花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

それからもお姉さんのペースは続き、何とかお買い物は終了。
やっとお邸に戻ることになった。
お姉さんの勢いは凄まじくて、道明寺との関係を説明しようとしても、なかなか話しをする隙がなく、あたしは結局、自分が「マキ」であることを説明できなかった。
でも、お姉さんはあたしの存在をすっごく喜んでくれて、リムジンの中では小さい時の道明寺の話なんかをたくさん話してくれた。
道明寺は結構寂しがり屋だとか、動物は苦手だとか、日本語が弱いから気を付けてあげてねだとか・・。
そんな風に聞く道明寺の話は、あたしにとっては新鮮で、ちょっぴり幸せな情報だった。

それに・・
「司に恋人ができるなんて、はっきり言って奇跡に近いわね。」
「どうしてですか?」
「あの子、すごく潔癖で。女には触りたくないっていうぐらいだったの。だから、ニューヨーク時代には、司はゲイじゃないかっていう憶測も生んだぐらい。」
道明寺がゲイ・・無いな・・。

「司がそういう風になったのは、きっと私たち家族のせいなの。知っていると思うけれど、うちの両親はとても多忙で、私たち姉弟との家族らしい時間なんて持つことはなかったわ。それでも、私が小さな頃までは母は家庭にいたから、私にはある程度、母なりの苦しみも理解できたの。でも司が生まれてからすぐに、母は道明寺財閥の中枢に入った。だから、あの子は母親らしい母の姿を見たことはないのよね。もちろん父も多忙だったしね。」
タマ先輩も同じようなことを言っていた。

「兄弟二人で育ったようなものだったのに、私も大学生の時に政略結婚をすることになってね。司が中学生の時にロスに渡ったわ。多感な時期に司を一人にしてしまったこと、私は今でも後悔しているの。案の定、それからの司の生活は荒れ放題だった。」

「高校を卒業してニューヨークに来てから、司にはいくつかの見合い話があったけれど、あの子は政略結婚になんて見向きもしなかった。それどころか、結婚はしなくてもいいって。道明寺の跡継ぎが欲しいなら、私の子が継げばいいなんて言い出してね。父も母も、きっとそんな司に負い目があるのね。強く結婚を勧めることはなかったわ。でも、心の中では、司には結婚をして、幸せな家庭を築いてほしいと思っているのよ。誤解のないように言っておくわね。うちの両親も、私たち夫婦も、政略結婚ではあるけれど、とても夫婦仲はいいのよ。特にうちの両親は、多忙とは言いながら、ずっとニューヨークで二人で暮らしているしね。いわゆる鴛鴦夫婦ね。」
知らなかったな、道明寺のご両親の仲が良かったなんてこと・・

「だから、私は今、とてもうれしいの。司に心を許せる女性ができたっていうことがね。つくしちゃんが司のメイドになってくれて良かった。きっと司は、つくしちゃんとなら家族になりたいと思えたのね。」

「つくしちゃん、司のこと、どうかよろしくね。」

あたしはまだ道明寺家には認められたわけではないけれど、こんな風に思っていただけるなんてすごくうれしい。
道明寺があたしの何を好きになってくれたのかは分からない。
けど、お姉さんやタマ先輩のお話しを聞くと、やっぱり道明寺は温かい家庭が欲しいのかなって思う。
あたしの実家は、いつもお金はなかったけれど、愛情には溢れていた。あたしもいつか家庭を持ったら、自分の家族には精一杯の愛情を注ぎたいと思う。その家族を道明寺とつくっていけたらいいな・・。

「はい。」
道明寺があたしを必要としてくれるなら、あたしはずっと道明寺のそばにいたいと思う。
そのために、今日、絶対に道明寺のご両親に認めていただきたい。

「お姉さんも今日の夕食には同席してくださるんですか?」
「そのつもりよ。そのためにロスから飛んできたんだもの。」
「よかった。」
ちょっとほっとするあたし。
「つくしちゃん、緊張しているの?」
そりゃ緊張してる。
でも、道明寺がいるし、お姉さんもいるなら、頑張れそう。


「そうよねぇ。ちょっと、厄介なのは父ね。」
「えっ?」
どっ、どういうこと?
「実は少し前に、主人の会社関係のパーティーで父に会ったのよね。その時、ちょっとね。まぁ、こちらの事情ってやつね。」
「・・・道明寺会長は、反対するでしょうか?」
「大丈夫よ、私が援護するからね!」
「はい・・・。」

