花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

2月14日火曜日。
今日はバレンタインデーだ。
日本企業の思惑にまんまと騙された、日本の風習。
そんなことは俺だって知ってたが、気にしたことなんて無かった。
いや、いつもなら思い出しもしない。
けど、今年は覚えていた。

毎年会社には、たくさんの贈り物が届く。
その場で捨てる訳にもいかず、西田に邸へ運ぶように指示した。
それにしても処分は同じだけどな。

昼の会食を終えて、まだ14時半。
何となく落ち着かない。

「支社長、何か気になることでも?」
珍しく西田が俺に話かけてきた。

「いや。」
気になってるわけじゃ・・ねぇ。

「なぁ、西田。今日は何時に終わる?」
俺がそんなことを聞くのは初めてだったから、西田も驚いたようだ。

「個人的なご予定がおありでしたら、早めに切り上げることは可能でございます。」
「いや、個人的っつーか・・」

西田がジロジロ見やがって、気持ちわりぃ。
「いや、いいんだ。いつも通りで頼む。」
「承知致しました。」


その後は、なんだかんだと仕事をこなしたが、夜になり、ニューヨークのババァから至急の仕事を振られた。
明後日からのアジアミーテイングに、ババァの代わりに出席しなければならない。
そのための資料を頭に叩き込む必要があった。
次から次へ、資料に目を通していく。

はっと気が付くと、時刻は23時を回っていた。
Barの閉店は0時。
まだ資料は残っている。
今日はあいつの勤務日だ。
あいつの勤務時間は23時までだから、もう帰っているかも知れない。

でも・・
もしかしたら、まだ、いるかも知れない。
何を期待してる・・俺?


俺の手が止まったのをみた西田が、
「そろそろ終わりに致しましょうか。資料は明日でも構いませんので。」
と言うと同時に俺は立ち上がった。
「わりぃ、西田、先帰るわ。」

ジャケットの上にコートを羽織り、エレベーターまで走った。
そして、イライラしながらエレベーターが下降するのを待って、リムジンに飛び乗った。

「メープルまで急いでくれ。」


何を急ぐ必要がある?
今日がバレンタインだからって何だっていうんだ。
いつもの火曜と一緒だろうが。
そう思うのに、やっぱりメープルに行かずにはいられない。





The Classicの手前で、少し上がった息を整えた。
入口に入ろうとしたところで、出てきた客とすれ違う。
その客と一緒に出てきたのは、牧野だ。
俺には気付いてねぇ。


「またお越しください。」
そう言いいながら、中年の男に紙袋を渡している。
あれって、チョコレートだよな。
「ありがとう、牧野さん。また来るね。」
「はい、お待ちしております。」
そう言って、にっこりと笑う牧野。
それを見ていられなくて、視線を外す俺。


店に戻ろうとした牧野が俺に気付いた。
「あれっ、司さん。遅かったんですね。今日はもう来られないかと思いました。お待ちしていたんですよ!」

俺は思わず、顔をパッと上げて牧野を見つめちまった。

俺を待ってたって・・・
ちょっと、期待しちまうだろ?

少し機嫌をよくした俺は、牧野と共に店に入り、いつもの席に座った。
「司さん、今日もウイスキーですか?」
「あぁ、どうすっかな。」

俺は今日、飲みに来たって訳じゃない。
そうじゃなくて・・

「牧野。お前、俺を待ってたんじゃねーの?」

「はい。いや、待っていたと言うか、来られたらいいなと思っただけですけど。」
「なんで?」
「司さん、今日、コーヒーでいいですか?」
「あ?」
なんだよ、その話の切り返しはよ。

「別にいいけど。」
そう答えると、牧野が嬉しそうに、準備のために奥へ入って行った。


「司君。」
牧野が消えたとたん、臼井に話しかけられた。
「本当は、うちのメニューにコーヒーなんてないんですよ。この前も、今日も牧野さんの特別ですよ。まぁ、今日は、もうじき閉店だから、気にしなくていいですけどね。」

牧野の特別・・という言葉に頬が緩む俺。

すると、牧野がコーヒーカップを持って戻ってきた。

「おっと、もうすぐ0時だね。牧野さん、お疲れ様。あと適当に帰ってもらっていいよ。」
「あっ、はい、マスター。ありがとうございます。」
牧野がそう答えると、臼井は笑って、フロアに消えていった。


目の前にコーヒーカップが置かれて、ブルマンのいい香りがする。
なんだよ、俺を待ってて、コーヒーだけかよ。
それで思わず言っちまった。

「お前、俺に渡すもんねぇの?」
「渡すもの?」
「あぁ。」
「もしかして、バレンタインを言ってます?」
クスッと笑う牧野。

「・・・・」
「あれって、好きな人とか恋人に渡すものでしょう?」
「・・・・」
「でも、今は、義理チョコもありますもんね。」
義理って、なんだよ。義理ってよ。

「今日は、お店で男性のお客様にチョコレートを配っているんですよ。帰りにお渡ししているんです。司さんも欲しいですか?」
「いらねぇよ。」
「ですよね。」
まだまだ、笑う牧野。
ちっ。ムカつくな。くそっ。


俺がちょっとイラッとしたところで、
「良かった。0時だから、もういいかな?」
店の時計を見ながらそう言って、牧野が冷蔵庫からカップを2つ出してきた。

「これ、チョコレートムース。司さんと一緒に食べようと思って。」
カップに入っていたのは、チョコレート色のプリンのようなもの。

「バレンタインには間に合わなかったけど、勤務中は一緒に食べることなんてできないし、恋人でもないんだから、一日遅れぐらいで丁度いいですよね。」

つまり、これは牧野からのバレンタインのプレゼント。
一緒に食うために、0時まで待ってやがったみてぇだが・・・

俺は自分の腕時計を見た。
時刻は23時59分。
俺の時計に狂いはない。


時刻を確認した俺は、すぐにムースに口を付けた。
「お前も食えよ。」
「なに、威張ってるんですか。あたしが作ったんですよ。」
「早く食え。」

そして、牧野が一口、口へ運んだのを確認して、もう一度腕時計をみた。
丁度0時00分になった。


どうやら俺は、
本物のバレンタインってやつに間に合ったみたいだ。



 

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楽しい週末を!
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  1. 俺の女
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんにちは〜(*^_^*)

  1. 2017/01/14(土) 16:52:35 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手、コメントありがとうございます。
初めましての方のコメントや、過去の記事へのたくさんの拍手、嬉しいです。

しかし、坊ちゃん、可愛すぎましたね(笑)。
もう全くクールじゃないし。
なんだか妄想がどんどん甘くなっているような・・・

まだ入社してないのにエピソード多すぎるなぁ^^;
まだまだ続く予定ですので、どうぞよろしくお願いします!

今日は関西、パラパラと粉雪が降ったりしますが、積もってはいません。
皆さん、風邪など引かれませんように。

では明日、5時に^ ^

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  1. 2017/01/13(金) 17:19:00 |
  2. |
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  1. 2017/01/13(金) 16:26:49 |
  2. |
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  1. 2017/01/13(金) 10:50:10 |
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  1. 2017/01/13(金) 05:31:24 |
  2. |
  3. [ edit ]
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