花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

イブ翌日の新聞を飾ったのは、一面『道明寺』の文字。
道明寺ホールディングス会長の道明寺保が病に倒れた。それに伴い、道明寺ホールディングスの株価は大幅に下落し、会社は経営危機に陥るとの予測が書かれていた。つくしは、経済のことなど詳しく分からなかったが、これは司にとって大変なことなんだということは分かった。
学校に行っても司は登校しておらず、そのまま冬休みに入ってしまった。もともと、司とつくしは携帯番号の交換などしていなかった。学校で直接話すのが常であり、電話で話す必要もないぐらいに、毎日学校で会えていたのだと、つくしは初めて気が付いたのだった。


冬休みの間も司から連絡がくることはなかった。そして年が明けてから、つくしは司の消息を知ることになった。
それは、花沢類から聞かされた内容だったが、すぐにはつくしの頭に入ってこなかった。
「司は今、ニューヨークにいる。いつ戻れるかはわからない。高校もあっちに転校したし、大学もニューヨークになる。道明寺財閥が崩壊の危機なんだ。これを乗り切るためには例え18歳の司であっても、動かざるを得ない。牧野、分かる?」
つくしには、事の重大性がやはり理解はできなかったのだろう。頭が混乱して、なかなか返事ができなかった。これは、どういうことなのだろう。もう司とは会うことはできないということなのだろうか。それでもつくしは、何とか声を出した。
「あたしは、もう道明寺には会えないの?」
「俺たちも連絡は直接とれていない。丁度うちの父親が道明寺と取引があって、そこからの情報なんだ。恐らく、司個人の行動も管理されているはずだ。もちろん、携帯にもかけてみたけど、連絡はつかない。」
淡々と話す類の声が、つくしにはどこか遠くから聞こえてくるような気がした。 


司はもう日本にいない。連絡をとることもできない。
もう、手をつなぐことだってできるわけがない。
クリスマスイブは二人で過ごしたのに・・・。
プレゼントのお礼だって伝えてない。
それに、自分の気持ちも伝えていなかった。
司のことが好きだということを・・・。
あれが最後になるなんて、思ってもいなかったのだ。
その非情な現実に、つくしはただ茫然とするしかなかった。
 
 


*****
 

無常にも時は過ぎてゆき、つくしは高校3年生に進級した。
しかし、司からの連絡は全くないままだった。つくしにしても、その頃になると、今現在、道明寺財閥がどれほどの危機的状況にあるのかは理解できていた。そして、司には自分と連絡を取る余裕などどこにもないのだろう、ということも分かってはいた。自分とは住む世界が違う人。初めから分かっていたようで、分かっていなかったことが、やっと現実として捉えられるようになっていた。
司が決して、半端な気持ちでつくしをデートに誘ったり、キスをした訳ではないと信じていた。ただ、彼が道明寺財閥を背負う立場となった現状では、二人の関係は容易く許されるものでは無くなってしまったのだ。これは仕方のないこと、そういう風につくしは理解するようになっていった。
 
 
 
一方司は、あのクリスマスイブの夜から、人生が変わった。
夕方までは幸せの絶頂だった。生まれて初めて恋した女性とデートをして、プレゼントを渡し、唇を重ねた。高校生であればよく聞く話なのかも知れなかったが、司にとっては自分の努力で必死に掴んだ幸せだった。何を望まなくても全てを当たり前のように手にしてきた彼が、初めて自ら望んだもの。大切に大切にしたいと想った人。それが彼女。彼女に「好きな女」だと伝えた。もちろん彼にとっては生まれて初めての告白。返事はもらえなかったが、互いの唇が自然と重なったこと自体が答えだった。いつもは暗く寒々しい彼の屋敷も、この日は帰宅すると輝いて見えた。
しかし、その夜になり、父親が倒れたという知らせが入った。すぐにニューヨークへ来るようにという母親からの指示に従い、プライベートジェットに乗った。その時にはまだ、司にも事の重大性が分かっていなかったのかも知れない。ジェットの中でも、つくしに貸したマフラーを巻き、つくしからのクリスマスプレゼントを眺めていた。

司が道明寺財閥の危機的状況を知ったのは、渡米後すぐのことだった。
渡米してすぐから、父親が病床に伏した事実が公に知れ渡ってしまっていた。司の父が倒れたのはマスコミの面前であったため、それも仕方のないことだったが、その影響で株価は不安定となり、道明寺ホールディングスは窮地に立たされた。
財閥を守ろうと、母親である道明寺楓は全世界を駆け回り、道明寺への支援をつないだ。当時18歳であった司は、父親の代わりに、政財界に顔を出し、父が大病ではないことをアピールする役割を持たされた。実際には、父親は急性心疾患で生命の危機であったとしても、その事実は絶対に広める訳にはいかなかったのだ。司は父の指示で動いていることを、必死にアピールして回った。司の一挙手一投足までが、株価に影響を与えるほどの事態となっていることを知り、司の行動も制限されざるを得ない状況だった。
我武者羅にアメリカ全土を渡り歩き、何とか道明寺を支える手段を見出そうと必死になった。そして、渡米してから、6か月程が経った頃、一時期は緊迫した病状だった父親の容態もなんとか落ち着き、日常生活が可能になるまでに回復した。そして、道明寺の株価も元の水準とまでは行かずとも復調し、財閥の解体は免れた。
しかしながら、ここからは、経営再建の柱として事業の見直しを迫られ、司は大学でのビジネスの勉強と、会社での父親の秘書という立場の二足わらじを履くことになった。彼は十分に寝る間もないほどに多忙な生活を強いられたのだった。


