花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「あたし絶対に無理だからね?」
「気にすんなって言ってんだろ?」
「気にするでしょっ!」
俺の目の前で、牧野が頬を膨らませて怒っている。

どうしてこうなったのか・・・。
つい5分前まではいい雰囲気だったんだ・・・。

ペントハウスに上昇するエレベーターの中でキスをした。
牧野だって、ぎゅっと俺にしがみ付いてきたりして、案外その気だったんじゃねぇのか?

「うわぁ・・・」
最上階のペントハウス。
シックですっきりした印象のリビングスペース。
天井まで広がる巨大な窓からは、東京タワーもスカイツリーも、メープルも見える好立地。
その夜景をみて、牧野が感嘆の溜息を洩らした。
そんな牧野が余計に可愛く見えて、俺は牧野を背中から抱きしめたんだ。

その時・・・
ガチャっと、手前の部屋のドアが開き、
『あれまぁ、坊ちゃん、そういうことは、あたくしが帰ってからにしておくんなましよ。』
出てきたのは、家のメイド頭、タマ。

更に奥の執務室のドアが、ガチャリと開き、
『支社長、お戻りでしたか。』
その声だけで分かる、俺の秘書、西田。

その二人をみて、牧野が、叫んだ。
「うっぎゃー!!」
勢い良く振り返った牧野から、俺は胸に張り手を食らい、後ろへよろけちまった。

つまり・・・
俺の部屋には、自由に出入りするメイドがいて、更に秘書の西田も出入り自由だ。
そんな環境を知らなかった牧野は、当然のように困惑した様子だったが、その次には怒り出し、こんな部屋には一緒に住めないと騒ぎ出した。
それで、この状態だ。


リビングのソファに並んで座る俺たち。
向かい側には西田。
そして、タマがコーヒーを運んできた。
牧野、西田、タマはそれぞれに自己紹介を終えた。

「まぁ、まぁ、あんた。何をそんなに騒いでるんだい。あたしらのことは、空気だと思ってくれたらいいんだよ。」
とタマが言えば、
「そんな風に思えません。」
と牧野。

すると西田が真面目な顔つきで話出した。ま、こいつはいつも顔こえーんだけどな。
「この部屋をの管理は、牧野さん一人では難しいでしょう。ですから、この部屋で生活するのであれば、やはりメイドを容認して頂くことになります。それに、支社長は分刻みのスケジュールをこなされていますので、その管理をする上で、私も出入りせざるを得ません。」

牧野は真剣に話を聞いている。

「私どもがこの部屋に入らないのであれば、支社長の管理は全て、牧野さんにお願いすることになるでしょう。」

西田にそう言われれば、牧野も弱った表情だ。
「あのっ。そんなの困ります。私も一人暮らしは初めてで、右も左も分からなくて、そんな司さんのスケジュールまで把握して管理するなんてできません。」
「だ、そうですよ。支社長。」
「自分のスケジュールぐらい、自分で管理できっから、心配いらねぇよ。」

「司さん。あたしさ、クリーニングとかもどうしたらいいか分からないし、ご飯だって、簡単なものしか用意できないし、こんな広いお部屋の掃除もできる訳ないよ。」
「だから、メイドにやらせろよ。」
「あたしは、そういうのは嫌なの。自分のできる範囲で生活したい。今までだってそうしてきた。それに、これから始まる仕事だって、一生懸命頑張りたいの。」
「じゃあ、何か?やっぱ、俺とは別れるってことか?」
「そんなことは言ってないでしょ?あたしは下の部屋が丁度いいの。それにしたって、あたしにしたら、不相応なお部屋だよ。あたしは、メイドさんに頼らずに、自分の生活は自分で何とかしたい。だから・・」

「だから・・何だよ。」
「あたしが時間がある時とか、お休みの日は必ずこのお部屋に来るから、生活のベースはお互いに別々にしよう?」
「俺はお前の部屋に行っちゃダメなのか?」
「さみしくなったら、いつでも来て?」
「毎日行く。」
「うん。分かった。毎日でもいいよ。でもね。あたし、初期研修は宿泊部門からだから、きっと当直とか早出、遅出があって、司さんの生活に合わせるのは難しいかも知れない。」
「そうなのか?」

