花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

・・・ガヤガヤガヤ・・・・


正面玄関に車が待機しているとの連絡を受け、メープル東京の中央エレベーターを降りて、正面ロビーへ向かったあたし。
あたしは、今、お義母様の指揮の元、『メープル東京 Private Resort』の立ち上げに携わっている。
経営母体である道明寺HDが先導する、都会型リゾートの建設。
だから、あたしは、このところ、メープルと道明寺HD日本支社を行ったり来たりしているんだけど・・・

ん・・?
ロビーがいつもより騒がしい。

んん・・?やだっ、あれって・・!

「司さんっ!・・はるきっ!?」


正面玄関ロビーでは、今朝あたしが選んだスーツを完璧に着こなした司さんが、1歳になった開を抱っこして笑ってる。
開は、司さんのネクタイを引っ張ったり、ぐるぐるしたりしてるみたい・・。

って、いったい何してるのよー!こんなところでっ。
すっごく目立ってるし!
司さんだけでも目立つっていうのに、開まで・・
しかも、開は司さんにそっくりだし。
道明寺司が子供を抱いているっていうだけで、かなりレアな場面のはず。
それなのに、こんなに目立つところに堂々と立ってるなんて!
周囲の、特に女性たちが、きゃあ、きゃあ言ってるじゃないのっ!

慌てて二人に近づくと、あたしに気が付いた開が、小さな手を懸命に振った。

「まっ・・まっ・・!」
と言いながら興奮する開を、司さんが面白そうに見つめてる。

「どうしたの?二人とも??」

慌てて駆け寄ったあたしに、司さんが飄々と言った。

「今から、メープルで会食。だから、ついでに、開、連れて来てやったぜ。お前、午後から、うちの会社で会議だろ?会社に食事用意してるから、食ってから行けよ。」
「わざわざ連れて来てくれたの?あたしが一度お邸に帰るつもりだったのに。もうっ。西田さんに迷惑かけてない?」
「んな訳あるか。」


司さんが、開をここに連れてきてくれたのは、あたしのためだ。
開が小さいうちから仕事に復帰したあたしを、いつもサポートしてくれている。
肉体的にも・・精神的にも・・。




今回建設予定の『メープル東京 Private Resort』は、東京の一等地に建設する高級リゾートで、投資額も莫大だ。
だから、絶対に、失敗は許されない。
何度も計画を練り直しながら、繰り返し行われる会議。
あと半年後を目途に、建設が開始される。
オープンは、1年半後の来年の7月の予定だ。

あたしは、開が4か月になると、自宅での仕事を再開した。
授乳も3-4時間間隔に落ち着いて、だんだんと育児に余裕が出てきた頃だった。
開が6か月に入ると、道明寺HDやメープル東京で各種打ち合わせ会議が連日のように行われるようになり、あたしも仕事で外に出ることが増えた。だって、このリゾートは総支配人であるお義母様からあたしが任されているのだから、その全てを把握しておく必要があった。

会議に出る時には、まだ6か月の開をお邸のベビーシッターさんに預けなければならなくて、あたしは胸が痛んだ。
分かってはいたこと。
けれど、まだ小さな開を家において仕事に出るのはやはり辛かった。
だけど、子育てをしながら、仕事を続けるということは、どこかで何かを犠牲にしなければならないんだと自分に言い聞かせていた。

せめて、開が、母乳を卒業できていたら・・そんな風に思うこともあった。
ミルクを飲まない開に、冷凍母乳を与えることもシッターさんは大変そうだった。
開は哺乳瓶を受け付けなかったから、スプーンで飲ませてくれたりして。
そんな姿を見ていると、自分が何をしているのか、分からなくなることもあった。
あたしにとって大切なもの・・それが何なのか?

だけど、仕事は待ってくれない。
Private Resortはあたしが任された、大切な仕事。
その仕事を、完璧にこなしたいと思う自分がいるのも確か。
その反面、開の成長を、できるだけ自分自身の目で見届けたいという思いもあった。

それに、かつて同じような状況下で、お義母様は仕事を取ったんだと思うと、余計に頑張らなきゃいけないという気持ちになった。我が子から完全に離れて、仕事に集中することを選んだお義母様に、認めてもらいたいという気持ちも強かった。

相反する二つの感情。
開の傍にいてあげたい・・
仕事も完璧にこなしたい・・

二つのものを同時に手に入れることはできないと頭では理解していても、割り切れない自分自身に、あたしは少しずつ追い詰められていたように思う。


そんなある日・・


仕事から帰り、泣いている開を見て、あたしも涙があふれた。
開が7か月に入った頃だった。
開は大切なあたしと司さんの子供。
リゾートの立ち上げも、お義母様から任された責任ある仕事。
どちらも大切で、どちらか一方を取るなんてできない。

