花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

つくしは、道明寺ホールディングス日本支社に内定が決まった。
司はこの件についてはもちろんノータッチで、内定が決まったことも、つくしからのメールで知ったのだった。司には何故か、つくしは内定を取るだろうという確信めいたものがあり、この結果にそれほど驚きはしなかった。むしろ彼にとっては計画通りだった。
 
『牧野さんへ
内定おめでとう。今年のクリスマスは日本へ帰国する予定があります。その時に一度会えませんか?一緒にお祝いをさせて欲しい。』
 
司は、自分の指揮するプロジェクトの結果がある程度でるところまで来ていた。クリスマスに彼女を迎えに行く。その目標のためならば、どこまでも頑張れるような気がしていた。
 
つくしは、そのメールに本当に驚いていた。おじさんに会えるとしても、卒業してからだとばかり思っていたからだ。それでも、彼女の胸は高鳴った。どんな人なのだろう?早くお会いしてみたい!会ったら、なんて言おう。学費はいつかは返したいと思っているけれど、まだまったくその目途は立っていないから、しっかりお礼だけはしっかり伝えておかなくっちゃ。
クリスマスといえば、5年前に、司とデートしたことをつい先日のことのように思い出す。道明寺はどうしているんだろう。入社したら、いつか彼に会えるだろうか。
彼女は、クリスマスまでの間、ドキドキ、わくわくしながら過ごすのだった。


11月に入り、司が取り組んでいたレアメタル流通経路の獲得が成功した。その他、投資していたレアメタルの抽出技術についても、成果が出始めた。それに伴い道明寺ホールディングスの経営も、向こうしばらくの安定が見込まれた。もちろんこれで終わりではないのだが、彼にとっては一段落つける状況となった。彼はぐっと右手をに握りしめて、小さくガッツポーズをとった。その瞳には生気がみなぎっていた。



司はニューヨーク本社で社長である母・道明寺楓への業務報告を終えると、すぐにリムジンへ乗り込んだ。
その後ろ姿を、楓は黙って見送った。
そして、たった今、息子から出た言葉の意味を噛みしめていた。
成果を労った楓に対して、司が伝えた言葉。

「社長、それでも私はまだ何も手にしていないのです。この業績も私が本当に欲しかったものではありません。」
「では、あなたは何が欲しいと言うの?」
「この道明寺財閥を再建するために失った、私個人の時間です。」

楓ははっとした。18歳という若さの息子に、無理難題を押し付けてきたことは分かっていた。けれど、彼から一度も恨み言を聞いたことはなかった。いつの間にか、彼も道明寺財閥に骨を埋めることを受けれいているのだと勝手に思い込んでいたのだ。
しかし、楓は知っていた。
彼が高校生の時に、クリスマスイブを一緒に過ごした少女がいたことを。
そして理解した。
司の時間は、あのクリスマスイブから止まっているのだということを。
未熟な子供たちの恋だと思っていた。
けれど、息子はこの止まった恋をもう一度始めるために、この5年を費やしたということなのか・・

この5年間、不満を漏らすことなく、学業とビジネスに邁進した息子。
道明寺財閥の再建を図るとともに、さらなる大きな契約を結ぶことに成功した。
誰もが羨ましく思うその成果を得ても、彼は何も得ていないのだという。
そんな彼が今は何に飢えているというのか。
かつて彼の渇きを満たせるものは、喧嘩や暴力だった。
そして、今の彼の渇きを潤せるものは、きっと・・。
司が個人としてのこの5年間を犠牲にしてでも手に入れたかったもの、それが彼女なのだろう。


「あなたの時間をとり戻しに行ってもらって構わないわ。うまくやることね。」
楓が母親として唯一彼に与えらえるもの。残念ながら、彼を幸せにできる人間は自分の他にいるようだ。それならば、労いとして、彼に自由な時間を与えてあげよう。
司はその言葉を聞き、ふっと笑みを漏らした。その瞳はどこも見ていないように自嘲的でありながら、彼の強い意志は隠しきれてはいなかった。




司が向かった先は、五番街にある、彼行きつけの宝飾店。
つくしへのクリスマスプレゼントを買うためだ。
5年前に渡したネックレスは、今でも彼女が大切してくれていることは知っていた。
次はどうする?
彼は、彼女との時間をやり直したいと思っていた。
失った時間を取り戻すことは出来なくても、これからの人生は彼女と共にありたいと願っていた。
彼は、ダイヤモンドの指輪を選んだ。
 
 


*****

 
クリスマスイブ。
待ち合わせの場所は、恵比寿ガーデンプレイス。
つくしは、この場所を指定されたことに驚いていた。
まさに5年前と同じシチュエーション。けれど、約束の時間は夕方の5時だった。
 
このことを桜子に話すと、
「へぇ。どうしてそこで待ち合わせなんでしょうね?先輩。」
と含み笑いを返された。
つくしだって、ドキドキしているのに、だから何でと言われたって分かるはずがない。
「先輩、あしながおじさんが素敵な方だったら、お付き合いされるんですか?」
「何言ってるのよ。そんなつもりじゃないよ。」
「あらっ。だって、クリスマスに会おうなんて、デートのお誘いと一緒じゃないですか?」
つくしの顔は真っ赤だった。
「先輩、素直になってくださいね。」
 