俺は西田を睨んだ。
「コホン。恐らく、そうでしょう。ですが、牧野さんのスケジュールに合わせて、支社長のスケジュールを管理することは可能でございます。」

はぁぁぁぁぁ。
まぁ、しゃーねーか。
勢いに任せて、完全同棲するつもりだったけど、やっぱ、そうは上手くいかねぇみてぇだ。
確かに、明後日から社会人になるこいつの負担も考えてやらなきゃいけねぇということは十分に理解できた。

「分かった。別でいい。その代わり、俺は、毎晩でもお前の部屋に行くからな。」
「うん。待ってるけど、眠くなっちゃったら、先に寝てるよ?」
「ちっ。」
「はやく帰れる日には、司さんの部屋で待ってるから・・ね?」
「・・・」
「ね?」
「ぜってぇ、来いよ!来なかったらぶっ飛ばす。」
「ぷっ。ぶっ飛ばすって、子供じゃないんだから。」
「お前が来なかったら、俺が迎えに行くからな。」
「はい、はい。」
「はいは一回だ。」
「もー。はい。」


コホンっという咳払いが聞こえ、目の前をみると、西田が呆れ顔だ。
「では、私はこれまで通り、支社長の仕事とプライベートの管理をさせていただきます。支社長の部屋にはタマさんが入りますが、御心配いただかなくても、支社長の休息日には入りませんのでお二人でごゆっくりしていただけます。」

つーか、心配してんのはこいつだけで、俺は何も心配なんかしてねぇし。
でも、まぁ、こいつと二人きりの時には、他の奴らには入って欲しくねぇな。
隣には、真っ赤になっている牧野。今更だっつーの。

「何か不都合がございましたら、いつでもご連絡ください。それから、メープルでのご活躍も期待しております。」
「はいっ、こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。」

それから、牧野は西田やタマと連絡先を交換していた。
西田にしても、タマにしても、当然のことのように牧野を受け入れていることにホッとする。
牧野が俺の生活の一部になっていくような感覚で、少しむず痒い。


そんな感慨に浸っていた俺だったが、何故か、そのままシンガポールへ出張に行く羽目になった。
「おいっ!西田っ!聞いてねぇぞっ!!」
「楓社長からの急なご命令で・・」
「この前もそれあっただろうがっ。俺を舐めてんのかっ!」

今日は、もう一度牧野を抱きたくて、ずっと我慢してたんだぞっ。どーしてくれんだよっ!!
そんな俺の考えが顔に出ていたのか、それとも牧野も寂しくなったのか分かんねぇけど、牧野がこっそりと俺の耳元で囁いた。

「ねぇ。帰ってきたら、一緒に寝ようね。」
その言葉に、思わず、今すぐ牧野を押し倒しそうになった。
なんてこと言ってんだよ、この女はよ。ホント、油断なんねぇ。

「お前っ、今の言葉忘れんなよっ!!」
俺はそう捨て台詞を残して、飛び立った。



*****



タマさんと二人で、司さんと西田さんを見送った。

「あたしゃ、あんたが気に入ったよ。さすがは坊ちゃんが見初めた方だね。仕事はちゃーんとおやり。坊ちゃんは、ちゃんと分かってくれるからね。坊ちゃんが、暴走するようなら、あたしに言いなよ。あたしは、道明寺家の使用人頭だからね。」
「はい。タマさん。ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします。」


翌日曜日は、あたしに与えられた6階の部屋の整理なんかをして、一人でゆっくりと過ごした。
一人でベッドに入るとやっぱり寂しいけれど、こうやって司さんを想う時間も大切なんじゃないのかなと思う。



そして、4月3日月曜日。
あたしは入社式の日を迎えた。
司さんは午前中に、シンガポールから帰国すると聞いている。
道明寺ホールディングスの入社式はメープルの大広間で行われ、あたし達、東京メープルの入社式は、その隣のもう少し小さな部屋で行われる。

