花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

司が、誕生日に、つくしからマフィンを手渡されたところからです。
***


突然マフィンという食い物を手渡され、しばし呆然とした俺。
どのぐらい呆けていたのか、けれどすぐにジャケットを持ってカウンターに向かった。
が・・・あの女がいねぇ。

「臼井。あの女、どこ行った?」
少し驚いた臼井の顔。
「牧野さんですか?」
「あぁ、そいつか。」
あいつの胸についたネームプレートには『牧野』とあった。

「もう、帰りました。彼女はもともと23時までですから。」
「あ?」

帰ったって、これ、どーすりゃいいんだよ。
仕方ねぇな、捨てるか・・・。
じっと菓子を眺めて、どうするべきか迷う。
いつもだったら投げ捨てているところだと思うが、なんとなくそれはできなかった。

「臼井これ。」
「あぁ、牧野さんが作っていたやつですね。ははは。司君に渡すためだったのか。あはは。」
「あははじゃねぇよ。これ、返しとく。お前が食えよ。」
「僕が見ていたから、毒なんて入っていませんよ。もらってやってください。そうか、誕生日って司君のことだったのか。お客様のお誕生日だから、プレゼント作ってもいいかって聞かれてね。接客の合間にせっせと作っていましたよ。」

しみじみと話す臼井。
あの女がここで作ったのか?
俺とあきらの話を聞いて、誕生日だと分かったんだな。
そう言われてみれば、手にしたマフィンはまだほんのり温かかった。


いつもの俺なら考えられないことだが、俺はそのマフィンを持ち帰ることにした。
ほんの気まぐれだったと思う。



*****



翌朝起きると、何となく頭が重い。
昨日は予定よりもウイスキーを飲み過ぎた。
こんなことなら、ロックでも良かったかも知れねぇな。
そう思いながらシャワーを浴びた。

ダイニングに出ると、テーブルの上に、丸い菓子がのっていた。
昨日あの女に渡された、マフィンってやつだ。


俺はコーヒーマシンでコーヒーを淹れ、
ダイニングの椅子に座った。
目の前にはマフィン。
よく見ると、二つ並んだマフィンの間に小さなカードが挟まっている。
反射的に袋をあけて、カードを開いた。


『お誕生日おめでとうございます!
素敵な一年になることを願っています』


プッ。なんだ、これ?
こんなもん、渡してくる奴は初めてだ。
素敵な一年?
素敵ってなんだ?


思わず笑いが込み上げる。
手作りなんて気持ちわりぃもんを渡した上に、手書きのカードまでついてきた。

その内容は、仕事のことでもなく、厭らしく俺を誘うものでもない。
ただただ、俺の幸せを願うもの。


あの女・・
もしかすると、本当に俺の誕生日を祝ってくれたのか?
見ず知らずの俺の誕生日を?
あいつは俺の身分を知ってるんだろうか。
いや、知らないわけねぇよな。
あのBarで、俺を知らないなんてありえねぇだろ?
知っていながらも、この俺にこんなもん渡してくるなんて度胸がある。

俺はその度胸に免じて、マフィンを摘まんで口に入れた。

「甘めぇ。」


俺は甘いもんが苦手だ。
普段なら、絶対にこんなもんは口にしねぇ。
それでも、この菓子は食いたくなった。
食わなきゃダメなんじゃないかと思った。
俺はビジネスに対しては完全な理論派だが、もう一方で、直感を大切にしている。
自慢じゃねぇが、俺の直感は当たる。
直感つーのは、結局は俺の経験値や、今までの関わり方が大きく影響するもんだ。
俺は、あの女を気に入っている。
それは間違いない。
だから・・・

ブラックコーヒーを片手に、俺はマフィンを1つ完食した。





その日の夜、俺は珍しく平日に連続でBarへ向かった。
臼井が俺を出迎える。
「司君、本当に珍しい。どうかされましたか?」

「いや、臼井、あの女いるか?」
「牧野さんですね。」
「あぁ。」
「彼女は、火曜と金曜、土曜のみの勤務ですよ。今日は勤務外です。」
「あいつ、バイトなのか?」
「ええ。身元は保証されていますから、ご心配なく。」
「それは、心配してねぇけど。」

クスクスと臼井の奴が笑ってやがる。
「あのマフィン食べたのですか?」
「あぁ。」

俺はカウンターに座り、臼井と向かい合った。
「あいつ、いったい何者なんだ?この俺に菓子を渡してくるなんてよ。」
「ははは。牧野さんは、知らないんですよ。司君のこと。」
「はぁ?」
「それが僕も面白くてね。ついつい、言いそびれてしまって。」
「知らねぇって・・」
「VIPだとは思っているんでしょうが、ここのオーナーだとは分かっていませんよ。」
「マジか。」

俺は唖然としながらも、可笑しな気分だった。
俺の身分も知らずに、誕生日祝いとして手作りの菓子を渡してきた女。


この東京メープルは道明寺ホールディングスが殆んどの株を所有している。
いわば、道明寺ホールディングスがオーナーで、俺はそこの日本支社長だ。
東京メープル直営のこのBarは俺がオーナーとも言える訳だ。
それを知らねぇなんてな。
まぁ、俺も1月に帰国したところで、日本での実績はないからな。
マスコミ関係もほとんどシャットアウトしている。
今は仕事に集中したい。
日本支社長就任の会見もニューヨーク本社で行い、帰国してからはFAXを流しただけだった。
一般庶民には、俺の顔は知れ渡ってないのかも知れねぇが、
それにしても、ここの店員で知らねぇ奴はきっといないはずだ。


はは・・笑える。
なんだ。
てことは、あいつ、本気で俺の誕生日を祝ってたってことか。
ありえねぇ。
ありえねぇんだけど、
なんだか、気分がいい。
こんな気持ちは久しぶり・・いや、初めてかも知れねぇ。


俺はついつい上機嫌になり、
「臼井、今日はロックでいいわ。」
そう言っていた。



 

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いつも応援ありがとうございます。
『牧野先生』からの落差に戸惑い中(汗)。
でも、ここで更新やめたら、もう書けなそう。
頑張るべし。(気合!)
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  1. 俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

あわわ。

  1. 2017/01/09(月) 12:46:31 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
沢山の応援ありがとうございます。
皆様、変なコメント入れててすみません。
予約投稿した時点では、「俺の女」のつかつくと、牧野先生のつかつくの差が激しくて、戻りきれず。「牧野先生」が楽しすぎたせいで、テンションが上がっていたため、下がった感じだったんです。

大丈夫です!
始めたものはきちんと完結させますから。
でも、一度お休みすると、書けなくなりそうなのはある。それは心配ですが。中途半端ってことは絶対にしないです。性格的に(笑)。


そうですね。確かに、少しずつお話も成長していってくれることを願って。

また、まま様のサイトから読みに来ていただいたかたもいらして、「牧野先生」以外のお話にも目を向けてくださってありがとうございます。

前向きにやっていきますので。
新年から、またしてもご心配をおかけして申し訳なかったです。

連休終わっちゃいますね~。
少し部屋の片づけしないとなぁ。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/09(月) 11:02:28 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/01/09(月) 09:04:39 |
  2. |
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  1. 2017/01/09(月) 06:56:26 |
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