花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

アジア出張が入ったり、自分の仕事が山積みだったりで、このところ、俺がBarに行く頻度は少なくなっていた。
牧野は火、金、土しか働いてねぇから、それに合わせたいんだが、なかなか俺の都合が合わなくて、イライラしてきたところだ。
この1週間は、牧野に会えていない。
そろそろ、牧野に会いてぇな。
あいつ、俺のこと、待ってるんじゃねぇかな。



道明寺ホールディングス日本支社が主導する、東京郊外への高齢者向け住宅の建設プロジェクトもスタートした。
東京メープルについては、今後長期的にも短期的にも改革が必要となる。
来年度中には、将来の方向性を決めて始動していきたい考えだ。
そのために、ホテル従業員、新入社員も含めて、『未来のメープル像』を問う課題を出した。
2月末までに回収したその課題も参考にして、何か案を模索したい。
これまでに幹部が考えた案も悪くはねぇが、それだと今のメープルとそれほど変わらない。
クラス感を前面出した演出も必要だが、もう一つパンチが欲しい。
何か、今後の新しいメープルを期待させるような方向性が・・・


「支社長、今日は夕方16時半からの東京メープルでの会議は出席で宜しかったでしょうか?」
「あぁ。一応、今までに提出された案も確認したい。」
「しかし、丁度16時より後藤会長との会食もあります。メープルの扇の間での会食ですので、その後となりますと、会議には後半の出席になりますが。」
「まぁ、前半はあいつらでまとめてんだろ。後半からでいい。」
「畏まりました。そのように通達いたします。」
「分かりやすいように報告しろと伝えてくれ。」
「はい。」



16時からの後藤会長との会食。
後藤会長は、大手建設会社の会長職で、東京の大規模ビルの多くに後藤建設が絡むぐらいデカイ力を持っている。
今後日本で、道明寺が進める高齢者住宅建設には、是非ともこの後藤建設の協力が欲しい。
まだまだ、後藤会長の懐を借りるような状況だが、できるだけ友好的な関係を築きたい。
先日、Barのフロアでは会長は妻と一緒だったようだ。
牧野の報告から、このオヤジが結構な愛妻家だということを知った。

ふと、牧野が言っていたことを思い出した。
ーたまには非日常もいいでしょう?ー

俺は少し考えて、西田を呼び止めた。
「西田、今日の会食で、最後に後藤会長の奥様に花を送りたい。花束じゃなくて、根が張ってるやつ。小さいのでいい。」
きっとあいつなら、牧野なら、そういう小さな鉢植えを好みそうだ。
花束はいつか枯れるが、根が付いた鉢植えなら、その後に楽しみもあるだろう。
そんなことは、普段の俺たちにとってはどうでもいいことだが・・・

西田はちょっと意外そうな顔をしてから、「畏まりました」と部屋を出て行った。



その日、後藤会長との話はスムーズに進んだ。
まだ、お互いの利益についてまでは話はできない状態だが、感触はいい。
会食も終盤にさしかかった頃、会長から意外な話が出た。

「先日は妻とThe Classicにお邪魔してね。あの店は夫婦ではじめて行ったBarでね。その時と同じ窓際の席に座ったんだが、たまたま勧められたワインがモンラッシェの2010年もので。私たちにとっては思い出の年でね。驚いた。あのヴィンテージのワインがすぐに出てくるなんてね。あれで、妻がThe Classicのますますのファンになってしまったよ。」
「ありがとうございます。」
「そのときにサーブに来てくれた店員さんも、かわいい子でね。僕も長いこと、あのBarに通っているけど、ああいう雰囲気の子は今までThe Classicにはいなかったね。うちの妻がえらく気に入ってしまって、うちの三男のお嫁さんになんて言うもんだから大変だったよ。」

The Classicのこともさることながら、牧野のことまで褒められて、俺は気分が良かった。
ワインをチョイスしたのは俺だけど、きっと牧野がサーブしたからこその感想なんだろう。
三男の嫁っつーのは頂けねぇが、そいつだってもういいオッサンだろうしな。
そのまま、奥様にと用意した鉢植えを後藤会長に渡すと、さらに喜んで必ずプロジェクトに協力すると快諾を頂いた。
牧野の言うように、普段の俺だったら思いも付かないことが、自分にとっても、相手にとっても良い方向に影響することがあるんだと実感した。



その後は後藤会長と別れ、俺と西田はメープル本館4階の会議室へ向かった。

時計を見ると18時前。
2階から4階へ移動する時に、中央エレベータ前に後藤社長と髪の長い女が見えた。

ふっと、横を向いたその女の顔に驚く。
牧野だ。
髪を下ろしている姿を見るのは初めてで、少しドキッとする。
このメープルにはそぐわないような、紺のPコートに白のパンツ、足元にはブーツを履いた姿。
首元にはグルグル巻きのマフラー。
横顔からでも分かる、あの生き生きとした瞳。
そう言えばあいつ、1つ年下つってたけど、バイトをしてるってことはきっと大学生なんだよな。
あのBarでバイトなんて、何者なんだ?

牧野は後藤会長にお辞儀をして、会長をエレベーター前で見送った。
それから、従業員用のエレベーターへ走っていく。

コラコラ、お前は従業員なんだから、ホテル内で走るのは禁止だろ?
だいたい、正面から出入りしちゃダメなんじゃねーの?

いろいろ説教してやりたくなる。
でも、俺は身分を明かしてない。
だから、今は黙っているしかない。
ちぇっ。これはこれでつまんねーな。

今日は金曜日だ。
会議が終わったら、牧野に会いてぇな。
なんて、そんなことを思う俺。

牧野は俺に気付くことはなく、この場を去って行った。

その後ろ姿を眺めながら、ニヤニヤしている俺を見て、西田が怪訝そうに聞いてきた。
「支社長、お知り合いの方ですか?」
「あぁ、ちょっとな。」

あいつは俺にとって、何なんだ?
俺はそろそろ、その答えを見つけられそうな気がする。

「なぁ、西田。この会議の後は、俺はそのまま帰るからな。」
「本日であれば大丈夫です。その代わり、明日は少し早く出社して下さい。」
「分かった。」



*****



俺は、メープルでの幹部会議に後半から参加し、
課題としていた『東京メープルの未来像』についての報告を受けた。

多くの案の中から、15程の案がピックアップされていた。
ざっと資料に目を通し、一つの案が俺の目についた。

その案のキーワードは『非日常』。
一般市民から言えば、東京メープルホテルに宿泊すること自体が「非日常」だ。
しかし、逆に、高級志向のセレブに対する「非日常」を提供したいという提案。

企画者は、4月より東京メープルに入社予定の『牧野つくし』。


『牧野』って、まさか、あの牧野じゃねえよな?
でも・・読めば読むほど、あいつのことが頭に浮かぶ。

いや・・もし、あいつだったら・・
あいつだったら、どうする?
この企画者があいつであって欲しいのか、それでも違ってほしいのか、それすらも自分ではわからない程に動揺した。

恐らく、この企画は、通る。
これは、俺の勘。
他にもいくつかいい案はある。
メープルを売り出す企画は、一つである必要はない。
そしてこの『牧野つくし』の提案は悪くない。


あいつが、Barの店員じゃなかったら?
メープルの職員だったら?
この案があの牧野のものだったら?

そうだとしたら、俺はどうする?


俺の思考回路は、途中から会議からプツッと離れ、
上の空の俺は、何度も西田に指摘を受ける有り様だった。



 

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  1. 俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは!

  1. 2017/01/16(月) 22:31:27 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手ありがとうございます!

これからの二人。
どうなるでしょう?
司、どうでるでしょう?

お楽しみに~なのですが、
まだ今後の展開を悩んでいるという・・・あは。

ワンパターンにならないようにしたいのに、私の頭の中はいつも単純で困ります。
でも、あんまり考えると、頭ハゲるかもしれないから(笑)、考えすぎずにで書いていきますね。
お付き合い、どうぞよろしくお願いいたします~。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/16(月) 18:14:06 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/01/16(月) 07:57:59 |
  2. |
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  1. 2017/01/16(月) 05:56:29 |
  2. |
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