花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「お袋っ!」「楓社長!」
同時に叫んだ私たち。

「「えぇっ!!」」
同時にお互いの顔を見合わせた。



「「・・・・え・・?」」



***



「入籍の会見は、来週末ニューヨーク。当然、つくしさんも同席してね。」
「は・・い。」

まさか、楓社長が、司のお母さんだったなんて・・

「おいちょっと待て。勝手に決めんな。」
「何か問題があるの?昨日、婚姻届を提出したのではなくて?」
「そのことじゃねーよ。いきなりそんなこと言ったら、こいつがビビっちまう。それに仕事にも影響が出るだろ。こいつのペースに合わせてやりてぇんだよ。ひとまずは、FAXで事実のみ公表する。それで十分じゃねーのか。」

「10月の挙式は?」
「それは、俺は構わねぇが。」
「あの・・留美子所長もこのことを知っているんですよね。」
「もちろんよ。私の親友なの。司があなたを追いかけ回してると知って、連絡したのよ。初めは留美子も驚いていたわ。ふふ。で、無事に付き合い始めて二人で喜んでいた訳よ。」

そうだったんだーっ。
うぎゃ。恥ずかしすぎるっ。
私、義理の母になる人に、仕事の相談とか、彼のことが好きだとか言ってたんだ・・。うわーっ。ないよ、ないっ!

「つくしさん、おっしゃってたわよね。司の役に立ちたいって、ついて行きたいって。」
「はい。」
「来週の総会で、司の社長就任が決まるか、ペンディングになるかはわからないけれど、将来を見据えるのであれば、結婚後はニューヨークで勉強するのは悪いことではないと思うけれど。どう?」

「それは・・その・・もしかすると、私だけがニューヨークへ留学するという結果もあり得る・・訳ですね。」
「却下。」

その選択肢は、即座に司が反対。

当たり前だよね。
さっき、どこにも行くなって言われたのに。
私だって、この人を置いて、どこにも行ける訳ない。
でも、楓社長の言うこともわからない訳じゃない。
長い目で考えるのなら・・
ああっ!もうっ、どうしたらいいのっ!


迷いに迷って、プチパニックに陥った私の口から、
その後に出た言葉は・・・



「司、お願い!社長になって!!
来年は、一緒にニューヨークへ行こう。そうしよう!!」






***


俺は今までにこんなにも、地位に拘ったことがあっただろうか?
つくしからのお願いに、俺はすぐにニューヨークへ飛んだ。
入籍の事実はFAXで公表し、アメリカ在住の役員達への挨拶に回った。
そんなことしなくても、正直いつかは転がり込んでくる役職だと思っていた。
仕事では十分な実績を積んでいる。
ただ一つ、文句をつけられる点があるとすれば、「家庭を持っていない」ということだった。

それももはや、解決はしていたが、ここでもし、信任案が否決されれば、つくしと別居の可能性があるともなれば、胡座をかいているわけにはいかなかった。



そうして俺は____道明寺ホールディンス社長就任が決まった。










「行ってらっしゃい。」

俺の愛する奥さんが背伸びをしようとするのを止めて、俺が腰を少し落とす。
つくしが笑いながら、俺の左頰にキスをした。
柔らかくつくしを包み、抱き締める。
あー、離れたくねぇよ。

「ほら、そろそろ行かなきゃ、西田さんに怒られちゃうよ?」
「行きたくねぇ。」
「だめでしょ、道明寺社長。」
「ちっ。なんで俺だけ忙しくなってんだ。」
「あはは・・ごめん・・ね?」


ジトッとつくしを見下ろせば、大きな腹が目に留まる。
つくしが楽しそうに、その腹をさすった。

「だって、もうすぐ、生まれるんだよ。頑張って下さい、パパ。」

そう言って、つくしが俺に微笑んだ。

___パパ。


なんて事言うんだよっ。
ばかっ。
幸せすぎるだろーがっ!




俺たちは、10月初めにニューヨークで挙式した。
披露宴は1000人を超える招待客でごった返し、二人ともヘトヘトになった。
その直後に分かった、つくしの妊娠。
当然といえば当然だ。
俺たちは、入籍してから避妊なんてしていなかったんだから。

結局、つくしのロースクール入学は延期になった。
年が明けて、この4月から、俺は道明寺ホールディングスの社長に就任する。
そして今は、ニューヨークの道明寺邸で暮らしている。
つくしの出産は6月。
もうじき、二人の子供が生まれる。

去年までは考えた事もなかった新しい未来が開かれようとしている。




玄関まで、つくしと一緒にゆっくりと歩いていく。
仕事に行きたくなんかねぇけど、行かなきゃ妻に怒られる。
俺は良いように使われてる状態だが、嫌じゃねぇ。
帰宅すればつくしと腹の中の子供が待っている。
彼女たちのためなら、なんでも出来る。
彼女はどこまでも俺のパワーになる。


だが・・・

「あら、司さん、今日は社長就任会見でしょう?そんなにゆっくりしていて間に合いますか?」

ピキッ・・・
ババァ・・・

「あ、お義母様。おはようございます。大丈夫ですよ。ね、司。」


別に、恨んでる訳じゃねぇが、俺たちの結婚にあれこれと口を出してきたババァは、今も要注意人物だ。
結婚式・披露宴も結局はババァの思う通りに仕組まれた。
つくしは、女の割に、あまりそういう事に拘りを見せないから、「助かったね。」なんて言っていたが、俺は気に入らなかった。

つくしは、できた奥さんだ。
ババァが出てくると不機嫌になる俺をなだめて、ババァとの関係を取り持ってくれる。
ババァに良いように使われてんだぞ?
そんなに愛想よくする必要ねぇっつーの。


「良かったわ。おかげで、私はメープルに専念できるし。総帥も、あなたたちがニューヨークにいるものだから、心強いみたいね。ありがとう。」


・・・。
・・・?ありがとう?

マジかよ。
初めて、お袋に礼を言われたかも知れねぇ・・。


「行ってらっしゃいませ。お義母様。」

つくしがババァに手を振り、ババァには玄関扉から消えて行った。


「どうしたの?司。」
「いや、お袋に初めて礼を言われたなと思ってな。」
「ええ?別に珍しくないよ。いつも言われてるもん。」
「はぁ?」
「いつも言われてるよ。ありがとうって。司のことよろしくねとか。仕事は無理しなくて良いわよとか。」


全く、呆れるぜ。
あれほど、つくしの留学に乗り気だったババァは、妊娠が分かった途端に、「産後落ち着いてからにしなさい」とか言い出した。真面目なつくしは、デカイ腹でロースクールに通おうとしていたが、さすがに俺もそれは止めた。

「でも、入学は延期して良かったかも。お腹もこんなに大きくなると思っていなかったし、まずは、元気な赤ちゃんを産んで、赤ちゃんとの生活に慣れなきゃだよね。」

そんな風に言いながら、つくしがふんわりと笑った。
母親になろうとする女だからなのだろうか?
つくしは、暖かい、包み込むような優しい雰囲気に溢れている。
俺がずっとそばにいたくなる、そんな空気が漂っている。



つくしと出会って、まだ1年も経っていない。
けれど、俺たちは、運命的に出会って、夫婦になった。

あの見合いの日。
どうして、つくしから目が離せなかったのか。
こいつが見合い相手だったら良いのにと本気で思ったのは何故なのか?

その理由。
俺が一目惚れした理由。
それが、この雰囲気なんだ。
今まで感じたことがない、癒される雰囲気。
一緒にいるだけで、満たされる・・・。
何事にも動じないビジネスマインドを鍛えられた俺に、特別なSwitchを押した。

荒れた俺の気持ちを浄化させてくれる女。
彼女と一緒にいると、気持ちが和らぐ。
そして、俺の心の奥底に沈んでいた、様々な感情を引き出した。


そっと、妻に囁く。
「今夜、約束な。」
「ええーっ!!もう、無理だから。」
「無理はさせないから。」


人を愛する心。
何かを欲する情熱。
大切なものを守りたいと思う気持ち。


そして、何よりも・・
___愛されたいと願う心。

俺は、どこかで諦めていたんだと思う。
愛されるということを。



「困ったパパですね〜。」
「こらっ、ちゃんと返事しろ。」


つくしが笑いながら俺の首を引き寄せた。

「待ってるね。」

その一言だけで、満たされれる。
彼女の愛が伝わってくる。
俺の愛も伝わっていると信じられる。


「行ってきます。」


俺は、もう一度つくしを抱きしめて、リムジンへ乗り込んだ。



今日の天気は快晴。
同時に運命のSwitchを押した俺たちは、同じ未来へと向かって走り出している。


Fin.



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  1. Switch
  2. / comment:13
  3. [ edit ]

「ふぅ・・・声、カラカラだよ・・。」
「お前が悪いんだぞ。」

バスタブの中、後ろから私を抱きしめ、軽く肩を甘噛みしてくるのは、私の旦那様。
昨晩は急に不機嫌Switchが入って、正直ちょっと怖かった。
けれど、イジワルするくせに、結局は優しい旦那様は、こうして朝から私をお風呂に運んでくれた。


「・・・かなり誤解してる。私、本当に社長就任のためだなんて思っていたら、逆プロポーズなんてしてないよ。でも、ほら・・確認しておきたかったのよ。その・・社長に就任する条件?それが、本当に私でいいのかどうか・・。だって、逃げるつもりはなくても、覚悟がいるでしょ?」

そう言って振り返ると、濡れてストレートヘアになった旦那様が真剣に私の話を聞いていた。

「お前、それ誰に聞いたの?」
「留美子所長の大学時代の同級生を紹介してもらったの。同じ法学部出身で、今はアメリカでビジネスをされている方。」
「そんな話聞いてねぇぞ。」
「昨日言おうと思ったんだけどな。」
「ふーん。」
「社長就任は別にしても、司はいづれ海外に行くでしょ?もし、結婚したら、私は海外で仕事を続けていけるかとか色々と調べてたの。」
「そんなの、俺に相談しろよ。」
「プロポーズ保留してるのに、何先走って考えてんだよってなるでしょ?」
「ならねぇよ。」
「そう?」

彼の顎が肩に乗っている。
くすぐったい・・。

「で?どうするって?」
「うん。司がもし、ニューヨークに行くなら、ニューヨークのロースクールに留学したらどうかって。」
「はぁーっ!??何、先走ってんだよっ!!」
「だから、言ったじゃん。そう言うと思った。」

「必ずしも、司がニューヨークに行くと決まってもないのに、私だけ留学っていうのもおかしな話なんだけど。」
「あたりめぇだ。」
「でも、社長就任が決まれば、半年後にはニューヨークの筈よって。」
「だから、何でそんなこと、そいつが知ってんだ。」
「分からないわよっ!でも、そう言われたのっ!もう、のぼせちゃうから上がるよ?」


そう言って立ち上がろうとしたら、また後ろから引き戻された。

「なぁ。俺を置いて、どっか行くとか言うなよ。お前が仕事をすることに反対なんてしねぇけど、別居は無しだ。」

左の耳介をペロリと舐められた。
んんっ、もうっ。
昨日から、ちょっとしたことで反応しちゃう、自分が変っ!

