花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

つくしと司のメール交換が始まって、1年が経過していた。
始めは1週間に一度という約束であったため、その約束を守っていたつくしだったが、次第にメールを書く回数が増え、今では定期的に週3回はやり取りをするようになった。

大抵は、大学生活のことや、学校での成績や、たわいもない日常の報告で、食べたランチがおいしかったことであったり、家庭教師先の女の子が高校に合格したことであったり、ふと視界にはいった夕焼けがきれいだったことだったり・・・本当に彼女の日常の一コマを書いているだけだった。それでも、書く度に、あしながおじさんからの短い返事があったり、時々は、おじさんの日常生活が書かれたメールが返されてくるのが待ち遠しくなっていった。
おじさんからの返事は、つくしの書いた内容に対するものがほとんどだったけれど、その短い返事にもおじさんのつくしに対する興味関心がにじみ出ていて、つくしはいつも返事を見ながら微笑んでいた。例えば、「今日はお花屋さんでチューリップを買ってしまいました。」と書けば、「牧野さんには、チューリップが似合いそうな気がします。私があなたに贈るとしたら、赤いチューリップかな。」と返事があったり。それから、おじさんはどうやら、会社を経営しているようで、仕事が忙しくて寝る暇がないとか、難しいプロジェクトが進行しているとか、少しだけ自分のことも書いてくれていた。
いつの間にか、つくしにとってこのメールは、勉強一辺倒の大学生活の潤いとなっていた。それは司にとっても同じことで、つくしとのメールでの繋がりが彼の大きな原動力となっていたのだった。

赤のチューリップの花言葉は「愛の告白」。アメリカでの花言葉は「believe me(私を信じて)」。クールと言われる彼が、女性とのメールで花言葉を利用していたなんて、きっと誰にも想像出来なかっただろう。
 


*****

あしながおじさんとのメールのやり取りはつくしの心の支えになっていったが、彼女はあしながおじさんの正体に全く気が付いていなかった。いや、打診された当初は、もしかして道明寺が・・なんてことも考えはしたけれど、彼とはあれから全く接点がないのだから、そんなはずはないと考え直していた。
 
つくしは、夜にメールを打つことが多かったが、返事は大抵がお昼過ぎに届いており、おじ様とは生活の時間帯がだいぶちがうと感じていた。だからつくしは、もしかするとあしながおじさんは、日本ではなく、海外に住んでいるのかもしれないと思った。
匿名希望であるのだから、あまり詮索するのはいけないと思っていても、やはりどこに住んでいるのかは気になって、つくしはメールで聞いてみたことがあった。すると、返事はニューヨークだと返ってきた。ニューヨークは現在道明寺司が住む街だ。つくしは、あしながおじさんと道明寺司が、心の中で重なるような錯覚を覚えた。
それからのつくしはますますあしながおじさんに心酔するようになっていった。おじさんが読んだ本は、原書であっても読んでみたいと思うようになったし、会社を経営しているであろうおじさんは、経済学部に在籍する自分の目標のようになった。
 
 
ある日、つくしは思い切って、こんなメールを出した。ずっと疑問だったことを初めて問いかけてみたのだ。
『おじ様へ
今までも、ずっと疑問だったのですが、どうして私を支援しようと思われたのですか?優秀な学生は他にもいると思います。それなのにどうして私なのかなって、ずっと疑問に思っていました。』
 
それに対する司の返信は、
『牧野さんへ
昔、想いを叶えることができずに後悔したことがあります。その後悔を少しでも埋めたくて、あなたを援助しようと決めました。あなたが無事に大学を卒業し、無事に社会人となり、幸せな人生を歩むことができたなら、私も救われるような気がするのです。』
 
つくしには、その意図はやはりわからなかった。援助する対象が自分である理由も書かれてはいなかったのだから。しかし、おじさんが何かに後悔をして、自分に援助をすることで、心の隙間を埋めようとしているということは分かった。
 
『おじ様へ
私が幸せになることができたら、その時には、もう後悔するのはやめて下さいね。』
 

その返事をみて、司は苦笑いを浮かべた。
彼はきっと、一生後悔する覚悟でいたのだろう。あの時、初恋の人を得られなかった自分に。彼女のそばで、彼女の笑顔を見続けていられなかった自分に。
しかし、この日から、彼の胸に再び熱い感情が湧き上がってきたのだった。
彼女が今、司のことをどう思っているかは分からない。
けれど、彼女を幸せにするのは自分でありたい。
今すぐには実現できなくても、将来彼女を幸せにすることができたなら・・・・。


