたし。
それに、私が超一般人だって、さっき話したじゃないの。
そんな女が、あなたの見合い相手な訳ないじゃない。

もしかして・・
もしかして・・

私・・揶揄われてた・・・?


私は、自分の失態が恥ずかし過ぎて、彼を見ることも出来ない。
恥ずかしくて、なんだか悔しくて、自然と涙がこぼれる。

バッグを手に持ち、ガタンと席を立った。
もう、この場にはいられないよっ!

なのに、駆け出そうとした私の腕が、後ろから引かれる。
はっとして振り返ると、道明寺司さんの顔がすぐ目の前。

ああ・・納得。
このオーラ。
この人は、本当に、道明寺財閥の御曹司だ。
今、全てのことが納得できた。


「お前が、本来の見合い相手じゃないことぐらい、知ってたに決まってんだろ。」


知ってた・・やっぱり・・。
やっぱり、私のこと揶揄ってたんだ。

すんっ・・。
って、何泣いてんのよ、つくしっ。

「何で、こんなことを?私を揶揄って、楽しかったの?」
「はぁ?お前、何言ってんだ。一目惚れだっつっただろ?」
「あなたこそ、何言ってんのよ。」

私と彼の視線が合う。
彼の目は真剣だ。
どうしてか、その視線を逸らすことができなかった。

「一目惚れしたから、お前が見合い相手だったらいいなと思ったんだよ。」

この人、本当に、何言ってんの?
分かってて、私がお見合い相手じゃないって気づいてて、それなのに私をここに連れて来たって言うの?

一目惚れって・・本当なの?


「信じられない・・。」
「それ、さっきも聞いた。けど、友達になるんだろ?俺ら。」
「それはっ!」

何言ってるのよ?
さっきまでとは状況が違う。
道明寺ホールディングスがどれだけ大規模の会社かなんて、日本人なら誰でも知ってる。
そこの御曹司だよ。
副社長だよ。
どうして、お友達になれるのよっ。
ましてや、結婚なんて。
この人、本当にどうかしてる。

いつの間にか、私の涙は引っ込んだ。
代わりに、ふつふつと疑問がわいてきた。

だって・・これって、私、騙されていたんじゃないの?
お見合い相手だと思ったから、だから、断ることも失礼だって思ったのに。
この人を傷つけたくないって思ったのに。

「前提が・・違います。そもそも、私たちは、本来出会うはずじゃなかった。」

そう、私たちは、お見合いするような間柄にない。
全く違う世界の住人じゃないの。

「だけど・・出会った。」
「え?」
「そうだろ?」

そう・・そうだけど・・・。

「見合いがどうだとか、関係ねぇじゃん。今日、俺とお前が初めて出会った。それで、俺はお前に恋に落ちた。俺は、お前が俺の運命の相手だと思ったが、お前が友達からだっていうから、それを甘んじて受け入れた。」

そう・・その通り・・・。でも・・。

「お前、弁護士だよな。」
「はい。」
「まさか、誓約書がないから、さっきの約束は反故にするとか言わなねぇよな。」

ぐっ・・。
言葉に詰まった私。

そんな私を見て、道明寺司がふっと笑い、私の頭をポンと叩いた。

「そんなに難しく考える事ねぇだろ?まずは、友達から・・な?」



***



ブーン・・
なんていう音は聞こえない。
静に走るリムジンの中に、私と道明寺司の二人きり。

道明寺司は、とにかく帰ると騒いだ私を、送ると言って聞かなかった。


時間が経って、少し冷静になってきた。

彼の言っていることは、別におかしなことじゃない。
強いていうならば、どうして、私なの?っていうことぐらい。
それ以外は、これ以上ないぐらいにロマンティックな展開・・。

でもね。
私は、高校生じゃないの。
自分と彼の立場の違いだって分かるのよ。
だから、結婚なんてあり得ないよ。

それなら、徹底してお友達を貫いたらいい。
そうよ、必ず好きになるって言った訳じゃないもの。
そうだよ。そう。
深く考えることなんて無いのよ。
凄く美形でセレブな男友達が出来たってことなのよっ!


ごくん。

「考えたんですけどね。」
「何だよ。」
「お友達っていうのは、対等ですからね?」
「おう。」

道明寺司が私を面白そうに見つめてくる。

ドキン。
って、違うってば!

「だから、私もあなたに遠慮なんてしませんから。」
「初めから、遠慮なんてしなくていいって言っただろうが。」
「うっ、うん。そう。だから、お友達を徹底します。」
「了解。」

何よ、何で、そんなに自信満々なのよっ。

「おっ、お友達、止めたくなったらいつでも言ってね。」
「バーカ。止める訳ねぇだろ。俺の目標はお前との結婚。」
「バカッ!!」

クククッ・・・って、お腹を抱えて笑っている道明寺司。
なんか・・・悔しいっ!



リムジンが静かに停車した。
そこは、私のマンション前。
東京郊外にある1LDKの賃貸マンション。
事務所に近いし、都心にも出やすくて気に入っている。

「へぇ、ここか。マンション。」
「なによっ。」
「いや、案外、通いやすいなと思ってよ。」

なっ、何言ってんのよ、この男はっ!
私を揶揄って楽しんでる・・?
それなら、私だって・・

私は、お腹に力を入れて、この自意識過剰男に言ってやった。


「じゃあね。ありがと、道明寺。これから、お友達としてよろしくね!」


その言葉で、少しだけ目を大きくした道明寺司。


あー、ちょっとすっきりした!


私は、そんな彼の顔を見ながら、バタンとリムジンのドアを閉めた。



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ここから先・・考えてないです(汗)。
どうしよう・・。
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『一目惚れ』って・・なんだっけ?


目の前の男性からの突然のプロポーズに、私の思考回路はパンク寸前。

私の記憶が正しければ・・
一目惚れというのは、一目見ただけで、恋に落ちるということ・・


そこでもう一度、目の前の、何故か自信満々な男性の姿をチェックする。

野性的な切れ長の目。
西洋彫刻のように彫りの深い、完璧な美貌。
理由は分からないけれど、何故か圧倒的なオーラを放つ人。

この人が私を?
信じられない・・・。
私、揶揄われているの?

自慢じゃないけど、私は、全くモテるタイプじゃない。
容姿だって、十人並みだし。
この歳になれば、自分のことは客観的に分かるわよ。
だから、こんなことを言われたって、浮き足立ったりしない。

私は大きく息を吸い込んで、それから言ったの。

「とても信じられません。」
「どうしたら、信じてもらえる?」
「どうしたらと言われても・・本気になんてできません。」

目の前の彼が、困った様な顔をしてる。
どうして、あなたが困るのよ。
そんな顔、捨て犬みたいな顔しないでよ。
なんだか・・私が悪いことをしているみたいじゃない・・。

「そんな顔しないで下さい・・。」
「振られる男に同情か?」
「ふっ・・振られる!?」
「そうだろ?」
「違いますっ!そんなことは・・」

目の前の彼の寂しそうな顔。
なんでそうなるの?
この人、本気でプロポーズしたっていうの?
私がそれを断ったから、傷つけちゃったの?
そんな・・私、そんなつもりじゃないのに。
だいたい、私たちは出会ったばかりで、そういうことを考える段階じゃないのに・・。
だから、この人を振ったとかそんなことじゃないんだよ?

あ~!もうっ!

「あの・・お見合いに来たくせに、結婚する気がないなんて、失礼なことを言ってごめんなさい。だけど、お見合いじゃなかったとしても、今日初めて出会った人と結婚の約束なんて、やっぱり私は出来ません。結婚は、好きになった相手と・・と思うから・・。」

「俺のことは、好きになれねぇって、そーいうことか?」
「いや・・その・・そう言っている訳じゃなくて・・」
「じゃあ、好きになるのか?」

そう聞かれて、私も考える。

この人を好きになる?
私が?
私、この人のことどう思っているんだろう?
一緒にいて、苦痛はない。
この人の俺様口調も、案外心地いい。
この人が、優しい人だってことは分かってる。

だけど・・

「あの・・でも・・。私たち、今日出会ったから、お互いのこと何も知りませんよね。お互いを知りもしないで、好きになるかどうかなんて、分からないと思うんです。」
「だったら、付き合おう。互いを知ればいいだろ?」
「その・・意味が分かりません。付き合う・・って、まだ好きになっていない人と付き合えますか?」
「俺は、お前が好きだから、問題ねぇけど?」

うっ。
この人、今、何て言った?
私のことが好き?
好きって言ったの?
嘘でしょう?
こんなにストレートな告白・・初めてだよ。

「でも・・。」
「なんだよ。やっぱり、振るのかよ。」

この人を説得しようとしたら、やっぱり、寂しそうな顔をされた。
私が、この人を傷つけている。
本当に、そんなつもりは無いのに・・。
どうしたらいいの?
どうすれば、彼を傷つけずに済む?