「もうっ!分かったから、離しなさいっ!」
「感じてるくせに、往生際悪りぃな。」

もうっ、もうっ、もうっ!!

ジロリと睨んでやっても、全然効果なんてない。
フェロモンダダ漏れのこの男。
初めが肝心なんて言うけれど、入籍した途端にこんなことになるなんて予想外だよ。
黒豹に懐かれた感じ・・?
だけどそれは、不思議ととても幸せな感覚。

ふぅ。
帰ったら、ナイティで待ってろとか?本気なの?
だけど、さっきチラリと見えたクローゼットの中は、びっくりするぐらいにセクシーなナイティだらけだった。
これ、一体誰が選んだのよね?
でも、なんだかんだ言って、私も、全く嫌じゃないなんて・・。


まだ夫婦になって1日目なのに、私も、もうこの夫婦生活を止めることはできないんじゃないかな・・と思う。

私は彼に落ちてしまった。
優しい彼も、ちょっと怖い彼も、ラブラブ光線丸出しの彼も、全部好きだと思う。

はぁ・・私の人生はだいぶ違った方向にSwitchが入っちゃったみたいだ。





お風呂から上がり、クローゼットに用意されていた洋服の中から、落ち着いた花柄のスカートとシフォンのブラウスを選んで着替えた。
うわっ、生地とデザインがいいのかな。
自分が奥様っぽく見えるっ。

なんとなく照れながら、リビングに入ると、司が細身のパンツと襟付きのカットソー姿で待っていた。
とってもラフな格好なのに、コロニアル調のこの部屋に、花が添えられているみたいに美しい男。

もう・・・何でよ・・。
どうして、こんなにドキドキするのよっ。
この人、こんなに背が高かったっけ?
やだ、なんでこんなに足が長いの?

いつものビジネススーツ姿もビシッとしてて好きなんだけど、こういうラフな姿も素敵・・
って、何よ!自分の旦那様じゃないのっ!

あぁ、もう、私は昨日からとってもオカシイ。
自分の夫にドキドキが止まらないなんて。

あーもう、つくしっ。しっかりしろっ!



「じゃ、奥さん、食事に行こうぜ。」

司が私に手を伸ばす。
その腕にぎゅっとしがみつきながら、私はなんだか笑いが止まらなくなった。

だって、絵に書いたような幸せが、そこにあったから・・・。
そこにいるのは、私にゾッコンな旦那様で、私もこの人にゾッコンだから。
ふふふ・・・。


「何笑ってんだ。おい、ちゃんと歩けるか?」
「ぷぷ・・大丈夫。」
「やっぱり、部屋で食事にすれば良かったな。」
「いっ、嫌だよっ。食事に出てこれないぐらいに疲れてるのかと思われちゃうっ。」
「何だよ、まだ余裕ありそうだな。」
「・・っ!」

ブンブンと首を横に振ると、旦那様が面白そうにこちらを見てる。

「まぁ、西田も来てるだろうから、今後のこと、一応話し合っとくか。」
「今後?」
「結婚式とかあるだろ?」
「・・ゆっくり考えようよ。」

そう言ったら、彼がちょっと呆れたような顔をして、それからニヤリと不敵に微笑んだ。
「お前に任せてたら、結婚式もスルーしそうだな。ま、俺が、世界一綺麗な花嫁にしてやるから、心配すんな。」

心配はしてないけど・・ちょっと怖いよ・・とは言えなかった。





***


ダイニングルーム前。
急に、ピタリと司の足が止まった。

何?どうしたの??

見上げた司の顔に、僅かな緊張が見えた。
ダイニングの扉前にいる、メイドさんを左手を振って下がらせる。

なっ、何事??


少しだけ開いた扉に近づくと、中から話し声が聞こえてきた。


「・・・。」
「それは却下。入籍会見は、来週ニューヨーク。これは譲れないわ。」
「しかし、つくし様のご都合も考慮頂かねばなりません。」
「それは、大丈夫よ。留美子に言っておくから。」

ん?

「後は、つくしさんの今後の仕事の件だけど。」
「そちらも、人事が決まらなければ何とも。」
「この際、司のことはいいわよ。来年の入学に合わせるなら、すぐに準備を始めないとだめね。入籍が済んでいるなら、ビザの申請を。司の妻なら、永住権の申請が通る筈よ。時間が掛かるようなら、どんどん圧力かけなさい。」

んん?

「司様が、つくし様だけをニューヨークへ行かせるとは思えませんが・・。」
「それなら、社長に就任してもらうしかないわね。そうすれば、司も半年後にはニューヨークよ。」
「・・・。」

「会見のドレスはニューヨークで準備してるから大丈夫。披露宴は10月でいいかしら?もう、ニューヨークメープルを押さえてしまったのよ。あ、留美子もそれでいいって言ってたわ。」
「・・・・・。」

「ウエディングドレスは椿が張り切っているから抜かりないわよ。マリッジリングは準備できているのよね?」
「・・・・・・・・。」

「西田、どうしたの?あら、嫌だ。まさか、その前に、エンゲージリングを渡していないとか?ほんっと、使えない息子ね。仕方がないから、私が準備するわ。すぐに、外商を呼んで頂戴。」


この会話って・・何?
もう一度司を見れば、額には青筋が3本・・いや4本?・・



バッターンッ!!!

うわーっ!

司が大きく扉を開けて、私たちはダイニングになだれ込んだ。


真正面に直立不動の西田さん。
そして、その隣には、


「あら、つくしさん。おはよう。昨日はゆっくりできた?」

にこやかに笑う、楓社長がいた。


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更新時間が不定期ですみません。
そろそろラストかな〜と思います。
  1. Switch
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

「お帰りなさいませ。若旦那様。ご結婚おめでとうございます。」


邸に着くと同時に、タマの挨拶。
SPから情報は逐一入っているんだろう。
俺が入籍した事実は、すでに邸中に知れ渡っているはずだ。
恐らくはニューヨークにも事実は伝わっている。
俺は『坊ちゃん』から『若旦那様』に格上げらしい。
そんなどうでもいいことに、頰が緩む。

「若奥様、これからもどうぞよろしくお願い致します。」
そう言われた俺の奥さんは、真っ赤になってアタフタしてる。

たった今、婚姻届を提出したものの、二人揃って実感があるようで無いような・・そんな感覚だ。
俺にとっては、隣のこの女がもう『牧野』ではなく、『俺の奥さん』であり、ここの『若奥様』であることが嬉しすぎて、それ以外はどうでもいい状況。
早く二人きりになりてぇ・・それだけだ。


「バスの準備は?」
「用意してございます。」
「こっちから呼ぶまで誰も部屋に入るな。」
「畏まりました。」

そのまま俺は、妻の肩を抱き、俺たちの居室へ向かう。

「あっ、待って。タマさん、それから、皆さん。私の方こそ、これからこちらでお世話になります。色々教えてくださいね。よろしく・・って、やだっ、引っ張らないで!」

まだその場で立ち話をしそうな俺の奥さんを、無理やり従わせて歩かせた。

「もうっ、ちょっと待ってよ。こういう事は、初めにキチンとしておかなくっちゃ。」

そんな事を言う奥さんの耳元に俺も口付けるように囁いた。

「それは俺のセリフだ。夫婦の仲は初めが肝心だ。」
「ひゃっ。」

一瞬だけ、タマの呆れ顔が目に入ったが、どうってことは無い。
次の瞬間には、爆笑してやがったからな。



有無を言わせず抱き上げて、速攻で二人の居室に移動した。
メイドの視線なんて気にしてられねぇ。
俺は今、こいつにどうしても分からせたいことがあった。


部屋に入るとすぐに、口付けた。
口付けたまま、ベッドに向かう。
花柄のベッドカバーに変えられた俺のベッド。
全くもって俺の趣味ではなかったが、俺の奥さんは案外こういうのが好みだってことは、マンションでリサーチ済みだった。
この部屋で、彼女を優しく抱いて、幸せな奥さんにしてやりたくて、部屋の内装を彼女好みに変えた。


この1ヶ月、俺は出来るだけ大切に彼女を抱いていた。
そりゃ、やっぱ夢中になって、気がつけば朝ってこともあったが、それでも基本はこいつにできるだけ無理はさせないスタンスだったと思う。
彼女に嫌われたくないとか、呆れられたくないとか、そんなこいつに会うまでは抱いたこともないような感情に囚われた。

結婚は常にしたかった。
初めて出会った時に、こいつだ!と思ったんだ。
見合い相手をSwitchまでして、出会いを作った女だ。

それなのに、今日、こいつから出た言葉は、
___「社長になるために、結婚したいのか?」


頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
俺の態度から、そんなことを感じるわけねぇ。
俺は、一切そんな気持ちはないからだ。

一体、誰がそんなくだらないことを吹き込んだ?
俺がこいつをどれだけ大切に思っているか。
知ってて言ってんのか?
どっかの噂好きがこいつに吹き込んだのだとしたら、絶対に許さない。


俺が結婚したいのは、こいつを愛しているからだ。
それ以外の理由なんて、ありはしない。
そして、俺の愛を一瞬でも疑うなら、俺は妻だって許さない。


俺のわずかな変化を感じ取ったのか、少し不安そうにベッドに座っている女は、すでに俺の妻だ。
もう、嫌だと言おうがなんと言おうが、俺からは離れられないし、離しやしない。
それなら、今夜はいいよな。
俺の愛を、もういらないと言われるまで注ぎ込みたい。

この結婚の理由が、「愛してる」以外にあり得ないことを叩き込んでやりたい。
そして俺が欲しいものは、社長の椅子なんかじゃなく、お前との幸せな家庭なんだと体で分からせたい。


ムラムラとする感情を隠しもせず、
妻のオレンジ色のワンピースのファスナーを一気に下ろした。

「今日は脱がせやすい服着て来たんだな。」
「やっ、その為じゃないしっ。」

ニヤリと笑ってやると、少し困った顔の俺の妻。
明らかに緊張が見て取れるが、俺も手は緩めない。
ワンピースを床に落とすと、残りは下着とストッキング。

「俺、このストッキングってのは好きじゃねぇんだよな。二人きりの時は、絶対履くなよ。」
「いや、でも・・」
怖がらせるつもりじゃなかったが、俺はストッキングを引き裂いた。

「仕事から帰ったら、すぐにシャワー浴びろ。そんで、ナイティとガウン一枚で待っていてくれ。」
「え?」
「それが、俺の理想の新婚生活。」
「ええっ!」

話しながらも、俺の服もサクサクと脱いでいく。
ボクサーブリーフ一枚になって妻を押し倒した。

「どっ、道明寺っ!どうしたのっ!?」
「初めが肝心だから。希望は全部言っとかねぇとな。お前もなんでも言えよ。それから、今からは、“道明寺”は禁止だ。司って呼べよ、つくし。」
「そんなに一度に言われても、頭に入らないよ・・」
「大丈夫だ、体に覚えさせるから。」

部屋のダウンライトを落とした。


「あっ・・」
首筋に吸い付いて、少しだけ歯を立てる。
左耳にも吸い付いて、舐め回す。
スリップを脱がせて、ブラを外し、柔らかい胸に顔を埋めた。
俺はこれが好きだ。
妻の胸に何度も吸い付いて、跡を残す。


「ふっ・・ん。。」
「気持ちいいだろ?」
「う・・ん・・。」

そのまま太腿をさすりながら、繁みの中に手を差し込めば、すでにそこは、俺の予想通り濡れている。

クチュリ・・

「んあっ・・」
俺の指が与える刺激で、妻の体が反応する。
「んんーっ・・はぁっ・・・あっ・・」
「気持ちいいんだろ?そのまま、イッテいいぞ。」
「イジ・・ワル・・ ・あぁっ!」

体が小さく反り返り、くたりと脱力した妻の体を見下ろした。
未だ痙攣を続けている妻の体内に右手の指を残したまま、左手は彼女の右手をとって、口に含む。

「なっ・・」

ペロリ・・
ますます彼女の頰が染まっていき、彼女の中はますます柔らかくなっていく。
それを感じる俺の右手の指先が、器用に彼女のスポットを突いた。

「んあっ!ああっ!もう・・いやっ!」
「嫌じゃねぇよな、つくし。」

シーツの上、髪を振り乱して、首を横に振る。
自分の妻を、もっともっと虐めたくなる。


はぁ、はぁ・・と大きく息を吐いて、つくしがトロリとしながらも、俺に何か訴えてくる。その瞳には、涙が溢れてる。

「まだ・・しない・・の?」
「初めは、今日はしないもんっつってたよな・・つくし。」
「そんな・・。だって・・。」

知ってるよ。
お前が俺のこと、疑ってない事ぐらい。
俺のことが好きだから、結婚を決めた事ぐらい。
それでも・・

「お前が悪い。」
「ふぇ・・。んっ・・くっ・・。」

奥さんの声が泣き声に変わった。
それだけで、俺の心臓はぎゅっと掴まれちまうんだ。

大切にしたい。
優しく愛したい。

けど、本当にお前が悪いんだぞっ。
それだけは、今晩言わせてくれ。

「お前が、社長になるために結婚するのかなんて聞くからだ。」
「ふっ・・えっく・・。」
「愛してねぇ女を、必死に口説いて、気持ちよくさせようなんて思うか?映画に行って、キスだけで済むか?女のマンションまで行って、抱かない男がどこにいんだよ。全部、お前のせいだぞ。お前の事が大切で、すげぇ好きで、すぐには手は出せなかった。結婚したくても、強引にできなかった。けど、毎日一緒にいてぇんだよ。いい加減、分かれよ、バカ。」
「うっ、っく・・ごめんなさい・・司。」


ヒック、ヒックと泣き噦る、俺の可愛いつくし。
「今日は、本当に手加減しねぇからな。」

コクコクと頷いたつくしが、俺にぎゅーっとしがみついてきた。

その彼女の両足を開き、ゆっくりと、味わうように己を沈めていく。


「あっ・・ああっ・・つかさっ。」
「愛してるから・・。」

愛してるから、一緒にいたいんだ。
それだけだ。

夫婦になって、初めて繋がった夜。
何度果てたのか記憶にない。
何度も何度も突き上げて、彼女の意識が飛んでも離せなかった。

彼女の声が出なくなるまで、抱き潰した。
俺にとって、一生忘れられない初夜になった。


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微妙なRになっちゃったので、夜に投稿。
楓さん、待ってるかな。
  1. Switch
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

「もう泣くな。」

何度もそう言ってやっても、膝の上の牧野は俺の首に腕を回したまま、俺の胸に顔を埋めて、首を横に振る。

「声なんて、そんなに聞こえてねぇよ。(たぶん・・)」
と言えば、ビクッとして、ぎゅーっと腕に力を入れる。
「ほら、ベッドがボロいから、軋む音とか聞こえたんだろ?」
取り敢えず、何とか話を変えようとするが、牧野は全く顔を上げようとしない。



やべぇ・・。
俺はどうやら、検討違いのことを言っちまったらしい。
「アノ時の声が、近所に漏れていた」と知ってしまった牧野は、悲鳴を飲み込んで顔面を両手で覆い、そのままテーブルに突っ伏してしまった。
そこから何を言っても、顔を上げず、俺が近寄っても、シッシッと手で払われた。
おいっ、あのプロポーズはどうなったんだよっ。

仕方なく、強引に牧野を抱き上げて俺の膝に座らせ、現在に至る。
けど、牧野は俺にしがみついたまま、顔を伏せて一言も声を発しない。


ふぅ・・。
大体、結婚を急ぐ理由なんて、他にあんのかよ。
ま、理由なんてなくても、結婚したいのはその通りだが。
こいつは一体、なんだと思ってたんだ。
てっきり、牧野もこの話を聞いちまったんだと思った。
余程のショックを受けての、逆プロポーズかと納得しちまったんだ。
けど、んな訳なかったんだよなぁ・・牧野に限って・・。


何度も髪を撫でてやり、牧野を落ち着かせようと努力はしているが、一向にその努力は報われない。

「俺は初めて会った時から、お前と結婚したいって言ってるだろ?な、結婚しようぜ。って、お前がついさっきプロポーズしてくれたんじゃねーかよっ!」

そう言っても、牧野はピクリとも動かない。

「なぁ、うちに来てくれねぇ?お前に遠慮したくねぇんだ。俺の妻になってくれよ。思いっきり抱きてぇ。」

牧野が、ボコッと俺の胸をグーで叩く。
おっ、反応があった。

「俺は今日、強引にでもお前を邸に連れて帰るつもりだぜ。お前だって、もう、あのマンションには帰りたくねぇだろ?」

そう言ってやると、牧野もコクンと頷いた。

よしっ。


俺は、無理やり牧野の右手に万年筆を持たせた。
婚姻届をテーブルに置いて、指で署名欄を示す。

「ここにサインしろ。間違うなよ。」

牧野がそろそろと顔を上げて、婚姻届に手を伸ばした。
しばらくじっとその紙を見つめていたが、意を決すると署名欄に一気に名前を記入した。それから、万年筆をテーブルに置いて、再び俺の胸に顔を埋める。
彼女の態度は素っ気ないのに、俺の心には暖かいものが広がった。
やっと・・彼女からOKが貰えたんだ。


「おい、なんとか言えよ。顔上げろ。」

そう言っても、牧野は、俺の胸にしがみついて顔は上げない。

「なんとか言えって。」

顔をブンブン横に振っている。
どうやら、声をは出したくないらしい。
困ったやつだ。
けど、可愛くて可愛くて、仕方ない。


この婚姻届にサインをしたと言うことは、もう結婚は決まりだ。
俺は、ポケットから、用意して置いた「牧野」の判子を出して、牧野の手に握らせた。

「判子押すからな。」

牧野の手を上から握り、捺印欄に印を押した。
流石は俺。抜かりなし。

ぼーっと婚姻届を眺めている牧野。

その頰に、チュッとキス。

すると、驚いた牧野が俺を見上げた。

その隙に、唇にキス。

それから、言ってやった。


「提出行くぞ!」



*****



牧野を抱き上げたままリムジンへ乗り込み、区役所へ向かう。
牧野はまだ口を開かない。
どうやら、かなり拗ねちまってるらしい。

でも、俺としては役得だ。
ずっと俺の膝に乗っかっている牧野。
口は開かなくても、別に怒っている訳じゃない。
恥ずかしくて、照れてんだ。

その証拠に髪にキスしようが、頰を撫でようが、拒否はしない。
俺のスーツのジャケットをぐっと掴んで離さない。
マジ、可愛い奴・・。


区役所はすでに夜間受付の状態で、俺らの他に人はいなかった。
俺は牧野を抱きかかえたままリムジンを降りるつもりだったが、牧野はが首を横に振り、自分の足で歩き出した。

「無事に処理されました。おめでとうございます。」

役所の職員に笑顔を向けられて、牧野はほっとしたようだ。
俺はというと、妻となった隣のこの小さな女を、早く邸に連れて帰りたくて仕方がなかった。


さっと、妻を抱き上げる。
意表を突かれた彼女がバランスを取るために、俺の首に腕を回した。

「きゃっ、道明寺っ!」

やっと出た声は、『道明寺』という新しいこいつの苗字。
これからこいつは、俺と同じ性を名乗るかと思うと、急に結婚した喜びが湧いてきた。

「司って呼べよ?お前も、もう、道明寺なんだぜ?奥さん。」


目を大きく見開いて、目の玉を白黒させてる妻を大切に抱きかかえて、ズンズン歩いて行く。
運転手が開けたドアをさっと潜り、リムジンへ乗り込んで、妻の頭を抑え、口付けた。
唇を吸って、舌でノックすると、妻の唇が少し開く。
その隙間から歯列をなぞって、ゆっくりと奥へ入っていく。
初めは遠慮がちな妻の舌の動きも、だんだんと俺を受け入れてくれる。
俺の手は自然と妻の胸に触れる。
そのままそっと揉み込んでいくと妻の体がが跳ねた。
逃げようとするが、逃がさない。

