花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

ここはメープル東京36階にある、夜景が自慢のBar。
『The Classic』。


さすがはメープル。
ここは会員制になっていて、誰もが出入りできるところじゃない。
財界人、芸能人などの著名人も訪れるBar。
一般のお客様には本館2階にナイトバーが設けられていて、そちらも人気が高い。
だけど、この「The Classic」は上流階級の人間しか受け入れないという点で、皆の憧れのBarなんだ。
セキュリティーも徹底されているし、個室も多く設計されている。
入口には黒服が二人立っているけれど、それは警護担当の人。
ここは、完全VIP仕様のBarなの。

照明は低く落とされていて、シャンデリアのオレンジの光が余計に美しく見える。
夜景を見ながら語り合う男女も様になっていて、その先はあたしには未知の世界だ。


あたし?
あたしは、牧野つくし。
国立T大学4回生。
この厳しい就職戦争を勝ち抜いて、見事今年の4月から、東京メープルの総合職に内定が決まった。
メープルホテルの総合職は難関で今年の募集は10名。
日本全国から10名という最難関の仕事に内定が決まった時には本当に飛び上がるほど嬉しかった。
将来的には、全国・全世界に広がるメープルホテルの幹部を目指すのが総合職。
私が、この4年間の大学生活で得た知識を全て詰め込んでやっていきたいと思える仕事なんだ。

配属なんかはもちろんまだ知らされないけれど、総合職の皆はまず東京メープルの各部署を3-6か月で回るらしい。その後は1年ごとぐらいに、ローテーションがあるとか。恐らく、初めの1年は研修期間になる。ここで、自分にどの分野が一番合っているのかを、自ら知るとともに、上司からも評価されるんだと思う。
あたしは最終的には、経営企画課が目標。
メープルホテルの経営戦略を決めて、実行に移す仕事。
海外のメープルに行くチャンスも増えると思う。

内定が決まったあたし達、総合職10名は、ちょうど10月に同期で集まりを持った。
初めは、会社ぐるみでの顔合わせだった。
会社の幹部を含めた食事会の後、あたし達は10人で居酒屋へやって来た。
男女各5名の同期はすぐに打ち解けて仲良しになった。
今では全員がLINEで繋がると言う仲の良さ。
これから、みんなで協力して、東京メープルを盛り上げていく。
あたし達の目標は一緒ということで、俄然、就職に向けてやる気が出て来た。



それで・・
なんであたしが、この格式高いBarにいるかってこと。
それはねぇ。
食事会の時、丁度隣の席に座った幹部の人に、就職までバイトは禁止ではないけれど、どうせバイトするなら、メープルでしてはどうかと提案されたから。
The Classicの店員さんの一人が、急病で長期病欠になってしまったから、春までBarで働かないかと話を持ち掛けられたの。
The Classicなんて、恐らく自分が入社した後も足を踏み入れることもできない世界。
そんなところでバイトができるなんて。
もちろん内定が決まっていればこそのお話だった。
だから、あたしは二つ返事で了承した。

「是非!是非やらせてください!!」




それで、あたしは昨年の11月から、このBarのホールでウェイトレスをしている。
もともと、あたしは貧乏暇なし学生だから、他職種のバイト経験があって、高校時代からファミレスのバイトなんかは経験済み。洗い物から簡単なフードづくり、食事のサーブなどは全く問題なし。
ただ店内の照明が薄暗いのがちょっと緊張するけれど、カクテルなんかを持ち運ぶのも大丈夫。

ここのウェイトレスは、黒いの細身のパンツと白のスタンドカラーのブラウス、それに、ラップ型のショートエプロンを付ける。
あたしは髪が肩下まであるから、黒のゴムで1本にまとめている。
この仕事はファミレスのウェイトレスよりも、ずっとずっと緊張感があるんだ。

まぁ、ファミレスより緊張感があるのは客層からして当たり前なんだけどね。
どうしてかって言うと、
1つは、言葉使いかな。
ファミレスなんかだと、元気にハキハキとっていうのがモットーになるけれど、こんな高級Barではもちろん通用しない。
できるだけ上品に、丁寧に。
声は聞き取りやすく、けれど落として。
他のお客様の迷惑になるような話し声は論外。
生ピアノの演奏があるときなんかは、お客様の口元に耳を寄せることもあったりする。
慣れないあたしは、ちょっとだけドキドキしちゃう。