「あのっ、振るとか、そういうことじゃないんです。私たち、まだ、そういう段階じゃないですよね?だから、そっ、そうだ!まずは、お友達になるって言うのはどうですか?お友達として、お互いのことを知れば、あなたのことを好きになるかも・・」

わっ、わたしってば、何言っちゃってんのよっ!
なんて中途半端な事言ってんの!?
でも、ダメなのよ。こういう目をされちゃうと、どうしても強気にいけないの。
うーっ。
もし、好きにならなかったらどうするのよ。
余計に、この人を傷つけちゃうじゃないの。
だいたい、まだ、結婚なんて考えていないのに・・。

思考回路の中を、グルグル迷走している私。

そんな私の言葉を聞いて、目の前の彼が、嬉しそうに笑った。

ドキン・・
あ・・今の顔・・凄く素敵・・・

この顔を見てしまったら、少しくらい流されてしまってもいいような・・そんな気分になってしまう。


「仕方ねぇから、それで手を打つ。」
「お友達から・・でいいの?」
「俺のことを好きになるまで、逃さねぇから。」
「いや、その・・好きになるかどうかは・・わかりませんが・・」
「そんなこと言ってられるのも今のうちだ。覚悟しとけ。」

ぷっ。
なんだか、この人、憎めないなぁ。
勝手に話を進められてるような気がするけど、でも悪い気はしない。
こういう強引なタイプって苦手なはずなのになぁ。

まぁ、いっか。
お友達になるぐらい。
好きになるかどうかは、そこから考えたらいいことだし。
もしかしたら、この人の熱が冷めるかもだし。

「よろしくお願いします。」
思わず、そう言って、笑ってしまった。

「おう。とにかく、食うか。今から、メインとデザート来るからよ。」
「メインっ?」
「肉、いらねぇの?」
「いえ、いります。」
「だろ?」
「デザートも食べます。」
「おう、任せとけ。」

目の前の男性が、楽しそうにどこかへ電話している。


男友達っていうのもいいかも知れない。
いきなり付き合うっていうのはハードルが高いけど、男友達に遠慮する必要なんてないもんね。


それから、私たちは、結構いい雰囲気で、食事を楽しむことが出来た。
私の幼少時からの苦労話なんかを、彼が笑いながら聞いている。
奨学金で大学を出た事とか、バイトの掛け持ち最高5個したとか・・そんな話。
彼はどう見ても、お金で苦労なんてしていないタイプ。
それなのに、私のこと、馬鹿にしたりなんてしないのね。
そんなところにちょっと惹かれた。


食事も終わって、お腹もいっぱいで、時計を見たら、もう、夕方の4時。
コーヒー飲みながら、こんなに話をしていたなんて・・
また会いたいなって、素直にそう思った。


「夜は仕事あんだよな。」
そう言って、面倒くさそうにしている彼が、なんだか可愛い。

それから、胸ポケットから名刺を取り出し、そこへボールペンで何か書き込んでいる。

「俺の連絡先。」
「あっ、じゃあ、私も。」

私も慌てて、バッグから名刺入れを取り出した。

お互いに名刺を交換する。

そして、その名刺に視線を落とした。


え・・・?
・・・・?
なに・・これ・・?


そこに印刷されていた文字を見て、私の思考回路は完全に停止。
名刺を持った手が震えて、一気に冷たくなる。


だって・・
だって、そこに書かれていたのは・・


【道明寺ホールディングス 副社長 道明寺司】



知っているようで、全く知らない人物の名前。

私は、声を出すことも、その名刺から視線を逸らすこともできなくなった。



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正体をしれっと暴露。大丈夫でしょうか・・?
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「俺は、この見合い、受けようと思ってる。」


俺がそう言った時の、この女の間抜けズラったらねぇ。
慌ててナプキンで口を拭き、両手を膝に降ろした。
そして真剣な表情になって、俺を見る。

「色々と親切にしていただいて、本当にありがとうございました。ですが、私、このお見合いを受けるつもりは無いんです。初めから、そう考えてきました。申し訳ありません。」

きっちりと丁寧に断りを入れ、頭を下げる女。
こいつが俺同様に、乗り気じゃねぇ見合いに来ていたことは知っていた。
しかし、この俺をそう簡単に断るなんてな。
少なからずのショックは隠せねぇ。
だからと言って、俺は一度捉えた獲物は逃さねぇけどな。


「理由は?」
「え?」
「見合いを受けない理由は?付き合ってる恋人がいるとか?」
「いっ、いえっ!そんなことではありません。」
「じゃあ、何だ?」

俺に問い詰められるとは思わなかったのか。
彼女がしどろもどろになっている。

「何・・と言われても・・。その・・そうですね。まだ結婚は考えられないんです。弁護士になって2年目で、まだまだ勉強したいこともありますし。」
「結婚しても、続けられるんじゃねぇの?」
「えっ?」
「結婚しても、仕事を続ければ問題ねぇんじゃねぇの?」

俺の提案は思いもかけないことだったのか、彼女はしばらくポカンとし、それから、我に返った。

「いえ。その・・本当に、今、そういう余裕がないんです。翌日の裁判に備えて、晩ご飯も適当に済ませてしまうことも多いし、お掃除も、1週間まとめてしているような状態で。とても、家庭を持つような時間的余裕はないんです。」
「食事や掃除は問題ねぇよ。うちにはシェフとメイドがいるからな。」
「はぁ??」

俺からすると、彼女の言っていることは、全くもって理由にならないことばかりだ。
何が、結婚の足かせになっているのか訳が分かんねぇ。

キョトンとしている彼女に向かい、畳み掛けるように言ってやる。

「むしろ、俺と結婚した方が、生活、楽になるんじゃねぇの?」


・・
・・・・。
・・・・・・。

バン!!!


しばらく俺を見つめたまま、呆然としていた彼女だったが、いきなり、思いっきり机を叩いた。


「そーいう問題じゃないでしょう!?生活が楽になる??結婚って、そんな理由でするものじゃないですよねっ!だいたい、好きでもない人と結婚なんて、考えられませんっ!!」

そう言い切ってから、急に恥ずかしくなったのか、彼女が頬を赤らめて下を向いた。
そして、下を向いたまま、何やらモゴモゴ言い続けている。

「いや・・だから・・。今、無理に結婚しなくても、いつか、自然に好きになれる人が現れたらいいなって思っているんです。お見合いで、結婚を決めるつもりは無いんです。それに、一生そんな人が現れなかったら、それはそれで、仕方がないかなって思うし。」

「一生独身か?」
「そうですね。そうなるかも知れませんし、誰かに出会うかも知れません。」


つまり・・俺のことは好きじゃない。
好きじゃないから、結婚は考えられない。
そういうことらしい。

俺は一目見たときからこいつのことが気になって仕方ねぇのにな。

真剣に本を読む横顔。
躊躇なく池に入る勇気と優しさ。
掴んだ手の温もり。
バスローブから出た、白くて華奢な手足。
俺の前でも、美味そうに大口開けて食う仕草。

彼女の何もかもに魅かれているという自覚が、俺にはある。
彼女を離したくない、離しちゃいけねぇと、俺の本能が訴えている。

はいそーですか、なんて簡単に引き下がる訳にはいかねぇ。


「いつか自然に好きになれる人が現れたら」という彼女。

けどよ。
それが、俺ってことはねぇのか?
俺のことを好きになればいいんじゃねぇのか?
そうだろ?