「あっ・・んんっ・・・」
時々漏れる妻の喘ぎ声にますます夢中になっていく。

俺の唾液を飲み込んで、苦しくなったのか、胸をドンドンと叩かれた。

そっと唇離し、潤んだ妻の瞳を見つめた。
「ふぅ・・。もー、道明寺が・・悪いんだからね。声・・でちゃうもん。」
「道明寺じゃねーだろって。」

潤んでるくせに、俺を睨みつけるその表情。
それが俺を煽るんだって。

「お前の声が好きなんだ。俺しか引き出せねぇ声。すげぇ、唆られる。」

ボコッと腹にパンチを食らう。

「今夜は初夜だろ。声きかせて。」

そう耳元で囁いてやれば、真っ赤になる俺の奥さん。


「今日はしないもん。」
「はぁ?」
「道明寺はそのためだけに、今日入籍したの?」

いや・・もちろん、そのためだけじゃねーけど。
でも、邸に連れて帰りたいっつー理由が大きかったのは嘘じゃねぇな。

「他に、理由ないの?」

他の理由?

「特にはねぇけど。スケジュールなんか気にせずに、毎日お前に会いたい。朝起きたらお前がいて、夜帰ったら、お前に迎えられたい。それが、理由だな。」

「他は?」

ん・・更に、他?

「ねぇよ。」
「本当に?」
「ねぇよ。何が言いたい?」

「仕事のことは?」
「仕事?」
「しゃ・・社長になるため・・とか?」

「はぁ?社長?んなもん、時間がたてばそのうち転がり込んでくる迷惑な肩書きだ。つっても、俺以上に仕事できるやつなんて存在しねぇから、まぁ、そのうち引き受けるしかねぇだろうが。うちの母親は自分が面倒だからって、早く俺に継がせようと画策してるみてぇだな。ガタガタ騒がなくても、そのうち引き継いでやるっつの!それだけの結果は出してんだからよ。」

「え・・そうなの?やだ・・どうしよう・・。」

何を言ってやがるんだ、こいつは、ったく。

「何がどうしようだ。とにかくっ。仕事と結婚は別問題だろ。俺はお前に、仕事で協力してもらうほど落ちぶれちゃいねぇよ。お前は黙って俺に溺れてればいーんだよ。でも、そうだな。俺がいい仕事できるかどうかは、お前の夜の仕事次第。」


それを聞いた俺の奥さんは、呆然として俺の顔を穴が開くほど見つめている。


「何だよ。旦那がカッコ良すぎて見惚れてんのか?」

俺は大真面目に言ったのに、こいつは急に、あはっ!と弾けるように笑い出した。

一体、何なんだっつーの!

「おいっ。」


「あー、おっかしい!あはは。私、何に協力したらいいのか分からなくなった。」
「何の話だっ。お前の仕事は、俺の奥さんとして側にいること。以上。」

「うんっ!」
「よし、じゃあ、今夜は初夜だから、手加減しねぇからな。」
「うん。分かった、旦那様。」


急にご機嫌になった俺の奥さんが、俺にガバッと抱きついてくる。
そんな妻の態度に、俺のテンションも急上昇。
奥さんの顔中にキスをしつつ、今か今かと邸への到着を待った。


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昨日のコメント欄、たくさんのメッセージありがとうございました。
ご心配頂いてしまい恐縮でしたが、一人のたうちまわっていたので、相当嬉しかったです。
結局、本日整形外科に行きました。軽く説教されて(笑)、ブロック注射を打たれましたが、正直劇的に良くはなっていないのですが、ゆっくり歩いたり、座ったりはできています。今朝起きたら、もう歩けない感じだったので、かなりマシです。
ご心配、お掛け致しました。こちらのお話も、体調をみながら繋いでいって完結を目指しますね!
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「道明寺、私たち、結婚しよう。」


目の前の牧野が、バラの花束を受け取って微笑んでいる。

なんだ・・これ・・
これって・・・
これって・・・まさかの逆プロポーズかっ!
こんなのありかよっ。

「俺のセリフ、とってんじゃねーぞ!」

俺は牧野に飛びついた。
細い体をギュウギュウに抱きしめちまう。

「うぎゃっ!痛いってば、道明寺っ!」

牧野の手から、バラの花束が落ちた。

「やだ、お花が落ちちゃったっ。」
「知るかっ。」
「知るかって、あんたが用意したんでしょうがっ、痛いって。」

牧野を締め、彼女の髪に顔を埋める。
彼女の匂いと、この現実に酔いしれる。
俺が手に入れた女だ。
これからどんなことがあろうとも、絶対に手放さない。


少しだけ力を抜いたところで、牧野からの声。
「ねぇ、道明寺、返事は?」

牧野が、俺の胸から顔を上げて、いたずらっぽく俺を見る。

・・・返事?
ちくしょう!!
そんなの分かってんだろーがっ!!

俺は、胸元から、用意していたビロードのケースを取り出した。
それをパカッと開けて、有無を言わせず、牧野の左手の薬指に通す。

「俺の愛の証だ。」

どうだ?
俺が選んだエンゲージリング。
これが俺の返事。
エンゲージは愛の証明だろ?
まぁ、俺の愛は、ダイヤなんかで語れるデカさじゃねぇけど、それでも、大きさばかりでなく、グレードにも拘った一品だ。


牧野がぱかーんと口を開けている。
瞬きもしてねぇ。
息止まってんじゃねぇのか?

なんだよ?そんなに、感動したか?

「これ・・なに?」
「エンゲージリング。」
「これ・・ホンモノなの?」
「おい、どういう意味だよ。まさか、俺の愛が、ニセモノだとでも言うつもりか?」

聞き捨てならねぇ。

「やっ、だって・・。昔、こういうリングのキャンディ売ってたなって。道明寺も、それ知ってるんだって思ったのよ。」
「知らねーよ!そんなキャンディなんかっ!」

「じゃあ、これ、本物のダイヤモンドなの?うそっ。こんなの受け取れない!」

なんだか、牧野が困惑し始めたぞ。
俺はすかさず、彼女の左手を取り、指を絡めた。
絶対にこの指輪は外させない。

「誰に見せびらかす訳じゃねーだろ。素直に受け取れ。」
「でも・・」

「受け取らなきゃ、この手は一生離さないことになる。」
そう言った俺に、

「そう言えば、あんたって、強引な奴だったよね。出会いから。」
牧野が笑い出した。


その笑いを塞ぐように、牧野の唇にキスをする。
舌まで絡め、俺の本気が伝わるように。
牧野の抵抗は・・・ない。
どうやら、この指輪を受け取ってくれたようだ。

少し気持ちが落ち着いて、ゆっくりと唇を離すと、牧野と目が合った。


「「愛してる」」


俺たちは、たった今、夫婦となる約束をした。



*****



「ねぇ、この指輪、重すぎてフォークが持ちにくい。」
「あ?我慢しろ。」
「こんなの、恥ずかしくって、誰にも見せられないよ・・」
「こんなのって、どーいう意味だよ。誰に見せるもんでもねぇんだろ?いいじゃねぇかよ。」
「そうだけど・・・。」

左手の薬指がすごく重い。
つっちゃいそう。
こんな常識外れな大きさのダイヤモンド、見たことないし。
私には全然似合ってないのは明らかだけど、これに道明寺の愛が込められてると言われれば、外すことはできなくなった。
これ、何カラットあるんだろう・・なんて、聞くのはやめておこう。


「牧野・・これ。」
「うん?」

デザートが終わり、二人でコーヒーを飲みながら、見せられたのは婚姻届け。
すでに、道明寺のサインは記入済み。
承認欄には、うちのパパのサインと、道明寺のお父さんのサインが入っていた。

「え?これ・・・」
「今すぐ記入してほしい。」
「え?え?ちょっと待って?」

道明寺が胸ポケットから万年筆を取り出して、コトッとテーブルに置いた。

「お前の両親には先週お会いしてきた。娘さんを下さいって言ってきたぜ。すげぇ、緊張した。でも、なんか、弟から話聞いてたみたいで、滅茶苦茶喜ばれた。おもしれーな、お前の父ちゃん。」
「うそ・・。」
「ホント。」
「本当にうちの両親に会ってきたの?あの・・」
「何だよ。」
「だって・・驚いたでしょ?うちの両親、常識ないっていうか・・。それに、家も、ボロボロだし・・。」
「何を今更。」
「そうだけど・・。だけど、道明寺のご両親は?反対されてないの?」
「いや、むしろ大歓迎みたいだ。この婚姻届け、サインして送ってきたのはオヤジだしな。」
「ええ?本当に?」
「まぁ、お前から返事をもらったら、すぐに両親に紹介するつもりだった。」
「うん。」
「だが、その必要はなく、お前の情報は向こうに漏れてたみたいだから、何も心配は要らねぇよ。」
「それでも、ご挨拶はきちんとしないと。ご両親はニューヨークだよね。」
「わざわざこんなもん送ってくるぐらいだから、会いに来る暇があるんなら、さっさと入籍しろってことだと思ったけど?」
「でも・・。」


反対はされていないのかも知れないけど・・でも・・

「あのね、道明寺。道明寺はどうして、今すぐに入籍したいの?もしかして・・・」

もしかして、やっぱり、会社の都合とか・・あるのかな。
ご両親も、道明寺の昇進のことを心配なんてしているのかな。
それは、経営者としては当然の心配なんだと思うし、彼が私と結婚したいという気持ちが嘘だなんて思わないけれど。
ご両親に挨拶せずに、今日、今すぐ入籍したいと言う道明寺に、やっぱり聞いておきたいと思った。

この結婚は、道明寺にとってどんな意味があるのか。
これからの人生を、私とずっと一緒に過ごしたいという意味なのか。
やっぱり、会社のことを考えてのこともあるのか。
それならば、その役割は私でいいのか・・?


