花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

あたしはずっと待っていた。

それは道明寺が迎えに来てくれること。
そして、あたし達が同じ時間を刻めること。

そのためにあたしが唯一できることは、ずっと待っていることだった。
あたしは唯々ひたすらに待ち続けた。


だけど、今、気が付いた。
あたしは、道明寺の迎えを待っていただけじゃない。
そうじゃなくて本当は、
道明寺があたしを必要としてくれることを待っていたんだって。

3年以上も会わなければ、あいつがあたしのこと、どう思っているのかなんて分からなくなる。
あたしはあいつのことを忘れたことなんて無いけど、あいつが同じようにあたしのことを想ってくれているのか自信が無くなった。

気を使った電話。
限られた時間。
例え、本当に迎えに来てくれたとしても、あたしたちはもう一度同じ時間を過ごせるようになるのか・・・。
ずっと不安だった。


七夕の今日、あいつに初めて言われた。
あいつがあたしを求めてくれた。

『頼む、牧野。今すぐ、ジェットに乗ってくれ。』


迎えに来て欲しかったんじゃない。
あたしを必要として欲しかった。
あたしが欲しいって言って欲しかった。
今すぐ会いたいって、今すぐ来いって言われたかった。

そして、そのあたしの願いが叶った。

そんな道明寺からのお願いを、あたしが断わる訳なんて無い。



嬉しくて、何も考えられない。

あたしは、すぐに迎えに来たリムジンへ飛び乗った。
お財布と携帯とパスポート。
それだけあればなんとかなる。


会いたい。
会いたい。
会いたい。
会って、あいつを感じたい。

あんたも、そう思ってくれてるんだよね。
それが分かって嬉しい。

不安なんて無い。
だって、あいつもあたしに会いたいって言ってくれたもの。


ジェットの中で、あたしはじーっと自分の腕時計を見つめていた。

あたしはもうすぐ、ニューヨークに着く。
あいつが住んでいる街に着く。
あいつと同じ時間の流れに入る。

もうすぐ・・この時計の時間が重なるんだ・・





あたしはニューヨーク時間の七夕の午後にJFK空港に降り立った。
そこにはあいつは見当たらなくて、あたしはそのままリムジンに誘導された。

なによっ。迎えにも来てくれないの?
って怒り出しながらも、頬が緩む。
あたしは今、ニューヨークにいる。
あいつが住んでいる街にいる。
あいつと同じ時間の流れにいることが嬉しくて仕方がない。
もうすぐあいつに会えるんだ・・・



*****



人生にはいくつかある分岐点。

俺にとって確実に言える分岐点は、あの日、あの牧野が乗ったバスを追いかけたこと。
鍋の日の決断は、友人達によって軌道修正されたっけ。
だが、あの時だって、俺は牧野を諦めた訳じゃなかった。
あいつを手に入れるための決断だった。
そして最終的には、牧野を日本へ残して、このニューヨークへ来る選択をした。

それでも、俺が選択した道は、全て牧野に繋がっている。
全ては牧野を手に入れるために選択した道だった。


そして、また分岐点が来た。
それが今日だ。

いつ、日本に戻れるか分からない現状。
何年も待たせる不安。
俺だって、毎日辛かったが、待ち続ける牧野はもっと辛かったはずだ。

俺と同じ時間を過ごしたいという、あいつの願い。

文句も我儘も言わない、あいつの願い。
俺が愛する女の、密かな願い。

今、叶えなくてどうする?


仕事より、未だ不透明な未来よりも、今が大事だと感じた。
直感だ。

分岐点は、今だ。




目の前の大きな扉が、ギギギ・・と開く。

_____あいつが来てくれた。



スローモーションのように開く扉。

バージンロードの向こうに、
3年ぶりに会うあいつがいた。


なんだよ、お前。
そのカッコ。
3年ぶりに彼氏様に会うんだろ?
ちっとはオシャレでもしてこいよ。

あー、ちくしょう!
そんなカッコでも、なんで可愛いんだよ!

なんで動かねぇんだ?
早く来い。
ここまで来いよ。


バージンロードの真ん中で、俺はあいつが来るのを待った。
あいつが待ってくれた4年を埋め合わせできる訳じゃない。
だが、俺も、万感の思いを胸に牧野を待った。


このバージンロードは牧野の人生を表している。
そのバージンロードの真ん中まで、
ゆっくりと牧野が俺に向かって歩いてくる。


「なによ・・。あんたが迎えに来るって言ったんじゃないの!なんで、あたしが来てるのよ!」
「久しぶりに会った恋人にそれかよ。」
「だって・・。」
「迎えに来た。お前の人生の分岐点だ。間に合っただろ?俺。」
「道明寺・・。」


「これからは、一緒にいよう。ずっと。」


これが二人の分岐点。
愛する女の願いを叶える唯一の方法。

「あんた・・本気なの?」
「本気だぜ?」


牧野がふわっと笑顔になる。
その表情をみて、俺も温かい気持ちになる。
二人だけの世界が広がっていく。

差し出した腕に、牧野の手が掛かった。
バージンロードを二人で進んだ。

二人きりで誓った愛は、限りなく深く、俺の胸に響いた。

そして、この日の為にずっと以前から用意していたマリッジリングを互いに通す。

俺は、牧野に。
牧野は、俺に。


誓いのキスは永遠の証だ。
永遠に彼女を愛し、今日この日を永遠に忘れない。


この七夕の日に願いを込めて。

_____これからの時は、ずっとお前と一緒に。











『ねぇ、パパ、おり姫とひこ星は一年に一度しか会えないのよ。かわいそうね。』
『ん?』
『パパはママに一年に一度しか会えなかったら、どうする?』

可愛い娘の話に耳を傾ける俺。
7年前を思い出す。
もう、限界だと思った、あの日。
俺達の人生の分岐点。

『大丈夫だ、ナナ。パパは、ジェットを飛ばしてママを迎えに行くからな。』
『そっかぁ。さすが、パパ。ひこ星もジェット飛ばせばいいのに・・。』
『あいつは、無理だな。そもそも、真面目に働かねぇからそんなことになったんだろ?』
『そうだよねぇ。』

ふんふんと納得した、妻にそっくりな娘に目を細める。


7年前の7月7日に、俺はつくしと結婚した。
あの日から、俺の人生は大きく変わった。
あいつが傍にいてくれることで得られるパワーに後押しされていった。

あの時、あの決断をしていなかったら、今この幸せはないかも知れない。
結局のところ、今になっても、俺は日本には帰れていないのだから。


ずっと、待っていた。
俺があいつを迎えに行ける日を。

だけど、気が付いた。
待っているだけじゃ、手に入れられない瞬間があるのだということを。


『お待たせーっ。』

向こうから、俺の待ち人がやって来た。

『ママっ、どうだった??』
『ん。男の子だって。』
『やったぁ。パパ、男の子だって!』

腹をさするつくしと目があって、自然と微笑み合う。


離れていた時が、互いを優しくした。
俺も、あいつも、素直になったもんだ。

娘を挟んで、歩き出した。


離れていた時間が無駄だった訳じゃない。
二人にとって必要な時間だった。

それでも、あの七夕の日に感謝せずにはいられない。
この幸せを手に入れた日、新しい命を授かった日なのだから。



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