花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

美樹先輩に暴言を吐いて、あたしはマンションを飛び出した。
どうしよう・・・
あたし、何て事しちゃったの?

でも、我慢できなかった。
やっぱりあたし達の部屋には、誰も入ってほしくなかった。
司のメイドはあたしだけができる仕事だと思っていたかった。
司の愛情を疑ってないけど、どこか不安で、あたしはこのマンションでの仕事を誰にも譲りたくなかったんだ。

美樹さんが悪いわけじゃない。
それに、司が悪いわけでもない。
頭では分かっているのに、なんてあたしは心が狭い女なんだろう。

仕事で家事が回らないなら、助けてもらったらいい。
でも普通の主婦は、家事をしながら仕事もしている。
だから、あたしだってできると思ったし、頑張りたかった。
司は、あたしを助けようと思って家事の手伝いを頼んだってことも分かってる。
家事を頑張ったって不安が消える訳じゃないけれど、それでもメイドの仕事を他の人に任せる方が不安だったの。
どうしよう・・どうしても気持ちがついていかないよ。


あたしは今日、はっきりわかった。
メイドの仕事を他の人に任せてしまったら、司の気持ちがあたしから離れてしまうようで怖いんだ。
司が好きになってくれたあたしじゃなくなっちゃうような気がするから。
頭の中ではそんなことはないって思うのに、やっぱりどこかで不安で・・・。
だから、家事を手伝ってもらうことを素直に受け入れられないんだ。


マンションから出て、ただひたすらに歩き続けて、気が付けば東京駅が見えていた。
駅の時計を見ると、もうすぐ19時。
司との約束の時間だ。
どうしよう。
今からじゃ、もう間に合わない。
携帯に連絡を入れようか。
今日のこと、もう、司には報告されているはず。
手に持っていたバッグの中の携帯電話を確認する。
着信は・・・なし。

あーあぁ。
あたし、呆れられちゃったかも。
このままどっか、遠くに行っちゃう?
東北とか?
雪が深くて大変かなぁ。
なんて、馬鹿なことを考えているあたしは、完全に現実逃避の状態。


その時。
東京駅に向かって走る見慣れたリムジンが見えた。

まさか・・・だよね。
司の訳、ないよね。
でも・・こんなに混雑しているところに、こんな大きな車を止めるなんて、非常識な人・・・道明寺司以外にいるかしら?

リムジンの扉が勢いよく開いた。
やっぱり・・・。
向こうから、司があたしに向かって走ってくる。

おっ、怒ってる?それとも、呆れてる?

歩道に根が張ったように動くことができないあたしの前に、司が走り込んできた。

息が上がっている司。
じっとあたしを凝視しながらも、無言状態が恐すぎる。
あたしは拳を握りしめて、なんとか、声を出した。
「あの・・」

次の瞬間、あたしは司に縦抱きに抱え上げられ、そのままリムジンへ直行。
こっ、恐いしっ!
気が付けば、あたしはリムジンの中で、車は走り出していた。




*****


リムジンの中。
空調が完璧で、すごく温かい。
その温かさに、あたしの気持ちも少し落ち着いた。

「はぁ~。お前、心配させんなよ。」
あれ?予想していたよりも優しいトーンで、司の声が降って来た。
「怒ってないの?」
チラッと斜め上の司を見上げる。
「怒ってるよ。」
と斜め下のあたしに冷たい視線。
やっぱり・・ね・・。

「お前、俺に言いたいことあんだろ?全部吐け。」
斜め上から下ろす、司の視線が痛い。
でもあたしの左手をずっと繋いだままでいてくれる。


言いたいことなら、たくさんある。
でも、どれもこれも、やっぱり突き詰めればあたしのヤキモチや我儘ってやつで。
そんなこと言ったら、司に呆れられちゃいそうで、
本人になんて言えないよ。
だから、あたしは黙り込んだ。


すると、ふぅっと司の溜息。その後、
「メイドのことだけど。ゴメン。お前の気持ちも考えてなくて。」
と、思いがけないことを司が口にした。

あたしの気持ち?
司はあたしの気持ちが分かるの?

「お前の仕事を少しでも減らしてやりたかったんだ。でも、お前は俺達のマンションに、誰も入れたくなかったんだろ?」

司・・・

「それもある・・けど・・それだけじゃないの。」
「全部話せ。」
「うん。・・・あのね。司はあたしのどんなところが好き?」
「はぁ?何だよ、今更。」
「ちゃんと答えて。前にあたしに言ったよね。司の理想の人は、ずっと一緒にいたいと思える女性だって。じゃあ、あたしの何が良くて、一緒にいたいと思うの?」

「何って。はっきり言って、全部だけど。」
「全部って何よ。それじゃあ、分からないよ。」
「俺に、ズケズケものを言う態度とか、飯を美味そうに食ってる姿とか。仕事は手を抜かずにしっかりする姿勢とか。仕事では強気なくせに、恋愛事になると男慣れしてないところとかそそられる。とにかく、全部。」