「もしかして・・って、何か思い当たることがあるのか?」
「うん・・・あのね・・・。」

彼が道明寺ホールディングスの社長に就任するかどうかが来週決まる。
その前に、パートナーをきちんと公表できた方がいいんだよね。
私、知ってるから。
だけど、本当に私でいいのか聞きたいの。
私でいいのなら、ずっと側にいるよって言うつもりだった。


「お前、もしかして、誰かに言われた?」
「あ・・うん。少し、聞いた。」
「もしかして・・ショック受けてんのか?」
「ううん。そんなことない。でも、やっぱり本当のことなのかどうか、きちんと聞いておきたい・・かな。」

私がそう言うと、道明寺がふぅーっと息を吐いた。

「俺は、黙ってた方がいいと思ったんだ。」
「うん。」

「お前のアノ時の声が、近所に漏れてるなんて、やっぱショックだよな。」
「・・・え・・?」
「だから、あれだ。結婚して俺んちに住めば、俺も手加減なんかしねえし、お前を十分満足させてやれる。声なんて、いくら出しても大丈夫だ。寝室は防音にしてるから。」

「・・・え?」

「実は、俺も結構ショックだった。お前の声が他の住民に聞こえてたかと思うと、はらわたが煮えくり返る思いだった。だから、すぐにでも結婚して、お前を邸に連れて帰りたい。」

えっ・・えっ・・
ちょっと待って。
意味分かんない。

この人、一体何を言っているの?
私が聞いてるのは、そういうことじゃないでしょ?
社長就任のために、結婚は急いだほうがいいんだよねって、一応確認しておきたかったのよ?


「心配すんな。今夜は、お前をがっつりイカせてやるから・・」

とか言って、凄く熱い視線を送ってくる道明寺。


・・・っ!!
うっそーっ!!!

ちっ、ちっ、ちがーう!!!

道明寺が言ってることって・・つまりっ・・・


『きゃーっっ!!!』


私は、両手で顔面を覆った。


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あは。こんな展開でごめんなさい。
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今日は、道明寺と夕食の約束をしてる。
場所は、メープルのフレンチレストラン。
いつもは道明寺が事務所まで迎えに来てくれるんだけど、今日は外で待ち合わせをした。
そんな風にしたい気分だったの。
道明寺もOKしてくれた。

いつもより少し早く仕事を切り上げて、マンションで着替える。
一目惚れして買ったけど、まだ一度も着たことがないワンピースに袖を通した。
深いオレンジ色。
スカート部分は共布で透かし模様が入っている。
ショーウィンドウに飾られているのを見て、一目で気に入った。
だけど、着る機会が無かったのよね。
オレンジ色って、仕事には向かないもの。

だけど、今日は精いっぱいのオシャレをしたい。
メイクも念入りに。
道明寺って、どんなメイクが好きなんだろ?
あいつの好きなタイプとか聞いたことも無かったな。


彼と結ばれてから1か月が経った。
道明寺は相変わらず無理して、私と会う時間を作ってくれる。
だからこそ、今の恋人期間は充実しているし、とっても楽しい。

だけどね。
最近、道明寺は私のマンションに来るのをやんわりと避けてる。
やっぱり、私の家じゃゆっくりできないよね。
家で一緒に眠る時には、なんだか道明寺が落ちついて眠れていない気がする。
もぞもぞしていたり、いきなりため息をついたりして、深い眠りに就くことができないみたい。
だけど、メープルに泊まったり、お邸にお邪魔した時には、すごく機嫌がよくて、夜もぐっすり眠ってる。
眠ってると言っても、かなり激しい運動をした後に・・・なんだけどね・・・。
翌朝は凄くすっきりしているから、やっぱりうちのベッドじゃ眠りにくいんだろうなって思う。

道明寺に会えるのは週に2-3回ぐらい。
以前は、道明寺が会える時間を指定していたんだけど、付き合うようになってからは、間に道明寺の秘書の西田さんが入るようになった。
そうじゃないと、道明寺が勝手にスケジュールを空けようと無茶するからなんだって。
西田さんは、私の仕事の予定と、道明寺の予定を二つ管理している。
凄く大変よね・・・。


道明寺も無理をしてるし、西田さんも大変そう。
このままの生活は、長くは続けられないと感じるようになった。

道明寺に無理をさせたくない。
激務の彼を癒してあげたい。

そのためには、やっぱり婚約とか、結婚とか、きちんとした手順を踏んで、彼の家で堂々と会う方がいいなって、自然と思えるようになった。




そして今日、楓社長と話をして、覚悟は決まった。

結婚をしても仕事は続けたい。
そのために、ロースクールへ留学するという選択肢が具体的になった。
それからもう一つ、楓社長に言われたのは・・

「企業法務に興味はない?」

企業法務は、企業の事業活動に伴って発生する法律的問題に対応する仕事。
滝弁護士事務所は、中小企業と契約をしているけれど、大会社になれば、各会社内に法務部を設けているところが多い。

「あなたに興味があるのなら、企業法務を勉強することで、彼の役に立つという選択肢もあると思うわ。」

そう言った楓社長に、留美子先生も頷いて言った。

「道明寺さんとの将来を考えるなら、それも選択肢としてありだと思うわ。」
「あら?道明寺さんって、道明寺ホールディングスの道明寺司さん?」

楓社長が、とても面白そうに私を見た。

「あ・・はい。あの・・ご存じですか?道明寺さんのこと。」

「よく知ってるわよ、道明寺ホールディングスのことは。」
「楓!」

留美子所長が、楓社長を軽く睨んだ。

「いいじゃないの、留美子。牧野さん、道明寺ホールディングスはね、企業法務に強い弁護士なら受け入れがあると思うわ。」
「本当ですか?」
「彼の役に立ちたい?」
「もちろんです。」
「じゃあ、早く結婚してニューヨークへいらっしゃい。道明寺さんは、近いうちに社長就任も取りざたされているわ。」
「社長就任っ?!」

そんなこと、聞いたことがない。
というか、私にそんな事を教えてくれる人なんて今までいなかった。
彼と、彼の仕事の話はほとんどしていない。
でも、いずれはニューヨークだって言ってたから、将来的には・・って思っていたの。
そうか、道明寺は社長になるんだ。それも近い未来に。

「そうなれば、半年後にはニューヨークね。きっと。」
「半年後・・。」
「彼について行ける?」

社長になった道明寺について行く。
私の人生は、予想以上に大きく変わる。

「聞き方が間違ったかもしれないわ。ついて行きたい?」

そうだ。
ついて行けるかどうかじゃない。
彼と一緒にいたいかどうか・・。ついて行きたいかどうかだ。
それは、もちろん!

「一緒について行きたいです!」

そう言った私を楓社長が、優しく見つめた。

「そう。それならば、すぐに結婚ね。彼が、社長に就任できるかどうかも、あなた次第だわ。社長昇格の前提として、将来を見据えたパートナーがいるかどうかも株主総会での決議の大きな基準になるのよ。」

「えっ?そうなんですか?」

道明寺ってば、本当に何も教えてくれないんだから。
だけど、少し冷静になって考えれば、そんなことを彼が言う訳ない。
社長就任の基準とか、そんなことを彼に言われたら、私は彼を疑ってしまったかも知れない。
会社のために、パートナーが欲しいだけなのかって。
だけど、そんなこと一言も言われたことがない。
この結婚についても、私のタイミングを待ってくれている。
そこには、彼の愛が感じられた。

「そんなことを聞いたら嫌になった?」

楓社長が、少し心配そうに私を見る。
びっくりはしたけれど、だからと言って嫌な訳じゃない。

「いえ、そんな事はないです。でも、私で大丈夫かなって心配です。」

「心配なんて、どんな人生にもつきものでしょ?困ったことがあったら、連絡を頂戴。協力は惜しまないわ。だから、どーんと飛び込んでみなさいよ。ダメだったら、その時に考えたらいいわ。」

んっ!
ダメなら、その時に。
そうかもっ!

「そうですね。頑張ります、私!」



これから私が飛び込もうとしている道は、全く知らない世界へと繋がっている。
だけど、彼が私を必要としてくれているのなら、私じゃないとだめだというのなら、その世界に飛び込んでみよう。

楓社長の言葉で、私は今日、彼への逆プロポーズを決めた。







約束のフレンチレストランの個室。
道明寺はまだ来てない。
ドキドキする・・・

何度もセリフを確認して、お化粧をチェックした。
今日は、可愛いと思ってもらいたいもの。

約束の10分前に、カチャリと個室のドアが開いた。

道明寺が入って来た。
彼はいつも格好良くて、寸分の隙も与えない体位振る舞いをする。
だけど今、目の前に現れた彼は、急いで来たのか、少しだけ息が乱れてる。
その彼の手には、真っ赤なバラの花束。


そのバラを見ただけで、私は彼の気持ちが分かってしまった。
_____きっと、彼も私と同じ気持ち。



「遅れたか?」

そう聞いた彼に向かって、私は席を立って近づいていく。

「ううん。まだ、10分前だよ。」
「ちっ、今日は俺が先に来るつもりだったのに。」

ちょっとだけ不機嫌になりながらも、私に向かって、真っ赤なバラを差し出した。
彼の顔は少し赤い。

その花束に手を伸ばす。
彼が言いたい言葉が伝わってくる。

だけど、それは私から言わせて?


「道明寺、私たち、結婚しよう。」


その時の、道明寺のビックリ顔・・・
写真に残したいぐらいだった。



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難しい展開を回避。ハゲ防止(笑)。
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俺たちが結ばれてから、1か月が過ぎた。

俺たちの付き合いは、順調そのもの。
はっきり言って、結婚しない理由は見当たらない。
あいつには、十分すぎるぐらいの時間を与えたつもりだ。

ぶっちゃけ、もう結婚でいいだろ?


