花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

花束を君に〜21の翼〜
異種CP21人の二次作家によるイベントを開催します♬


こんにちは、Happyendingです。
すでに多くのサイト様で告知が上がっていると思いますが、異種CPの書き手が集まった大規模リレーが始まります。

異種CPって・・・?
つかつく、類つく、総つく、あきつく、4CP全ての書き手さんが集まっているんです!
恐らく、花男二次至上最大規模ではないかと思います。

そんな記念すべきイベントにお声かけいただき、私も参加して参りました。

全部で6つのカテゴリーに分かれて、1日8回の更新が2週間続きますよ。
すごいですね!(^^)!

それぞれのカテゴリーについて、以下にご紹介があります。
よーく読んで頂き、楽しんでいただけたらと思います♥



以下、詳細になります↓

サイトオープン日     10月15日0時00分頃〜11月下旬頃
(それ以降はサイトはクローズし、各々のブログでの公開となります)

サイト公開日            10月15日6時00分〜10月28日(あとがき)まで 毎日8話ずつの公開となります。
コメントはオープンコメントのみ受け付け致します。
どうしても秘密でコメントを残したい場合は、各サイト様へ直接コメントをお願い致します。
異CPのイベントです。各作家さまの士気の低下に繋がりますので、誹謗中傷などのコメントはご遠慮ください。



Romance(リレー本編)、Pure Love(純愛)、Comedy(コメディ)、Fantasy(パラレル)、Battle(ドンパチ)、Darkness(ダークネス)と6つのカテゴリごとにリンクを貼っております。
お好きなお部屋にどうぞ♬


ピンクの花束(200px×40px)

シンプルバナー_300_150

リレーサイトバナー
リンク貼付の場合には、イベント管理人までお声掛け下さい。



Romance
ラブ(R)度★★☆☆☆/ロマンチック度★★★☆☆/コメディ度★★☆☆☆/ドンパチ度★★★★☆/シリアス度★★★☆☆
家庭料理レストランを営むつくしちゃん。飾らない魅力に惹かれて、御曹司たちが集まってくるお店。その中の幼なじみ4人組が本気で落とすべく、デートに誘うが、さて、つくしちゃんは誰の手に?
4つのCPごとにエンディングが多数用意されております。
是非お楽しみください。
10月15日〜 6時、12時、18時公開

Pure Love
ラブ(R)度★★☆☆☆/ロマンチック度★★★★★/コメディ度☆☆☆☆☆/ドンパチ度☆☆☆☆☆/シリアス度★★★☆☆
約束の4年を守って帰国した司。まだ学生だったつくしと婚約だけはしたものの、それから5年。二人の仲は続いていたが、つくしは結婚を言い出さなくなった司に不安を感じていた。そして、その不安に気づいたのは、司ではなくF3だった・・・。
※こちらのエンドは一つのみになります。希望のエンドでない方もいらっしゃると思いますが、笑って受け止めていただけると励みになります。
参加者:あお様、Gipskräuter様、Happyending、koma様、lemmmon様、miumiu様、聖様
10月15日〜 9時公開

Comedy
ラブ(R)度★★★☆☆/ロマンチック度★★★☆☆/コメディ度★★★★★/ドンパチ度☆☆☆☆☆/シリアス度☆☆☆☆☆
F4とつくしは大学生。類が持ち出したのは、あみだくじ。つくしとのデートの順番を決めるため。そして、一番になったのは司。でも、ゴージャスなデートを目論む司の思惑は次々はずれてしまう。さて、二番手は?
参加者:河杜花様、lemmmon様、miumiu様、plumeria様、りおりお様、星香様、空色様、やこ様
10月16日〜 3時公開

Fantasy
ラブ(R)度★★★★★/ロマンチック度★★★☆☆/コメディ度★★☆☆☆/ドンパチ度★☆☆☆☆/シリアス度★★☆☆☆
のどかで平和なマッキーノ王国。でも戦争の魔の手が迫ってくる。敵国シヴァ王の狙いは美しく快活なツクシ姫。危機を脱するべく、幼なじみの四王子のもとへ助けを求めに行くことになった。でも魔法で送られた先は違う世界だった!
F4それぞれのエンドをお楽しみください。
参加者:asuhana様、Gipskräuter様、河杜花様、lemmmon様、凪子様、オダワラアキ様
10月15日〜 21時公開

Battle
ラブ(R)度★☆☆☆☆/ロマンチック度☆☆☆☆☆/コメディ度★★★★★/ドンパチ度★★★★★/シリアス度★☆☆☆☆
家庭教師のバイトが休みになったある日、つくしは類にバイトに誘われる。F3とともに家へ向かうとそこにはコンピューター。開発した体感型オンラインゲームを試してみたいとのこと。5人でゲームの世界に飛び込んだが、元の世界に戻れなくなってしまう。どうなるF4とつくし!
参加者:asuhana様、あお様、ロキ様、miumiu様、桃伽奈様、plumeria様、星香様、空色様、たろさ様、やこ様
10月15日〜 15時公開

Darkness
ラブ(R)度★★★☆☆/ロマンチック度☆☆☆☆☆/コメディ度☆☆☆☆☆/ドンパチ度☆☆☆☆☆/シリアス度★★★★★
30代も半ばを超えたF4。交流の絶えていたつくしがF4のもとに現れる。人妻となっているつくし。彼女がF4に求めるものは?そして、F4はどう応えるのか?打算と欲望がぶつかり合い、暗い衝動が皆を支配する。暗闇が口を開け、皆を飲み込んでゆく。混乱が幕を開ける。
※こちらはハッピーエンドではない可能性がありますので、十分覚悟の上お楽しみいただければ幸いです。原作つくしの明るさや、純真さが好きな方にはオススメしません。読み終わった後の誹謗中傷的なコメントも頑張って書いた二次作家様たちが泣いてしまうので、心の中だけでお願いします。
参加者:asuhana様、lemmmon様、ロキ様、桃伽奈様、凪子様、オダワラアキ様、plumeria様、星香様、やこ様
10月16日〜 0時公開


【リレー参加サイト一覧】
(CP別、サイトマスターアルファベット順)
※リレーのエンドとは異なる可能性があります。

★司×つくし
Happyending With a Happy Ending
koma様 とりあえず…まあ。
きぃ様 Tsukasa&Tsukushi's DiaryTresor~*トレゾア*
lemmmon様 甘さとスッぱさと
やこ様 Beautifuldays 

☆類×つくし
桃伽奈様   紅茶カップ
凪子様   ビー玉の瞳
オダワラアキ様   dólcevitaオダワラアキの二次小説置き場
りおりお様   類♡だ〜い好き    
聖様   夢見月~Primavera~
星香様   駄文置き場のブログ
空色様(パス制となります)   空色の時間
たろさ様   lale

★総×つく
Gipskräuter様 gypsophila room
河杜花様 柳緑花紅
miumiu様 おとなのおとぎばなし
plumeria様 Pas de Quatre
四葉様 ツクヅクシ

☆あき×つく
あお様 あおいろ

★ALL
asuhana様 明日咲く花
ロキ様 乙女椿




さて、私はと言いますと・・・・
本編リレー『Romance』と、チーム別リレー『Pure Love(純愛)』の二つに参加させていただきました。

いつ登場するのかは・・・お楽しみに(*^-^*)
応援、どうぞよろしくお願いいたします!!

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  1. お知らせ
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

私は昨晩、本当に眠れなかった。
今日、社長に言われたことの意味を考えていて・・・。

1つ目は・・・
専務が女性に興味があるのか、無いのか?
専務には、本当は恋人がいるのかどうか?
それが、もし分かったとして、
それを社長に報告したら、専務は困るのかな?

2つ目は・・・
もしも、専務が女性に興味がないならば、
そんな専務のプライベートを、本当に社長に報告できる?

3つ目は・・・
恋人がいないのなら?
___あの、楓社長の言葉。

「もしも、あなたがその気なら、司をその気にさせてみたらどう?」

思い出しても恥ずかしい!
もし私がその気ならって、
私が専務のことが好きならばって言ってるの?
私に専務を落としてみろって、そういうことなの?
信じられないっ!
っていうか、そもそも母親の言うことかしら?
しかも、相手は道明寺財閥の長男だよ?
私なんかと釣り合う訳ないのに。
だいたい専務が私なんて選ぶわけないし。
そんな人に、せっ・・迫るだなんてっ!!

だっ・・だめだ・・・眠れないよ・・・





そして翌朝。
目が覚めると、目に凄いくまが出来ていた。
ふぅ~。

とりあえず、専務のパートナーを務めるのは、再来週のワインパーティー日だ。
元々楓社長の代わりに行くことになっていたそのパーティーは、メープルが契約を打診をしている幻のシャトーの経営者一族であるアヴェール家の現当主にご挨拶をする事が私の目的。
本来は、専務秘書の鈴木さんと一緒に行くはずだったんだけど、司専務も出席予定だということで二人で参加することになった。

良く考えたら、パートナーになるのは再来週で、それまで専務とずっと一緒にいる訳じゃない。
ということは、そんなに急に状況が変わる訳じゃない。
これからゆっくり、落ち着いて考えればいいのよ。
そうすれば、だんだんと何かが見えてくるはず・・・



・・・そう思って、安心していたのに・・・・・


「牧野、今日から3週間、司について頂戴。」

朝、社長を迎えに行くと、突然そんなことを言われた。

・・・え?
と呆然とする私。

「私と笹山は、ヨーロッパ視察に出るでしょう?もともとワインパーティーもそのせいで出席できないのよ。その間、あなたには専務秘書として司についてもらうわ。」
「そんな、急に。どうしてですか?」
「もう、西田にも伝えてあるし、今日から専務室に行って頂戴。」
「でも。」
「牧野、あまり悩まないで、普段通りにしていたらいいわ。西田は長年私の秘書を務めた優秀な男よ。その西田の元で3週間しっかり修行をすると思ってもらったらいいわ。司のことはついでよ。」

そんな風に言って、私の気分を軽くさせてくれようとしているのは分かるけど。
それは、スパイしやすいようにわざわざ画策した・・とか?


