花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

パーティ会場はすでに人で溢れていた。
司とつくしは一緒に会場に入った。慣れないヒール靴でふらつくつくしに笑いを堪えながら、司が優しくつくしをエスコートしている。つくしは右腕を司の左腕に絡めていたが、実のところ、ふらつく体を支えるため、かなり強い力で彼の腕につかまっている状況だった。そんな状況を微塵も感じさせない、司の身のこなしはさすがとも言える。

「司さん、足がもつれそう。」
司の腕を握りしめて、斜め上にある彼の顔を見上げる彼女。そんなつくしを見おろして、面白そうに微笑んでから、彼は自分の左腕を彼女の腰に回した。それから、彼女の耳元まで口を近づけて、囁いた。その声は低音で、つくしを安心させるような優しい声色。
「俺が支えてるから大丈夫だ。コケさせねぇから安心しろ。」
そんなヒソヒソとしたやり取りも、周りの者たちから見れば、恋人同士の密談のように見える。
女性など同伴したことのない道明寺財閥の御曹司が、見かけたことのない女性を連れて登場した。あの令嬢は誰なのか?周囲は騒然とした雰囲気であったのだが、当のつくしは自分のことで精一杯で周りの空気など読める筈もなかった。
 

「司、ひさしぶり。」
彼らに、藤堂静と類が近づいてきた。
「司、こちらは?」
「牧野つくし。」
その静の質問に類が答えると、静はとても意外そうな目をして、「ふぅん。」と笑った。
他人に興味を抱くことのない類が名前を憶えているなんて・・、と静は思っていた。
「司の彼女なの?」
「いえ!違います!」
つくしが即答した。あからさまに機嫌が悪くなる司に、類は吹きだし、話題を変えてつくしに話しかけた。
「牧野、かわいい。」
「あっ、ありがとうございます。花沢さん。」
つくしが顔を真っ赤にして、答える。
「おい!俺にも礼を言えよ!」
「むっ。ありがとうございますっ!司さん!」
明らかに対応の違うつくしに、司も怒り心頭だ。そんな3人の様子を、静は微笑ましく見つめていた。
すると、次につくしが勢いよくに静に話しかけた。
「あのっ、初めまして。牧野つくしです。20歳のお誕生日おめでとうございます。でも、てっ、手ぶらで来てしまって、なんのプレゼントも持ってきていなくって・・。」
そんなことを言うつくしに、他の3人は笑い出した。
一通り笑った後に、
「気持ちだけでうれしいのよ。ありがとう。つくしちゃんの良さが分かるわ。ゆっくりしていってね。」
と静は言い残して、類と去っていった。

その後ろ姿を眺めながら、つくしが呟く。
「藤堂静さん、綺麗だねぇ。ますます憧れちゃう。」
すると、
「お前と静は違うだろ?」
と司が言った。
「そうだけどっ、そんなにはっきり言わなくたっていいでしょう?」
ちゃんと身の丈をわきまえていますと言わんばかりの表情のつくしに、司は焦った。
司が伝えたかったのは、静が美人で、つくしはそうではないということではなかった。つくしにはつくしにしかない魅力があって、自分はその魅力に惹かれているのだと、そう伝えたかったはずなのに、なかなかうまく表現できなかった。
事実このパーティー会場に入ってから、つくしに多く注がれている男性陣からの視線に司は気付いていた。それでも、司はそんな輩は相手にしていなかった。彼女の魅力は見た目じゃない。その瞳の芯の強さなのだと気づいているのは自分だけだと分かっていたから。
 
「お前さぁ、手ぶらでって、何を持ってくるつもりだったんだよ。」
話を変えるためにわざとあきれ顔をつくって、司はつくしに尋ねた。
「誕生日だったら、やっぱりプレゼントだよね。ほら、手作りクッキーとかさ。あたしは高価なものは買えないけどさ、気持ちは込められるもん。」
「手作りクッキー?!」
思いがけない言葉に心底驚く司。
「あれ?もらったことないの?司さん。口は悪いけど、結構モテそうなのに。可哀想。」
女に可哀想などと言われるとは・・・。普段の司であれば、そんな口をきかれようものならば、半殺しだ。しかし、彼女に対しては不快な気分になることは全くなく、むしろ楽しい気持ちだった。
「じゃ、俺の誕生日には、クッキー持って来いよ。」
「ふふふ。可哀想だから、持って行ってあげるね。」
と二人で笑い合っていた。
あの、道明寺司が女性と笑い合っている・・そんな衝撃の場面に居合わせた人々は声も出せないほどに驚いていた。
 

