花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

結果から言うと、その後から、二人は付き合うようになったようだ。
どうやら、僕には内緒のようだが、二人の態度を見ていればすぐに気付く。
しかも、ホワイトデーに司君は、牧野さんのバイトを休ませろと脅しまでかけて来た。
まったく、今まで女性になんて興味を抱かなかった男のくせに、本気になると凄く厄介な男のようだ。
なんだか、牧野さんがやや心配にもなる。
だけど、司君の気持ちも分からなくはない。
牧野さんは、鈍いから気付いていないと思うが、彼女とても人気がある。
お父さん世代にというだけではなく、若い世代の男性たちも、牧野さんに目を掛けている。
今までには『The Classic』にはいなかった、明るい女の子だ。物珍しさもあるのかもしれないが、男性陣の視線を集めすぎなんだ。


牧野さんがバイトの日には、司君が、必ず彼女を迎えに来るようになった。
きっと彼女が心配なのだろうけど。
だいたい、バレンタインデーの後から、牧野さんにタクシーチケットをだしていたのは司君だ。
それが、自分の恋人ともなれば、心配で心配で仕方がないのだろう。
まぁ、それ以上に、逢いたいというだけなのかも知れないが。
彼は、店で飲むことは殆んど無く、恐らく、仕事を終わらせて直で迎えに来ているようだ。
職員専用の通路で、牧野さんを待っている。
だけど、牧野さんもおかしいと思わないのかな。
いくら自分の恋人とはいえ、メープルの関係者でもない人が、そんなところに入れる訳がないじゃないか。

しかも、彼は、道明寺ホールディングスの日本支社長だ。
火・金・土とバイトをする彼女を迎えに来る時間をきちんと空けさせるなんて、スケジュール管理はかなり大変なはずだ・・・




そんなある土曜日・・・
「これはこれは、お久しぶりです、西田さん。」
司君の右腕、第一秘書の西田さんがBarに現れた。

「あれ、司君は一緒じゃないのですか?」
「ええ、23時にはこちらへ来るために今は資料と格闘中のはずです。」
「そうですか・・。で、西田さんが、単独でこちらへいらしたということは、もしかして・・・。」
西田さんの眼鏡がキラリと光った。
「ええ。牧野つくしさんという女性を拝見したくて。」
「やはり・・。」
この時、僕は、手に汗を握った。
西田さんは、元は楓社長の側近だ。今でこそ、司君の右腕になっているが、司君の恋を応援などするのだろうか?


フロアでは、牧野さんが、馴染みのお客様と雑談をしつつ、空いたグラスを片づけている。
彼女は人気者だから、彼女のいるテーブルはいつも目立っている。
西田さんも、すぐに彼女に気付いたようだ。

「あれは、東西商事の加藤専務ですね。」
「当店をいつも御贔屓にしてくださっています。」
「加藤専務は気難しいので有名です。」
「そうですね。けれど、来店されると、いつも牧野さんにテーブルサービスを頼むのですよ。」
「そうでしたか。」


「マスター。」
西田さんは、牧野さんを見つめながら、僕に話しかけた。
それから、ゆっくりと僕に視線を向けて、口を開いた。
「マスターから見て、牧野さんはどういった女性ですか?うちの支社長の隣に立てる器だと思われますか?」


僕は返事に困った。
僕の返事如何によっては、彼らの恋は実らないかも知れない。
かと言って、僕だって、牧野さんを100%理解しているわけではなく、店の店員としての付き合いだけなのだ。
何と答えるべきなのか?


「西田さん。西田さんは、ニューヨーク時代から、司君の第一秘書になったのでしたね。」
質問を質問で返された西田さんは、少し驚いたようだ。
けれど、僕には、一つ確かめておきたい事があった。

「そうですが。」
「ニューヨーク時代に、司君が、女性もののハンカチを持っているのを見かけたことはありませんか?」
西田さんの目が一瞬だけ大きくなった。
僕は何となく、自信が出た。
「僕は、そのハンカチが、司君の人生を変えたと思っているのですが。」


西田さんはしばらく黙っていたが、ゆっくりと口を開いた。
「一度だけ、お見かけしたことがありますね。ニューヨークお邸のデスクの引き出しに入っていたと思います。」
「パンダ柄・・ですか?」
「ええ。女性嫌いの司様が、奇妙な柄のハンカチを引き出しに置いているのをみて、驚いたものです。」
西田さんが、もっと話を聞きたそうだ。
どこまで話して良いものか・・