彼はどんなに多忙であろうとも、つくしのことを一瞬たりとも忘れたことはなかった。けれど、どんなに彼が望もうとも、連絡を取ることは叶わなかった。
彼は多忙なだけではなく、その行動も全て制限され、母親の管理下に置かれていた。つくしや友人達と連絡をとりたくても、それは許されなかった。どこから道明寺内部の情報が漏れだすか分からない。財閥内からクーデターが起きようものならば、間違いなく財閥は崩壊する。彼の行動一つで、財閥の運命が決まるほどに、現状は逼迫していた。自分勝手な行動は慎まなければならなかったのだ。

つくしと出会うまでの彼にとっては、道明寺財閥は特に大切なものではなかった。しかし、父親が倒れたことにより、彼の肩には多くの人間の人生がのしかかった。以前の彼であれば、道明寺財閥が解体しようが知ったことではなかったかもしれない。けれど、彼女と約束をしたのだ。自分がトップになり、彼女が彼の元で働くのだと。そして、その先には、彼女との未来があるはずだと。
もちろん、司だって自分の知ったことではないで済まされる立場ではないとは理解していた。しかし、この彼女との約束がなければ、きっと現状を乗り越えることはできなかったに違いない。それぐらいに、彼の日常は尋常ではない程の緊張の連続で、一つのミスすらも許されなかった。
彼女はもう、突然目の前から去って行った自分のことなど忘れてしまっているかも知れない。けれど、そうではないかも知れない。司が未だ彼女を想っているように、彼女もまたあの約束を信じて、自分のこをと想い続けてくれていることを強く願うのだった。



その年の秋になり、彼の周囲も少し落ち着きを見せてきた。
道明寺ホールディングスの株価も安定し、司周囲の厳戒態勢も緩和し、つくしが今どうしているのか、やっと調べることできたのだった。
その報告では、彼女は以前と変わらず英徳学園に通い、成績は上位をキープしながら、バイトに励んでいるとのことだった。しかし、彼女は大学には進学せず、就職希望だと記載されていた。

司はその報告書を見ながら、急激なあせりを感じていた。
自分と約束をしたのではなかったか。大学に行って、道明寺に就職するのではなかったのか。それを忘れてしまったのか。
けれど、そんな彼女を責める気持ちは、すぐに吹き飛んだ。
いや、きっとそうではない。彼女の家庭環境が、彼女が大学へ行くことを拒むんだ。それが司には分かっていた。あの時、彼女も「本当ならば、大学に行きたい。」と司に伝えていたのだから。


だから司は、匿名で彼女に援助することを決めた。援助はつくしのためでもあったが、それ以上に司自身のためだった。援助をすることで、少しでも彼女と繋がっていたかった。自分の願いを諦めたくなかったのだ。
学費援助は彼の個人口座から送金され、表向きには母校である英徳学園への寄付という形をとることで、彼の周囲の監視の目を潜り抜けることができた。



援助の条件として、彼女からのメール報告を上げたのはどうしてだったのだろう。
司はつくしのことが本当に好きだった。結局、恋人同士として付き合うことはなかったとはいえ、彼女は間違いなく彼の初恋の相手であり、あのまま日本にいることができれば、司はつくしの恋人になっていたはずだった。恋人であれば、彼女のそばにいて、ずっと彼女を守り続けることができただろう。
しかし、無常な現実が二人を引き離した。
ずっと彼女と共にありたいという彼の願いは叶わなかった。
彼女が彼との約束を覚えてるとしても、今でも司のことを想ってくれているかは分からない。
けれど、どこかでそれを期待してしまうのだ。
彼女もまた、今でも自分のことを想ってくれているのではないかと。
そうであって欲しいと。
少しでも彼女とつながっていることで、彼女の気持ちが知りたかった。
その反面、司のいない日々を送る彼女を知ることは怖くもあった。
それでも、どんな結果になろうとも、彼の心はやはり彼女から離れられなかったのだ。

何故なら、
この異国の地で一人踏ん張るしかない今となっては、彼にとって、彼女と少しでもつながっていることだけが、彼が人としての感情を保つことのできる、唯一の生命線だったのだから。



 

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つくしだって、司を忘れていませんよ!
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  1. My Daddy-Long-Legs(完)
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは~。

  1. 2016/12/13(火) 22:54:03 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。
疲れがふっとびます。

プロローグと繋がりましたでしょうか?
プロローグ、何じゃこりゃ?と思われた方も多かったでしょうか?
あしながおじさんを知らない方からすると、何じゃこりゃ?だったのでしょうかね(汗)。
説明しだすと長くなるので割愛しちゃいますが(へへ)。
簡単に言うと、孤児院出身の少女が、見知らぬ男性からの援助で大学へ行き、実はその人とHappyendingを迎えるというストーリーです。(端折りすぎ?)

この先、二人はメールで繋がっています。
最後はもちろんHappyendingです。
ですが、私、まだエピローグを用意していなくて、今考えているんですけれど、一行に頭に浮かばない。
やばいです。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/13(火) 14:56:28 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2016/12/13(火) 08:35:50 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2016/12/13(火) 07:03:23 |
  2. |
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