花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

The Classic 20時00分。


またしても突然現れた道明寺財閥総帥。
つい30分前に来店が予告され、僕たちはてんやわんやだった。
現れた総帥の腕の中には、小さな子供。
司君とつくしちゃんの長男、開君だ。

「臼井、久しぶり。」
さっとカウンター席に座り、開君を膝にのせる総帥。
周囲にはSP。
開君はどうやら半分夢の中のようだ。

「総帥、今日はまた・・」
「オープニングパーティーに行ってきたんだよ。開とね。」
「そうでしたか・・。」
「司がさ、初めて私に頼み事をするからさ。ははっ。」
「嬉しそうですね。総帥。」
「まぁね。」

「どんな頼み事だったんです?司君から。」
「聞きたい?」
総帥はかなり機嫌がいいのか、茶目っ気たっぷりだ。

「ええ。」
「そのままだよ。オープニングのパーティー来てほしいってね。」
「へぇ・・。」
「どうしてだと思う?」
「さぁ、どうしてでしょう。」
「つくしさんのためだよ。きっとね。」
「・・?」
「つくしさんは、まだ若い。楓というバックがあるからこそ、支配人として一応は認められているけどね。それだけでは、まだ足りないと考えたんだな、司は。」
「なるほど。」
「この道明寺財閥の総帥である私のお墨付きであるということを、スタッフを含め、全員に見せつけたかった訳だよ。」

確かに・・。
若いつくしちゃんがいかにスタッフを纏めていくかが、今後のホテル経営を左右するのは間違いない。そのつくしちゃんのため・・か。
司君らしいと言えばそうだが、今まで、総帥たちを頼ることなく、常に自分自身の努力で這い上がってきた男が、つくしちゃんのためなら、総帥に頭を下げることも厭わないとは、驚きでもあった。

「そうでしたか。大役、お疲れさまでした。」
そう言って、僕は、総帥の前にマッカランを置いた。
司君は知らないだろうが、若かりし頃の総帥のお気に入りもマッカランの30年モノだった。

「懐かしいな。」
「偶にはいいのでは?」
「そうだな。」

カラン・・という氷の音。

「なんだ、年寄扱いか?」
「開君を抱いているのでしょう?酔われては困ります。」
「そうか・・くくっ・・」
突然笑い出した、総帥に僕は驚いた。

「なぁ、覚えてるか?司が生まれた時のこと。」
「ああ!ニューヨークメープルのオープニングの直後でしたね。」
「そう。椿を出産してから、ホテル事業の立ち上げを任されたんだよ、楓は。それで、着工したころに、司の妊娠が分かった。大変だったな。」
「そうでしたね。」
「出産後もすぐに仕事に戻らざるを得なかった。仕方がなかったんだ。当時は。」

それは事実だと思う。
その後、先代がお亡くなりになり、お二人にかかった重圧は計り知れない。

「司はさ。私たちを恨んでいるんだろうね。」
「・・・。」

恨んでいるかどうかは分からないが、司君が以前は愛情に飢えていたことは確かだ。
そして、いつしか愛情を望むことも無くなった。
帰国した司君が、つくしちゃんに再会したことはやはり奇跡だと思う。

かつての司君が、両親に興味もなかったことは否めない。
だけど、今の司君はきっと・・・。

「私はね。つくしさんに感謝しているんだよ。だから、司に頼まれなくたって、このオープニングに出席するつもりだった。道明寺家の一員として応援するつもりだったんだよ。だけど、ま、司に借りを作っておくというのもいいだろう?」

ぷっ。
恐らく、総帥に出席を頼む時点で、司君のわだかまりなんて無くなっていると思う。
司君も親となって、初めて理解できたものもあるのだろう。

「司がさ、開を連れて来いって言ったんだよ。」
「開君を・・。」
「私は、幼いころの椿や司を抱いたことなんて無かった。」

「後悔をされているのですか?」
「いや。」

僕の失礼な質問を、総帥は穏やかな表情で否定した。
そして、健やかに眠る開君を見つめている。

「あの時は、そうするしかなかった。だけど、その結果、私はこうして孫を抱き、息子の嫁を応援できる立場にいる訳だ。後悔なんてあるはずがない。」
「そうですね。」

この男は、後悔なんてする人間じゃない。
だけど、子供のぬくもりを知った司君は、総帥にもその温かさを知って欲しかったのかも知れないな。
何をするにも、遅すぎるということはないのだから。


しばらくまったりとグラスを傾けていたところで、カツカツカツと革靴の音。
はっと入口を見ると、司君が入って来たところだった。
驚いたな。
司君まで現れるなんて。

司君はそのまま無言で、すっと総帥の隣に腰を下ろした。

そして・・

「親父、ありがとう。」

司君から総帥への感謝の言葉。
僕は、一瞬心臓が止まるかと思う程に驚いた。
このThe Classicで、多くの人間を見てきた、この僕が。

その感謝はいったい何に対するものなんだ。
今日、このセレモニーに出席し、つくしちゃんをバックアップしたことか。
それとも、開君を来賓の前で堂々と披露したことか。

それとも・・

「俺、今は、道明寺に生まれたことに感謝してっから。」

ぶっきらぼうなその言い草。
総帥も苦笑いだ。

つくしちゃんを守ってあげることが、司君の生き甲斐なんだろう。
今の司君は、つくしちゃんと開君のために働いているようなものなんだ。
つくしちゃんを守ってあげられるからこそ、道明寺財閥に感謝する気にもなったってことか。
本当に、司君らしいな。

「それは良かった。」

そう答えた総帥から、司君が開君を引き受けた。
そして、愛おしそうに我が子の頭を撫でている。

「開には、開の人生がある。」
「そうだな。」
「けど、俺とつくしの姿を見て育つこいつは、きっと道明寺を選ぶと思う。」

凄い自信だな、司君。
自分たちが、それだけ魅力のある財閥作りを目指すという意思表示だ。
だけど、分かっているのかな。
かつての総帥もまた、同じように考えていたんだ。
自分の背中をみて育つ司くんが、必ず道明寺を選ぶだろう・・とね。

「大きく出たな。まぁ、頑張りなさい。」
「ああ。」

司君が、開君の頭を撫でると、開くんが目を覚ましたようだ。
目を閉じていた開君は、司君そっくりだったが、目を開いた姿は、つくしちゃんを思わせる柔和な印象がある。
まさに、二人の愛の結晶だ。

「ぱぱ・・。」
「起きちまったか。」
「じじ・・。」

僕は今、非常に稀有なものを見ている。
目の前には、道明寺財閥直系が3代にわたって並んでいる。
そのそれぞれが、類まれなるオーラを放っている。
かつて先輩SPが命を賭してまで守ったもの。
それが、ここにあることが嬉しく、微笑ましく思える。

こんな光景を眺められるから・・僕はここを辞められないんだ。


「僕は、まだまだここを辞められそうにありません。」

「「辞めるなよ。」」

総帥と司君が、二人同時にそう口にして、僕を睨んだ。
光栄だ。

それから、司君は、開君を抱いて出て行った。
その後ろ姿には、圧倒的な自信に満ちていた。



「臼井、初めて司に感謝されちゃったよ。」
「驚きました。」
「今日は、飲むかな。」
「お付き合い致します。」

ニヤリと笑った総帥。

カチン・・・
僕は初めて、総帥とグラスを合わせた。


僕のマスター生活は、まだまだ終わりそうにない。
けれど、僕は、それもいいと思っている。



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