「あなたの思う通りにしなさい。あなたからの報告に驚くことはないと思っているから。」

そう言って、楓社長は立ち上がり部屋を出る。

そんなこと言ったって。
思う通りに何をするっていうの?
この3週間で、専務の情報を仕入れて来いということ?

あーもうっ。
予想外なことばかり。
いったい、私はどうしたらいいの?





結局、社長はロビーに来ていた笹山部長と会社へ向かった。
そして、私はロビーで待っていた西田秘書室長と挨拶を交わす。

「今日からどうぞよろしくお願い致します。」
「こちらこそよろしくお願いしますね。」


臨時の専務秘書となった私の直属のボスは、この西田秘書室長になる。
秘書課のトップは西田室長。
社長の第一秘書の笹山部長よりも地位は上だ。
でも、まぁ、実際にはツートップという感じかな。
室長は秘書課全てを束ねつつ、専務の第一秘書をされている。
楓社長のおっしゃる通り、過去にはずっと楓社長についていて、秘書の鏡と言われる人。

室長がじろっと私の頭から靴先まで目を走らせた。

ビクッ!!

思わず体がすくんじゃうっ。
何も悪いことはしてないけど、
だけど、私は臨時の専務秘書で、かつ専務のパートナーでありながら、一部楓社長のスパイ的な役目も担っている。
専務のプライベートを探るだなんて。
まっ、ましてや、その気にさせるだなんて・・・。
いやっ!ありえないからっ!!


一人真っ赤になっていた私を見て、怪訝そうな表情の西田室長。

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?行きましょうか?」
「・・・はい。」

私ったら・・・恥ずかしすぎる・・・。



そして、室長の後ろについて階段を上がり、いつもとは違う東側の居室へ向かった。
突き当たりの部屋をノックして、室長がドアを開ける。

「おはようございます。」

室長が挨拶をして中へ入り、私も一礼してから続いた。
もちろんそこには司専務がいた。

専務はソファーに座り、新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。
後ろ姿からでも漂うオーラ。
なんていうか、気品があるんだよね。
ただコーヒー飲んでるだけなのにね。

でも、室長が挨拶をしてるのに、無視って・・ダメじゃない?
楓社長は必ず挨拶を返してくれるわよ。
そういうところはきちんと教育した方がいいと思うけど。

なんて、どうでもいいことを考えていたら、

「牧野さん、明日からはこちらへ直接来てもらえますか?専務の送迎を頼みますね。」

うそ。今、何て?
私がびっくりして聞き返そうとすると同時に、専務がパッと新聞から顔を上げた。

「牧野。」
振り返り、立ち上がった司専務。

うっ・・。
やっぱりこの人は、スーツが似合う。
グレーのジャケットには薄いストライプが入っていて、彼の逆三角形の体型が強調されているデザイン。
細身のスラックスも体にぴったり沿っていて、絶妙なバランス。
オーダーメイドに違いないそのスーツも、着る人が着なきゃ、ここまで完璧にはならないよね。

嫌味な位に完璧だ。
悔しいけど、やっぱり素敵だ。


「専務、おはようございます。本日より3週間、専務秘書となりました牧野つくしです。どうぞよろしくお願いいたします。」

「おう。聞いてる。」
専務が、嬉しそうに笑った。

「もう、体調大丈夫なのか?」
「はい。ご心配おかけしました。」
昨日顔色が悪かった理由は、体調が悪かったってことにしていたから、専務は心配していたみたい。

それから、私のスーツを見て、また笑った。

「そのスーツいいじゃん。」
「自分で指定したくせに。」
ちらっと、専務を睨む。
「あ?」
「いえ、何でもありません。」


昨日の夜、さらに衣類が届けられた。
つい先日、あれ程たくさんスーツやら何やら買ってもらったのに、今度はやや厚手のスーツやコート類や、パーティー用のドレスまで。
ドレスはもう頂いているのに、まだ買うかって驚いた。

専務のパートナーって、こういうことなんだなぁ。
専務に恥をかかせないように、服まで指定されるんだ。
ただの秘書とは違うってことなんだ。
・・・と私は納得して、それらを受け取ったんだ。


そして今日は、特にこれを着て来いと、ホワイトベージュのスタンドカラーのスーツと、インナーに薄いピンクのブラウスまで指定されていた。
いつもよりも格段に女性らしいスタイル。
上質なウール素材のスーツは、肌触りがとてもいいし、
スカート丈も絶妙で、いつもよりスタイルが良く見えた。
やっぱり、専務のセンスっていいんだよねぇ・・。


「クッ・・・」

笑ってるし・・。
ダサイ格好したら恥ずかしいからって、服まで指定してくるなんて。
私って、きっと本当にイケてない女だと思われてるんだろうな。
なんだか、落ち込んじゃうよ。

こんな私が専務とだなんて・・・
って、うわぁ!!!
なんで、今、思い出すかなっ。
もういやっ!!
しっかりしろっ、つくしっ!!


「なんだよ、やっぱ、具合わりぃの?顔が赤いぜ?熱あるのか?」

専務が私の額に手を当てる。

うっ・・・。

そして、私の顔を覗き込んだ。

やだ・・・なんか、近い。

「大丈夫です。緊張しているんです。初日ですから。」

必死に冷静を装って返事をしたら、
専務が額から手を放して、私を上から眺め見た。


「やっぱ、似合ってるな。俺の見立ては完璧だろ?」
「じっ・・自意識過剰です。」
「頼んだぜ、パートナー。」
「お引き受けしたからにはしっかりやります。室長に徹底的に仕込んでもらいますから。」
「おう、頑張れよ。」
「はい。」

そうよ、仕事よ、仕事。
頑張らなきゃっ。

そうして、私たちは、リムジンに乗り込んで会社へ向かった。

____私、大丈夫だよね?普通にできてるよね?


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  3. [ edit ]

「それでね、実はもう一つ。あなたにお願いしたいことがあるのよ。」


こんなにご機嫌な楓社長を、未だ嘗て見たことが無かった。

「何でしょうか?」
何となく身構えちゃうよ。


「司の、女性関係についてなんだけど・・。」

ん?
専務の・・女性関係?

私は首をひねった。
明らかに、話の流れが変わってる。

「司には、今まで恋人と呼べる人がいたことがないの。」
「・・そうなんですか。」
「そうなると、どうしても問題が出てくる。」
「問題ですか?」
「そう、道明寺司は、女性に興味がないのではないかってね。」

んんん??
女性に興味がないって?
どういうこと??

「実際、今でも影でそんな噂があるのよ。」
ふぅ、と楓社長がため息をつく。

噂ってなに?

「それで、あなたに、お願いしたいのは・・・」

全く、話が見えない。


「司のプライベートを調査してもらえないかってことなの。」


・・・え?
・・・・・・・え?
ええーっ!!!

もう、目が点!
私はきっと、凄い間抜け面をしていることだろうと思う。

専務のプライベートって、一体どういうこと?
尊敬する楓社長が、一体何をおしゃっているのか意味不明!!


「あなたは司と仲がいい。そして今後はパートナー同士よ。」

うん。それはそうだけど。

「それなら、きっと聞いたり、目にしたりするチャンスがあると思うの。」
「ええと・・何をですか?」

「あの子が女性に興味があるのかどうか・・・。」

「え?」
「こんなこと、牧野にしか頼めないわ。」

どういう意味?
全然分からないよ。
私に何をしろっていうの?

「社長・・・全く、意味が分かりません。」
「そうかしら。あなたは知らないのかも知れないけど、司がゲイじゃないかという噂がすでにあるの。」
「ええーっ!?」

ゲイっ?
信じられない!!
考えらえない!!

「私はそうは思っていないのだけど。」
「はい。」

私もそうは思わないよ。
あの時、アクシデントだったけど、唇が触れ合っても、そこまで嫌悪反応は示されていなかったと思う。
そりゃ、嫌悪されてもショックだけど。
何度も手を繋いだし、肩に手を回すのも自然だった。
そんな専務がゲイだなんて・・・。

「でも、今までに恋人もいない以上、確かめられなかったのよ。だから、牧野にお願いしたいの。」
「何をですか?」

「だから、司が女性に興味があるのかを知りたいの。」
「ええっ?」

「女性に興味があるのかどうなのか?もしくは、隠している恋人でもいるのか?」

・・・・・。

「そっ・・それは、つまり・・私をスパイとして送り込む・・ということでしょうか?」
「そんなに堅苦しく考えなくていいのよ。報告は、司の恋愛関係のことだけで構わないわ。」
「そんなっ!無理です!」

いくら社長の頼みでも、専務のプライベートを調査するなんて。
専務に失礼だよ。
パートナーとして知り得た情報を、他に漏らすだなんて、裏切りだよっ!

「誰とどうなっているかの報告までは要らないわ。それはあなたも重荷になるでしょう。もしも、恋人がいるのなら、それでいいし。まぁ、道明寺家が認められるレベルの女性であれば。」

道明寺家が認めるレベルの人って?
どのレベル?

「司に正式なパートナーができれば、あなたの役割は終了ね。」

専務に真のパートナーがいるのなら、私はこの役目から解放される。
そうか、専務に恋人がいれば、その人が公私ともにパートナーになるんだ。


ズキン・・・

あれ・・まただ。
私、もしかして、ショック・・・受けてる?
あーもう!何考えてるのよ!
今は楓社長のお話に集中しなきゃだめだよっ。


「では、もし、専務に恋人がいなかったら・・」

そうよ。
大きな声じゃ言えないけど、万が一、本当に女性にに興味がなかったら?
そうしたら、いつまでたっても真のパートナーは現れないことになるじゃない。

「その場合は、あなたがパートナーを務めるしかないわね。」

務めるしかないって・・いつまで?