「どうすれば、俺を好きになる?」

「え・・?」

「俺たちは今日出会ったばかりだ。それで好きかどうかなんて、判断できねぇよな。けど、これから、お前が俺のことを好きになるかも知れない。」

いや、必ず好きになってもらうが。

「それは・・そうですけど・・・。」

彼女が困った様に、俺を見つめている。


「付き合おうぜ。俺達。」


俺は真剣に、本当に真剣に提案した。
付き合っていくうちに、俺のことを好きになればいい。
それくらいは待ってやる。
そんで、絶対、落として見せる。
俺の気合いは十分だ。

なのに・・

「ええ~っ!!」

さも、あり得ないと言うような、彼女の返事。
だからって、諦めねぇぞ。

「いいだろ?結婚前提のお付き合いってやつ。」
「冗談は止めてください。怒りますよ。今は結婚はする気が無いって言いましたよね。」
「なんだよ。チャンスもくれねぇの?」


なんで、目の前の女にこんなにも食い下がっているのか?
自分で、自分が可笑しくなる。
だけど、俺の本能が叫んでる。

____こいつを逃がしちゃだめだ。


つまり・・俺は・・・。



「どうしてそんなに、私にこだわるんですか?あなたなら・・他にもいくらでも、いるんじゃないんですか?」

「俺は好きな女と結婚したい。」

「はい?」

「好きな女と結婚したい。お前だってそうだろ?」

「そうですけど・・。」

女が首を傾げている。


「お前に、一目惚れって奴だ。」


彼女の瞳が、大きく見開かれる。
何度も何度も瞬きをして、恐らく、息も止まってる。


「お前に惚れた。だから、お前と結婚したい。」


俺は今日、
生まれて初めて、女に告白をした。

そして、その言葉は、
生まれて初めての、プロポーズになった。



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いきなりプロポーズ(笑)。凄い本能だ。
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彼女がシャワールームに消えた後、俺はすぐに西田に連絡を取った。

腕時計は11時40分を示している。
俺も、あいつも、見合いの席には当然遅刻だ。

『俺だ。』
『副社長、先ほどから何度も連絡を入れているのですが。ラウンジにお見えになっていないと、先方から・・。』

この時点で、俺の犯行は確定。
やっぱり、この女は、俺の見合い相手ではなかった。
分かってはいたが、もしかして・・という淡い期待もどこかにあった。
しかし、もう、俺は動き出している。
それは、恐らく、本能で・・・。

『あぁ、ワリィな。本気で気に入った女を見つけた。だから、今日の見合い、断っといてくれ。』
『副社長っ!』
『オヤジたちには、俺から説明する。』
『本気とは、どういう意味でしょう?』
『そのままだ。本気で、結婚を考えたい相手。』
『・・・。』

西田の沈黙。
これが出た時の西田は、すげぇ冴える。
きっとこの状況を切り抜けるだろう、この男なら。

『つまり、今、副社長は、結婚を考えているお相手と一緒にいらっしゃるということですね。』
『そう言ってんだろ?』
『分かりました。こちらのことは全てお任せを。その代わり・・』
『なんだよ。』
『もしも、上手くいかなければ、相応のペナルティを。』

つまり、あれか?
ブラジル出張3か月とか?
極寒ロシアに1か月とかか?

一瞬ぶるっと震えたが、そんなの専務時代にこなしただろうがよ。

『上手くいかなければ、ご両親の勧められるお嬢様とご結婚を。』

は?
何言ってんだこいつ。

『ニューヨークには私から説明します。ですから、副社長、背水の陣で臨んで下さい。』

そうか、そう言うことかよ。
親父とお袋を黙らせるには、それしかねぇってことか。

『分かった。任せろ。それと、ラウンジに塚狭(つかさ)っつー男が見合いに来てるはずだ。相手の女は行かねぇから、適当に帰しとけ。』

俺がそう言っただけで、状況を理解した有能な秘書から冷静な返事が返ってきた。
『畏まりました。すぐに手配致します。ご健闘を祈ります。』


ふぅ・・。
とりあえず、西田を味方につけた。
運は俺に向いている。



***



塚狭さんが選んでくれた服に着替え、部屋を出て、リビングスペースに戻った。
奥のダイニングには、ランチが届けられている。

「わぁ!」

前菜の盛り合わせが手前に。これって・・キャビアがのっかってる?
ホカホカの湯気が出ている、白身魚。
スープは冷製かな?
パンがバスケット一杯に入ってる。何これ、食べ放題?
グラスには、ミネラルウォーターと食前酒がすでに注がれていた。

カチャッとドアが開く音がして、振り返ると、彼がこちらに向かってくる。
彼も着替えたみたい。
よく見れば、凄い美形だ。
見たこともないぐらい。
どうしてさっきまで、気が付かなかったんだろう。

あ・・お礼。
「あの、とても助かりました。着替えも用意して頂いて、ありがとうございます。」
「たいしたことじゃねぇから、気にすんな。」

たいしたことじゃない?
十分たいしたことだと思うわよ?

「腹減ったか?」
「もうペコペコです。」
だけど、お腹は正直だ。

「よし。じゃぁ、食おうぜ。」


ここで、もう一度、私の頭に疑問が浮かぶ。
この人は、本当に私のお見合い相手なんだろうか?
『つかさ』という名前の別人なんじゃないのかな?
今私が着ているオフホワイトのワンピースも、D’&G’のものだし。
大体、この部屋を平気で使っているっていうだけで、普通の人じゃない。
クライアントのおばあさんは確かに資産家ではあるけれど、こんな甥がいる訳ないじゃないの。

なかなか、席に着かない私に向かって彼が言った。
「座れよ。」

「あのぉ。あなたは、本当に、私のお見合い相手なんでしょうか?」
「何で?」
「いや、その・・。メープルホテルのこんなお部屋を使う人とのお見合いだなんて、聞いていませんでした。」
「今日、メープル東京プライベートラウンジ、11時半のツカサだろ?俺のことだ。俺も同じ時間、同じ場所で見合いだと言われてた。名前も合ってる。」
「そうですか・・・。」

私は諦めて、彼の向かい側に腰かけた。
とたんに、美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。

『ぐぅ・・』

やっ、やだっ・・・わたしってばっ!
ちらっと彼を見ると、凄く楽しそうな顔をしている。

「ぷっ。まぁ、とりあえず食おうぜ。見合いなんだ。食いながら話そう。」


見合い・・・。

確かにそうなんだけど、なんだかお見合いっぽくないこの雰囲気は何?
お見合いっていうのは、普通、初めましてとかそういう挨拶から始まって、『あとは若いお二人で』とか言われて、庭園を散歩したりとかするんじゃないの?って、私ってばテレビの見過ぎ?

だって、この状況って、なんだかデートみたいじゃないの。

それに・・

「私の想像していたお見合いと違いました。」
「は?」
「塚狭さん、ため口だし。」
「ダメか?」
「ダメじゃないです。でも、お見合いって感じじゃなかったから。」
「いずれ結婚するなら、遠慮してても仕方ねぇだろ?」

けっ・・・けっこん!!?
結婚・・・。

ゴクリ。
このお見合い、断るつもり出来たんだよ?私。
なのに、結婚って。
そりゃ、お見合いなんだから、当然だけど。
でも、じゃあ、目の前のこの人は、私との結婚を真剣に考えているっていうの?

そんな私の戸惑いなんて、全く無視した彼が、グラスを差し出してきた。

「乾杯。」

私はとっさに、食前酒の入ったグラスを差し出して・・
そこから、私たちのお見合いが始まった。





「名前は?」
「牧野つくしです。」
ひゃっ・・キャビアって、こんな味なの?
美味しいのかどうか・・分かんないわ。

「年齢は?」
「27歳です。」
これって、何?ホタテ?違うな。

「職業は?」
「弁護士です。」
モグモグゴックン。

次の質問が無いなと思って、彼を見ると、彼が少し驚いた表情で私を見ている。
あれ?知らなかったのかな?弁護士だってこと。

「ご存知なかったんですか?」
「いや・・聞いてたかな。」

あぁ、そうか、私も何か質問をしなくちゃね。
ええと・・。

「それじゃ、塚狭さん、私から質問してもいいですか?」
「なんでも聞け。」
ぷっ。この人って、どうしてこんなに俺様口調なんだろ。

「自営業ってお聞きしていたんですが、どんなお仕事を?」
「自営っつーか。会社経営だな。多角的にやってる。」
「そうなんですか。」

多角的にって・・?
まぁいっか。
食事が美味しすぎて、会話がやや適当になっている。
だって、本当に、こんなにおいしいランチ、生まれて初めてかも知れない。
モグモグ・・ゴックン。
美味しい・・幸せ。


「随分、美味そうに食うな。」

はっとして頭を上げると、彼が私を見て笑ってる。
彼は食事なんて殆んど進んでなくて、食卓に片肘を突いて顔を乗せ、私をじっと見ていた。

え・・?


