花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

私は、大手広告代理店に勤めている。
社会人1年目。
大学3年の時から、インターン制度でお世話になって、そのまま就職をした。

現在は、雑誌に織り込む広告業務が私の仕事だ。
まだ暑い夏だけど、すでにこの秋冬の広告を作っている現状で、なんとも季節感のない仕事。

毎日仕事に追われている。
朝から晩まで仕事。
一人で住んでいるワンルームマンションに帰宅して、食事も適当に済ませてしまう、そんな生活。

社会人1年目の暑い夏。
5年ぶりに道明寺に再会したあの日からも、私の日常は変わらなかった。
これからも淡々と毎日が過ぎていく・・そう思っていた。


あの夜から3日目のこと・・

「おはようございます。」
いつも通りの朝。
自分のデスクに鞄を置いて、私は仕事に取り掛かった。

すると程なくして、内線電話が鳴った。
それは、社長秘書からで、今すぐ社長室へ来いとのこと。
どうして・・私が?という疑問が湧くのは当然のこと。
社長室になんて、呼び出されるような理由は思い浮かばない。
係長に事情を話すと、係長にも連絡が入ったようで、すぐに社長室に行くようい言い渡された。

首をひねりながら、初めて向かう会社の上層階。
一応、髪を手ぐしで整えて、ネームプレートの位置を確認し、社長室のドアをノックした。


「牧野さん、ご苦労様。」
「いえ・・・・あっ・・。」

思わず出てしまった声に、手のひらで口を塞ぐ。

だって・・。
だって、目の前に、道明寺が立っていたの。
相変わらず、完璧な出で立ち。
無表情な横顔にドキッとする。
私はすぐに自分の視線を逸らした。

「牧野さん、こちらは道明寺ホールディングスの道明寺司専務だ。英徳学園高等部で友人だったとか、存じ上げているだろう?」

友人・・・。
もう一度ちらっと道明寺を見たけれど、彼は何も言おうとしない。
つまり、友人というのは道明寺がうちの社長に伝えたことなんだ。

「はい・・。」

「道明寺専務は、先日帰国されて間もない。それで、社内外へのPRとして道明寺ホールディングスのHP内に、御自身の紹介などを定期的に上げたいんだそうだ。」
「はい・・。」
「それを、君にお願いしたいと仰られてね。」
「・・え?」

何それ?
そんなの絶対に、嘘だ。
だって、道明寺ホールディングスの広報部なんて、仕事を外注しなくても優秀な人材が集まっているはず。
それなのに、そんな個人的な内容のPRを他社に頼むなんて絶対におかしい。
社長だって、そう思っているはずだよね。
何で・・?

「あの。私はまだ、1年目で右も左もわかりません。」
「いや、君ができなくてもいいんだよ。」
「え?」

できなくていいって、そんなこと・・

「道明寺専務は、君を道明寺ホールディングスへ引き抜きたいと、そう仰っている。業務は先方が君に指導するということだ。HPは道明寺ホールディングスが管理しているから、うちが請け負うわけじゃないからね。」

どういうことなの?
私が道明寺ホールディングスへ行く?
仕事は向こうで覚えるから、今できなくてもいいってこと?

何を考えてるのよ・・
道明寺をじっと見つめると、今日初めて彼と目があった。
あの日、ホテルで抱き合って以来初めて。
どうしてか、道明寺が口角を上げた。

「牧野、一緒に働かないか?道明寺で。」

突然目の前に現れた道明寺。
本当に何を考えているの?
私とは、あの夜で終わりだったんじゃ無いの?
私を道明寺ホールディングスに入れてどうしようというのよ。

だけど、私に選択肢なんて残されていないことはすぐに分かった。
これは、決定事項。
私が駄々をこねたところで、何も変わらない。

この人は、一体何がしたいの?
私をどうしようとしているの?


私はその日のうちに、道明寺ホールディングスへの異動を命じられた。
出向ではなくて、完全なる移籍という形で。
私はあっという間に、道明寺ホールディングス広報部の社員になっていた。



***



あの日、目が覚めた時には、もう牧野の姿が無かった。
不覚にも、俺はぐっすりと眠っていたらしい。
ニューヨーク時代から今まで、高校時代と違って深く眠ることなどできなかったというのにだ。
牧野が腕の中にいる。
そして、俺の告白に答えないまでも幸せそうにに眠っているのを見て、安心感しちまった。

牧野はまだ、俺のもんになった訳じゃねぇのにな。
指輪も外していない。
まだ、何も変わっていない。

だが、これからだ。
容赦しないと決めたのだから。
これから一気に追い詰めるしかない。
同じ日本にいるということは、これ程に心が浮き立つもんなんだな。
アメリカにいては偶然に出会うこともなかっただろう。
あいつは俺の近くにいる。
俺が手を伸ばせば、掴めるところにいるんだ。
___やってやる。


この5年は、一度も牧野の消息を調べなかった。
だが、もう、それも終わりだ。

ここからは遠慮も容赦もしない。
俺の本領発揮だ。


俺は、すぐに牧野の現状を調べた。
牧野は、大手広告代理店に勤めていた。
去年、日本の経済誌に牧野が紹介されていた、その企業だった。

人間関係についての報告も受けた。
あいつは、5年前の雨の日に俺と別れた後、地方の高校に編入していた。
それから、奨学金を得て東京の国立大学を卒業し、現在に至る。
親しい交友関係に、牧野の恋人と思われる男はいなかった。
ただ一人、俺の知る人物以外には。

____花沢類。


俺の幼馴染である3人は、時折ニューヨークを訪れることがあった。
だが、誰一人として、俺の前で『牧野』のことを口にする奴はいなかった。
類とは、確か2年前に会ったのが最後だ。

3週間前に日本に帰国してから、俺はあいつらに一度も会っていない。

類か・・。


いや、しかし・・
俺はあの指輪から類は想像できなかった。
類と牧野が付き合っていたとしても、あいつは俺にそんなことは言わないだろう。
だとしても、あの指輪の贈り主は類じゃないと断言してもいい。
類という男は、繊細な男だ。
恐らく、女に贈るものには拘りを見せ、芸術品並みのものを用意するに違いない。もちろん、俺も負けはしないが・・。
しかし、あの牧野の指輪は、一粒づつの小さなダイヤが単に寄せ集められたような、そんな計算性のない並び方をしていた。
だから、俺はあれを類がオーダーするとは思えなかった。

じゃあ、誰だ?


そう考えた俺は、いっそのこと、牧野を俺の手元に置こうと決めた。
あいつを側におけば、あいつの私生活を知ることができるだろう。
あの指輪の贈り主も自ずと明らかになる。
何より、俺が牧野の側にいたかった。
あいつの体を知った今、もう離れていることは出来ない。

過去は必要ないんだ。
今、現在を手に入れようとしてるのだから。
少しずつ、あいつを追い詰める。
あいつの体はすでに俺のものだ。
後は、心を取り戻すだけ。
少なくとも一年前までは、俺が贈ったあのネックレスを身に着けていたはずなんだ。

今、誰を想っていようとも関係ない。
もう一度、俺のことを好きになれ。
そして、体にも覚えこませてやる。
お前も、俺から離れなれないように。



すぐに俺は行動に移った。
牧野を道明寺ホールディングスの広報部に呼び込んだ。
出向ではなく、完全なるヘッドハンティングだ。
悪いが、優秀かどうかは関係ない。
だが、経済誌に乗るほどの学生だ。
無能ということはないだろう。
それに、俺のPRをするなら、あいつが一番適任だ。
俺の全てを知っているのは、あいつしかいねぇんだからな。

牧野が断るという選択肢はないはずだ。
断れば、広告代理店に圧力をかけるつもりだった。
それが分かっていたであろう牧野が、俺の提案に頷くしかなかったのは、当然のことだった。



道明寺ホールディングス日本支社。
道明寺グループの専務である俺は、事実上、ここのトップだ。
俺の指示は絶対だ。
逆らうことは許されない。

俺は、内線を押した。

「広報の牧野つくしを俺の部屋に。」


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