花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「今日の業務はこれで終了です。」
西田にそう言われたのは、金曜日の22時15分前。

「今日は、この後、ご予定でも?」
プライベートについてこいつが口を挟んで来るのは珍しい。
俺は思わず、西田をじっと見ちまった。

「いえ、出過ぎたことを。失礼致しました。」
「いや、メープルに飲みに行くだけだ。」
俺が幼なじみの奴らに会う時は、その日の予定を組む都合上、当然俺のプライベートも西田が把握している。
今日は、自分の知らない予定があることに、西田が意外そうな顔をする。

それから、心得たといった表情をして、
「今週は仕事の処理が速く、助かりました。十分にリフレッシュを。」

西田の奴がどう思っているのかは知らねぇが、そう言われるほど、通常もチンタラと仕事をしているつもりはねぇ。しかし、最近は、いや、今日の俺は、23時までにBarに行くために、仕事をハイピッチで進めたという自覚はあった。


どうしてそれほど『The Classic』に行きたいと思うのか。
その理由が分からない程、俺は馬鹿じゃない。
今日はあの女の出勤日だ。
あの女に会いに行くことが、今日の俺の楽しみだった。

あの女に会ってどうする?
あの甘めぇ菓子を食ったことを伝える。
伝えてどうすんだ?
俺は何を期待してんだ?



会社を出て、俺は弾む気持ちでBarへ向かった。
あいつは23時までの勤務らしいが、時刻はすでに22時を回っていた。

店へ入り、臼井と目が合うと、臼井の視線が斜め前方を示した。
あの女が接客中だ。
注文を聞く仕草。
客の男の口元に少し耳を近付けている。
その様子にちょっとイラっと来る俺。
そこまで近づく必要あんのか?
その男に興味あんのか?
近づき過ぎだろーが。

そーいや、俺にはあんなことしてこねぇよな。
あぁ、そうか、俺は注文何てしねぇしな。
あぁ、そっか。そーいうことだな。
と一人で納得する俺。

すると、あの女がくるりとこちらを振り返った。
すぐに俺の存在に気付くかと思ったら、そうじゃねぇ。
臼井に向かって歩き出し、
「マスター、マティーニとマルガリータです。あと、フルーツの盛り合わせ出しますね。」
「了解。」
臼井が、ニヤリと笑って俺を見た。
なんだか、気に入らねぇな。


俺はドスンと女に一番近いカウンター席に座った。
「ひゃっ。」
という声。
女が俺を見た。
やっと気付いたか?

第一声は、
「あれ?今日も来られたんですか?」

なんだよそれ、どーいう意味だよ。
臼井がさらに笑っている。

「水曜日も飲まれたとか。飲み過ぎると肝臓痛みますよ。」

なんて心配をされた。
バカか、余計なお世話だっつーんだよ。
って、いや、俺が言いたいのはそーいうことじゃねぇ。
そーじゃなくって・・・

「おい、あの菓子。」
そう口に出した俺に、立ち去ろうとしていた女が振り返り、ぱっと明るい表情になった。

「食べてもらえました?」
「あぁ、サンキュ。」

その返事を聞いて、さらに笑顔が溢れる女。
おい、分かってんのか。
この俺が礼を言うなんて、かなりレアなんだぜ。


「あ~、良かったぁ。心配してたの。もしかして、捨てられちゃうのかな~って。いきなりプレゼントなんて、やっぱりちょっと怖いよねぇ。でも、お誕生日に何にもお祝いがないのも寂しいでしょ?歳くっただけだなんて、悲しいよね。だからねっ。って、やばっ。ため口になっちゃった。ごめんなさい。」

菓子を食ってもらえたことが相当嬉しかったのか、女が饒舌になり、いつの間にかため口になっていた。
いつも、俺の前では表情を崩さないようにしていたのか、俺に向けられる笑顔に嬉しくなる。
調子にのんじゃねーぞ思う反面、それも悪くねぇ気がする。

これが、俺が期待していた反応だと分かった。
俺はこの女に笑ってほしかったんだ。


「あっ、個室でしたね。ご案内します。」
そう言って、女が俺をいつもの部屋へ案内しようとした。

「いや、今日はここでいい。」
「へっ。」
「今日はここにする。」
「あっ、はい、畏まりました。」

女は首を捻りながらカウンターの中へ消えていき、またおしぼりをもって帰って来て俺の前に置くと、すぐにどこかへ行こうとした。

「おい。」
俺がすかさず呼び止める。
「はい?」
「注文聞かねぇの?」
「え?いつもの、じゃないんですか?」
女がチラッと臼井を見る。

まだまだ笑っている臼井。
「牧野さん、司君の注文聞いて。」
首をかしげながらも、
「ハイ。」
と返事をする女。

俺の前に立ち、ポケットから、オーダーシートを取り出した。

「どうぞ。」
と女が言う。

んん?さっきの客とはえれぇ違いだな。
何で近づいてこねーんだ?
耳を俺の口元に近づけるんじゃねーのか?


「どうぞ?」
と女がもう一度言った時、店内のピアノ演奏が始まった。
すると、女がに腰を落として、俺の顔の近くに耳を寄せてきた。

女の横顔がアップになる。
形のよい耳。
透き通るような白い肌。
黒目がちで大きな瞳。
赤い唇。
ちょっとドキドキする俺。

近付いてきた耳元にそっと囁いてみる。
「いつもの。ストレート。ダブルで。」

次の瞬間、目を更にデカくして、こっちを睨むこの女。


「いつもと同じじゃん!」


俺は腹を抱えて笑い出した。
面白れぇ。
面白れぇ女に出会った。



 

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  1. 俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

いつもありがとうございます(^^)

  1. 2017/01/11(水) 04:20:01 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
拍手、コメント、ありがとうございます。

初めての方にも、コメントを頂けて、嬉しいです。
それから、過去の記事にも、コメントありがとうございます。
どちらにお返事していいかわからず、こちらへ(笑)。
電車通勤中のコメントもありがとうございます。酔わないようにご注意を!!

マスターは司の昔馴染み。いつかマスター目線も書きたいなぁとは思うのですが、まだお話が序盤ですので、お話を勧めることが先かなぁ。

このエピソードは、初めから書きたかった一コマなんです。
だいたい、カウンターなんだから、マスターに直接注文したらいいんですよ。
でも、わざわざつくしに注文を取らせる司、ちょっと可愛くて(笑)。
クールなイメージが無くなってきました。。。


今日は、寝落ちして、先ほどやっと予約投稿。もう5時まで1時間切ってるよ!間に合った!

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  1. 2017/01/10(火) 13:37:20 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/01/10(火) 08:36:08 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/01/10(火) 07:14:23 |
  2. |
  3. [ edit ]
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