「何言ってんのよ!」
とバシッと司の肩を叩く。
「いってーな。お前が言えっつったんだろ?」

「ねぇ。メイドの仕事は?あたしが、メイドとして、家事をしているのが好きなんじゃないの?」
「あ?何の話だよ?」
「だから、掃除したり、お料理したりとか、そういう身の回りのことしてくれる人が好きなんじゃないの?」
「掃除は分かんねぇけど、料理好きのお前が料理をする姿を見てるのは好きだし、お前の作った料理を食うのも幸せだな。着替えなんかはお前が手伝ってくれるのがすげぇうれしい。」

「じゃっ、じゃあさ。あたしが、忙しくなって、お掃除を他の人に任せたり、お料理する時間が少なくなってもいいの?それであたしのこと、嫌いにならない?」
「だから、何の話なんだっつーの。俺はお前がやりたいことをやって、楽しそうにしてるのを見ていたいんだよ。料理するのも好きなんだから、続けたらいいと思ってるけど、忙しい時は無理にしろとは言わない。掃除もそうだ。掃除なんてお前じゃなくてもできるだろ?でも、お前にしかできないこともある。夜帰った時にはつくしに出迎えてほしいし、着替えは手伝ってほしい。そんで、できればシャワーは一緒に浴びて、その後はベッドで・・って、イッテーな!うおっ!!」

あたしは司の胸にドンとパンチを入れた後、思いっきり彼に抱き付いた。
「それって、あたしがメイドのお仕事をちゃんとできなくっても、いいってこと?」
「だから、初めからメイドじぇねぇって言ってんだろうが。」
「忘れてた。」
「お前だって、どんな俺でも好きだろ?俺も同じ。どんなお前でも好きだ。絶対に嫌いになんかなれねぇ。」
「うん。」
「初めから、そう言ってんだろーが。」
「うん。ごめんね。」
司があたしの髪を撫でてくれる。
気持ちいい・・・。


なぁんだ。
もっと早く話せばよかった。
あたしの不安を聞いてもらえばよかった。
たったそれだけのことなのに、一人で空回ってた自分がバカみたいに思える。
どんな司であっても、あたしは司のことが大好きなのと同じように、
どんなあたしであっても、きっと司はあたしが好き。
なぁんだ。
忙しすぎて、司が足りなすぎて、勝手に不安になってただけなんだ。
あはははは・・・
幸せ過ぎて、笑い出しそう。


「つくし。」
そんな笑い出しそうなあたしに向かって、司が深い声で呼びかけた。
「ん?」
笑いを堪えながら、司の胸の中で返事をする。

「俺たち、はやく結婚しよう。」
あたしは抱きしめられていた胸から勢いよく顔を上げ、司をじっと見つめた。
司の表情はとても優しい。
でもその瞳は恐ろしい程に真剣だ。
____これは、本当の本当の、プロポーズ。


あたしはこの言葉をずーっと待っていた。
断る理由なんて、あるはずない。

「はい。よろしくお願いします。」
そう返したあたしに、司から優しいキスが落ちてきた。
あたし・・・幸せで、胸がいっぱいだよ。




それから司が胸のポケットを探って、あたしに婚姻届を見せた。
そこにはすでに、お義父様とうちのパパのサイン。
それから、司のサインも。

「今すぐ区役所行くぞ。」

そう言われてあたし達は、区役所へ直行。
司が隣で見守る中、生涯で最後になる「牧野つくし」を記入し、判を押した。



メイドとして出会って、
司を好きになって、不安になって、
なんだか忙しかった『牧野つくし』。

そして今、あたしは『道明寺つくし』になった。
これからだって不安なることは必ずある。
けれど、その不安はきっと司が吹き飛ばしてくれる。
だから、これからも、あたしは司を愛してさえいればいいんだ。


毎日愛を囁くように、
不安も不満も全部吐きだそう。
どんなあたしであっても、司は必ず受け止めてくれる。
嬉しいことも悲しいことも、思うままに表現しよう。
遠慮なんてしなくていい。
二人が同じ姓を名乗るっていうことは、
家族になるっていうことは、きっとそういうことだと思う。


司に愛されていれば、あたしはどこまででも強くなれる。
『道明寺司の妻』になるということは、あたしに揺るぎない自信を与えてくれた。



 

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やっと道明寺つくしになりました♪
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  1. 理想の恋人 番外編
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは(^^♪

  1. 2016/12/22(木) 22:37:19 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。

温かいコメント、ありがとうございます。
ようやく夫婦になれた二人。
めでたしめでたし。
もう少しお話はありますが、これで年内はやり残しなく終われそう。

ただ、次の妄想がなかなかねぇ。
いや、あるんですが、書きにくそうで、どうにも手がでなくて。
もうちょっと書きやすそうな妄想が降って来ないか待っています(笑)。

ではでは、もうしばらく理想の恋人にお付き合いくださーい。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/22(木) 07:54:13 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2016/12/22(木) 05:48:36 |
  2. |
  3. [ edit ]
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