花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

「マスター、窓際3番にクリスタル・ブシュット1本入ります。」
そう言いながら、シャンパンボトルを準備する牧野さん。

牧野さんが東京メープルに就職してから、半年が経った。
もう、この店には来ないのかなと思ってたら、そうではない。
牧野さんは時々現れては、フロア係を買って出てくれている。
そんな彼女を迎えに来るのは、いつも司君。
いわば、暇つぶし?に使われているのかも知れないが、こうやって、時々二人の姿を見ることは、僕の楽しみになっている。

2-3週間に一度程度しか、店にはやって来ないのに、牧野さんは相変わらず、よく働いてくれる。
きっと、メープルでの仕事も優秀なんだろう。


土曜日の今日、牧野さんが訪れたのは21時。
「今日は暇だから、閉店まで働きます」と言ってくれた。
中途半端な時間に来るなとは思ったものの、牧野さんを期待しているお客様は多いのも事実。
喜んで、フロアをお願いした。

その1時間後、今度は司君が走り込んできた。
あれ、牧野さん、司君と約束してたのか。
しかし、司君の様子がなんだか変だ。
何をそんなに焦っているのか。
­

「臼井、こいつ連れて帰るから。」
そう言って、牧野さんの腕を掴み、連れて帰ろうとする司君。
「ちょっと、あたし、閉店までちゃんと働いてから帰るんだから。」
牧野さんはそれだけ言うと、司君を完全無視。
視線を合わせようともしない。

これは喧嘩でもしたのかな。
どうやら、司君が牧野さんに振り回されているように見える。

「牧野、いい加減にしろよ。帰るぞ。」
「仕事では他人だって言ったでしょ?」
「今は仕事じゃねぇだろうが。」
「ここはメープルの直営店ですよ。支・社・長。」
牧野さんのトゲトゲしい言い方に、司君が牧野さんを怒らせたに違いないとすぐに分かった。
それから、牧野さんは司君の手を振り払い、フロアへ消えて行ってしまった。

しかし、牧野さんはやっぱり凄いな。
あの司君を振り回すなんて。
ここで再会した当初の二人からは、想像できない。


仕方なく、カウンターの奥に腰を下ろす司君。
ひとまず、ミネラルウォーターを準備しながら、こそっと聞いてみる。
「いったい、何があったのですか?」
「何でもねぇんだよ。あいつが勝手に誤解してるだけだ。」
「へぇ。どんな誤解なんです?」

司君は、はぁ・・と溜息をついた。
「マンションの俺の机の引き出しに、女もんのハンカチが入ってたんだと。」
「へぇ・・。」

「お前覚えてる?俺がニューヨーク行く前、ここに来ただろ?」
「覚えていますよ。あの日から司君は変わった。」
「あの時のハンカチ・・」
「あはは。あのパンダ柄ですね。」
「おう、あれを牧野が見たんだよ。」
「・・・」

あのハンカチは、今でも司君の手元にあったのか。
そして、それを牧野さんが見たと。

「んで。俺が、女もんのハンカチなんて、マンションの仕事部屋に置いてるなんておかしいとか言って、あいつ、勝手にブルー入ってよ。部屋から出てったかと思ったら、こっちに来てやがった。ったく。女が夜に飛び出していきやがって。」

もしかして、司君は牧野さんにSPでもつけているのだろうか・・。
思わず、そのSPにも同情してしまう。
機嫌の悪い雇い主ほど、厄介な人はいないからな。

しかし、ハンカチ位で、ブルーになる牧野さんもどうかと思うが。
あっ・・・待てよ・・?

「牧野さん、そのハンカチの柄まで見たんですかね。」
「見たと思うぜ。つーか、あれ、何となく捨てられなくて、ニューヨークの邸の机の引き出しにずっと入れてたんだよな。そのまま、こっちに持ってきてたみてぇで、俺も今日まで忘れてた。」

ははーん。なるほどね。
あのハンカチは、もともとカップル用だと牧野さんは言っていた。
つまり、誰か他の女性からそのハンカチを貰ったということは、そういう関係の人がいたんだろうと誤解したのだろう。
はぁ。
ありがちな展開だな。
はっきり言って、司君の周りに、彼にパンダ柄のハンカチを渡す人間なんて、牧野さんぐらいしかいないのに。
牧野さんは気付きもしないのか・・・。


「司君、あのハンカチをくれた女性のこと覚えていますか?」
「覚えてねぇよ。暗かったしよ。」
「僕も最近知ったんですけどね。あのハンカチはカップルで持つと幸福を呼ぶそうですよ。」
「はぁ?お前、なんでそんなこと知ってんだよ。」
「牧野さんが話していましたから。」
「牧野が・・・?」
「司君に誰かそういう相手がいると思ったんじゃないですか?」
「いる訳ねぇっつーの。」
司君がミネラルウォーターを一気に空けた。


