花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

司は、大学を3年で卒業し、道明寺ホールディングスの専務に就任した。
ビジネスに専念できようになったからといって多忙であることに変わりはなく、激務をこなす毎日で、つくしとのメールのやり取りだけが心の支えだった。一時期は低迷した経営もすっかりと持ち直し、道明寺ホールディングズの若き専務の評判はうなぎ上りだった。
しかし、会社が立ち直ったとはいえ、すぐに彼が自由になるということではない。彼はまだまだ若く、彼の財閥内での地位を確実にしようと思えば、もう一つ大きな仕事をする必要があった。それは、向こう10年は財閥の安定が保証されるような、新規事業。今の彼はそのプロジェクトに邁進していた。
このプロジェックトが成功すれば、彼女を迎えに行くことができる・・・その目標に向かって。


目まぐるしく変化する経済情勢の中、相変わらず彼を取り巻くのは、ビジネス関係の腹黒い男たちのみならず、彼の恋人の座に収まりたいたいと画策する女性たち。司にとっては、本来会話をしたいと思う人間など、ごく一部であるのだが、その他大勢を無視することもできない現状に疲れる日々だった。そんな疲れた体を引きずって出席した経済界のパーティーで、司は親友の花沢類と再会した。
 

「司、久しぶり。」
「おう、来てたのかよ。」
「父親の代理でね。」
「そっか。せっかくだけど、ゆっくりできねぇんだわ。」
類と司が合うのは4年ぶりだったにも拘わらず、彼らはそんな素振りは見せなかった。
互いにすでにビジネスの場に身を投じている。その本気度合いが伺われた。
「ん。そうだ、司、牧野とは連絡取ってる?」
司がつくしと直接連絡をとっていないことなど、百も承知の類。
思いがけず類から出た『牧野』の言葉に、司も一瞬たじろいだが、
「んな訳ねぇだろ?」
とポーカーフェースを張り付けた。
「ふーん。そうなんだ。司は牧野のこと、もういいんだよね。じゃあ、俺が牧野もらってもいい?」
そんな類の言葉に、司は激しく動揺したのだが、それを口に出すことはできなかった。
「勝手にしろよ。」
そう言い放った司だったが、自宅へ帰るとすぐにメールを開いた。
 

『おじ様へ
今日も就職活動で、会社の説明会に行ってきました。大学で学んだことを活かして、介護や福祉関係の仕事ができたらいいかなと思っているのですが、なかなか厳しいみたいです。先日は、友人の会社に入社を勧められて、入社試験を受けるかどうか迷っています。就職が厳しいご時世なので、選り好みしている場合じゃないんですけれどね。
つくし   』
 
メールを読みながら、先ほどの類の言葉を思い返した司。
類の奴、牧野を花沢へ入れるつもりか?
まさか、静から牧野に鞍替えするつもりか?
しかし、彼女は自分との約束を忘れてしまったのだろうか。
道明寺ホールディングスの入社試験を受けるつもりはないのか。
彼はグルグルと考えを巡らすものの、どうしたらよいのか分からない。

それでも司は必至に考えていた。
本来なら、司はすぐにでも彼女に会って、今でも好きだ、類のところなんて行くな、俺のところに来いと言いたかった。彼女のメールから、今現在、彼女に特定の恋人がいなことは知っていた。しかし、今ニューヨークで進んでいるプロジェクトのため、司はアメリカを離れることはできない状況だった。それに、このプロジェクトが成功すれば、司の財閥内での地位も安定するという目論見があった。誰にも文句を言わせない状態で、彼女を迎えに行きたかった。
せめてあと半年は必要だ・・。


司は思い切ってメールを打った。
『牧野さんへ
就職活動大変ですね。介護・福祉分野といえば、最近は道明寺ホールディングス日本支社が相当な力を入れてきていると思いますが、検討はされていますか?』
 
つくしが道明寺ホールディンスに内定すれば、あとは自分が何とでもできる。
彼女の成績と人間性をもってすれば、入社試験を受けさえすればおそらく内定は確実だ。
司にはなぜかそんな自信があった。
彼はどうしても、彼女を道明寺に入れたかったのだ。


  

*****
 

花沢類をはじめ、つくしの親友たちは、つくしが「あしながおじさん」に心酔するのを心配していた。学内で、真面目で可愛いとかなりモテているにもかかわらず、誰とも付き合おうともせず、「あしながおじさん」とのメールのやり取りばかりしているつくし。友人たちの心配も当然かも知れなかった。
友人たちが、もっとおしゃれをしては?とか、バイトを減らしたら?などと提案をしても、全く受け付けないつくしであったが、おじさんから、「女性は、その年齢の美しさがあるのだから、それをわざわざ否定することはない。」などと言われれば、いつもはジーンズ姿のつくしも、大学にスカートを履いて現れることすらあった。自分の誕生日にまでバイトをいれるつくしに対して、「たまには自分を労わってあげましょう。」と書かれれば、バイトを休み、一人映画を見たり、気ままな一日を送ったりしていた。それぐらい、つくしにとっておじさんは絶対的な存在だったのだ。
 
それから、友人たちはこの「あしながおじさん」は司であろうと、大体の目途は付けていた。しかし、彼がつくしをどうするつもりなのかは誰にも分からず、誰もそのことを口にすることはできなかった。
花沢類は、司は必ずつくしを迎えに来るつもりだと確信していた。そして、つくしが道明寺ホールディングスを受けるかどうか迷っていることも知っていた。だから、少し司にプレッシャーをかけたのだった。あしながおじさんを絶対視しているつくしのこと、おじさんに言われればきっと道明寺を受けるに違いないと踏んでいた。
三条桜子もその感の良さで、司の影にいち早く気付いていた。司が渡米してから知り合った桜子は、つくしにとっては、大学内で唯一の女友達だった。桜子は非常階段で司とつくしが一緒に過ごしていたことを知っていた。そして、女性を伴ったことのない道明寺司が、初めてパーティーに同伴させた女性がつくしであり、桜子自身もそのパーティーで二人を目撃していた。桜子は、その時の二人の幸せそうな姿が忘れられなかった。そして二人に憧れを抱いてもいたのだった。


「先輩、道明寺さんのことはもうすっかり吹っ切れているのですか?」
と桜子は切り出した。
「えぇ~。今更。何年前の話?」
「先輩が誰ともお付き合いをされないので。先日だって、同じゼミの山内さんに告白されたのでしょう?」
「彼は単なる友達だよ。同級生。」
「では、先輩のあしながおじさんは?」
「うぅぅん。人生の先輩?」
「もしも、ですよ?あしながおじさんが素敵な男性だったとしたらどうします?」
「おじさんだと思うけどなぁ。」
「だから、もしも、ですよ?」
「もしも、おじ様が既婚者でなかったら、好きになっちゃうかも。」
そう言って笑うつくしに、桜子が驚く。
今までのつくしを知っていれば、例え冗談であっても、誰かを好きになるなどと軽々しく発言することはなかったのだ。
つくしの心の中で、どれほどあしながおじさんが大きな存在になっていたか、桜子はため息をついた。司と離れてしまってから、つくしの心の隙間を埋めてきたのは、間違いなくあしながおじさんだった。そして、そのあしながおじさんは・・・。
桜子は、司とつくしに幸せになってもらいたかった。かつて見た二人の幸せな姿をもう一度見たかった。
そのためには・・・


「先輩がそんなこと言うなんて、よっぽど素敵な人なのかも知れませんね。」
「うん。いつか会いたいと思ってる。でも、おじいちゃんだったりしてね?」
そういって、ふふふと笑うつくし。
「先輩、道明寺さんのこと、きちんと吹っ切れているのなら、道明寺ホールディングスの試験を受けられてはどうですか?」
「う~ん。そうだよねぇ。吹っ切れているかといわれると分からないんだ。たぶん、中途半端で終わっているから、駄目なのかも。忘れられない・・。」
つくしの目は遠くを見つめていた。
「ではなおさら、受けてみられては?道明寺さんに再会できるかも知れませんし。再会すれば、また何かが変わるかも知れません。」

 
再会か・・。つくしは考えていた。
つくしは司のことを吹っ切ることなどできていなかった。
彼との約束も忘れてなどいなかった。経済学部を選んだ理由も、もしかしたらどこかで会えるかも知れないと思たからだ。そして、道明寺ホールディンスへ入社することは、ずっとつくしの夢でもあったのだ。
けれどもし、司と再会することがあったら、自分はどうするのだろう。
あれから何年も経っている。司にだって恋人がいるかもしれないし、いまだに自分のことを想ってくれているなんて夢みたいなことは考えていない。もし、道明寺ホールディングスで再会したら?昔の約束を覚えてくれているかしら?少しは懐かしんでくれるかな?
でも、もしかして、うっとおしい女だって思われたらどうしよう・・
昔の約束になんか縛られて、バカな女だって思われたら・・きっと立ち直れない。
そんな想いも頭にチラついて、つくしは道明寺ホールディングスの入社試験を受けることには迷いがあった。
自分だけが未練がましい想い抱いているのなら、それは司にとっては迷惑以上の何ものでもないと考えてしまうのだった。


けれど、桜子と話をしているうちに気持ちが傾いてきた。
つくしは彼にもう一度会って、あの時の気持ちを確認したくなったのだ。その上で、今現在の二人の立場がしっかりと分かれば、今度こそ諦められる・・・そう思った。

「そうだね。道明寺ホールディングス受けてみようかな。まぁ、一流企業に受かる可能性は低いけどね。」




つくしからのメールを確認して、司はほっと一息ついた。
『夢を叶えるために、道明寺ホールディングスの入社試験を受ける』という返事。
彼女が道明寺ホールディングスの入社試験に合格するかどうかは分からないが、彼女は自分との約束を忘れてはいなかったのだと分かり、彼の頬は緩んだ。



 

にほんブログ村
いつも応援ありがとうございます。
明日は再会・・します。
関連記事
スポンサーサイト

  1. My Daddy-Long-Legs(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは(*^_^*)

  1. 2016/12/16(金) 22:14:40 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつも応援ありがとうございます^ ^

つくしちゃんのウダウダはもはや定番(笑)ですね〜。
明日は司君にビシッと決めてもらいましょ!
私、数え間違えていたのか、明日を入れて、残り2話です。
残すは11話とエピローグになります。
プロローグ入れてと、全13話になります。
もうちょっとだけ、Daddyとのお付き合いよろしくお願いしまーす!

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/16(金) 19:33:57 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/16(金) 07:00:46 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

 管理者にだけ表示を許可する
 
 

プロフィール

Author:Happyending
ときどき浮かぶ妄想を書き留めたくて始めました。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 06  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -