花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

このお話は、「理想の恋人」の番外編で、総二郎君Birthdayを記念して書いたものです。
内容は・・総二郎君目線の司つくです(笑)。
総二郎君がサラちゃんとお別れしたのは、おそらく原作の服装からすると夏なのですが、お話しの都合上、本日12月3日のお誕生日にお別れした設定とさせて頂きました。
ご了承くださいませ。
*****





12月3日は俺の誕生日。
俺は女に不自由なんてしてねぇけど、この日はどの女とも時間を共有しないと決めている。
何でかって?
何でだろうな?
よく分かんねぇけど。
そーいう日があってもいーんじゃね?


明日の茶会の準備が終わり、俺は送迎の車に乗り込んだ。
マンションに直行する予定だったが、赤信号で止まった視線の先、そこには見覚えのある女の姿。
あれって、親友の婚約者じゃねぇの?何してんだ?
そっか、司のマンションはこの先だ。
でも、この時間にそんな薄着で一人でふらふらはねぇだろう?

今の時間は19時すぎ。一人で何してんだ?
「ちょっと止めて。」
そう言って俺は車を降りた。

「つくしちゃん、何してんの?」
赤信号で立ち止まっていた彼女に話しかけた。
振り返り、驚いた様子の彼女は、俺の幼なじみ、道明寺司の婚約者。
司が、渾身の策を施してまで振り向かせた相手。
見た目は、フツーなんだよな。マジで。

「西門さんこそ、どうして?あたしは、ちょっと買い物に。」
こんな時間に買い物って何なんだ?
「何を買うの?」
「えっとね。バルサミコ酢。今日は、久しぶりに、司・・さんと夕食を食べれるんだけど、白身魚のポアレに使うソースを作ろうと思ったのに、バルサミコ酢が無くってね。」
「ふーん。で、今から買い物?」
「そう、そこのスーパーまで。」
「危ないから、俺も行くよ。」
「・・・?危ないって、まだ7時だよ。大丈夫だよ。過保護だなぁ。司・・あっ、道明寺もだけどね。」
「司って呼んでるの?いいじゃん、呼び直すなよ。」
「うーん。まだ人前では照れるんだよね。へへ。」
そう言ってはにかむ彼女は、俺たちF4の周りにはいなかったタイプ。
司ってこーいう女がタイプだったんだな、20年来の付き合いなのに、知らなかったぜ。
俺たちは、司が惚れる女なんて一生現れないと思ってた。
その司が一瞬にして恋に落ち、涙ぐましい努力をして手に入れた女がこいつだ。
司は、一期一会をモノにした。


一緒にスーパーへ入ると、そこは異世界。
なんだ、ここは。
「つくしちゃん、司も一緒にここに来ることあんの?」
「たまーにね。あいつ、目立つから、あんまり一緒に来ちゃだめって言ってるけどね。」
そりゃそうだ。このスーパーに道明寺司はねぇな。
野菜や果物の間を抜けて、バルサミコ酢を探し求める彼女。
ふと視線を向けると、人参の山に釘付けになっている。
「つくしちゃん、人参欲しいの?」
そう聞いた俺に、
「違うの。あれね。あの袋に詰め放題なのよ。ぎりぎりまで詰めて、何本詰めても200円なの。すごいでしょ?この前はトマトの詰め放題でね。司も一緒にやったんだけどね。あいつ全然ダメで。しまいには、こんなにトマトばっかくえっか!とか言って、すねちゃったの。まぁ、トマトは難しいけどねぇ。」
「へぇ。」
あの司が詰め放題かよ。プッ、笑える。
何て反応したらいいのか分かんねぇ。
けど、牧野にいいとこ見せたくて、張り切る司が目に見えるようだ。
しっかし、この女、道明寺司に詰め放題をさせるとは・・・恐るべし。


「西門さん、人参してみる?」
そう聞いてくる彼女は、俺がやりたいとでも思ったのだろうか?