「俺は、この見合い、受けようと思ってる。」

超美形の彼から、爆弾発言が飛び出した。



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皆様、この二人の関係、理解できましたか?(笑)

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こんばんは。
こちらのお話は、急に書こうかなと思いついたお話で、出だししか考えていません(汗)。
なので、これからの展開は誰にも分からないです。
昨日、晩御飯前にと、とりあえず1話目を投稿したのですが、投稿直後、タイトルのスペルを打ち間違っていました・・(涙)。
初めの30分ぐらいで見られた方。意味分からなかったんじゃないかな?ゴメンなさい。
このタイトルの意味は、まぁ、そのままかな?
私としては二通りの意味に考えています。
また、展開の中で、説明できたらいいかなぁと思います。
では、続きを~。
***




何度も何度も、俺を見上げながら、キョロキョロしている女。
俺は、ただただ正面を向き、歩く速度を変えることは無い。
歩いている間にも考える。
俺の行動は全てSPが把握している。
そして、その行動は西田に伝えられるはずだ。
見合いをブッチしたことはすぐに伝わるだろう。
どうすっか・・。

ホテル内に入り、エレベーターホールへ向かうと、俺に気付いたスタッフが慌てて駆け寄ってきやがった。

「どう・・っ・・」

俺は、そいつらを睨みつけ、右手を挙げて制止する。

それ以上、言うんじゃねぇぞ。
道明寺っつってみろ、お前ら全員、クビだ。

俺の気迫に押されたのか、スタッフが無言で、スイート直通のエレベーターのボタンを押した。

「えっ?あの?えっ?」
「心配すんな。とりあえず、着替えが必要だろ?」
「あ・・いや・・その・・」

現状を把握できていない様子の女を連れて、そのまま到着したエレベーターへ乗り込んだ。

ホテル内は思ったよりも冷えている。
肩を抱いている女が、ぶるっと震えた。

「寒いのか?」
「ええ・・少し。」
「すぐ着く。まず、シャワーでも浴びろよ。」

「シャッ・・・シャワー!!?」

彼女が驚きまくって、俺から離れようとする。

「なに、警戒してんだよ。」
「いや、だって・・」
「着替えるだけだ。心配すんな。」
「本当・・ですよね?」

この俺に向かって、バリバリに警戒したその目つき。
そんな視線、受けた事ねぇぞ。

「俺は、見合い相手にいきなりがっつく程、飢えた男じゃない。」
少し不機嫌を装ってそう言えば、彼女が少しシュンとした。
「すみません。」

うっ・・。
いや、待てよ。
十分がっついてるのかも知れねぇ。
完全に、がっついてる・・な・・。
たぶんこいつは、白鳥の令嬢なんかじゃねぇって分かってるのに、こいつを見合い相手に仕立てようとしている、この時点で。

ポーン。
エレベーターがスイート階に到着した。



***



す・・凄い・・・。
それは、東京メープル40階から見える景色。
思わず、大きな窓にへばりついて、階下を覗き見る。
うっ・・・こわっ。

振り返ると、そこには素晴らしい応接セット。
奥に、ダイニングテーブル。
フカフカの絨毯。
カウンターバーもある。

ここって・・ここって・・スイートルームってところ?
私・・初めて来たっ。

ぐるりと部屋を見渡すと、後ろで、クスッと笑い声。
振り返ると、塚狭(つかさ)さんが、私を見ていた。

「風邪ひくぞ。先にシャワー行けよ。」

「はっ・・はい。」

慌てて駆け出してみたものの、どこがシャワールームなのか分からない。

「こっち。」
彼に背中を押されて、シャワールームへ誘導された。

「使い方、分かるよな?」
「たぶん。」
「よし。」

そう言って、シャワールームから出て行く彼。

「あっ。」
私は、思い出したように声を上げた。

「何だよ。」
「着替えが無い。」
「準備しとくから、先入っとけ。」
「はい。」

バタン。

・・・。
・・・・・・。
ふぅー。


私は、ここで初めて冷静になった。

私、今、どういう状況なの?
お見合い相手の塚狭さんと、ホテルの部屋に一緒にいるって、どういうこと?
あの人・・悪い人じゃなさそうだけど・・。
でも・・なんだか、奇妙な状況じゃないの。

だいたい、どうしてこの部屋に入れるの?
塚狭さんって、一体何している人なんだっけ?
あーもう、どうせ断るからって、ちゃんと話を聞きもしなかった自分を恨む!
スイートルームを予約している人が、私のお見合い相手だなんて、なんだか信じられない。


私が、お見合いを断れなかったのは、2年前からお世話になっている弁護士事務所の所長に勧められたから。
私は駆け出しの弁護士で、所長は地元では有名な弁護士。
近隣の人々や中小企業から頼りにされていて、私も尊敬している女性。
地元密着型の人権派弁護士の先生の元で司法修習を行い、晴れて弁護士となって、そのまま先生の元でお世話になり2年になる。
先日、遺産相続の相談に来られたクライアントがいて、私が担当になった。
クライアントのおばあさんは、何故か、私のことを凄く気に入ってくれて、甥の嫁にどうかって凄く勧めるの。だけど、大体私が遺言状の相談とかしてるのに、その親族の方とお見合いってあり得ないでしょ?
それに、まだまだこれからもっと勉強して、弁護士として一人前になりたいから、結婚なんて考えられない。
だから、お断りしたって言うのに、おばあさんったら、今度は所長にお願いしたみたいで。
所長ってば、私に男っ気がないからって、とりあえず会ってみなさいなんて言うから、仕方なく来た訳なのよ。

けど、甥御さんって・・30いくつって言ってなかったっけ?
さっきのあの人・・・。
まだ20台だと思うんだけどな・・・。


うっ・・ううん!
でも、とりあえず、とりあえず、シャワーを浴びよう。

あの人、変なことしそうには無かった。
あの子供のことも助けてくれたし。

私はそう頭を切り替えて、シャワーブースに入った。
温かいシャワーを浴びて、体温が回復する。

ホッとして、コックを止めて、バスタオルで体を拭いた。

体を拭いて、バスタオルを体に巻き付けて、キョロリ。


あれ・・・?

私の服・・無くなってる。
他に・・着るものはない。
壁にかかっているのはバスローブだけで・・。

ええーっ!!

どっ、どうしたらいいの?
この状況っ!!

おっ、落ち着くのよつくし。
とりあえず、このバスローブを羽織ろう。

そうよっ。さっき、着替えは用意するって、あの人言ってた。
私ったら、何を変な事考えてるのよ、全く・・うん。


とりあえず、さっと髪をタオルドライして、私はカチャリとドアを開け、外の様子を伺いながら、リビングルームへ向かった。




ん・・?話し声が聞こえる。

「あぁ、それでいい。靴のサイズは、これを見てくれ。」
「こちらは如何しましょう?」
「それももらう。」

なんだろ?
そろっと、リビングに入ると、そこには、どこかのショップの店員さんが3人も来ていた。
店員さんは後ろ向きで、顔は見えないけど、塚狭(つかさ)さんと目が合った。
驚いたような彼の表情。

ん?
あっ。
わっ・・わたしっ、バスローブ姿じゃないのー!!


自分の姿に我に返ったとたんに、彼が私に向かって突進してきた。

は?