2つ目は、お酒の種類。
カクテルはもちろんのこと、ワイン、ウイスキーなど、大抵の有名銘柄が取り揃えられている。
だいぶ覚えたけれど、例えば、「辛口でおすすめ」とか、「さわやかなカクテル」なんて言われても、パッとは出てこないよね。
高級Barだけあって、ヴィンテージものも数多い。
お客様のkeepしているボトルも一度担当になったら覚えておかなくちゃいけない。
最近では、仕事の合間だったり、仕事終わりに、ちょっとだけあたしもカクテルを作らせてもらっている。そして、試飲することで、だんだんと有名なお酒は分かるようになってきた。とはいっても、あたしはお酒に弱くって、強いお酒は全くダメってことも分かったけどね。強いお酒はなめることしかできないわ。


そんなこんなで、緊張感を持ちながらのあたしのウェイトレス生活。
あたしは、大学の卒論の提出も終わっているから、比較的時間に余裕があるけれど、家庭教師のバイトもあるから、火曜日夜と金曜日・土曜日にBarのバイトを入れていた。金曜日・土曜日はとてもBarが忙しくなるからっていうことと、火曜日はあたしが他のバイトがないから。その他の日も、マスターに頼まれれば対応するようにしている。3月までの限定だから、できるだけ頑張りたいんだ。

Barのopenは18時半から。
あたしの勤務時間は18時~23時。
Barは0時までだけど、最後の方はいいよって言われて、23時には上がらせてもらっている。
でも、金曜日や土曜日は結局閉店までいることも多いかなぁ。
終電には間に合うけどね。




年が明けて1月になり、あたしのBarの仕事もだいぶ板についてきた。
勤務時間は長いけれど、途中少し休憩もできるし、賄い弁当はメープルのフレンチ弁当だったり、その日その日で違ったものがくるのが、うれしい。えへ。

でもあと3か月弱で、あたしはこのバイトを辞めて、メープルの社員になるんだけど、実は、最近、このバイトがとっても楽しくなっている。

それは何故かって?
それはね。

金曜日の夜になると分かる。
そう、今日、金曜日。


ほらっ、来た。
クルクルと髪が巻いた珍しいヘアスタイルに、整った顔立ち。
背が高くって、ビジネススーツが良く似合う人。
どうやらマスターとは古い知り合いみたいで、
「司君」って呼ばれてる。

今日もやって来た彼は、いつもの通り、VIP専用個室の一つに入って行った。
そして、マスターがいつものウイスキーを用意する。
そのウイスキーを運ぶのがあたしの役目。


『司さん』・・・あたしが、今、一番気になっている人。



 

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今朝、妙に早起きしちゃったので、予告なく始めちゃいました、新連載。
元旦に急に思いついたお話です。
どうぞよろしくお願いいたします。
『第三医務室の牧野先生』は週末に公開です!
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  1. 俺の女
  2. / comment:6
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  1. 2017/01/05(木) 00:55:12 |
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  1. 2017/01/04(水) 23:17:10 |
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  1. 2017/01/04(水) 22:43:55 |
  2. |
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こんばんは(^^♪

  1. 2017/01/04(水) 22:23:48 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
新連載にたくさんの拍手ありがとうございます。
あっ、やっぱり、ワンパターンですよ。おそらく(笑)。

色々悩んでいたときに、何となく元旦に思いついて。
ホテルのあれこれは、「理想の恋人」の番外編でちょっとお勉強していたので、1話は書きやすかったです。
問題はここからですね~。
ある程度の流れは頭にありますが、つなげていくのがねぇ。
ちゃんとプロットを作るべきかも知れませんが、プロットは常に頭の中のみ。
いつでも改ざんできてしまうのが恐ろしいところです・・・


さてさて、拍手コメのH様、ご無沙汰しております。
また今年も読んでいただけてうれしいです。

いつもコメントを下さる、た●●●●●●様(←わかるかな?)
メールアドレス付きのコメントだったので、思い切ってお返事を出してみましたが、届きましたでしょうか?
新しく取得した、フリーメールからなので、もしかしたら迷惑メールに入っちゃったかな。
いつもコメントありがとうございますとお伝えしただけだったのですけどね。
届いていたら良いのですが・・・

さてさて、新しい連載。
どうなることやら。
温かく見守って頂けたらと思います。

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  1. 2017/01/04(水) 08:52:21 |
  2. |
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  1. 2017/01/04(水) 06:28:52 |
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