「ずっとですか?」

「それは、嫌?」

嫌って言うか、それが仕事だと言われればそうするしかないし。
専務のパートナーが現れるまで、私が仮のパートナーになればいい訳で。
それは、決して嫌じゃない・・と思う。
だけど、ずっとそのままって訳にはいかないでしょう?

そして、あれこれと悩んでいた私は、
その次に楓社長が放った一言に、唖然とした。


「ふふふ。牧野、もしもよ?もしも、あなたがその気なら、司をその気にさせてみたらどう?」


でっ!
えっ?ええーっ!!!
今っ、何てっ!!!
今のセリフはどういう意味?

アナタガソノキナラ?
ソノキニサセテミタラドウ?

意味がっ、意味が分からないよっ。


「じゃあ、私からの話はこれで終わり。下がっていいわ、牧野。」

ちょっと待って!
待って下さい!それはいったい・・・。

それは・・・つまり・・・
専務に恋人がいないのなら、専務を誘惑してみろと?そういう事?

しっ、信じられないっ!
ありえないっ!!





***



「失礼しました。」

結局・・・私は楓社長の頼みを引き受けてしまった。
というよりも、あの状況で拒めるはずなんて無かった。
すでに、パートナーは引き受けてしまった後だったし。

専務のパートナーは努力でなんとか乗り切れるはず。
だけど、問題は・・・専務の女性関係?

プライベートを探るって、どうやって?
専務に直接聞いてみるとか?
けど、いつ、何て言えばいいの?
いきなりそんなの聞けるわけないよね。

それに、そっ・・その気にさせるとか・・・
いやっ、ちがうっ、絶対に無理っ!!!


あーもうっ。

私は秘書室には戻らず、そのままふらふらと反対側のエレベーターホールに向かった。
壁際の観葉植物の影から、窓の外を眺める。


どうしよう・・。
ゲイかどうかとか、専務に恋人がいるかどうかなんて、どうでもいいじゃない。
そもそも、そういうことに回りが関知するなんておかしいよ。
恋人がいなかったからって、私にはどうしようもないし。
それに私が専務を・・なんて。
考えることすら失礼だよっ。

どうしよう・・。
本当にバカなことを引き受けちゃった。

私、最低だ・・・・。



その時、背後から声が掛かった。

「牧野。パートナー引き受けてくれたって?」

「専務。」
振り返ったら専務がいた。
凄く嬉しそうな顔。
そんな顔を見たら、なんだか申し訳ない気持ちで胸が詰まる。


「どうした? 顔色わりぃな?」

私は、あなたのスパイになっちゃったんです・・・なんて言えるはずもない。

「ババァになんか言われたんだろっ。チクショー、あのババァ!!」

「ちっ、違うから。」
社長室に飛び込もうとする専務の腕を慌てて引き戻す。

「じゃあ、どうしたんだよ。そんなに俺のパートナーが嫌なのか?」

違う、違うよ。
そうじゃないよ。
パートナーになるのは、ちょっと嬉しかったもん。
だけどね・・・。
いっそのこと、打ち明けられたらどんなにいいか。


「俺が完璧にエスコートしてやるから、心配すんな。」
そう言って、専務がまた、ポンポンと頭を叩いた。

その優しさが切ない。
この人のことを調べようなんて。

そんなこと、できないよっ。
いったい、私は、どうしたらいいのっ!?


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「牧野、ここへ掛けて貰える?」
「は・・い。」

私は、お盆を両手に抱えたまま、楓社長の向かい側に座った。
初めて座る、社長室の来客用ソファー。
ここへ座る人の緊張がよく分かる。
真正面の同じ高さから、社長が私を見ているんだもの。
緊張しない訳がない。

「専務・・いえ、ここは、司と呼ぶわね。」
「・・はい。」
「司は今まで、数回しかパートナー同伴でパーティーに出席したことが無いの。どうしてだか分かる?」
「同伴の必要が無かったのでは?」
「そうでは無いわ。あの子が女性を毛嫌いするからよ。」

司専務が、女性嫌いであるという噂は聞いたことがあった。
だから、専務秘書に女性は一人もいないのだと。
だけど、今までの専務をみていて、女嫌いだなんて思えなくなっていた。
買い物も自分から買って出てくれたし、あの日のランチだって、専務が誘ってくれた。
口は悪いけど凄く優しかったし、それに私の手をためらいなく握ってた。
むしろ、女性に慣れていると思ったぐらいだ。
今日だって、一緒にサンドイッチを食べたんだよ?
そんな人が女嫌いって本当かな?
・・・と考えを巡らしていたところで、また社長から声が掛かる。

「だけど、これから、あの子の立場が上がるにつれて、同伴が必要なパーティーに一人で出席していては、悪目立ちをするようになるわ。特に、来年のうちの75周年記念パーティーは華々しい演出を計画しているし、そこへパートナー不在で司はが出席するのは許されないの。」
「よく・・分かりませんが・・そうでしょうか。」

私には、よく分からないよ。
専務にパートナーが必要な理由なんて。

「もう一つ。パートナーの役割はね、ただ隣にいることだけじゃ無いの。それよりも重要なのは、周囲を見て、どこに誰がいるのかをきちんと把握すること。そして、的確に挨拶回りができるように司をリードする必要もある。重要な話になった時には、一部の余計な人間を別な場所に移動させたり、色々と世話を焼く必要もある。こういった事は、普段は司の第一秘書、西田が勤めているわ。そして司が結婚すれば、妻の立場になる女性も配慮すべき事になる。」
「・・・はい。」

専務が、結婚・・か。
なんだか想像できないな。
この数日、近くに居過ぎたのかな。
急に専務が遠い世界の人のように感じた。

「そう言った意味で、司にはパートナーを見つけてほしいと思っているの。司の隣には、周囲の状況を冷静に判断できる優秀な女性が必要なの。」
「はい。」

「今まで司は女性秘書は置かなかったし、全て西田が代行していたわ。けれど、来年の75周年記念パーティーは、この道明寺グループが威信をかけて開催するものよ。そこで、司には、西田を近くに置くのではなく、優秀な女性を隣に置きたいの。その二人でパーティーを乗り切る。それは、つまり、司が独り立ちした証になるのよ。」

専務が独り立ちする?
それは、つまり、副社長に昇進するということかしら?
そのパーティーの席で、第一秘書以外の女性を同伴させ、挨拶をして回る。
その場を華やかに盛り上げて、更なるビジネスチャンスをモノにする。
そうすることが、副社長になる専務の株を上げることになる。

「単に食事会でエスコートするお嬢様じゃ、役に立たないわ。」
「理解はできました。」
「私がここに用意した3名の女性は、とても優秀な方達で、彼女たちのうちの誰かに司のパートナーをお願いしたいと思っていたの。」
「はい。」

テーブルの上には、釣書らしき封筒が3通あった。
つまり、専務のお見合い相手ということだ。

ズキッ。

やだ、胸が痛い。
けど、・・・・なぁんだ。
私にパートナーを依頼するってことじゃなかったのか。
ホッとしたような、ちょっとだけがっかりしたような。
それは、あれよ、あれ。
専務のパートナーになりたかったってことじゃなくて、楓社長の言う『優秀な女性』という括りには入れなかったことに対して・・・よね。


「でもね。」
「はい。」
「灯台下暗しだったわね。」

え?

「まさか、司とあなたが知り合いだったなんて。」
「あの・・・」
「先週、司と一緒に邸に戻って来たわね?」
「はい。その・・スーツを選んでいただいたんです。」
「なるほど。ふふっ。あの子ったら、案外趣味がいいのね。」

楓社長がくすくすと声を出して笑っている。
専務のセンスは確かにいいと思う。
このスーツを着たら、私だってなんだか一流秘書の様だし。
専務に似合ってると言ってもらえたら、ちょっと自信が出るもん。


「そうなのね。司は、あなたのことをずいぶん気に入っているみたいね。」
「違います。色々と心配してくださっているだけで・・・」

「司にパートナーが必要な理由はさっき言った通りです。そのパートナーをあなたにお願いするわ。」
「社長!」
「よく聞いて。」
「・・・・はい。」

「今まで女性を毛嫌いして、ビジネス上のパートナーも容認しなかった司が、あなたにパートナーを頼むなんて、凄いことなの。」
「・・・・はい。」
「ひとまずは、ビジネス上のパートナーを務めてほしいの。これは、道明寺グループにとっても利益になる。つまり、社長命令よ。」

私はゴクッと唾を飲んだ。
社長命令と言われれば、断る事なんて出来ない。

「ですが、私で大丈夫でしょうか?パーティーなんて裏方でしか参加したことがないんです。」
「そうね。そのあたりは、これから場数を踏んでいくしかないわ。一通りのマナーは大学で身に着けているわね?」
「はい。」
「それなら、大丈夫よ。それに、この半年間は私について回っていたから、あなたの顔はある程度は知れているわ。社長秘書をパートナーに連れているのは特に問題にならない。何かあれば、私に言いなさい。協力は惜しまないわ。」


社長からこれだけ言っていただけるなんて凄いことだ。
これは個人的なパートナーという事じゃない、ビジネスのためだ。
だから、断る理由なんてない。
それに、私は専務のパートナーを務めることは、決して嫌じゃなかった。
何度か助けてもらった時もぶっきらぼうなのに本当は優しくて、買い物も疲れたけど楽しくて、会えばいつもドキドキするんだけど・・・専務の傍にいるのは嫌じゃない。


「引き受けてくれるわよね?」

「はい・・。」

私はコクンと頷いた。
頑張ろうと思った。

ぐっと拳に力を入れて、気合いを入れ、立ち上がろうとした時に・・




「決まりね!」
楓社長がパチンと手を叩いた。
それは、いつになく明るい声。

あれ?なんか変だ。
こんな社長見たことない!