がばっと私を腕の中に囲うと、そのまま手前の部屋に連れて行く。


すごく高そうなコロンの香りがする。
男の人もこういうの付けるんだね。
私、あんまりこういう匂いって興味がなかったんだけど・・
いい匂い。
なんだか・・・酔いそう・・・。


部屋に入るとそこはベッドルームで、そのまま彼が私から手を離し、片手の手のひらで両目を覆った。

「はぁ。お前、ビビらせんなよ。そんなカッコ、誰かに見られたらどうすんだ。」

「だって・・。」

「だってじゃねーよ。とにかく、服は、今、クリーニングに出してる。とりあえず着るもの用意してるから、大人しくここにいろ。」

だって、誰か来てるなんて思わないじゃないのよ。普通。
そう文句を言いそうになったけれど、ここにいろと言う彼がなんだか切羽詰まっているように見えて、その真剣さに圧倒されてしまった。

「はい。」

それから、彼は、ほっとしたように私の頭をくしゃっと撫でて、部屋を出ていった。


ドクン・・ドクン・・・
ドキドキドキドキ・・・


何?

何で、こんなにドキドキするの。

私は、ガウンの合わせをぎゅっと握りしめた。



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いつも応援ありがとうございます。
明日は、AM5:00投稿目標!です。
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____ホテルメープル東京 11時00分。


正面ロビーより反対の北側に広がる日本庭園。
広大な敷地を誇るその庭園には、鯉の泳ぐ池や、この夏のうだる暑さをしのぐ東屋もある。

俺は、普段は絶対に歩くことなどないその庭園を、東屋に向かって歩いていた。

あと30分後に、行きたくもねぇ、見合いの席に着かなきゃならない。
面倒くせぇことこの上ねぇが、俺も会社の副社長という肩書がある以上、両親が持ち込んだその見合いを、会いもせずに断ることはできなかった。

まぁ、ビジネスだ。ビジネス。

相手は、白鳥物産の令嬢のなんとかって女だ。
写真も見てねぇけど、見る価値もないだろう。
俺は、この縁談を受ける気なんてサラサラねぇからな。

東屋に向かって歩きながら、胸ポケットを探る。
タバコを出して火を付けようとして、手を止めた。

東屋に先客がいた。
この東屋は知る人ぞ知る東屋。
手前には大きな木があるため、見つかりにくい。
そこは、高校時代に何度か来たことのある、俺にとっては思い出の場所でもあった。


近づいてみると、女が本を読んでいる。
薄い水色のワンピースを身に着けた、色白の女だ。
黒く長い髪を片方だけ耳にかけた、その横顔が見える。
真剣に本を読んでいる姿に、邪魔しちゃいけねぇなと思えた。

俺はたばこを胸ポケットにしまうと、しばらく女を観察した。
見合いまでの30分の暇つぶしだ。
コの字のベンチがある東屋に入り、俺も女の向かい側に座った。
女が一瞬だけ顔を上げ、俺を確認する。
その一瞬だけ、目が合った。
零れそうな、黒目がちの瞳。
すげぇ美人っつー訳じゃなかったが、その瞳に吸い込まれそうだ。

左腕のロレックスを確認しながら、俺も風景を観察している振りをしていた。
女は真剣に本を読んでいる様子で、それ以降、目が合うことは無かった。


俺は本来一人でいることが好きだ。
女と二人きりとか、絶対にあり得ない。
だが、この女が醸し出す雰囲気が何となく心地よくて、女をどっかに行かそうとか、俺が場所を移そうとか、そういう考えには至らない。

悪くねぇ・・・そう思った。


俺は日本トップの財閥系企業の御曹司って奴だ。
28歳にして、副社長の地位についた。
今後社長の座に就くためには、結婚は必須条件と言われている。

条件の良い女との結婚。
はぁ・・・・溜息が漏れる。
それに、何の意味があるんだ。

激務に加えて、家までが針の筵じゃやってられねぇじゃねーか!

と言う訳で、今のところ、俺は結婚なんてする気はない。
そもそも、俺は、女嫌いだからな。
無理する必要なんてないっつーのが、ここ数年で俺が出した結論だ。

でも、もし・・
もし、俺が家庭を持つのなら、こんな女がいいのかも知れねぇ・・
その場に一緒にいるだけで、満たされるような雰囲気・・
なんて向かいの女を見ながら思うのは、今日が、行きたくもねぇ見合いの日だからなのか。


東屋から少し右手の細い小道に沿って、川の様に作られた池が続いている。
日陰になっているその池から、少しだけ涼しい空気が流れて来た。

10分もした頃だろうか。
4-5歳のガキがこちらへ向かって走ってきた。
目の前の女も気づいたようだ。
どこかに両親もいるのだろうが、見当たらない。
きゃっきゃっとはしゃいで、池の鯉に手を伸ばそうとしている。

目の前の女と目が合った。
何気なく。
何となく。
ドキッとした。

女が本をベンチに置いたとたんに、

ドボンッ!!

ガキが池に落ちた。

とっさに立ち上がり、女が駆け寄っていく。
当然、俺も後を追う。

女は、躊躇せずに、池に入った。
幸い池は浅く、溺れるようなことは無かった。
だが、びっくりしたガキは自分で立ち上がれず、女が腰をかがめて引っ張り上げた。
綺麗な薄い水色のスカートが濡れていく。

「こっちに渡せ。」

全身水浸しのガキは重くなっている。
女が池から出すには、重すぎる。
俺は、手を差し伸べて、女からガキを引き上げた。

自力で池から出ようとする女にも、何故か、自然と手が伸びた。

女の右手を引いた時に、小さな声で「ありがとう」と聞こえた。

ガキの両親が駆け寄って来る
池を出た女はすぐに俺の手を離した。
両親はガキの無事を喜び、それから俺達に頭を下げた。

「ありがとうございました。」
「いえ、無事でよかったです。」
「そのお洋服、クリーニングに出させてください。」
「いえ、それより、息子さんの着替えをしてあげて下さい。」

結局、女はクリーニングを断り、家族はホテルの方向へ戻って行った。
父親に抱かれながら、こちら向きに手を振っているガキに、女も手を振り返していた。


それから、クルリと踵を返した女と再び目が合った。

「お前どうすんだ?それ。」

女のワンピースは膝上まで濡れていて、足にぴったりと張り付いていた。
慌てた女が、スカートの裾を掴んでぎゅーっと絞る。
すげぇ大胆な仕草だ。

「もうっ、だから嫌だって言ったのに。お見合いなんて勧めるからこういうことになるのよっ。全くもうーっ!」

その言葉はどうやら俺に対してではなく、独り言らしい。

そして、この女も見合いでここに来ていたのだと知る。

「時間、大丈夫か?」

もう一度声を掛けると、腕時計を確認した女が、
「やっ!大変っ!」
と言って、東屋に駆け戻っていく。

心配してやった俺のことは無視かよ。

荷物を持って、駆け戻って来て、
「それでは、ありがとうございました。」
と勢いよくお辞儀をして、立ち去ろうとするその腕を、思わず掴んだ。

女が驚いた顔で振り返る。
俺も・・自分の行動信じられない。

「あの・・」
「スカート、透けてんぞ。」
「えっ・・ぎゃっ!!」

小さく叫んだ女に、俺は自分のジャケットを掛けた。
女は目を丸くして俺を見て、それから、真っ赤になって俯いた。

「ありがとう。」

女がジャケットの合わせを握りしめながら言う。
「これ、クリーニングしてお返ししますので・・」

その言葉に被せるように、俺も言った。

「お前、今から見合いなのか?」

「え?」
顔の女が再び俺を見上げた。

「見合いなのかよ。」
「あ・・はい。でも、この恰好なので・・」

その恰好だからどうするんだ?
どっかで、着替えを調達すんのか?

「何時から?」
「11時半。」

「どこ?」
「メープルのプライベートラウンジです。」

「相手、誰?」

そんなこと聞いてどうすんだ・・俺。

「えっ・・えーと・・・」
「相手の名前覚えてねぇのかよ。」
「あ、そうだ・・塚狭(つかさ)さん・・という方です。」

つかさ・・?

俺は、じーっと女を見つめた。

こいつが、白鳥物産の令嬢?
いや‥どう見ても、違うだろう。
身に付けているものも、品物は悪く無さそうではあるが、一流品ではない。
時計も、国内有名ブランドものだ。

だが・・

こいつが、俺の見合い相手だったら?