 
つくしは、約束の10分前に到着した。
5年前は、ダッフルコートにミニスカートだった。あの時も、眉目秀麗な司にそれなりに合わせようと、手持ちの服をあれこれと出してコーディネートしたものだった。
21歳になったつくしは、七分袖のピンクのワンピースに、白のウールのコートを選んだ。そして、足元には、司にプレゼントされたエナメルのハイヒール。胸元には、土星のネックレスを着けた。かつて、静の誕生日パーティーで身に着けたグラデーションが美しいピンクのドレスを思い出した。あの時は、自分がお姫様にでもなったような気分だったな。あの後、司はつくしにその時のコーディネートすべてをプレゼントしようとしたのだが、彼女は当然の如く断り、それでもしつこく渡そうとする司に呆れて、つくしはハイヒールだけを受け取ったのだった。
大切に大切にしまっておいたハイヒールが今でも足にしっくり馴染んだ。あの時は、ふらふらしながら、道明寺につかまっていたっけ・・とつくしは懐かしさに頬が緩んだ。
今日のワンピースは紫がかったピンク色で、鏡の中の自分はあの頃よりは大人っぽく見える。
司に会いにいく訳ではないと分かっていた。
けれど、あの5年前のクリスマスイブに司に会いに行った時と同じようにドキドキしていた。
道明寺ホールディングスに入社したからと言って、司に再会できると決まったわけではない。
でも、いつか司に会いに行くのなら・・・そんな気持ちで選んだコーディネートだった。




約束の場所に着き、キョロキョロとあたりを見渡す。よく考えたら、相手の目印とか、特徴とか、何も聞いていなかった。それでも、お会いすればきっと分かるとつくしには何故か自信があった。
5年前には、道明寺があの時計の下に・・・そう思って、そちらを伺うと、そこには仕立ての良いスーツにロングコートを羽織った男性の姿が・・・。

つくしの眼が見開かれた。
「道明寺・・・」
彼女の足が止まった。


司は約束の1時間前からずっとこの時計の下で待っていた。
そして、彼がこの5年間片時も忘れることのなかった女性が歩いてくるのを、じっと見つめていた。
綺麗になった・・そう思った。
彼に気が付いた彼女の足が止まった。


彼は、動かないままの彼女に近づいて行った。
二人の視線はずっと絡み合ったまま。
そして二人は向かい合った。


「牧野。」
「道明寺・・・誰かと、待ち合わせ?」
乾ききって張り付いた喉を懸命に動かしたつくしの声は震えていた。
そんなとぼけたことを聞いていたが、鈍感なつくしにだって分かっていた。

______あしながじさんは道明寺司だったんだという事実が。
 


つくしの瞳から、つーっと涙が流れた。
「俺たち、あの日からやり直さないか?」
つくしの心に響く、司の低い声。彼女が大好きだった、低い声。
「やり直す?」
「ああ。」
つくしは、この5年間を思い出していた。司と会えなくなった後、その心の隙間を埋めてくれたのはあしながおじさんだった。そして、そのおじさんは司だった。


「あたしは、結局、この5年間も道明寺と一緒にいたんだね。」
そう告げるつくしに、彼は微笑んだ。
彼女の瞳はあの頃と変わらず、美しい。
「牧野。卒業したら、ニューヨークへ来てくれないか?俺は、まだしばらく日本へは帰れない。だから、ついて来て欲しい。」


つくしは返事に迷わなかった。
この大好きな声が聞こえる場所に、司のそばにいたいと心から思った。
「うん。これからは、ずっと一緒にいようね。」

司は、彼女の左手にダイヤモンドの指輪を通した。
そして再び見つめ合い、5年ぶりのキスを交わした。




あたりには、チラチラと粉雪が舞い始めた。
今日はクリスマスイブ。
この聖なる夜に、5年越しの初恋を実らせた二人。
熱いキスを繰り返す二人の姿に、急ぎ足の人々も一瞬だけ足を止めるものの、また再び歩き出した。

今夜は、二人きりでいたい・・・
その二人の願いは周囲にも伝わっていた。



 

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いつも応援ありがとうございます。
明日のエピローグで完結となります。
思ったより、長かったような気がします。
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  1. My Daddy-Long-Legs(完)
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは(*^_^*)

  1. 2016/12/17(土) 21:26:03 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手、温かいコメント、ありがとうございます。
嬉しかったです。

このお話、二人が可愛すぎて、コレ、司つく?と何度も思いましたが、今更更新やめるわけにもいかず…
でも温かく見守って頂けて良かったぁ。
二人が再会して終了で良かったんですが、プロローグを書いたため、エピローグも用意しようと頑張ったのですが、
実は、3つぐらい考えて、いまだに迷ってます(^_^;)

明日の最終回も、是非遊びにいらしてください。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/17(土) 17:12:05 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2016/12/17(土) 07:50:47 |
  2. |
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  1. 2016/12/17(土) 05:57:23 |
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