花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

連れてこられたのは、お城?と見間違うほどの立派なお屋敷だった。つくしは、大きく口を開けたまま玄関前に棒立ちになってしまっていた。
「早く入れよ。」
司に斜め上から見下ろされて、つくしはますます不安になった。
「パーティ、本当に行くの?」
「あったりめぇだろ。」
さも当然とでも言うような、司の態度。
「無理だよ。それにあんた、あたしのこと知ってるの?」
「牧野つくしだろ。調べた。」
司は、つくしのことをある程度調べていた。だからこそ、バイト先に先回りしていたのだ。
類が言ったように一般家庭出身で、英徳の特待生。牧野家は、司が想像もできないほどに貧しいようだ。
ついでに、洋服のサイズから靴のサイズまで調べさせていたのだから、金持ちのすることは計り知れなかったが、そのことについてはさすがの司も触れなかった。

「だったらわかるでしょ。パーティーって何よ。行ったこともないわよ。」
「ただの誕生日会だよ。緊張するもんでもねぇよ。」
「本当に?嘘ついたら、ただじゃおかないんだからね!」
結局、強引な司に負けて、つくしはパーティーへ同伴することとなった。けれど、つくしの心の隅で少しだけ、藤堂静の誕生日パーティーを見てみたいという気持ちがあったのも嘘ではない。


その後は、つくしにとっては想像を絶する体験。
全身のエステを受け、何故か髪も軽くカットもされ、毛先をふんわりカールされた。それからドレスに袖を通し、用意されたジュエリーを身に着けたつくし。ドレスは幾重にも重なったフリルが可愛らしく、ピンクのグラデーションが美しい、オーガンジー素材のもの。ミニ丈なのに上品で、庶民のつくしでさえ、令嬢に見える。元々線が細く、綺麗な足をしているつくしの魅力が存分に発揮されている。ピンクの色合いも初々しい彼女にはぴったりだった。
鏡の前に立ち、「ほぇ~」と自分の姿に呆けてしまうつくし。しかし、つくしとて年頃の女の子だ。こんな格好をすればうれしくもなる。
鏡の前でクルクル回ってみたり、肩や背中の開き具合を心配そうに確認したりと、落ち着きがない様子の彼女を、司は部屋の入口に寄りかかって、満足そうに見つめた。
ドレスや装飾品は、彼女を連れて行くと決めたときに、彼が自ら選んだもの。
プレゼトなど選んだことなどない司だったが、彼女が喜ぶ表情を見てみたくて、ああでもない、こうでもないと外商達を困らせながら、やっとのこと選んだ品物だった。
目の前の彼女は、彼が思い描いたイメージそのまま。可憐で初々しい。まっすぐで強気な瞳が印象的な彼女だったが、その彼女の瞳がますます輝いて見えた。

「似合ってる。」
そう呟いた司。それは、彼の本心だった。その声に、はっと入口を振り返ったつくし。
いつから見られていたのだろうか?と恥ずかしくなり、頬を染めた。
「このドレス、短すぎない?」
照れ隠しで、彼女は早口になった。
「静の誕生日パーティーなら、モデルなんかも来て華やかだし。完全フォーマルじゃねぇから、これぐらいで丁度いい。」

司は彼女に近づいていき、そばにあったファーストールを彼女に巻いた。
ますます真っ赤になるつくしに、司は思わず微笑んだ。
「いいんじゃね。お嬢に見える。」
つくしが彼を見上げ、少し戸惑いながら、
「イミテーションだけどね。」
と苦笑いをすると、、司は額に青筋を立てて憤慨した。
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。この俺がイミテーションなんか使うか。そのネックレスもブレスも、イヤリングも、すべて最高級のダイヤを用意したんだぜ!」
「ええぇぇぇぇ!」
つくしは自分のことを「偽物のお嬢様」と言ったつもりであったのだが、返ってきた返事は予想もつかないもので。
「最高級って・・。やだ、落としちゃったらどうしよう。」
とイヤリングを触って、焦るつくし。
「弁償しろなんて言わねぇから、心配すんな」
不安そうなつくしを安心させようと司は必至になった。このコーディネートに1億円をかけたなどと知れば、きっと彼女はドレスを脱いでしまうに違いない。
金をかければいくらでも高級なものは手に入る。けれど、彼の選んだドレスを身に着けた彼女の嬉しそうな姿は、きっとどんなに金を積んだとしても手に入れられないのだと彼は分かっていた。


しばらく黙っていたつくしだったが、持ち前の前向きな性格からか、はたまた逆で予想をはるかに超える現状にまともな思考回路が働いていなかったのか・・・戸惑いは残るものの、腹をくくったようだった。