_____いつか、彼女を迎えにく。
例え、彼女が自分のことを忘れていたとしても関係ない。
彼女が自分を忘れてしまったのなら、もう一度思い出させてやる。
司自身が幸せになるために、彼女が必要なのだ。
もう、遠慮なんてしない。

その日から、司のメールは、少しだけ彼本来の感情が露出するようになっていった。
 



つくしが大学2年生のクリスマスのこと。
『おじ様へ
明日はクリスマスですね。どんなクリスマスイブを過ごされますか?さみしい私は、友人達と過ごす予定です。けれど、いつも温かい友人達に囲まれているということは私にとってはかけがえのない幸せです。
メリークリスマス、素敵な夜を!
つくし   』

『牧野さんへ
クリスマスは仕事に追われています。ここ何年も幸せなクリスマスを過ごしたことはないな。いつか、あなたとクリスマスを過ごしてみたい。その時には、こちらからお誘いします。』
 
つくしは驚いた。匿名希望のはずなのに、私に会いたいと言ってくれるなんて。
つくしはドキドキしていた。おそらく、かなり年上の男性だと思うのに、メールの男性に惹かれる気持ちを止められなかった。

 
つくしは、まだ司のことを忘れてなどいなかった。つくしにとって、初恋の男性。しかし、幼過ぎる二人の恋は、実ることはなかった。大学に入ってからも、何人かの男性にアプローチを受けたけれど、お付き合いをする気にはならなかった。
 
つくしがあしながおじさんに抱いていた感情は、恋とまではいっていなかっただろう。信頼のできる大人の男性、そんな感じだった。彼女が司と会えなくなってから、司の友人たちは彼女を気遣ってくれたけれど、彼女自身は落ち込んだ姿を見せないように必死に努力をしていた。しかし、あしながおじさんには、大学に入ってからは何でも相談していたし、彼女が友人達には決して口にすることがなかったような内容も、メールに書くことができていた。
 
その年のクリスマスは空気が澄んでいて、星空の美しい夜になった。
つくしは、その空を見つめながら、メールを打った。

『今日は空気が澄んでいるようで、星がよく見えます。おじ様は、土星は肉眼で見えるって知っていましたか?以前に大好きな人から、土星の形をしたネックレスをもらったことがあるんです。あれはどういう意味だったのかな。今でも分からないんですが、私の大切な宝物なんです。』

司は、彼女が今でもネックレスを大切にしてくれていること、それから、「大好きな人」からもらったのだと現在形で表現していることに、嬉しさを募らせた。

『それは素敵な思い出ですね。ネックレスを大切にしていること、きっとその男性も喜んでいると思います。牧野さんの誕生日はいつですか?もしかすると土星人なのかも知れません。私も星に興味があり、自分も土星人なので、なんとなく彼の気持ちが分かります。』
 
つくしは、すぐに土星人について調べた。すると、自分も司も土星人であることが分かった。
そっか、そういうことだったんだ、とつくしはクスッと笑った。
 
 
あしながおじさんは、いつも彼女を応援する言葉を贈ってくれた。彼女の中で、あしながおじさんは、かつての司の代りのように思えていた。司とつくしが一緒にいたころ、彼の優しさは本当に分かり辛かったけれど、彼の言葉はいつもまっすぐで、彼女の迷いを吹き飛ばす力があった。あしながおじさんの言葉もまた、彼女にとっては、同じように心に響くのだった。



 

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いつも応援ありがとうございます!
司君がいじらしいなぁ。
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  1. My Daddy-Long-Legs(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんはー(^^♪

  1. 2016/12/15(木) 21:56:41 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつも応援ありがとうございます。

繋がってますね~、二人は。
じれじれしながらも、読んでくださっている方がいて、楽しみにしてくださっていると思うと頑張れます。

そうそう、あまり考えていなかったですが、もうすぐクリスマスだし、つくしちゃんお誕生日ですよね。
ひゃ~。考えてなかったなぁ。困ったなぁ。
最近いろいろ考えすぎて書けないんだよなぁ。
うーん。困った。
つくしのバースディは今まで書いたことないような、新しい二人をショートで書きたいなと今思いました(笑)。
が、その前に、理想の恋人の続きどうしよう。
あわわわわ・・・。

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  1. 2016/12/15(木) 11:38:54 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2016/12/15(木) 05:20:13 |
  2. |
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