花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

ホワイトデーの後から、あたしのバイトの帰りは、必ず司さんが家まで送ってくれるようになった。
司さんは、Barでゆっくり飲むことはなく、あたしのお迎えだけのために来てくれている感じで申し訳ない。
でも、本人がそれでいいって言うし、あたしもやっぱり会いたいと思うから、甘えてしまっている。

普通の恋人同士なら、土日にデートとかするのかもしれないんだけど、年度末と言うこともあり、司さんも仕事が相当忙しいみたい。
いつも、「デートできなくてごめんな。」なんて言って、何かしらのプレゼントを渡そうとする。
あたしにとっては、バイトの迎えに来てくれる、その時間を作ってくれるだけで、本当に嬉しいと思っているのにな。
ブランド物の鞄とか、時計とか、「社会人になったら必要だろ?」なんて言われるけど、そんなの持っていなくたって、社会人にはなれるんだよ、司さん。
だから、あたしはプレゼントは受け取らない。
プレゼントを受け取らないと、司さんはすごく寂しそうな顔をする。だからって、理由もなく受け取る訳にはいかないよ。
「あのさ。こんなプレゼントなんてもらわなくても、会う時間を作ってくれるだけで嬉しいよ。」
そう伝えたら、司さんが目を大きく見開いて、それから嬉しそうに笑って、ゆっくりと唇を重ねて来た。


会う度にキスをする。
それが至極当前のことになっている。
そのキスが、日を追うごとに深くなっていく。
時々、司さんの目が凄く切なそうで、あたしがもっとキスをしてあげたくなる。
そして、司さんのことをもっと知りたいと思うようになった。

あたしは司さんに聞いてみた。
「ねぇ。あたしのどこが好きなの?あたし、何にも持ってないよ?」
そうしたら、司さんが言ったの。
「別にお前から何かもらおうって訳じゃねぇよ。ただ、俺の隣でお前が笑ってくれていたら、それだけで幸せなんだ。どこがっつったら、全部かも知れねぇな。」

そんなすっごい殺し文句を、しれっと口にしてしまう人。
この人は、きっと嘘なんかつく人じゃない。
だから、あたしも自分に素直になろうと思う。

自分で言ったことだけど、お試しなんて必要なかったみたいだ。
あたしは、やっぱり、司さんが好き。
勘違いなんかじゃ・・ない。
これをきちんと伝えなきゃいけないって思ってる。



卒業式が終わり、あっという間に3月も終わりになった。
今日は、3月31日金曜日。
突然、メープルからあたしの元へ連絡が入った。
もう入れないかと思って諦めていた社員寮に入寮できるという連絡で、その手続きにすぐ来て欲しいとのこと。
うわっ、めちゃ嬉しい!
けど、もう今日は31日で、あと残すところは土日しかない。
月曜日には入社式が控えていた。

仕事中だと分かっていたけれど、あたしは司さんにLINEした。
『あたし、社員寮に入ることになったよ。』
すぐに返事なんて無いと思ってたのに、すぐに既読になったかと思ったら、
『良かったな。』
と返事が来た。
今、仕事忙しくないのかなぁ。
『今から、鍵とかもらいに行ってくる。それで、明日、明後日ですぐに引っ越しするね。』
そう書いたら、やっぱりすぐに返事が来た。
『明日の土曜日空けとくから、俺も手伝う。』

ええ~?!
司さんが手伝うって、マジで?
自慢じゃないけど、あたし本当にお金ないから、必要最小限のものしか置かないつもりだし、人手なんて、弟の進だけで十分なんだけど・・

『弟が手伝ってくれるから大丈夫。』
とメールすれば、
『俺に任せろ。』
という返事。

いったい、何を任せると言うのか、ちょっと不安になった。
それでも、一人暮らしができる嬉しさが大きくて、あたしはそんな不安はすぐに忘れて、メープルの総務課へ直行した。夕方からは最後のバイトが入っていたから、お礼のために作ったクッキーも忘れずに持って、自宅を出たんだ。


場所や契約内容を確認して、書類にサインをし、その場で担当者に渡した。
「牧野さんはラッキーだね。今月に入って、急に総合職で社員寮希望の場合には、入寮させるようにという通達があったんだけど、空きがなくて困っていたら、丁度親会社の寮が空いていたからね。」
「親会社ですか?」
「そう。うちの親会社は道明寺ホールディングスだからね。不動産はたくさんあるって訳。」
「なるほど。」
「そこ、かなりいい部屋だよ。良かったね。」
「本当ですか!?」

そんなこんなで、あたしは有頂天。
確かに、あたし以外の新入社員はもっと前に入寮が決まっていたから、あたしはもう入れないんだと思ってた。
よかったぁ。残りものには、福があったのかな。ラッキー!。

書類のやり取りをした後、今から管理人さんが立ち合って案内をしてくれると言うことで、あたしはメープルを出て、指示された寮まで歩いた。
部屋の間取りなんかも確認しなきゃいけないし。
最低限の雑貨とかは買わなくちゃ。
冷蔵庫は絶対に必要だよね。
ベッドは無くても、お布団引いたらいいかなぁ。
月曜日には入社式。
引っ越しはこの土日で終わらせないといけないなんて、本当に急だけど、あぁ、楽しみ。

決定した社員寮の場所はメープルから歩ける距離。
タクシーで、ワンメーターもかからないぐらい。
こんなところに寮なんてあるんだな。
さすが道明寺ホールディングス。
なんて考えながら歩く。

あれぇ?
確かに、ここだと思う住所には、ドデカイ高級マンションがそびえ立っていた。
でも、何度見返しても、マンション名は間違いない。
会社の寮にするにしては、凄すぎない?
本当にあたしが借りるのはここのお部屋なんだろうか?

マンションには、管理人さん?コンシェルジュさん?が常駐しているみたい。
入口のインターフォンを押して、
「あの~。」
と話しかけてみると、
「あぁ、メープルの牧野さんですね。聞いてますよ。ご案内します。」
と言われた。
良かった。間違ってはいないみたい。


指紋認証登録をして、カードキーの使い方も教えてもらい、あたしは6階に案内された。
ここに来るまでの廊下や内装も凄く豪華で、ちょっとあたし、何か間違っちゃった気がするんだけど・・

カードキーで案内先のドアを開けると、
「うわぁ。綺麗。」
ピカピカの廊下、真っ白の壁。
まっすぐに廊下を進むと、そこにはダイニングルーム。
キッチンも広くて使いやすそう。

「ベッドルームはこちらです。」
えぇ?まだ部屋があるの??
そう思いつつ、廊下に戻り、手前の部屋を覗き込むと、そのお部屋には、ベッドやドレッサーが置いてあった。

でも・・あれ?
「あの・・これ・・」
「あぁ、家具は初めからついていますから。」
「そうなんですか!?」
「オーナーが準備したと聞いています。」
「オーナーが・・」
「では、あと不明な点があれば、いつでも呼んでくださいね。電化製品の使い方はすべて、こちらにまとめてありますので。引っ越しの日時が決まればまたご連絡ください。」
そう言って、コンシェルジュさんが出て行った。

電化製品??
慌ててダイニングに戻ると、隣のリビングスペースにはテレビやソファがいてあるし、よく見たら、ダイニングにもテーブルが置いてある。テーブルクロスまでかかっているし・・
まさかと思って、キッチンへ行くと、食器棚には食器が入っていて、システムキッチンの扉を開けると、包丁やまな板、お鍋なんかが全部そろっていた。

うそ・・・でしょう??

これが社員寮な訳ないよ。
あたしは慌てて、メープルの総務課に電話をしてみたけれど、ここで間違っていないのだと言う。
他の同期に聞いてみた方がいいのかな。
それとも、あたしだけラッキーでここに入れちゃったのかな。

これだけ揃っていたら、あとは、仕事で使うデスク用品とか、もともと少ない洋服たちを持ってくるだけで済みそうだ。
それなら、わざわざ司さんに出てきてもらう必要なんて全くない。

『今、寮に来たんだけど、すごく豪華なお部屋で、引っ越し、そんなに手がかからなそう。土曜日は手伝ってくれなくて大丈夫だよ。』
そうメールしておいた。
返事はなかったから、きっと仕事が忙しかったんだと思う。



*****



「おい、西田、まだあんのかよ。」
「ございます。」
「マンション、ちゃんと用意できてんだろうな。」
「ご指示通りに仕上げております。」
「それならいい。」

俺は携帯画面を見ながら、笑いを堪えていた。
あいつからのLINEに次々と部屋の画像がアップされている。
それから、スーパーに買い物に行ったらしい。

今日は牧野のバイトの最終日。
俺は絶対に夜にあいつを迎えに行くと決めている。
花でも用意すっかな。
でも、あいつ、あんまりプレゼントとか喜ばねぇんだよな。
なかなかデートをする時間が取れない代わりに、バイトの迎えは絶対に欠かさない。
俺の本気を示すため、会う度に『好きだ』と伝えている。
総二郎曰く、女が喜びそうな、バッグやアクセサリーを毎度渡そうとするが、一切受け取らない牧野。
「お試し」の間は、受け取りたくないってことなんだろうか。
あまりにも嫌がるから、無理やり渡すことはしていない。
けど、花ぐらいなら、持って行っても構わねぇよな。

今日で、3月も最終日になった。
あいつの結論を聞く日になる。
特に急かしたつもりはねぇけど、あいつだって分かっているはずだ。
けれど、俺の勘は間違いない。
あいつは俺に惚れてる。
本人が自覚したかどうかだけの問題だ。

会う度にするキスだって、全く嫌がっていないし、むしろどんどん深くなっている。
初めはキスだけだったが、今では抱きしめたり、髪の毛を触ったり、背中を撫でたりするのだって、嫌がってない。
はっきり言って、「お試し」なんて終わってるとは思うが、そこはあいつを納得できたかどうかだ。
ビジネス場面ではスピーディーな俺が、あいつに関しては時間をかけて落とそうとしているんだから、自分でも驚きだ。

そんなことを考えながらニヤつく俺に向かって、西田が言った。
「支社長、このペースでは、夜に牧野さんを迎えには行けませんよ。」

その言葉で俺ははっと我に返り、その後は一心不乱に仕事をこなした。
そんな俺を、まさか、西田が笑ってみてやがったなんて気が付かなかったが・・。



 

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  1. 俺の女
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは~

  1. 2017/01/31(火) 00:31:09 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。

いや~。Birthday企画に振り回され、お返事をする暇もなかったです。
すみません。
『俺の女』はですね。もっと早く展開したいのですが、書いておかないといけないもしくは、私がなんとなく書きたかったエピソードとかすっ飛ばすのも忍びなくて、ちょっとだらだらしちゃってます。
まぁ、マイペースということで、気長にお付き合いいただけたらと思います。

コメント入れる前に、Birthday企画がスタートしてしまいました。
これ、まだ半分しか書けてなくて、明日の途中までは予約投稿しましたが、そのあとはまだまだで。
クリスマス企画みたいな感じになりそう・・。
大丈夫か?私って感じなんですが、それは私の司君への愛のパワーで乗り切ります!
今日、眠れるかな・・・

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  1. 2017/01/30(月) 07:51:35 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/01/30(月) 06:04:22 |
  2. |
  3. [ edit ]
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