そんな希望が湧いてきた。
ぜってぇ違うだろうと思うのに、0.01%の希望に懸けたい気持ち。


「そうだ、所長に連絡します。そこから、相手の方に連絡を入れてもらいますから・・」

「いや、その必要はねぇよ。」

「え?」

「お前の見合い相手、たぶん、俺だわ。司・・だろ?」

「へ?」

「メープルのプライベートラウンジ 11時半。」

「はい。」

「間違いない。俺だ。」

目ん玉飛び出んじゃね?ってぐらいのびっくり顔。
止めろっつーの。
その顔も、案外可愛いんだ。

ベンチに座っていた時の「静」の表情と、今、俺の前で見せる「動」の表情のギャップにぐっとくる。

俺は、こいつに興味がある。
どうせ見合いをするんなら、こいつがいい。
こいつを、他の男んとこになんて行かせたくねぇ。

女にこんな感情を持つこと自体が初めてだった。


「行こうぜ。」
「ええっ!でも・・」

俺は、女の肩を抱き、女を守るようにして歩き出した。



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昨日思いついたお話です。
長くはならない予定でいます。
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こんばんは。
バタバタしていて、ガチリレーのあとがきが書けずにいました。


さてさて、ガチリレー、いかがでしたか?
他のメンバーさんも呟いていたように、書いている私たちメンバーはとても楽しくやらせていただきました。
特に1周目は本当のガチ。お話はもちろんのこと、順番も。
私は、スターターだったので、スタートする日も私が勝手に決めると言うことに(笑)。
そして、事前告知も、私のサイトだけという、超手抜きコラボでした(笑)。
でも、こういうことって、勢いも大切だし、何より、普段あまり交流のないつ「つかつく」書き手さんと濃厚な2週間を過ごせたことは、とても楽しい思い出となりました。
最後まで付いてきてくださった皆さん、本当にありがとうございました!



さて・・・
ここから回想しつつ、感想を・・。

私がちらりと『ガチリレー』と呟いたことから、速攻で、ガチリレーが決定。
その間わずか1時間もない。
そして、すぐに、アミダくじでスターターと決定。
うひゃーっ!

焦って、約1日でお話を考えました。
この時点で、私的にはですね~。
結構分かりやすいゴール設定を目指したつもりでした(笑)。
ほら、デートして、Hして、ハワイでゴール!みたいな??

ですが、さすがはやこさん!
第二話はどうなるかと思ったら、まさかの連日、ヒリヒリ(笑)。
笑いました。

ローションが出て来たり、途中、「どうやってつくしをイカせるか!」という方向に流れ(笑)。
誰もデートなんて書きゃしない(笑)。
きぃさんが、なんとかおうちデートで、デートをクリア。


そして、後半に入ると、さすがに順番決めよっか・・・とアミダが再登場。

やこさん、Asuさんと続いた濃厚Rの後の自分の順番。
ひぇーっ。どうしようっ。
しかも、契約書って何??
と戸惑いました。

で、自分の第10話を投稿した時点での私の予想は・・・

きっと後半メンバーが、司のカッコいいシーンを演出して、R解禁へ持ち込むに違いない!そうすれば、ハワイで終了!
と目論んでいたのですが・・・

やはり、このメンバー。
一筋縄ではいきません。
次の蘭丸さんは、司のモンモンかよ!っと、笑っちゃいました。


因みに、単純な私の考えたその後とは?(注:完全な私的妄想です。)
① 豪華客船「Be Happy!」で、優雅な時間を過ごす中、超カッコイイ司と一緒にいるだけで、妬みの対象になるつくし。
② そんな中、つくしがわざとプールに落とされる。
③ 慣れないヒールのせいで、足がつってしまうつくし。
④ そこへ、上着を脱いだ司が、上半身裸でカッコよくプールへ飛び込む。(このあたりは、きぃさんと類似。)
⑤ 超絶カッコよく、つくしを救出!そして、脱いだ上着をつくしに掛ける。
⑥ 上半身裸の司に、つくしドキドキ。
⑦ 「道明寺・・ありがとう。」「何度だって助けてやる。俺はお前に、めちゃくちゃ惚れてっから。」
⑧ つくしから誘う濃厚R。
⑨ 契約書は破棄。
⑩ ハワイでお決まり、ウエディング!

と言う感じでしょうか・・・(笑)。
(この場合、司をいかにカッコよく書くかがポイント!)
やっぱり、ワンパターンだな、こりゃ。
副編集長とか、自分一人じゃ、絶対に出てきませんね!
ローションもだけど(笑)。


で、リレーの方は、lemmmonさん、キックバックの蘭丸さん、きぃさんとナイスアシスト!
ラストは、komagic!で素敵な終了となりました。
パチパチ・・・!!



このリレー。
みんなで、何する?と始まって、私は初めは別な企画を提案していたんですね。
私的には、そちらにも乗り気で(笑)。
その途中で、またもや私がポロリと「ガチリレー」と呟いたら、本当にそうなっちゃったんです。
なので、なんとなく、責任を感じてもいた(笑)。
で、無事に終了できて良かった!です。


それから、初めは途中経過を更新していたのに、途中から、アワアワで忘れてしまっていて、終了後に更新しています。ごめんなさい。


また、いつか、『つかつく』の企画ができたらいいなぁと思いながらの終了でした。
楽しいひと時、メンバーのみんな、そして、読者の皆さん、ありがとうございました。


INDEXはこちらへ。
ガチリレー INDEX
  1. つかつく♥コラボ『ガチリレー』
  2. / comment:3
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オープニングセレモニーから続くパーティーは、プールサイドで夜中まで続く。
プールサイドは、まだ今日の招待客で賑わいを見せていた。
つくしは、支配人として、様々なところに目を光らせている。
今晩は寝ずに、このホテルに泊まり込むつもりなんだろう。

開はパーティーの途中、オヤジに抱かれて登場した。
このパーティー自体、VIP会員のみを招待しているが、それはつまり、政財界の重要人物ばかりが集まったということだ。
その中にオヤジとお袋が開を連れてきたということは、開が道明寺家の嫡男として正式に披露されたことになる。
つくしはどう思ったかは分からないが・・。

いつかは、開を公の場に出すことになる。
どの場でお披露目したとしても、それは結局はビジネスの場だ。
今日のPrivate Resortのオープニングさえ、ビジネスの場としての役割を果たしていた。
だが俺は、開を公に出すのなら、このつくしの提案したホテルでと決めていた。
このホテルには、つくしの夢が詰め込まれている。
そして、できる限り、そのつくしの夢を守ってやれるように・・・俺はオヤジの力を借りた。
ビジネスに囚われることなく、このResortが、俺たち家族の原点となりうるように。


開を連れて一通りの挨拶を済ませると、まだ幼い開は、オヤジと先にメープル本館に戻った。
その後、20時を回っても、まだ身動きがとれないつくしに代わり、俺が開を引き取りに本館に向かった。


また寝ちまった開を抱いて、Private Resortに戻ると、西田が待っていた。
「つくし様はプールサイドに。」
「分かった。」
「西田、もしトラブルがあれば、つくしに連絡が入るだろうが、必ず俺にも連絡が来るように徹底してくれ。」

このResortはつくしが支配人として管轄する。
俺がむやみに手を出すつもりはないが、それでも、影から見守っておきたい。

「承知してございます。」
「そうか・・。」
「以前、総帥からも同じことを言われましたので。」

はっとする。
西田はかつてはお袋の右腕だった男だ。
つまり、オヤジが・・・ホテル事業はお袋に丸投げしているように見えたオヤジが、お袋をフォローしてたってことなのか・・。

