花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

つくしは匿名の援助を受け入れ、英徳大学の経済学部に進学した。
つくしの成績であれば、法学部への入学も可能であったが、彼女は経済学部を選んだ。
彼女の心に残された司の面影。「自分が社長になるから、お前は道明寺に就職しろ」と言った司。
あの時は、こんな別れがあるなんて思っていなかった。いや、いつかは互いが別の道を行くのだとしても、それまでは一緒にいることができるのだと思っていた。
それでもつくしも心のどこかで信じていたかった。
もしかしたら、彼があの約束を覚えていて、いつか会いに来てくれるんじゃないかということを。
いつか彼と再会できたとしたら、その時には彼に恥じない自分でいたい。
つくしは、そんな思いでこの援助を受け入れたのだった。

ニューヨークの司とは、F3ですら連絡を取れない状態が続いていた。
けれど、つくしは確信していた。
きっと彼は、会社のトップに立つためにその身を削って努力しているに違いないと。
彼女のことをまだ想ってくれているかは分からなくても、これだけは確かだと思っていた。



匿名の援助を受ける代わりに、週に一度、近況を報告するという条件があり、つくしは渡されたメールアドレスに、緊張しながらも初めてのメールを送った。
 
『はじめまして。
牧野つくしと申します。
この度は、就学援助をいただき、本当にうれしく思っています。
毎週メールをするだけなんて、どうしてこれでいいのか?などと、色々と考えてしまうのですが、それでも、やはり大学に行きたい気持ちが強かったので、ご厚意に甘えさせていただきました。
うちの経済状態では、大学なんて難しいと半ば諦めていたのですが、思いがけないご厚意で、こうして大学生活を始められたことで、私は自分の夢のスタートライン立つことができました。
そして、これから、まだまだ努力していくつもりです。
 
それから、あの・・・
このメールを書き始めるときにも、かなり悩んだのですが、あなた様のことを、どのようにお呼びしたらよいでしょう?年齢も分からないので、何とお呼びしたらよいか分からなくて。学園長から男性だとは聞いています。私にとっては、あしながおじさんのような存在ですから、おじ様でよろしいですか?
 
おじ様、初めての大学生活が始まったばかりで、まだあまり楽しいご報告はできませんが、またこれからの生活をご報告していきますね。
せっかくのご厚意を無駄にしないよう、精一杯努力します。
これから、どうぞよろしくお願いいたします。

牧野つくし   』
 

 
初めてのメールは感謝の言葉。
その文章中の、「あしながおじさん」の文字に驚く司。司だって、まだ19歳だった。けれど、たとえ貧乏であったとしても、特別扱いを嫌うつくしだ。自分が援助していると知れば、きっと彼女はこの援助を断るであろうことはすぐに予想ができたから、彼はそのまま「おじ様」になることを決めたのだった。
そして、彼女がスタートラインに立つことができたという夢。それはどんな夢なのか。その夢の中に、自分は存在しているのかのだろうか・・・。
司は何度もメールを読み直し、彼女の夢と自分の夢が同じであることを願うのだった。


つくしにとっても戸惑いだらけのスタートだった。
まず、匿名の男性の年齢が分からないのだ。それでも、恐らく英徳大学4年分の授業料を援助するのだから、その男性は相当裕福な人で、少なくとも彼女よりはずいぶん年上であろうと考えた。それで、有名な「あしながおじさん」を思い出し、「おじ様」と書くことに決めたのだが、2通メールを送っても、それに対する返信はなく、つくしは少し焦りを感じていた。もしかて、「おじ様」という表現に、気分を害したのかもしれないと。
 

 
司が初めて、つくしのメールに返事を出したのは、彼女が入学して、2週間がたち、3通目のメールを受信した時だった。それまでにも、返事を出そうとはしていたのだが、いざ書こうと思うと、彼女が今、どんな生活をしているのか?誰か、気になるやつでもできたか?言い寄ってくる男に困ったりしていないか?などと、純粋に援助をしているはずの「おじ様」らしくもないことばかりが頭に浮かび、とても文章にならなかったのだ。そんな時に、3通目のメールが届いた。

 
『おじ様へ
大学へ進学して、2週間が経ちました。履修教科もほぼ決定し、授業が本格的に始まりました。
1年目は一般教養がほとんどなので、語学を頑張ろうと思っています。英語とドイツ語は必修なのでとりましたが、選択語学を迷っています。フランス語にしようと思っているんですが、友人がフランス語が堪能で教えてくれるというので、中国語を履修しようかと迷っています。おじ様はどう思われます?中国語を学んでおくべきだと思われますか?
つくし   』
 