頑張っているけど・・先が見えない不安。
開に寂しい思いをさせて、どこまで仕事ができるんだろう。
こんな状態で、仕事でミスでもしたら・・・。

開を抱っこしながら、スン・・スン・・とすすり泣いてしまった。

するとそこへ司さんが帰ってきた。
泣いているあたしを見て驚いて、開とあたしを抱きしめてくれた。
それから、あたしの話をじっくりと聞いて、言ったんだ。

「お前さ。なんでそーいうこと、もっと早く言わねぇの?」

だって、言える訳ないじゃないの。
仕事も育児も両方を完璧にこなすなんてできる訳がない。
だけど、仕事には絶対に失敗は許されない。
だったら、仕事を取るしかない。

「なんで、そう思う?」
「え?」
「開はまだ小さくて、傍にいてやりてぇんだろ?」
「うん。」
「じゃあ、そうしろよ。」
「だって!仕事は待ってくれないよっ。」

あたしは少し声を荒げてしまった。
そんなあたしを見て、何言ってんだと言うような司さん。

「連れて来ればいいじゃん、開。」
「え?」
「お前がそうしたいなら、連れて来いよ、会社に。会議の間はシッターが見てくれるだろ?そうすれば、会議の合間に、お前も開の様子を見れるだろ?移動中も開と一緒にいられるだろ?」

職場に開を連れていく?
そんなこと、してもいいの?

「俺を誰だと思ってんだ。なんなら、俺の執務室に連れて来いよ。西田に面倒見させるから。」
「それはダメ。秘書さん達に怒られる。」

涙も引っ込むようなことを平気で言う司さん。
だけど、司さんが適当なことなんて言うわけない。
本気で言ってるんだ。

「まあ、俺もずっと会社に詰めてるわけじゃねぇからな。けど、お前が会社の会議に出る時に、開の面倒をみるための部屋ぐらい、すぐに用意できる。当然、SPも配置する。あ、メープルのスイートはキープしてあるから、メープルに連れていくならスイート使えよ。」

あたしはポカーンと口を開けて、司さんを見つめた。

あたしにはできないと思っていたこと、だけど、そうしたいと思っていたことを、いとも簡単に口にする。
そして、それは冗談なんかで終わらなくて、現実にしてしまう。

これが、司さんの凄さ。
大切なものを一瞬にして見抜く力。
そして、それを得るための司さんの決断力と行動力。

さすがは・・司さんだ・・。

あたしは、頭の中の霧が晴れたような気がした。
司さんのこの言葉で、翌日から、早速あたしはシッターさんを連れて、職場に出向くようになった。
会議中は仕事に集中し、合間をみて、開のお世話もした。


開はやんちゃさんで、8か月には歩けるようになった。
さすがは司さんの遺伝子だと驚いたっけ。
それも、あたしが、次の会議との合間に、会社の一室で開と遊んでいる時だった。
突然、ピッという音がして、部屋に司さんが入ってきた。
それに気が付いた開が、つかまり立ちから、司さんに向かって歩き出した。
本当に、驚いたなぁ・・。
司さんもびっくりしてたっけ・・。
でも、初めて歩く我が子を、自分の目で見ることができた。
それが、とても嬉しかった。

あたしは、司さんのおかげで、子供の成長の一瞬、一瞬を大切に見届けながら、仕事に集中できるようになった。

全ては、理解のある司さんのおかげ。
あたしは本当に恵まれている・・そのことに、感謝する毎日。


それに、こんなあたしの働き方対して、ニューヨークのお義母様も、お義父様も文句は言わなかった。
大切な孫を連れまわすなんて・・とお叱りを受けるかと思ったのに、そんなことは一度もなかった。
だから、あたしはますます、仕事を頑張ろうと思えたんだ。




開の成長を見守りながら、Private Resort計画は着々と進行していった。
子供を安心して連れ歩ける都心のリゾート。
海外からのお客様も、安心してリラックスできる、万全のセキュリティー。
そして、当然大人も、ゆったりとくつろいで頂けますように。

プライベートを重視した、安心できる都市型リゾート空間。

あたしはこのホテルに、自分自身の夢や希望を多く詰め込んだ。
それに対して、建設費や人件費等、様々な計算がなされ、最終的に、お義母様からGoサインが出たのは、開が1歳半になった頃だった。


予定通り着工し、いよいよ1年後にはオープンを迎える。
開と、司さんと、両親たちと・・・家族みんなと一緒に泊まりたい。
そんなホテルが出来上がるはずだ。



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