「意外でございましたか?」
「まぁな。」
「総帥と支社長は、本当によく似てございます。」
「そうかよ。」

なんだか面白くねぇ。
けど、血は争えねぇってことかも知れねぇな。
いずれは、開も・・まぁ、それはずいぶん先の話か・・。

「西田。今、オヤジがThe Classicで臼井と飲んでるぜ。行って来いよ。」

西田が一瞬だけ目を大きくして、それから恭しく頭を下げた。




先ほどよりは少し落ち着いたプールサイドに、つくしが立っていた。

俺たちに気づいたつくしが、驚いた顔をする。
「司さん、どうしたの?今日は、本館に泊まるんでしょ?」

なんでだよ。
何で今日、お前と離れられるんだ。

「ここに泊まるに決まってんだろ。」
「だけど・・部屋・・。」
「リザーブしてるに決まってんだろが。」
「えっ・・?」
「行こうぜ。」

俺は、つくしの肩を抱き寄せて、一緒にPrivate Sweetへ向かった。

「だけど・・まだ・・。」
「何かあれば、連絡が来るだろ。始めからキツキツしてたら、体もたねぇぞ。」

つくしはまだ迷っているようだったが・・

「このResortはお前の希望が詰め込んであるんだろ?それに俺たちは入ってねぇの?」

そう言った俺に向かって、つくしは思いっきり頬を膨らませた。

「そんな訳ないでしょう?」

そんな表情も、すげぇ可愛い。
年齢よりも幼く見える、俺が愛するつくしの顔。

アップにされた髪型で強調された綺麗なうなじ。
体型に沿ったブラックシルクの上品なスーツ。
首元には道明寺家伝統のパールネックレス。
左手には俺が贈った世界に一つだけのマリッジリング。
それらを身に着けて、ここの支配人として、完璧な立ち居振る舞いを見せていたつくし。

だが、俺は、俺にだけ見せる素のこいつが好きだ。

理由なんてないんだ。
どんなに完璧であることよりも、ありのままの、素のつくしが一番好きだ。
妻になっても、母になっても、俺はお前が大好きだ。
世界で一番、愛してる・・・。

つくしが俺に身を預けてきた。
両手に俺の宝物たち。
俺が、どんなことをしてでも守ってやる、俺の全てだ。




つくしが自分の夢と希望を詰め込んだ、Private Resort。
そこに、今夜俺たちが泊まらなくて、いったいどうするつもりだったんだ?
だが、支配人という立場上、自分の都合は後回しにするということはつくしらしい。
反対に、そこを強引に押し通すのは、俺らしいが。

すでに入浴は済ませている開を、ベッドに降ろした。
かなり深い眠りに入った開を、ベッドの端に腰かけて、二人で見つめる。
開け放たれた窓からは、夜になり適度に冷えた風が入って来た。

「ねぇ。開は、きっと司さんの後を追って、道明寺財閥を継ぐと思うな。」
「それはどうかな。」
「絶対そうなる。」
「何でだよ。」

「開は司さんのこと、大好きだもん。」
「だから?」
「だから、大好きな人に認められたいと思うはずだよ。」
「・・・。」
「司さんは、そうじゃなかった?」

俺がニューヨークへ行ったのは、確かに財閥を継ぐためではあったが、そこに、オヤジやお袋に認められたいという思いがあったかどうかはわからねぇ。
つくしに出会えた今だからこそ、この立場を本当の意味で受け入れて、道明寺に生まれたことに感謝する気持ちにもなった。
道明寺を守ることが、こいつらを守ることに繋がるから。

「ふふ・・あたしはねぇ。」
「ん?」
つくしが上目遣いに俺を見た。

「ずっと、司さんに認めてもらいたくて、頑張ってる。」
「はぁ?」

「本当だよ?司さんの傍にいたくて、司さんにふさわしいと思われたくて、そのために頑張ってる。」
「何言ってんだよ、お前。」

つくしが俺の胸にコトンと頭を落とした。
俺はそっと、彼女を抱きしめた。
こんなにも細く、小さなつくし。
だけど、いつもエネルギッシュで、弱音を吐くことは少ない。

「このPrivate Resortだって、そう。あたしは、メープルが好き。だけど、それ以上に司さんが大好きで、あなたにふさわしい女になりたかった。」

初めてかも知れねぇ。
こんな・・・つくしの本音。

「そんなあたしを、軽蔑する?」

つくしが少し潤んだ大きな瞳で、俺を見上げる。
なんで、そんなことを思うんだ。
俺のことが好きで、俺に認めてもらいたくて仕事を頑張ったからって、どうしてそれを軽蔑するんだ。
仕事に私情を挟んだからか?
そんなことなら・・

「言っとくが、今、俺が真面目に仕事をしてんのは、全部お前らのためだ。お前と、開がいるから、だから、道明寺の後継者として頑張ってんだ。そうじゃなきゃ、いつ辞めたって構わねぇと思ってた。お前に出会うまでは。そんな俺を、お前は軽蔑するのか?」

つくしが、首を横に振る。
そんな俺の気持ちは前から伝えているだろう?
何がそんなに不安なんだ。

「あたしが頑張れるのは、いつも司さんがいるから。隣に司さんがいてくれるからなの。だから、どこにも行かないで。お願い。」

彼女が言っているのは、間違いなく本音。
だけど、普段こいつは、こういうことを簡単に口に出す女じゃない。
つくしに俺が必要だってことは、案外周知の事実で、俺はそれを甘んじて受け入れているわけで。
俺なしでは生きられない女であって欲しいのは、ずっと前からの俺の願望。


「どこにも行くわけがないだろ?」

つくしの唇にキスを落とす。
これ以上ないというぐらいに想いを込める。
角度を変えて何度も吸い付いた。

そっと唇を離し、そっと囁く。

「お前がいなきゃ、息もできない。」

互いの鼻が擦れ合う程の至近距離。

「あたしも。」

もう一度唇を合わせ、絡みつくようなキスの連続。
時々離れる唇から、甘い吐息が漏れる。

お前がいるからこそ生きていける。
だから、絶対に離しはしない。

どうすれば、この想いがお前に伝わる?

キスをしながら、互いの服を脱がせ合う。
この唇を離したら、俺らはきっと死んじまう・・それぐらいに求め合う。
裸になった俺たちは、隣のベッドルームへ消えた。



欲しくて、欲しくて、手に入れても、まだ欲しい。
彼女の汗までもが愛おしい。
彼女の腕も、脚も、胸も、背中も、全てが俺のものだというのに、まだ足りない。
彼女の全てを確認しながら、印を残していった。

ベッドの上で縺れ合う俺たちは、ただの男と女。
ふさわしいとか、ふさわしくないとか。
道明寺の名前がどうだとか。
そんなことは、一切関係ない。

深く、深くつながって、生きていることを実感する。
互いを求め、互いを愛する。
それ以上に大切なことは何もない。

揺れて、揺らされて、二人で高みに上っていく。
俺が彼女を揺らすたびに、彼女が俺を締め付けてくる。
彼女しかいらない。
いつか死を迎えるなら、こいつの中で・・
そんなことを思うぐらいに、俺はつくしの虜だ。
例えこの先、何年経ったとしても・・

俺の与える刺激で、感じている彼女の表情。
もっと、もっと与えたくなる。

喘ぐつくしの目が開いた。
恍惚とした表情。
その瞳は、俺だけを捕らえていて・・

ずっと・・このままで・・・

俺だけを見て、
俺だけを感じて、
他の何も映さなくていい。


同時に頂点に上り詰めた。
俺の背中に食い込む爪。
二人、視線を逸らさずに、互いの全てを受け入れた。


つくしの中で繋がったまま、つくしの髪を撫でる。

「あたししか、見ないで。」
「俺以外、見るな。」

同時に出た束縛の言葉に、二人、一緒に笑い出す。

俺たちにとって、当たり前のこと。
当然すぎる事実。

体を重ねることで、確認できる。

俺たちは、互いにとって、唯一無二の存在であること。
他の人間なんて、目に入らないということ。
絶対に、手放すことはできないということ。
共になければ、生きていけないということ。


俺は、この部屋に来るたびに思い出すだろう。
俺たちは、絶対に離れられない運命なんだということを。



***



翌日の朝。
目が覚めると、そこには、司さんと開。
二人がそっくりな顔つきで眠っている。

昨日は急に不安になった。
あたしがこのホテル経営に失敗したら、司さんと一緒にいられなくなるかも知れない・・何故か、そんな思いに駆られた。

だけど、司さんと抱き合うことで、その不安は消し飛んだ。

何を犠牲にしたとしても、大切なものは、ここにある。

どんなに時がたったとしても、
どんなに状況が変わったとしても、
永遠に変わらないもの。

それは、あたしの司さんへの愛。
彼の、あたしへの愛。
あたしたちの、家族への愛だ。


この部屋に来るたびに、あたしは思い出すだろう。
あたしにとって大切なものは、この愛以外にはないのだということを。
その愛がある限り、あたしたちが離れることはないのだということを。


だからきっと・・
あたしたちの未来は、愛に溢れている、
そう確信できる。

Fin.