「いや、そんなに沢山人参って食えねぇだろ?」
「まぁね。実はお野菜は、お邸から殆んど届けてもらっているの。契約している農家から直接買い付けているんだって。確かにおいしいのよね。」
じゃあ、なんで俺にニンジンの詰め放題をさせようとしたのか意味不明だ。

「あたし、昔から詰め放題好きなんだよね。うち、貧乏だったから、死活問題でね。こういうのに必死になると、ちょっと悩んでいることとか、どうでもよくなるんだ。だから、たまにやりたくなる。」
そんなことを言う彼女。もしかして、悩みでもあんのか?
俺が口を開こうとした時に、
「西門さん、今日、元気ないね。何かあった?もしかして、フラれた・・とか?」


・・・
なんだよ。
鈍感女のくせに、結構鋭いところをついてくる。
「そういう時には、詰め放題が効果あるよ。」
真面目な顔の牧野つくし。
「やらねぇよ。」
と答えた俺だったけど、下手な同情されるより、よっぽどうれしい言葉だったのは間違いない。
だって、そうだろ?
可哀そうって言われるよりも、前を向いてニンジン詰めて、忘れちゃおうって言われる方がよっぽどいい。

けど、俺は別に振られたって訳じゃない。
誕生日にいい記憶はないってだけだ。
昔唯一いた、幼なじみの少女が去って行った日が、俺の誕生日だったってだけのことだ。
あれから俺は、自分の誕生日にほんの少し罪悪感を抱いている。
だから、この日は一人ですごしているんだな、きっと。
幼なじみにも話したことのないこの罪悪感を、この鈍感女に気づかれるなんて・・と思わなくもないが、気分はそれほど悪くない。
あぁ、そうか。こいつの言い方には、癒しの効果があるんだ。
素直に口にするだけの奴はバカってこともあるけど、こいつは違う。
指摘するだけじゃなくて、癒す力も持っているんだ。
俺が元気がないから、人参詰め放題をさせようなんて、笑えるけど、こいつは大真面目だ。
馬鹿みてぇだけど、癒される。
司が惹かれた気持ちが分かる気がした。



バルサミコ酢を手に入れて、機嫌よくマンションに戻る牧野つくし。
その帰り道で、牧野が言い出した。
「西門さん、もうすぐ司が帰ってくるから、一緒に晩御飯食べて行って?」

おいおい、俺はそんな野暮な男じゃないぜ?
「じゃあ、せめて、司に会って帰ってよ。あいつこの頃忙しいから、誰にも会ってないみたい。でしょ?」

俺は野暮じゃないんだが、牧野にそう言われ、ついついマンションにお邪魔した。
けどよ、つくしちゃん。
いくら、相手が俺だからって、女一人でいる部屋に、男を連れ込むのはまずいんじゃね?

当のこいつはそんなことは全く気にしていないようだ。
この西門総二郎を相手に、色目を使ってこない女も珍しい。
俺たちF4に媚びないところとか、変に男慣れしてないところも、司のツボか。

コーヒーを出してきた牧野を観察している俺。
バルサミコ酢を使ってソースを作り始めている。
スプーンですくったソースを小指で舐める。
うぉ、結構色っぽいんじゃね?
「んん~。おいしっ。Very Good!」
と満面の笑みでガッツポーズ。
プッ。その反応が惜しいな。

今までつきあった女が、俺に料理なんてしたことはない。
つーか、そんなことされたら気味がわりぃし、食う気にもならねぇ。
司だってそうだったはずなのに、今ではこの女の虜だ。
その理由が何となくわかった。
あったけぇんだ、この女は。
特別美人って訳じゃねぇんだけど、一緒にいると心地いい。
道明寺財閥の後継者の司なんて、はっきり言って羨ましくも何ともなかったが、この女と結婚できる男としては羨ましいと思った。


そんな時に、牧野の携帯が鳴った。
すかさずポケットから携帯を取り出した牧野。
「うん。うん。えっ?そうなの。そうなんだぁ。うん。分かった。じゃあね。」
明るかった牧野が急に寂しそうな表情になった。

「どうした?」
「ん。司。会社でトラブルがあって、今日は遅くなるんだって。帰れないかもだって。」
そう言いながら、唇を噛みしめる牧野。
泣きそうだ。

すでに出来上がっている料理を見て、俺は言った。
「司に持って行ってやったら?」
「え?」
「うれしいと思うぜ?」
「迷惑じゃないかな?」
「それは絶対ないな。」
司がどれだけこいつに惚れてるか。俺たちF3は分かってる。
俺の提案を受け入れて、牧野は弁当箱を用意し始めた。



