花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

その後結局、俺はリムジンを呼び寄せて、メープルに向かった。
目指すは『The Classic』。
俺はむしゃくしゃすると、ここで酒を飲んだ。
それこそ中坊の頃からだ。
ここのマスター臼井とは、ツーカーの仲。
あいつら幼なじみの奴ら以外で、俺が唯一気を許せる男だ。

このBarでも、何度も喧嘩を吹っ掛けたり、吹っ掛けられたりした事もあった。
その度に、臼井はいつも冷静な判断で、その場をうまく取り持った。
そりゃそうだ。ここは会員制で、顧客は上流階級の奴らばかり。問題になるようなことは避けなきゃなんねぇのは当たり前だ。
だけど、臼井はいつも、どっちかっつーと客の奴らよりも、俺たちをかばってくれるような素振りがあって、俺らは皆、臼井を慕っていた。
今日みたいに羽目を外したい時は、あきらが適当に店を見つけてくるが、そうじゃねぇときはこのBarの個室を使うことが多かったし、俺は一人になりたい時も、ここに通っていた。

臼井はオヤジが連れて来た男らしい。
『別に御父上に恩なんてものはないんですけどね、このBarの居心地がいいもので、続けているんですよ。
このBarは僕の好きにして良いそうなんでね。文句を言われるようなら、速攻辞めてやりますよ。』
初めはオヤジの息がかかった奴だと思った。
けど、だんだんとそうじゃねぇと分かった。
オヤジのことを道明寺の総帥とは思ってないらしい、潔い態度が気に入っていた。

ある時は、俺に近づきオヤジとの接点を作ろうとする馬鹿な男の戯言に、思わずイラっとして手が出そうになった時、俺の手拳を左手1本で止めた臼井。
案外強ぇってことを知った。
また、ある時は、馴れ馴れしく話しかけてくる女にウイスキーをぶっかけてやろうかと思った時に、自分がわざとその女に酒をこぼして、退席させた。
臼井はスゲェ奴なんだ。
俺にもし兄貴がいたら、こんな奴だったらいいのによ・・と思ったこともある。
だから、今日も、何となく、The Classicに足が向いた。


ハンカチで口元を抑えながら、俺はBarへ入った。
すると、カウンターにいた臼井が驚いた表情だ。
なんだよ、そんなに顔腫れてんのか?
相手のパンチなんて掠った程度だったのに、なんか頭くんな。

「司君、何かあったのですか?」
少し焦った臼井の様子が珍しい。
「あぁ、ちょっとな。そんなに腫れてるか?」
「ぷっ。違いますよ。そのハンカチ。どう見ても司君の物ではないでしょう?女性の物ですか?」

その時になって思い出した。
このハンカチはさっきのおかっぱ女に渡されたもんだっつーことを。
恐る恐る口からハンカチを離してみると、

_____そのハンカチは、パンダ柄。


呆然とする俺の耳に、臼井のクスクス笑いが響いた。



*****



「それで、その女の子はどこへ?」
「知らねぇよ。バイトつってたか。」
「へぇ、この時間からバイトですか。」
「よく分かんねぇけど。親に感謝しろとかふざけた事言ってたな。」
「もう夜9時ですよ。今からバイトだなんて、何か事情があるのかも知れませんね。」
「事情?」
「世の中には、お金があるところにはあり、無いところには無いものです。彼女は何か事情があって、夜もバイトをしないといけないのでしょう。」

俺は金に困ってねぇ。
けどそれは、俺が道明寺家の長男だからだ。
親が会社をやってるからだ。

だからか?
1円でも稼いでみろ。
自分の親に感謝しろ。
そー言うことか。


でもよ、残念ながら俺の場合はそうじゃねぇよ。
金稼ぎをしたい訳じゃねぇ。
俺は、俺自身を、自分の存在意義を、親とは切り離してやりてぇんだ。

俺が、ビジネスに身を投じる理由。
俺が、道明寺を継ぐ理由。
それは、あえてそうすることで、俺自身の価値を、世間に見せつけてやるためだ。
もちろん、失敗する可能性もある。
だからって、このまま逃げて、何もしない訳にはいかねぇんだ。
中身のない、名前だけが独り歩きするような男にはなりなくなかった。


