花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

俺はこのクリスマスイブに、つくしにもう一度プロポーズをすることを決めた。
つくしからOKが出たら、その日のうちにでも入籍するつもりだ。
親父たちには、すでに話は通していた。
入籍と結婚式は自由にしてもいい、その代わり、披露宴は親父やお袋の意見を聞けと言われ、俺は了承した。
まだ、そのことは牧野には話していない。
式は、つくしが望むなら、二人だけで挙げてもいい。
そのために俺は準備を始めた。


結婚に向けて、やはりネックはつくしの仕事の多さだと考えていた。
タマと相談して、掃除は週に3回は邸からメイド派遣してもらうことにした。
今でも、タマは食材の準備などのため、マンションにちょこちょこ通ってくれている。
そのタマが言うには、最近あいつは本当に多忙で、掃除はリビングと二人が使っている寝室、キッチンとバスだけで、使っていない部屋はほとんど掃除ができていないようだ。
それならば、掃除はメイドに任せてしまえばいい。
あいつは料理が趣味だから、料理は今まで通りしたらいいんだ。
仕事を全部取ってしまうと真面目なあいつは受け入れ難いだろうから、寝室の掃除とクリーニングの管理をあいつに任せるぐらいで丁度いいんじゃねぇか。
あいつはクローゼットを覗かれるは嫌らしいから、クリーニング後のものはいつも通り、ハンガーにかけた状態で置いて帰ってもらえばいい。
あいつは自分で洗濯機なんかも回しているし、そういったことは今までどおりすればいい。
タマともそう約束をし、できるだけタマが一緒にメイドを連れてくることになった。


俺は、それが今日からだということはつくしに伝えていなかった。
今日はクリスマスイブ。
ずっと忙しいあいつに、クリスマプレゼントのつもりだったんだ。



*****


今日は待ちに待った、司とのクリスマスデートの日。
恋人と過ごす初めてのクリスマスイブ。
お互いにこの日だけは絶対に時間を作ろうねって約束したんだ。
本当は、綺麗にお部屋を掃除して、クリスマスの飾りつけをして、それであたしの手料理でもてなしたかった。
でも、このところの忙しさは尋常ではなくって、とてもそんな余裕はなかった。
これから先ははずっと一緒にいるんだから、今年は仕方がないなと諦めて、あたしは前日にこっそりクッキーを焼いて、寝室の掃除だけをした。



メープルでの会議が予定通り17時に終わった。
今から一度マンションに戻って、司が選んでくれたワンピースとコートに着替えて、それから隠してあるクッキーをもって、そうそう、寝室のリネンはクリスマスっぽいグリーンに変えて、それからレストランに行くつもり。
あいつは、メープルに泊まるとか言うかも知れないけど、あたしはやっぱりふたりのマンションでくつろぎたいな。

そんな風に考えて、マンションに戻ったあたし。
するとマンションの廊下には、先輩メイドの美樹さんがいた。

えっ?何で?


「あっ、牧野さん。お仕事終わったの?本当に久しぶりね。ご婚約おめでとう!あの婚約会見の時は、お邸でもすごい騒ぎだったのよ~。本当に、羨ましいわ~。あの時、私がタマ先輩に連れられていたら、私もシンデレラになれたかしら?ふふ。何でも、牧野さんは忙しいから、寝室以外の掃除はあたし達が交代ですることになったの。あれ?もしかして知らなかった?やっぱり、司様の婚約者ともなれば、掃除までは手が回らないわよね。その辺は、任せてね!しっかりやるから。ここにいたら、司様にバッタリお会いしちゃったりするのかしら~。ね?」


・・・
聞いてない。
聞いてない。
あたし、何にも聞いてないしっ。
何で、勝手にこんなこと。
何でっ!


あたしは、何が悲しいのか、何が悔しいのか、
よくわからない感情がグルグル回って、それで、自然に涙がこぼれた。

「牧野さん・・?どうしたの・・?」
焦った美樹さんが、近づいてくる。

あたしには、張り詰めていた糸がブチッと切れる音が聞こえた。

「勝手に、部屋に入らないでっ!」
それだけ言って、あたしは踵を返し、エレベーターに乗り込んだ。

背後から、「つくしっ」と叫ぶタマ先輩の声は、聞こえなかった。



*****


今日は19時から、レストランを貸し切っている。
バラの花束の準備も万端。
仕事も順調に片付いて、予定通りレストランに行けそうだ。

あいつと外で食事をするのも久しぶりのことで、俺はウキウキしていた。
つくしは何でも美味そうに食うから料理は美味いもんなら何でもいいかも知れねぇけど、今日はムードも大事だろ?
だから、夜景にこだわったレストランをセレクトした。

最後の書類を西田に渡して、一息ついた時に西田の携帯が鳴った。
書類をまとめて退室しようとしていた西田の表情が曇った。
やべぇ。トラブルか?
くそっ、今日は大事な日なのに!