それに、最近ではいろいろと問題が出てきた。
一番の問題は、あのマンションのボロさだ。
初めてあいつのマンションでコトに及んだ時のこと。
ベッドを壊しちゃいけねぇと手加減したつもりだったが、なんと翌日隣近所から苦情が来た。
あのマンションは、今や俺が買収してる。
つまりは俺が大家ってやつで、苦情は俺んところに直接上がって来た。
俺とあいつが一晩中愛し合ってる音が、どうやら近所に筒抜けだったらしい。
あの西田が、やや困惑気味に報告してきたんだぜ?
それを聞いた時の俺の衝撃ったら無かった。

どこの世の中に、まともにHもできねぇマンションがあるんだっ!
けど、あいつ・・自分じゃ気付いてねぇみたいだが、結構イイ声を上げるんだよな。
あの声が、堪らなくいいんだが・・・。
それが、隣近所に聞こえるかと思うと、もはや耐えられなかった。

あのマンションじゃ、もう、あいつを満足にイカせられねぇ。
もしもヤルとしても、手加減するしかなくて、あいつが俺に愛想をつかすんじゃねぇのかと心配だ。
だから今では、牧野をメープルか邸に誘うようにしてる。

だが、あいつは相当鈍い。
お邸じゃ、くつろげないとか言って、マンションに来ての一点張りだ。
バカヤロウっ!!
お前のマンションじゃ、俺がくつろげねぇよ!
まともにできねーんだぞっ!
ボロすぎてっ!


この生活はもう限界だ。
早く一緒に邸で暮らしてぇ。
いや、あいつが二人きりがいいっつーなら、マンションでもいい。

だから、俺は覚悟を決めた。
今日、牧野にもう一度プロポーズをする。

丁度来週からは、アメリカ出張になる。
その前に返事をもらって、すぐに邸に連れ帰ってやる。
そして、満足いくまで、抱いて、抱いて、抱き潰したい。





「副社長。」
「何だよ。余計な仕事は受けねーぞ。今日は、絶対、早く帰る!」

バラの花束は準備した。
邸の受け入れ準備も万端だ。
書斎は、俺と続きになるように壁をぶち抜いた。
寝室は女が使いやすいようにドレッサーを置いたし、
クローゼットの半分は牧野の為に空けさせた。
ドレスなんかも、最低限は用意してあるし、あとはあいつの好みのものを揃えたらいい。


「副社長。」
「だから、何だよ。早く言え、西田。」
「牧野様がプロポーズを受けてくださった場合には、即結婚ということになりますでしょうか?」
「当たり前だろ。今日にも連れて帰る。」
「お邸にですか?」
「当然。」

「総帥より、こちらを預かりました。」

それは一枚の紙きれ。
牧野と俺の将来を約束する紙切れだ。
そこに、オヤジのサインが書かれてあった。

「お前、これ、いつの間に。」

すでに、牧野の父親さんのサインは貰っていた。
先週、挨拶に行ったんだ。
そして、今日、牧野の返事を確認してから、来週アメリカでオヤジにサインをもらうつもりでいた。
それが、すでにオヤジのサインが記入され、ここにある。

こんなことができる奴は・・・西田しかいねぇ。
だが、何故?
いつの間に、こんな手配を?



「総帥より、来週の株主総会で、副社長の社長昇格案の決議がなされると連絡がありました。」
「分かってる。」
「ニューヨークでは、副社長からの結婚報告を強くお待ちです。」
「だから、こんな小細工を?」

西田だって、こんな役目をしたかった訳じゃねぇだろう。
いや、道明寺ホールディングスのため、ひいては俺のためでもあるのか。
俺が社長の椅子に付くためには、結婚は必須条件だと言われていた。

だが、俺は・・・


「言っておくが。」
「はい。」
「俺は、社長の席を確保するために、牧野と結婚したいんじゃねぇ。」
「存じ上げております。」
「結婚と社長昇格は別問題だ。」
「はい。」

「ですが・・副社長、覚えていらっしゃいますか?牧野様との結婚が整わなければ、ご両親の勧めるお嬢様との結婚をと命令があったことを。」

「それが、未だ有効だというのか?」

俺と牧野は近い将来必ず結婚をする。
それが、株主総会までに間に合わなければ、意味がないとでもいうつもりか!

西田は黙って俺の目を見ている。
何を考えているのか、分かんねぇ。


このプロポーズの勝算はある。
牧野が、俺に飛び込んできてくれたら、即結婚だ。

だが俺は、会社のために結婚を望んでるわけじゃねぇ。
愛する女と幸せになりてぇ。
それだけだ。



俺はデスクから、ビロードのケースを取り出した。
牧野の為に、最高級グレードのダイヤを用意した。
デカすぎるって言われるかも知れねぇけど、やっぱこれぐらいは準備しねぇと、俺の愛を疑われかねない。
だって、エンゲージリングは愛の証なんだろ?
俺のデカい愛を、絶対に、牧野の指に通してみせる!

実を言えば、マリッジリングももう出来上がっていた。
俺がデザインした、世界でただ一つのペアリング。
これは、あいつとの結婚式で嵌めてやる。
あいつは俺のもの、俺はあいつのものだ。
でも、あいつと揃いのリングを嵌めたくて、仕方ねぇのは俺の方か・・・


俺の手元には、婚姻届けも、マリッジリングも揃っている。
だが、俺は、社長昇進を理由に結婚を迫るつもりなんてさらさらねぇよ。


俺が望むコトは・・・
会社なんて関係なく、牧野がプロポーズを受けてくれることだ。
そうじゃなきゃ、意味がないだろ?



「副社長・・ご健闘をお祈り致します。」

西田が、深く頭を下げた。


「おう。」

俺は、ネクタイをぐっと締めなおした。



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展開を悩み過ぎて、頭が禿げそうです・・・(汗)
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___滝弁護士事務所  20時。

カチャ。
開いたドアの向こうには、道明寺ホールディングス副社長 道明寺司。

晴れて?私の恋人となった道明寺は、約束した日には必ずここへ迎えに来る。


「牧野、彼のお迎えだよ~」
と所長の留美子先生。

もうっ、恥ずかしいったら。
外で待っててって言ってるのに、どうしていつも来ちゃうのかしら。

「きゃーっ、道明寺さん、今日もかっこいいです!」
と言うのは事務の麻衣ちゃん。

「道明寺さんて、牧野のどこがいいの?」
「牧野は、絶対に彼氏はいないと思ってた。」
と言うのは、先輩弁護士の岡部さんと八木さんだ。


道明寺と恋人関係になって、2週間が過ぎた。
恋人という立場になってから、道明寺は私の職場に堂々と現れるようになって、今やすっかり馴染んでいる。

「彼女の全てが好きなんですよ。一目惚れです。」

だーっ。もうっ。この人は、何てこというのよ、皆の前でっ!
ほら、麻衣ちゃんの目がハートになってるし。
先輩たちも、君、大丈夫か?みたいな顔してる。
留美子先生は、ただたただ笑っているけれど・・。


付き合ってみて気がついたこと。
道明寺はとっても心配性。
今まではかなり遠慮していたみたい。
恋人になった途端に、事務所に出入りしたがるわ、マンションの鍵は欲しがるわ、セキュリティーがなってないから引っ越ししろとか言い出すわ、大変だった。

「しかし、牧野の恋人が、道明寺司さんだとはねぇ・・」
そういって笑う留美子先生。


本当にねぇ・・・。
私と、道明寺司の組み合わせ。
この組み合わせって、本当にアリエナイと思うんだけど、だからと言って、今更別れるという選択肢はない。
タマさんと約束したからっていうだけじゃない。
タマさんの言葉は私の背中を強く推してくれたけど、それだけが理由じゃないの。

会う度に思うんだ。
この人が好きだって。
この心配性なところも、結構嫉妬深いところも。
タマさん曰く、私以外の女性は目に入らないところも・・全部。

私が幸せにしてあげなくちゃって、思っちゃうの。
今思えば、私も一目惚れだったのかもしれない・・なんて思ってる。

だから、私は、私なりに前向きに考えているの。
____彼との『結婚』について。


一番のネックは仕事。
彼はいずれはニューヨーク勤務になるらしい。
道明寺ホールディングスの本社はニューヨークにあるから、それは当然よね。

彼は私の仕事を尊重してくれている。
結婚しても、仕事は続けられるように応援すると言ってくれた。
だけど、実際彼が海外に行くのであれば、今の仕事をそのまま続けることはできないのは明らか。
だからと言って、仕事を取って、遠距離恋愛や、別居生活なんてとても無理だ。

そんなことで悩んでいる私に、留美子先生が言ってくれた。
「もし、道明寺さんとの将来を考えるのなら、アメリカのロースクールに留学してみてはどう?」


タマさんは、『道明寺の妻の役割は、彼に愛されること』なんて、破廉恥甚だしいこと言ってたけれど、私はどんな形であれ働きたいし、それが彼を助けることになるのであればそうしたい。
滝法律事務所に就職したのは、留美子先生の地域密着型の仕事ぶりに感銘を受けたからだった。
だけど、私が道明寺を選ぶということは・・私の弁護士人生も変わるということ。
それが怖いわけじゃない。
何かを得るために、自らが努力をするということは、私の得意分野。
昔から、真面目だけが取り柄だから・・私。


「私の友人で、日本の法学部を卒業後、アメリカの企業で働いている女性がいるの。今度、日本に来るみたいだから、その人の話を聞いてみる?きっと、今後の参考になると思うわよ。」
「ありがとうございます。是非お願いします。でも、このことは、まだ道明寺には黙っていてくださいね。きちんと決めてから伝えたいので。」
「了解!けど、道明寺司って、ああいう男だったのね。メディアでは冷たそうに見えたけど、すっごく優しいじゃないの。牧野、いい男見つけたわね。」
そう言って、留美子先生がウインク。

どっちかって言うと、私が見つけたというよりは、彼が見つけてくれたという感じなんだけどな。
でも、そうかも。
この出会いは、運命・・かもしれない。

それならば、私自身が、この運命に従って人生のSwitchを切り替えるのも、今、という気がした。



*****



「牧野!こっち。」
「はぁ、はぁ・・遅れて・・申し訳ありませんっ・・」

「大丈夫よ。私たちも今来たところなの。」
「そうでしたか・・・ふぅ・・良かったです。」

「牧野、こちらが、以前に話ていた、楓社長。ニューヨークで会社を経営しているのよ。」
「初めまして。牧野つくしです。今は、弁護士2年目で滝弁護士事務所でお世話になっています。」
「初めまして、牧野さん。どうぞ、お掛けになって?」
「はい。失礼します。」