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長くなった番外編にも、懲りずにお付き合いいただき嬉しかったです。
たくさんの応援、本当にありがとうございました!!
  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:16
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The Classic 20時00分。


またしても突然現れた道明寺財閥総帥。
つい30分前に来店が予告され、僕たちはてんやわんやだった。
現れた総帥の腕の中には、小さな子供。
司君とつくしちゃんの長男、開君だ。

「臼井、久しぶり。」
さっとカウンター席に座り、開君を膝にのせる総帥。
周囲にはSP。
開君はどうやら半分夢の中のようだ。

「総帥、今日はまた・・」
「オープニングパーティーに行ってきたんだよ。開とね。」
「そうでしたか・・。」
「司がさ、初めて私に頼み事をするからさ。ははっ。」
「嬉しそうですね。総帥。」
「まぁね。」

「どんな頼み事だったんです?司君から。」
「聞きたい?」
総帥はかなり機嫌がいいのか、茶目っ気たっぷりだ。

「ええ。」
「そのままだよ。オープニングのパーティー来てほしいってね。」
「へぇ・・。」
「どうしてだと思う?」
「さぁ、どうしてでしょう。」
「つくしさんのためだよ。きっとね。」
「・・?」
「つくしさんは、まだ若い。楓というバックがあるからこそ、支配人として一応は認められているけどね。それだけでは、まだ足りないと考えたんだな、司は。」
「なるほど。」
「この道明寺財閥の総帥である私のお墨付きであるということを、スタッフを含め、全員に見せつけたかった訳だよ。」

確かに・・。
若いつくしちゃんがいかにスタッフを纏めていくかが、今後のホテル経営を左右するのは間違いない。そのつくしちゃんのため・・か。
司君らしいと言えばそうだが、今まで、総帥たちを頼ることなく、常に自分自身の努力で這い上がってきた男が、つくしちゃんのためなら、総帥に頭を下げることも厭わないとは、驚きでもあった。

「そうでしたか。大役、お疲れさまでした。」
そう言って、僕は、総帥の前にマッカランを置いた。
司君は知らないだろうが、若かりし頃の総帥のお気に入りもマッカランの30年モノだった。

「懐かしいな。」
「偶にはいいのでは?」
「そうだな。」

カラン・・という氷の音。

「なんだ、年寄扱いか?」
「開君を抱いているのでしょう?酔われては困ります。」
「そうか・・くくっ・・」
突然笑い出した、総帥に僕は驚いた。

「なぁ、覚えてるか?司が生まれた時のこと。」
「ああ!ニューヨークメープルのオープニングの直後でしたね。」
「そう。椿を出産してから、ホテル事業の立ち上げを任されたんだよ、楓は。それで、着工したころに、司の妊娠が分かった。大変だったな。」
「そうでしたね。」
「出産後もすぐに仕事に戻らざるを得なかった。仕方がなかったんだ。当時は。」

それは事実だと思う。
その後、先代がお亡くなりになり、お二人にかかった重圧は計り知れない。

「司はさ。私たちを恨んでいるんだろうね。」
「・・・。」

恨んでいるかどうかは分からないが、司君が以前は愛情に飢えていたことは確かだ。
そして、いつしか愛情を望むことも無くなった。
帰国した司君が、つくしちゃんに再会したことはやはり奇跡だと思う。

かつての司君が、両親に興味もなかったことは否めない。
だけど、今の司君はきっと・・・。

「私はね。つくしさんに感謝しているんだよ。だから、司に頼まれなくたって、このオープニングに出席するつもりだった。道明寺家の一員として応援するつもりだったんだよ。だけど、ま、司に借りを作っておくというのもいいだろう?」

ぷっ。
恐らく、総帥に出席を頼む時点で、司君のわだかまりなんて無くなっていると思う。
司君も親となって、初めて理解できたものもあるのだろう。

「司がさ、開を連れて来いって言ったんだよ。」
「開君を・・。」
「私は、幼いころの椿や司を抱いたことなんて無かった。」

「後悔をされているのですか?」
「いや。」

僕の失礼な質問を、総帥は穏やかな表情で否定した。
そして、健やかに眠る開君を見つめている。

「あの時は、そうするしかなかった。だけど、その結果、私はこうして孫を抱き、息子の嫁を応援できる立場にいる訳だ。後悔なんてあるはずがない。」
「そうですね。」

この男は、後悔なんてする人間じゃない。
だけど、子供のぬくもりを知った司君は、総帥にもその温かさを知って欲しかったのかも知れないな。
何をするにも、遅すぎるということはないのだから。


しばらくまったりとグラスを傾けていたところで、カツカツカツと革靴の音。
はっと入口を見ると、司君が入って来たところだった。
驚いたな。
司君まで現れるなんて。

司君はそのまま無言で、すっと総帥の隣に腰を下ろした。

そして・・

「親父、ありがとう。」

司君から総帥への感謝の言葉。
僕は、一瞬心臓が止まるかと思う程に驚いた。
このThe Classicで、多くの人間を見てきた、この僕が。

その感謝はいったい何に対するものなんだ。
今日、このセレモニーに出席し、つくしちゃんをバックアップしたことか。
それとも、開君を来賓の前で堂々と披露したことか。

それとも・・

「俺、今は、道明寺に生まれたことに感謝してっから。」

ぶっきらぼうなその言い草。
総帥も苦笑いだ。

つくしちゃんを守ってあげることが、司君の生き甲斐なんだろう。
今の司君は、つくしちゃんと開君のために働いているようなものなんだ。
つくしちゃんを守ってあげられるからこそ、道明寺財閥に感謝する気にもなったってことか。
本当に、司君らしいな。

「それは良かった。」

そう答えた総帥から、司君が開君を引き受けた。
そして、愛おしそうに我が子の頭を撫でている。

「開には、開の人生がある。」
「そうだな。」
「けど、俺とつくしの姿を見て育つこいつは、きっと道明寺を選ぶと思う。」

凄い自信だな、司君。
自分たちが、それだけ魅力のある財閥作りを目指すという意思表示だ。
だけど、分かっているのかな。
かつての総帥もまた、同じように考えていたんだ。
自分の背中をみて育つ司くんが、必ず道明寺を選ぶだろう・・とね。

「大きく出たな。まぁ、頑張りなさい。」
「ああ。」

司君が、開君の頭を撫でると、開くんが目を覚ましたようだ。
目を閉じていた開君は、司君そっくりだったが、目を開いた姿は、つくしちゃんを思わせる柔和な印象がある。
まさに、二人の愛の結晶だ。

「ぱぱ・・。」
「起きちまったか。」
「じじ・・。」

僕は今、非常に稀有なものを見ている。
目の前には、道明寺財閥直系が3代にわたって並んでいる。
そのそれぞれが、類まれなるオーラを放っている。
かつて先輩SPが命を賭してまで守ったもの。
それが、ここにあることが嬉しく、微笑ましく思える。

こんな光景を眺められるから・・僕はここを辞められないんだ。


「僕は、まだまだここを辞められそうにありません。」

「「辞めるなよ。」」

総帥と司君が、二人同時にそう口にして、僕を睨んだ。
光栄だ。

それから、司君は、開君を抱いて出て行った。
その後ろ姿には、圧倒的な自信に満ちていた。



「臼井、初めて司に感謝されちゃったよ。」
「驚きました。」
「今日は、飲むかな。」
「お付き合い致します。」

ニヤリと笑った総帥。

カチン・・・
僕は初めて、総帥とグラスを合わせた。


僕のマスター生活は、まだまだ終わりそうにない。
けれど、僕は、それもいいと思っている。



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