「ねぇ、あっちにお料理があるよ。行ってみよ。」
「食い過ぎんなよ。」
「だって、もったいないよ。いっぱいあるし。」
慣れない足元でフラフラとしながら皿をとるつくしに、司は横から皿を奪い、
「どれが食いたい?」
と聞く。つくしは目を輝かせて、あれこれと料理を指し示す。「これはなんのお魚だろうね~」「うわっ、これ、フォアグラなの?初めて見た!」などと、ウキウキした様子の彼女に相づちを打ちながら、司が彼女のために料理をとる。そして、皿に盛られた料理を二人で仲良くつまんだ。
「おいしいね~。幸せ。」
そういう彼女の表情は本当に幸せそうで、そんな彼女を見つめる司の表情も幸せそのもの。
「おいしい、おいしい」と喜ぶ彼女をずっと見ていたくて、司は彼女に何度も料理をとってあげた。
幸せそうな二人は互いのことしか見えていないようで、周囲の反応など気にするそぶりも見られない。
 

その時、「司。」と声がかかり、
西門総二郎と美作あきらがそれぞれ女性をエスコートして近づいてきた。
「おう。」
「へぇ、こちらが、つくしちゃん?」
どうやら静から情報を聞いていたあきらが、つくしに話しかけた。
つくしは慌てて口元を抑え、
「牧野つくしです。初めまして。」
と答えた。
「君たち、すっごく目立ってるって分かってる?」
と総二郎。
「えぇ?」
驚くつくしとは対照的に、司は知らんぷりだ。注目されるのはいつものことだったし、つくしと過ごす時間は彼にとってとても幸福な時だったから、今日は誰に見られていても構わなかったのだ。だから、敢えて周囲は無視し、つくしとの時間を楽しんでいた。
「司さん、知ってた?何かおかしかった?もしかして、食べ過ぎ?」
というつくしの発言に、みんな爆笑だ。
「道明寺司が女を連れてるって、注目の的だぜ。」
「どうみょうじ、つかさ?」
不思議そうに呟くつくし。
「そう、こいつ。知らないわけがないだろ?」
「いえ、司さんとしか。司が苗字かと思ってた・・」
その返答に、さらに爆笑が続いた。
「こいつは、道明寺司。道明寺財閥の御曹司。女嫌いで有名なんだぜ。」
「・・・・・。」

つくしは無言になった。道明寺司といえば、噂にきくF4のリーダーだ。友人のいないつくしでも名前だけは知っていた。そして、道明寺司といえば、赤札遊びで生徒を退学に追いやるという人物だと記憶していた。もしや、あたしを退学させる気なの?

つくしは自分がつかんでいた司の左腕を離し、彼をまっすぐに見上げた。
「もしかして・・、もしかして、あたしに赤札を貼るんですか?」
 

しばしの沈黙の後は、割れんばかりの爆笑の渦。何事だとつくしは耳を塞いだ。当の司にしてみれば、道明寺と聞いて、どう驚くかと思えば、赤札と来たもんだ。彼の名前を聞けば媚びを売り、取り入ろうとする女性ばかりを見てきた司にとってはこれ以上に新鮮な反応はなかっただろう。
 
笑いながら、
「そんな気はねぇよ。心配すんな。」
と司は優しく答え、もう一度彼女の手をとった。



 

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いつも応援ありがとうございます。
明日の土曜日は朝の更新はお休みです。
土曜日の夜までに、ひとつ短編をアップしたいと思います。
まだ書いていないので、時間は未定です(笑)。
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  1. My Daddy-Long-Legs(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

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  1. 2016/12/10(土) 11:23:00 |
  2. |
  3. [ edit ]
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こんばんは!

  1. 2016/12/09(金) 23:46:43 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。
いつも拍手をみるとホッとします(笑)。

今日は職場の忘年会があって、夜は時間がなかったので(もう眠い・・)明日の更新はありませんが、明日中にかる~い短編を書きたいなと思っています。構想はあるから書けるはず!

H様、北海道は寒いですか?こちらは関西でして、あんまり寒くないし、最近雪も珍しいです。いつも楽しいコメントをありがとうございます。癒されます~。

ではでは、おやすみなさい~。

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  1. 2016/12/09(金) 07:20:47 |
  2. |
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