「5年前、司君がニューヨーク行きを決めた日にもらったハンカチのようですよ。何があったのかは分かりませんが、そのハンカチのおかげで、今の司君があるのかも知れない。」
「あのハンカチはいったい誰が?」
そう問いかけつつ、視線を僕に合わせて来た西田さんに対して、僕は視線を牧野さんに振った。

西田さんが、大きく頷いた。
「なるほど。5年前から繋がっているのですか。」
「二人は気付いていないですよ。5年前のこと。」
西田さんが、驚いたように僕を見た。
司君を決意させた女性が、司君のことを覚えていない。
また、自分を決意させた女性のことを、司君は覚えていない。
けれど、二人は、再び出会って、恋に落ちた。

「西田さん。牧野さんは、司君が道明寺ホールディングスの日本支社長であることを、知らないのですよ。面白いでしょう?」
「それは、本当ですか?」
「間違いありません。ですから、司君のステータスに媚びて、利用しようとか、そんな浅はかなことを考える女性ではありません。」
「そうですか。」
「それに、どちらかと言えば、彼女に司君が必要だというよりも、司君に彼女が必要な気がしてなりません。彼女と一緒にいるときの司君は、僕が14歳の時から知る司君とは全く違うのです。」

「牧野さんの器については、僕からは何も言えません。しかし、真面目で努力家、優秀な女性であることは間違いありません。そして恐らく・・司君の運命の相手だと、僕は思っています。」


僕のその答えに満足したのか、
「すでに、調査は済んでいるのですがね。一度この目で見てみたかったんですよ。あの支社長が、本気になっている女性をね。」
西田さんはそう言って笑い、僕を安心させてくれた。
西田さんが味方に付けば、二人の前途は明るいに違いない。




牧野さんのバイトの最終日。
閉店後に、スタッフだけが集まった店内に、当然のように混ざっている司君。
もはや、二人の関係はスタッフ全員が気付いている。
知られていないと思っているのは、牧野さんだけだ。

牧野さんが、お礼にとくれた手作りお菓子の入った箱に青筋を立てている司君。
スタッフと仲良く写真を取り合う牧野さんに、司君が立ち上がりそうになった。


「今日で最後なんですから、構わないでしょう?」
そう言った僕に、
「バカ言ってんなよ。俺は自分の女を貸し出す気なんてねぇんだよ。」
と睨む、司君。

これは先が思いやられるな。
これ程に、独占欲の強い男だったのか。
欲しいものは、全て手に入れることのできる男。
けれど、5年前の彼に、欲しいものなど無かった。
唯一彼が手に入れたかったものは、彼自身の存在意義。
それをニューヨークで手に入れ、帰国した。

そして今、その男が欲するものは、彼女の心のみ。
その心を、自分だけに向けて欲しいと願っている。

普通なら、高校や大学時代の恋愛で、そんな感情との付き合い方も上手くなっているものだと思うが、司君は何せ、恋愛に免疫が無い。
恋愛レベルは、恐らく高校生並み。
一方の牧野さんは・・恐らく、こちらも高校生並みだな。

仕事の能力は非常に高い二人。
そんな二人の初心者恋愛模様が気になるが、
僕の役割はこれで終わりらしい。


だけど、何かあれば、ここにおいで。
いつでも愚痴は聞いてあげるから。
そして、背中を押してあげるから。

未来にはばたく二人を応援する気持ちと、少しだけ淋しい気持ちを抱きながら、
僕は、二人を見送った。



 

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いつも応援ありがとうございます。
あと1話です。
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  1. ある日のThe Classic
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは~!

  1. 2017/02/17(金) 22:50:25 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手、ありがとうございます。
リプレイも終了し、明日で最後の一話です。パンダハンカチの行方やいかに??
神様からの電撃は来ないものの、俺の女を書き始めました。しかし、これ、大丈夫かな~。最後までたどり着けるか心配です・・。

さてさて。
悠●様
高校生にもならない?中学生(笑)?自分が高校生の時なんて、はるか昔で、同時の感情なんて思い出せないです。

スリ●様
ダブル嫉妬!ほう。メモメモ。まだ、全然かけてないから、何でもあり(笑)。これ、難しいというよりは、司の相手を誰にするかで悩むんですよねぇ。滋?オリキャラ?うーん。どうしよう?

明日で、最終話。淋しいです・・

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/17(金) 09:31:44 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/02/17(金) 06:27:54 |
  2. |
  3. [ edit ]
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