花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

1月も半ばを過ぎると、妊娠10か月に入った。
あたしの出産予定日は2月の中旬。
だけど、もう、いつ生まれてきてもおかしくない。
司さんはあたしの予定日に合わせて休みを取るとか言ってるんだけど、そんなにぴったり生まれる訳ないし、西田さんに迷惑かけないでって伝えてある。

赤ちゃんが増えたら、賑やかになるな。
だけど、二人だけの生活はもうすぐ最後。
今年の司さんの誕生日が、二人でお祝いできる最後になる。

去年の司さんの誕生日は、彼がニューヨークへ来てくれた。
その前は、The Classicでマフィンを渡したっけ。

あれから、2年。
自分が、母親になるだなんて、あの時は想像もしていなかった。
だってねぇ。恋人すらいたことがなかったんだから。

それが、どうして・・。
初めて付き合った人は、仕事の上では上司で、
自分とは、違う世界に住む人だった。
今思えば無謀な恋愛だったと思う。
だけど、それを知っても、あたしは別れようとは思わなかった。
それはきっと、司さんが、あたしに対していつも自然だったから。
住む世界の違いを感じさせなかった。
自分の価値観を、あたしに無理やり押し付けたりはしなかった。
彼だって、不満が無かった訳じゃないと思うけど、
でも、あたしの価値観を最大限に大切にしてくれる人だったからだ。

今思えば、あたしたちに共通しているものって、『お互いに好きだ』という気持ちだけだったような気がする・・。

そうして、あたしは今、司さんの隣にいる。
司さんに守られている。
以前のあたしなら、守ってもらわなくても生きていけると思ってた。
だけど、今は違う。
司さんがいなくちゃ、生きていけない。
それは、あたしが弱くなってしまったということではなくて、
それだけ、あたしにとって司さんが大切な人だということ。

いつの間に、こんなに好きになっていたのかなぁ・・

そして、お腹の中の赤ちゃんは、いったいどんな幸せを運んできてくれるんだろう。
司さんの血を分けた子供が生まれてくるなんて。
その子をあたしが産めるなんて。
こんな幸せってないよね。

司さんの帰りを待ちながら、一人にやにやとしながら、刺繍タイム。
最近は、赤ちゃんのスタイを作って、刺繍をするのが、マイブーム。
これが結構楽しい。

赤ちゃんが生まれてくるまでの間、あたしはドキドキとワクワクで胸がいっぱいだった。



*****



1月31日_____愛する夫の誕生日。


あたしは、朝からケーキを準備して、司さんの帰りを待っていた。
今日は平日だったから、丸々一日休むことはできなかったけど、午後は早めに帰ってくると約束してくれた。
だってこれが、夫婦二人だけで過ごす、最後の誕生日なんだもんね。

15時のテータイムに向けて焼き上げたバースデーケーキ。
だいたい司さんは甘いものが苦手なんだけど、あたしが作ったものは、なんだかんだ言いつつも食べてくれる。
今日は迷ったけど、シナモンのシフォンケーキにした。
クリームは甘さ控えめ。
あとは、フルーツ添えて。
完成。

あとは、司さんを待つのみ。
ふふふ、楽しみだねぇ、ポコちゃん。
あたしは、ゆっくりとお腹をさすってみた。

司さんが帰宅するまでは、ソファで、刺繍の続き。
その時から、あたしはなんとなくお腹が張るような気がしていた。
だけど、今日は、ケーキ作りで動きすぎたからかなと思っていたんだ。

しばらくして、また・・。
ん・・・なんか・・やっぱりおかしいのかな?


そこへ、司さんが帰ってきた。

「わり、遅くなった。」
「お帰りなさい。お疲れ様。」

慌てて立ち上がると、やっぱり、ぎゅっとした痛み。

「どうした?」
「ん・・ううん・・なんでもない。」

怪訝そうな司さんの顔を一蹴するように、あたしは司さんのスーツの上着を受け取った。



「お誕生日、おめでとう。」
二人でソファに並び、あたしが司さんに差し出したのは、お手製のラッピングを施した小さな紙袋。

「開けていいのか?」
「うん。えへへ・・・」

司さんが慎重に取り出したのは、深いブルーのシルクのハンカチ。
じーっ、ハンカチを見つめて、裏返して、あっと気が付いたみたい。

「お揃いなの。赤ちゃんと、あたしのハンカチと。」

赤ちゃんに準備しているスタイやハンカチには、四葉のクローバーの刺繍をした。
司さんも、何度も見たはず。
そして、司さんとお揃いのあたしの桃色のハンカチにも、お揃いの刺繍をしてある。
もちろん司さんのこの青いハンカチにも・・。

パンダ柄のハンカチは、今でも大切にしまっている。
だけど、あれはなかなか使えないから。
また、お揃いのハンカチを用意したくなった。
四葉のクローバーは幸せのシンボルだものね。

司さんが、ハンカチを見つめたまま動かない。

「司さん??」

彼の目の前で、手の平を振ってみる。

フリフリフリフリフリ・・・・ガシッ!!!

急に手首を掴まれた。

「すげぇ、嬉しい。」

そう言われたとたんに、司さんからのキス。
それから、蕩けるような笑顔。


びっ、びっくりしたー。
こんなに喜んでくれるなんて。
でも、あたしも嬉しい。

ハンカチでこんなに喜んでくれるなら、赤ちゃんが生まれたらどうなっちゃうんだろう、司さん・・。
無事に赤ちゃんが生まれますように・・そう願いつつ・・

「ケーキ、用意してるの。一緒に食べよう。」

そう言って立ち上がり、キッチンに向かった。


数歩歩いたところで、
パシャッと何かがはじける感覚。

えっ・・。

それから、足に、つーっと何かが流れる感触。

うそ・・これ・・なに・・?


後ろから聞こえる司さんの声。
あたしは、びっくりしすぎて、返事ができなかった。

「つくし、どうした?・・・つくし?」

司さんが駆け寄ってくる足音。
司さんに顔を覗き込まれた。

ガシッと司さんの腕を掴んで、それから、深呼吸。

落ち着いて、あたし。


「破水・・したみたい・・」


そう呟いたあたしを見て、

「つくし、動くな。」

司さんがすぐに走り出した。



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