「俺、決めたわ。ニューヨーク行く。」
「どうしました?やっと火が付きましたか?」
「堂々と、道明寺司だと名乗れる男になってやるぜ。」

すれ違った女に、自分の名前も堂々と言えないような、そんなつまんねぇ男はまっぴらごめんだ。

「やっと決めましたね。」
「あぁ。俺が何者であるか、きっちり証明してきてやるぜ。」
「期待していますよ。」
「言っとくけど、親に感謝とかしてるわけじゃねぇよ。ただ、自分の存在意義を示してくるっつーだけだ。」
「君ならできます。」
「俺が戻ってきたら、お前の上司になってやるから、覚悟しろよ?」
「それは、楽しみだ。」

その日、俺は臼井とじっくり語り合い、翌日にはNY行きの手続きをとった。
あのハンカチは、俺と共にニューヨークへ渡った。



ニューヨークでの俺は必至だった。
今まで適当かましてた勉強不足のツケもあったし、ビジネスだってもちろん初心者だ。
日本ではチヤホヤされていた部分もあったが、ここではそうじゃない。
初めて自分の無力さを知った。
けど、今で良かった。
今知ったからこそ、俺は本気で自分と向き合えたんだ。
下手に年ばっか食っていたら、プライドばかりがデカくなって、ますます自分をコントロールできなくなっていたに違いない。

パーティーで、女に言い寄らられることは変わらなかった。
隣に置く女の価値で、男のステータスも測られるという。
だから、未だに政略結婚なんて話もでるような世界だ。
馬鹿かっつーの、そーじゃねーだろ?
俺は、自分の価値は自分で築き上げてやる。
そこには、女の力なんて必要ない。


俺はそこから約5年。
死に物狂いの努力で、『道明寺司』という男を作り上げた。
女なんて必要ない。ビジネスに特化した才能の持ち主。
天性のビジネスセンスを持つ男。
そして、アメリカで、多くのビッグチャンスをモノにした。



その後、俺は凱旋帰国を果たすことになる。
帰国した俺が、女嫌いのこの俺が、一人の女に囚われて、その女のために仕事をするようになるだなんて、誰が想像できただろう。
しかもその女を手に入れる時には、あれほど苦労して手に入れた『道明寺司』という名前は全く役には立たなかったなんて、今では笑い話だ。



 

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ありゃ、また長くなっちゃった。。。
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  1. ある日のThe Classic
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは!

  1. 2017/02/11(土) 22:04:49 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
たくさんの拍手ありがとうございます。
いや~、ちょっとマニアックなお話なのに、読んでくださっている方も多くいらして、嬉しいです。
そして、明日は・・・更にマニアックになってしまった(汗)。いえ、私はリフレッシュ中なので、満足なんですけどね。
さらっと書くつもりだったのに、あれこれ追加してたら、つい・・。
明日、気合入れて読んでみてくださいな。あはは。

四葉様
そうなの。二人は運命の二人ということを書きたいんだけど、明日はややマニアックな重めのお話かも。でも、今更書き直さないけど。えへへ。

悠●様
つかつくとはいえ、これはかなり私の自己満足の世界です。お付き合いいただきありがとうございます。

みる●様
コメントありがとうございます。そうなんですよね。つくしは、『道明寺司』と知らずに、彼を好きになった。彼の名前は意味をなさなかった。そこがやっぱり、つくしの魅力なんですよねぇ。

スリ●様
するどい!そうなのです。書けてるしねと思って、さっき投稿しようかなと読み返したら、やっぱ追加、これ書きたーい・・・ってなって、今回はややマニアックなお話に(笑)。しかも、やっぱり長くなっちゃった。
せっかく貯金作っても、あまり意味をなしていません。。。。
リプレイは明後日からになります(笑)。

ではでは、明日もAM5:00 The Classicです。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/11(土) 11:15:57 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/11(土) 09:07:10 |
  2. |
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  1. 2017/02/11(土) 06:20:27 |
  2. |
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道明寺司

  1. 2017/02/11(土) 05:34:55 |
  2. URL |
  3. 四葉
  4. [ edit ]
道明寺司としてじゃなく司さんとして彼を愛してくれたつくし。彼の大きな一歩を変えたのも、やはりつくし。女神であり、愛する女。司さんがパンダ女イコールつくしと気づく日が来ても来なくても、きっと二人の運命の糸は、しっかり結びついているんだろうな(//∇//)

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