司はそのメールをみて、友人とは花沢類のことだとピンと来ていた。あいつらは相変わらず仲良くしているのか・・などと、女々しい心境になりながらも、初めての返信をした。
 

『牧野さんへ
大学入学おめでとう。充実した4年間が過ごせることを願っています。
さて、語学の件ですが、ご友人に習われるよりは、授業として体系的に学習された方がよいかもしれません。将来的にアジアを拠点としたビジネスを模索しているのであれば、中国語という選択肢もあるとは思いますが、実際には中国語にもいくつか種類があり、ビジネス場面で使いこなすのは難しいため、通訳をいれることがほとんどです。私であれば、大学の授業はフランス語をお勧めします。』

そう書いた司には、少しでも類とつくしが同じ時間を過ごさないように、つくしにフランス語の授業をとらせようという下心があったことは間違いないだろう。

司はメールを書くに当たって、できるだけ丁寧に、年上の男性らしく書くように心掛けた。元々彼は口の悪い男だったが、そもそも彼は膨大な量のメールをチェックすることはあっても、長い返書を書くような必要は殆んど無かった。もちろん企画や経営ビジョンなどは英文で何ページにもわたって記載するのだが、そこには感情はこもっていなかった。メールのやりとりも全てがビジネスだったから、自分がしっかりとした理念を持ってさえいれば、書き方がブレることなどなかった。
けれど、彼女とのメールのやり取りには、十分な注意が必要だった。気をつけておかないと、ついつい自分の素の部分がでてしまい、いつか彼女に自分は道明寺司だと正体がばれるのではないかという心配があった。

それでも彼は心のどこかで願っていたに違いない。
自分に気付いてほしい。
そしていつの日にか、また自分の隣で笑ってほしいと。
 

 
*****

つくしは結局、選択教科はフランス語を選んだ。そのことを類に報告すると、
「ええ?何で?俺が教えてやるのに。」
と言われ、あしながおじさんからの返信の話をすると、類は「ふーん。」と少し考え込んだ。
確かに中国語はなかなか地域差があり難しいが、ビジネスで使うのは殆んどが北京語で大学でも授業の授業も北京語だったから、無駄にはならないはずだ。確かに極めるのは難しい言語かもしれないが・・・。
類は、ふっと司のことを想った。
司は今、ニューヨークだ。彼らF3もまだ、司とは直接連絡はとれていなかった。けれど、道明寺財閥は解体を免れ、司自身は父親の秘書としてビジネスの世界に身を投じていることは聞き及んでいた。
もしかして・・・
あることに思い当たった類。

「牧野、そのあしながおじさんってさ・・。」
そこまで言いかけて、彼は言葉を止めた。
自分が今、伝えるべきことではない。二人の未来はまだ開かれていないのだから。
類はそう考えなおして、
「そのおじさんってさ、もしかすると、めちゃくちゃ嫉妬深い男かも知れないね。」
そう言った類にきょとんとするつくし。
「ええ~?なんで?」
「もしかするとさ、自分が中国語できないんじゃないの?だからフランス語を勧めたとか?」
「ええ~。きっとそんなことないよ~。何それ~!」
そう言って、ケタケタと笑うつくし。

どうか、この笑顔が、いつか必ず司に届いてほしい・・・類はそうは願った。



 

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  1. My Daddy-Long-Legs(完)
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

ありがとうございます(#^.^#)

  1. 2016/12/14(水) 22:13:58 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつも応援ありがとうございます。

司があれこれ悩みながらメールしている姿・・あんまり想像できない(笑)。
そして、このお話のエピローグ やっぱり書けない。
いっそのこと無くしちゃおうか。。。
いや、こういう風にっていうのはあるんですが、言葉で伝えられないっていうか。
あぁ、本当にやばいなぁ。
いつもなら、きらーんって何か降ってくるんだけどなぁ。
来てくれないかなぁ。
あまり考えずに書くタイプだから、考えると書けないのかも・・・。
おかしいなぁ。完璧理系頭だから、仕事や実生活は勘に頼るタイプではないんですけどねぇ(笑)。
ではでは、また明日~。

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  1. 2016/12/14(水) 07:39:48 |
  2. |
  3. [ edit ]
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