花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

「無事に帰れたの?つくしちゃん。」
司さんに送ってもらった土曜日の夕方。
昨夜の後片付けをしようと早めにBarに出勤したあたしに、マスターが言った。

「はい。朝5時ぐらいに目が覚めて、司さんに家まで送ってもらっちゃいました。お店にもご迷惑をおかけしてしまって、本当にすみません。」

どうして起こしてくれなかったのよ、マスターっ!って噛みつきたいのはやまやまだけど、そんなこと言える立場じゃない。

「僕もね、若い二人を、二人きりで残していくのはどうかと思ったんだけど・・・」
その言葉に思わず固まって、マスターをじっと見てしまった。
じゃあ、どうして二人きりにしたのよぉ。

「司君が、自分が残るって言うからね。彼は身元のしっかりした人だし、それにある意味安心だしね。」
「安心?」
「僕は、司君が中高生の頃から知っているし、彼の人となりも分かってるつもりなんだけどね。」

身元がしっかりした人だから、何もないなんて思わないけど。
でも、司さんが、あたしに何かするとはとても思えなかった。
そういう意味で、マスターもあたしを司さんに任せたんだろうと思うけど・・。

「マスター。司さんって、何をしている方なんですか?昨日も、すごいリムジンに乗ってたし。普通の人じゃないですよね。」
「まぁね。確かに普通じゃないけど。でも、ここで飲んでいるのは、仕事とか関係なく、素の司君だよ。とっつきにくいけど、あれでも結構優しいところもあるし、つくしちゃんには特に優しいと思うよ。職業とか関係なく、つきあってあげてよ。」

そう言って、マスターはニコニコ笑っている。
そんなことを言うくせに、絶対に司さんの身元を教えてくれない。
それはトップシークレットらしい。
そんなに秘密にするんだから、実は裏社会の人なんじゃ・・とか思ったこともあったけど、どうやらそうではないらしい。
「普通じゃない人」かぁ。
そんな人が、何であたしにキスするのか、やっぱり分からないよ。

眉間にしわを寄せたあたしに、マスターが言う。
「司君はつくしちゃんのことが可愛くて仕方ないって感じだよね。」
「はぁ?」
「そう思わない?つくしちゃんだって、司君のこといいと思ってるでしょ?」
「・・そんなこと‥思ってませんよ。」
「そうなの?僕は二人はお似合いだと思うけどなぁ。」
そう言って微笑むマスター。

何を言っているのか、よくわからない。
あたしと司さんが、お似合い??
どこを見たら、そう見えるのかなぁ。
大金持ちとパンピーの女だよ。
どう見たって、釣り合わないのに。
マスターの言っていることに納得がいかないあたし。

「僕が知る範囲ではね、司君がプライベートで女性と会話するなんて、つくしちゃんとだけだと思うよ。」

そうなの?
司さんなんて、結構誰にでもいい顔してるんじゃないの?
遊び慣れた人・・だとか?
もしかして、あたしで遊ぼうとしているのかな?

でも、そんな遊び人の人が、いくら相手があたしだとは言え、一晩中、何もせずに傍にいてくれるもんなのだろうか。
あたしのことは女として見ていないとしても、一晩あたしに付き添ってくれるなんて。あたしのこと、嫌いじゃないってことなのかな。



それからずっと、頭の中は司さんでいっぱいだったのに、
その日はいつまで待っていても、司さんは現れなかった。
あたしは・・別に何を期待していたって訳じゃないけど、何となく寂しい。
「またな。」って言ってたくせに、来ないじゃない。
あたし達の接点はこのBarしかないのに。
やっぱり、あたしのことなんて、何とも思ってないんだよね。
そんなこと、分かってたけど。
だったら、あんなキスしないでよねっ。

あーあぁ。
こういう時は仕事をテキパキするに限る。
仕事に集中していると、モヤモヤを忘れることができるから。
今日はせっせと仕事に精を出して、早めに帰ろう。
うん。そうしよう。

大体自分の受け持った席のお客様が帰宅したのを見計らって、あたしは帰る準備をした。
「マスター、お疲れ様です。お先に失礼します。」
「あぁ、牧野さん、お疲れ様。次の火曜日は出れるよね。」
「はい。大丈夫です。」
「了解。気を付けてね。」
「はい。」



結局、司さんは来なかった。
やっぱり、ショックだな。
昨日キスとかしたくせに、本当に思わせぶりな奴。
最低・・・

床を見ながら、トボトボと歩ていたあたし。
お店の通用口から出て、職員用のエレベーターに向かう途中、突然、あたしの目の前に長い足が飛び込んできた。

引っかかりそうになって、慌てて踏ん張ったけど、体が前に倒れていく。
「きゃっ。」
と小さく叫んだとき、左腕をぎゅっと掴まれたかと思うと、
「下向いて歩くな。危ねぇだろうが。」
という声が降って来た。
この声の主は、一人しかいない。

顔を上げると、そこにはやっぱり司さん。
「司さん。なんで?」
「Bar以外ではフツーにしてくれんだろ?」
「そうは言ったけど・・」

Barでお酒を飲みに来たんじゃないの?
なんで、ここで待っているの?

「まだ閉店まで少しありますから、今からでも間に合うと思いますよ。」
「なんだよ、そのしゃべり方。フツーじゃねぇじゃん。」
「だって。」
「別に、酒飲みに来たって訳じゃねぇし。」
「はぁ?」
「お前に会いに来たって言ったら信じんのか?」


・・・
「信じません。」
あたしってば、何を言うっ。
ずっと、待ってたくせに・・あたしったら。
でも、そんなこと信じられる訳ないでしょう?
司さんが、あたしに会いに来たなんて、どうして信じられるのよ。


睨みつけるあたしを見て、ちょっと笑った司さん。
「とりあえず、行こうぜ。」
司さんはあたしの手をとって歩き出した。



 

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  1. 俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは~。

  1. 2017/01/23(月) 23:10:34 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
沢山の拍手ありがとうございます。
あぁ~、ちょっと焦れモードが嫌だぁ。

なんて。
四🔴様、K🔴様、
司、何するんでしょうね。って、まぁ、ワンパターン(笑)ですけどね。へへへ。

H🔴様
さてさて。

北海道、雪深そう。こちらも、今日はJRのダイヤが乱れていました。

す🔴様
『司さん』新鮮だと言ってくれる方、何人かいらっしゃいます。なんだか、つかつくじゃないみたいで、初めはドキドキしたんですが、私はだいぶ慣れてしまった。でも、そろそろ『道明寺』って書きたい!

早く焦れモードを脱したいです。

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  1. 2017/01/23(月) 07:25:25 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/01/23(月) 07:10:34 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/01/23(月) 06:02:46 |
  2. |
  3. [ edit ]
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