花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

司君が帰国した。
久しぶりに来店したのは、1月7日土曜日。
今や、道明寺ホールディングス日本支社長となった司君をカウンター席に案内することはできず、角の個室へ案内した。
前もって連絡をくれればいいものの、こうやってふらっとやって来るところは相変わらずだ。

「久しぶり。」
片手を少しだけ上げる司君。
すでに、支社長の風格は半端ない。
「お久しぶりです。司君。立派になりましたね。」
「ホントにそう思ってんのかよ。まぁ、いいけどよ。俺、しばらく、ここの上に泊まってるから、時々来るわ。」
「では、この個室を空けておきますね。」
「サンキュ。」
18歳の頃とは違う、大人の男性になったと思う。
物腰に余裕を感じる。
あの頃の、粗削りな様子は影を潜めた。
自分の置かれている立場も当然のことながら、きっちり理解しているのだろう。
けれど、あの鋭い目つきは相変わらずだ。
誰も近付けないとでも言うような、誰も信じていないと言うかのような、そんな鋭い目つきは健在だった。
この5年の間も、気の抜けない毎日だったに違いない。
彼の信じるものは、自分自身だけ・・ということか。


「何を飲まれますか?」
「そうだな、マッカランの30年モノ、置いてるか?」
そう言って、ニヤッと笑った司君。
その笑いに、18歳の頃の彼が思い出され、少しほっとした。
「当然です。」
それは以前から、司君が好んでいたウイスキー。
だいたい高校生の分際で酒なんか飲んでるなんて、その時点で犯罪なんだけど、彼らが背負う重圧ってものも、僕なりに理解していたつもりだ。
だから、彼らにひと時の犯行と自由を許してあげていた当時を思い出す。

「マッカラン、ストレートで頼むわ。」
「了解しました。」

僕が、司君の信頼を得ているかどうかは問題じゃない。
だけど、僕は彼に引き付けられた。
この男は、周囲が守るに足る男になったと確信した。



カウンターに戻り、司君用のグラスとウイスキーボトル、チェイサーを準備した。
それから、何かつまみをと考えているうちに、あっとトレーが持ち上がった。

「マスター、これ、個室のお客様ですね?」
そう言って、さっさと運んでしまう牧野さん。


その時僕は、止めようかと思ったんだ。
「僕が運ぶよ。」と一言言えば、止められた。
けれど、結局は止めなかった。
どうしてかな。
女嫌いで有名な司君の個室に、女性スタッフが入れば、きっと彼は怒り出すに違いない。
下手をすると、僕にとばっちりが来るのも分かっていた。
だけど、あの二人は、おそろいの色違いのハンカチを持っているはずなんだ。
司君があの後、あのハンカチをどうしたのかは分からない。
だけど、あの日、間違いなく、司君の心は打たれていた。
だったら、今日、また何かあるかも知れないじゃないか?
司君の心を動かす何かが。
誰も信用などしていない司君の心が動かされるかも知れないじゃないか。
それって、ちょっと面白くないか?
僕はそれを期待してしまった。

ちょっとしたいたずら心も同時に働いて、僕は牧野さんを止めなかった。
もし、司君に追い出されたら、その責任は僕が取ってあげるから。
そんな風に思いながら、彼女の後ろ姿を見送った。


しばらくして帰って来た牧野さんは、極々普通だった。
5年前のあの日のことを思い出している訳でもなさそうだ。
そして、司君も同様に、何も気がついてはいないらしい。
けれど、あの司君が、部屋に牧野さんと二人きりになっても、機嫌が悪くはならなかった。
それどころか、牧野さんは何度も個室に入っては、ウイスキーを注ぎたしていた。

これは・・何かある?
長年Barで養ってきた僕の勘は冴えている。
僕は、黙って見守ることにした。




その後も、何故か司君は、牧野さんの勤務日にばかり現れる。
別に誰かが教えたって訳じゃない。極々、偶然。
そして、当然のように、牧野さんが司君の担当になってる。
決して僕が指示した訳じゃない。
僕はお酒の準備をしているだけ。

初めて牧野さんが、僕に司君のことを尋ねた。
「マスター、司さんって、何者なんです?どこかで見た事あるような気もするし・・。」

ぷっ。
これから東京メープルの幹部候補生になる牧野さんが、司君の正体を知らない。
しかも、なんだか見たことありそうだって?
そりゃそうだろ、今はマスコミへの露出はないとはいえ、高校時代は日本でだって有名だった。
いや、待てよ。
もしかして、5年前のことを言っているのかな。
5年前の彼を少しでも覚えているのだろうか?
この二人の出会いは、偶然なのか運命というものなのか。
もしも運命であるならば、きっとこの二人は、僕が何をしなくとも、結ばれるのかも知れないな。
二人がお互いのことを知るまでに、僕が何かをする必要はない。

「あれ?つくしちゃんは知らなかった?ははは。それじゃあ、トップシークレットだ。」
僕は、司君の素性を語らなかった。



それからの二人を見ているのは、楽しかった。
二人とも、たぶんお互いをかなり意識している。
特に司君。
来店すると、個室に向かう途中で、必ずフロアを確認している。
そう、牧野さんがいるかどうかを見ているんだ。
牧野さんがいると分かると、少し口元が緩む。
で、牧野さんはというと、
うーん。この子はなかなか読めないな。
だけど、司君の部屋へ飲み物や食べ物を運んでいく彼女は、とてもいい顔をしている。
時々司君の部屋を覗いては、酒を注ぎ足したり、チェイサーを交換したり、自主的に動いている。
でもね。支社長の個室なんて、本来だったら、呼ばれない限りは入らないものなんだよね。
彼の立場を知らない彼女ならではの行動だ。
そして、驚くことに、司君は彼女を追い出さない。
自分が呼びもしないのに、勝手に入って来る彼女を黙認している。
いや、それどころか、彼女が入って来やすいように、結構早いピッチでグラスを空けているようだ。


やはり・・・二人は運命の相手、なのだろうか?



 

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  1. ある日のThe Classic
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/02/13(月) 23:18:42 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつも応援ありがとうございます。
臼井さん、いい味出してるなぁ。オリキャラなのに(笑)、かなりな重要人物!って自分で言っちゃう(笑)。あは。

四葉様
うっすいさーん!って呼びたくなるんですよね~。結局、臼井さんは初めから見抜いていた訳ですな。うほほ。月曜日になると、やっぱり朝にコメント入れるのは難しく、「つくし君」へコメントできなくて寂しい。そうなると、ホイホイに行こうかな・・・とか悩んでる・・・(汗)。あそこも、なかなかコアな集まりで面白いですね~。

スリ●様
そうなの。この事実をいつ知るか。。もう、決めちゃってるけど。皆様の反応は気になる。。。ううう。。「何度でも~」気に入って頂けて嬉しいです。明日のつくしサイド、大丈夫か心配・・。

翔●様
復習ご苦労様です!!そして、大杉蓮っ。渋いっ!
そっかぁ。俳優さんで言うと・・私のイメージは、うーん、深くは考えていないけど、竹野内豊さんとか??いや、それはカッコ良すぎ~!でも、臼井さん好きだから、許してっ!

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/13(月) 07:21:15 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

臼井さーーん!(=´∀`)人(´∀`=)

  1. 2017/02/13(月) 05:51:22 |
  2. URL |
  3. 四葉
  4. [ edit ]
改めて、臼井さん目線で見ると、この二人、出会った頃から物凄く可愛らしいカップル(=´∀`)人(´∀`=)まさに、自然と惹かれ合う何かが存在する運命の二人♪臼井さん!グッジョブです!

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