花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

3月に入って、あたしたち新入社員に対する、入社前研修が始まった。
リクルートスーツを着て、東京メープルに来るのは久しぶりのこと。
バイトで来るときは私服だから、やっぱりスーツを着ると緊張感が増す。

あたしたち新入社員は、まずは3-6か月ごとに各部署を回ることになる。
あたしの狙いは、いつかは営業企画課に配属されること。
それまでは、全ての部署で精いっぱい頑張るつもり。


「牧ちゃん。緊張するねー。」
話しかけてきたのは、総合職同期の、宮田涼子さん。
彼女は最終的には、ブライダル部門で上に行きたいと言っていた。
「だねー。涼ちゃん。」
あたし達は、牧ちゃん、涼ちゃんと呼び合う仲。
同期は皆仲良しだけど、あたしは特に涼ちゃんと仲が良かった。

同期が集められて、研修がスタート。
初めはオリエンテーションだから、全員一緒のスタートだ。
ワクワク・ドキドキしながら、東京メープルの沿革から始まり、接客のマナー、職員としての心構えなどを一から教わっていく。
毎日、身が引き締まる思いだ。

女性社員には、メイクの仕方、髪のアップの仕方や、ネイルや髪の色など、細かいところまでチェックと指導を受けた。
制服は支給されるけど、履きなれたパンプスは自分で用意すること。色は黒。パンプスはすぐにボロボロになってしまうから、数足用意するようにとのことだ。いくら綺麗な制服を着ていても、足元がボロ靴だったら、ホテルのイメージが下がってしまうもんね。



一週間の入社前研修の最終日である、今日。
今日の研修の最後に、4月からの初期研修の配属先が発表になる。
4月1日からは其々が、配属された研修先に向かうことになる。
皆、緊張しながら発表を待った。


「牧野さんは・・・あぁ、そうか、君は、宿泊部門からだね。お願いします。」
「よろしくお願いします。」

あたしの初期研修先は、宿泊部門に決まった。
宿泊部門は、メープルのフロント業務から、部屋へのサービスまで、全てを担当する。
ホテルサービスの花形部門だ。
そこへ配属になったあたしは、俄然やる気満々。

涼ちゃんは、レストラン部からだって。
あたし達はお互いに健闘を誓った。



その日は金曜日で、あたし達、総合職同期10名は、皆で打ち上げに来た。
だから、マスターには今日はバイトを休ませてもらう連絡を以前から入れていた。
同期で飲むのは久しぶり。
居酒屋の個室で、皆それぞれが、自分の部署について、話しだした。

「高木君は一緒の宿泊部門だね。」
「うん。よろしくね、牧野。」
「山崎さんは、ブライダル?」
「そうなの。一番興味が無かったんだけどなぁ、参っちゃうよ。」
そんなことをいう彼女、山崎さんは超美人。スタイル抜群。
本当は宿泊部門希望だったみたい。
ブライダルって、敢えて花嫁さんよりきれいな人を選ばなくてもいいような・・・
なんて思うのは、どこまでも10人並みのあたしの僻みかなぁ。

それぞれが初期研修先についての一通りの報告を終えると、今度は定番の恋バナ。

「ええー。高木くんと涼ちゃん、付き合ってるの~??聞いてないよぉ。」
「ごめん。牧ちゃん。今日話そうと思ってたの。」

「でも、同期で付き合うなんて、もしも別れたとき、気まずくない?」
そんなこと言わなくても・・
やっぱり美人の山崎さんは、色々経験豊富みたい。

「で、牧野さんは?彼氏とかいるの?」
そう言ってきたのは、レストラン部門配属の黒田君。
「いないよ~。」
「募集中?」
「うーん。今は仕事頑張りたいしなぁ。」
「牧野さん、結構モテそうだけど。」
「ナイナイ。」


「ねぇ、牧ちゃん。」
こそっと涼ちゃんに耳打ちされる。
「この前言ってた、バイト先の人って、どうなの?」
「やだ。そんなんじゃないよぉ。The Classicに来る人は、あたし達とは全然違う世界の人だよ。素敵だなって思うけど、それだけ。」
「そっかぁ。」
「そうそう。」