そうか、道明寺のお父さんはきっと反対なんだ。
楓社長には理解してもらえていると思っていたから、単純に会長もそうだと思い込んでいた。
手先が冷たくなってくる。
本格的に緊張してきたかも・・。

あたしの顔色が少し悪くなったのを察して、
「つくしちゃんには、司も私もついているから。大丈夫よ。」
とお姉さんが手を握ってくれた。



*****



「姉ちゃん!牧野をどこに連れまわしてたんだよ!」
お邸に帰るなり、走り寄ってきた道明寺。

あたしの顔色がちょと悪いことに気が付いて、
「どうした?大丈夫か?」
と心配そうに覗き込んでくる。
「ん。平気。」
「少し、部屋で休もう。」
「うん。」


「久しぶりに会うお姉様に向かって、何て言い草よ。司ってば、本当につくしちゃんにメロメロなのね。」
「うるせぇよ。」
「将来の妹と買い物してきちゃった。後で、部屋に荷物が届くと思うから。よろしくね。」
「ったく。」
「じゃあ、司、つくしちゃん、後でね!」
そう言うお姉さんに、何とか笑顔を作り、手を振って別れた。


道明寺に肩を抱かれての部屋に戻り、ソファに誘導され、深く腰を下ろした。
道明寺が優しくあたしを抱きしめて、髪を撫でてくれる。
「何かあったか?」
「ううん。ちがう。ちょっと、緊張してきただけ。」
「俺がついてるから大丈夫だ。」
「ん。でも、もし・・」

もしも、反対されたらどうしよう?
そう思ったけど、やっぱり言えなかった。

そんなあたしの気持ちが分かったのか、
「反対されても、諦める気はねぇから、俺は。」
という道明寺。
「うん。」
とあたしも頷いた。

本当にそうだ。
諦められる訳がない。
こうして道明寺のぬくもりを知ってしまった今となっては、どんなに反対されたとしても、別れることなんてできないよ。

あたしの気持ちが落ち着くのを待つように、道明寺はずっとあたしを抱きしめてくれていた。
少しずつ、少しずつ、あたしの手は暖かさを取り戻す。


例え今日じゃなかったとしても、道明寺の恋人でいる以上、いつかは通る道。
逃げるわけにはいかないんだ。




しばらくして、
「お夕食の準備が整いました。」
と執事の人が呼びに来た。
あたし達はじっと見つめ合い、チュッと唇を合わせてから、しっかりと手をつないでダイニングに向かった。


ダイニングにはすでにお姉さんがいて、あたしと道明寺は隣同士に座った。
少し時間をおいて、道明寺のお父さんとお母さん、会長と社長が入ってきた。
あたし達は席から立ちあがった。


まず、道明寺が口を開いた。
「お父さん、お母さん、今日はお時間を作って頂き、ありがとうございます。こちらは、私がお付き合いをしている、牧野つくしさんです。近い将来、結婚を考えています。」
「はじめまして、牧野つくしです。」

「司の父です。まずは席に着きましょう。」
道明寺会長にそう言われて、全員が席に着いた。


前菜が運ばれてきて、食事が始まった。
すぐに、楓社長が話しかけてくれた。
「牧野さんは、司のマンションでメイドをしてくださっているのよね?」
ちょっと笑いを含んだ社長と目が合って、少しだけ緊張が解けた。
「はい。」
「司の世話は大変でしょう?」
「いえ、そのようなことは。」
「大変ってなんだよ。」
と道明寺。


少しだけ和やかな雰囲気になったと思った、次の瞬間、
道明寺会長が、おもむろに口を開いた。

「私は、反対だな。」



 

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どうなるかな?
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  1. 理想の恋人
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは~(^^)

  1. 2016/11/29(火) 20:54:23 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手、ありがとうございます。

椿お姉さん、相変わらずですね(笑)。
そして、会長はどうして反対なんでしょう?

一応、最初にプチコメディをうちだしていたので、そっちの方向で(笑)。
うまくまとまるといいですが。
最終回まで、もう少し。
応援、どうぞよろしくお願いいたします。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/11/29(火) 08:30:43 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

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  1. 2016/11/29(火) 05:53:40 |
  2. |
  3. [ edit ]
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