「牧野さんにはいるのかも知れませんね。」
「あ?」
「牧野さんもあのハンカチを持っているんですよ。」
「何だよ・・それ。」
司君の表情が曇った。

「だけど、彼女が高校生の時、バイトに行く途中で出会った、喧嘩帰りで唇を切っていた男に、その対のハンカチをあげてしまったそうですよ。」

司君が大きく目を開いた後、バッと顔を上げて、フロアを見る。
そこにはニコニコと接客をする牧野さんの姿。


しばらく呆然としていた司君が、ガタンと席から立ちあがった。
「臼井。わり。やっぱ、牧野連れて帰るわ。」


それから、司君は強引に牧野さんを連れて帰って行った。
突然現れた道明寺支社長に、フロアは騒然。
二人の関係は秘密だったんじゃないのですかね。
やれやれ、少しフォローを入れますか。
厄介な・・と思いながらも、僕は笑いが止まらない。
まさか、この瞬間に立ち合えるなんてね。
彼らが、5年前の出会いを知る瞬間に。


ククク・・・
僕が言わなくたって、いずれは分かっていたことなんだろう。
けど、いいじゃないか。
僕はここのマスターで、二人の新しい出会いはここから始まったんだから。
僕は、司君のハンカチも、牧野さんのハンカチもここで目撃したんだから。
そして、牧野さんが100円で手に入れたという幸福を呼ぶパンダのハンカチの効果を、この目でしっかりと見届けたのだから。

少しぐらい、僕がいい思いをしたって、バチは当たらないだろう?




そしていつか、このBarで、
二人の結婚を祝う日を楽しみにする僕がいる。
頑張ってくれよ、二人とも。
僕はいつもこの場所で、
二人のことを応援しているから。


Fin.


 

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これにて番外編は終了です。
来週月曜日から、「俺の女」の第二部開始を予定しています。
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  1. ある日のThe Classic
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは~!

  1. 2017/02/19(日) 22:29:25 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手ありがとうございます。
あぁ、終わっちゃいました、番外編。臼井さんとのお別れが寂しいです。
そして、この1日は、明日からのお話に全力投球と思って黙々と頑張ったのですが、まだエンジンかかってない・・・。
でも、皆さん、結構期待してくださっているんですねぇ。
その期待に沿えるのかどうか・・・。不安であります・・・。

さてさて、
悠●様
私としては、そちらのお話が気になって仕方がありません!

か●様
この後の二人ですよね(笑)。私も気になりますが、手が回らず。えへ。第二部が煮詰まった頃にでも、書かせていただこうかなぁ。しばしお待ちくださいませ~。

スリ●様
このお話をどこかに組み込むか、いや、考えてはいたのですが、その辺はあいまいです・・(汗)。というか、明日のお話も先が見えない。。。完結まで行けるのか、不安です。

四葉様
そう、そう、微妙に年齢をきっちり書いてないの。皆様の想像にお任せ!です。

はちみつ様、サ●様、H●様、こめ●様、mi●様
拍手コメント、ありがとうございます。
いや~、このお話に拍手を頂いちゃうと、第二部大丈夫かな?と心配です。
だいぶ、雰囲気が違う気がする。
やっぱり、二人の世界だけじゃなくなるからかなぁ。
どうぞ、第二部も温かく見守ってくださいませ。

ま●様
コメントありがとうございます。そう、パンダハンカチは、後付けストーリーです。臼井さん目線で書こうかなと思った時に、ぶわーっとやって来た妄想です。いつも思うんですよ。私のお話って、つくしに出会った時点で、結構司いい奴じゃん・・みたいな?でも、司をイイ男にするのは、つくしであって欲しいんですよねぇ。というのが、このお話の原点(笑)。

明日からの、第二部、
ほどほどのペースでに書いていきますので、どうぞ、引き続き応援していただけるとうれしいです。

臼井さん、グッジョブ!

  1. 2017/02/18(土) 09:26:45 |
  2. URL |
  3. 四葉
  4. [ edit ]
この前の西田さん登場より、臼井&西田のナイスミドルが、四葉の頭の中で小躍りする。いいっ!いいわ!アラウンド◯0。正直何歳か分からないけども( ˊ̱˂˃ˋ̱ )

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/18(土) 08:49:27 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/02/18(土) 07:14:38 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/02/18(土) 05:52:00 |
  2. |
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