「実はもう一つ。あなたにお願いしたいことがあるのよ。」

楓社長が、いたずらっ子みたいに笑った。


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  3. [ edit ]

約束の15時ジャスト。
俺はノックをしてから、母親である社長の執務室へ入った。

今現在、問題の上がるようなプロジェクトは扱っていない。
だから、本来、ここへ呼び出される理由なんてないはずなのに、一体なんの話だ?という警戒をしつつも、俺の目的はただ一つだ。

牧野を俺のパートナーにする!


「司さん、時間丁度ね。そちらへ掛けて。」
「失礼します。」

親子とはいえ、会社での上下関係は明白。
というよりも、幼い頃から母親とも思ったことがない女だから、俺たちは常に他人行儀だ。
けれど、この女が牧野を可愛がっているのは分かっている。

「話とは何でしょう?」
「来年に迫っている道明寺ホールディングス創業75周年のことです。」
「はい。」

「さすがに、あなたもその頃には26歳になるわ。これまで、ビジネスで女性をエスコートしたことは数回あるようだけど、特定のパートナーはいない状況ね。」
「そうですね。」
「この75周年記念パーティーには、あなたにもどなたか特定のパートナーと出席してもらいたいと思っています。」

特定のパートナー。
つまり、見合いをしろということか?
ありえねぇ・・。

「お断りします。」
考えるまでもない。
政略結婚どころか、とりあえずのパートナーを見繕うだなんて、絶対に従わねぇ。
それに俺はもう自覚した。
俺には心に決めた女がいる。
あいつ以外のパートナーなんて考えらんねぇ。


「この際ですから聞きますが、あなた、自分の結婚についてはどう考えているのかしら?」

・・・結婚?
そんなもん、考えたこともなかった。
けど牧野のことを好きだと自覚した俺は、明確なビジョンが見えている。
俺の隣には牧野がいてくれて、
自宅に帰れば彼女に出迎えられ、愛を語り合う、そんな未来。
牧野がずっと隣にいてくれるというのなら、今すぐにでも結婚する。
そこに、一片の迷いもない。
ただし、急すぎる。
まだ、あいつとは始まってもいないんだから。

「別に無理にしなくてもいいのではないですか?」
「この家を絶やすというの?」
「姉さんの子供もいるでしょう。それに、まだ俺は25です。この年齢で将来のパートナーとを決める必要はないと思いますが。」

「では、せめて、パーティーでパートナーを頼めて下さる女性はいないのですか?75周年記念パーティーにあたっては、さすがに一人で参加という訳にはいきません。どなたか頼める方がいるのかしら?大河原財閥の滋さんはどう?」

滋・・?
大河原滋は同じ大学で同級だった。
一時期、俺の婚約者になんて話もあったらしいが、そんなもん、俺が受けるはずもねぇから、とっくに流れたはずだ。
それに、あんなサル。誰が、こっちから頼むかよ。

パーティーでのパートナー。
俺は、牧野以外を受け入れるつもりはない。
それなら、このタイミングで申し出るか・・・?

ババァも俺もしばしの沈黙・・。


「あなたのパートナーとなると、政財界に顔が広い女性がベストね。ここに3人ほどピックアップしているの。個人的にとは言わなくても、ビジネス上の場でのパートナーとして、どなたか選んで頂戴。」

なんだよ。
俺の意見なんて、まるで無視。
もう、勝手にパートナーを見繕う気満々じゃねーか。

くそっ。



そこへ、コンコンコンとノックの音がして、
挽きたてのコーヒーの香りが漂ってきた。

「失礼します。コーヒーを・・・」

入って来たのは、牧野。
だが、俺たちの険悪な様子を察知して、言葉を濁して足を止めた。

「牧野、ありがとう。こちらに置いてもらえる。」
「はっ・・はい。」

牧野が近づいてきて、目の前のテーブルにコーヒーを置く。
昼飯を一緒に食ったばかりだというのに、また顔を見れただけで心が躍る。

俺が選んだスーツはマジでぴったりイメージ通りで、めちゃ可愛い。
目の前でかがんだ牧野のスカートから見える膝にぐっと来る。
コーヒーを置く手の指先は、爪がきちんと短めに整えられていて、控えめに薄いピンクのマニュキュアが塗ってあった。

あぁ、やっぱ、こいつだ。
こいつ以外には、考えらんねぇ。


牧野がちょっとだけ心配そうに俺を見て、すぐに視線を手元に戻した。

なんだよ。
俺のこと、心配してくれてんの?
ババアに怒られてるとでも思ってんのか?
お前が心配することなんてなんもねーって。


・・・。
・・・待てよ?

牧野のことを言い出すのなら、
このタイミングしかねぇよな?



「社長・・先ほどの件ですが。」

突然喋り出した俺に、牧野がびっくりして姿勢を正し、すぐにお辞儀をして部屋の出口へ向かおうとする。
俺は、彼女の右手首をさっと掴んだ。

「パートナーはこいつにします。」

そう言った俺を、牧野は何が起こったのかわからないと言った風に見返した。



当然、正面に座るババアも黙っちゃいない。

「司さん、それはどういう意味かしら?」
「今後のパーティーや来年の75周年で俺のパートナーを頼める女性。それを、こいつに頼みます。」

「えっ?」
牧野は俺に手首を掴まれたまま、目をパチパチと瞬かせた。

「牧野は私の大事な秘書よ?」
「必要なのは、ビジネスの場でのパートナーですよね。牧野をパーティーの時にお借りできれば。」
「そっ・・そんな。困ります。私にも、こちらの仕事がありますし・・。」

牧野が必死に俺の手を外そうとしているが、女の力で外せるが訳ねぇ。
俺がしっかり握ってんだから。


「俺に困ったことがあったら、助けてくれるって言ってたよな?」
「いっ・・・言いました・・か?」
「言っただろ、一緒に飯食いに行った時に。」

しれっと俺と牧野の付き合いをアピールする俺に対し、牧野はアワアワとして、俺を小さく睨んだ。

「・・・・今そんなこと言わないで。」
「困ってんだよ。パートナー。」
「だから・・そういう事は・・。」

牧野が焦ってババァと俺を交互に見ては、俺の手を外そうともがいている。

「あの借りもあるだろ?俺のスーツにコーヒーこぼしたよな?」
「あっ、あれはもういいっていったじゃないっ!」
「パーティー用のドレスも買っただろ?」
「そっ、それは専務が勝手に買っちゃったんでしょ?私はパーティーなんてっ。」

いつの間にか、牧野も完全なため口だ。
これで、俺と牧野の仲はある程度ババァも推測できるだろう。

案の定、ババァは俺たちの様子を無言で伺っている。
俺がこれだけ気安く話をしている女だ。
俺にとってはどれだけ特別な女か、分からない筈はない。
何故なら俺は、今まで女を寄せ付けたことなんかねぇんだ。


牧野の手首を掴んで離さない俺を見て、ババァが面白そうに笑った。

「そう。それなら、そうしましょう。」


うぉっ・・・マジかっ!!
俺は、正直驚いた。
まさか、一発OKだとは。

けど、俺よりも驚いていたのは・・

「えっ!!そんなっ、困ります!」
牧野が大きな声を出した。

だが、ババァは冷静だ。

「牧野。これも仕事よ。」
「困ります、私っ!」

断固拒否しようとする牧野を見ると、俺のプライドもズタズタだ。
そこまで嫌がる事はねえだろ?
俺のパートナーを務めたい奴は多いんだぜ?

終いには涙を流しそうになっている牧野に、ババァが言った。

「少し話をしましょう。司さんは席を外して頂戴。」




そう言われちまえば、俺はここを去るしかない。
牧野にとっては突然の申し出になっちまったが仕方ねぇ。
このタイミングで言いださなければ、他の女を選ばされていた。
牧野という好きな女がいるのに、どうして他の女をパートナーに頼む必要があるんだ。

このパートナーというのは、ワインパーティーだけのことじゃない。
この先ずっと、俺のパートナーを務めるという意味だ。
とりあえずはビジネスの席でのことだけどな。
道明寺財閥の長男であり、現専務、そして、次期総帥と言われる俺のパートナーだ。
牧野にかかるプレッシャーは半端ないだろう。


牧野の手首を離し、ソファーから立ち上がった。
こいつは俺をちょっと睨んでたな。

俺は、牧野の頭をポンポンと軽く叩いて、

「頼んだぜ。」

そう言って、部屋を出た。


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セントラルパーク内の湖沿いに置かれた木のベンチに牧野と並んで座った。

「本当にごめん。凄く恥ずかしい・・。」
「いいから食おうぜ?俺のどっち?」
「ん。こっちがサーモン。はい。」

牧野に手渡しされたサーモンサンド。
一口食べてみると、まぁまぁイケる。

「どう?美味しい?」
と、心配そうに牧野が聞くから、
「まぁまぁだな。」
と応えてやったら、こいつがすげぇ嬉しそうに笑った。

「あのカフェ、よく行くのか?」
「うーん。最近はないかなぁ。もっぱら社食か、社長について回っていたらお昼は食べられない時もあるし。」

だんだん元気を取り戻した牧野と、とりとめもない話をした。
牧野の家族の話とか、大学時代の話とか。

そんな穏やかな時間を過ごしていると、俺が本来気にかけていたことなんて忘れそうになった。
西門での茶道の話になり、それから、あきらの話になった。

「専務と美作さんもお友達なんでしょ?」
「ああ、幼馴染ってやつだな。お前は、なんであきらを知ってんの?」
「マナーが苦手だって西門さんに言ったら、丁度いい講師がいるって。それが美作さん。」
「ふーん。」

面白くねぇ。
俺がこのニューヨークで一人必死になっている時に、あいつらは牧野と楽しく過ごしてたのかよ。

「マナーなんて独学できるだろ。」
と言ってみれば、
「できる訳ないじゃん。でも大学時代に教わって、就職してから凄く助かったよ。私、常識無かったからなぁ。でも、ダンスだけはダメ。あんなの出来なくても生きていけるって思ったからどうしてもうまくならなかった。」

そんなことを言いながらケラケラ笑う牧野。
ダンスって・・・

「ダンスって、お前、誰と踊った?」
「誰って、美作さんだよ。私にそんなの教えてくれる人、美作さんしかいないもん。」

くっそーっ!!あきらっ!!

総二郎にしろ、あきらにしろ、牧野に構わなくても、女に不自由なんかしてない筈だ。
なのに、あいつらが茶道やらマナーやらを教えるために牧野に付き合ってやっていたなんて不思議に思う。

「お前、あいつらと・・・」

そんなこと考えたくもねぇが、あいつらと個人的に付き合ったりしてたのか?
その・・そういう関係だった・・とか?

「感謝してるんだ。」
「え?」
「私、道明寺グループからの支援を受けて、英徳に入ったでしょ。それって学内でも有名だったの。就職も初めから道明寺に決まってたし、人気のある講師の講座も優先的にとれた。海外学会も行かせてもらえたのも、道明寺の支援があったから。だからかな、気の許せる友達が出来なくてね。ほら、あそこ結構いいところのご子息たちが多いから、嫉まれてたかな。そんな時に私と友達になってくれたのがあの人たち。だから、凄く感謝してる。」

道明寺からの支援で大学に行くことで、肩身の狭い思いをしたことがあるってことか。

「それにね。楓社長にも感謝してるし、尊敬もしてる。面接の時に言われたの。『厳しい現実から逃げ出すことはいつでもできる。だけど、成功はその先にあるもの。』だって。だから、大学4年で課せられたノルマも頑張れた。目標にしていた秘書課にも入れた。成功はまだ見えないけど、逃げ出したくないんだ。頑張りたいと思ってる。」

ババァらしいと言うべきか。
まじめな牧野に目を付けて、道明寺の駒にするつもりで教育してきたのか?
ノルマを達成できなかった奴らは、道明寺への就職もできないはずだし、一部学費の返金も求められるはずだ。そんな中で、ニューヨークの秘書課に一発で来るということは、相当な努力をしたに違いない。
つまり、恋愛なんかにうつつを抜かしている暇はなかったのは明らかだ。

思えば、俺も同じだった。
道明寺という名前のプレッシャーとババァに課せられたノルマに追われ、大学時代から今まで、ぶっ通しで走り続けてきた。
何かに甘えたり、逃げようとすることすらもできなかった。
女に関しては、興味すらなかったが。

でも・・
そろそろ、肩の力を抜いてもいいんじゃねーか?
少しぐらい、甘えても、支え合うような関係があっても、いいんじゃねーのか?

なんて、自分勝手かも知れないが、俺はそう思う。
俺の隣にこいつがいてくれたら、俺はこの先もやっていけそうだ。
俺にとってのお前がそういう存在であるように、お前にとって俺も必要とされる男でありたいと願う。


俺はそんなことを考えながら、牧野をじっと見つめていたらしい。
怪訝に思った牧野が、

「なんだ、やっぱりBLTが良かったんだ。半分食べる?」
なんて言いやがる。

やっぱ、鈍感女だ。
この女を俺のもんにするには、時間が必要だ。
下手に手を出せば、軽蔑されかねない。
なんせ、こいつは、ババァに忠誠を誓ってるような奴だからな。
くそっ。ここでババァかよ。厄介なことこの上ねぇ。


俺は牧野の手を掴んで、こいつが持っていたBLTサンドを口に入れた。

「うわっ。」
と声を上げて、慌てふためいている牧野。
女の食いかけを口にいれるなんてことをしても、こいつにはアピールにならねぇか?

「お前も食えよ。」
「えっ?あ・・うん。」
俺が食ったサンドイッチの続きを食うように促すと、おろおろしながらも意を決して、牧野が続きのBLTサンドを口に入れた。

「間接キスって奴か。」
と呟けば、
「ブホッ!!」
と豪快に、牧野がサンドイッチを噴き出しやがる。

「汚ねぇな、お前は。ホレ。」
とコーヒーを手渡してやると、それをゴクッと飲み込んだ。

一応、間接キスとか意識してない訳ではないらしい。


「もうっ、びっくりさせないでよ。」
「何がだよ。」
「何がって・・」
「キスした仲だろーが、俺たち。」

牧野がますます真っ赤になって、俯いている。
困らせているのは百も承知だが、あのキスも、この間接キスも、何事も無かったようにスルーさせる訳にはいかない。


「まぁ、あれだな。お前は、いろいろ責任とって、俺のパートナーになるしかねぇな。」
「なっ、なに?なんのこと?」

「これからは俺がお前のパートナーになってやる。」
そう言った俺に、牧野はキョトンとした顔をする。

「は?」
「だから、パーティーは俺が一緒に行ってやるって言ってんだ。」
「なんで?頼んでないよ?」

はぁ?
くっそぉ!そうくるか?
この俺がお前のパートナーを買って出てるんだぞ。
頼んでるとか、頼んでないとかじゃねぇだろうよ。

「俺も行くんだよ。そのワインパーティー。」
「へ?」
「お前が俺のパートナーになれ。」
「いっ・・嫌ですっ!」
「何だとぉ。」
「だって、もう楓社長が決めちゃったもん。だから、鈴木さんと行くよ。」

鈴木のヤロー。
どっか飛ばすかっ!

「フランス人は英語でなんかしゃべらねぇぞ。俺が間に入ってやる。」
「あ、大丈夫。私フランス語は話せるから。たぶん鈴木さんも大丈夫だよ。っていうか、秘書課に入る時点で5か国語をマスターしてなきゃダメなんだよ。知らないの?」

くそっ、くそっ。
あーいえば、こーいう状態になっちまった。

「ドレスや靴はどうすんだっ!」
「専務に頂いたのがあるもん。ありがとね。あれ、着させてもらう。」

だーっ。
何で嬉しそうにしてんだよ。
俺が買ってやったドレスで、鈴木とパーティー行くとかありえねぇだろっ!

こうなったら、どうにかして、牧野のパートナーになってやるっ。
この女。
のほほんと俺をあしらってやがるが、覚悟しとけよっ!





***



午後の執務室で、あれやこれやと作戦を練るもうまい考えが浮かばねえ。
手っ取り早くは、鈴木をどっかに飛ばしてやるぐらいか。


「専務、昼食は如何でしたか?」
そこへ入って来た西田。
その手には更なる書類の束を抱えてやがる。

「おい、西田。あのワインパーティーって、鈴木も行くって本当か?」
「はい。社長より声が掛かりまして。牧野さんのパートナーで参加させます。」
「何で、俺じゃねーの?」
「は?」
「俺も行くのに、なんで俺のパートナーが牧野じゃねぇんだよ。」

西田の目がきらりと光った・・ような気がする。

「つまり、専務はパートナーに牧野さんを希望されると、そういうことでしょうか?」

はっ、はっきり言うんじゃねーよ。
そーだけど。

「しかし、牧野さんはパートナーの経験はありませんから、専務のパートナーは難しいのでは?」
「いいんだよ。俺がフォローしてやるから。」
「なるほど。」
「なっ、なんだよ、西田。」

「つまり、専務の意中の女性が、牧野さんであると・・・。」

うっ。
だから、はっきり言うんじゃねーよ。
照れんだろーがっ。

「しかし、社長秘書となりますと、パートナーを依頼するにも、社長へお伺いを立てる必要がございますね。」
「やっぱそうか。めんどくせぇな。」

ババァに面会を申し込むのは結構大変だ。
これまでだって、必要最低限しか会話なんてしてねぇし。
パートナーの件をババァに頼むなんて・・・。


「ちょうど、社長より面会の希望がありました。本日15時に社長室へ来て欲しいとのことです。チャンスではありませんか?」


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体が自然に動いた。
俺は牧野の肩に手を回し、自分の方に引き寄せていた。

「うわっ。」
と素っ頓狂な声を上げる牧野。
首を大きく仰け反らせて俺を確認すると、「え・・」と小さく呟いて絶句した。

「せっ・・専務っ!」
そんな俺たちを見て、隣にいた男がぱっと牧野から距離をとり、姿勢を正した。


「何の話だよ?」
自分の予想以上に低い声が出た。
俺の腕の中で牧野がびくっと震えるのが分かったが、どうしようもねぇ。

男を軽く睨んでやると、
「じゃあ、牧野さん、また後で。」
と言ってから、俺に向かって頭を下げ、階段の方へ走っていく。

そして、その場には、俺と牧野だけが残った。

「で、今のは何の話だよ?」
今度はこいつをビビらせちゃいけねぇと思うが、やはり声は低くなる。
それは、こいつがあの男とパーティーに出席すると知ったからだ。

「えっ?えっ?」

俺の鋭い視線に、牧野がタジタジしているが、今更この態度を改めるなんて無理だった。
俺は、本来の自分の気性の荒さを思い出していた。
高校までは派手にやっていた。
気に入らないことがあれば暴れまくったし、俺に盾突く奴は殴り倒したもんだ。
そんな俺も、慣れない国での大学生活、そして社会へ出れば、それなりの懐の深さってもんが養われていた筈だ。
だが、あんな場面を見れば、冷静でなんかいられない。
俺が大切にしている女に他の男が気安く触るなんて、絶対に許せねぇ。


「なっ、何って、再来週のワインパーティーの話。」
「なんでお前が行くんだ?」
「社長は来週から欧州出張でしょ?でも、今回のワインパーティーにね、以前からずっとメープルからアプローチをかけているシャトーの経営者が出席されるの。どうしてもお会いしたいって言っていたんだけど、社長はすれ違いでフランスなの。だから代わりに私が行くことになってね。」
「だから、なんでお前なんだよ。」
「メープルの案件は私が担当しているものが多くて、以前にもジャン・アヴェーヌ氏にお会いしたことがあるのは、私だけなの。」

アヴェーヌ一族が所有するワイン畑は、生産量は少ないが、良質のワインを生産することで有名だ。希少性が高く、現地フランスでしか手に入らないことでも知れている。
ババァが以前から、そのワインを狙っていたとは知らなかったが・・。

「んで? なんで、鈴木が出てくんだ?」

さっきいたあの男は鈴木だ。
俺の秘書の一人だから、当然知っている。

「パーティーは、パートナー同伴が必須なんだって。だから、社長が、鈴木さんに頼んでくれたの。ワインにも詳しいから安心だって。」

だんだん小さな声になりながら、俺を上目遣いで見上げてくる。


はぁ・・・タチわりぃ・・・。
そんな目で見んな。

つーか、タチわりぃのは俺か。
こんなことで、こいつへの気持ちに気付くなんて。

鈴木なんかのパートナーにさせるかよっ。
牧野は俺のもんだ。
こいつがパーティーに行くんなら、エスコートするのは当然俺だろ?
ドレスも靴も、全部準備してやるのは俺の役目だ。


「機嫌悪いね。・・・コーヒーの事、怒ってるの?」

はぁ。見当違いなこいつの発言に溜息だ。

「あの・・スーツありがとう。今日、初めてこのスーツを着たんだよ。それで、午前中に社長とA社の商談に行ったら、うまくいったの。だから、お礼のメールをしようと思ってたんだ。」

そう言う牧野のスーツは俺が見立ててやった、ベージュのツイードのスーツ。
しっかりとアップされた髪型も後押しをして、以前より秘書らしく、そして女らしく見える。

「あぁ、いいな。似合ってる。」
「・・・ありがとう。」

牧野がほっとしたように笑った。
牧野が笑うと俺の気持ちもすこし静まってくる。
こいつに対しては優しくしてやりたいという、俺らしくもない感情が出てくるんだから不思議だ。
そう言えば、出会った時からそうだった。
どうしてか分からないが気になって、目がいって、助けてやりたくなって、総二郎に取られたくなくて。
思えば、その時からずっと・・・。


「お前、メシ食ったのか?」
「ん? まだだけど。」
「じゃあ、今から行こうぜ。」
「えっ?でも・・」
「どこで食う?」
「いや、でもね。ちょっと・・」
「45分位なら時間とれるから、外出るか。」
「だからちょっと待ってよ。」

腕の中から抜け出そうとする牧野をもう一度引き寄せて、役員用エレベーターの下りボタンを押す。

「困るよ。仕事中っ。」
「休憩時間だろ?」
「そうだけど。先輩にお昼行くって伝えてないし。」

わちゃわちゃ言ってる牧野を無視して、携帯をタップした。

「西田か?秘書課の牧野つくしと昼メシで抜けるから。あぁ、分かってる。45分な、OK。秘書課にも伝えといて。」

そして、携帯を切って牧野に言ってやる。

「これでいいだろ?45分はいいらしいぜ。」
「強引っ!」
「で、何食う?」
「こらっ!人の話を聞けっ。」

丁度到着したエレベーターに牧野を連れ込んだ。
エレベーターの中でむくれて無言になっている姿すら可愛らしい。
俺の頭はどうかしたのかも知れねぇな。
でも、嫌じゃねぇ。

西田が連絡を入れたリムジンがすでに待機していて、その中にこいつを押し込んだ。

「時間ねぇから、イタリアンにすっか。」
「だめっ。それは私が決めるから。運転手さん!セントラルパークに行ってください!」
「はぁ?」
「スーツのお礼。私がおごってあげるから、ね?」

さっきまでぶーたれてたくせに、機嫌を直したらしい牧野。
まあ、仕方ねぇから付き合おうって気持ちになるんだから、間違いない。


___俺は、こいつに惚れている。




「クッ・・・」
「あ、何笑ってんの?」
「いや、何もねぇ。」
「言っとくけど、私が買ってあげたもの残したら怒るからねっ。」

おいおい。
俺は道明寺司だぜ?
俺なら、どんな高級店にも連れて行ってやれる。
それなのに、セントラルパークで何をするっていうんだよ。
面白れぇ。
ホント、面白れぇよ、この女。



***



結局あれから俺たちは、セントラルパーク近くのカフェに入った。
そこでテイクアウトしようと言う牧野は、すげぇ得意気だった。

「ここにサーモンサンドっていうのがあるんだけど、凄く美味しいから!パンはね、カリッと焼いてあってね。絶対虜になる!」

今度は自らが先に立って俺を案内して歩いていく。
その後ろを付いていく俺。
こいつが楽しそうにしているのを見ているだけで、俺も嬉しい。
こんな穏やかな気持ちになるのは初めてかも知れねぇな。
常に自分のペースを崩さない俺が、時間を割いて、一緒にいたいと思う女だ。

「サーモンでいい?とか言って、私はBLTにするけど。いい?」
「何でもいい。」

本当に何でもいいんだ。
いつも昼メシなんて食わねぇんだから。
でも、今日は、残したら怒るって言うんだから食うしかねぇ。
結構流暢な英語で注文をしている牧野を見つめながら、顔のニヤケが抑えらんねぇ。

すると突然、牧野が大きな声を上げた。

「あーっ!!」

「どうした?」

ビビるだろ?一体何があった?

みるみる真っ赤になった牧野が次に言った一言に、
俺は、もう、こらえきれなくて噴き出した。

「お財布、持って来てなかった・・・。」

「ブハッ!!」

この俺をこんな街角のカフェに連れ込んでおいて、
財布忘れたとか、面白すぎるだろっ。

そして得意の上目遣いだ。

「もっ・・もしかして、専務もお金持ってきてないのっ!?」

そんな訳ねーだろ、この俺が。


やべぇ。楽しすぎて、笑い転げそうだ。
こんなに楽しいのはいつぶりだ?
もしかすると、今まで生きてきた中で、一番楽しい日かも知れねぇ。


俺は上機嫌。
当然、ブラックカードで支払いを済ませ、サンドイッチの紙袋を牧野に渡した。

「ごちそうになります・・・。」

小さな声で言った牧野が、強烈に可愛かった。


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専務が立ちあがった反動で、私が座っていた座面がボワンッと跳ねた。
それで、コーヒーを取ろうとした私が前につんのめりそうになったのを専務が片手でキャッチしてくれたんだ。
びっくりして、ぱっと専務を見たら、もう目の前に専務の顔があった。

驚くのも当然でしょう?
片手で抱きとめられた姿勢だったし。
その相手は専務だし。

だから、思わず突き飛ばしちゃった。
本当にビックリして、反射的な行動だった。
そうしたら、専務が床に尻もちをついた瞬間に、専務の手がコーヒーカップに当たって倒れちゃって、

「あちっ!」
「ごっ・・ごめんなさいっ!!」

専務の左腕にコーヒーがかかった。
グレーのスーツがコーヒーで染まっていく。
慌てて立ち上がり、タオルを絞って、コーヒーがかかった専務の手に当てた。
それからスーツも軽く拭いてみたけど、シミが取れる筈もない。
それに、専務の手はちょっと赤くなっていて。

「どっ・・どうしよう。火傷かな?痛い?」

おろおろと専務の顔を覗き込むと、
私の左肩を、専務が掴んだ。

「大丈夫だから落ち着け。」
「だめっ。こっちに来て。水で冷やさなきゃ!」

専務は汚れた左腕を上げて、右手を床についていたんだけど、私はこともあろうか、専務が体を支えていた右腕を引っ張り上げようとしたものだから、

「うおっ!」

突然支えを奪われた専務は後ろにひっくり返ってしまって、
同時に立ち上がろうとしていた私も引っ張られるように専務の上に倒れ込んでしまった。


ドスンッ。
____ガチッ。


・・・・え・・?
なに・・・?


目の前にはさっきよりももっと近い専務の顔。
私は専務の上に乗り上げてるし。
それで、ガチッって・・・

ガチッ・・・?


専務は、半ば放心状態の私を抱えて起き上がった。

それから、私の唇に手を触れて、
「ちょっと切れてるな。」
と言う。

ビックリして専務の唇を見ると、下唇が腫れていて・・。
そのまま目元まで視線を上げると、専務は赤くなって不自然に視線を泳がせている。

「やっ!」
ぱっと、専務から飛びのいた。
両手で口を押えて黙り込む。

どうしよう!
どうしよう!
私っ・・専務と・・・・!!?

目の前の専務はますます真っ赤になって、何も言わないし。
凄く不自然。
たぶん、間違ってなんかない。
やっぱり・・・しちゃったんだっ。


「すみません・・・。」
やっとのことで、それだけ言うのが精一杯。

お願い、何か言って!
軽く流して!