「司さん、よろしくお願いします。」
と真面目な表情でお辞儀をするつくし。
「おう、俺がエスコートすんだから、安心しとけ。」
「えっ?エスコートって何?」
つくしにとっては、その言葉は初めて聞くようなものだったのだ。エスコートという言葉は知っているものの、実際にどんな扱いをされるのかは分からなかった。パーティーに参加すること自体が初めてだったし、だいたい、パートナーとは何なのかすら、実のところつくしには分かっていなかった。
「俺が隣にずっと付いていてやるってこと。」
「本当に?」
瞳を大きく開き、司を見上げるつくし。
「良かった~。」
つくしはほぅと息を吐き、緊張した表情を崩した。

そんな彼女の態度に司は胸の高鳴りを自覚した。
生まれてから今まで、司の周りにはモノが溢れていた。
けれど、それらを自分が守りたいと思ったことは一度もなかった。
道明寺財閥ですら、彼の守りたいものではなかった。
けれど、彼女の隣に立って、彼女を見守りたい。
彼女に自分を頼ってもらいたい。



司は彼女をソファーに導き、座らせた。そして、四角い箱を開けて、中からオープントゥのハイヒールを取り出した。彼女の前に身をかがめて、その靴をはかせるために、彼女の足首を持った。
「ちょっ、ちょっと、待って。大丈夫っ。自分で履けるからっ。」
焦りまくるつくしであったが、足首を持たれていては何を抵抗することもできず、されるがままに靴を履かされる。
アンクルストラップのついたハイヒール。きっと、ヒール靴など慣れていないであろう彼女のために、司が短期間で特注させた品物だった。

「素敵・・」
ドレスと同系色で、キラキラと輝くエナメルのハイヒール。
履かされた靴を吸い込まれるように見つめているつくし。
そんな彼女の手を引いて、司は彼女を立ち上がらせた。

「じゃあ、行くか。」
うんと頷くつくしを司が確認して、二人は歩き出した。



 

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いつも応援ありがとうございます。
この靴はつくしちゃんをどこへ導いてくれるのでしょうね。
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  1. My Daddy-Long-Legs(完)
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

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  1. 2016/12/08(木) 21:01:13 |
  2. |
  3. [ edit ]
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こんばんは!

  1. 2016/12/08(木) 20:35:46 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの応援ありがとうございます!

いつもコメントを下さる方から、今回も鋭いコメントを頂きました!
>>今回のお話、三人称で書かれていますが、一人称で書かれているときより会話が少ない気がするのですが、これは三人称で書かれているからですか? それとも、今回のお話は会話は少なくしているのですか?

いや~、痛いところを突いてくるぅ。
自分の技量の無さだと思います。今回の三人称形式は、まぁ、作者である私目線なんですよね。

一人称形式(司やつくし目線)は、本人たちから見た世界を書いています。だから、心理描写が多くなり、恐らく私にはそちらが合っている。
三人称形式は、第三者目線で、たぶん、情景であるとか、場面設定が容易くできるのが利点だと思います。司はこうだった、つくしはこうしていた・・とか。背景描写としての人間関係とか?主人公たちが知りえない情報も書ける。だから、風景・情景・細かい場面設定なんかを書くような複雑な(繊細な)物語はこちらがいいんです。恐らく。でも、完璧理系バカの私はですね、描写とか苦手なんです。だから、心理描写なんかでお話を進めていく一人称の方がたぶんいいんです。場面設定も、私は安易に一人称をつくしにしたり司にしたりしちゃうので、なんとかそれでできているので。

で、会話が少ない理由は、この三人称にすると、作者である私に聞こえる二人の会話を皆さんに伝える書き方になり、結構書きにくいんです。だから、必然的に会話が少ない。。。という訳です。「・・・」と司が言った。とかね。めんどっ、って思ってしまう。私にとってはテンポが悪いんです。
それから、このお話の設定自体が、ハチャメチャな二人という訳ではないので、二人の会話も落ち着いていて、お話自体の会話場面が極端に少ないのも確かに理由ではあります。このお話を一人称で書いたとしても、二人の想いばかりで、おそらく会話は少ないだろうと思います。

めちゃめちゃ、会話が少ないこと、悩んでたんですよ。疲れる~と思って。書いている私もです。
この先、二人は一度離れちゃいます。そうすると、全く会話なかったりして・・・。(ネタバレ)。
まぁ、ですが、12話ですので、私の冒険に付き合うと思って下さるとありがたいです。

私個人的には、この三人称形式にしたことで、お話がややレトロがかって、なんとなく、「あしながおじさん」としては悪くないと前向きに考えて頑張っています。でも、甘さとか、ほんわかした雰囲気には欠けますね~。

いやいや、いつも鋭いコメントに脱帽です!

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  1. 2016/12/08(木) 16:45:35 |
  2. |
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  1. 2016/12/08(木) 05:45:07 |
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