電話を切り、西田が俺に振り向いた。
「支社長。牧野さんが、マンションから泣いて飛び出していったそうです。」


・・・あ?
何の話だ?
つくしが泣いて?何で?
俺はパニくって、頭が回らない。

すぐにタマに連絡を取ると、
どうやらあいつは、部屋の掃除をするメイドに、涙を流しながら「勝手に部屋に入るな」と怒鳴って、そのまま飛び出していったらしい。
あいつが怒鳴りつけるなんて、只事じゃない。

「坊ちゃん、つくしの了承を得ていなかったんですか?」
とタマ。
何だよ、そんなにメイドに入られるのが嫌だったのか?

「はぁ。」
と溜息をつくタマ。
「今回は坊ちゃんのミスですよ。つくしに謝ることですね。」
「何でだよ。俺、何かしたのか?」
「つくしが泣いて飛び出すなんて、あの子は不安だったんじゃないのかね。いきなり婚約者になって、仕事も忙しくなって。でも、一番大切だったのはこの部屋のメイドの仕事だったのかも知れませんよ。坊ちゃんとの出会いはこの部屋だったんですからね。」


タマとの電話を切って茫然とする俺に、今度は西田からのパンチ。
「私も若かりし頃、恋人の部屋を勝手に掃除したり、勝手に台所で料理をしたりすると怒られました。女性とは、自分のテリトリーは侵されたくないものなのでしょう。牧野さんは、坊ちゃんと暮らす部屋には、他の誰も入れたくなかったのではないですか?いやはや、このままでは、私同様に、坊ちゃんも独身人生でございましょうか・・・。」


馬鹿言ってんなよ、西田。お前と一緒にすんなっ!
でも、チクショウ!
そんなことだなんて。

たかがメイドを入れるぐらい何なんだと思ってた。
けれど、そう聞けば、今まで、家事も仕事も頑張っていたつくしがどんなにショックだったかがわかる気がした。
メープルの仕事も大事だけど、この部屋のメイドの仕事もあいつにとっては大切だったんだ。
俺たちが出会ったマンションに他人に入って欲しくなかったんだ。
けど・・・きっとそれだけじゃない。
そんな風に追い込んじまったのは、きっと俺だ。
マリッジリングができたら入籍しようとあれほど盛り上がっていたのに、俺は多忙なつくしに気を使うばかりで、肝心な入籍の話は直接話していなかった。
いや、俺なりに準備をしていたんだ。
今日、きちんと話をするつもりだった。
けど、あいつはあのマリッジリングを滅茶苦茶楽しみにしてたから、入籍の話を言い出さない俺に、不安を感じたのかも知れない。
仕事が忙しくなって、でも俺との思い出が詰まってる部屋には誰も入れたくなくて、それでも頑張っていたんだ。
あいつがバカが付くほど真面目だってのは知ってるけど、頑ななまでにそこにこだわっているのは、きっと俺との関係に不安があるからなんだろう。


あー!!くそっ!!

「SPからつくしの居場所を聞き出せっ!」
いつも以上に低い自分の声が、震えているのが分かった。



蓋を開けてみれば簡単なこと。
俺のすべきことはメイドを入れることなんかじゃなくて、はやくつくしにプロポーズして、つくしを俺の妻として安心させてやることだったんじゃねぇの?
どんなお前でも大好きだって伝えてやることだったんじゃねぇの?
あいつはそれを待ってたんだ・・・。


サプライズのプロポーズなんて要らなかったんだ。
俺は何て馬鹿なんだ。

つくし、今すぐ行くから、俺に失望なんてしないでくれ。



 

にほんブログ村
いつも応援ありがとうございます
坊ちゃん、行け~!
関連記事
スポンサーサイト

  1. 理想の恋人 番外編
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは~(^^)

  1. 2016/12/21(水) 22:16:35 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。

今回はですね~。
一度、つくしのブチ切れるシーンを書きたくて。
美樹さんに切れるつくしを書いてみました。へへ。
まぁ、実際私なら、お手伝いさん欲しいですけどねぇ。。。


> 肝心なとこで、バカ男なんだなもうww。
> まあそんな、坊っちゃんも可愛いんですけど。
そうですよね。
恐らく、男の人ってこういう女性のちょっと我儘かつ複雑な心情って理解しがたいんじゃないかなぁ。
司の場合は、つくしを愛しすぎちゃってるから、つくしが不安に思ってるなんて考えもできないでしょうね(笑)。

まだ明日は22日なのに、もうイブの話。
一応ターゲットは25日のクリスマスに照準を合わせました。(言い訳ですが・・)

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/21(水) 09:11:39 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/21(水) 05:12:40 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

 管理者にだけ表示を許可する
 
 

プロフィール

Author:Happyending
ときどき浮かぶ妄想を書き留めたくて始めました。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 06  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -