花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

あたしは、ウエストチェスターの道明寺邸に入り、以前に通された司の部屋で彼を待つことになった。

恐る恐る出たスマホから聞こえてきた司の声。
「お前、ニューヨークで何してやがった?」
今まで、一度も聞いたことがないぐらいに低い声。
どれだけ司が怒っているかが伝わって来た。

「ごっ、ごめんなさい。」
そういうだけで精一杯なあたし。
「謝罪は後で聞く。これからのことはそれからだ。邸で待ってろ。」
それだけ言われ、スマホは切られた。

出会ってから今まで、司に本気で怒られたことなんてあっただろうか。
きっと、無かったと思う。
心臓が縮み上がりそうなほどに、恐い声。
当たり前だ。
あたしが司を騙していたんだから。

相手はお父様だし、岡田さんもずっと一緒で、やましいことがあった訳じゃないけれど、ねつ造しようと思えばいくらでも下世話な記事になり得る話だった。
すぐに対処してくださったお母様には頭が上がらない。
変な噂にでもなれば、道明寺の株価に影響する事態になっただろう。

明後日は司の誕生日だと言うのに、もう、お祝いを考えている場合じゃない。
どうすれば許してもらえるのか。
ううん。きっと許してなんてもらえない。

さっきの司の言葉が、耳から離れない。
____謝罪は後で聞く。これからのことはそれからだ。

これからのこと・・・
それは、あたしと離婚するってこと?
あたしたちのこれからは無いってことなの??



***



「オヤジの奴、小賢しいことしやがって。」
いてもたってもいられずに、俺はすぐに手配していたジェットに飛び乗った。
元々、ニューヨーク出張が決まっていたから、ジェットの手配もしてあった。
メールで送られてきた写真は、ある意味ねつ造されたもんだ。
ババァが二人に灸を据えるために撮らせたんだからな。

けどよ、オヤジに肩を抱かれている妻をみれば、やっぱ腹も立つってもんだ。
だいたい、あいつは警戒心が無さすぎる。
これを機に、俺もあいつに灸をすえてやろうと思っていた。
ジェットの中であいつに電話を掛けると、あいつが俺にビビってんのがすぐに分かった。
俺はお前を怒ってなんていねぇよ。
そりゃ、渡米理由が嘘だったり、オヤジの秘書をしていたことはムカつくけど、でも、それだって、俺のためだったって知っている。
あいつは、オヤジに良いようにと言いくるめられちまったんだろう。

あいつがビクビクしている姿を想像して、可哀そうだとは思ったが、あいつにも少しは反省してもらわねぇとな。
邸で待つようにと、それだけを伝え、俺は冷たく電話を切った。


これからのことだが・・
俺はつくしのことを考えて、結婚式までは、つくしをマスコミに公表するつもりはなかった。
発表すれば、道明寺司の妻として、今以上に忙しくなるだろう。だから、せめて結婚式までは少しでも自由にしてやりたかった。
けれど、俺は今回のことで考えを改めていた。
すぐにでも、結婚の発表をして、あいつを世界に知らしめてやる。
仮に、オヤジのパートナーを頼まれたとしても、俺の妻として堂々と出席してほしい。
オヤジにも、調子こいたことしてんじゃねーぞとタンカを切りに行くつもりだった。


ジェットの中でも西田に仕事をさせられて、ヘトヘトになりながらも、俺がニューヨークの邸に着いたのはニューヨーク時間の午後7時。
けれど、つくしの出迎えがねぇ。
まさか、逆切れとかしてんじゃねーだろうな。
あいつが、今回こんなことになった理由は、姉ちゃんからも聞いていた。
あいつは俺のことを想って計画してくれていたのに、それに便乗したオヤジがわりぃんだ。

玄関に出迎えに出てきた執事に、
「つくしはどうした?」
と聞くと、
「お部屋にお声は掛けたのですが・・」
と曖昧な返事。

具合でも悪くなってるのかと、気が気じゃなくなり、俺は部屋に走り込んだ。
シーン。
部屋の中は物音がしない。
シャワールームにもつくしの姿はなく、奥の寝室を覗いてみれば・・
寝てやがる・・

はぁ。ビビらせやがって。
ゆっくりと近づくと、つくしの目には涙の痕。
シーツもまだ濡れているようだった。
ベッドサイドに腰を下ろし、ゆっくりとつくしの髪を撫ぜる。
こんなに泣くぐらいなら、俺にコソコソすんじゃねーよ。
俺はジャケットを脱いで、ベッドに横になり、つくしをそっと抱きしめた。



やっぱ疲れてたんだな。
しばらく眠ってしまったらしい。
はっと気づくと、腕の中に囲っていたはずのつくしがいない。
あせって飛び起きると、リビングのソファにつくしが座っていた。

「つくし?」
と声をかけると、振り返ったつくしの目は虚ろで、顔には表情も無くて。
「つくし、どうした?」
俺は、すっかり怒った振りをしていたことなんて忘れてつくしに寄り添った。

つくしの隣にはキャリーバッグ。
一体どうしたって言うんだよ。

「司・・あたし、本当にごめんなさい。こんなことになるなんて、思ってもいなかったの。」
つくしから聞こえる声は小さくて、とてもいつものつくしとは思えなかった。

「あたし、日本に帰るから。最後に、ちゃんと謝りたくて待ってたの。」

「ちょっと、お前、何言ってんだ?馬鹿か?俺がこっちに来たのに、お前が帰ってどうすんだよ。」
つくしは俺に視線を合わせようとしない。
「おい。」
「本当にごめんなさい。」

つくしは立ち上がって、左手の薬指からマリッジリングを引き抜こうとした。
それに焦って、こいつの手を掴みその行為を止めさえる俺。

「離してよ!」
「離すかよ!」
二人で指輪を巡って、つかみ合い。
俺は自分右手をつくしの左手に絡め、左手でこいつを抱きしめた。



 

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