私は今日、留美子所長から、日本の司法試験に合格され、現在はニューヨークで会社の経営に携わっているという楓社長を紹介してもらった。
道明寺とのこれからを考えるにあたって、私の弁護士としての能力をなんとか生かせないかと思っていたから。
実際に海外で働かれている女性の意見を参考にしたかったんだ。



「そう。それなら、アメリカのロースクール留学はいいかも知れないわね。その上でニューヨーク州の弁護士資格をとれば、あちらで仕事もできるし。あなたのキャリアにもつながるわ。それで、その彼は何て?」
「いえ、まだそんな話はしていません。彼が海外へ行くかどうかも分かりませんし。でも、それに備えておきたいというか・・。」
「そうなの?きっと、行くわよ、ニューヨーク。」
「え?」
「楓、決めつけちゃだめよ?」

なぜか、留美子所長がクツクツと笑っている。
そして、楓社長は、私に興味津々の様子。

「それで?プロポーズはされているの?」
「はい。一応・・。」
「一応って?どういうこと?決めかねているの?」
「いえ、そんなことは。仕事のこととか、きちんと自分の考えがまとまったら、お受けしようと思っているんです。」

そんな私の態度に、うーんと楓社長が頭を捻った。

「何をそんなに悩むことがあるのかしら?」
「ですから、彼と結婚した場合のその後のこととか・・」
「何も問題はないじゃない。すぐに結婚したらどうかしら?それから準備を始めた方が、都合がいいわよ。ビザを取得するのも大変よ?実際、ロースクールの願書受け付けは12月からだと思うから、今から準備してギリギリだわ。」

確かにそうだとは思うんだけど、私は元々じっくり悩むタイプ。
楓社長のように、即決という訳にはいかない・・。

「何か他に不都合があるのかしら?例えば、彼に何か問題があるとか?」
「いいえ、そんなことはありません。」
「彼のことが好き?」
「はい。」

楓社長は満足そうに頷いている。

「彼が海外勤務になったら、一緒に行くつもりなんでしょう?」
「そうですけど、まだ、海外勤務になると決まっている訳じゃなくて・・」
「それでも、あなたが留学することはマイナスにはならないわ。結婚して、留学をしたらいいのよ。そうよ。そうしなさい。私が協力するわっ!」

って、まだ道明寺に何も相談してないのに。
結婚のことも、まだ返事なんてしてないし。
道明寺の転勤が決まった訳でもないのに、いきなり留学なんて言ったら、道明寺がびっくりしちゃうわ!
万が一、私だけ留学することにでもなったら大変だよっ。

だけど、楓社長は、やけに乗り気だ。

「いくつかの大学のパンフレットを準備しないといけないわね。」
「あ、ニューヨークでの住まいは、私も提供できるわよ。彼が頼りなければ、私を頼ってもらって構わないわ。協力するから、安心してっ!」

「楓・・張り切り過ぎよ。ふふ。」

留美子所長が苦笑いをしてる。

「あら、こういうことは勢いが大切なのよ。」

得意げに言う楓社長をみて、私も留美子先生も笑った。
そして、楓社長のその言葉に、私もだんだんと覚悟がきまってきた。



道明寺に返事をしよう。
悩んでいるだけじゃ、先に進まない。
私からプロポーズ・・なんていうのもいいかも知れない。

彼をびっくりさせよう。
それから、二人の人生をじっくり話し合って・・・

そして、二人で幸せになろう。



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今度は楓さんのプッシュ(笑)。
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もう、陽が高く上がっている時間なのに、道明寺に何度も抱かれた。
求められるがまま受け入れて、ぐったりとした私を、彼がバスルームへ連れて行った。
丁寧に体を洗ってくれる。
疲れ切って指一本動かすこともできない疲労感に襲われているのに、敏感なところを触られるだけで、またピクリと反応する自分に驚いた。
バスルームから出ると、道明寺が私の着替えを手伝ってくれた。
というか、ほとんど彼がしてくれた。
もう文句を言うこともできずに、彼に全てを任せている私。


体に力が入らない私は、彼に抱っこされて、初めて寝室から外に出た。
と、そこは・・何なのここ?という位に広いお部屋。
天井から床までつながる大きな窓ガラスからは、もう昼の日差しが差し込んでいて、そこから見える広大な敷地は、とても東京とは思えない。
さっきまでの寝室もバカみたいに広かったけど、この部屋はなんなの?
リビングスペース?
ホテルのロビーかと思うわよ。

そのリビングスペースはさらっとスルーされて、次に扉を開けると、長い廊下。
そこを道明寺に抱かれながら、どんどん進んでいく。
何よ、ここ。博物館なの?
ところどころに、ヨーロッパ彫刻が置かれている。
あ、美術館なのかも・・。

道明寺が大きな扉の目の前に立つと、両サイドからメイドさんらしき人が出てきて、恭しくドアを開けた。
そこは総大理石のダイニングルーム。
これでもかっていう位に長いテーブルが置かれていて、私はそのテーブルの一角に降ろされた。
道明寺は私のすぐ横に腰を下ろす。
壁際には、ズラリとメイドさんが並んでる。
まさか・・・こんなところで食事をするんじゃないよね?


すると、お年寄りのお婆さんが出てきて、
「坊ちゃんは、こちらへ。」
と道明寺に上座を勧めていたけれど、彼はそれを軽くスルー。
「こいつの面倒見るから、ここでいい。」

するとお婆さんが、やれやれと言った感じで私を見たの。
ひゃっ、恥ずかしすぎるっ。

「私・・大丈夫だから、道明寺はあっちに座って・・」
「何が大丈夫なんだよ。足腰立たねぇくせに。」
「ばかっ。何てこと言うのっ。」
「本当のことだろうが。俺のせいだから、俺が世話する。」
「ちょっとっ、大きな声出さないでっ!」
「お前の声のがうるせぇよ。」

「何ですか、いい歳した二人が、盛りのついた若者のような会話して。」

はっ?
盛りのついた・・若者・・・
いっ、いやーっ。
お婆さんったら、何てこというのっ!
だいたい、どうしてこんな広いところでご飯なのよっ。
皆んながジロジロ見てるじゃないのっ!

なーんて思っていたのに、道明寺が切り分けてくれたお肉をフォークで口に入れられれば、凄く美味しくて、彼がパンをちぎり私の口に運ぶものだから、反射で口を開けてしまう。
そんなこんなで、すっかりお昼ご飯を堪能してしまった私。
だって、おいしいものには目が無いのよ。
朝ごはん食べてなかったし・・。

ご飯を頂くことに夢中になって、道明寺が優しく私のお世話をしてくれるのを、まわりのメイドさんがあんぐりと口を開けてみていたことにも気づかなかった。



昼食が終わると道明寺はスーツに着替えた。
私はベッドに腰かけて、そんな道明寺を観察する。
彼はスーツがとても良く似合う。
彼のために作られた、体に沿ったデザイン。
思わず、見惚れちゃう。
それに、男の人がネクタイを結ぶ姿って、すごくいいのよ。うん。

「俺はこれから、仕事行かなきゃなんねぇけど、早めに帰るから、夜まで待っていてくれないか?」
「どうして?一人で帰れるよ。」
「だめだ。心配だ。」
「心配って・・」
「とにかく、帰りは俺が送っていくから、俺が帰るまではここでゆっくりしていてくれ。」
「・・・う・・ん。分かった。」

道明寺の目を見れば、絶対に折れそうにないことは容易に予想ができて、私は結局このままその場に残ることになった。
行ってらっしゃいのキスをして、道明寺を見送った。
なんだか、これ、新婚さんみたいじゃない?



道明寺がいなくなってから、お部屋にお茶を運んできてくれた先ほどのお婆さんと仲良しになった。
お婆さんはメイド頭のタマさん。
道明寺が生まれる前からこのお邸に努めているんだって。
何も分かっていない私に、いろんなことを教えてくれた。

ここは、道明寺家の本宅。
広いと思ったこの部屋は、道明寺の私室で。
私たちが結ばれたのは、道明寺の寝室。

このお邸では、バスの用意も、着替えの準備も、リネン替えも、全てメイドさんが行っている。
だから、食事が終わった時には、寝室はすでに清掃がされていて、私たちが汚しまくったであろうリネン類は全て取り替えられていた。

何もかもが、想像を絶するスケール。
理解できない世界。


覚悟はしていたんだけどなぁ。

道明寺ホールディングスは日本トップクラスの企業。
その御曹司と付き合うということ。
だけど、結局、私が想像できるレベルじゃ無かったのよね。
これほどまでとは・・。

このお邸の規模、半端ないよ?

あいつ・・結婚だなんて・・。
でも、あの口ぶりは冗談だなんて思えない。
そのまま頷いていたら、明日にも入籍しそうだったもの。


例えば、彼と結婚したら・・?
私もここに住むの?
メイドさんのお世話になって、あの大きなテーブルでお抱えシェフが作った料理を毎日食べるの?
掃除も洗濯もお任せで、
じゃあ、私の仕事って何になるんだろう?
彼の妻って、一体、何を求められる訳?

あーもうっ。
道明寺のことが好きだって、本当にそう思えたのに。
好きになった男は、やっぱりとんでもない男だった。
もう、どうしたらいいのか、分からないっ。


と、そこへ。

「何をそんなに悩むことがあるんだい?」
「え・・あ、タマさん。」

いたんですか・・。

「道明寺家の若奥様の仕事が知りたいのかい?」
「はい。どう考えても、私がお役に立てることはないと思うんです。」

地位も、名誉も、美しさも、何もない私・・。

「あれま。何を言うのかねぇ。この子は。道明寺家の若奥様に必要な仕事なんて一つしかないよ。」
「え?それって、何ですか??」
「知りたいかい?」
「是非っ。」

「それは、若旦那様に愛されることだよ。」
「はい?アイサレル??」
「ああ。そうさ。それは、どうやら、あんたにしかできないことだよ。」
「え?」

「あんたは、坊ちゃんの想い人なんだろ?」
「は・・い。」

や・・自分で言うなんて・・照れる。

「なら、何も心配いらないよ。」
「でも・・」

「これだけは言っておくよ。後にも先にも、坊ちゃんがこのお邸に女性を連れて来たのは、あんたが初めてだよ。もっと言えば、坊ちゃんが、女性に興味を抱いたのも初めてだね。」

「ええ?」

「つまり、あんた以外に、坊ちゃんが夜をともにする女性はいないってことだよ。」

ん?ちょっと待って。
一体、それはどういうこと?

「あんたを逃したら、この道明氏家は絶えるよ。」
「へ?」
「あの潔癖で、今まで女性を毛嫌いされていた坊ちゃんが、女性をお邸に連れて来て、自室の寝室に連れ込むなんて・・」
「連れ込むっ!!」
「奥様が聞かれたら涙を流して喜ぶよ。」
「え?」
「何をすっとぼけてんだい。坊ちゃんが、その気になった女性は、あんただけだって言ってんだよ。」

へ?
ええーっ!?
ちょっと、待って。
だって、道明寺司だよ。
恋人なんて、今までたくさんいたんじゃないの?
昨日だって、その・・・私のこと、ちゃんとリードしてくれてたんだよ。

それって・・・それって・・・
道明寺も、初めてだったってこと・・?

・・・・本当に?
信じられない・・・・・・。


「あたしゃ、初めて見たんだよ。坊ちゃんがあんなに楽しそうに食事をなさるのを。だから、坊ちゃんを見捨てないでやっておくれよ。」
「やだ・・見捨てるだなんて・・」
「もしも、坊ちゃんを捨てるようなことがあれば、このタマ、命を絶つからね。」
「え・・?」

「あんたが、坊ちゃんを捨てたら、あたしゃ、死ぬよ。」
「ええーっ?どうしてっ!!」
「坊ちゃんは、あたしの孫のようなもんだからね。あたしゃ、確信したよ。あたしの後を任せられるのは、あんたしかいないってね。」

いやいや・・そんな。
急に、そんなこと言われたって・・・。


「坊ちゃんを幸せにできるはのは、あんただけだよ。」

そう言って、タマさんがポロリと涙をこぼした。

「後生だよ・・つくし・・・。」
「タマさん、そんな・・泣かないでください。」

私だって、道明寺を幸せにしてあげたいと思ってる。
それなりに覚悟をして、彼に抱かれたんだから・・・。


「タマさん。大丈夫です。私・・頑張りますからっ!」
「そうかい・・頼んだよ!」


私って、情に流されやすいのよね・・・。
何てこと約束しちゃってるんだろう。

でも、私の両手を包むタマさんの手を振り払うことなんてできなかったの。

なんだか変なことになっちゃった。
いつの間にか、道明寺との結婚に向けて前向きに考えようとする自分がいる。

不思議・・。

この広いお邸も、たくさんのメイドさんも、何もかも。
全てをひっくるめて、道明寺司を受け入れてあげたいな・・と思った。


その時、タマさんが下を向いたまま、べーって舌を出して笑っていたことなんて、全く気がつかなかったんだけどね。



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暑いですね~。
結婚に向けて、タマさんがつくしをプッシュ!
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Sexってこんなに激しいものなの・・?


道明寺に何度も何度もつき上げられて、もう息もできなかった。
だけど、止めて欲しいとは思わなかった。
痛いけど、辛いけど、だけど、道明寺のと繋がっていたい。
もっと、もっと私を求めて欲しい。
そんな気持ちになった。

獣のように、私の体を舐めまわす道明寺。
乱暴に扱われているようで、そうじゃない。
一つ一つの動作が確かめるようで、私の反応をみて動いてる。
私はその動きに翻弄されて、ただただ喘ぎ、道明寺から与えられる刺激に身を任せるしかなかった。

初めてだなんて言ったら、引かれちゃうかと思ったけど、そんなことはなかった。
大切にするって言ってくれた。
それが、どんなに嬉しかったか・・。

道明寺のモノが挿入されて、凄い痛みに体にが割れそうで、彼から離れてしまわないように、必死に彼にしがみついた。
私は今日、爪を立てるっていう意味を知った。
それは、体も、気持ちも繋がるということ。
私が感じた幸せな痛みを、道明寺も感じてくれたと思う。

彼が私の上に落ちてきた時に、「好きだ」という言葉が聞こえたような気がする。

道明寺から、『惚れた』とか『一目惚れだ』なんて言われたことはあったけど、『好きだ』と言われたことはなかったと思う。
その言葉は、私をとっても幸せな気持ちにしてくれた。
だって、私にも道明寺のことを好きだと思っていたから。
同じように思ってくれることが嬉しい。
そんな幸福につつまれながら、私は意識を手放した。



ようやく意識がが戻った時には、私は道明寺の腕の中で眠っていた。
目を開けると、道明寺の胸板が見えて、現実を把握する。
私は、この人と・・。
でも、不思議と恥ずかしいとかそういう気持ちはなくて、この人を受け入れることができた喜びの方が大きかった。

あぁ・・私、この人のことが好きだなぁって、そう思った。

「私も、好きだよ。」

そう呟いてみたら、頭の方から声が聞こえた。

「初めから分かってんだよ。」

へ?
焦って顔を上げてみると、道明寺が私を見てる。
起きてたんだーっ!

急に頰が熱くなった。

「起きてたの?」
「いや、ちょっとだけ寝てた。」
「今、何時?」
「ん・・10時前か。」
「やだ、だいぶ寝ちゃった・・」

自分の告白が恥ずかしくて、どうでもいい時間の話なんてしたりして。

道明寺の視線を避けて、彼の胸板ばかりを見つめていたら、いきなり左手が掴まれた。
私の左手の薬指を何度も確認している道明寺。

「どうしたの?」
「エンゲージ・・・どんなのがいい?昨日見てた、一粒ダイヤがいいのか?」
「え?」
「俺は、弟とは違うから。まずは、エンゲージを用意したい。」
「は?」
「悪りぃけど、会費制のウエディングは無理だな。それなりにやらねぇとダメだと思う。」
「いや・・ちょっと・・」
「マリッジは、俺がデザインしてもいいか?世界で一つだけのものに拘りたい。」
「マリッジ・・・」
「式はお前の希望を聞くよ。ドレスは、どうしたい?」
「ドレス・・・?」
「女は、そういうの拘るんじゃねぇの?俺の姉貴はそうだったぜ。」
「いや、私はそういうのは・・」

って、ちがうっ!
ちょっと、待って、この会話の流れ・・
これって、結婚のことを言ってるんだよね?
間違いないよね?
ええーっ。早いよ、早い!早すぎる!!

「入籍だけはしちまうか?披露宴は場所と招待客のことがあるから、秘書と相談しねぇと。」

入籍っ!?
披露宴っ!??
だーっっ!!

「ちょと待って。道明寺っ!!」
「なんだよ。」
「えっと・・それって、結婚のことを言ってる?」
「それ以外に何がある?」

そういえば、この人は、初めから私と結婚したいと言ってた。
だけど、私はまだ、この人はとお付き合いをしたいというレベルなのに・・。

「まだ、結婚なんて早すぎるよ。だって、私達、昨日付き合い始めたばかりだよ?」
「付き合ってる日数なんて関係ないだろうよ。元々見合いって、結婚前提じゃねぇの?」
「だから、お見合いは断ったじゃないの。」
「俺のこと好きだって言ったよな。なのに、結婚のできない理由って何だよ。」

「何だよって・・。だって、結婚は、付き合っていくうちに、その・・自然に・・かなって思うし。ほら、前も言ったけど、仕事も中途半端で、まだ結婚生活をできる状況じゃないの。」
「仕事を辞めろとは言ってない。生活は、俺がフォローするから。」
「でも・・」
「悩む必要ないだろ?」

何だか、押し切られそうだけど、でも、本当に、こんなにすぐ結婚のを決めるなんて、無理だよ。


「ねぇ。お願い。もう少しだけ待って。」
「・・・。」
「付き合い始めたの昨日だよ?まだ恋人期間でいいじゃない。ね?」
「・・・恋人期間?」
「そっ、そう。今まではお友達だったから、次は恋人。その先に結婚だと思うの。」

じーっと道明寺のを見つめると、道明寺が参ったというように目に手のひらを当てた。

「はーっ。ったく。この俺のプロポーズを2回も断るなんて、アリエねぇんだからな?」
「はい・・ごめんなさい。」
「じゃあ、それなりに、反省してもらう。」
「え?」


道明寺が私の胸に顔を近づける。
小さな胸の谷間に顔を埋める。

「きゃっ、何するのっ!?」
「何って、ナニだろ?1回じゃ、足りねぇよ。」
「だぁーっ。バカッ!野獣。」
「これが普通の男だと思うぜ。」

両胸が道明寺の手の平の中。
彼の頭を押し戻そうとしても動くわけがない。

「お前の胸、すげぇ好き。」
「あっん。小さいから、あんまり見ちゃダメ・・・ひゃっ!」

道明寺に乳首を甘噛みされた。

「あっ・・」
「これ、好きだろ?」
「違うしっ!あんっ。やっ・・。」

胸を吸い付かれたと思ったら、今度は耳元にを吸われた。

「ひゃっ・・」
「これも弱いな。」
「はぁっ・・やっ・・やめて・・」
「止めない。」

どんどん私達の弱いところを攻めてくる。
今朝1回しただけなのに、どういう訳か、道明寺は私の体を自由に操っている。
触れられただけで、濡れていくのがわかるぐらい・・。

「さっきはごめん。夢中になりすぎた。今度は、お前も一緒にイコウゼ?」

えっ・・いこうぜって・・どこに??



それから、私は初めて知った。
繋がったまま導かれる、その先の世界。
その世界には、本当に二人しか必要なくて、身体中が痺れて、何も考えられなくなるぐらいに恍惚とする。

広いベッドの上で、獣のように愛し合う。
後ろから突き上げられる快感は私の脳まで駆け上がった。
二人が汗にまみれていることも、キスをする度に唾液が流れることも、何も気にならない。
道明寺が欲しくてたまらない。


「牧野・・牧野・・・牧野っ!」

名前をを呼ばれただけで反応して、彼をギュウギュウに締め付ける。
力を抜こうと思っても、抜けないの。

彼から与えられる刺激が閾値を超えた。

頭の中が真っ白になって、全身が痺れて震える。


私は、道明寺と同じ世界にイクコトができたみたい。
それは、女として、これ以上ない喜び。



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この先、収束させていきたいのですが、まだ展開を悩み中・・。
連休中は、不定期の更新になります。
皆様も、楽しい連休をお過ごしくださいね!
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