そうだった。
まだ、司さんと話をするようになる前に、涼ちゃんに「気になる人がいる」って言ってたんだった。
今では会話もするようになって、やっぱり素敵な人だとは思うけど、あたしみたいな一般人とは住む世界が全く違う人。
あたしにとって、司さんは「非日常」。
一緒にいたいと思うけど、それは、短時間しか叶わない・・・そんな人だ。



*****



「司君、いらっしゃい。」
臼井にそう話しかけられ、俺はいつもの席へ座った。
金曜の22時。
店内は込み合っている。

俺は自然とあいつの姿を探すが・・いねぇ。

「牧野さんなら、今日は休みですよ。」
「あ?」
「今日から、メープルの入社前研修の最終日で、同期で集まるようですよ。」
「同期で?」
「飲み会じゃないですか?」
「飲み会・・・」

無言になる俺。
そんなこと聞いてねぇぞ。
って、そんなこと言える間柄でもないか・・

「なぁ、臼井。あいつって、酒強ぇの?」
「いや、ダメですね。カクテル2杯が限度じゃないですか?」
「マジか。」

またまた黙り込む俺。

「おい、臼井。ここに牧野呼べよ。」
「ははは、司君。冗談。ここは会員制ですよ。」

だよな。
知ってるっつの。

「牧野さんのことが心配なんですか?」
臼井の奴がニヤニヤ聞いてくる。
うぜぇ。
心配なんてする間柄でもねぇよ。

しかし、ふっと俺は考え直した。

俺はあいつに惚れていると自覚したんだ。
それなら、関係なくなんかねぇな。
あいつに近づく男は全員追い払ってやる。
俺はあいつの携帯番号も知らなかったが、西田にでも調べさせれば、新入社員の奴らが今どこにいるかなんてすぐに分かるだろう。

俺はウイスキーを一気に空けて、
「もう、帰るわ。」
と臼井に告げた。


臼井自らが、店の入り口まで、俺を見送りに来た。
ここ最近は、牧野のあがりと同じ時間まで飲んでいた。
ちょっと物足りねぇな。

「またどうぞ。オーナー。」
そう臼井が言った時、エレベーターの方から、ダダダダダッという足音が。


「マスター!」
大きく響く、それは牧野の声。
振り返ると、走り寄ってくる牧野。
だから、ここでは走るなっつーの。
思わず顔がニヤける。

「あっ、司さん。もうお帰りですか?」
「あっ・・おう・・まぁ。」

お前がいなかったから、帰るところだなんて言える訳ねぇ。

「牧野さん、どうしたんですか?」
と冷静な臼井の声。

「あたし、宿泊部門になりました!初期研修。それをお伝えしたくって。」
「そうですか、遣り甲斐がありそうですね。頑張って、つくしちゃん。」

臼井の奴。
つくしちゃんとか言ってんじゃねーよ。
うぉっ、牧野の奴が俺を見てやがる。
なんか言って欲しいのか?
そうだ。


「牧野、就職祝いに、一杯おごる。付き合えよ。」

俺はそう言って、牧野を個室へ誘った。



 

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  1. 俺の女
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

あは(笑)

  1. 2017/01/18(水) 21:36:05 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手、コメントや拍手コメントありがとうございます。

あは(笑)。個室と書いたので意味深でしたかね・・・。
それほど深く考えていなかった・・・(汗)。
鼻血吹きそうですみません・・
その妄想はもう少し先で・・かな。
ほんと、苦手で・・困ったものです。

それから、定番中の定番、楽しんでいただけて、嬉しいです。
この司の嫉妬とか、どこかで必ず見かける(笑)。けど、書かずにいられないんですよね~。

ar🔴様
それ!LINEのやりとり!この先では登場させようと考えてました!なので、この先で出てくる予定です。まだ書いていないので、あくまで予定ですが(笑)。

ではでは、今から執筆でーす。
コメント書くと流されるちゃうんだよな~。と言いつつ、コメ返から始めちゃいました。
では、また明日に(*^^*)

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/18(水) 07:50:55 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/01/18(水) 06:21:02 |
  2. |
  3. [ edit ]
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