あたしは、社会人になるにあたり、スーツを新調した。
あたしにしては高級なスーツ。肌触りもいい。
長い髪をアップにして、化粧をする。
ストッキングを履き、スプリングコートを羽織った。
バッグを持ち、玄関に立ったところで、

ガチャっと、ドアが開いた。

「間に合った・・」
現れたのは、そう呟いて、大きく呼吸を繰り返す司さん。

「どっ、どうしたの??」
「牧野、これ・・」

司さんがあたしに渡したのは、四角い箱。
中を開けると、あのホワイトデーの時に、あたしに作ってくれた黒のパンプスが入っていた。

「これ、履いてけよ。自信もって行ってこい。お前は俺の女なんだから。」

こんな高級な靴は、あたしのスーツにも、バッグにも似合わない。
でも、あたしは道明寺司の女なんだ。
それなら、この靴だって履きこなせる女性になりたい。
仕事も、恋も、精一杯頑張りたい。


「ありがとう。司さん。行ってきます!」
あたしは司さんにチュッとキスをして、プレゼントされた黒いパンプスを履いた。
足にぴったりと吸い付くような履き心地。

この靴が、あたしを幸せな未来へ導いてくれるような気がする。
頑張れっ、あたし!

あたしは、社会人としての第一歩を踏み出した。


第一部 完


 

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いつも応援ありがとうございます。
疲労困憊のため、一度お話を区切ろうと思います。
また、夜に詳細をアップさせていただきまーす。
休憩を挟んで、続きは必ず書きますので、ご心配なく!
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  1. 俺の女
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/02/08(水) 22:23:36 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手、ありがとうございます。
とりあえず、つくし、社会人になりました~。パチパチパチ!!
これからは、皆さんご推察の通り、社会人編になり、つくしが活躍していきます。その前に、少し休憩となりますが。えへへ。

四葉様
コメントありがとうございます。いえ、元気なんです。はい。けど、充電しないと、次には行けなそうなので、少し休憩です。休憩して、ゆっくり二次めぐりしたいです。

悠●様
いつもご指摘ありがとう。お忙しそうですね~。私はちょっと充電しまーす。

さち子ママ様
そうそう、司のヤキモチは、やっぱり定番として外せませんね~。あはは。

くん●様
うんうん、つくしちゃんに横恋慕するキャラも、定番!これも外せません。

新参者様
よく見たら、いつも公開拍手コメントでした。わざわざ、HN隠してました(笑)。ごめんなさい。。いつもコメントありがとうございます。そうそう、司の思い通りにはいかないのでした。それに、私もですね。やっぱり二人の部屋は別にあった方がいいと思ってしまう、割と古いタイプの人間なのかも。

翔●様
コメントありがとうございます!ホントです。司君の威嚇行動が私の目にも浮かんでおります。やばいなぁ、またワンパターンになってしまう・・(笑)。

ま●様
結局、どんな司でもいいですよね~。私も、どんなお話でも司がすきっ!続きは必ず書きますので、少しお待ちください。


さてさて、後から『小括』を掲載いたします。
合わせてご覧くださーい。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/08(水) 16:13:44 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/08(水) 10:53:12 |
  2. URL |
  3. さち子ママ
  4. [ edit ]
毎日更新ありがとうございます٩(^‿^)۶
俺の女とても楽しく読ませていぢいてます。
第一部完結ということで第ニ部はつくしの社会人としての奮闘や司とのラブ❤️楽しみにしております。
もちろん司の焼きもちも…。(^_−)−☆

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/08(水) 08:44:02 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

完走おめでとうございます♪

  1. 2017/02/08(水) 07:28:14 |
  2. URL |
  3. 四葉
  4. [ edit ]
俺の女、可愛いつくしちゃんと男前な司さん、素敵でした。疲労困憊?大丈夫?無理せずに、Happyendingさんのペースで!!いつまでも良い子で待てます♪

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