弁当を用意した牧野を司のとこまで送ってやる。
遠慮する牧野をうちの車に乗せた。
道明寺ホールディングス日本支社前。
トラブル処理中の司に、俺は会うつもりはない。
車を降りる直前に、牧野が俺に茶色の紙袋を手渡した。
「これは西門さんの分。」

これって、手作り弁当だよな?マジか?
いつもの俺なら、手作り弁当なんて受け取らない。
けど、こいつの弁当は受け取りたかった。
この弁当を受け取ったら、俺にも新しいチャンスが来るような気がして。


「今日、西門さんに会えてよかった。最近、あたし達、忙しくってすれ違いばっかりだったの。だから、今日はすっごく楽しみにしてたのね。だから、さっきの電話、結構ショックで。西門さんが一緒にいなかったら、ここに来なかったと思う。だから・・ありがとう。」

あぁ、なるほどな。
恥ずかしがり屋のくせして、こういう大事なところはストレートなんだ。
さすがは、道明寺司が惚れる女って訳だな。


「一期一会。」
「え?」
「昔、俺は俺の一期一会を掴み損なったって思ったけど、そうでもなかったかもな。」
「?」
「チャンスは一度きりって訳じゃねぇなってこと。」
「ますます分かんない。」


別に司の女に手を出そうって訳じゃない。
けど、今夜、牧野に会って思ったんだ。
俺にとっての一期一会。
掴み損なったって思ってたけど・・・
これからだってチャンスはあるんじゃねぇの?
だってそうだろ?
俺に手作り弁当を食わせる女が現れた。
そこには恋愛感情はないけれど、今までの俺だったら絶対に受け取ることなんてしねぇ。
今日、手作り弁当を受け取る新しい自分に出会えた。
俺は、これからまだまだ変わっていける。
だったらこの先、俺を虜にする女だって現れるかも知れねぇぞ。
きっと、俺の人生も捨てたもんじゃねぇ。
そうだよな~。
一生独身童貞男かと思われた、あの司が、もうすぐ既婚者になるんだ。
人生何があるか分かんねぇぜ? 
あぁ、面白れぇ。


「よく分かんないけど、西門さんが元気出たならよかった。」
ニコッと笑い、会社に入って行く牧野を最後まで見送って、俺は上機嫌に車に戻った。


やっぱり、今夜は一人でいたくねぇな。
今からあきらにでも電話して、牧野の弁当自慢でもしようかな。
そんで、それが後から司に伝わって、司が怒り狂うかな。
あぁ、面白れぇ。
誕生日に、こんなに面白れぇ気持ちになったのはいつ以来だ?


こんな愉快な気持ちになれた誕生日。
chanceはまだまだこれからあると気付いた誕生日。
それは、幼なじみの大切な彼女のおかげだった。


Fin.


 

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後日、俺は司からえらく感謝されたんだぜ。
なんでも、深夜まで牧野が司の世話をしたんだとか。
そんで、二人で明け方にマンションに帰ったんだと。
つーか、何の世話させてんだっつー話だよ!
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  1. 理想の恋人 番外編
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

いつもありがとうございます(^^)

  1. 2016/12/04(日) 21:26:14 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手、コメントありがとうございます。
司つくしか書けない私ですが、少しでも総二郎君の幸せを願った短編(いや、ちょっと長かったか)でした~。

丁度、類くんやあきら君に比べて、理想の恋人の中で総二郎君の出番が少ないなと思っていたんですよね。かといって、茶道を絡めたお話は難しくって、ついつい二人に比べると登場頻度が低くなる。


さてさて、現在は、明日からのお話を頑張って手直し中。
いや、はっきり言って、コレ出していいのかしら?と今更思ったりしたのですが・・・
かなり、文章ヤバくないかい?という不安が募っています。
2か月前はシレっと書いていたと思うのですが。
明日、ドン引きされるかも・・
私も覚悟をしておきます。。。

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  1. 2016/12/04(日) 12:37:00 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2016/12/04(日) 02:44:14 |
  2. |
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  1. 2016/12/04(日) 01:47:54 |
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