花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

このお話は、総二郎君Birthday企画『Chance!』の続編になります。
*****



「この企画の奴らは何やってんだよ!」

道明寺ホールディングス日本支社の来年度から始まる新規プロジェクト。
明日早朝の衛星会議で報告の予定だった。
会議はニューヨークを基準とするから、あっちの午後にから夜に時間に合わせると、こちらは早朝になっちまう。
ところが、このプロジェクトを説明する担当者が、何を血迷ったのか、スライドを日本語で作ってやがった。
馬鹿じゃねーのか。
どことの衛星会議だと思ってんだよ。
確かに俺が報告を受けて、最終決定した段階では企画書もスライドも日本語だった。
けど、衛星会議で報告が決まった時点で、英語だって分からねぇのか?
今回の企画は俺が直接見極めた若手で、複数の部署のやつらが集まってチームを編成していた。
チームリーダーは企画課のエースと言われる男だったが、リーダーになるのは今回が初めてだったから、年長者にフォローをさせるべきだった。
しかし、これは俺の責任だ。
人材を育てていくことも俺の仕事の一つだから。
まぁ、明日の朝までには時間はあるから、企画書とスライドを作り直すことは可能だろう。
もちろん俺がやっちまえばもっと早く出来上がるかも知れねぇけど、それをしちまうと部下は育たない。
ここはぐっと耐えて、あいつらが気合を入れてやり直すのを見守るしかねぇ。


でもよ・・・
問題はそこじゃねぇんだ。
今日は、久しぶりにつくしとゆっくり晩飯を食う予定だった。
最近は互いに多忙で、一緒にゆっくりできる時間がなかった。
そろそろ入籍の日取りとか、結婚式の話とかゆっくり相談したいと思ってた。
だから、今日は20時には余裕で帰れるように予定を組んでいた。
明日の早朝会議は寝ずに出席したって良かった。
あいつだって、楽しみにしてたんだ。
昨日から料理の下ごしらえをしていたのだって知ってる。
食後のティラミスは甘くないから絶対食べてねって言われてたんだ。
それなのに・・・
今日はたぶん帰れねぇ。
俺がやることはほとんどねぇんだけど、トップの俺が帰る訳にはいかねぇ。
恐らく、そのまま早朝会議に入りそうだ。


電話でそのことを伝えたら、つくしは割と明るかった。
でも、俺は知っている。あいつは強がりな奴だって。
きっと、寂しい思いをしているに違いない。
チクショウ!なんで、今日なんだよ!


イライラが収まらない俺の元に、訂正第一弾の企画書をもって、西田が入って来た。
その書類を確認する。
何だよこれ。
グラフや表の説明が入ってねぇじゃねぇかよ。
大筋は間違いねぇが、これじゃ笑われるぜ。おい。


「西田っ!この書類、速攻でやり直しさせろ!グラフに説明を追加させろ!1時間だ。それ以上は待たないと伝えろ!」



***



西門さんと会社の正面で別れてから、あたしは司の執務室へ直行した。
コンコン・・と緊張しながらノック。
すると、内側からドアが開き、西田さんが顔を出した。
明らかにホッとした表情の西田さん。何かあった??

「牧野さん!よく来てくださいました!さぁ、さぁ。」
んんん?予想外の歓迎ね。
もしかして・・もしかして・・

「西田っ!この書類、速攻でやり直しさせろ!グラフに説明を追加させろ!1時間だ。それ以上は待たないと伝えろ!」
執務室の中からは、司の怒声。
うひゃ~。めちゃくちゃ機嫌悪っ。
久しぶりに怒鳴っているところを聞いちゃった。

あたしは小声で聞いてみた。
「西田さん。今、やばくないですか。お弁当を届けにきただけなんです。これ・・。」

「西田ッ!聞いてんのかっ!つーか、何コソコソしてんだよっ!」
わぉ!ますます機嫌悪いなぁ。
こんなに怒ってる司、初めて見るかも。
何をそんなにカリカリしているのかしらね。
大きなトラブルだったのかな。
あたしの前ではいつも優しいから、こういう熱血?道明寺はちょっと新鮮。
いやいや、不謹慎だな・・あたし。


