花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

ミラノメープルで、あたしは朝まで道明寺と抱き合った。
本当に一晩中だなんて、信じられない。
嫌って言うほどに昇りつめ、昇りつめたら脱力する。
まだ体の高ぶりが収まらないうちに、次が始まる・・の繰り返し。
本当に、どんだけ体力あるのよ!こいつは!
「もうダメ」って何度も言ったのに、全く聞いてもらえなかった。
普段はすっごく優しいのに、この時だけは人が違うみたい。
だけど、そんなこいつも全然嫌じゃないなんて・・・あたし、相当道明寺のことが好きみたい。


朝、目覚めると、もう日は高く昇っていて、とっくにお昼近いんだと分かった。
たぶん、道明寺は視察に行っちゃったみたい。
よろよろと起き上がり、とりあえずシャワーを浴びて、ガウンを羽織った。

リビングに出ると、すでに冷たくなった食事が用意されていた。
その脇にメモ用紙。
「夕方には戻る」
だって。

魔法瓶に入ったコーヒーはまだ暖かくて助かった。
サンドイッチとコーヒーをお腹にいれたあたしは、着替えをしようと思ったけれど、よく考えたら荷物なんて持ってきていない。
昨日のニットワンピも見つからない。

道明寺はいつも海外出張の時には、ホテルに着替えが用意されているから、荷物は持っていかない。メイドとしては助かるんだけれど、あたしはどうしたらいいんだろう?
興味本位で、寝室隣のクローゼットを開けてみて、驚いた。
昨日試着した洋服から、小物まで全てがクローゼットに用意されていたの。
道明寺のスーツとならんで、掛けられている洋服たち。
棚の中には、ニットもある。
何日分の洋服なのかって驚くほどの品ぞろえ。
引き出しを引いてみると、なんと下着までそろっていた。
ありえない・・。

道明寺が妙な顔をする訳だわ。
これほどの洋服なんて、値段がいくらかなんてもう聞く気にもならない。
あたしが払える訳ないもん。
「はぁ。」
思わず溜息。
あたしたち、本当に住む世界が違うのね。
こんなのポンって買える道明寺。
あたしたち、本当にやっていけるのかしら?


でも・・・ふっと考える。
昨日の雑貨屋さん。
道明寺があのお店に入りたかったとはとても思えない。
それでも、あいつはあたしとお店に入り、しつこくマグカップを選ぶあたしに付き合ってくれた。

同じなのかも知れないな。
あたしがあいつの世界に慣れることがないように、あいつにとってもあたしの世界は異世界だと思う。
それでも、あたしが見たいと思うものに付き合ってくれるんだ。

あたしの服を選んでいた道明寺を思い出す。
すごく楽しそうだったな。
あいつが楽しいんだから、それでいいのかも知れない。
あたしにお金を使ってくれるのは申し訳ないけれど、それが道明寺にとっての幸せで。
あたしがマグカップを選ぶ幸せと、きっと違わない。
だから、それをいちいち咎める必要はないんだと思う。

あたし達は、無理やり合わせる必要はないような気がするよ。
だって、どんな道明寺であっても、やっぱりあたしは道明寺が好き。
それで、きっとどんなあたしであっても、道明寺はあたしのことが好きだと思うから。


それでも、ちょっとだけ文句を言おうと思っていたのに、実は西田さんも、美作さんたちも、みんなあたし達を応援していたんだって知って、驚くやら、恥ずかしいやらで、洋服のことなんて頭から吹っ飛んでしまった。

昨夜は、いつの間にか眠ってしまったけれど、
このことだけは覚えてる。
『あたしの方が愛してる。一生そばから離れないから、覚悟して。』
あたしの気持ち、ちゃんと道明寺に伝わったかな?



*****



メープルの30周年記念祭は来年6月から始まる。
メープルホテルにもランクがあり、今回の対象は5つ星のホテルになる。
日本では東京と大阪のメープルが対象で、少し小さめの地方のメープルは対象にはならないが、協賛企画は行われる予定で、現在はその準備に各ホテルが追われている状況だ。
企画は各ホテルに任されているが、記念品は統一するつもりで、ここヨーロッパの革製品や香水などが案に上がっていた。
この記念品の試作品を見ることも今回の出張目的の一つ。


いくつかの試作品の中から1つを決める予定だったが、同行していた牧野が、
「どれもかわいいね。期間中、何回も泊る人もいるから、いろんな記念品があってもいいよね。」
と言ったのをきっかけに、紳士用の小銭入れ、女性用のバッグチャーム、革巻きのボールペン、ブックカバーが最終候補になった。
バッグチャームの形は楓の葉で、牧野がえらく気に入って、試作品をもらっていたのには本当に笑っちまった。はじめはヌメ革のみだったチャームも、牧野が赤い紅葉の色もいいんだけどなぁと言い、それはキーホルダーとして作られることになり、また試作を見に来るなんて勝手にパリのやつらと約束してやがった。
俺は少し離れたところから牧野のことを観察していたんだが、勝手に試作品を見に来ると約束をしている牧野に、俺よりも西田が焦ってたな。どうせ、俺が不機嫌になるとでも思ってるんだろうが。いいぜ、牧野が視察に行くんなら、俺も一緒に行ってやる。


