花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

誕生日の翌日から、あたしの「花嫁修業」が始まった。
あたしが考える花嫁修業っていうのは、料理・洗濯とか家事全般だけど、ここでの修行はそうじゃない。

一般教養として、茶道・華道・所作の講義。
実践での食事と会話のマナー。
これは予想していた。
遠恋時代も、あたしは西門さんに茶道を、美作さんにマナーを教わっていた。
桜子と滋さんには定期的に高級レストランに連れていかれ、マナーの実践もしていた。
花沢類は大学の空き時間に語学を教えてくれた。
だから、高校時代ほどあたしも無知って訳じゃない。
でも、道明寺の隣にいるためには、まだまだ修行は必要なんだって思う。


今日の講義は、なんと道明寺家の歴史。
家系ってやつ。
牧野家の家系って・・聞いたことないし。
牧野家はきっとさかのぼっても庶民だしね、きっと。

室町時代からの武家の流れをくむ道明寺家。
その血筋には天皇家との縁組もあったらしい。
江戸時代に反物屋として繁栄し、その後金融業に進出し、財閥を確立。
その後第二次世界大戦前にアメリカへ進出している。
そのため、大戦後の財閥解体の影響は受けず、現在までその経営体制を維持している。

歴史を知れば知るほど、道明寺家はすごい。
現在までトップは全て道明寺の直系というのも珍しい。
それだけ、道明寺直系の手腕が優れているということ。
あいつ・・道明寺司もその一人って訳で。


正直言って、高校時代のあいつはサイテーだった。
赤札貼って、幼稚なイジメしたり。
何を隠そう、あたしもそのイジメの対象者だ。

あいつがニューヨークに行く時は、道明寺がこんなにすごい男になって帰ってくるなんて予想できなかった。
道明寺財閥のすごさは身に染みて分かってはいたけど、あいつがそのトップになろうとするなんて、はじめはピンと来ていなかった。
だいたい、あんな幼稚な人間がトップになんて、あの頃の誰が信じられる?

それが、1年、2年と経過して、あいつの凄さを知った。
テレビに映る恋人は、一流の男だと分かった。
高校生のときのあいつはやんちゃなガキだったけど、あいつはニューヨークに行って変わった。

正直言うと、遠恋中は、「もうダメかな。」って思ったこともある。
あいつの努力が凄すぎて。
あいつがいつも眩しくて。
テレビに映るあいつが、カッコ良すぎて。
あたしが知っている男は、高校生の時までの道明寺で、今の道明寺じゃないんだっなって思った。
だから、きっとあたし達はきっと長く続かないだろうって。


あれは、大学3年の時のこと。
あたしは大学のカフェで、花沢類にぼやいたことがある。
「あたしさ。やっぱ、だめかも。何をやっても、きっと道明寺には追い付けない。それに・・今のあいつはあたしの知ってる道明寺じゃないと思う。あいつがなんであたしのこと好きだっていってるのか分からなくなってきた。」

「それで、牧野は司のこと好きじゃなくなったの?」
「そうじゃないけど。でも、もう1年以上会ってないし。テレビで見るあいつは変わっちゃってるし。あたしの好きな道明寺じゃないかも知れない。」
「ふーん。それで、そのこと司に言ったの?」
「言ってない。」
「言えばいいじゃん。そのまま。」
「・・・」

それは言えなかった。
考えていることが妥当すぎて、「じゃ、別れよう」って言われるのが怖くて。

そしたら、花沢類が、いきなりあたしの携帯をバッグから取り出して操作し始めた。
「ちょっと!どこ電話してんの?」
「司んとこ。」
「やだっ。向こうは夜中だよ。」
「この電話に出ないようなら、司と別れた方がいいね。」
「花沢類!ちょと、本当にやめてよねっ。」

すぐに道明寺が出たみたいで、
「あっ、司。」
「ちょっと、止めてっ。」
「ああ、今、牧野と一緒なんだけどさ。牧野がさ、寂しいんだって。」
「ちょっと、花沢類。そんなこと言ってないでしょっ。」
「あーうるさい。はいはい。はい、牧野、司が代われって。」

それで、無理やり電話を代わらされて、恐る恐る電話に出たあたし。
「牧野、てめぇ、寂しいってなんだよ。何で、んなこと類に言ってんだよ。」
「やっ、ちがうって。そんなこと言ってないしっ。」
「大体、昼間っから類とイチャコラこいてんじゃねぇよ!」
「そんなことしてないし。」
「あー、くそっ。なんで日本に出張ねぇんだよ。ババァめ。絶対仕組んでやがるな。」
「いや、ほんとあたし、寂しくなんてないし。」
「嘘つけ。俺が寂しいのに、お前が寂しく無い訳ねぇだろうが。」
「・・・ん。」

あたしの目に涙が溜まったのをみて、花沢類がそっと席を外してくれた。

「道明寺、あたし、待ってていいんだよね。」
「お前、何言ってんの?俺がこっちで頑張ってんの、お前のためだろうがっ。そんなに不安なら、こっちにこい。」
「それは嫌。」
「じゃあ、お前はそっちで頑張れ。」
「うん。」

「ねぇ。あたし、あんまり変わってないからね。」
「誰が変われって言ったよ。」
「だって、道明寺はすっごく変わったでしょ。あんなに、高校の時、バカやってたくせに。」
「お前なぁ。そりゃ、変わるだろうが。目標があるんだからよ。」
「目標?」
「お前を迎えに行くために決まってんだろうがっ。今更言わせんなっ!」

「うん。」

世間の評価がどうであろうと、道明寺の本質は変わってないんだと分かった。
あの時、道明寺と電話で話せてよかったと思う。
道明寺の本質を見失うところだった。
あいつが頑張ってるのはあたしのためだ。
あたしは自信を持っていいんだ。
だから、あたしもできる限り頑張ろう。
少しでも、あいつに追いつけるように。

あたしにとっては、あの時が第一のターニングポイントだったと思う。
あの後から、あたしは道明寺との未来が見えてきた気がする。



そして、今回の上海が第二のターニングポイントになった。

今や、道明寺司の名声は世界に轟いている。
道明寺ホールディングスの若き専務。
彼のプロジェクトはことごとく成功を収め、社内でも社外でも評価は高い。

そんな彼がニューヨークに渡ったのは、あたしのためだったなんて誰が思うだろう。

歴史中でも輝かしい、道明寺財閥。
あいつはそこの御曹司で、
その中に、あたしが加わって、道明寺と新しい歴史を築いていく。
これってすごくプレッシャーじゃない?

なんて考えている時に、メイドさんから道明寺が帰宅するという知らせを受け、あたしは玄関へ走り出した。


「おかえり。」
「ただいま。」
あれ?道明寺の顔がなんか赤い。

「どうしたの?風邪でも引いた?」
「ちげぇよ。いいから、早く、部屋行こうぜ。」

そう言われて、あたし達は道明寺の部屋へ向かった。
部屋の中で、道明寺のコートとスーツを受け取って片づける。
そんなこともちょっと幸せ。
うちのアパートでは、クローゼットの取っ手にかかっていた高級スーツ。
それをきちんとクローゼットの中に戻した。

「なんか、いいな。」
「ん?何が?」
「新婚みたいじゃね?俺たち。」
道明寺がますます赤くなってる。

「そうだね。新婚ってこんな感じなのかな。」
そう言ったあたしを道明寺が後ろから抱きしめた。

「なぁ、牧野。結婚のことだけど。」
「結婚?」
「俺はすぐにでも結婚してぇけど、無理強いはしない。お前がいいと思うタイミングで結婚したいと思ってるから。」
「道明寺。」

道明寺と結婚するということは、この輝かしい歴史を繋いでいくということ。
それがあたしに出来るのか?


「あのさ。道明寺に質問。」
「あ?」
道明寺が驚いたようにあたしを見つめる。
あたしも振り返って、斜め上を見上げた。

「道明寺財閥の創始者知ってる?」
「あぁ、何だったか。なんとか右衛門だろ。江戸時代の。」
「じゃあ、二代目は?」
「二代目は覚えてねぇ。」
「ええ?じゃあ、室町時代の将軍に仕えたご先祖様は?」
「んなもん、覚えてねぇよ。」
「ええ~っ!」

今日あたしが、花嫁修業の1日目に受けた歴史の授業。
そのメインテーマを、道明寺家直系のこの人が覚えていないと言う。
いいの?いいの?これで?

「それが、今日の花嫁修業だよ。」
「なんだよ?それがそんなに大事か?そりゃ、今の道明寺の基礎を作った奴らかも知れねぇけど、大事なのは今だろーが。過去ばっかみててもキリねぇよ。」

あはは。はは。
そーだ。そーだよねぇ。
大切なのは過去じゃない。
今現在のあたし達。
だから、歴史を敬いこそすれ、プレッシャーを感じることはない。

「あんた、やっぱり、すごい奴だよね。」
「あぁ!?今頃気づいたのかよ。おせぇっつーの!」

ぷっ。あはははは。
あははははははは。
道明寺家の歴史をプレッシャーに感じたりすることが、なんだか馬鹿馬鹿しくなった。

あたし達は婚約して、あたしはこの道明寺家に移り住んだ。
そして花嫁修業をしているわけだけど、
この婚約という状況は結婚とどれだけ違うんだろう。

結婚したって、ずっと修業の連続だ。
1つこなせば、また次の修業が始まる。
そしてその修業の結果がでるのは、恐らく何年も何年も先のこと。
歴史なんて、後からついてくるものだ。

だとしたら、あたしに結婚を迷う理由はない。
そうだ。そうなんだ。
あたしが努力している姿も含めて、あたし達の歴史になる。
それなら・・・


「ねぇ、道明寺。あたしたち、はやく結婚しよっか。」



 

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(道明寺家の歴史は完全なる私の妄想です。)
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  1. あたしが幸せになるために(完)
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは。

  1. 2016/12/29(木) 23:15:43 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。

このお話ですが、
一応あと2話。
年内でいったん区切りを付けます。

すっきりと1年を締めくくりたいと思います。
もう少しだけ、お付き合いください。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/29(木) 18:15:18 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/12/29(木) 05:53:17 |
  2. |
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