「牧野さん、どうぞ。」
へ?今、中に入れって?まずくない?
なんか、ヤバい気がする。
そう思って、一歩後ろへ後退。
すると、急にあたしのスマホのバイブが作動した。
着信画面を見ると、あたしの携帯を鳴らしているのは『司』。
迷ったけれど、あたしは慌てて廊下に走り出て、通話ボタンを押してみた。


「つくし?」
あれ?さっきと全く違う、優しい声。いつもと同じ、安心する声。
「ん?何?」
「今、どうしてる?」
「そろそろ、ごはん食べようかなって思ってた。」
あたしは、適当に嘘をついちゃった。
「今日、ごめんな。楽しみにしてただろ?」
うん。分かってるって。司のせいじゃないよ。仕方ないことだよね。
「うん。残念だったけど、大丈夫。ねぇ、司は今どうしてる?」
「企画書の訂正待ち。」
「そっか。大変だね。じゃぁさ。あのね・・・」

さっきまで怒鳴っていたくせに、打って変わって優しい司。
本当は仕事でイライラしているくせに、あたしに気を使ってるんだよね、これって。
あたしの前ではリラックスしていてほしいのに。
なんだか申し訳なくなっちゃうよ。
やっぱり、今は会えないな。
お弁当だけおいて帰ろう。

そう思って、電話を終わらせようとした時に
「芝居してんじゃねぇぞ。」
と背後から抱きしめられた。

あれ?バレてた?
あぁ~、西田さんが教えちゃったんだな。
スマホを切って、ポケットにしまって、クルリと振り返った。

「忙しいのにごめんね。せっかく作ったから、お弁当届けようと思ったの。」
そう言ったとたんに、思いっきり手を引かれ、あたしは執務室に連行された。

「支社長、待機は1時間です。」
という西田さんの声が聞こえて、すぐにドアが閉まった。

その閉じたドアに背中を押し付けられながら、司のキスを受け止める。
両手で頭を掴まれて、どんどん、どんどん貪られていく。
こうなったらもうダメなの。
司のジャケットにつかまっていることしかできない。
司が満足するまでは、あたしは離してもらえない。
あたしの足の力が抜けるころになって、司があたしの唇を離した。

「ごちそうさん。」
ちっ、ちがうっつーの!!

「も~!お弁当って言ったでしょ?」
あたしはそう言って、来客用の応接セットのテーブルに置かれたお弁当に向かって、道明寺の背中を押した。



二人並んで、お弁当を食べる。
「このポアレのソースを作ろうとしたら、バルサミコ酢が無くってね。それで、急いでスーパーに行ったの。」
「あんま、夜に出歩くなよ。SPついてるはずだけど。」
「あはは・・本当に司は過保護だよね。西門さんもだけど。」
「総二郎?」
「うん。途中で西門さんに会ったの。それで一緒にスーパーに行ってね。司も帰ってくるからってマンションで一緒に待ってたんだけど、司、帰れなくなっちゃったから・・」
「だから?」
ん?なんか、トーンが一段下がった?気のせい・・かな。
「だから、お弁当にして持っていったらって、西門さんが言ってくれて。」
「それで?」
はっと、司に視線を向けると、えっ、えっ?もしかして・・怒ってる?
「それで・・えっと、おかずをお弁当箱に詰めて、西門さんにここまで送ってもらったの。それだけ。」
あたしは一気に説明をして、ふぅっと息をついた。
あたし、何にも悪いことしてないよね?

無言・・。
司が何もしゃべってくれない。何で??
えっと・・なんか言わなきゃだよね、と考えた時に、
「お前、この料理、総二郎にもやったの?」
「え?うん。小さいお弁当箱に詰めて渡したけど。」

司があたしをギロリと凝視する。
何よ!怖いじゃないのよ。
なんでそんな顔するの?
さっきまで優しかったのにどうしちゃったの?
お弁当を渡したのがダメだったってこと?

「あっ、あのね。ティラミスは司だけだからね。西門さんにはあげてないよ。」
あたしはそう弁解したつもりだったんだけど、


「それだけじゃ足りない。俺にだけ、特別なデザートくれよ。」
そう言って、司はあたしを立ち上がらせた。
あたしはそのまま腕を引かれ、奥の部屋へ連れて行かれた。



 

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すみません~。終わらなそうなので、とりあえず前半を先にアップします。
後半は今晩か、明日中に。
明日朝5時は「My Daddy-」です。
久しぶりにこの文体、和みました~。
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