心臓が痛くて死んじゃうかと思った時に、専務が私の頭をポンと叩いた。


「まぁ、俺の唇奪ったんだから、責任とって、プレゼントは全部受け取っとけ。」


・・・えっ、責任?
その言葉に冷静さを取り戻した。

「責任って・・今のは・・事故でしょ?」
「あ?」
「だから、それとこれとは別問題で。」
「お前、俺とキスしといて、スルーしようってのか?」
「きっ・・キス!」

キスだなんて! 
大きな声で言わないでよ。

「とにかく、俺は返品なんか受け付けねぇ。このキスの責任は取ってもらう。じゃあ、俺は戻るわ。お前も、メイド呼ぶから、ここ片付けてもらえ。」


そう言って、何事も無かったように去っていく専務を見送った。




ニューヨークに来て、こんなに眠れなかった夜なんて一度もなかった。

初めて男の人を部屋に入れたこと。
自分の部屋で、一緒にコーヒーを飲んだこと。
その人のスーツをコーヒーで汚しちゃって、
しかも軽い火傷になってて、
その人が、会社の専務で・・・

それから、その人と初めてキスしちゃったこと。

そんなことがグルグル頭を巡って・・


24にもなってキスもまだだなんて、みんな驚くだろうけど、
大事にしてたって訳じゃないんだけど、
それに、こんなのキスじゃないって分かってるんだけど、

それでも、ドキドキして眠れなかった。




***



俺は今日は一日中、会社で仕事が詰まっている。
次々と湧いて出てくる書類全てに目を通し、納得いかない部分については差し戻す。
そうこうしているうちに、昼時になった。
俺は普段、昼飯は食わねぇ。
会食があれば別だが、特に食いたいとも思わねぇから、いつもコーヒーオンリーだ。


____あいつは、メシ食ったのか?

このところ、ふとした時に思い出すのはあいつ、牧野のことばかりだ。
女の部屋に入り、コーヒーまみれになったのに怒る気にもならず、その後はアクシデントでキスをした。
あんなのキスのうちには入らねぇけど、

・・・正直、ヤバかった。

ガチッと歯が当たる感触があって、それと同時にふっくらとした柔らかいものが当たった。
さすがの俺もびっくりして目を見開くと、もう牧野の顔が目の前数センチのところにある。
明らかに放心状態で動こうとしない牧野を支えて、抱え起こした。

その後、事態をのみ込んだのか、茹蛸のように真っ赤になって口を両手で塞いだ牧野。
すみませんと言って俯いた、その姿が可愛すぎた。

ドクンッ。
って、脈を打ったのは俺の心臓だけじゃなくて、下半身も。

うっ・・ヤバイ・・・。
まさか、こんな状況で、ナニだろ?

「まぁ、俺の唇奪ったんだから、責任とって、プレゼントは全部受け取っとけ。」

そういうことで、何とかプレゼントを受け取らせて、
俺の異変を悟られないように、冷静を装って部屋を出た。

はぁ・・あれは、マジ焦った・・・。

あれから2日。
あいつから連絡もねぇし、俺たちは顔を合わせていない。





「専務、お時間があるようでしたら、お食事をお持ちしますが。」
という西田の声で我に返った。

「要らねえけど。なぁ、秘書って、昼飯どこで食ってんだ?」
「各自それぞれでしょう。」
「それぞれ・・。」

西田が怪訝そうにしているのなんて気にしてらんねぇ。
だが、牧野がどこでメシ食ってんのか気になるなんて、俺も終わってる。
俺がこれだけ気にしてんだから、あいつも連絡ぐらい入れればいいのに、メールなんてくる気配もない。


「で、何だよ、西田。話あるのか?」
「はい。再来週のワインパーティの件です。メープルの担当がすでに出席予定ですが、実は、その場にアスハル氏のご長男様が出席されるとのことです。」

アスハルってのは、中東の利権に強いパイプを持っている一族だ。
今は本拠地をイギリスに構えていたはず。
その長男には一度だけドイツで会ったことがあるが、確か同年代だった。
今すぐに協力を依頼できるとは思わねぇが、少しでも顔つなぎをしておきたい人物だ。

「仕方ねぇ。参加するか。」
「はい。では、パートナーはどう致しましょうか?」
「パートナーは要らない。前からそう言ってるだろ。」
「ですが、今回は、パートナー同伴が必須です。」

ヨーロッパ程ではないが、アメリカでもパートナー同伴のパーティーはそれなりにあるが、
俺は基本的に西田を連れて行くし、その方が話もまとまりやすい。
パーティーとはいえ、俺にとっては完璧にビジネスの場だ。

「女は要らない。お前が付いて来いよ。俺、少し休憩してくるわ。」

そう言って、西田を残して執務室を後にした。


俺の執務室は50階にある。
秘書室は確か、ひとつ下だ。
あいつ、この下にいるのか・・と考えていると、偶然にも、目の前のエレベーターホールに牧野つくしの姿が見えた。

ここは役員フロアだ。何してんだ?

そーっと近づいてみると、男の声が聞こえる。

「牧野さん、パーティーは初めて?」
「はい。もう、右も左も分かりません。」
「今回は、ワインパーティーだから、心配しなくても堅苦しくはないと思うよ。」
「そうでしょうか。」
「僕はワイン詳しいし、フォローするから。」
「はい。よろしくお願いします。」
「堅くなるなって!」

牧野の隣の男が、牧野の肩をパンと叩いた。

その瞬間を目の当たりにして、
俺の中に沸き上がったこの感情。


____俺の女に、手ぇ出してんじゃねーよ!!


俺はつかつかと二人に歩み寄り、
牧野の肩を抱き寄せた。


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専務にメールを入れて、その返事を待ちながら、来週のA社との会合の資料を確認していた。
私にとっては今までで一番大きな商談になる。
楓社長には絶対に迷惑をかけたくないから、準備に手落ちは許されない。

でも、笹山部長が言うように、身なりも大切だって事が、今日よく分かった気がする。
グループの社長である道明寺楓の秘書としての自覚の問題。
以前は内勤だったから無頓着すぎたのかも知れないけど、この会社の社長秘書として、それなりの恰好をすべきなんだ。
高級であればいいって訳じゃないけれど、仕事の知識同様に、自分の身なりについても意識を高めていく必要がある。
今日選んでもらったスーツに袖を通した時、背筋がピンと伸びる感じがした。
そのスーツに見合う女性でありたいと思った。
スーツひとつ変わるだけで、意識も変わった。
そう言う気持ちになれたということが、今日一番の収穫。
社長秘書に見合うように、見た目も業務も、頑張らなきゃ。


でもなぁ・・・頂いたものが多すぎるのよねぇ。
いきなり新しいスーツばかりを着ていたら、強盗でもしてきたんじゃないかと勘繰られそうだ。
それに、値段は外されていたけど、きっと私の1か月のお給料でも買えそうにない服ばかりだもん。

そう考えながら、もう一度携帯を確認したけど、まだ返事はなかった。


コーヒーでも淹れようかな、と思い立ち、ミニキッチンにあるコーヒーメーカーをセットした。

そこへ、

____コンコンコン。


部屋に響くノック音。
私の部屋にノックなんて、極稀に、仲の良いメイドさんが差し入れしてくれたり、クリーニングの受け取りをするぐらい。
もう、21時を回ってるよ? 誰?


そーっとドアに近づいた。
マンションじゃないから、覗き穴なんて無い。

「はい。どなたですか?」

「俺だ。」

オレ・・・?
男の人。日本人だ。

「・・・・・。」
「おい、開けろ。」
「ですから、どちら様ですか?」
「俺だっつってんだろ!」

ひえっ!怒ってる。
でも、待って?この言い方・・・?
この俺様口調・・・・・

私はあわてて、ドアのロックを外した。
ガチャッとドアを開けると、
そこには、

「専務っ!」
「おせぇーんだよっ!早く開けろよっ。」

ちょっと怒っている専務が、勝手に私の部屋に入ってくる。

「ちょっ・・ちょっと待って下さい。」
「あっ?」
「かっ・・勝手に入らないでっ!」
「あぁっ!?」

部屋に入ろうとする専務の胸を両手で押してブロックすると、専務が怪訝そうな顔をしている。
でも、そんなこと気にしてられないしっ。

「だいたい、どうしたんですか?いきなり来るなんて。驚くじゃないですか。」
「てめぇ。俺はトモダチだろ。なんだ、その畏まったしゃべり方は!」

だから、どうして来たのって言ってるのよ!
この人、ちょっと変だよ!

「じゃあ、どうしたの?」
「どうしたのじゃねーよ。」
「分からないから聞いてるの。」
「何だよ、あのメール。」

声のトーンが落ちて、ちょっと拗ねたような専務の表情。
突然の専務の訪問に、あまりに驚いて一瞬忘れてしまっていたけれど、そうだ、私がメールをしたんだ。

「あっ。あのね。あのスーツとかいろいろね。本当に嬉しいんだけど、多すぎるし。あんなにたくさんもらえないよ。だから・・・。」
「返品ってなんだ?」
「え?返品は、品物を返すことでしょ?」
「気に入って買ったものを、どうして返せる?」
「だって、多すぎるから・・こんなにたくさん貰えないし、必要ないし。」
「多い分にはいいだろ。それに俺がいいっつってんだから、何の問題がある?」
「良くないよ。どこの世界に、友達にこんなにいっぱいプレゼントしてくれる人がいるのよ。」
「ここにいるだろーが。」
「それって普通じゃないよ?」
「じゃあ何か?友達じゃなければいいのか?」
「もうっ!そういうことじゃないでしょ!」

気が付けば、結構大きな声で言い合っている私達。
そこへ、見覚えのあるメイドさんが通りかかり、目を丸くして、コソコソっと専務の後ろを通り過ぎた。

ぎゃっ。
こんなところで、専務と言い合いなんて!

「ちょっと・・ここはなんだから・・こっちに入って。早くっ!」

専務の腕をグイッと引いて部屋の中に引き込み、ドアを閉めた。
ふぅ・・。

「何だよ。さっきは入るなとか言ってたくせに。」

へ?

「お前、風呂上りなの?髪、濡れてるじゃん。」

ほぇ?

そう言われて、自分の姿を確認する。
私の今の恰好。
ピンクのパジャマにカーディガン。
濡れた髪はまだ乾かしてなくて、アップにまとめてる。


がーんっ!!
なっ・・・なんでーっ!!
なんで、こんな格好で・・・しかも、専務を部屋に入てんのよ!


