花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

メープルの会議を終え、俺は後の雑用を西田に任せ、まっすぐにThe Classicにやって来た。
牧野はもう、働いているはずだ。
Barに入り、最近では定位置となった、カウンターの端に座った。

ぐるりと店内を眺めてみる。
まだ20時半だったためか、金曜日だがまだそれほど混雑はしていない。
牧野は・・・フロアで接客中だ。

夕方に見かけた、私服姿を思い出す。
Barの制服を着ているよりも、かなり幼く見えた。
俺が良く見かける、化粧臭い女達とは全く違う。
化粧も最小限だし、コロンの匂いもしない。
すげぇ美人って訳でもねぇんだけど、あいつが接客するテーブルの客は、何故か楽しそうにみえる。
きっとあいつは接客に向いていると思う。



しばらくすると、カウンターまで牧野が戻って来た。
その名札を、もう一度確認する俺。
やはり、苗字しか書いていない。
牧野の名前って何なんだ?

「司さん、いらっしゃいませ。今日は早いんですね。」
俺に気付いた牧野が話しかけてきた。
「おう。」


「お前さ、夕方店来るとき、ホテルの中走ってただろ?」
「えっ?司さん、見てたんですか?」
「ああ。」
そう言うと、牧野は急に右手の人差し指を立てて口元に当てた。

「しー。本当はホテルの中は通っちゃだめなの。でも、今日は大学で卒業式の打ち合わせがあって、遅刻しそうになっちゃったの。急いでたから、つい。それに、エレベーターでこの間のお客様にも声をかけられちゃって。でも、これ、マスターにバレたら怒られちゃうから。黙っててくださいね。司さん。」
と、牧野が両手を合わせて頼んできた。

ぷっ。アホだな。
俺はここのオーナーだっつの。
本当は指導すべきところなんだだろうが、こんな風にコソコソ言ってる牧野もなんだか可愛くて、許してしまう俺はこいつに甘すぎるのかもな。


「お前さ、卒業式って、大学4年なんだよな。」
「そうですよ。春から社会人です。」
「じゃあ、ここ、辞めんのか?」
「そうですね。」
牧野が俺のグラスにウイスキーを注いだ。

こいつがここを辞める。
そして、就職。どこに?
やべぇ。心臓、バクバク言ってやがる。

「お前、就職決まってんの?」
「はい。」
「どこ?」

牧野がキョトンとした顔をしている。
「あれ、言ってませんでしたっけ?じゃじゃーん。なんと、この東京メープルです。総合職なんですよ。それで、3月まで、ここのバイトをお勧めしてもらえたんです。」

やべっ。
ちょっとニヤける。
ってことは・・

「お前、名前さぁ。」
「名前ですか?牧野つくしです。3月末までもう少しですけど、最後まで精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。司さん。」
そう言って、ニッコリ笑う牧野。


間違いねぇ。
あの企画の『牧野』はこいつだ。
3月末までじゃねーよ。
その後も、お前は俺のテリトリーに入ってる。
そして、ちょっとホッとする自分に気付いた。


どうして、こんなにホッとするのか。
どうして、こんなにニヤけるのか。
どうして、こんなに嬉しいのか。

「あぁ、よろしくな。牧野。」





その後の牧野との会話は、何を聞いても愉快だった。

「あっ、司さん。あのムースのカップ、捨てちゃいました?」
「いや、持って帰ったぜ。」
「本当ですか?良かった。あれ、あたしにしては奮発して、1個400円なんですよ。司さん、いらないなら返してくださいね。」

バーカ。返さねぇよ。
そんなに欲しいなら、俺んところに取りに来いっつったら、俺の部屋にくんのか?お前。
自分の部屋に女を入れるなんて、考えられなかったこの俺が、こいつなら部屋に入れてもいいと思っている。
他の客がたくさんいる店なんかじゃなく、二人だけで話がしたいと思う。


「そうそう、この前のバレンタインの後から、12時まで働いたら、タクシーチケットを貰えることになったんです。すごいですよね~。さすがメープル。バイトにまでそんな待遇なんて。夜の地下鉄ってちょっと怖いから、助かります。」

だろ?そーだろ?
けど、それはお前だけの待遇だって、知らねーんだろ?
本当にこいつは面白い。
素直っつーか、馬鹿っつーか。


そんなんで、社会人としてやっていけんのか?
やっぱ、俺がそばにいてやりたくなる。
そんな女。


「司さん、夕食食べました?」
「いや。」
「きちんと食べないとダメですよ。そうだ、まだ、イタリアンからピザ取り寄せられますから、オーダー入れましょう。」
「いいって。」
「ダメです。」

家族みてぇに、食事の心配なんかしやがる、ちょっとおせっかいな女。

「じゃあ、お前も一緒に食うか?」
「勤務中だから、ダメです。」
「こっそり食えば分からねぇよ。」
「だめです!」

廊下走ってんのもバレてんのに、なんでそんなに堅いんだ?
ホント、馬鹿。

「俺が許すから、食えよ。」
「うーん。0時回ったらね。」

結局、食うのかよ。
つーか、その時間には、冷めちまうだろうが。
本当に、馬鹿な女だ。
でも、目が離せない。




こいつがメープルの社員になる。
それを聞いて、どうしてこんなに安心しているのか。
それが、どうしてこんなに嬉しいのか。

俺がずっと見ていたい。
俺がずっと傍にいたい。
俺がずっと守ってやりたい。


少し考えれば当たり前のこと。

俺が生まれて初めて惚れた女。
____それが、「牧野つくし」だからだ。



 

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  1. 俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは(^^)

  1. 2017/01/17(火) 22:26:07 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
沢山の拍手ありがとうございます。
コメント、拍手コメントも楽しく拝見しています。

この司は、本当に初めて恋したんですよ。
支社長という立場ではあるけれど、恋愛に関しては、17歳の道明寺に近い??

大人でもあり、子供でもあるって感じでしょうか(笑)。
お話はゆっくりペースで進んでいるなぁ。
明日でもう12話かぁ。
いつ入社できるのか・・・。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/17(火) 10:01:03 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/17(火) 06:46:11 |
  2. URL |
  3. のだめまま
  4. [ edit ]
おはようございます❄️
司、やっと自分の気持ちに納得出来た様ですね。
でも今度は 、Barのお客さまの司さんが、実は道明寺財閥の御曹司と分かった時、つくしが、どう思うのか…⁈
入社式の代表挨拶とかで、分かってしまうのでしょうか?
とっても楽しみです♡♡

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/17(火) 06:35:50 |
  2. |
  3. [ edit ]
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