次に香水だったが、実をいうと、俺は牧野に香水を付けさせたくない。
もともとこいつはコロンもつけないやつだから、きっと興味がないんじゃないかと思っていた。
俺は、素の牧野の香りが好きで、たぶん、香っているのは牧野が使うシャンプーの香りだ。
牧野は試作品を腕にちょこっとだけつけて、「うーん」と首をひねっている。
「どうした?」
と聞くと、
「匂いはさ。好き嫌いが大きいよね。つけるにしても、好きな匂いがいいしさ。ヨーロッパの人たちは、結構コロンやトワレを使ってるのかも知れないけど、日本だと、アロマ系の方が人気あるんじゃないかな?アロマオイルやキャンドルとか?でも、あたしだったら、パティシエがつくった特別なクッキーとかの方がうれしい。へへ。」
その言葉で即決。
日本では香水案はなしにして、パティシエに焼き菓子を作らせる方針にする。
確かに牧野の言うように、人種差もあるため、欧米用の香水が必ずしも日本人に合うとは限らない。
しっかし、こいつは香水よりも、やっぱり食い物がいいんだな。
「お前はコロンとかつけてねぇよな。」
と聞いてみると、
「うん。あんまり、興味ないかな。なんか、匂いによっては頭痛くなっちゃうの。」
それを聞いて、俺もドキッ。
俺はずっと自分専用に調合させているコロンを使っている。
もしかして・・こいつ、この匂い、苦手ってこと・・ないよな・・今更。
恐くて聞けねぇ・・。





パリでの仕事が終わり、俺たちは、今、ニューヨークに向かうジェットの中だ。

「ニューヨークについたら、俺の両親にお前を紹介する。」
と俺が告げると、牧野は真剣な表情で、
「あたしもご挨拶したかった。」
と言った。

正直言うと、俺は、牧野が逃げ腰になったり、まだ早いとか騒ぎ出すんじゃないかと思っていた。
だから、ちょっとこの反応は意外で、
「お前、無理してね?」
と尋ねると、
「緊張はしてるけど、大丈夫。」
と返された。

ジェットの中では、ロスに姉貴がいることや、オヤジたちはニューヨーク在住で幼いころからほとんど会うこともなかったとか、仕事をするようになって会話するようになったとか、そんな話をしていた。

「ねぇ、道明寺のお姉さんって、どんな人?」
「姉貴か。頭が上がんねぇんだよな。強烈で。」
「強烈?」
「お前のこと見たら、めちゃくちゃ喜ぶんじゃねぇかな。」
「ん?なんで?」
「あぁ。昔から、妹が欲しいとか言ってたし。」
「そっかぁ。あたしもお姉ちゃんが欲しかったなぁ。」

「じゃあ、お父さんはどんな人?」
「・・。どんなも、こんなもねぇな。オヤジはオヤジ。」
「ええぇ?ほら、恐いとか、優しいとかそんなのは?」
「わかんねぇな。」
「本当に?」
「最近会ってねえし。会っても、仕事の話しかしてねぇし。」
「ふーん。」

「じゃ・・じゃあさ。お母さんは?」
「ババァか。あれは、魔女だな。いや、鉄の女か。」
「恐い?」
「恐くはねぇけど。でも、ビジネス第一だから、油断なんねぇ。」
「あたし達のこと、反対すると思う?」
「それは、どうかな。蓋を開けてみねぇとわかんねぇな。どうした、恐くなったか?」
ううん、と首を振る牧野。
「あたし、早く、社長にお会いしたいの。」
「なんで?」
「なんでも。」
ふーん。
なんか妙だが、こいつが怖気付いてねぇってことは確かだ。
まぁ、よしとするか。



「あふぅ・・」
とこいつが、眠そうにあくびをしている。
「少し寝ろよ。」
と、ブランケットを膝にかけてやる。
「ねぇ、そのジャケット貸して?」

ん?何でだ?と思いつつも、脱いであった俺のスーツのジャケットを渡してやる。
それを肩にかけて、ゆっくりと瞳を閉じる牧野。

「この匂い・・好き。落ち着くの。」
そう言って、ちょっと微笑みながら、眠りについた。


お前、俺が今、どんだけホッとしたか知らねぇだろ。
本当にこいつには適わない。
意識もせずに、俺が欲しい言葉をくれるんだからな。



 

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  1. 理想の恋人
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

いつもありがとうございます(^^)

  1. 2016/11/27(日) 18:46:26 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
こんばんは~。
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。

ついにNYへということで、今日はだいぶ書き進めましたよ。なにせ、貯金なしの状態だったので、ヤバかった。
それで、おそらく46話で終了しそうな感じです。(変更する可能性はありますが、たぶん。)

なので、来週で終わりかな~。
寂しいなぁ。
寂しいと言ってくださる方もいて、私も寂しくなりました。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/11/27(日) 10:27:56 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/11/27(日) 07:35:30 |
  2. |
  3. [ edit ]
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