「コーヒー淹れてんの?俺にも淹れろよ。」

アワアワしている私をそっちのけで、コーヒーの匂いにつられる様に専務が私の部屋に入って行った。



***



「だからね。こんなに頂く訳にはいかないの。さっきから言ってるでしょう?」
「さっきから同じことを言わせんな。もらっとけ。」

牧野が淹れたコーヒーに口を付けた。
なんか、微妙な味だ。

そしてこの状況。
牧野の部屋は、客が来ることは予想されていないのか、ソファーが一台しかない。
その二人掛けソファーに並んで座る、俺と牧野。

よく見れば牧野はパジャマ姿だし、裸足にスリッパだし、項全開だし・・・
なんつーか、普段とイメージが違う。
完全にスッピンなんだろうが、いつもと変わり映えがしねぇのはまんまなんだが、なんというか、いつもよりかなり幼く見える。
普段は、秘書という職業柄、しっかりしているように見えるが、パジャマ姿になるとまるでガキ。


「もうね、クローゼットもパンパンなの。だから、引き取って。」

牧野はなんだか顔を赤くしながら俺に訴えてくる。
俺は、そんな牧野に釘付けで、こいつが何をそんなにギャーギャー言ってんのかよく分かんねぇ。

あ?クローゼット?

「クローゼットってどこだよ。」
「あっちの部屋にあるの。もう一杯だし、あんなにいらないのっ!」

「へぇ。」

あっちの部屋にあるというクローゼットを覗きに行こうと、立ち上がった俺。
腰を浮かした瞬間にソファの均衡が崩れた。

「きゃっ。」
という牧野の小さな叫び声で、振り返る。

コーヒーに手を伸ばした牧野が、そのまま浮き上がった反動で、前のめりでコーヒーに突っ込みそうだった。

あぶねっ!

俺は体をひねって、牧野を寸前でキャッチ。
だから、俺は牧野を左腕で抱え込むような体勢になって、
牧野の顔が超至近距離。

ぱっと顔を上げた牧野の瞳は、俺の眼前20cm。



「ぎゃーっ!!!」


次の瞬間には、両手で牧野に突き飛ばされた俺。
その勢いで自分のコーヒーカップをぶちまけた。


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私のクローゼットの中いっぱいに収まった洋服たち。
スーツが10着もある・・。
インナーは色違いも含めて20着。
靴が3足と鞄が3つ。
アクセサリーが・・・やだ、これダイヤだよ。
それに、ドレスやワンピースは必要ないよね?

多すぎるよ・・・多すぎる。
友達だからなんて言うけど、そのレベルは遥かに超えてるし、例え恋人だったとしてもこんなプレゼントはないでしょ?

どうしよう・・・。

今日袖を通してしまったドレスはこのまま頂く約束をしちゃったけど、まだ袖を通していない服はやっぱり返した方がいいよね?
靴やバッグ、そうそうジュエリーなんてもらえる訳ないし。

はぁ。
ホント、常識はずれ・・・。
買っている時に釘をさすべきだったんだ。

うーん。どうしよう。
今って、専務は仕事中だよね。


散々悩んだ私は、その夜、勇気を出してメールをすることにした。
仕事中だったら迷惑だけど、メールなら。

折角買っていただいたけど、全部は頂けない。
でも、何て書いたらいいの?


結局・・・

『道明寺専務へ
今日は本当にありがとうございました。
夕方に受け取りましたが、予想以上に多くの品物で、
全てを頂くわけには参りません。
今なら返品可能だと思いますので、そうさせて頂けませんか?
              牧野つくし  』


ポチッ。

ふぅ・・送信しちゃったよ。

返品するのに、伝票とかいると思うんだよね。
そういうの、ちゃんととってあるのかなぁ?





***



すっげぇ楽しかった。

何がって・・牧野とのデートのことだ。
いや、あれはデートじゃねぇけど。
ビジネス以外で女をエスコートしたことなんて今まで一度もなかった。
エスコートつっても、女と手なんか繋がねぇし、かろうじて腕を貸すぐらいだ。
けど、あいつの手は抵抗なく掴んでた。
なんか、守ってやりたくなる。
そんな女なんだよな。

あのダセェ格好をどうにかしてやろうと本気で思った。
途中からは、あいつを着飾りたくて仕方なくなって、あれこれ試着させた。
フィッティングルームから出て来る度にワクワクした。
はっきり言って、フルオーダーしたほうが良かったとは思ったが、それは時間がかかるからあいつも困るだろうと思ってやめた。その代わりに細部にわたって注文を付けといた。

この俺様が跪いて、スカートの丈をチェックしたり、靴を履かせたり。
ウエストやら袖丈やらを入念にチェック。
つーか、ウエストなんかすげぇ細くて折れそうだった。
女ってあんなに細いのか?今まで意識したこともなかった。
足首なんて棒切れみたいで、俺の指がぐるりと回っちまう。
女の足を触ったのも初めてで、そんなことをしてる自分にビビった。
「ちょっと・・止めて下さい」とか小さな声で言われても止めらんなかった。
焦ってる牧野が面白いし、あいつに近づきたくて仕方なかった。

そういや、あいつ胸はねぇな。
俺に群がってくる女は胸の谷間を強調している奴らが多い。
見たくもねぇものを見せられてるようで、気分がわりぃんだ。
けど、あいつは・・・
あの服の中を覗いてみたくなるんだよな。
案外牧野ぐらいが丁度いいんじゃねーかと思うが、そう思う俺はどっかおかしいのか?

でもまぁ、今日は全身を採寸はさせといたから、今後はオーダーできる。
あいつに似合いそうなものはだいたい分かったし。
あいつは、俺の友人って立場になったわけだしな。
何でも買ってやれる。
すげぇ楽しみ。


それに、昨日のあいつのドレス姿はかなり良かった。
胸元がV字に開いたカシュクールドレス。
胸が強調され過ぎず、ほっそりとしたライン。
あいつは足の形が良くて、膝下なんてそこらのモデル以上に綺麗だ。
ヒップは上がってるし、それなりの格好をさせればかなり目を引く女になる。
実際デパートから出る俺たちを見て、周りの客は牧野に釘付けだった。
ま、俺が見立てたんだけど・・。

そんな牧野を見て、俺はすげぇ嬉しくなった。
自慢して歩きたいぐらいに。
自分が見立てた服で女が綺麗になるって事が、こんなにいいもんだとは知らなかった。
なのに、邸に帰ろうとかいうバカ女。
折角可愛くしたのに、なんで帰るんだっつーの。

でも・・あいつの良さはそこじゃねーな。
着ている服とかそんなもんじゃなくて、
クルクル変わるあの表情がいいんだよなぁ。

____また会いてぇ・・とか思っちまう。




携帯の画面を操作して、牧野つくしが登録されていることを確認する。
そして、何故かニヤける。
このプライベート携帯は、幼馴染の3人と姉ちゃんぐらいしか登録されていなかったのに、そこにあの牧野つくしを加えた訳。
それは・・やっぱ、あれだ。
結構、気に入ったっつーか。
なんか、助けれやりたくなるっつーか。
そんな理由だ。
あいつからなら、連絡が来てもいいと本能的に思った。
いや、連絡して欲しい。
頼ってもらいてぇ・・。

それに、聡二郎もあきらも牧野と繋がってんのに、俺だけがダチじゃねぇのもおかしいだろ?

ニューヨークの社交界で、どんな令嬢もピンとこなかったのに、あいつには初めから目がいった。
どんなにダセェ格好していても気になった。



そんなことをあれこれと思い出しつつ、
仕事帰り、リムジンの中で携帯を眺めていたところで、

「専務。」

正面から、西田の声が掛かった。
やべっ。相当ニヤけてたかも知れねぇ。
ぐっと表情を引き締めた。

すると、西田から思いもしない言葉が・・・

「どうされましたか?どなたか、意中の女性でもいらっしゃいましたか?」

あぁっ!? 意中の・・・女?

「専務が携帯ばかり御覧になっているのは珍しいですね。どなたかからの連絡をお待ちなのでは?」

はっとする。
そうだ、さっきからずっとこの携帯を見て、あいつから連絡がこないか期待してる。
そして連絡がこないなら、こっちから連絡しようかと考えていた。

「意中ってなんだよ、意中って!」
「・・・好意を寄せている女性と言い換えましょうか。」

・・・・・好意。
マジか・・・。

「もしかして、俺に、好きな女がいるとでも思ってんのか?」
「違いましたか?」

自分で言って、その言葉に驚く。

_____好きな女。


まさか!
俺があいつを?
そんな訳ねぇだろ?
俺は今まで一度だって、女を欲しいと思ったことはねぇんだ。


俺が女を好きになるなんて、あり得ない・・。


だから、
「バーカ。そんなんじゃねぇよ!トモダチだっ。ダチッ。」
なんて答えた。

俺に、女のトモダチなんて今までいたことはない。
それを知っている西田は、

「それは、ようございました。」
「は?何でだよ?」
「そのままの意味でございます。」
「はぁ?」


しばし放心状態のまま、気が付けばリムジンが停車していた。

「明日は、8時にお迎えに上がります。」

と西田が言ったところはニューヨークの道明寺邸前。
マンションではなく、こっちに帰って来るのは予想外だったが、そのままリムジンを下りた。


玄関ロビーで、携帯のバイブ音が鳴る。

プライベート携帯にメールが来ている。
しかも・・・牧野だっ!

さっとスクロールして、

・・・・。
・・・・・・・なんだ?このメールは?


この時の自分の気持ちは今でも良くわからねぇ。
電話をするとか、メールを返すとか、いろんな方法があったと思うが、


「おい、嶋田。牧野つくしの部屋はどこだ?」


俺を出迎えた古参執事の嶋田が目を丸くした。


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